「学術電子情報資源と図書館システム−リンクリゾルバー,ERMS,図書館ポータル」を聴いてきてみましたよ。
http://www.tezuka-gu.ac.jp/public/seiken/meeting/news.html リンクリゾルバがなんなのかが、やっとのことで判りました。(たぶん)
行ってよかった。
以下、メモ。
・たぶん、リンクリゾルバっていうのは、めっちゃ忙しい駅員さんとか、京都駅の市バス乗り場のとこにいる案内人さんみたいなもんである。と、しとこう。
・551風に言うと、リンクリゾルバがないとき。例えばPubmedさんの検索結果画面に、その論文のe-journalへのリンクボタンがあるとする。そのリンクボタンには行き先のURLが書いてあるから、その場所へジャンプできる。ところが残念ながら、e-journalの行き先なんていつどう変わるかわかったもんじゃなかったり、行き先の会社さんによってまちまちだったりするので、Pubmedさんの行き先URLメンテの手間なんてのはとてつもなくなってしまうよ。
ところがリンクリゾルバがあるときっていうのは、Pubmedさんがこの論文のe-journalへジャンプさせたい、っていう意思を、いったんリンクリゾルバさんに伝える(ここでPMIDていうのを使うらしいが詳細は不明)。そうするとリンクリゾルバさんは、あ、そのe-journalさんならいまのURLはこれこれですよ、というのをあらかじめ集中的に把握してくれていて、その行き先にジャンプさせてくれる。なので、Pubmedさん自身はメンテの手間がいらないのでとってもラクをできるよ。
そして、ここで初めて江上は理解したのですけど、ということはあらかじめ各e-journal会社のURLとかその変更とかを集中的に抱え持って日々メンテし続けてるリンクリゾルバさんの有り様っていうのは、
実は存外にアナログな存在でいらっしゃるんだな、ということでしたよ。なんかもっと、自動的・機械的・アナライズ的な仕事をしてるのかと思ってたんだけど。
・別の例。CrossRefさんというのは、DOI(註:論文ひとつひとつにISBNみたいな国際標準番号をつけてあげる仕組み。残念ながらKABAちゃんでも伴都美子でもない。)をキーにした、そのe-journalへの行き先URLなどのデータベースを、バックに抱え持っていて、日々メンテナンスしてらっしゃる。ので、例えばURL内にそのDOIを記述するなどして、リンクのかたちで、その情報を持ったままCrossRefさんへジャンプしていくと、CrossRefさんは、あ、そのDOIの人のe-journalならこっちですよ、と行き先URLを教えてくれて、またぞろジャンプできる、という仕組みだよ。だからやっぱり、元々のリンクを作る人自身が、移ろいやすいURLをメンテする必要はなくて、DOIさえわかってればいつでもそこへジャンプ(×2)できる保証が得られる、と。
・さて、これが機関リンクリゾルバと呼ばれるもの、京大さんではArticleLinkerを使い、ハーバードさんではSFXを使ってるわけですが、じゃあ例えばそのSFXさんの場合。OPACのリンクボタンなり、論文データベース検索の結果なり、それ以前の検索語入力なりの結果として、とある論文の書誌情報をOpenURL化したもの(註:「
http://sfx」なんやらかんやらのあとに、「cgi?」があって、「title=●●●&volume=●●●&◎◎◎=●●●」みたいにURL内にベターって書いちゃう例のやつ)が生成されるとするじゃないですか。そしてそこをクリックすると、さっきのDOIの例みたいに、その情報を持ったままSFXさんのところへジャンプしに行くので、SFXさんは自分の持ってるバックのデータベース(註:これを「情報基盤」「Knowledge Base」とおっしゃる)と照合しますよね。
で、このSFXさんがさらに賢いことその1。たんに「e-journal本文テキスト」への行き先URLを出してあげるだけじゃなくて、「契約電子ブックの本文テキスト」へのリンクとか、「無料公開・オープンアクセスなjournal・book」へのリンクとか、「学内OPACの該当書誌」へのリンクとか、「契約論文データベースの検索画面」へのリンク(もちろんその情報を抱えたまま行ける)とか、あろうことか「ILL申込み用の画面」(もちろんその情報を抱え(ry )へのリンクとか、図書館サービス的にこれこれへ案内させてあげたいなあ、と常々願っているところへのリンクを、ずらずらずらっと出してあげることができる。
さらに賢いことその2。このSFXさんがバックに持ってるデータベースには、各社e-journalのURL情報とか、電子ブック情報とか、オープンアクセスなリソースの情報とかいうグローバルな(最大公約数的な)情報だけでなく、各大学図書館さんに固有の契約情報を確保していらっしゃるので、同じe-journalでも、この大学さんのユーザさんでいらっしゃるなら、この巻号年の論文はこのサイトのが見れますよ、この巻号年ならJSTORさんですよ、この巻号年はごめんなさい、というローカルでカスタマイズな案内ができるよ。ていうか、そのためのシステムなんだね、これは。
・で、ここが一瞬あれ?と思ったんだけど、SFXさんの出してくれたリンクをクリックすると、そこからCrossRefさんへジャンプする、というようなことをおっしゃったような気がするよ。それは何、リンクリゾルバがバックで別のリンクリゾルバを利用してる、ていうことかしら。ジャンプに次ぐジャンプ?
・というようなお話をきいてて、ああなるほど、そんなふうに便利なんだな、賢いんだなと特に思ったのは、移ろいやすいURLやプロフィール的なのの把握とメンテを外注するんだな、ということ。契約条件的なローカルのを管理してくれる(=学内入手の可否)んだな、ということ。オープンアクセスのような、正直、有象無象で網羅的に把握できそうにないタイプの資料も、ちゃんと把握してくれてるということ。結果、eでも紙でも、講読でもオープンでも、「持ってるのに探せない」とか「見れるのにそれを知らない」とかいう、いままで
くそたわけのようにありがちだったもったいなさを解消してくれるんだ、ということ。しかも、検索しようとしてる論文についての情報をOpenURLなりなんなりのかたちで後生大事に抱え持ってあちこちにジャンプしてくれる(=エクスポートだな)ので、いちいち入力しなくていい(註:なるほど、シームレスシームレスと言うてはったのはこれか。しかしそうなると、シームレスってのは本筋に比べてだいぶおまけ的な便利さなんじゃなかろうか)ということ。
・で、このリンクリゾルバさんを各種データベースやe-resourceの仲介役として、センターに据えておけば、これまで連携してくれなかったサービス同士・資源同士をつなげることができるよ、とおっしゃる。ああ、なんだ、ハブってことか。しかしそうなると、そのリンクリゾルバさんのバックにあるデータベースのメンテナンスっていうのは、これまで各図書館とかが泥臭くベタベタとやってきたアナログな管理の外注、なわけだなあ。
以下、ERMSの話。
江上は、
ERMSってのは情報とかシステムとかいう文脈よりも、人事とか職務分掌とか部署部局間コミュニケーションの文脈で語るべき問題だと思っているので、なんとなくのメモ。
・DLF(Digital Library Federation)が、2004年(うわ、そんな前なんだ)に、DLF-ERMI(註:でぃーえるえふ・あーみー、と訓む)という標準化要件を提案しているよ。
・NIIがそれを最近和訳したよ。
・(口を酸っぱくして言うけど)ERMSとは、
複数多数のスタッフがe-resource
情報を共同で利用するためのインフラなのだよ。これの真逆を言えば、Excelとかで、誰かのPC上で管理更新していて、一部のスタッフのみにその作業負荷も情報も集中してしまってる状態、だよ。
・SUSHI、という、
日本人としては口にするのも恥ずかしい語呂合わせの標準化規格があるよ、これは、e-resourceの利用統計を取得するのに、各社ばらばらだと使いにくくてかなわん、だって、利用統計って学内予算配分を決定するのにいっちばん生々しく必要なデータなんだからさ、ていうんで、その利用統計取得の要領を標準化しちゃえばいいじゃん、ていう規格だよ。
・それどころか、個々のe-resourceの契約・ライセンス情報まで標準化しちゃおうぜ、とおっしゃってるらしくて、さすが
アメリカさんは”合理化”の目の付け所がちがうよなあ、と惚れ惚れするんだけど、もうこの辺になると正直着いていけないので、今日はここまで、だよ。
おまけの情報。
という名の、未来の自分への課題。
・ZOTERO。Firefox用のプラグインで、
あろうことか、いま現在ブラウザ上に表示されている書誌情報っぽい文字列を、書誌データとしてうまい具合に抽出してくれる、らしい。俄かには信じがたい夢の超特急機能。
・COinS。↑こういうことをするための、標準化規格。ま・い・り・ま・し・た。\(^o^)/
posted by egamiday3 at 21:37|
日記
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