2012年03月15日
電子書籍について(とりあえず本日2012.3.15付けで)考えたことのメモ
あるところで、電子書籍どうよ、ていう話題が出て、コメントを求められる感じになったのですよ。
それで、こうだったらいいなあ、ていう感じのことを思ったので、現時点で自分はこう思ってる、というのをメモしておきます。
電子書籍の中でも、特に、iPhoneやiPadやkindle的なので読むのにどうか、ていう話ですけど、じゃあそもそもiPhoneやiPadみたいなんはノートパソコンと比べて何がどうちがうだろうかっていうことを考えたんですよ。
そしたらやっぱり、コンテンツを読む・書く、とかよりもむしろ、情報を入手して、その入手した情報を別の情報と結びつけて、そして別の外界に流す、ていうようなもっと動的な感じのことじゃないですか、ああいうのって。そういうもんだと思うんですよ。
いや、あれは持ち運びに便利な場所をとらないデバイスとしてなんだ、ていうのが電子書籍のそもそもの発端かもしんないけど、正直、軽いとか薄いとかいうような性質は長い目で見りゃ誤差でしかないんじゃないの、ておもうんですよね。それかインディアンペーパーでも使ってろよ、て。
情報にしろコンテンツにしろ、場所・タイミングを問わず入手できて、結びつけるべき相手と結びつけるために、流す、という行為もまた場所・タイミングを問わずにできる。それができてこそのiPhoneなりiPadなりkindleだと思うんですよ。そして、それがweb情報だけじゃなくて、書籍というまとまった形のコンテンツについても可能になる、ていうのが(いま言う)電子書籍、だと思う。そうあってほしいなって、思うんです。
だから、電子書籍どう評価しますか(書籍にしろフォーマットにしろデバイスにしろ)、って問われたら、いまのところとあと当面は、別のコンテンツや別のサービスや別の読者や別の媒体にどれだけ柔軟に、継ぎ目無く、場所・タイミングのしばりなく、そしておもろく、結びつけて流してやることができるか、てことじゃないかなって思うと思います。じゃない電子書籍は紙書籍と誤差でしかないんじゃないかなって。
いまのところ。
ぼんやり。
どうせまた変わるしw。
2012年03月11日
メモ:菅谷明子『未来をつくる図書館 : ニューヨークからの報告』第3章・1「評価を高めたテロ事件への対応」
菅谷明子『未来をつくる図書館 : ニューヨークからの報告』
第3章「市民と地域の活力源」
1「評価を高めたテロ事件への対応」
概要メモ
●経緯
・9.11当日、NYPLは”緊急事態”のため閉館した。
・テレビ等にはテロ報道、しかも事件そのものを扱うものばかりがあふれていた。
・テレビ等の報道に、ニューヨーク市民にとって実際に役立つ情報はなかった。
・ニューヨーカーの間では、安否確認をはじめ、即座に役立つ情報が必要とされていた。
・図書館にも様々な問い合わせが殺到し始めていた。
・市民は、不安定な生活が続き、様々なタイプの情報を必要としていた。
↓
・NYPL司書のカレンバーグは、市民が使える地域情報は、図書館が提供すべきだと考えた。
・9.11の翌日、テロ事件の中で市民が必要とするであろう情報源をまとめたwebサイトを立ち上げた。
・事件から2日後には図書館のwebサイトに地域情報が満載だった。
・図書館のwebサイトは、2時間ごとに、毎日更新・充実された。
●地域情報提供の実際
・メールで司書に問い合わせができる体制を整えた。
・インターネットにアクセスできない市民のためにプリントアウトしたものを用意した。
・リストは、イベントなどで積極的に配布した。
・「緊急電話番号リスト」として、緊急用場土口、災害支援団体、WTC内の金融機関一覧、交通機関、その他各種相談窓口などが掲載された。
・精神的苦痛を抱える人が相談できる地元関連団体のリストを作成した。
●地域情報提供の背景
・アメリカでは「引っ越したらまずは図書館へ」と言われる。
・図書館は地域コミュニティの情報センターとして市民にしっかり定着している。
・地域の人びと・団体にとっての図書館は、行政やビジネスから離れた独立・公平な情報提供を行なえる「コミュニティ・メディア」だった。かつ、幅広い層の市民が数多く訪れる公共空間だった。
・NYPLでは日ごろから、地域コミュニティについての情報を膨大に蓄積してきていた。また、地域団体、市の各部署との広範かつ密接なネットワーク作りを行なっていた。
・NYPLの地域情報部門では、地元行政、民間団体、NPOなど市民サービスを行なう組織のデータベースを構築し、webサイトで公開している。(キーワード検索可能)
・テロ事件後の情報発信においては、すでに蓄積されたものを再加工することによって、緊急時でも地域情報を瞬時に提供できた。
●NYPLが行なった図書館サービス(地域情報以外)
・図書館をあげてテロ事件関連のサービスを強化し、情報提供、関連講座の開催を行なった。
・事件の背景を理解する推薦図書リスト(中東・イスラム・異文化理解・宗教など)
・地域の人びとが参加する、テロ・戦争・米国中東政策についての議論をする講座。
・異文化への偏見を防ぐ多文化共存をテーマにした議論の開催。
・コミュニティの絆を強める講座・プログラム。
・ひとりで部屋にいるのが不安な市民が安らぎを求めて図書館に来た。
・精神的苦痛へのカウンセリング情報
・精神的に安らげる詩・小説・セラピーなどの本の一覧
・地域の医療団体と共同で、心理学者・セラピストを招き、講演や質問会、同じ悩みを抱える人同士の集い・共有の場を提供した。
・子どものための癒やし朗読会。
・子どものための救助隊へ感謝を表わす工作講座。
・ティーン向けに事件を題材にした創作ワークショップ。
・親・教師のための子どもへの接し方、テロをどう説明するかの講座。
・経済混乱のせいで失業した人のために、求人情報、就職関連情報、コンサルタントによる履歴書書き方講座、就職情報探し方講座など。
・テロを対象とした緊急救済貸付の申請方法説明活動。
・電話が使えなくなった市民、パソコンを持たない市民が、連絡を取り合うために図書館の無料インターネットを使って電子メールを利用した。
・オフィスや仕事を失った市民のため、ノートパソコンを持参すればインターネット接続ができるジャックを増やし、仕事・就職活動を支援した。
●事件後の評価
・図書館の迅速な情報提供活動は、市民の大きな支持を獲得した。
・事件後数週間のNYPL利用者数は12%増。貸出19%増。(他の文化施設は利用者が激減している)
・これまでに図書館を利用しなかった人たちへもアピールできた。
・これまでに図書館を利用しなかったけれども試しにやってきた人たちに、図書館の価値を理解させることができ、その後の利用につながった。
●総評
NYPL館長:自由な考え、情報交換、人びとの結びつきは、市民社会にとって最も重要なことである。そのことが、図書館での情報提供・講座開催によって再確認されている。
・菅谷:緊急事態にこれほど迅速に対応できる情報の蓄積と実行力を備えていることには驚くばかり。
・菅谷:果たしていま、日本でこのような事件が起こったら、図書館はいったいどんな対応をするだろうか。
◆egamiメモ
・非常時は平常時の賜物。
・情報の蓄積が図書館の基礎体力。
・地域・専門家との連携・コミュニケーション。
・専門性をまっとうするために、別の専門家に任すべきところを任せられるのが、専門家。
・メディア、インフラとしての、図書館の機能提供。
・情報・サービスを提供した結果、市民になにをもたらそうとしているのか。
第3章「市民と地域の活力源」
1「評価を高めたテロ事件への対応」
概要メモ
●経緯
・9.11当日、NYPLは”緊急事態”のため閉館した。
・テレビ等にはテロ報道、しかも事件そのものを扱うものばかりがあふれていた。
・テレビ等の報道に、ニューヨーク市民にとって実際に役立つ情報はなかった。
・ニューヨーカーの間では、安否確認をはじめ、即座に役立つ情報が必要とされていた。
・図書館にも様々な問い合わせが殺到し始めていた。
・市民は、不安定な生活が続き、様々なタイプの情報を必要としていた。
↓
・NYPL司書のカレンバーグは、市民が使える地域情報は、図書館が提供すべきだと考えた。
・9.11の翌日、テロ事件の中で市民が必要とするであろう情報源をまとめたwebサイトを立ち上げた。
・事件から2日後には図書館のwebサイトに地域情報が満載だった。
・図書館のwebサイトは、2時間ごとに、毎日更新・充実された。
●地域情報提供の実際
・メールで司書に問い合わせができる体制を整えた。
・インターネットにアクセスできない市民のためにプリントアウトしたものを用意した。
・リストは、イベントなどで積極的に配布した。
・「緊急電話番号リスト」として、緊急用場土口、災害支援団体、WTC内の金融機関一覧、交通機関、その他各種相談窓口などが掲載された。
・精神的苦痛を抱える人が相談できる地元関連団体のリストを作成した。
●地域情報提供の背景
・アメリカでは「引っ越したらまずは図書館へ」と言われる。
・図書館は地域コミュニティの情報センターとして市民にしっかり定着している。
・地域の人びと・団体にとっての図書館は、行政やビジネスから離れた独立・公平な情報提供を行なえる「コミュニティ・メディア」だった。かつ、幅広い層の市民が数多く訪れる公共空間だった。
・NYPLでは日ごろから、地域コミュニティについての情報を膨大に蓄積してきていた。また、地域団体、市の各部署との広範かつ密接なネットワーク作りを行なっていた。
・NYPLの地域情報部門では、地元行政、民間団体、NPOなど市民サービスを行なう組織のデータベースを構築し、webサイトで公開している。(キーワード検索可能)
・テロ事件後の情報発信においては、すでに蓄積されたものを再加工することによって、緊急時でも地域情報を瞬時に提供できた。
●NYPLが行なった図書館サービス(地域情報以外)
・図書館をあげてテロ事件関連のサービスを強化し、情報提供、関連講座の開催を行なった。
・事件の背景を理解する推薦図書リスト(中東・イスラム・異文化理解・宗教など)
・地域の人びとが参加する、テロ・戦争・米国中東政策についての議論をする講座。
・異文化への偏見を防ぐ多文化共存をテーマにした議論の開催。
・コミュニティの絆を強める講座・プログラム。
・ひとりで部屋にいるのが不安な市民が安らぎを求めて図書館に来た。
・精神的苦痛へのカウンセリング情報
・精神的に安らげる詩・小説・セラピーなどの本の一覧
・地域の医療団体と共同で、心理学者・セラピストを招き、講演や質問会、同じ悩みを抱える人同士の集い・共有の場を提供した。
・子どものための癒やし朗読会。
・子どものための救助隊へ感謝を表わす工作講座。
・ティーン向けに事件を題材にした創作ワークショップ。
・親・教師のための子どもへの接し方、テロをどう説明するかの講座。
・経済混乱のせいで失業した人のために、求人情報、就職関連情報、コンサルタントによる履歴書書き方講座、就職情報探し方講座など。
・テロを対象とした緊急救済貸付の申請方法説明活動。
・電話が使えなくなった市民、パソコンを持たない市民が、連絡を取り合うために図書館の無料インターネットを使って電子メールを利用した。
・オフィスや仕事を失った市民のため、ノートパソコンを持参すればインターネット接続ができるジャックを増やし、仕事・就職活動を支援した。
●事件後の評価
・図書館の迅速な情報提供活動は、市民の大きな支持を獲得した。
・事件後数週間のNYPL利用者数は12%増。貸出19%増。(他の文化施設は利用者が激減している)
・これまでに図書館を利用しなかった人たちへもアピールできた。
・これまでに図書館を利用しなかったけれども試しにやってきた人たちに、図書館の価値を理解させることができ、その後の利用につながった。
●総評
NYPL館長:自由な考え、情報交換、人びとの結びつきは、市民社会にとって最も重要なことである。そのことが、図書館での情報提供・講座開催によって再確認されている。
・菅谷:緊急事態にこれほど迅速に対応できる情報の蓄積と実行力を備えていることには驚くばかり。
・菅谷:果たしていま、日本でこのような事件が起こったら、図書館はいったいどんな対応をするだろうか。
◆egamiメモ
・非常時は平常時の賜物。
・情報の蓄積が図書館の基礎体力。
・地域・専門家との連携・コミュニケーション。
・専門性をまっとうするために、別の専門家に任すべきところを任せられるのが、専門家。
・メディア、インフラとしての、図書館の機能提供。
・情報・サービスを提供した結果、市民になにをもたらそうとしているのか。