
ボローニャを発ちます。
そして、いよいよ。
Bologna Centrale 1510 → Venezia Santa Lucia 1635
ヴェッネエエエツィアアアアッ。2006年以来、7年ぶり3度目。
それで申し訳ありませんが、当blogでは当面「ベニス」でも「ヴェニス」でも「ヴェネチア」でも「ヴェネツィア」でもなく「ヴェッネエエエツィアアアアッ」という表記を採用させていただきます。
そのくらい歓喜のテンションになるほどの、我が愛する第2の故郷なのです。(註:おっしゃりたいことはわかります。)
そういう、いろいろとおかしいところを含みながらも鉄道で向かっているところなのですが、天気までもがどうもおかしい、さっきからずっと深い霧の中です。念のためiPhoneで天気をチェックすると、ヴェッネエエエツィアアアアッも「霧」と出てます。
霧って言われてもいまいちピンと来ないなあ、どうなるかなあ、と思っているうちに到着してみたら。

我が故郷が・・・7年ぶりの故郷がまるで見えない・・・。
なんたるちあ・・・。
1時間して、日没後。

おおぅ・・・ミスティ・・・。
ヴェッネエエエツィアアアアッ本島までは本土から橋がかかっていて、毎回その橋を鉄道で渡って本島入りするんですけど、海上をがんがん走るスピード感、広がる海の風景、ぐんぐん近づいてくる本島の建物、ていう車窓が一番テンション上がるんですよね本当は。
でももう↓こんなんです。テンション封鎖ですよ。レインボーブリッジ封鎖できましたよ。

鉄道駅があるのは本島の端っこですが、宿はその駅すぐ近くをとっています。ヴェッネエエエツィアアアアッは歩いて楽しい街ですが、重い荷物持ってうろうろするのはまったくもってしんどい土地なので、そのほうがいい。あと、駅近じゃないと出発するとき駅まで相当歩かなきゃいけないということ、路地で疲れたり迷ったりしても駅方向を目指せば宿に帰れること、などから、この街での宿は毎回駅近を選んでいます。
では、日没後のヴェッネエエエツィアアアアッをさっそく歩きに出ましょう。




真っ暗の中、細い路地をすり抜けるように、右左にてくてくと。突如現れる広場は横切り、水路は橋をのぼりおりしてまたぎます。橋ののぼりおりの階段が五月雨式に続くので、重い荷物は無理っていう。あ、もちろん車は一台も通ってないですよ、基本、路地だけでできた街ですから。本当の意味での”歩行者天国”です。
かつては、ホテルなんかでもらった地図を賢明に読み解きながら歩き、読み解き損ねて水路にぶち当たったり、ちがう路地に出たり、角を曲がるのを一筋まちがえただけで罰ゲームのように大回りしたり、という右往左往の連続だったのですが。さすが、ここへ来て最もその本領を発揮してくださっているiPhoneさんのGoogleマップ神様のおかげで、いっさい迷うことなく、すいすいと歩いて行けます。
但し、です。路地の街で、水路の街で、日没後の闇で、霧、です。こんなもん、iPhoneガン見しながら歩いてたら絶対にドボンっです。「歩いてるときはiPhoneを見ない」ルールを厳格に自分に課すことにしました。
お店はもう多くが閉まってるっぽいですが、窓越しにこんな感じで鑑賞できる宵山っぽさも、ヴェッネエエエツィアアアアッの楽しみです。



そして、リアルト橋。

ここは橋なんですけど、観光のハイシーズンになると人がぎゅうぎゅうづめになってしまって、歩いて渡るのにとてつもない時間がかかったりします。観光的な意味で混むというのもあるんですが、そもそもヴェッネエエエツィアアアアッ本島の東側と西側を隔てる大運河(カナル・グランテ)を歩いて渡れる橋は、ここともうひとつくらいしかないんで、要するに歩くんだったら必ずここ通らなきゃいけないんですよね、そりゃ混むだろうっていう。
混むのがいやなのでいつもは避けてたのですが、こうやってゆったり歩けるリアルト橋に来るのも、なかなか新鮮だなあと。あと、アジア人多いけど、日本語より韓国語の方がたくさん聞こえるなあとか。
リアルト橋から夜の大運河を。


そして、ヴェッネエエエツィアアアアッのもうひとつの重要観光スポットである、サンマルコ寺院を目指します。
・・・あ、書いてありますね(笑)。

路地でできた街なので、もう迷うのがデフォルト扱いのようなあれなんでしょう、本当にいたるところいたるところにサンマルコ寺院やリアルト橋への矢印看板が貼ってあるし、看板なくても、こんなマーカーの落書きがあちこちに書いてあるんです。そういうシステムです。この落書きが、マナーだ景観だ云々をすっとばして実にありがたい存在・・・釣りじゃないことを祈るあれですが(笑)。
途中立ち寄ったちっちゃな地元教会。

内装や美術品が豪華でドンキホーテみたいなんだけど、なぜか嫌味がなく安心感がある感じ。座ってちょっとほっこりさせてもらいます。ああ・・・またヴェッネエエエツィアアアアッに帰って来れたんだな・・・うれしい・・・。
そして、右往左往の末。



こwwwれwwwはwww。
サンマルコですよ、イタリア屈指の観光地、サンマルコ広場(1枚目)とサンマルコ寺院(3枚目)ですよ。なんですかこれは(笑)。
さすがにしかたないので、今回はお暇しますけど・・・もう(笑)。

それにしても、さすがにヴェッネエエエツィアアアアッは広い。歩いて楽しい土地柄とはいえ、駅近からサンマルコまで歩いて、1時間半経ってます。
帰ろうにも、看板が例えばこう。

「Piazzale Roma」ていうのが駅方向の看板なんですが、あきらかに矛盾な方向を指してる矢印が2本。どっちへ行けって言うんだ・・・。
そしてiPhoneの命綱であるポケットwifiが、ああ、もうバッテリー切れか・・・ネットがなきゃiPhoneなんてチョコバー以下じゃないか・・・予備に交換します。
ここで一句。
歩いても 歩いても ヴェッネエエエツィアアアアッ みつを

そんなことより、さっきから食事処を探しているんですが、なかなか決まらない。いや、あるにはたくさんあるんですが、どこもかしこもみな「いかにも観光地仕様」の店ばかり。いや当然なんですけどね、ここほど観光地として凝縮された街はないんだし。
しかも、さっきからがんばってiPhoneで検索して、マシな方っぽい評価の店を1軒1軒あたってるんですけどこれでも。ところがまったくその店が見つからない。
検索する→目星をつける→住所をGoogleマップで表示→ルート検索通りに歩く→指定の場所には何もない。そこにはただ生暖かい風が吹くばかりだったという。怪談かと。3回くらいこの繰り返し。
なんなんですかこの街は(涙)。
結果、メインストリートを避ければ観光地仕様じゃなくなるかな、と思って入ってみたら、まあそれなりに観光地仕様だった、ていう。本当にむつかしい(笑)。

え、何を食べたかですか? うーん(笑)。
とりあえず、味は期待できそうにないので、食べたいかどうかより勉強になりそうかどうかで注文しました。
まず、ビゴリというパスタ。ヴェッネエエエツィアアアアッ周辺地域のローカルなパスタで、全粒粉の太めなスパゲッティ。昔はそば粉で作ってたらしいという。結構な噛みごたえというかちょっと堅めで、昔一度食べた時には不味いと思ったので、本当にまずいのかどうか、別の店で食べたらどうなのかを検証したくて食べてみました。
結論としては、まあ不味くはなかったのですが、ビゴリかどうか以前に茹ですぎちゃうか、いやもしかしたらふつーのスパゲッティの太めなだけのやつ使うてへんかこれ、というような、えーと、ふつー(笑)。
2品目、ポレンタというイタリア料理。とうもろこしの粉を、そばがきやお粥の要領で煮炊きしたものとのこと。昔は主食扱いで、この店ではバカリャウ(ヨーロッパの棒鱈)を混ぜて出します、とメニューに書いてありましたんで、どんな味かさっぱり検討もつかないので勉強のために注文してみました。
・・・このポレンタをつくった者は誰だ!!((c)海原雄山) このうえなく不味い。この旅全体で見て、ぶっちぎりで単独トップに不味かった、別格。何かの白い粉を水で溶いてこねてもったりさせた生地に、ほぐした塩漬け鱈の身が混ぜてある。それだけ。塩の味しかしない、冷めた紙粘土みたいな生地、ときどき鱈が生臭い。2-3口食べて、全部残しました。ウェイターが心配してか何か言ってきたけど、知るか、どっか行け、みたいな感じ。
ネットで見たポレンタの写真はどれも黄色かったので、この白いのはたぶん紙粘土です。あと、のちのちまでゲップがこのポレンタのにおいがするので、ずっと不快・・・。
気分が滅入ったので、口直しに、さっき道すがら見つけておいたワインバーに立ち寄りました。

地元の大学生(註:ヴェネツィア大学が本島内にあります)や若い人たちがたむろして駄弁ってるような、軽い感じのところ。
よかった、こういう誰に遠慮することなく自分のペースで、好きなように座ってぼーっとお酒呑んでいられる場所が、このヴェッネエエエツィアアアアッにもあったんだなあって。カジュアルで、居心地よくて、立ち去りがたい。しかもグラスワイン2euとか、まちがいなく通う店。これ、京都にあったらいいのにね。
ほっこりします。歩き疲れてたのでほっこりします。(註:この時点で、宿を出てから5時間近く歩き続けてます。)
最後に気分をリフレッシュできてよかったなあって(笑)。
じゃあ、もう一杯だけ呑んでから帰ります。
運河に落ちないように。
えっと、ここでやっと、全旅程の折り返し地点です。