2010年05月29日
極私的、Wikipediaの「FAQ For Librarians」
ライブラリアンの人に読んでほしいWikipediaのFAQ
http://outreach.wikimedia.org/wiki/FAQ_For_Librarians
どうも、見てくださってありがとうです。
さて、こんな世界を想像してみてはいただけませんかね。ありとあらゆる知の蓄積を、ひとりひとりが自由に共有できる、ていう。こんにった、何億もの人らが毎月Wikipediaを読んでおられます。実にさまざまな人らがね。民族も国籍も年齢も収入も性別も宗教も価値観も考えも何もかもいろんな人らが。うれしいですね、私らがたくさんの人とつながってお役に立ててるってことですからね。で、私ら自身がその価値と重要性をしっかりわかってるからこそ、みなさん”教育者”の方々にご賛助いただいて、もっともっとええもんにしてもらえへんかな、と思ってるわけです。
● Wikipediaって何?
オンラインで無料の百科事典です。一般の人々がオープンに活動してくれてます。立ち上げメンバーのJimmy Walesは、「地球上のひとりひとりに、無料で質も良くて言語の壁もないような百科事典を作って配っちゃおうとしてるんだ」って言ってます。実際、でかいし、網羅的だし、250言語分あるし、全部で1500万件の記事があります。人気もありますよ、いまじゃ、世界で5本の指に入るwebサイトだと思いますね。
● 誰が仕切ってるの?
Wikipediaの記事っていうのは、基本的に共同で書かれて発表されてますし、オープンソースのライセンス的な扱いになってます。だから無料だし、まあ、自由に誰でも許可無しでコピペできますよね。管理・サポートは非営利のWikipedia Foundationてとこでやってます。寄付で成り立ってるようなところです、広告とかありません。
● どんなふうに作られるの?
読んでる人なら誰でも、「edit」っていうところをクリックして記事を書き替えちゃえます。正式な査読はないです。レビューも共同、すなわち、記事を読んで修正したらその人が査読者っていうことになります。原則、それぞれで修正してそれぞれで改良していく、そんなふうにやってくうちに、たくさんの手入れが入って記事がどんどん良くなっていく、という感じです。
● 誰でも書き替えられるんだ。それで正確な記事になるの?
そう、誰でも書き替えられます。そして、2001年にスタートした時って、そんな網羅的でもなかったし、誰にでも使えるわけでもなかった。でもやってくうちに、どんどん大きく、網羅的に、質も高くなってったんです。私らが自分でそう感じてるだけとかじゃないんですよ。よそさんが証明してくれてることでもあるんです。2007年4月のHewlett Packardさんの研究だと、Wikipediaの記事が長期間掲載されてて、たくさんの人に編集してもらえてたら、その分だけ記事は良くなる、と言われています。Wikipediaの大前提、たくさんの人が共同で作業すれば、最終的に良質なものができあがる、ていうのが証明されたわけです。2007年12月にはドイツの雑誌・Sternがこう結論付けました。ドイツ語版のWikipediaは、ブロックハウス(ドイツのブリタニカにあたる大御所の百科事典ですね)よりも正確で、完璧で、最新だ、と。私らの知る限り、おおむね、Wikipediaの質はめっちゃええって言われてます。伝統ある百科事典のみなさんと比較して、ですよ。言うまでもなくたくさんの利点があります、より大きく、より網羅的で、毎分のように何百回と更新され、検索も簡単だし、無料だし、商売っ気とも無関係。ネットにつながってさえいればどのパソコンからだってアクセスできます。
● 間違いってどう扱われてるの?
誰でも編集できる以上、誤った記述がまったくないとは言えません。そういうのに出くわすこともあると思います。でも、ごくまれではあります。これもよそさんの研究ですけど、伝統ある百科事典さんとだいたい同じくらいらしいです。Wikipediaがグレートだと言えるのは、その間違いを誰でも修正できるってことです。冊子の百科事典は間違いが修正されるのを次の版まで待たなきゃいけない。一方で、Wikipediaならすぐに修正できます。何度でも。
● じゃあ、荒らしってどうなの?
Wikipediaを荒らしたろう、って人らがいるのもまあよくあることです、だいたいはガキの遊びなんですけどね。よくあるのは、記事丸ごと消そうとするとか、ガキ仲間をからかおうとするとか、戯言を書き加えるとか、そういうやつです。(荒らし未遂についてのちょっといい議論が、小説家Nicholson Bakerさんが書いたWikipediaに関する愛すべき記事の中にありましたよ)
ですが、うちにはいろんなフィルターやボットが用意されてて、荒らしを未然に防ごうとしてますし、ま、荒らされたあとでもすぐに元に戻せます。ですから、だいたいの荒らし行為は誰の目にも触れずに終わりますね。
だいたい、Wikipediaはそもそも荒らしに強いタイプなんですよ。修正前の記事ってすべて保存・蓄積されてますのでね、荒らしがおいでになったところで、すぐ元に戻せちゃう。この、すぐ戻せる、っていうのは荒らしに対するうちらの砦みたいなもんでしてね、しかもボランティアでパトロールしてくれてはる人たちのおかげでもあるんです。
まあ、申しましたように、みなさんが荒らされたページに出くわさないっていう保証はありません、可能性はあります。ほとんどの荒らしは何時間もしないうちに排除されるわけなんですけども、中には何週間・何か月と生き残るやつもいるかもしれません。特に、あまり人目に付かない記事だとね。
● うちの図書館のお客が、お子たちに良くないいかがわしい記事を見つけちゃうこともあるわけですよね?
おっしゃる通り、いかがわしいと思われかねないもの、子供に良くないようなものをWikipedia上で見ることができてしまいます。たとえば、ムハンマドの肖像、なんてのもあります。誰かを不快にさせるようなものも、きっつい性行為を描いてるようなんもあります。あれを削除せいこれを削除せいっていうクレームはずっとあります、ある宗教、ある文化、国、思想、または個人個人によって、不快に思うことってあるわけですからね。
私らのポリシーとしては、単に不快に思われる(かもしれない)からというだけで削除したりはしないんです。みなさんそれぞれがひとりの大人として、どういう情報が求められてるかっていう落とし所を見つけてくれるものと信じてますのでね。私らの役割は知を”利用可能”にする、ということであって、別にそれが絶対無敵に受け入れてもらえるものであるなんて、思ってやしないんです。
● じゃあ、うちの図書館に来るお子たちがよろしくない記事に出くわしちゃうのをどうやって防げます?
インターネットフィルター的なものを商売にしておられる業者さんはいくらもあるみたいですけどね、でも、それが必ずしもべストに役立つかというとどうなんでしょう。まあこの件については、ライブラリアンであるみなさんのほうが私らなんかより分かってはるでしょうし、もっとちゃんとした使えるもんを持ってはるんちゃうかな、と思いますね。
● Wikipediaって学生や研究者が使ってもいいようなもんなんかどうか、ってきかれたら、どう答えたらよろしいと思う?
研究の出発点としても十分だし、何かしらの分野についてちゃちゃっと概観したいっていうときにはかなり使えるもんだと思ってます。既存の文献記述方式にも対応できるようになってますし、特に工学・科学の分野ではかなり詳細で網羅的だと思います。ただ、これはWikipediaに限ったことではなく、読んだものを疑いなく丸呑みしていいってわけじゃないと思うんです。脚注をクリックして元の情報源にあたるなり、参考文献や外部リンクでもって、もっとその分野について掘り下げていってもらったほうがいいと思いますよ。
● 学問・アカデミアにおいて、Wikipediaのポジションってどうなん? 専門家の助けを必要としてる?
もちろんですとも。ものっすごいよく誤解されるんですけど、Wikipediaは別に専門家の人とケンカしようってわけじゃないんです。そんなことぜんぜんありません。書き手の中にも専門家の先生はたくさんいますし、ほとんどの書き手はみな、ガチで教育に取り組んでるみなさんのことを深く尊敬しています。自分たちのことも、そしてライブラリアン、研究者、放送関係者、アーキビストや学芸員などのような人々のことも、言わば”知を共有する生態系”の一部としてとらえているんです。手助けしてくれる人なら誰でも大歓迎です、専門家の皆さんのスキルこそ私らの活動に関係大ありで、助かる存在のはずなんですから。
● なんか、閉鎖的というか、こっちからの助けを拒んでるように思えるのはなんで?
確かに、簡単に思いつきで書き手になれるというわけではなかったかもしれません、だんだん簡単になってはきてるんですけどね。ひとつには、インターフェースが壁だったんだと思います。かなり使いづらかったんです。2010年5月に新しいインターフェースを用意しまして、旧バージョンよりはかなり使いやすくなりました。目立った難点は解決しましたが、まだいくつか修正すべきところはあります。
編集ポリシーを把握するのがしんどい、っていうのもあるかもしれません。Wikipediaをきちんと編集してもらうのに、新しく来た人にはまずたくさんのポリシーを読んで理解してもらわないといけないんですね。でも実際のところ、専門家の皆さんにとってそれほど問題になるとは思っていません。というのも、基本的には皆さんすでに慣れてらっしゃるような著作・編集のコンセプトと一緒ですし、そういうのを読むこと自体慣れてはるはずですしね。
あとは、wikiでの論争や議論の空気感でしょうか。ここの書き手は結構ずけずけと物を言うので、新しく来た人には不親切に思われるかもしれませんね。怒らせようとしてるなんてことないんですよ、マジで。オンラインでのやりとりって、気持ちとかニュアンスとかがものすごく見えにくいもんですから、言葉の壁を乗り越えつつ自分の言いたいことをなんとか伝えようと必死になることもあると思います。どうしたら好意的に見る/見せることができるか、ということについてはどうぞご相談ください。
● ひとりのライブラリアンとして、Wikipediaさんのために何ができるんでしょう?
いくつかの方法がありますよ。
1) ライブラリアンはだいたいが優秀な書き手になり得ます。みなさん、スピーディかつ手慣れた調査員でいらっしゃるし、情報の要約や統合にも慣れていらっしゃいますから。それにWikipediaの書き手と同じ使命・ゴールを共有もしているんです。一般の皆さんに、質のいい情報を、無料かつ容易に提供したい、という意味ではね。ですからあなたに書き手として加わっていただけるとほんとにうれしいんです。具体的にどうしたらいいかについては、編集の仕方を書いたWikipediaのページや、雑誌「Wired」の記事、あるいはこちらの動画(3分版・2分版)をごらんください。
2) Wikipediaについてのワークショップや講習会をやってみませんか。Wikipediaの使い方を教えるワークショップをやってみるのもいいし、同じようにしてインターネット全般、検索エンジンについて教えるというのもいいと思います。実際そういうのをちゃんとやってらっしゃるところだってあって、アメリカの例だとこんな感じです。なんだったら、書き手の人に講習に来てもらうこともできるかもしれません。どうしたらいいかもっと知りたければ、こちらのベストプラクティスのページをどうぞ。
3) メディア・リテラシーを教える教材として、Wikipediaを使う、というワークショップや講習会をやってみるのはどうでしょう。ドイツにそういう例があります。どうしたらいいかもっと知りたければ、情報リテラシーについてのこちらの雑誌記事をどうぞ。
4) 先生方におすすめするとするなら、授業の一環として学生さんにWikipediaの記事を書かせる、または記事を編集するという宿題を出すこと。ドイツやカナダ、イスラエルで、たくさんの先生が実践しています。どうしたらいいかもっと知りたければ、こちらのベストプラクティスのページをどうぞ。
● なぜWikipediaに協力しろとおっしゃる?
そう、ご協力いただきたいんです、ライブラリアンのみなさんに。同じ使命を持ってる者同士なはずですから。私らは、できるだけ多くの情報を、無料で使えるよう、世界中の人々にアクセスしてもらえるようにしたいと思っています。それって、あなたも同じですよね? 価値観だって同じはずです。情報がいかに力となるかということ。情報へのアクセスがより良い生活とより良い判断をもたらすということ。そして、作るにしろ送り出すしろ、情報というものを商業主義とは無縁の状態で使えるようにしておくことがどんなに重要かということ。
それから、Wikipediaの大きな影響力。何億もの人々がWikipediaから情報を得ています。”教育者”たる先生方が私らと関わっていただける理由としてはこれで充分でしょう。
皆さん方のゴールは、質のいい情報へのアクセスを保証する、ということ。Wikipediaをより良いものにすることこそ、そのゴールにまさにぴったりだと思いますよ。
● 図書館と共同でこれまで何かやったことある?
ええ、例えば、チューリッヒ中央図書館。ドイツ語版WikipediaにWikimedia CH(スイス支部)同様に協力し、2008年3月から、チューリッヒ関係の記事やその他の主要箇所の改良にとりくんでいます。非常にいい関係です。スタッフの皆さんが協力してくださり、関連プロジェクトのイベントにも参加してくださるなどして、互いに情報交換したりしています。
● 大学や学校でのWikipediaプロジェクトについて情報ありますか?
こちら。
● よそさんはWikipediaさんのことをどう言ってます?好意的にしろ批判的にしろ。
怒られてるのはこちらで、ほめてもらってるのはこちらです。
● 書き手になるのにもっとよく知りたいんですが、何かおすすめの本はありますか?
(回答なし)
2010年05月26日
事務連絡・ただいまフランス遡及入力中
ただいまフランス遡及入力中です。
よーろっぱ日記・Paris編 = 201005fr
http://201005fr.seesaa.net/
今回の旅=201005fr について
http://201005fr.seesaa.net/article/151089641.html
パリ履歴
http://201005fr.seesaa.net/article/151089971.html
5/2(火) KIX→CDGの日
http://201005fr.seesaa.net/article/151189313.html
よーろっぱ日記・Paris編 = 201005fr
http://201005fr.seesaa.net/
今回の旅=201005fr について
http://201005fr.seesaa.net/article/151089641.html
パリ履歴
http://201005fr.seesaa.net/article/151089971.html
5/2(火) KIX→CDGの日
http://201005fr.seesaa.net/article/151189313.html