「大学図書館から考える文書館とMLA連携」
大学図書館研究グループ研究例会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/nal/groups/news.html#academic20110129
日時: 2011年1月29日(土)14:00 - 17:00
会場: キャンパスプラザ京都(第2演習室)
「公文書館法と公文書管理法 その背景・概要・展望」
白井哲哉氏(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)
「公文書館法が大学図書館にあたえる影響 具体的スキームに向けて」
福島幸宏氏(京都府立総合資料館)
要旨 2011年4月に施行される公文書管理法は,大学や大学図書館にも大きな影響を与えつつある。そこで,公文書管理法とは何か,大学における公文書管理にどのような影響を与えるのか,さらにこの文脈におけるMLA(Museum, Library, Archives)連携の展望,などについてご講演いただき,情報交換を行う。
自分のtweetから
・デジタル化することによって連携・融合しやすくなる、という議論があるよ、という話だけど。それはちょっと楽観的じゃないかなと思う。IT革命2000年くらいのときにそういうのよく言われてた。
・リアルがついてこなくてもいいから、枠組みをちゃんと議論しよう、ということを言うてはるのかな??
・「ミニマムモデル」「ゴールドモデル」というネーミングするところが上手いなあとおもった。概念を普及&説得さすのに、わかりやすいネーミングを掲げるというのは大事。
・アーカイブズ・公文書館のカジュアル化計画、という話。これはおっしゃるとおり。
・奈良県立図書情報館の中にあるアーカイブズ資料の部門があって、それの利用しやすさが圧倒的、とのこと。これは要確認。
・文書館の文書が原秩序原則で、図書館みたいな分類をしてないから、利用に不都合なんだ、という話がとあるところで出たらしいんだけど、んなこたあないだろう、と思う。
・今後の文書館はこの公文書管理法にあわせてつくらざるを得なくなる。これまでのような多様性・個性がなくなるのでは? これまでの”多様”な仕事が切り落とされていくのでは、という危惧をおっしゃってた。”多様が大事”はあたしも同じ考えだしその危惧もおっしゃる通りではあるんだけど、ただこの話の流れにはちょっと違和感。その”多様”どころか”基礎”すらままならないところがたくさんあったから、この法律作った、ってことじゃなかったんだろうか。
・結局まあ、「公文書管理法」と「MLA連携」を同時に理解しようとするからわかりにくかったんだと思う。別々に考えたらええ。
・質問した。
最低限の目録でかまわんから、目録出して、存在知らせよ、とおっしゃる。図書館でもそれをやらなあかんというのはまったく同意、自分だってずっとそう思ってきたし。
ただね、それをやった末に、利用の段になって例えばおいそれと複写もできない、ILL貸借なんてもってのほか、それどころか閲覧だけでも一定の管理下で、デジタル化だっていくつもハードルがある。そんなにまで”利用のパフォーマンス”の悪いモノ、しかも何千何万と束になって山積み未整理のモノに、図書館が嬉々としてリソースを割くのか、と。あたしはやるべきとは思うけど、悲しいことに、現状のそのへんのふつーの図書館はそうは言うまい、目録ひとつにしたって「コピーカタロギングできない資料は受入したくない、てか、しない」とかいうレベルの話がふつーにまかり通る残念なスタッフ揃いの業界ですよ、っていう現実がある。
それでも、なおやはり、最低限の目録でもいいからとりたい。何千何万の束の文書、公文書管理法の縛りの憂き目だかなんだかで廃棄の危機ていうのも、最低限の目録さえあって存在が知らされれば、戸籍が与えられればなんとかなるにちがいない、と、思いたい。
だったらですよ、図書館はその目録の数的処理を(良いか悪いかはまったく別にして)コピーカタロギングやアウトソーシングというあれで長年やってきてます、コストカットして買い叩いて、こなしてる業界です。じゃあ、Aさんの文書資料っていうのは、さて、どこまでアウトソーシングなり簡素化なりできるものなんだろうか、と。どこまでコストを下げに下げて、とにかく数だけでもこなせるものなんだろうか。それが何千何万レベルでできさえすれば、助かる資料が山ほどあるんじゃないかと思うんだけども。
という、質問。
・ただ、何年で○点処理した、という数値の感覚がわからない。多いのか少ないのか。あと、図書館屋が図書館屋の目線で文書整理したら、そりゃ、処理はどうしたって時間をかけることになるじゃん、文書館的目線と比べたら。そういう整理の仕方をしてるんだもの普段。同じ目録でもAにとっての目録・カタロギングとLにとっての目録・カタロギングとはぜんぜんちがうだろうし、ということは、同じ文書資料の目録をとろうというんでもAの人とLの人とでは”ノリ”がちがってしまう、それはある程度しかたないと思う。
・偉大曰く。捨てるな、と。その前に僕にメール下さい、と。たとえリップサービス的なのが多く含まれてるとしても、そういうことをはっきり言える彼は、ほんとのほんとに偉大だなあ、と惚れた。
・とりあえず、うちにあるアレをどうにか死蔵じゃなくしたいんだけど、誰かに相談しようか、から始めたらいいのかな。
・おまけ。
MLA連携というのが、「みんなで幸せになろうよ」というのはわからんではない。ただ、「みんながそれぞれ個々の基準で幸せになったらいいとしか思ってない」のか、それとも「同じ方向向いて同じ幸せを共有したいと本気で思ってる」のか、どっちなんだろうか、と。Lが”Lの幸せ”をAやMに、Aが”Aの幸せ”をLやMに強いようとしてる、んなら、それは「みんなで幸せ」じゃないもの。
だから、MLA連携ってのは、Lなら”L基準の幸せ”のある部分を【捨てる覚悟】で、”MLA共有の幸せ”を目指すということになる。それはざっくり言うと、「所帯を持つって家庭的な幸せを得るなら、独身の気楽さはあきらめなさいよ」、ということなんじゃないかな。
・・・だったらじゃあ、「いいお友達でいましょう」っていう程度のMLA連携も、別にあったっていいと思うな。あと、目録・整理だけしに来てもらう関係の「MLA通い婚」とか。
参考文献
・日本の公文書─開かれたアーカイブズが社会システムを支える: 松岡 資明: 本 http://htn.to/QSvBkG
・Q&A公文書管理法: 岡本 信一, 植草 泰彦: 本 http://htn.to/Ku4jkd
・歴史資料の保存と地方史研究: 地方史研究協議会: 本 http://htn.to/anMNTr
・図書館・博物館・文書館の連携 (図書館情報学のフロンティア10): 日本図書館情報学会研究委員会 編: 本 http://htn.to/DqxcTR
・MLA連携の現状・課題・将来: 水谷長志 編: 本 http://htn.to/5inThL
・アーカイブズの科学: 国文学研究資料館史料館: 本 http://htn.to/fstzZ5
・国立公文書館等の利用に関するまとめ(公文書管理法):源清流清 ―瀬畑源ブログ―:So-netブログ http://htn.to/BcLqhd
・大学アーカイブズの可能性 ― 京都大学大学文書館での経験から ― http://htn.to/Jc3jPc