2020年05月27日

この春から図書館員になったけどコロナ禍下の混乱で何をどう理解してよいか戸惑っている(としたらそのような)人のための読書案内: (1) 場の機能編


 先日下記のようなツイートを拝見しまして。



 ねころじかる @neco_logical 5月12日
 「これは、細かなことかもしれませんが、現在M1の私が、院生の生き方(例えば学振とはなんなのか、博士課程に進むべきか就職するべきか、どういう研究テーマがいいのかなどなど)を、相談するすべがないというのは、結構不安が大きいです。#大学院生の声」
 https://twitter.com/neco_logical/status/1259875564753575943

 なるほど、これはこれでケアすべき案件ながら、同じことが我々の業界にも、つまり、この春から新しく図書館で働くことになって、これから現場でOJT的にいろんな経験しながら勉強したり教わったりできるぞ、と息巻いていたところが、このコロナ禍下の混乱で、いきなり自宅で仕事しろと言い渡され、あるいは片手に消毒液もう片手に紙束を持たされ、マニュアルに無いどころか館内の上司先輩が誰ひとり経験したことのない事態に吹きさらされ、司書としてのあり方考え方のような長期スパンの相談に誰も乗ってくれそうな余裕もなく、ニューノーマルどころかそもそもノーマルが何なのかさえわからず震えている、え、図書館ってこういうことですか?と戸惑っている人もいるでしょう、と。そりゃ勤めて何年も経ってる人から見れば「いまが非常時」だとわかるわけですが、平常時を知らない人が「いまの非常時」だけをいきなり目の当たりにした上で、今後何十年かのスタートラインに立っている。何が何やら不安でしょうがないでしょう。

 そんな人がいたとして、だからってじゃあ自分に何かできることがありますかといえば、まあせめて「とりあえずこんな本でも読んで、しばらくのあいだはじっくり考えつつ落ち着くのを待ってみたらどうか」的なことくらいだと思うんで、そんなお通しのもずくみたいなんで良かったらと思い、適当に書き付けるものです。
 (注:もう1ヶ月ほど早く気付くべきでしたが)

 で、タイトルに「(1)場の機能」って書いてあるので、そういうトピックで。

 インターネットなるものが登場して以降、図書館業界は(おおっぴらに言ったり心に秘めたりしつつ)生き残り策を模索することに必死のパッチで、いろんな人がいろんなことを言ったりやったりしてますがざっくり大きくわければ2方向に振れるわけです。ひとつがデジタル・ヴァーチャル方向で追いつき追い越そうとするもので、もしこの記事に(2)があるのならおそらくそれでしょう。
 もうひとつが、物理的にリアルな存在の方を前面に押し出して、差別化をはかる攻め方をするもの。図書館を資料・職員・施設を提供する機関とするならば、資料現物を提示するだとか、人的サービスを提供するだとかでそれぞれの物理的リアルさを貸出やレファレンスという体裁で従来保ってきたということなんでしょうが、ここへきてさらに十数年くらいでスポットライトをガンガンに浴びせてるのが「場の機能」と称されるもので、物理的施設と空間の提供というGoogleがぐぅの音も出ない切り札と、そこに集まるリアルな人々のリアルな知的エクスペリエンスというある種流行りなコンテンツを持ち出してきたわけです。ネットワーク、ディスカッション、コミニケーション、きずな・ふれあい、参画・共同、そしてコミュニティという、日本人ならずとも万国共通に好まれそうな心あたたまる要素をがっつり取り込んで、人を集め、場所を使わせ、そこへさりげなく資料情報をブレンドさせるかたちで、デジタルなコピペでは味わえない”いま””ここ””わたしたち”ならではの得難い何かを提供する。そんな地域のハブになれ、巨人の星になれと、あくせくがんばってきた。

 …ところへの、COVID-19ですよ。orz
 え、これ一番避けなきゃダメなやつじゃん、と。
 国、館種、分野に限らず、いまこの「場の機能」を提供するという事業のおおかたを当面休止させざるを得ない、というのは、ここ十数年そのネタで売ってきたこの業界にとっては「もう何もできない」と、たぶん非常に辛いんじゃなかろうか、と、そういえばここ十数年そういう業務に直接携わって来なかった自分としては想像力をもってそう思うわけです。

 ですが。
 はたして本当に「もう何もできない」でしょうか、と。

 ていうか、「場の機能を提供する」っていうのは、物理的施設・空間を提供することとイコールだったんでしょうか、と。

 そうじゃないだろうというのは、例えば”ラーニング・コモンズ”を思い出してみれば気づくはずです、ちょっと油断してると”学生がたまり場にできる便利な自習室”ぐらいに思われてしまいがちですが、本来そういうことじゃないはずだっていうのは、心ある大学図書館業界の方ならよくご承知だろうと、あ、そういえばここ十数年大学図書館ではない図書館にしか携わって来なかった自分としては想像力をもってそう思うわけです。

 本当に提供したかったのは、場所や空間や個々の具体的なリアルイベントそのものというわけではなかったはず
 じゃあ、それは何なのかと。
 春から図書館で働きにやってきたはいいけど、施設も物理的空間も提供できなければ催しも集いも開けないしディスカッションもファシリテートれない現状を目の当たりにして、それでも提供すべき、いや提供可能な「場の機能」などという、禅問答のようなことをどう考えればいいのか、と。

 そう、いまこそ。
 時を戻そう。

 Before COVID-19だったあの頃のオールディーズなナンバーとでも言うべき、図書館における「場の機能」を丁寧真摯に説いた文献を、いまだからこそ読み返すことに意味があるんじゃないか、って思うんです。注意深く読み解けばきっと、物理的施設・空間の提供のさらに向こう側にある「真の”場の機能”」に気付けるはずだろう、ていう。

 それではお読みください。
 アントネッラ・アンニョリ姐さんで、『知の広場 : 図書館と自由』。

知の広場【新装版】 - アントネッラ・アンニョリ, 萱野 有美
知の広場【新装版】 - アントネッラ・アンニョリ, 萱野 有美

 (参考)
 「(メモ)アントネッラ・アンニョリ『知の広場 : 図書館と自由』からのまとめ」(egamiday 3)
 http://egamiday3.seesaa.net/article/376474593.html
 「「知の広場ー新しい時代の図書館の姿」アントネッラ・アンニョリ氏講演@京都 20130606」(egamiday 3)
 http://egamiday3.seesaa.net/article/365519665.html


 続いてもう2冊お届けします。

 『LRG = ライブラリー・リソース・ガイド』. 25, 2018.
 「特集 ウィキペディアタウンでつながる、まちと図書館」

 是住久美子. 「ライブラリアンによるWikipedia Townへの支援」. 『カレントアウェアネス』. 2015, CA1847.  http://current.ndl.go.jp/ca1847

 ラーニングコモンズについては、図書館がどうこうよりむしろ大学総体で考え直した方がいいだろうと思うので、省きました。



 そんな感じですが、これって”読書案内”になってるのかしら。
posted by egamiday3 at 20:37| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月17日

コロナ禍下の図書館(美術館・博物館)にまつわる雑感 : 観光とビール


 こういうわりと特殊な環境というか時局下なので、適当に思いついたことでも記録保存の意味で、わりと軽めに書く傾向にあります。

 その1。
 暑いなあと思ってチョコモナカジャンボ食べながらテレビつけてたら、クローズアップ現代+の再放送をやってたので、ちょっと見てました。「観光復活のシナリオ」と題して、インバウンド需要が急減した観光業(100年に1度の危機)のあれこれを取材報告する的な感じのやつです。星野リゾートの星野さん(星野さんだから星野リゾートだったんですね)の密着とインタビューがありました。

 かいつまむと。
 ・インバウンドの観光客は1年〜1年半は戻らない。遠く先の話。
 ・まず初期に戻ってくるとしたら、それは(星野リゾート現地の)近隣の人たち。その後、首都圏・関西圏、国内、海外客の順だから、インバウンドの客が戻るのは遠い話ということ。
 ・これまで海外客に主に目を向けてたのを、あらためて近隣地域の人向けの対応を強化する。、

 特に2番目の理屈が、そりゃそうだなという感じで、同心円のモデル図がパワポで示されていてさらになるほどと思えました、説得力のある図は大事。

 と思って見てたんだけど、あれっと思ったのが、一方で図書館・美術館・博物館業界の話で聞こえてくる話としては、その近隣地域の人たちを来館利用者として迎え入れ、現場で現物を提供することを再開しようとするんだけど、そのことにどこもすごく苦労してはる、ガイドライン、ソーシャルディスタンス、人数制限や時間制限、消毒除菌、果ては記名の是非まで。
 あ、もちろんニーズがあるからやるのは当たり前であって、やるならやらねばとしてやった上での話ですが、じゃあ近隣地域向け対応でそんなにもコストがかかるんだったら、国内・海外遠隔地の利用者対応はさらにしんどいのか、…ていうと、あれ、そんなことはないよね、と。

 その辺が、図書館美術館博物館の業界はある意味観光業と真逆で、近場の人に現地来館&現物提供(貸出/展覧)するよりも、むしろ、海外ほど遠かろうがコピーやデジタル画像やバーチャルをお届けするということができるのであって、そっちのほうがむしろ簡単だし低コストだし、必ずしも現物じゃなくて良いシーンが多かろうから結果的にコスパは高いんじゃないかなと。
 むしろ、今のこの環境下でインバウンド(注:来日してないので言葉は正しくないですが)の首を狙いに行ける業界があるとするなら、まさに図書館美術館博物館、その他のコンテンツ業界なんだから、これもっとこの機会に積極的に攻めに行っても罰はあたんないよな、って思いました。

 図書館美術館博物館の観光資源扱い化を(もし)否定したいんだったら、その真逆と思しき(注:ほんとに真逆かはまだちゃんと考えないとわかんないので留保)攻め方でどうかと。

 と思うにつけ、日本図書館協会さんがせっかく複写がどうのと言ってくれたなと思ってたら、それについて反応はなく、言った方も「読み聞かせ大事」でスルーになってるの、あれなんだろう、よっぽどバタバタしてはるのかな。

 その2。
 というのを、星野リゾートの人の話と大阪観光局の人の話(不要不急と言わせない)を見ながらいろいろ考えてたところ、ふと思い出したのが、「TRANSPORTER : BEER MAGAZINE」というクラフトビールのミニコミ誌があるんですね、クラフトビール飲みに行ったらよくただでもらえる風に置いてある小冊子ですけど、それのno.26、2020年春号を見てまして、あーまだコロナなんかまったく触れられていない平和な時代のビール記事ばかりだー、と。サンディエゴだかなんだかのブルワリー巡り記事が載ってて、今度ここに行けるのはいったいいつになることかと、昔はよかったと、まあそれはそれとして。
 その中にこういうタイトルのエッセイ記事がありました。
 「もしかすると”ビールを作るのは難しい”という時代は終わったのかもしれない」

 かいつまむと。
 ・クラフトビールの自作について、情報も出回り、ハードルもさがっている。
 ・結果、これまで醸造経験がなかったような人でもブルワリーの仲間入りするケースが増えている。
 ・ブルワリーはよりシビアになる。

 3番目のシビア話は置いといて、2番目までの話を見たときに、これって図書館美術館博物館、特にデジタルまわり、デジタルアーカイブ関係は同じような感じで、コアな業界人だけで回していこうというような考え方はむしろ薄くなり、利用者参加型とか住民参加型とか、場をセッティングしたりデータやツールをオープンにしたりして、内外多種多様な人々に集まってもらって議論してもらってワイワイやっていく、そういう流れをつくってきたわけだから。

 コロナ禍でたいへんになっちゃった、現地来館&現物提供にしろ、デジタル&遠隔にしろ。っていうのの実対応についても、同じように内外多種多様な人にワイワイ協力してもらったらいいんだよな、リアルに集合してもらう必要はない(できない)にもしろ。
 だって、まあ別にそのためだったわけでもないけど、そういうことができるくらいに(少なくとも)図書館は何事によらずオープンだデジタルだって情報共有&ハードル下げをやってきたわけなんだし。

 …ていうところまで考えて、あとはビール飲んでました。
 それが現実問題として何にあたって、どう実現できるのかについては、また後日考えます。特に業務絡みのことであれば、勤務中に業務として考えます。
 考えますが、たぶんそのひとつの種が↓これなんだろうなっていう。
 https://twitter.com/archivist_kyoto/status/1261492543595790337

 以上、思いつきの雑感です。
 また何か思いつくまで保留。

 そうだ、何かしばらく前に喫茶店で見かけたコーヒー専門雑誌みたいなのに示唆に富む記事があったので、取り寄せて読み直して、気が向いたら書きます。


 追記
 ここまで書いて、はっ、しまった、今日って京都市京セラ美術館のニコ生美術館やってたの、すっかり忘れてた!
 まさにこれじゃないか! 見たかった!
posted by egamiday3 at 21:59| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月12日

「図書と雑誌」とは何か #図書館情報資源概論


 先日、図書館情報資源概論の授業の一トピックとして、「図書と雑誌」というオンデマンド視聴用動画を作成しました。動画って言っても、zoomの画像共有機能でパワポやテキストを見せながら声だけで出演する、という感じのやつですけども。
 ここでは、「図書と雑誌」などという地味なトピックで何をしゃべって、その背景に何を考えてたんだ、ということを書き記してみます。

 ていうか、地味ですよね。「図書と雑誌」ですよ。でもいいんです、資格取得のための科目ですから。ていうかあたし図書館情報学を学んだことない、資格科目勉強しただけの身ですから、ハレの登壇ならともかく、ケの講義ならこんな感じです。

 でもわりと、”言われないと気づかない”ような肝な概念を、これひとつだけでも理解して帰ってくださいって、ここでは強めに言ってあります。それが、

 「図書館の現場では、資料を、まず「図書か雑誌か」で分けて判断する」

 ということです。
 これ重要です、これわかんなかったらCiNiiもひけないし、実際の図書館のフロアでも迷うことになっちゃうから。しかもわりと万国共通だし。
 なので、これだけ理解して帰ってもらえたらいい。

 と、「これだけ」といいつつ、でもこれを理解するには「雑誌」(逐次刊行物)とは何なのかを理解する必要があるわけなので、それもセットで持って帰ってもらう、ていう目論見ではあるんですけど。

 でも実際そうですよね、図書館って。
 紙かデジタルか、古いか新しいか。いやいや、そんなことよりも何よりも、まずはそれが「図書」なのか「雑誌」なのか、ですよ。デジタルだって、「図書」としてのデジタルか、「雑誌」としてのデジタルかでいきなり仕分けされてしまうという。
 そして、その仕分けでは「雑誌」以外のその他はまあほぼすべて「図書」のほうに突っ込むことになるので、「図書か雑誌か」という二分法は畢竟「雑誌とは何か」に集約されるっていう。

 しかしそもそも「図書」と「雑誌」の違いって何なんでしょうね。なんでそんなに図書館は必死こいて分断しようとするんでしょう、前世はモンタギューとキャピュレットか何かですか。
 速報性だ、短い著作の集成だ、分野コミュニティだ、流通売買の違い、配架の都合、本棚の確保、いろいろあるでしょうけど、こうも図書館の現場が二分に執着する最大の理由は、結局のところは「書誌構造の違い」にあるんだろうなと思います。

 逐次刊行物の定義を図書館用語集で示そうとすると、こうなりますけど、
 「ひとつのタイトルのもとに、
  終期を予定せず、
  巻・号・年月次を追って逐次刊行される出版物」
 @「ひとつのタイトルのもとに」とA「巻・号・年月次を追って逐次刊行」が書誌構造の違いの由来であり、A「終期を予定せず」が本棚の確保問題の由来かな、と。

 そう考えると、図書館って、物理的なモノを扱う存在でありつつも、それを書誌という抽象的な概念でコントロールするところなんだなっていうのが、まあわかるかな、ていう感じですね。

 で、この「図書か雑誌か」という概念を実感してもらうためにこのタイミングで出す宿題が、逆説的ではありますが、こういうやつです。

 「ある図書館では図書として扱われている資料が、別の図書館では雑誌として扱われている、という実例を、CiNii Booksや同志社大学OPACを使って探す」

 いやらしい出題ではありますけど、いきなり”グレーなやつがあるから、それを探してこい”と出題することで、え、何がグレーだって?と。つまりは何が白で何が黒なんだ、と。グレーを知ることで白黒を学ぶの術、という感じですね、結構なスパルタですけど、まあヒントとして「統計とか年鑑とか白書」ってわりとそのものなワード出してるので、だいたいみなさん上手に見つけてきはります。

 ちなみにですが、あたしがよくやるやり方としては、講義のまず最初に↑この宿題を出題しておいて、なんのこっちゃわからんでしょう、どういう意味なのかをいまからの講義で説明します、ていう、なんだろう、ある種の人質を取ったような状態で講義に耳を傾けさせたりしますね。どれだけ効果あるかはわかんないですが。まあでも聞く方も、なんのためにこの話聞かなきゃいけないのかがわかってたほうが、モチベーションだいぶ違うだろうって思うんで。

 あと、ほんとはもうひとつ重要な「雑誌単位か記事単位か」という問題を理解していただくべきかとは思うんですが、まあ、これはレファレンス系の科目でどうせやるかな、っていう。

 そんな感じです。

posted by egamiday3 at 21:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月09日

非対面授業のための教材作成の経緯・メモ (2020/4/5現在)

 1回目(3/29現在)は、動画コンテンツの検討経緯と実践でした。
 2回目(4/5現在)は、テキストベース教材までの経緯と手順です。


●前提(前回と同様)
・科目は「図書館情報資源概論」
・受講者はおそらく20-30名程度、2回生が多い。
・通常時の授業はパワポ投影+書画カメラ投影+ホワイトボードを併用。
・通常時の授業形式は、講師が口頭でしゃべる講義、学生の提出物を書画カメラで投影しながらの応答、等。
・なお、前期は上記1科目しかないので、これだけの手間をかける余地があった、ということはメモしておくべき。


●課題(変更あり)

旧:15回のうちの”少なくとも”2回を非対面でおこなう。
 ↓
新:15回のうちの”少なくとも”4回を非対面でおこなう。(なんと!)


●構成の方針(変更)
・2回だけなら小手先の構成変更でよかったけど、4回だと全体に影響が出るので、わりとホンキで構成を組み直さないといけない。
・とはいえ、変更するのは構成にとどめ、できれば内容やパワポは変更・再作成したくない。(前回同様)
・「図書館情報資源概論」という科目の性格上、どうしても”資料現物”をナマで見せたい単元が少なくない。また、講義であってもやはりナマでしゃべり伝えたい単元も多少ある。
 ↓
・対面授業再開までは、単元の中でも”現物をナマで見せなくても良い”種類のものを、先に済ませてしまうことにする。
(例:インターネット資料(wikipedia)、出版流通、選書・蔵書構築など)


●作成すべきコンテンツの在り方(変更)

【前回の検討結果】
・スマホに耐えうるパワポ・資料投影。
・動画は長いと飽きるし見てもらえない。
・使えるギガが限られている。
・おおかたの受講者向けには短時間で要点をさくっと伝える。
・とはいえ、ガチ勢にもある程度応えたい。

 ↓

【今回の検討経緯】
・いろんな人の見解やデータを見聞きしていると、当初の想像以上に学生側の条件は厳しそう。
・視聴環境・容量・時間について、可処分に限りがある学生(またはあまり消費したくない学生)は、かなり多いのではないか。
・他にもたくさんの科目を履修するであろうことを考えると、他の科目との容量・時間の取り合いが、これも想像以上なのではないか。
・そう考えると、いったん作成したものの、20分の動画は長いのではないか。
・とはいえ、やはり一定数は毎年いる”ガチ勢”には応えたい。ていうか、できるなら勉強してほしいし、させてあげたい。

 ↓

【今回の検討結果】
「余裕がある人/詳しく学びたい人」(ガチ勢)向けに、長め詳しめの動画コンテンツを作成する。
・これとは別に、「余裕がない人」向けに、動画コンテンツと同じ内容でそれを最小限にかいつまんだ、テキストベースの教材を追加で作る。
・どちらを選択してもよいことにして、宿題は同じものを出す。
・これにより、自分の条件や熱意によって、自習するコンテンツとメディアは選択できるものとする。かつ、成績評価のための課題は同じものとする。


●ここまでの感想
・対面式の授業ってなんとリーズナブルで効果的なフォーマットだったのか、リターンズ。


●テキストベース教材の作成
・テキストベース教材の作成を、できるだけ効率化したい。
・ふだんパワポでしゃべってる内容を、推敲しながら文章化して打っていくのは、実は意外と手間や時間がかかる。
・それよりは、いったんしゃべった動画の内容を文章化していけたら、だいぶラク。
 ↓
・Youtubeの字幕機能を活用して、テキストベース教材へ転用してみる。

(手順)
・動画コンテンツをYoutubeにアップロードする。
・字幕機能の画面を見ると、しゃべった内容が自動字幕機能により文字化されている。(ただし、こちらの滑舌にもあちらの精度にも難が多く、そのままではもちろん使えない)
・Youtubeには字幕ファイルのダウンロード機能があるので、試行錯誤の結果、srtファイルなるもので保存→wordで開くと、うまく文字データとして入手できる。
・その字幕文字データを、コピペしたり横目で見たりしながら、しゃべった流れに沿ったテキストを打ち込んでいく。
・動画中の画面を挿画として、ところどころでペーストしていく。フリーソフトのScreenpressoなら、いま見てる画面をそのまま切り取って、画像としてコピペできる。

 ↓
 意外とすんなりできました。
 しゃべり動画とテキストを別々に作るよりは、いったんしゃべってしまってからそれを文字化するほうが短時間で済むのでは、という知見を得ました。


●できた&アップロードしたコンテンツ
・レジュメ(パワポファイル)
・宿題(wordファイル)
・宿題のための必読文献(PDFファイル)
・講義a・長め詳しめの動画教材(mp4ファイル)
・講義b・最小限のテキストベースファイル(wordファイル)
・受講要領「最初に読んでください」と書いたreadmeファイル(テキストファイル)


●今後の展望
・動画がどれだけ視聴されたかによって、今後どっちにシフトしていくかを考え直すべき。


●この間のニュース
 著作権法35条云々の前倒し云々で、オンデマンドでも著作物提示が可能になる、という動きが加速していましたが、egamiday氏はそれ以前から、某文献の配信を許諾してもらうべく某出版社と某著者の方に直接連絡を取る、ということをしていた模様です。結果、快く許諾の返答をいただき、とても感謝している、とのことでした。
 以上、豆ニュースでした。




posted by egamiday3 at 21:04| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月05日

2020年3月のまとめ


■2020年3月のまとめ

●総評
 ボストン→COVID19→転居準備はかどる、の巻。やるべきことはやれてるが、やりたいことはやれてない感。

●まとめ
・「ウイルスがあってもなくても、今日も充実して過ごす」
・まだ全然ボストン行く気で準備してた3月初頭。
・14年ぶりのmoveが始動。引っ越しをエンタメにする。#move2020
・なりすまし被害
・毬太郎
・とちくるって眼科行くも、眼科案件で無いことが分かって終わる。「乱視気味の近視です。手元が見えづらいのは老眼です」
・新宅清掃phase1、B3畳板間からきれいな”自分ち”になる。
・byeフォルダと断捨離
・マフィンと、地図のあるラウンジ。
・テンパるコリアンエア、CEALが中止、14日待機候補、ボストン行き中止、AAS中止が決定、の順。キャンセル業務。
・ボストン…行きたかった…。
・隠れ年テーマ「寄席tube」が前倒しになる。
・zoomとは。
・「「非常時だからできない」というより「平常時で既に破綻してた」」「非常時は平時の賜物・リターンズ」
・『歴史とは何か』
・『クイズ化するテレビ』
・QxLが始動。
・新宅清掃phase2、押入2つと和室6畳がきれいになる。
・「65歳まで15年プラスα年らしい。たぶん自分のやりたいことをやりたいようにやってれば、それが自分なりの世界人類との繋がりに自然となる、という気がしてるので、やりたいことを“ちゃんと”やろう、という感じになってる。」
・やみいち行動「クローズアップぜんざい」@ブンピカ
・CEALオンライン@zoom
・女子会@クラフトマン
・常陸野ネストビール「BREWBASE B2BASICS」(バックトィベーシックス)。シンプルでなんちゃなく見えて、”旨味”が凝縮した味だった。豆腐を素で食べたらめちゃめちゃ美味かった、みたいな感じ。α行き。
・新宅清掃phase3。2日がかりでダイニングとキッチンがきれいになる。ていうか、終わったなこれ。
・astrea coffee kyoto@堀川松原
・中村佳太「京都が未来である理由−−ポスト資本主義への道標」(『STANDART』日本版10号)
・「過度な成長や変革を求めず、世界の中の一部として、本当に必要な人に必要なものをサステナブルに橋渡しできれば、ていう。」
・ユニット美人「ゴドーを待ちたかった」@KAIKA。サイバー不条理メタ演劇に演技力で可笑しみがマシマシみたいな感じ。あれ、「ゴドーを待ちながら」やってた、でいいよなあ。
・#LectureRecording
・寄席tubeのお試しを開始。
・DeepL翻訳
・『間取りのお手本』
・『クイズ文化の社会学』
・寄席tube第1回、試作。操作を誤って3回同じことをしゃべる。youtu.be/nCpfjqI0qAQ
・非対面授業のための動画作成の経緯・メモ (2020/3/29現在): egamiday 3(http://egamiday3.seesaa.net/article/474296776.html
・「オンラインによる非対面授業の実施@大学は、ギガが減る問題は別として、リテラシー的にできない学生もいるからとやらないでいると、この先国際的な交流・交渉の場で日本人だけがオンラインミーティングの経験もリテラシーもないみたいなやばい」
・CA1968 - 映画評『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』 / 江上敏哲, 谷口正樹, 門林岳史 | カレントアウェアネス・ポータル(https://current.ndl.go.jp/ca1968
・「ご挨拶というか、ご報告」: egamiday 3(http://egamiday3.seesaa.net/article/474337150.html)。異動ポエム。
・結局今冬は、一度も風邪ひかないまま終わった。こんなの人生で何十年ぶりかか、ヘタしたら初ではなかろうか。暖冬バンザイ。


●3月テーマの進捗
  ・ボストン → 行きたかった…。
  ・転居準備に着手 → ボストンこけて、はからずも順調。
  ・某執筆に着手 → ぼちぼちと楽しみながら。
  ・年度末を乗りきろう → ほぼ成功。
  ・(追加)寄席tube準備 → ほぼ順調。

●4月の月テーマは
  ・#move2020に注力
  ・寄席tubeを様子見つつ
  たぶんこの2つ&COVID-19対応で終わる気がする。

posted by egamiday3 at 18:46| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月31日

「ご挨拶というか、ご報告」


 4月1日に書くと「どうせまたウソでは」と思われるので、日付変わる前に急いで書きました。

 春は別れや旅立ちの季節ですが、異動のお知らせが飛び交う季節でもあります。かく言う私も、今の職場(日文研)に来て丸12年が経ちました。あたりまえのように自宅と職場の往復を繰り返す毎日が続くと思っていましたが、いまになってこんな異動の挨拶のようなものを書く日が来るというのを、なかなか信じられない思いでいます。もうすっかり自分の家のようになってしまったこの場所を、この春いよいよ離れることになりましたことを、ここにご報告致します。

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 わりと急に決まったことだったので、いまいち現実味がありません。また、もう十数年も移動ということから離れてしまってて、ちょっと勝手を忘れているということもあります。あまりに前のことなので、どんなふうに気持ちに整理をつけたり、どんなふうにタスクを片付けたり、どんなふうにあとから来る人のために諸々を整理したり、どんなふうにまわりに挨拶をしたりしてたか、あまり思い出せません。

 さすがに10年以上同じところにいると、想い出の量も半端ないです。いろいろなことがありました。もともと蔵書は多かったと思うのですが、私がここに来てからもさらに毎年増え続けてましたから、とうとうリアルに置き場所がなくなってきてました。通常の図書館だとこういうときは除籍するなりせめて購入を減らすなりするのでしょうけど。うちでは、結果どうしたかというと、さらに建物を増やしてそこに図書を置く、っていう。移動させるだけでも大仕事で、ダンボールを乗せた台車が何往復したかわかりません。もちろん、たくさんの人にお世話いただいたからこそ実現したことですが。
 また、出張やプライベートで海外に何度も行き、そのため留守にすることもたびたびでした。安心して旅行していられたのも、周りの人々のご理解とご協力があったからこそだと思います。もちろんそれなりにお土産は配ってまわりましたが。

 もちろん、本当はこのままここを離れたくない気持ちで未練たらたらではあります。仕事についてはすでに他のところでいろいろ報告してきましたから、あえてここに書くようなことでもないでしょう。人はいろいろ言うかもしれませんが、個人的にいまのこの場所は居心地が良くてやりがいも生まれるし、長く同じところにとどまっていたからこそやりたいことがいろいろできたな、と思います。あと、これも人により好みが分かれるかもですが、私は結局ここの建物が好きでしたから。趣のある屋根といい、窓、しかも天窓から差し込む晴れた日の光といい、エントランスからのアプローチといい。駅からバスで数十分かかる立地はあまりいいとは言えないかもしれない、自宅ー職場間の通勤に1時間半かかると言うと皆一様に顔をしかめますけど、慣れると特にどうということはなかったです。静寂な中にたたずんでいるという環境も悪くなくて、何か視線を感じるなとふと窓の外に目をやると、おもいっきり見慣れぬ小動物と目が合う、なんてこともちょくちょくありました。
 といっても、あちこちにガタが来てることも事実です。雨漏りや水濡れも少なくなかったし、そうでなくても湿気には常に悩まされる環境でした。紙だけじゃなく、意外と視聴覚資料も多いので、保存にはピリピリしがちでした。まあこの悩みは行く先でもそう変わらないんでしょうけど。もちろん電子化もがんばってやってはいますけど、量的にいってなかなか険しい道のりでしょう。

 そうは言っても、いざここを離れることが決まると、それなりに新天地への期待も湧いてきます。自分なりのやり方で、徐々に慣れていけるんじゃないかなと思います。落ち着いた頃に、よろしければお立ち寄りください。

 環境が変わっても、一司書として、世界人類のために働く。その気持ちには変わりありません。
 今後ともどうぞよろしくお願い致します。






 なお転居先は4軒隣で、平屋の借家です。間取りは2DKといまの自宅と変わりませんが、押入が2つあって収納が多いので、押入を書架にしたろうかと思ってます。瓦屋根や天窓は今の家と変わらず、かつ、リフォームのおかげで今の家のように雨漏りや水濡れに悩むことはなさそうです。こっちにも猫は出没しそうですが。実際の引越しは5月頭にしたいのですが、今の場所に2006年から14年住んでたので、本だけでなくいろんなものの整理に苦戦してます。もちろん、今のこの自宅にあるたくさんの想い出を整理するのも難しいものです。
 まあ家は変わっても職場は変わりませんから、生活が大きく変わることもないでしょう。というわけで4月から13年目に入りますが、これからも同じ職場(日文研)でがんばります。まだまだやるぜい。


 3月31日なので、嘘は書いてません。
 言いたいことはそれくらいです。
posted by egamiday3 at 23:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月29日

非対面授業のための動画作成の経緯・メモ (2020/3/29現在)

●成果物
https://www.youtube.com/watch?v=nCpfjqI0qAQ

●前提
・科目は「図書館情報資源概論」
・受講者はおそらく20-30名程度、2回生が多い。
・通常時の授業はパワポ投影+書画カメラ投影+ホワイトボードを併用。
・通常時の授業形式は、講師が口頭でしゃべる講義、学生の提出物を書画カメラで投影しながらの応答、等。
・なお、前期は上記1科目しかないので、これだけの手間をかける余地があった、ということはメモしておくべき。

●課題
・15回のうちの”少なくとも”2回を非対面でおこなう。

●全体構成の変更の方針
・通常時は2-3回休講・非対面だったため、致命的な影響があるとは思えないものの、構成の組み直しに工夫は必要と思われる。
・通常時の1回目は、「パワポしゃべり」+「ホワイトボードしゃべり多め」+「宿題」で、短時間。これを非対面第1回目として、「パワポしゃべり・さらに短時間」+「宿題」に変更する。補足は対面授業再開時に回す。
・対面授業再開時は、巻きで進行する。(そんな日が来るだろうか…)
・とはいえ、変更するのは構成にとどめ、できれば内容やパワポは変更・再作成したくない。(そこまでの余裕はないよ…

●講義動画にまつわる要件
・講義動画の視聴はスマホがメインと思われるので、そのサイズで表示するのに耐えうるパワポ・資料投影でなければならない。
・講義動画の視聴は長いと飽きるし見てもらえない。(対面講義時に時折実行する”注意向け”の小ネタが効かない)
・オンライン動画視聴に使えるギガが限られている。
・おおかたの受講者向けには短時間で要点をさくっと伝える。
・とはいえ、毎年わりとがっつり聞いてくれる受講者(ガチ勢)もいるので、そういう人たち向けにもある程度応えたい。

●ここまでの感想
・対面式の授業ってなんとリーズナブルで効果的なフォーマットだったのか。

●作成すべきコンテンツの在り方
・動画コンテンツは、しゃべり音声と、パワポ投影がシンクロして、しかもパワポ以外の資料投影や文字書き(ホワイトボード的な)も随時おこないたい。
・動画を見ない/見られない受講者のための、テキスト資料も用意したい。
・非対面である以上、能動的学習に誘導できるように、宿題・課題などのコンテンツが必要。

●動画作成のためのテクニカルな確認
・某京都衣笠大学の、かゆいところに手が届く丁寧でわかりやすい、非対面授業のための支援マニュアルを参考にして、全体の感覚をつかむ。
・以下のようなネットの先人たちの教えや経験を、ひととおり閲読して、取り得る方策の候補をピックアップする。
 参照:https://b.hatena.ne.jp/egamiday2009/LectureRecording/
・候補をそれぞれ試しにちょこっとやってみる。
・候補1:パワポファイルに音声を吹き込む、を試す。→パワポしかダメなので自由度が低い。一時停止が効かない? あと仕上がりの容量が意外と大きい。
・候補2:Zoomのひとり録画。→しゃべり録音+画面共有機能で、パワポ+資料・文字書きがすべて可能。一時停止も可能。スマホ表示に耐える。当面はこれでOKと判断。
・ちなみにリアルタイム&双方向は候補外。(少なくとも本科目のあり方上は)リスクが大きすぎる、構成の工夫でフォローする方が現実的。

●実際の録画手順
・パワポほか投影資料を準備。
・印刷したスライドに、簡単な進行メモを赤ペン書き。(通常の対面時授業だと、すべて頭に入ってるので手ぶらでできるけど、録画は短時間のうえに、取り返しやり直しがきかない、かつリテイクすることも予想されるので、あらかじめ用意しておく)
・録画中は、一時停止と画面共有の切替を多用。パワポ→word、など。
・録画中のパワポは、プレゼンモードではなく編集モードで表示。これにより、ハイライトが簡単にできる、スライド内に随時書き込める、新規スライドをホワイトボードがわりに使う、などの多くの利点があることがわかった。
・しゃべり方はやや巻き気味ではあるものの、しゃべってる内容は通常時の講義とほぼ同じ(短尺用に大幅にカットはしてある)。
・ただし、画面共有の切替に失敗(自分では切り替えたつもりが、zoom外で切り替えただけで、zoom上は切り替えられてなかった、というトラブル)して、2度ほど撮り直しが発生した。さすがにしゃべり疲れる。
・zoomでmp4形式に保存。
・学生がスマホで再生するのになじみがあるように、Youtubeにアップロードする。

●字幕機能について
・Youtubeに字幕編集機能があるのに気づく。
・ていうか、しゃべってる内容が文字起こしされてるじゃないか!と一瞬喜んだが、すぐに、自分の滑舌の悪さからぜんぜん起こされてない現実に打ちひしがれる。
・しゃべりの補足や、いま何をしゃべってるところなのかの”柱題”的なものを、テレビのテロップ的に入力してみる。
・たまにテロップを挿入することで、画面上で動きがないのにずっとしゃべってるという時間帯でも、テロップを出し入れすることでメリハリがつけられる。
・ただし、パワポ本体が画面の下のほうまで使ってあるので、しょっちゅう出すわけにもいかない。このへんは課題。
・なお、スマホで再生すると字幕が白文字であることが判明。パワポも地が白なので、これは、使えないか…。

●Thanks to
・永崎さん
・大阪大学 岩居弘樹さん(https://zoom.les.cmc.osaka-u.ac.jp/
・立命館大学 教育・学修支援センター

posted by egamiday3 at 16:45| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月05日

2020年2月のまとめ

■2020年2月のまとめ

●総評
 遊び歩いているように見えて、デスクワークもまあまあがっつりやってた月。

●まとめ
・ヨーロッパ企画イエティ「スーパードンキーヤングDX」@AI・HALL(伊丹)。大歳先生の最高傑作だと思った。文化大戦争、というか、ライフスタイル大戦争現代史、的な。
・『注釈・考証・読解の方法: 国語国文学的思考』「シーラカンスの年齢」
・BungakuReportENの進撃
・節分祭@吉田神社
・『スカーレット』穴窯編。こういう暴れ馬的な展開をこそ、このスカーレットでは見たかったのだった。
・ゴジゲン「ポポリンピック」@E9
・#デジホン2020
・シベリア少女鉄道「ビギンズリターンズアンドライジングフォーエバー」@シアターグリーン BIG TREE THEATER
・後藤醸造。いわしのホットサンド、経堂エール。
・ICOM京都大会2019記念シンポジウム「日本のミュージアムの未来」@京都国立博物館
https://togetter.com/li/1467238
・バンガロー宴。造作する手に迷いがないアーティスト、他。
・第2回肖像権ガイドライン円卓会議in関西@同志社新町。「今日の某円卓会議での、極私的一番の収穫」
https://twitter.com/egamiday/status/1228562381631938560
・ナゴミヤのスープカレー(という名のこってりカレー)@伊丹。優勝。
・MONO「その鉄塔に男たちはいるという+」@AI・HALL(伊丹)。自分と価値観が少しでも違う者を蔑んでやまない感情と、それを増幅させる徒党組みについて。
・春の気まぐれ(ペールエール)@京都醸造
・ヨーロッパ企画の暗い旅の「“ろ”の旅」を見ていたく感銘受けた。最後全員がやすやすと正解する様子なんか、よく出来たクイズドキュメンタリーだった。正解や誤答だけがクイズじゃないんだと思う。
・近頃じゃ昼食の話題でさえコロナに汚染されていて
・ウイルス理由でイベントを中止にしたりしなかったりという様子を見てると、イベントをオンラインで発信することに日頃から当たり前のものとして取り組めているかどうかが差として出てるな、って思いました。メディアは大事。
・「日本文化資源デジタル・アーカイブ国際共同研究拠点」・研究拠点形成支援プログラム研究プロジェクト/2019年度成果発表会@立命館ARC
・'Developing Online Education and Research Using the Holdings of the C.V. Starr East Asian Library and the Berkeley Art Museum and Pacific Film Archive at the University of California, Berkeley'
・松竹大谷図書館「演劇上演記録データベースを活用した、演劇資料画像検索閲覧システムの構築に関る研究」。勇気をもらえた発表。
・「君に届け 〜 OCLCと日文研をつないだ目録・ILLの物語」(egamiday3)http://egamiday3.seesaa.net/article/473695387.html
・メキシコの知られざる大衆漫画「イストリエタ」展@京都国際マンガミュージアム
・嵐山、天龍寺、嵯峨野。特に人は減ってなかった。
・Move!宣言編。新邸プロジェクトが発動。
・ジュンク堂書店四条店、最終日。

●2月テーマの進捗
  ・AAS神戸対応 →無事採択、よかったね。
  ・OCLC執筆 →無事終了、よかったね。
  ・寄席枠組みの再構成 →×
  ・ボストン準備対応 →ほぼ順調。

●3月の月テーマは
  ・ボストン
  ・新邸に着手
  ・某執筆に着手
  ・年度末を乗りきろう
  の、4本です。
posted by egamiday3 at 21:07| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月28日

第4章「物語の向こう側にある課題と展望」(まとめ) - 『君に届け 〜 OCLCと日文研をつないだ目録・ILLの物語』


 導入経緯、目録、ILLの全体を通して、どういう効果があったか、それにはどういう意味があるか、そこにはまだ何が解決すべき問題として残ってるか。この事業がのこしてくれた効果と課題と展望のエトセトラでまとめるという感じです。

・OCLC WorldCatに30万件の所蔵情報と、17万件の新規書誌情報を提供できた、しかも多くが日本語資料の、というのはひとつの国際的貢献であったと言えると思います。とはいえ、自主自律的なメンテナンスができるわけではないというのは、長期的に見てノンビリしてもいられないところです。あとはデジタルアーカイブ的なののメタデータとそこからのリンクをどう実現するか、ということですが、これについてはむしろ「ジャパンサーチの成長と活躍を支えて待つ」という解のほうが最適だろうなと思ってます。

・そうやって提供できた書誌・所蔵を、世界にひろがる多種多様なエンドユーザがWorldCatで検索してくれるし、でっかいプラットフォーム上で機械的にも活用してくださることが期待されます。この効果はWorldShareILL上での依頼件数に限った話ではなく、日常的ないろんなところにあらわれてきてます。日々の問い合わせメールや閲覧依頼が、海外から、図書館からとなく研究者・学生個人からとなく来るようになり。とはいっても件数こそそこまで目を見張るほど増えたわけでもないのですが、いままで来たことなかった国・地域から、それこそ個人ベースで直に連絡来たりすると、単館OPACやCiNii Booksなどではこれまでとどかなかったようなところへも、ある程度はリーチできてるんだな、と思います。なので、あとはこのWorldShare ILLの枠組み以外でのアクションを、ソフト的にどう受けとっていくか、しかもひとつひとつ丁寧に、あたりが一番の肝だよなと思います。どこまでできるかわかりませんが。

・年間で500件来るリクエストを見てると、海外ユーザのニーズが実際はどんなものか、というのがいままでと違ったかたちで理解できて、これはありがたかったです。ユーザとそのニーズが幅広い国・地域に存在することはもとより、中国語や韓国語等の外国語資料であっても日本までリクエストが届くこと(特にうちとこにしか所蔵登録がない資料についてはなおさら)、日本研究じゃない資料でも日本語資料が求められることがあること、ていうか人文系分野以外の社会科学系・自然科学系の資料にもニーズがあること。うん、と言うことはやっぱり、うちとこだけがこれやっても賄いきれないということなんですよね。ほんとにあちこちの大学さんがもっと多種多彩な言語・分野の資料を登録してWorldShare ILLに参加してくれたら、もっともっと世界に貢献できるはずなんです、マジで。

・年代の古い資料へのニーズもたくさんある、ということについて言えば、国立国会図書館の図書館送信サービスでなら閲覧できるはずの資料にも、貸出や複写のリクエストが結構来る、という問題があります。うん、つまり、その海外対応がどれだけ求められてるか、っていう話なんですが。

・目録の章でも申したように、フィードバック的な感じでうちとこのOPACにも、タイトルのローマ字と該当するOCLC番号が入ったです。ローマ字ももちろん大助かりなんですが、OCLC番号でうちとことWorldCatが紐付けされた、っていうのが今後じわじわとでも確実に効いてくると思います。WorldCatのヒットからリンクでこっちまで飛んでこれる、ってだけでもわりとお得なんですが、よそのシステムと連携の可能性があること、しかも国際的に、っていうのは、今後なんかあったときにひょいっと身軽になったりするんじゃないかな、って期待してます。

・当面の問題点といえばやはり、謝絶の割合の多さということになり、これは先述の通り「先方都合」がヘビーだし、システム上でも解決は難しそうです。いまは、むしろこれをちょっとしたレファレンス対応のチャンスと捉えてもいいんじゃないか、って思い始めてます。これだったらwebのここにデジタルで載ってるよー、とか、これは改版されたこっちの図書と同じやつだよー、とかをコメントで返してみたり。それをエンドユーザが見たりライブラリアンやILLスタッフが見たりといろいろでしょうけど、手間を逆手にとったアピールができればいいかな、っていう。

・で、なんだかんだ言って結局一番の課題は、これと同じようなことをよそさんにたくさんやってほしい、これに尽きます。本事業によって、OCLC側にしてみれば「数十万件レベルのCATP形式データを登録する」という、ある意味実験的な事業に成功したわけであって、よそさんがこれを踏み台にしない手はない、踏んでってほしい。そういうふうに切に願ってます。

 このほかにも、十何万円という毎年のWorldShare ILL参加料を賄うのにどういうふうなマネタイズ的なあれをしていくべきなのか、とか、国内他館へのILL/DDS代行という後ろ宙返り的なことができないか、とか、いろいろあれですが。
 とりあえずは「夢物語」が「実現」に昇華した、というところでハッピーエンドを迎えられたんじゃないかな、と思ってます。
 早稲田や奈文研・東文研などの勇気をくれたセンパイたち。
 気がつけばいつもそばで親身に提案や助言をくれたOCLCや紀伊國屋のセンパイたち。
 時に厳しくそして惜しみなくフィードバックをくれた海外の研究者・ライブラリアンのみなさん。
 この事業の意義と効果を理解して調整・実務・広報に協力してくださったうちとこのみなさん。
 構想段階から実施後の現在まで、いろんな立場の、いろんな国の人たちが、いろんなサポートでもってたくさん汗かいたり脳しぼったりしてくれたおかげで、ここまでやってきたわけですから。ハッピーエンドにしなきゃ申し訳ないじゃないですかね。

 但し。
 本当にこの調子での対応で大丈夫か? ちゃんとニーズを満たせているのか? という疑念もやはり常にあるにはあって、自己反省&改善の余地を保つという意味でも、今後も海外ユーザなりライブラリアンからのフィードバックを注意深く読み取り分析していかなきゃな、という感じです。
 物語はハッピーエンドであっても、日常は現実として続いていくわけなので。

 というわけで引き続きよろしくお願いいたします。
posted by egamiday3 at 06:06| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月27日

第3章「君は君のままで、USドルはUSドルのままで」(ILL) - 『君に届け 〜 OCLCと日文研をつないだ目録・ILLの物語』


●君は君のままで、USドルはUSドルのままで

 ILL。
 相互貸借、文献複写、ドキュメントデリバリー、云々をひっくるめての、ILL。
 そもそも目録登録の長い長い旅路は、すべてこの海外ILL受付を実施するための大切なレッスンでした。

 というわけでWorldCatへの目録登録にあわせて、OCLCのILLサービス・WorldShare ILLにも参加しました。
 WorldShare ILLは、56ヶ国1万館以上が参加し、年間700万件のリクエストが飛び交うという、世界最大のILLプラットフォームなわけで、この大舞台に参加すればたくさんの人から見つかりやすくなり、リクエストも受け取りやすくなる、という見込みです。
 規模が大きいだけでなく、提供されているwebブラウザベースのシステムがかなり使いやすい。テスト段階でごにょごにょ触らせてもらったのですが、なんだこの使いやすさは、とても初めてとは思えない、と思いました。なんというか、もちろんNACSIS-ILLもそのクライアントである某社-Jも便利さはあるわけなんですけど、WorldShareさんのはめっちゃシンプルで、あれですね、こっちが細かいことを気にさえしなければサクサク使えてポイっと終わる、という感じです。かゆいところに手が届く感はないけど、手を届かせるための手間が省ける、というか。あと、うちとこのOPACへもOCLC番号で直リンクしてくれて、サクッと該当資料を確認しに行けるし、使いやすいの当たり前ですよね、だって、必要な機能が必要なところにちゃんとあるから。

 そしてさらに、WorldShare ILLの利点として、もっとも大きな魅力といえるのが「IFM」です。これこそが、日本の図書館において海外ILL受付を阻んでやまないラスボス・「料金を受け取れない」問題を、一気に解決してくれる夢のひみつ道具であると言えます。
 IFM、ILL Fee Managementシステムを使うと、図書館間の料金収受・相殺の処理をOCLCさんが代行してくれますので、各大学と何百円のコピー代を個別にやりとりする必要がなくなります。例えば、ナントカ大学さんがうちとこにコピーをオーダーしました。料金は300円、ドル換算で2.71USドルです、っていうのをシステムに入力します。これをOCLCさんが月締めで全体を精算して、各大学に請求したり送金したりします。そうすると、ナントカ大学さんはうちとこのコピー代を、個別精算しなくていいし、円建てじゃなくUSドルなり自国通貨なりでそのまま払えるし、銀行の国際送金手数料も払わなくていい、と。さらにOCLCとうちとこの間には紀伊國屋さんが代理店として入ってますので、うちとこはILL料金を円建てで紀伊國屋さんに請求すればいい、というかたちになります。相手館はUSドルのままで、うちとこは円のままで、銀行手数料無しで、いままでの高い高いハードルに比べるとどんな天国かしら、っていう。
 …まあ種明かしをしますと、このIMFシステムを使うのにOCLCさんに若干の手数料を上納してます、そりゃそうか。でも、それも1件当たり0.30USドルとかですから、為替の上下でうやむやになるレベルのやつ。
 あともちろん、そういう料金収受で行きましょうね、っていうのを、事前に数ヶ月くらい、紀伊國屋さんと関係部署とで丁寧に調整・合意したうえで、っていう、関係各位のご協力のおかげであります。決して打ち出の小槌のように使えるシステムっていうわけではないので、参加料さえ払えばその日のうちにさらっと使える、というようなことではないです。調整大事。


●ゆずれない想いとレンディングポリシー

 というシステムの便利さはわかったとして、実務としてどんなふうにこれを運用していくか、というところですが。
 まずレンディング・ポリシーのおおまかなところは、国内相手とほぼ差異はありません。料金も貸出日数も、資料種別による可否判断も、国内/海外で同じ。コピー代1枚35円だから、たまに請求金額0.63USドルとかあるんですけど、北米の館って「1件20ドルから」みたいな料金設定の世界なんで、この不均衡なんとかならんだろうか、っていうのは今後の課題ですね。
 国内と海外で違うことのひとつは、現物貸借の時の郵送方法です。うちとこは、海外郵送はEMSを基本とし、返却するときも相手館に「traceableなcourierを使ってね」と求めてます。なので、金額的にはこっちのほうが逆に高額を要求してることになりますが、資料の保全を考えるとここはちょっと求めなしゃあないラインです。

 資料の保全をということで言えば、絶版本・入手困難本の類、つまり紛失したら再度入手できなくなってしまうようなものに貸出リクエストが来た場合は、貸すことはお断りしています。その代わりですが、日本の著作権法にはその第31条1項の3に「他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する」というのがあってね、というのを長々と説明したりして、全頁複写というコストをかけても良ければ、っていうふうに提案します。これにノってくれば複写提供、ノってこなければ謝絶になりますが、ノってくるのが3割4割くらいという感じです。ちなみにWorldShare ILLには「max cost」という設定、つまり依頼館が「最大いくらまでだったら出すけど、それ超すなら辞めます」という金額設定があるんですが、だいたいどこも30とか50とか大きめの金額書いてはりますね。
 
 あともうひとつ大事なポリシーですが、WorldShare ILLを通さないリクエスト(メール等)や、IFM以外の支払い方法を希望するというリクエストでも、これまで通り、その時々で可能な方法を模索して対応しています。
 これがたぶんこの話題で一番重要なところだと思うんですが、うちとこがWorldShare ILLなりIFMを使う理由って、それを使うことで省力化できるサービスを実現するため、であって、それ以外のサービスを拒絶する理由にするためでもなければ、その枠内に入れる館と入れない館とを分断するためでもないです。それだけは決してない。もちろん、WorldShare ILLやIFMを使わないと途端に手間や条件がどうしてもしんどくなり、涙を呑むことが多くなってしまいはするのですが、なんとかならないかの模索はお互いにちゃんとするのです、だってもともとそういう姿勢からこの話は始まってるわけじゃないですかね。

 というような感じで、明確にポリシーを定めて、譲れないところはキープして、省力化できるところは省力化して、謝絶の場合の代替手段を用意して、というふうに身構えてることによってかどうかはわかりませんが、一応いまのところ大きなトラブルは起こってないです。


●このままいつまでもサステナブルな関係でいられたら

 さて、そんな調子でとりあえずやってきたわけですが、大きな事故なく1年間が過ぎ、なるほどだいたいこんな調子なんだな、というのが見えてきた数字が、このブログ記事の元ネタになってる某論文に載ってますので、ひっぱってきます。

fig2-oclcill.png
(荒木のりこ他. 「国際日本文化研究センターにおける目録・ILLの海外対応 : OCLC WorldCat・WorldShare ILLによる新サービスと課題」. 『大学図書館研究』. 2019, 112. https://doi.org/10.20722/jcul.2042 より引用)

 これまで年間で依頼10件来るか来ないか程度だったのが、500件以上依頼がきて、200件以上受け付けられたわけですから、数字上まずは事業として成功したと言えると思います。

 気になる謝絶の割合云々については後述にまわすとして、まず525件の依頼について少し能書き述べます。
 リクエストされた資料のほとんどが日本語資料ですが、525件中65件、つまり1割以上が非日本語資料へのリクエストでした。中国語30件、韓国語12件。目録のところで申しましたように、言語・メディアを問わずに全件を丸ごと登録しましたが、やってみるとしっかりリクエストが来る。日本の図書館が海外に貢献できるのは、日本語資料に限るわけではないのだな、ということがわかります。
 依頼してきた図書館を国/地域別に見ると、アメリカ408、カナダ30ともちろん北米が最多ではあるのですが、アジア勢では香港(32)、台湾(18)、タイ(7)、ほか中国・韓国など。それ以外にも、オーストラリア(3)、ニュージーランド(5)、デンマーク(6)、ほかスイス・ノルウェー・スペイン・イギリス・イスラエル、といった調子です。つまりはこのWorldShare ILLに参加さえしてる図書館であれば、どんな国からだってリクエストは来得るということでしょう。…とはいえ、北米以外のたとえばデンマークやタイや香港なんかは、おおむねどうやらリピーターが件数を重ねてる、というのもなんとなくの現実ではありますが。まあ、国/地域を問わずやってるところはやってる、という感じですかね。
 リピーターか初見さんかでカウントしてみると、ほとんどの機関(95機関)が1-3件程度の初見さんだなという一方で、30件近いヘビーなリピーターも5機関ある。ということは、がっつり日本語資料使いたい、っていう機関のユーザさんにも届いているし、かつ、WorldCat上でなんとなくたまたま見つけてくれたユーザさんがいるようなところにも届いている、両方にちゃんと届いてるんだったらこれもとりあえず成功かな、って思いますね。

 さて問題は、525件中289件と過半数を占める「謝絶」です。つまり、よそさんがうちとこの資料欲しいってリクエストを送ってくれたんだけど、うちとこはそれに応えることができなかった、ていうやつ。ダメじゃん、こんなにたくさん断ってたんじゃ、苦心惨憺して目録登録した意味ほんとにあったのか?ていう。じゃあ、あったのかなかったのかを、どういう理由で謝絶したのかをもって考えてみると。

 謝絶理由の第1位「所蔵無し」、105件(謝絶中36%)。
 リクエスト来るんだけど、え、いや、それうちとこでは持ってないです、ていう。
 いや、おかしいじゃないですかね、目録で所蔵してるものを登録してるのにね。
 実は「所蔵無し」のほとんどが、雑誌タイトルはWorldCat上でヒットして所蔵してることになってるんだけど、その人が求める巻号は持ってない、というものです。で、なぜ持ってない巻号にリクエストが来るかというと、所蔵巻号まではWorldCatに登録してないから、っていう。
 再々申してますように、うちとこはカタロギング参加館ではなくデータをまるごとOCLCさんに提供している立場なので、細かい情報登録や修正なんかができません。とはいえ、所蔵巻号くらいは登録して当然なんじゃないの?ってNACSIS-CATベースでお働きのみなさんなんかは思われるでしょうが、実はOCLC WorldCat、所蔵巻号を登録する機能はもちろんあるにはあるのですが、北米の参加館さんでもそれを細やかに登録してるところは、まあずいぶんと少数派のようです。見たところ、巻号情報を登録してるのをお見かけする方が圧倒的にめずらしい。じゃあどうするかっていうと、所蔵館のリンクをポチッと押して、そこのローカルなOPACで巻号を調べなきゃいけない、っていう感じ。そこの不便さに加えて、アメリカさんのILLスタッフもそこまで細かく調べずにダメ元でリクエスト送ったりしてるっぽいし、さらにはイマドキだとユーザが直接webフォームか何かでポチったリクエストがダイレクトにうちとこまで来たりするわけです。ていうなんやかんやの諸要素が重なった結果、うちとこに限ったことじゃない、北米館同士のやりとりでも「所蔵無し」の謝絶はごくありふれた日常風景なんだよ、とうかがったことがあります。

 謝絶理由の第2位「それはおたくの国内にある」、72件(謝絶中25%)。
 主に北米の話です。うちとこに貸出のリクエストが来る、その資料は確かにうちとこにあるんだけど、ちょっと待てよ、こんな基本的な本くらいはさすがに北米内のどっかの図書館にはあるだろう、って思ってWorldCatを自分で検索してみると、ふつーに北米内にやまほど所蔵があるっていう。こういう場合、わざわざ日本から郵送料かけて送るくらいだったら、いったん北米内で融通しあってくださいよ、という意味合いをこめて、「先に北米内の所蔵館に依頼してね」と返します。
 これも不思議な話で、なぜ北米内に所蔵があるのにわざわざ日本のうちとこにリクエストを送ろうとするのか。その大きな理由が、目録の章で触れたEnglish書誌とJapanese書誌の別にあります。WorldCat上には、同一の書籍についての書誌を言語ごとに個別に持つ、ということが認められており、まあ国際的総合目録として必要な措置のひとつではあろうにもしろ、その複数書誌(あえて重複書誌とは言いませんが…)に所蔵館が泣き別れになっていてそこまでちゃんとは統合できてない、っていうことになっちゃってます。WorldCatはわりとFRBR化ができてるほうではあると思うのですが、それでも完全ではないし、ILLスタッフが使う業務システムのほうのWorldCatはそのFRBR化もされてない。ということは、日米間の目録事情の違いなんかに精通してるわけでもない北米のILLスタッフや、web上でセルフにオーダーしようとするエンドユーザに対して、そこまで丁寧に重複書誌の存在を認識して(重複書誌って言っちゃったけど)検索し尽くしてくれることを期待はできんでしょうから、結果、北米で何十館が持ってるようなポピュラーな図書にも、遥か遠い極東の山の上までリクエストが届く。ていうか正直、「いや、おたく自分とこで持ってますやん」ていうのも何回かありますよね。
 で、複写とちがって、現物貸出はやはり一定のリスクがありますから、一応こちらの手と目で検索して、ほんとに北米内にないかどうかはいったん確かめます。特に、絶版/入手困難本は貸し出せないし、そうじゃなくてもこれ買い直すのきついなと思えるものも多い(ていうか、まあそういうのにこそ依頼は来ますよね)ので、わりと丁寧めに調べます。

 で、そうやって調べた結果、絶版/入手困難本は貸し出せないので全頁複写なら対応しますよ、と代替案を提供した結果、特に反応が無くてそのままキャンセルに流れるようなのが、謝絶第3位です、44件。

 これら「所蔵無し」「自国内にあり」「全頁複写辞退」の上位3件が言わば”先方都合”であり、謝絶全体の76%を占めていますので、まあ、これはゴメンやけどしょうがない話じゃないかな、って思います。

 というようななんやかんやがありますが、結果として年間236件のリクエストに対応している、と。
 うちとこの同年のILL受付件数は2300件弱なので、だいたい全体の1割くらい。実数ですと週あたり5件くらい。まあこのくらいだと、日常業務の範囲内で消化できるレベルかな、という感じです。
 しかも、うちとこの蔵書が年間で大幅に増えるっていうことはありません(年あたり1万冊程度)。リクエストはあくまで蔵書に来るのであって、蔵書の有無問わず機関に来る、なんてことは通常無いわけですから、リクエスト数が年によって大幅に増減するというようなことはまずないでしょう。
 そしてそれ以上に、そもそもこのWorldShare ILLのシステムがものすごく使いやすくて、当初予想していたよりもずっとずっとラクチンなわけです。IFMがラクチン、webシステムの操作がストレスフリー、自館OPACとのリンクがシームレス。当初ものすごく心配してビクビクしていたようなトラブルも、明確なポリシーと代替手段の賜物か、ほとんど無くて拍子抜けという感じで。 
 ですので、事業としては過度に無理せずサステナブルに続けていって、資料がユーザに届き、必要な方のお役に立ち、かつうちとこへの好評も得られる、という感じで当面はやってけるんじゃないかなと見込んでます。

posted by egamiday3 at 05:19| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする