2013年03月31日

201301eu・ヨーロッパ日記 の index

201301eu・ヨーロッパ日記 の index

mapall1.JPG

1日目(1/2)
 「もう、戻れないよ・・・」(福岡→ローマ)

2日目(1/3)
 その1 「地続きの日常なんだろうなって」(ローマ)
 その2 「ダメだ、ここは夜に来なきゃダメだ」(ローマ)

3日目(1/4)
 その1 「廃墟のように青々と苔むしている」(ナポリ→アマルフィ)
 その2 「この絶景が1時間も続くのは、むしろ苦痛」(ナポリ→アマルフィ)
 その3 「ただいま。」(アマルフィ)

4日目(1/5)
 「人の営みは、町の”文脈”みたいなもの」(バーリ→バルレッタ)

5日目(1/6)
 その1 「驚きの白さ。」(オストゥーニ)
 その2 「計画を練ってる時間がいっちばん楽しいなあっ!」(レッチェ→ボローニャ)

6日目(1/7)
 その1 「決して”荒城の月”ではない」(ボローニャ)
 その2 「今朝食べたがってたあの豚肉」(ボローニャ)
 その3 「歩いても 歩いても ヴェッネエエエツィアアアアッ」(ヴェネツィア)

7日目(1/8)
 その1 「続・歩いても 歩いても ヴェッネエエエツィアアアアッ」(ヴェネツィア)
 その2 「住むならここかな感は”左京区”のそれ」(パドヴァ)
 その3 「肩に力を入れずに、それでも歴史が残る」(パドヴァ)

8日目(1/9)
 その1 「GPS整備されまくった21世紀でも、叫びたい」(ヴェローナ→インスブルック→ザルツブルク)
 その2 「現れましたね、ラスボスが。」(ザルツブルク)
 その3 「おまえのその声をもらうよ。」(ザルツブルク)
 その4 「「PEPITA」という名の店が簡単に見つかったんです」(ザルツブルク)
 その5 「美味い店を教えてくれる友」(ザルツブルク)

9日目(1/10)
 その1 「つゆ音なうものなし」(ザルツブルク)
 その2 「"Ost"ってドイツ語、聞いたことあるな」(ザルツブルク→ミュンヘン)
 その3 「フランクフルト駅なりのダンディズム」(ミュンヘン→デュッセルドルフ)
 その4 「ビールを呑むために来たんです」(デュッセルドルフ)

10日目(1/11)
 その1 「ここを最後のキャンプ地とする」(デュッセルドルフ→ライデン)
 その2 「このムリゲーこそがほんとのアムステルダム名物」(アムステルダム)

11日目(1/12)
 その1 「とっくに"潮時"が来てた」(アントワープ→ブリュージュ→ルーヴェン)
 その2 「ライデンのイングリッシュ・パブでクイズ大会」(ブリュッセル→ライデン)

12日目(1/13)
 その1 「さらっと流さないとかえってつらくなるから」(ライデン)
 その2 「旅行事務のおっさんにキャラ替え」(スキポール)

12-13日目(1/13-14)
 「いつか行く次の旅のために(まとめ)」(スキポール→京都)

posted by egamiday3 at 23:59| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・12-13日目「いつか行く次の旅のために(まとめ)」(1/13-14 スキポール→京都)

 
 というわけで、残念ながら。
 AMS発KIX行き、関空へ向かう機内にいます。

 行きはまさかのビジネスクラスでしたが、帰りは「2列席に1人だけ、横は空席」というそれ以上の快適さです。もちろん、ねらって取った席です、スキポール空港のセルフ端末画面で。KLM最高!
 とはいえ、さすがに正月もとうに過ぎ去ったこの時期ですから空席がかなり多く、4人掛けをフルに使って横になってる客が何人もいるレベル、です。

 この機内の時間を使って、今回の旅のふりかえりというか、反省をしておこうと思います。

----------------------------
 12日間・5カ国のルートです。

 ローマ → ナポリ → ソレント → アマルフィ → バーリ → バルレッタ → オストゥーニ → レッチェ → ボローニャ → ヴェネツィア → パドヴァ → ザルツブルグ → ミュンヘン → フランクフルト → デュッセルドルフ → アムステルダム → ブリュージュ → ルーヴェン → ライデン

 ここまでの旅程を地図にまとめてみました。

mapall1.JPG

 長かったように思えて、まあまあコンパクトにまとまってます。
 コンパクトに見えませんか?
 じゃあ2006年・7年前のユーレイルパス旅行(赤)を重ねてみます。

mapall2.JPG
 青 201301eu
 赤 200609eu

 ほら、だいぶコンパクト(当社比)。

----------------------------
 以下、今回の旅で学んだこと・反省点です。
 多分に旅行事務的ですが、いつか行く次の旅のためのメモとして。

・料理のため、そのためだけに、イタリア語をある程度勉強する必要があるし、それだけの価値はある。
 いろいろなパスタがあって勉強になった。でもたぶん、未知のパスタがまだまだたくさんあるはず。けど、パスタにしろチーズにしろ調味料にしろその他食材にしろ、言葉がちゃんとわからないと、ローカルな街のローカルなイタリア料理をいただきに行けないんじゃないか。

・ビールとビアホール・ブルワリー方面についても慣れておくべき。うっかりしてた、ビールといえばパブ、で固定してしまってた。ドイツ圏のビアホール・ブルワリーをもっと。

・いつもは渡欧・渡米して2-3日しないうちにアジアフードに飢える感じになるんだけど、今回は最後までそれがなかった。ちなみに、国内でも定番の「もう京都帰りたい」も今回は最後まで出なかった。ペットボトルのお茶を渇望する、ということもなかった。要は、旅の"自由度"の問題なのかも。

・当初初鉄道メインのつもりだったけど、街歩きの方がもはや楽しい。
 ただできれば、どの街は、どういうタイプの、どういう履歴をもつ、どういう地理的・地誌的な特徴のある街か、ということは、最初からいくつもりにしてる場所なら、ある程度事前に予習しておくべき。知りすぎると楽しめないけど、知らなさすぎると選べないし、歩けない。
 特に、その国特有の、曜日、時間帯、あるいは季節・期間の生活・習慣的な事情はある程度知っておくべき。土曜日曜は朝や夜はどんな感じなのかとか、あいてるのかしまってるのかとか。昼食どき・夕食どきは習慣的に何時から何時くらいかとか。1/6はイタリアにとってどういう祝日でみなどう動くかとか。そういうことを知らないと、とんちんかんなタイミングで行動をしてしまって、ぽかーんということになる。

・あと「小さな町がおもろい、大都市はつまらん」という根拠のない思い込みにとらわれかねないけど、それはあかん。ローマもアムステルダムもローカルな街歩き場として充分楽しめるし、逆に地方の町で残念とかおもんない感じもあった。

・各地でジェントリフィケーションが進んでいる。イタリアでもどこでも。良し悪しか。過去にちょこちょこあった"嫌な経験"(釣り誤魔化し等)は今回ほぼ覚えがないけど、街がてかてかまたはのぺっとして残念、みたいなところは増えた気がする。

・その街の市場情報を予習すべき。朝市の開かれる広場・曜日・時間は? 錦的な商店街のある通りは? その土地の惣菜・B級グルメ事情・習慣は? 次はぜひ、キッチンの使えるアパートメントホテルを、いい市場のある街で借りて、逗留したい。

・要するに、遊びだからって「予習しなさ過ぎ」はよくない。今回、とある大ポカでとあるところに行きそびれた。事前調査は折々必要、ちゃちゃっとググるだけでいいんだから。
 今回はそういう先に決めないことによる楽しみを味わいに行ったところがあるんだけど、それでよかったところも、失敗したところもあった。

・今回、個人ホームページやブログのいい店・美味い店紹介が、存外に役に立った。但し、きちんとした文章で具体的なことを書いているかどうかが問題。

・旅の日数は、渡航日を含まず正味で、7日くらいが適量か。但し、国、季節、移動・滞在の種類による。

・たぶん、イタリアくらいの緯度だと冬でも楽しめるし、混んでないし、そんなに寒くない。真夏よりはずっと快適にすごせそうな気がする。緯度の高いところは冬は不向き。ただしいずれにせよ、オフシーズンすぎると楽しみどころが少なくて困る。

・哀しいけれど、もう若くない。。もう、大荷物を背負ったまま観光したり、鉄道のシートで雑魚寝したりということが、楽しいよりしんどいのほうにどんどんシフトしている。20代30代の身体感覚で旅を続けたら事故につながる
・宿はネットで上手に探せば安く便利な場所を選べるので、そっちのほうがコストがかからない。但し、それはシーズンによると思われる。

・たとえ鉄道旅行だったとしても、ユーレイルパスはありかなしか、再検討すべき。その都度買う方が効率よくないか? 割安じゃないか? ドイツは有効だったけど、毎回予約料とられるイタリアのほうはなくてもいいのでは。追加予約を窓口でしなきゃいけないから乗れなかった、という事件も発生。ただし、パスだからこそ、途中で降りて方針を変えたり、乗り間違えやディレイにもその場ですぐ対応したり、ということが自由にできるわけなんで、良し悪しではある。

・iPhoneは始終握って使いたおしてた。その一方でiPad miniは、ホテルでも車内でも出先でも、ほとんど使わなかった。これは当初の予想と逆だった、iPad miniさん大活躍すると思ってたのに・・・。
 自炊したレファレンスブックはがんがん参照するけど、自炊した読書用図書はまったく読まない。機内くらい。ただ、レファレンスブックを参照するといっても、出先ではどうしてもiPhoneのほうで見る、ということになってしまう。

・iPhoneをよく使い、iPad miniをあまり使わない、となると。もう海外用wifi機器の契約は不要か? 但し、街歩きメインの旅行と、会議等出張で使うのとはまったく事情が別だろうとは思う。とりあえず、デザリングのことを確認しておくべき。
----------------------------

 ・・・なんと、反省に没頭しとるうちにいつのまにか、関空も無事通過して、いまは京都へ向かう特急はるかの車内におります。
 時差ボケと、機内でいただいた赤ワインで、眠いです。

 眠いというのにさっきからあたしが何をしてるかというと。
 次の旅行の企画を練っています。iPad miniで、SkyScannerや、ドイツ鉄道時刻表データベースや、Googleマップをちまちまいじってます。もう、いちはやく次の旅に出たくて出たくてしかたがない、俺を旅に出させろっ!と叫びかねない勢いなのです。
 いま行ってきたとこなのに。
 帰国からまだ2時間経とうか経つまいかくらいでしかないのに。

 というのも、帰国便の中で、自炊して持ってきたこの本↓をうっかり通読しちゃった、ていう。

小心者の海外一人旅―僕のヨーロッパ放浪日記 (PHP文庫) [文庫] / 越智 幸生 (著); PHP研究所 (刊)

 この本はずるい。この本読んだらいくらでも旅に出ていけるっていう、旅情的"ごはんですよ"、みたいな本。
 この本が自宅の本棚に置いてある限り、何度でも繰り返し、旅に出たいという強い衝動に駆られて止むことはないんだろうなあと思います。

IMG_5667.jpg

 まあ今回はこんなところです。
 おつかれちゃん。

 では、これから眠い身体をひきずって、京都文化博物館「八瀬童子展」・最終日へ行ってきます。
 これは行かなきゃダメだ。

posted by egamiday3 at 20:37| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・12日目その2「旅行事務のおっさんにキャラ替え」(1/12 スキポール)


 この旅にいよいよ引導を渡すべく、ライデン駅から電車でスキポール空港駅へ向かいます。
 30分、瞬殺です。

IMG_5660.jpg

 ほら、もう着いちゃった(涙)。
 アムステルダム・スキポール空港駅。

IMG_5664.jpg

 どこまでも自己主張の強い街。

 さて、ここまで来てしまったら、もういつまでもふざけたりおセンチになったりしてられません。とっとと「旅行事務のおっさん」にキャラ替えして、てきぱきtodoをこなします。

IMG_5663.jpg

 広い空港内をやや苦労して出発フロア・チェックインカウンターにやってきてみましたら、なんと、チェックインがセルフ端末っていうのなんか序の口でしかなくて、バゲッジドロップすらセルフ機械化されてる、ていう。でっかいドラム式乾燥機のような機械に、自分でシールを貼った荷物をどしんと入れて、ボタンを押すとフタがされてさようならぁ、ていう。成田のアナログが冗談じゃないかと思うような、見事なセルフ機械化ぶりです。
 なんだ、日本でもこうしてくれたら速くてカンタンで、あんな馬鹿みたいにだらだら並ばなくたっていいのに・・・、自販機大国じゃなかったのか日本は・・・。

IMG_5662.jpg

 セキュリティ・リーズンにより、ここでキスして。

IMG_5665.jpg

 最後に、空港内のファーストな店でアジアフードをいただきました。欧米で食べる(日本以外の)アジアフードにハズレはない、という自説がここでも証明されたな、ていう。
 自分で組み合わせを自由に選べるタイプのランチで、バミゴレンにポークと野菜炒めをのせて、グリーンカレーソースをかける、というもの。こんなある意味乱暴なくらいの機械的な組み合わせでも、こんなふうに美味くなるんだなあ、と勉強になります。
 食は、日々勉強です。

IMG_5666.jpg

 もうすぐ搭乗です。
 この辺の搭乗フロアには毎回繰り返し来てるから、最寄りのあの土産屋で買う物ももはやないなあ。とかぼんやり思っていたら。
 ばったりと日本の知人に出逢う、という腰が砕けるようなオチに見舞われました。
 さすがヨーロッパの玄関口、天下のスキポール空港です。人の寄ってくる"濃さ"みたいなもんがちがうなあ、と。

 おかげで、もうすっかり"日本"にいるみたいになっちゃいましたね。



posted by egamiday3 at 11:55| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・12日目その1「さらっと流さないとかえってつらくなるから」(1/12 ライデン)

 
 ・・・ああ、帰国日になってしまった。
 こんな悲しい日がほかにあったろうか、という。

 朝4時台から帰国のための荷造り中ですが、多くのことに悩まされています。
 例えば、ライデン→機内→京都と三種三様の環境下をどのような服装でなら適温で過ごせるのか、という「何着る問題」。
 それから、荷物の中からなぜか、ボローニャのチーズ(未開封)、ローマのカシューナッツ(未開封)、ヴェネツィアで買ったなぜかデンマークの缶ビールTuborg(未開栓)が次々と現れる、という「奇跡の大発掘」。
 パッキングにやっと成功してぴっちり封をしたところで、ふと横を見ると箱がひとつ残されている、という「置き去り事件」。

 8時近くになってようやく夜も明けてきたので、朝のライデンに出てみます。
 ライデンはもう3度目で、スポット的なところはもうおおむね行ってるので、街をざっくりと歩く感じです。

IMG_5616.jpg
IMG_5619.jpg

 何度でも言います。水のある街はいい街です。

IMG_5622.jpg

 ライデンでの学問の発祥の地的な教会です。大学のある街はいい街です。 

IMG_5623.jpg

 ライデン名物、芭蕉句碑です。
 ライデンを訪れる日本人はかなりの高確率で写真撮ってるはずなので、もはや見たことある人結構おおいのでは。

IMG_5627.jpg
IMG_5629.jpg
IMG_5633.jpg

 そういえば今日は日曜日ですね。こんなにも静まりかえった朝の街を歩いていると、もっとにぎわった顔も知りたい、逗留してみたい、と。

IMG_5643.jpg

 ところで、ヨーロッパの街にはどこへいっても"市場"、そのための広場、というのがたいていあるはずですし、この旅でも何度も目にしてきましたが。いまがんばって読んだ英文案内板によれば、ここライデンはそういうマーケット・スクエアが設けられなかった、という歴史を持つらしいです。そのかわりにあったのがこの"計量所"と呼ばれる建物で、荷物の計量、取引、その他商売に関する諸々が行なわれてたところだそうで。

IMG_5644.jpg
IMG_5641.jpg

 ああ、なんとなくわかる(笑)。

IMG_5649.jpg

 跳ね橋と風車のある風景、ですね。

IMG_5657.jpg

 ライデン駅。
 これで街歩きはすべて終了となります。

 あんまり感情を込めずに終わったのは、さらっと流さないとかえってつらくなるからです。

posted by egamiday3 at 10:48| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月30日

201301eu・11日目その2「ライデンのイングリッシュ・パブでクイズ大会」(1/12 ブリュッセル→ライデン)

 
 ルーヴェンからライデンへ戻ります。
 途中乗り換えのブリュッセル駅で、せっかくなのでビールをいただきました。

IMG_5603.jpg

 Leffeという、修道院が起源のベルギービールです。(ていうか、ヨーロッパの坊さんは酒造ってばっかりか(笑))
 見た目はこんなに透明なのに、味は透明じゃないもっとしっかりした味がします。

IMG_5604.jpg

 ブリュッセル発、アムステルダム行き。これでオランダへ戻ります。
 この便が、本格的な列車移動としては最後になります。
 ほんとに、旅が終わるんだなあ、とちょっとしんみりしてきます。これでライデンに帰ったら、明日にはもうスキポールです。AMS→KIXです。
 バス内でiPhoneの地図を凝視して現在地を確認したりとか、田舎のタバコ屋で地元のおっちゃんがサッカー見たり世間話してる中でバスチケット買ったりだとか、メニューの言葉がわからないけど似た英単語から想像してダメ元で料理を注文したりとか、夜行の予約がとれなくて今夜どうしようかを必死で考えたり、夜の駅で券売機検索しまくったり、国境を越えたり、国境を越えれずに逆走したり。
 そういうことがみんな終わるんだな・・・。


 という感慨にひたりながら、アムステルダム経由でライデンに帰着しましたが。
 軽く呑んじゃったせいで余計に呑み足りなくなっちゃいました。

 というわけで、ライデンに帰るや否や、その足で夜の街へ出ます。

IMG_5610.jpg

 そこそこ遅い時間ですが、静かな街の通りで、学生たちが若さに任せてきゃぴきゃぴはしゃいでます。こういうのを見ると、治安がいい学生街なんだなあって思います。運河・水があって、大学があって、学生がいて、徒歩に適した、コンパクトな街。で、大都市アムステルダムにも、ヨーロッパの玄関口・スキポール空港にも近いという。ある意味最強じゃないかな、ライデンって。

IMG_5612.jpg

 寒風の中をたどり着いたのが、North Endという店。9年前に初めてこの街に来たときにもお世話になった、イギリス式のパブです。
 そこそこ混雑してるな・・・あ、今日は土曜日か(笑)。
IMG_5606.jpg

 Korenwolf witbierというオランダの白ビール。美味い。1パイントだけどぺろっと呑んでしまいました。
 せっかくなのでじゃあベルギービールがあったらもらえないかな、と思って、お店のおねえさんに声をかける・・・ところで、やばい、と気づきます。

 ・・・ベルギーって、「ベルギー」で通じたっけ? 何て言うの?

 怪訝そうな顔でこっちを見てるおねえさんに、とりあえずダメ元で。
 「ベルギー・ビア」
 「ん?」
 えっとね、確か英語では
 「ベルジャン・ビア」
 「ん?」
 あかん、もう手詰まりや。

 そういえばブリュッセル行きの電車に乗ろうとして、すれちがった学生さんに「これ、ブリュッセル行き?」ときいたら、なんか違う地名を言われたりしたっけ。外国地名は微妙にやばい・・・。
 このおねえさんも英語しゃべってはるにはしゃべってはるけど、だからといってこのおねえさんにとっての「ベルギー」が、英語よみなのか、その他の例えばオランダよみやフランスよみのようなものがあるのか、そのへんはこのおねえさん次第じゃないか・・・。

 もう1回づつ「ベルギー」「ベルジャン」を言ってみたけど、おねえさんの顔の怪訝さが増していくだけなので。
 手で空中に地図を描きながら、
 「私には何と言っていいかわかりませんが、ここがニザーランド、ここがルクセンブルク、ではここは?
 まさかの、ライデンのイングリッシュ・パブでクイズ大会ですよ(笑)。

 「ああ〜、はいはい(笑)」
 通じた!

IMG_5607.jpg

 苦労して入手したのがこちら。
 あ、なんか日本で呑んだことあるわ。

 こんな感じで、この旅最後の夜、ビールをいただいています。
 イタリアを出るときは、バールもエノテカもなくなってしまってどうやって過ごそう、などと心配したものですが、ザルツブルクといいデュッセルドルフ、アムステルダムといい、美味くてワクワクするようなビールは土地土地にいくらでもあるんだなあということがよくわかりました。次の旅までにもっと勉強しとかないとなあ、って。
 こちらでいただいたビールに比べると、日本のビールの美味さはどこか水墨画チックなのかなあ、とか。

 このパブに貼ってあったプレート。

IMG_5609.jpg

 Sleep at home、ですね。
 帰りましょう。我が家へ。

posted by egamiday3 at 23:04| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・11日目その1「とっくに"潮時"が来てた」(1/12 アントワープ→ブリュージュ→ルーヴェン)


 おはようございます。
 11日目、1/12。
 明日、帰国便に乗ります。ということで、今日が事実上の旅の最終日です。

 最終日なんですが。
 えっと、いまなぜかスキポール空港駅にいます。

IMG_5439.jpg

 今日は朝一番、6時前の便でベルギーのブリュージュへ行こうとしたんです。
 したんですが、そのための特急予約券を買おうと、駅の自動券売機に向かったら。
 朝早すぎたせいか、まさかの、超まさかの、「機械がコインとデビットカードしか受け付けない」というトラップにかかってしまいました。そんな何十ユーロものコインなんか持ってるわけないじゃないですか。クレジットカードは受け付けてくれないし、札にいたっては、よく見ると挿入口すらないっていう。そして、もちろん窓口は開いてない。
 しかたないので、大きなスキポール駅の窓口まで行って、別便のチケットが買えるかどうかも含め相談することにしました。
 これに時間をとられてしまい、結果、当初乗る予定だった便よりも2時間遅い便に、ていう。

 それにしても、いまになって思えばイタリア鉄道は使いやすかったな、と思います。券売機でカンタンに座席予約もチケット予約もできたし、ユーレイルパスを持っていれば追加料金は一律10ユーロでしかなかったし、朝でも夜でもカンタンに買えたし、時間の遅れだってそうたいしたものじゃなかったはず。
 それに比べて・・・タリス(特急)とか意味不明に高いし・・・、今日最後にパリまで行っちゃおうかなんて、夢のまた夢なこと考えてた時代が自分にもありました・・・・・・。

 とかなんとか愚痴りながら。
 5カ国目、ベルギーに入国。
 乗り換えのためのアントワープ駅に到着しました。

IMG_5462.jpg
IMG_5453.jpg

 なんと!
 美しい駅舎世界一候補が、こんなところにおりましたな!!

IMG_5466.jpg
IMG_5460.jpg

 この鉄のカーブ! しかも赤!
 いろっぽい!(笑)

IMG_5457.jpg
IMG_5452.jpg

 そこへもってきて、この未来感、SF感すら感じさせるという。

 伝統感あふれるダンディな石造りの駅舎。
 赤い鉄のカーブ。
 何重にも重なるフロアと、吹き抜け、深くもぐっていくエスカレータ・階段。
 すべりこんでくる、なめらかな車体の特急。
 フランクフルトやアムステルダムを追い落とすとしたらこの駅じゃないか、ていう。

 今度またゆっくりこの街にも来てみることにして、とりあえずここで乗り換えてブリュージュへ向かいます。

 ブリュージュ。初。
 ベルギーの古都で、その歴史地区は世界遺産。レンガ造りの建物や運河、中世の面影を残すという街の景観から、「天井のない美術館」と賞されるほどである、という。
 こんな感じ。

IMG_5488.jpg
IMG_5503.jpg
IMG_5519.jpg
IMG_5536.jpg
IMG_5540.jpg
IMG_5560.jpg
IMG_5570.jpg
IMG_5561.jpg

 こんな感じ、なんですが。
 正直、ちょっとぐるっと見て歩いただけで、いまや早くも帰ろうとしています。正味、1時間くらいしかいなかったんじゃないかな、6時間近くかけてたどり着いたのに(笑)。

 ブリュージュ、確かに、綺麗な公園のような街でした。けど、しばらくぶらぶら歩いてみてもいっこうに心が動かされません。あまりにも綺麗すぎ、整えられすぎてて現実感がないというか、ほら、いかにも綺麗だろう?こういうところを観光したいんだろう?と押しつけられているような気さえする、綺麗すぎ感。そのせいか、尻が全然落ち着かなくて、まったりものんびりもできない。ちょっとお店でも入って休もうかと思っても、どこもみな観光仕様だし。

 たぶん、この旅の1日目とか2日目とかにこの街に来ていたら、もうちょっとはしゃいでたんでしょう。
 ですが、もう11日目です。
 私はここまで、遺跡とともに生きるローマや、白さがまぶしいオストゥーニ、歩いても歩いても路地の街ヴェネツィア、左京区っぽいパドヴァ、様変わりしたザルツブルク、市場、学生街、ブルワリー、B級グルメ、などなどを目まぐるしくまわってきました。11日かけて。
 その末に、「はい、綺麗な中世の街並みです」と、超オーソドックスな観光地を見せられたところで、まあピンと来ないのもしょうがないかな、という感じです。この街に魅力がないとかではぜんぜんない。

 要するに、この旅にはとっくに"潮時"が来てた
 そういうことです。


 綺麗な公園のような街・ブリュージュをあとにして、さてこのまま帰るのもなんなんで、ルーヴェンに立ち寄ってみることにしました。
 ルーヴェン。8年ぶり2度目。
 ルーヴェン大学がある、ベルギーの大学街です。

IMG_5581.jpg
IMG_5582.jpg

 なんか、ビニール袋で自作したポンチョをかぶったおこさまたちが、街中にたくさんいて、グリーンなエコ啓発運動みたいなことをしてらっしゃいました。きゃっきゃはしゃいでた。つかつかとあたしの前に寄ってきて、トリックorトリートののりで声かけられたんだけど、言葉がわからないので微笑み返しするしかない、ていう。
 そんなんも含めて、ただ街並みが美麗なというだけでなくて、街として、学生街として現役で活躍している活気があるなあ、という感じです。そういうところのほうがやっぱり自分には楽しい。

 ちなみに、本屋があったので入ってみると、日本式マンガを並べる棚があるにはあったのですが、そこに並んでる本の作家名の半分くらいは韓国名だった、ていう。世界のマンガはもうそういうところまで来ていますね

IMG_5590.jpg

 ルーヴェン大学です。図書館の入っている建物。
 世界が平和であってほしい、と願わざるを得ません。

IMG_5602.jpg
IMG_5598.jpg
IMG_5593.jpg

 露天の市場も短いですが出てましたし、商店街もにぎわってて、観光地っぽさがなくホッとします。
 一方で、ツーリスト用のインフォメーションを地図を頼りに探してもいっこうに見つからない、一時間くらい街をぐるっとまわってたくらいにわかりづらかったりもします。観光向けと生活向けとを街として両立させるのは、むつかしいことですね。
 
IMG_5595.jpg

 HEMAという、このへんでいう無印良品的なチェーン店。8年前もここで買い物しました。
 海外で日用品を買うと長く愛用する、というジンクスが自分にはあって、このときにここで買った肩掛けカバンもかなり長いこと愛用してました。そう思って今回もカバンを買って帰りましたが、結果、ぜんぜん気に入らなくて終わった、ていう(笑)。

IMG_5600.jpg

 街角にワッフルやさんがあったので寄ってみました。ジェラートをもらいました、寒かった。


posted by egamiday3 at 22:29| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・10日目その2「このムリゲーこそがほんとのアムステルダム名物」(1/11 アムステルダム)

 
 ライデンの駅どまん前のホテルにインしてさっそくですが、Twitterのタイムライン上のみなさんの声にしたがって、とりあえずアムステルダムの国立美術館に向かうことにしました。

IMG_5373.jpg

 ライデン駅にて、オランダ名物・コロッケ自動販売機で、パスタのドライカレーが詰まったピリ辛コロッケ・1.5euをお昼のかわりとする。

IMG_5375.jpg

 アムステルダム。8年ぶり2度目。
 さすがアムステルダム駅の駅舎は、世界一と言っても過言ではないくらい美しいし、「東京駅がモデルにした」という俗説がうまれるくらいにはやっぱり似てるのかなあ、って思います。

 駅前のインフォメーションで一日乗車券と、いまさらのように紙の地図を購入します。実は今朝からネット接続が思うようにいかなくて、まあ最後くらいはiPhoneなしで動く感じです。ちなみにガイドブックもありませんから、カンと人助けと街の観察を頼りに動かないといけませんね・・・。

IMG_5380.jpg
IMG_5382.jpg

 地図と案内板やサインを解読して、アムステルダム名物・トラム(市内路面電車)で移動します。
 降りて歩こうとすると、これもアムステルダム名物・自転車が突っ込んでくるのであわててよけます。
 トラム・自転車・自動車が三者三様に攻撃してくる、というアクションゲーム、このムリゲーこそがほんとのアムステルダム名物「歩行者が一番苦労する街歩き」、です。
 しかもBGMは、水曜どうでしょうの予告編のけたたましいやつです。それはまあ、旅のタイムリミットがだんだんちかづいてきているということをも示唆しているのですが・・・。

IMG_5391.jpg

 自己主張の強い街だなあ(笑)。

IMG_5393.jpg

 ご存じアムステルダム国立美術館はただいま絶賛工事中です。
 工事中の中、いくつかをダイジェスト的に展示してるらしいので、まあさくっと見に行ってみるかな、くらいのノリで。
 行ってきます。

IMG_5396.jpg

 ・・・・・・ごめんなさい、さくっとどころの騒ぎじゃなかった。
 満腹です。
 レンブラントの夜警、大画面の迫力に、ほんとに照らされてるかのような灯り。
 フェルメール。光と影が相変わらずお美しうございました。
 ヤン・ステーンの馬鹿騒ぎ一家の絵。小憎らしうございました。
 商人の家を再現したミニチュアの家。デルフトの陶器。
 でもやっぱり一番お気に入りは、オランダの農村の絵(冬)。やっぱりオランダはいい、絵画はオランダに限るなあと思います。美味しうございました。

 美術館を出たところに市内絵地図があります。次にどこへ行こうか、ざっと見渡してみますと、南にちょっと行ったあたりに、日用品や食料品などのなんとなく”下町の商店街”っぽい絵が描かれた一帯があります。心ひかれるので、そっちへ向かってみましょう。

IMG_5399.jpg

 出ました。「水のある街はいい街」説、です。

IMG_5408.jpg

 歩いてきてみると確かに、歴史的とか中心的というよりは、地元の人たちがわいわいと賑わいにやってくるような、そんな空気の界隈になってきました。
 そして、

IMG_5410.jpg

 市場きた! 一気にテンションがあがる!
 なんだ、あるんじゃんこういうとこ、あるなら早く言ってくれればまっ先に来たのに(笑)。

IMG_5411.jpg
IMG_5412.jpg
IMG_5413.jpg
IMG_5414.jpg

 鯖の燻製、買って帰りたすぎる・・・やっぱり次に来るときはアパートタイプのキッチンのある宿じゃないとダメだな・・・。
 鯖丸ごとはさすがに無理なので、お肉やで手羽の唐揚げをもらいました。1トレー2.5ユーロ。スパイシーでからっとしてて鶏の脂が美味い・・・こんなん食べたの何日ぶりだろう・・・。
 それから、さっき地元のパン屋でもらったチュロスが、あまりに硬く、あまりに甘く、あまりに蜜っぽいのに驚愕。これ砂糖をかためて揚げた別の食べ物なんじゃないかと思うくらい。
 そんなふうにして、美術館よりもむしろ市場のほうをこそ、念入りに堪能しています。

IMG_5415.jpg
IMG_5425.jpg

 日がすっかり沈んでしまいました。
 街の中心街のほうへ戻ってみると、ライトアップされた運河やレンガの建物。
 かといって上品な感じというよりは、むしろ人びとがわいわいとにぎわっていて、はしゃいでいて、呑み食いしたり遊んだり路上パフォーマンスなんかしてて。店構えにしろ売り買いしてるものにしろその見せ方にしろ、なんとなくこの街全体に薄く流れる、享楽的というか猥雑な空気が、嫌いじゃないなあ、と。むしろ好むなあ、と。つくられた観光都市やおすまししたような歴史都市とはちがう、市民の直なにぎわいみたいなのが居心地よくて、あ、ここならふつーに住めるなあ、と思えます。(註:←この旅で何度目かの)

 で、実はさっきから、背後にあるアップルストアのwifi電波を拾って(笑)iPhoneで調べ物してたんですが、この街・アムステルダムにもブルワリーがあって(註:ハイネケンではない(笑))、ビールが呑める場所があるらしい。しかも、もうこの半日で随分となれたトラムの路線図から察するに、いま目の前にあるこの停留所から1本で行けるらしいじゃないですか。
 うんやっぱり、情報って大事だなあ(笑)。

IMG_5432.jpg
IMG_5435.jpg

 風車小屋が目印らしいBrouwerij't IJというブルワリーで、行ってみると、雪もちらつこうかという真冬の運河沿いなのに、外庭に山ほど人がたむろしてて、ほんとにちっちゃいグラスでビールを呑みながらぺちゃくちゃしゃべってます。そして店内に入ると、あ、これはみんな外に出てなきゃ無理だわ、ていうくらいの混雑ぶり。それほど広いわけでもない店内に、朝の満員電車ほどの人混みで、みな大声でしゃべりながら立ち飲みしてるし、そもそもビール買いにカウンターへたどり着くだけでもひと冒険なほどです。
 えっと、1杯だけね、これからライデンに帰らなきゃいけない身だからね。

IMG_5434.jpg

 いただいたその1杯はPlzen。酸味がきいてて美味い。
 そして、グラスが小さいから瞬殺。

 ・・・・・・ごめんなさい神様、もう1杯だけ。

 2杯目はIJwitという白ビール。
 さっきのよりは甘みがあるけども、濁りがない感じ。

 神様、あとブラウンなビールもあるみたいなんですけど、もう1杯・・・。
 いやダメだ、これは我慢しましょう。
 ライデンで降りなきゃいけない電車なのに、寝過ごしてブリュッセルまで行っちゃうとかリアルにありそうですから。

 なんにせよ、ここアムステルダムの街にも通いたい店、居着きたいエリアというのを見つけられました。めでたい話です。
posted by egamiday3 at 21:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・10日目その1「ここを最後のキャンプ地とする」(1/11 デュッセルドルフ→ライデン)


 おはようございます。デュッセルドルフの朝です。
 ちなみにいま泊ってるこの部屋は、ネット予約でよほど機械的に配当されたせいなのか、5台のベッドが並ぶファミリー向けの大部屋です。3台くらいで寝てやった(笑)。

 これからの予定です。

1/11 デュッセルドルフ→(ライデン泊)
1/12 (ライデン泊)
1/13 アムステルダム・スキポール空港発 → 1/14 京都着

 帰国までの残り2泊を、ライデンに宿ることにしました。
 スキポール空港は実際にはアムステルダムとライデンのほぼ中間くらいのところにあって、どちらからも電車で2-30分程度、大都市アムステルダムで無理に宿るより都合がいい、というトラベル・ハックです。アムステルダムみたいなところだと宿-駅間の移動だけでも一苦労になってしまいますが、ライデンなら小ぶりで徒歩にも適した街だし、大学の街だし治安もよさげだし、2度行っててそこそこ土地勘も馴染みもあるし、駅のどまん前にディスカウントなホテルがありますので。
 残り今日明日の2日はライデンに軸足を置いて、オランダ・ベルギーをまわることにします。

IMG_5339.jpg
 そうとう北まで来たんですね、朝7時でもこんなに暗い。

 ここからアムステルダムまでは、特急で2時間の便と、ローカル線乗り継いで3時間半、のふたつの選択肢があります。
 まだ朝早くて特急の便が少ないので、とりあえずローカル乗り継ぎのほうで行きます。
 予定ではこういうこと↓。
 Dusseldorf 0748  → Venlo → Eindhoven → 1122 Amsterdam

 さよなら、デュッセルドルフ。

IMG_5340.jpg
 夜明けの風力発電。

 それにしてもまだ朝早く、しかも国境越えのローカル線のせいなのか、客がほとんどいません。この車両には自分と、若い男女の旅人だけ。
 そのうちどこぞの駅に止まります。乗り換えるVenloという駅はまだ先なので、とりあえずぼーっと待ってます。
 インテリそうなおじさんが乗ってくる、あっちの男女に声をかける、何かしゃべった末に二人は降りていく。

 ・・・・・・列車が、いま来たほうへ逆に動きだす。
 えっ!? えっ!?

 本を読んでたおじさんがうっすらこっちを見てるので、「え、デュッセルドルフ?」と問うと、哀しそうな目で「Yes」とおっしゃる。
 まさかのリターン(涙)。

IMG_5341.jpg
 朝日の風力発電。

IMG_5342.jpg

 ただいま、デュッセルドルフ。
 なんだこのショートトリップ(笑)。

 結局、ふつーにアムステルダム行きの特急に乗ります。
 途中、ユトレヒト駅で降りて、ライデン直通の別の便に乗り換えることにします。
 ↓こう。
 Dusseldorf 0913 → Utrecht → Schiphol Airport → 1203 Leiden

IMG_5343.jpg
 デュースブルク駅。

 そして国境越え、4カ国目・オランダです。

IMG_5357.jpg

 絶賛新築中のユトレヒト駅で乗り換えて、ライデンへ向かいます。
 スターバックスがあるのを見ると、あ、イタリアじゃないんだなあ、と思います。

IMG_5362.jpg

 これこれ、オランダ鉄道は黄色。これ見るとオランダに来たなあって思います。

IMG_5366.jpg
IMG_5367.jpg

 とにかく延々水路がのびてて、たまに水たまりがあったり、水はけ悪そうに濡れて光る場所があったりします。
 そして風車。
 あと、ハイネケンの工場。

 オランダに、やってきたのだなあ。

IMG_5371.jpg

 ライデン。8年ぶり、3度目。
 ここを最後のキャンプ地とします。


posted by egamiday3 at 19:44| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・9日目その4「ビールを呑むために来たんです」(1/10 デュッセルドルフ)


 デュッセルドルフ。初。
 私はこの街のことを、正味、まったく知りません。かろうじて名前を語呂で聞き知ってたくらい。
 なんだけど、さっきググりましたら、ドイツ有数の経済・産業都市ということらしいです。どれくらいそうかというと、日本企業がたくさん進出してて、その規模が、ロンドン・パリに次ぐぐらいのランキングらしい、ていう。
 なるほどそれで合点がいったのが、JETROの出してる本に駐在員用の海外生活手引きシリーズ(http://www.jetro.go.jp/publications/series/1003/)みたいのがあって、「パリで暮らす」「上海で暮らす」なんかのタイトルの中にドイツは「デュッセルドルフで暮らす」てなってて、なんでデュッセルドルフなんだろうなあと思ってたんですが、そういうことですねたぶん。

 だからかどうかはわかりませんが、なんかふつーの都会だなあ、という気がします。

IMG_5323.jpg

 ホテルにインして、さっそく街を歩いているのですが。
 古都っぽさ、ヨーロッパっぽさで売ってるような、観光向けというような顔つきが見つからない。
 それよりも、随分と景気のいいというかバブルな街だなあ、という顔のほうが目立つ。ちょっと歩いてるだけでも、やたらとブランド店やショッピング・ギャラリーのようなところが、これでもかこれでもかというくらいたくさん並んでて、客がいてというバブルっぷり。なんか、福岡のにぎわいを思い出す感じ。

IMG_5327.jpg

 旧市街であろうこのあたりも、旧市街っぽさよりも繁華街っぽさがぷんぷんしてる。
 しかもその旧市街の行き着く先には。

IMG_5328.jpg
IMG_5331.jpg

 夜行観覧車に、上海かのようなタワーですよ。
 なんかいかにも、経済的に成功した果てのような、ヨーロッパに渡ってきてここしばらく見たことなかったタイプの眺めだなあって。

 といってもよくは知らないので、デュッセルドルフ批評はこのへんで。

 そんなことより、です。批評はどうでもいいんです。
 あたしはこの街に、ビールを呑むために来たんです
 ビヤホールです、ブルワリーです。覚え立ての。
 ネットで見つけた、デュッセルドルフのおすすめビアホールガイドを見ながら、ちょっとまわってみます。

 1軒目。
 Uerige、というお店。
 もう店に入るまでもなく、店の外、通り側のへりに人がずらっといて、ビールグラス越しにぺちゃくちゃとしゃべりまくってはる。中も、狭い店内にお客がたくさんいる。そんな感じのビアホール。

IMG_5325.jpg

 木造のムードのいい、本来ならじっくり尻に根を生やして呑み続けていられそうな、なんだけど、さてビギナーの自分にはシステムがわからない。座っていいの? 買いに行くの? キャッシュ・オン・デリバリーなの? 何が呑めるの?呑めないの? とオタオタしながら、とりあえず開いてる席に座ってみると。

 コトン。
 ・・・おっちゃんがビール置いてった。
 え、なに、あたしこれ呑んでいいの?(笑)

 まわりを観察してみると、なるほど、呑みほしたら、フロアを往来してるおっちゃんが次のグラスを追加してくれる、というシステムらしい。で、コースターに杯数をチェックして、会計、という感じ。
 ビールは、ほんとに小ぶりのまっすぐなグラスに入ってて、アルト・ビールだそうで、濃くて苦くて、美味い。なるほど、このくらいの濃さと苦さなら、このくらいの小ぶりさなグラスで、くいっといって、くぅっ、ていうのがちょうどいいなあ。
 よく見るとお客のテーブルにはほとんどフードらしいフードはなくて、みんな、くいっといくか、ドイツ語でくちゃくちゃしゃべってはるか。
 じゃああたしも、くいっと次へ行きます。


 2軒目。
 Fuechschen、という店。キツネがトレードマークらしいよ。

 さっきのお店は地元の大人が集うという感じでしたが、こちらの店の客層は若者+訪問者という感じ。若干趣が軽いし、客からの注文も端末でとるし、フードはセットメニューみたいなのだし、混んでるのは混んでるけどお客が整然とテーブルに座ってる感じ。
 今度は白ビールが欲しくて(註:アルトビールで名高いというデュッセルドルフさんごめんなさいm(_ _)m)、Silberfuchschenというのをもらいます。

IMG_5334.jpg

 さっぱりとした薄味で、思ったより香り高いというわけでもない。まあこんなものか。
 だらだら呑んでると、混んでるせいで相席になりました。向かいに若い若い、高校生か?と思うような兄ちゃんが座ります。英語しかしゃべれない様子で、ドイツ語のみのメニューと格闘してはる、そうだろうそうだろう、あたしもさっきだいぶ格闘した(笑)。
 ちょっと話を聞いてみると、サンディエゴからきた学生さんだとおっしゃる。すると隣の学生グループの女子のひとりが、あたしサンディエゴ行ったことある!みたいになったりする。
 そんな感じです。
 その女子の皿を見て、フードには期待できそうになかったので、次へ行きます。

IMG_5336.jpg

 値段書いてあるな(笑)。


 3軒目。
 Schlssel、という店。
 楽しくなってきたぞ、楽しいなはしご酒(笑)。

 店内は、木調なんだけど、洗われたかのように新しくて白い。
 ビールは、濃い色なので苦いのかと思ってたら、さっぱりとしているというか、麦の香りがえらく香ばしい。あれ、これ麦茶じゃないか?と思うような、不思議な風味。
 食事もというので、骨付きの豚肉を注文してみました。炙るほうもあるらしいのですが、豚の炙ったのなんか美味くてあたりまえすぎるので、ここは勉強のためにあえて塩茹でを注文します。

IMG_5337.jpg

 でかい(笑)。
 でかいんだけど、奥の奥まで塩味がしっかり染みこんでいるのと、ものすごくやわらかくてナイフフォークですいすいと切り分けていける(鶏肉か?と一瞬思う)のとで、ストレスなく純粋に美味い。あと、ザワークラウトがあったかくて美味い。マッシュポテトのバターがきいてて美味い。 

 美味い美味いと食べていると、隣に若者グループがやってきました。そのうちの女性ひとりをテーブルに残して、男性陣が全員注文か何かをしに行ってしまう。
 で、なんとなくその女性としゃべり始めます。ポーク好き?とか。このビールってなんか不思議な味するんだけど。ああ、そうかもね、このへんのローカルではそういう味だけど、とか。話すうちにだんだん楽しいというか、親しげな感じにお互いなってくる。
 なんだけど、しばらくして他のメンバーが戻ってきた途端、なんかこう、お互いにこうやってふたりきりでしゃべってたのがなんか悪いことをしてたみたいな空気になっちゃって、すうっと冷めてどちらも寡黙になってしまう。
 その空気が、逆におかしいなあ、って。この娘さんと自分とではあきらかに違う国の違う環境の、違う風習、違う人付合い文化の中で育ってきたはずなのに、なぜか、いまみたいなものすごい微妙な空気の感じ方は、ぴったり一緒なんだなあ、って。

 ええそうですよ、若干酔ってますよ。ビール3杯目ですから(笑)。この辺のビールなんかちょっと強いし。

 そして店を出ると、雨・・・。


 やらずの雨ということで、4軒目。
 Schumacher、というすぐそばの店です。

IMG_5338.jpg

 呑んでますよ。ええ、酔ってます。
 美味いですよ、ええ美味いです。

 ふう。 
 どうやって帰ろうかなあ。

posted by egamiday3 at 14:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月25日

201301eu・9日目その3「フランクフルト駅なりのダンディズム」(1/10 ミュンヘン→デュッセルドルフ)


【ミュンヘン→フランクフルト】

 ミュンヘン発1150、実際には12時過ぎにやっと出発したこの便は、このまま乗ってるとデュッセルドルフまで連れて行ってくれる高速な便です。約4時間半。
 さすが鉄道大国・ドイツの高速列車は格が違うというか、ホテルみたいな内装してます。

IMG_5158.jpg

IMG_5160.jpg

 車窓は、ごらんのように基本的に農村・曇りなので、暇つぶしに明日以降の旅程を考えたりしています。
 帰国便がアムステルダム発だから、もうアムステルダムの宿を拠点にしちゃって、そこからあちこちへ遠足に行くぐらいがいいんじゃないかなあ、とか。
 そういうことを具体的に考え始めるくらいには、もうこの旅も終わりに近づこうとしているわけです。旅の”終わらせ方”を考えているわけです。

 そして1504にフランクフルト駅着です。


【フランクフルト】

 フランクフルト。7年ぶり2度目。
 7年前の鉄道旅行では、長距離夜行の出発駅として何度もお世話になりました。
 何度もっていうのは、ホテルに泊まらず夜行で宿代を浮かすため、わざわざフランクフルト駅まで戻ってきてから長距離夜行に乗る、という愚行を複数回やったせいです。

 それはともあれ、フランクフルト駅の駅舎はかっこよくて結構好きなので、ゆっくり見たいのです。
 でも今回は、降りずにこのままデュッセルドルフ行く予定だし、ここでの停車時間短いしな・・・と思っていると。

 アナウンス。
 「*** delay ****」。

 え、なに、また遅れるの?
 しかも、いつ出発するかわからない、みたいなこと言うてはる。

 (・・・え、ていうか、イタリアなんかよりドイツの鉄道の方がよっぽど"遅れ率"多くないか??

 まあそういうことならというんで、急遽、もうここでいったん降ります。
 しばらくフランクフルト駅を堪能しましょう。

IMG_5189.jpg
IMG_5191.jpg

 これがうわさのイケメン駅舎・フランクフルト駅です。
 このアイアンな屋根。実に男らしく、シンプルで飾り気のない出で立ち。
 すらっとしてスマートな直線と、大きくつつみこむような包容力のある半円。
 かっこいいっ!!(笑)

IMG_5196.jpg

 このカーブと赤い車体の組み合わせなんか、実にいい。
 昔気質で寡黙な伊達男、という感じ。

IMG_5197.jpg
IMG_5198.jpg

 そこへきてこの、石造りの駅舎と大時計ですよ。
 渋い色合いと、古典的な彫像が、大人の魅力を際立たせているという。
 やっぱいいもの持ってるな、と。
 フランクフルト駅なりのダンディズム、とはこういうことかと。

 遅い昼食ということで、駅構内に軽食店がたくさんあるのですが、ハンバーグやチキンの焼いたのをどっさり積み重ねて売ってる店が気になってます。あれ、手づかみで立ち食いするの?と不審に思ってひとつ注文してみたら、パンに挟んで売ってくれました。2ユーロで分厚くてでかいハンバーグにかぶりつくと、それなりの満足感はあります。


【フランクフルト→デュッセルドルフ】

 フランクフルト発、1544。
 さっき乗ってきた便、まだ出発してませんでした(笑)。その後どうなったかは知るよしもないという。

 さきほどのは高速列車で一気に北上するのですが、いまあたしが乗り継いだこっちの便は高速な列車ではなくて、ライン川沿いを在来的に走るやつです。
 だから本来なら車窓がライン川で、この上なく、ヨーロッパ内でも一二を争うほどのシーニックなルート、なはずですが。

IMG_5259.jpg
IMG_5285.jpg
IMG_5311.jpg

 まあ、そりゃどんな景観も、曇天と日没には勝てません(笑)。
 ていうか、曇りすぎてだいぶ寝てたし。寝てたんですよライン川沿いで、信じられん。
 ローレライとか、過ぎたかどうかもわかってないし。
 一応、1枚目の左上、山上に立ってるのがなんらかのお城です。わかんないって(笑)。

 そんなこんなで、1831、おおむね定刻通りデュッセルドルフ駅に到着しました。
 ほぼ9時間でした。おつかれちゃん。

posted by egamiday3 at 04:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・9日目その2「"Ost"ってドイツ語、聞いたことあるな」(1/10 ザルツブルク→ミュンヘン)


 【ザルツブルク→ミュンヘン】

IMG_5156.jpg

 というわけで9日目・1/10の今日は、まずザルツブルクを0951に出発、ミュンヘン方面へ向かう列車に乗っているところです。

 どうやら今日のドイツはどこも一日雨模様らしいので、観光・街歩きはあきらめ、終日電車ですごそうと思います。
 鉄道王国・ドイツに身をまかせる、の巻です。

 なのでさっきから、iPhone・iPad mini・ノートパソコンを駆使して、ヨーロッパ鉄道乗り換え検索アプリや、時刻検索webサイトのデータベース、そして自炊して持ってきたトーマスクック欧州時刻表のPDFを一生懸命調べてるわけですが。
 いっこうに、いいルートが決まらない。
 ぜんぜん調子がでないんです、こいつらデジタルツールだと。データベース検索なんかつまんないルートしか出ないし。それだけでなく、アナログをスキャンしただけのPDFですら、めくるのがまどろっこしいせいか画面では視野が狭いせいか、ぜんぜんいい乗り換えが構築できない。
 やっぱ時刻表がないとだめだ。重くてかさばっても、紙の、冊子の時刻表がないと、いいルート・いい乗り換えは見えてこないのだ。それが証拠に、イタリアのときはイタリア国内分だけを破り取って持ってきてたので、そっちに頼りっきりでしたもの。
 で、結果いまどうしてるかというと、PDF見ながらめぼしい便のダイヤをノートに書き写して、自作の紙時刻表をちまちま作ってるという。これは徒労すぎる(笑)。

 それでもああでもないこうでもない、と。今日の宿はどこにしよう、ベルリンにしようかライプツィヒにしようかフランクフルトにしようかケルンにしようか、いっそ夜行でパリまで行けないか、などといろいろ繰りまくった末。
 とりあえずデュッセルドルフを目指します。
 理由ですか。えっと、ネットをうろちょろ見てたら、デュッセルドルフのおすすめビアホール一覧が紹介されてたからです(笑)。
 明日の目的地・オランダもすぐ近くだし。

 そんなドイツ鉄道の車窓は霧雨です。

IMG_5157.jpg

 ドイツの牧草地。ドイツのなだらかな丘。ドイツの黒い森。石や木の農家の屋根。
 どれもみな霧雨の中です。


 【ミュンヘン】

 ルートもおおむね決まったところで、1124、ほぼ定刻通り、電車がミュンヘン駅に到着しました。

 ミュンヘン。初。
 さぞ大都市かと思ってたけど、降りる人もそんなにいなかったし、駅舎もそこまで整備されてるわけではない。よくある、鉄道駅は中心街からはずれているパターン、かも。
 などと思い巡らしながら、ただ乗り換えるだけではなんだというのでいったん外に出てみることにします。
 駅前もそんなに栄えてないから、やっぱり中心街はもっと先のほうとかなのかなあ、と。
 まあじゃあ、ミュンヘンはこんなもん、ということで、駅舎だけでもじっくり拝んでから、乗り換えを。

 駅舎の壁にでっかく、「Ost」って書いてある。
 ん、「Ost」ってドイツ語、あたし聞いたことあるな、西だっけ、いや、東か・・・。

 「ミュンヘン"東"駅」!!!
 中央駅とは別!?!?!?

 定刻通りにミュンヘン駅に着いた、んじゃない。
 遅れて、ひとつ手前の"東駅"に着いて、そこで降りてもうたんや!

 荷物をひきずって駅内にかけ戻る。電光掲示板、紙で貼ってある時刻表、iPhoneの検索、どれをどう繰ってみても、この駅からはザルツブルク行きとかヴェネツィア行きとかの列車しかありません。

 ・・・あ、ヴェネツィア行っちゃう?

 いやいやいや(笑)。

 しかしいくら鉄道大国とは言え、日本のJRなんかとちがって、東駅から中央駅へ行くだけでも本数はだいぶまばらで、ここで結構な足止めをくうことになりそう。
 こまったな、代替案を思いつこうにも、まずミュンヘンという土地のことを何ひとつ知らんのです。
 そう思って駅の壁をきょろきょろと見やると、地図らしきものがある。慣れない国の初めての街でも、都市交通システムにそうそう特異なものはないはず、落ち着いてその地図を読み解けば大丈夫、と信じて。
 ・・・・・・。
 「Ost」(東)から「Hbf」(Hauptbahnhof・中央駅)まで、この色の線が延びてる。地下鉄に乗れ、いうことやな。

 というわけでここに急遽、「初のミュンヘン市内を、見知らぬ地下鉄で移動する」アトラクションが開催されました。
 
●スタート
→壁の地図と路線図をしっかり目に焼き付ける。
→→中央駅方面の終点駅名を記憶。「○○行き」ホームを探すため。
→→複数路線を色分けしてあるので、その色も区別して記憶。
→地下鉄駅へ向かう案内板を探す。
→→地下鉄だけでなくローカルな交通がいろいろあるらしく、どれがどれか区別がつかない。
→→壁の地図に戻る。
→地下鉄駅フロアへ移動。
→→自動販売機の表示を解読。
→→一番スタンダードなシングルチケットを入手。
→ホームに降りて、「○○行き」側のホームを確認。
→→切符を”ジジッ”っていうのをやってないことに気づく。
 (註:ここには改札はないけど、切符を自分で機械に通してチェックさせないといけない。「ジジッ」はその機械音。)
→→急いで階段を上へ戻る。
→→”ジジッ”てする。
→→かけ下りる。
→→ホームに電車がやってきてるので飛び込む。
○ゴール

 なにこの双六ゲーム(笑)。

 息の荒いのがおさまりきらないうちにミュンヘン中央駅に着きましたところが、まあ、大きい大きい、東駅を3-4まわりくらい立派にしたような、何十本もの列車が止まってるターミナル。これでしょう、これでこそミュンヘン駅でしょう(笑)。

 で、ディスプレイを確認したら、なんのことはない。
 もともと乗り継ぐつもりだった次の列車が、20分近く発車遅延でまだ止まっててくれてた、ていう。

 やあやあ、待たせたな諸君。出迎えご苦労(笑)。


posted by egamiday3 at 04:29| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月21日

201301eu・9日目その1「つゆ音なうものなし」(1/10 ザルツブルク)

 
 ザルツブルクの朝。

 まず朝一で、この街の丘に登ります。

IMG_5001.jpg

 この写真の向こうの丘の上にみえる薄黄色い建物。あれが教会で、あのお山の教会まで登っていく坂道があるので、軽く行ってみる、という。

IMG_5057.jpg

 リンツァー通りに面したこれが、登り口です。

IMG_5094.jpg

 とはいえ、ほんとに短い。早朝のまっ暗な道ですが、あっというまです。

IMG_5108.jpg

 教会があります。時間的には開いてるはずの時間ですけど、入っていいのかな・・・。

IMG_5113.jpg

 戸が開いたので入っちゃいましたが、人もいない、照明もない、つゆ音なうものなしで、耳が痛いくらいの静寂の中で動けずにいます。

 外の空き地から、朝のザルツブルクを見渡します。

IMG_5123.jpg
IMG_5132.jpg

 逆サイドから降りると、こんな感じの民家と階段になります。

IMG_5145.jpg

 街のパン屋で朝食をとって、宿を出ることにします。
 駅までバスのつもりですが、次の電車までそこそこ時間が迫ってます。昨晩の宿には女性スタッフの人がいて支払は済ませてたのですが、荷物をまとめて出発しようとすると、宿のコモンなルームにいた男性に話しかけられる。「ここのオーナーだよ」とおっしゃる彼はあれやこれやと矢継ぎ早に話題をふって話かけてくるので、大変申し訳ないんだけど「ごめんなさい、電車が出ちゃう」って、逃げるようにして去ってしまいました。いかにもゲストハウスのオーナーらしい、フレンドリーにお客と小粋な会話を楽しむのが自分の仕事だよ、みたいな感じで、つきあってあげられなかった、「なんでムンバイなの?」て聞いてみたかったな、と思うとちょっとだけ心残りです。

 ザルツブルクはこんな感じです。
 観光スポットらしいところにはほぼどこにも行ってないのに、語ることだけはこんなにありましたね(笑)。
posted by egamiday3 at 21:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・8日目その5「美味い店を教えてくれる友」(1/9 ザルツブルク)


 この旅の様子はその都度リアルタイムでTwitterに書き込んでいたんですが、あたしがザルツブルクに向かっていると知ったとある方が、「おすすめのブルワリーがあるよ!」とおっしゃるのです。Augustiner Brau(アウグスティナー・ブロイ)というところで、17世紀に修道院の醸造所としてできたという。
 せっかくなので、教えに従って行ってみることにしました。
 webサイトやGoogleマップで確認すると、街の中心地からちょっと歩くけど、まあ行けないことはない。そう思ってとぼとぼ徒歩で向かうのですが、もうそれなりに夜の時間帯なせいか、さっきから人っけがさっぱりない。ていうか基本車道で、歩道も狭い。時折車がひゅんひゅん通り過ぎていくばかり。夜の薄い街頭の下、山際の岩をくりぬいたトンネルをくぐって行く。どんどん心細くなっていく、これ、オーストリアみたいな治安よさげな国だから併記で歩いてるけど、国が国ならこんな夜道やばいなあ、と。
 しかもGoogleマップ通りの場所にやってきたところが。

IMG_5092.jpg

 ・・・どこに酒場があるって??
 この暗がり、いつ暴漢に襲われても文句言えなくないか?

IMG_5091.jpg

 住居表示通りならここだけども、どうみたって民家か何かだろうこれ。ちきしょうGoogleマップめ、またもや騙しやがっ・・・。

IMG_5091a.JPG

 あ。
 ここ↑に「Brau」って書いてある。 

 ダメもとでおそるおそる、このいかにもふつーのお宅っぽい扉を押してみますというと、ぎぃぃっ、と開く。

IMG_5080.jpg
 
 え、やっぱ私有地か何かじゃないのここ、黙って入って許される雰囲気なんか全然ない・・・。

 ・・・あ。ほわっと、脂の匂いがする。
 脂の匂いに混じって、酒の香りもちょっとする。
 耳を澄ますと、さっきから聞こえるあの機械音みたいな騒音は、人のざわめきなんじゃないか。

 ゆっくり敷地侵入していくと。

IMG_5081.jpg
IMG_5088.jpg
IMG_5086.jpg

 あった、酒場があったよ!

 いやいやいや、わかりづらすぎるだろうと(笑)。
 店の外は戒厳令下のような人気のなさだったのに、このでっかい地下ホールの人混み具合といったらどうでしょうか。
 なんだなんだ、クラシック音楽と貴族様の街かと思ったら、ただのビール好きの集う隠し蔵ががありましたねこんなところに。

 とはいえ、初めて来た身にはなかなか”システム”がむつかしくって、屈強なビール注ぎ職人(?)がわんさといて、どこでどうすれば何をどう買えるのかとかそういうのをおっかなびっくり教わりながら、もうサイズとかビールの種類とかも満足に選べないくらいのたどたどしさを経て、あまりにもでかくて重くて背高な陶器の(陶器だなあ)ジョッキをようやっとのことで入手。
 それからフードコートのほうで、値段もメニューも注文システムもさっぱりわからんところを身振り手振り指さしで、なんやようわからん食べ物を入手。

IMG_5083.jpg

 ・・・やばい。
 これは美味い。やばい。いや、これはいい意味のやばいを大幅に通り越して、本来の意味でやばい。
 これを覚えてしまったら、明日から不幸になる。

 ビールが美味い。美味いに決まってるじゃないですか、この、濃くて甘くて酸っぱくて芳しい、筒いっぱいのビール。
 豚肉を炙ったのが美味い。いや、豚肉を炙って美味くないわけがないから、それはいい。この脇のつけあわせ、いっさい期待してなくて店のおばちゃんのいいなりで注文させられただけの、このポテトがけしからん美味い。酸っぱい、じゃがいものザワークラウト煮、とでも言うような味。やばい、こんなんどうやって作ったらいいかわからへん美味い。

 あたしはてっきり、ビールを楽しむと言えば”パブ”だと、ギネスだと、クローバーマークの店を探せと、ばかり思ってました。「アイリッシュ」で検索、ばかりでした。
 甘かった、「ブルワリー」「ビアホール」で探せばこういうところにたどり着けるわけですね。
 もうダメです、あたし、今後はブルワリーだけ行きたい。

 兼好法師はおっしゃいました。
 良き友とは、医師、知恵者、物をくれる友。
 すみません師匠、4つめの「良き友」に「美味い店を教えてくれる友」をぜひいれておいてください(笑)。
posted by egamiday3 at 21:24| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月19日

201301eu・8日目その4「「PEPITA」という名の店が簡単に見つかったんです」(1/9 ザルツブルク)


 15年前のザルツブルクの想い出、2つめはイタリアン・レストランです。
 名前を「Bistoro PEPITA」と言います、マッチもらって帰ってしばらくお香に使ってたから覚えてる。

 レストランといっても、まあそのへんにある定食屋っぽい、若い人たちががやがやと集まって飲み食いしてるというような庶民的なところでした。通りから奥まったところにある、ちょっと薄暗い石造りの店で、でもお客に人気で活気があって、おかみさんがフロアで接客してて、旦那さんが奥の厨房で料理してて、という感じ。おかみさんも、英語しかしゃべれない自分にてきぱきと慣れた感じで対応してくれるし、コルゴンゾーラのラザニアなんか美味いに決まってるし、若い人たちががやがや飲み食いしてるようなところだから外国でよく味わう”自分・場違い感”的なのが微塵もないので、すっかり気に入ってしまいました。このときはザルツブルク2泊したんですが、この店を気に入りすぎて2晩ともここで食事したし。おかみさん、また来たの、って迎えてくれたし。
 しかも、気に入りすぎて色気が出たというか甘えが出たというか、2晩目には、メニューはなさそうだけど自分は今日シーフードが食べたいんだ、そういうパスタできる? とか図々しく頼みやがって(笑)、でも、ああいいよ、適当に作ったげる、って、その注文もさらっときいてもらえたという。まあ、とはいってもザルツブルクの定食屋で手に入るシーフードなんか、冷凍のシーフードミックスなわけで、それでも美味かったというか、ありがたかったし楽しかった、こんな店見つけられてよかった、って心底から思ってました。カニかまが入ってた(笑)。あれ何?って聞いたら、冷凍庫からシーフードミックスの袋を持ってきて(客に見せるなよそれ(笑))、ああそうそう、「SURIMI」だ、って教えてくれはった。なんと、魚の”すり身”はもはや世界語かと。ていうか、そんな質問にいちいち向き合って無駄話してくれはるような、フレンドリーなおかみさんだったし、無口だけど愛想のいい旦那さんでした。

 そういう想い出があったので、15年経ってもまだそのお店あるんだったら、ぜひ行ってみよう、と思ってたわけです。

 これも、宿と同じくリンツァー通りにあるはず、と探し探し歩いてたら。
 「PEPITA」という名の店が簡単に見つかったんです。

IMG_5056.jpg
IMG_5073.jpg

 ところがPEPITAはPEPITAなんだけど、「Cafe PEPITA」って書いてある。
 あれ、じゃあ、カフェという看板で食事も出してたんかな、と思いはしたんですが、通りに面した店構えといい、奥につながる通路の照明の明るさ、椅子・テーブル・装飾品、どれもこれもいかにも”おしゃれなカフェ”。ザルツブルクに来て、何度も味わったのと同じ、あれ。
 一応中に入ってみますと、確かに通りから奥まったところにある、という地形感は15年前と同じなんだけど、いや同じなのはその地形だけ、あと名前だけで、庶民的な定食屋なんかどこにもない。あるのは、ここもやはり去年一昨年あたりに新しくペンキを塗ったであろうピカピカの壁、透明感あふれるガラス、小洒落た内装や小物に囲まれた店内で、ああ、こんなん京都駅や新風館やに行ったらいくらでもあるわというような、カフェ開店マニュアルに模範としてでてきそうな、”おしゃれなカフェ”。

 ・・・で、名前は同じ「PEPITA」? どういうこと??

 適当にラテ的なものを注文(註:ラテ、ていうから、イタリアンなんだなやっぱり)してみます。フロアの年輩の女性、まああのおかみさんではないんだけど、でもやっぱりそれなりにフレンドリーな感じだったので、あの、実はね、という感じで尋ねてみました。
 「実は私は15年前にここに来たことがある。レストランがあった。名前をPEPITAと言った。その店はこの店だろうか?」
 その女性、わかりそうなわからなさそうな表情で、がんばってお話してくださいました。

 曰く、確かにそう。14-5年前のことなら、ここにレストランがあって、同じPEPITAという名前だった。
 数年前にオーナーが変わって、店のやり方も変わった。
 でも、名前はそのまま同じものを使っている、と。

 そういうことか・・・。
 いまちょっと、いろいろしんみりして薄く泣きそうな感じになってます。

 15年、という年月が実際に経っているんだなあ、って。

 フロアの女性も奥にいる若い娘さんももちろん当時とは別の人だし、店内はいちいちおしゃれだし照明はくっきり明るいし、メニューはよくある写真帳みたいなやつだし、ちっちゃなバーカウンターみたいなのがまたよけいにおしゃれだし、奥にはまともな厨房なんかなくて、軽食を電子レンジその他で用意してるだけのような感じだし。
 だけどこの女性も娘さんも、飲み食いしてる地元のグループのお客たちと楽しげにおしゃべりしたりしてて、そういうフレンドリーさというか、心意気みたいなものはいっしょなのかな、って。

 いろんなものが変わってるけど、奥まった地形と、心意気と、名前だけがこの場所に残ってるんだなあって。

 うん、やっぱりすごくしんみりします。

 いまごろあのおかみさんや旦那さんはどこでどう過ごしてはるんだろう。
 みたいなことを考えながらしばらく過ごして、店をあとにします。
 リンツァー通りの、きれいに塗られた壁、ピカピカのショーウィンドウ、つるつるのタイル。
 「オーナーが変わった」というよりは、この街全体が変わったということだろうな、と思います。

 ・・・帰ろう。
 ここはもう、自分の知ってるザルツブルクじゃない。










 (↑なんだ、えらそうに(笑))

posted by egamiday3 at 07:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月17日

201301eu・8日目その3「おまえのその声をもらうよ。」(1/9 ザルツブルク)


 15年前、初めての海外・ヨーロッパ旅行でこのザルツブルクに来たときの、いまでも強く残っている想い出がふたつあるんです。
 その想い出の場所に行ってみよう、というのが今回ザルツブルクに立ち寄った一番の理由でした。

 ひとつは、宿。

 ザルツブルクに到着して、もちろんそのときも予約・予定なしの鉄道旅でしたから(笑)、駅のインフォメーションで安宿を紹介してもらいました。リンツァー通り(旧市街通りよりもちょっと広めのにぎわった通り)、聖セバスチャン教会という教会の向かいで、街一番くらいの安宿、たぶん2-3000円程度だったんじゃないかな、そんなだからその建物自体を探すのも苦労して、石造りの建物と建物の間にはさまれるようにほんとにここかと思うような狭い狭い入り口があって、開けるとすぐに階段になってる。

 初めて海外旅行で、中世から続く古い街の、得体の知れない建物の、まっくらな石の階段を、おそるおそるとん、とん、とん、と上がっていくと。

 大柄な老婆。まちがいない、グリム童話の古洋書の挿絵から抜け出てきたような、老婆
 真っ白な頭髪に、魔女のものとしか思えない立派な長いかぎ鼻、しわくちゃな顔、白いカーディガンに真っ赤なショールをまとって、木の椅子にでんっと腰かけ、身体の前に杖をついて両手を載せ、階段をおそるおそる上がってくるひとりの東洋人を待ち構え、にらみつけている。

 「ここに泊りたいっていうのは、おまえかい」

 ヤバい、と思いましたよね。ここに泊ったら、宿代のかわりにおまえのその声をもらうよ、とでも言われるんじゃないかって、そりゃ思いますよね。
 部屋についてるテレビが流れてるのがまた、よけいにリアリティ出ちゃってるし。

 しゃがれた声(でも英語)で、
 「一晩○○シリング(まだユーロじゃなかった)だ。風呂は共同、朝飯はない。いいんだね?」
 「はい・・・(消えそう)」
 「よし、これが鍵だ。部屋はこの上だよ」
 みたいな感じで、ああ、泊まれるんだ・・・と思ってほっとしてると、その魔女の人が突然大声で、
 「マリアーっ!マリアーっ!!」
 と叫ぶ。
 何事かと思ってると、上から階段を降りてくるもうひとりの小柄な老婆、なぜかボーダーのTシャツ、短い髪はびしょびしょで、小脇に洗面器を抱えてるっていう(笑)。

 「ついてきな」

 怖いよ(笑)。

 小間使いの老婆に案内されてまっくらな石段をさらにとんとんと上がる。上がった先に小部屋の扉がある。どうやらここがその部屋らしく、小間使いの人に促されて鍵を開ける。
 ・・・あれ、開かない?
 鍵を入れて回す。開かない。逆かと思って回しなおす。やっぱり開かない。回しなおす。開かない。
 「なにやってんだいおまえ、貸しな」
 と鍵を奪われ、小間使いの人の手もとをよく見てると、同じ方向に2回まわすと開く、という。
 「しっかりしろ、若造!」
 とペチンと肩をはたいて、小間使いの人は去って行く。

 やっとのことで部屋に入れて、まあ部屋自体にまったく不足はないものの、ここまでのやりとりですでにぐったり、精気を吸い取られるという意味ではやっぱり魔女だったな、くらいにぐったりしてる。ところへ。

 ぐわぁぁんっぐわぉぉんっ! ぐわぁぁんっぐわぉぉんっ! ぐわぁぁんっぐわぉぉんっ!

 大音量の鐘の音が、疲れた我が身をさらに打ち砕くわけです。
 何が起こったかと。もう身体の休まる暇もない。
 ああ、そういえばすぐ真向かいが教会だった、その鐘が夕刻を知らせてる、しかもこの階って鐘楼と同じ高さにあるんじゃないか、だとしたら、ほぼ真横で鐘が鳴ってるわけだ。これはきついぞ、耳が物理的にきつい。しかもいつまでたっても鳴り止まず、まとわりつくように響いてうっとうしさすらある。
 そう思って、通りに面した部屋の窓をがたっと開けてみると。

 でっかい天使が、いばらのトゲの中でもがき苦しんでいる、ていう。

 教会の壁面に、木だか石だかで彫られたかなりでっかい円形のレリーフが掲げられているんですが、何かしらのキリスト教的な逸話の一場面か、意味のあるデザインなんでしょうかね、天使がいばらのトゲに苛まれているというシーンが彫られてて、それが、部屋の真ん前に、っていう。

 なんだよこれ(笑)。

----------------------------

 という、そういう強烈な体験をした”魔女の宿”の想い出があって、まあなんだかんだで楽しかったしいい想い出だったし、気に入って2泊しちゃったくらいではあるので、あの場所へ行ってみよう、と考えたわけです。

 その、15年ぶりのリンツァー通り、ですが。

IMG_5055.jpg
IMG_5058.jpg

 先ほどの旧市街同様。やっぱり新しくなってる・・・。
 建物の壁はきれいに塗られてるし、ガラスのショーウィンドウがどこも明るい。大きなブランドやチェーンっぽい名前の店、あるいは、コンビニエンスでファーストな構えの店がたくさん並んでる。足下なんてごっそりリフォームされた、ぴかぴかのタイル。アメリカの地方都市の、あ、ちょっと歴史のあるところなんだね、くらいの装い。

 ほんとか? ここほんとにあのザルツブルクか?
 まちがえてパラレルな世界のザルツブルクに来てないか?
 それくらいの勢い。

 その通りの中ほどにある、聖セバスチャン教会。

IMG_5067.jpg

 壁が、とても小綺麗でおしゃれなレモンイエローに塗られてる。すっぽり、レモンイエロー。
 先月建てられました、て言われても不自然じゃない。↓入り口の装飾がこうじゃなかったら気づかない。

IMG_5059.jpg

 いばらのレリーフ? ないない。そんなもんどこにもないです。

 確かめようと思って、周辺ぐるっと見回ってみました。おしゃれでムーディーなカフェやバー、レストラン、車や不動産的な立派なショーウィンドウなんかが並ぶ、新しい小道ができてました。そんな感じです。
 お向かいには、ホテルらしきものがあった、ような気がします。すぐにでも泊めてもらえそうな、明るい、ウェルカムな感じの。
 この日は遅かったので入れなかったのですが、翌朝になって教会の中にお邪魔してみました。もしかして、改装のタイミングでレリーフが中にしまい込まれた、みたいなパターンかなって思って。うん、いや、そんなんどこにもありませんでしたけど。

 ・・・・・・あたし、夢見てたのかなあ、15年前。

 あの石段。あの窓。天使といばら。かぎ鼻の老婆。小間使いのマリア。

 やっぱりあの人は魔女か何かで、全部幻覚として見せられただけなんじゃないだろうか。
 声こそ奪われなかったけど、あの人たちのほうが水の泡となって消えてしまったんじゃないだろうか。
 そう思わざるを得ないくらいの、変わりよう。

 でも、この教会の鐘、あの鬱陶しいほど長々と、まとわりつくように鳴り止まない鐘の音。
 それだけはあのときと確かに同じ、だと思うんです。

posted by egamiday3 at 17:53| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・8日目その2「現れましたね、ラスボスが。」(1/9 ザルツブルク)

 まあまあ、無事に宿までたどりついたわけですが(笑)。
 今回の宿は、個人が雑居ビルの一部をゲストハウス的に運用しているようなところで、コンセプトはヨガとかオリエンタルとかそういう感じのこだわり。あたしの指定された部屋の名前が「ムンバイ」なわけです、モーツァルト・ハウスすぐそこなのに(笑)。

IMG_4989.jpg

 あと、さすが個人経営というか、チェックインしに来ても人が誰もいなくて、ドアに「Mr. EGAMI」って書いた紙が貼ってあって、めくるとパスワードが書いてあって、横のセーフティボックスを開けると部屋の鍵が入ってる、ていう。なにこの平和ぼけセキュリティ(笑)。だってこのビル自体にだって鍵も何もなく自由に入れたんですよ、フリーすぎるだろうと。でもこれで、この街の治安の良さがわかりますね、そういうことなんだなと思います。

 とりあえず日が沈みきる前に、15年ぶり2度目のザルツブルクをざっくり散策しに行ってきます。

IMG_4995.jpg
IMG_5001.jpg

 街を一歩出て、すぐにあれっと思うのですが、なんとなく街が小綺麗になってる。
 クリーンという意味よりは、これまでこの旅で何度か味わってきた、最近風の改装されたあっけらかんとした明るさのようなものの、最たる感じ。前回来たときは、古びてどこか薄く汚れた感じの古都っぽさがあったように思うんだけど、なんかもう、街中デッキブラシで磨いて、蛍光灯も全部LEDにして、天井も床も張り替えましたよ、というような感じ。
 街全体がいかにも去年一昨年あたりにできましたよ、って顔をしてないか?ていう。結構な古都のはずですよ、ここ。

IMG_5010.jpg
IMG_5015.jpg

 ゲトライデ通り。ザルツブルクの旧市街、歴史・観光の中心になる古い時代からの通り。
 のはずなんだけど、あれ、ここ、なんでこんなに新しいの?という感じになってる。やっぱり、一昨年できましたよって言われても知らない人は信じかねないレベル。

IMG_5014.jpg
IMG_5013.jpg

 こういう昔の看板とか壁の彫り物・レリーフはそのまま残されてて、この通りに顔を向けてます。ていうか、この手のレリーフや看板が、この通りの景観の売りなんじゃなかったっけ、と思います。けど、この周囲の壁とかはこれあきらかについ最近塗りましたね、ていう。だから、かつては、街全体が古いからこの古い造形物もここにあります、ていう感じだったのに、いまでは、博物館的にここに残してあります、みたいな飾られ方になっちゃってる。そういう、違和感。
 ガラスも街灯ももはや21世紀だし。店も、流行りのファッション的なのがファッショナブルに並んでるし。足下の石畳も、きれいにカットされてごしごし磨き上げられた石がはめこまれてる。東京の新名所、って言われたらちょっと信じちゃうくらい。

 15年前、初めてのヨーロッパ旅行で訪れたザルツブルク。
 ヨーロッパまだ2-3日目で、街らしい街はほぼ初で、そのいかにもなヨーロッパの古都っぽさに浮き足立ちながら、一筋一筋をなでるように歩いてた、街。通り。
 それが今日は、さっきから頭上にでっかいハテナマークがずっと浮かんだままです。
 ・・・・・え、こんなだった? こんなじゃなかったよね?、と。
 こんなビフォー・アフターはいらんだろう、と。

 現れましたね、ラスボスが。
 ジェントリフィケーションのラスボス。これをジェントリフィケーションと言うのかどうかはよく知らないですけど。じゃあなんていうんだろう、ファスト風土化?

 例えば、ザルツブルク老舗のカフェとかレストランとかあったはずだし、前回来たときにそういうとこになんか入った覚えがあるにはあるんだけど、正直、もうそういうところわざわざ探そうとか、入ってザッハトルテなりアップル・シュトゥルーデルなり、っていういかにもツーリストなうきうきした感情がわきおこらない。
 だって、たぶんいまそれいただいても、京都のコトチカあたりで食べるのとたいしてかわんなそうなんだもの。

IMG_5023.jpg
IMG_5040.jpg
IMG_5076.jpg

 もちろんハプスブルク家の古都なので、その遺産的建物の人たちはずいぶんきらびやかです。煌びやかです。貴族様の街だなあって。

IMG_5029.jpg
IMG_5024.jpg

 ここは墓地のある教会・聖ペーター教会。山のお城の足下あたりにあります。
 その歴史は7世紀末まで遡るんだそうで、敷地内には、もう閉まってましたが、カタコンベ(岩をくりぬいて造られた、キリスト教初期・古代の墓所)もあります。

 墓地だから気持ちも粛っとするし、土葬だと思うとちょっと背中や肝がひんやりする思いになるんだけど、なんとなく立ち去りがたくてずっと回遊してたい静けさや空気の冷涼さみたいなのがある。京都の人のいない禅寺の庭のように。
 墓標ひとつひとつの装飾がまた、金細工や何やでいい工芸をしてるので、そういうのに囲まれてぼおっとたたずんでいる感じになる。
 そうすると夕刻なので、あちらやこちらやの教会の鐘が大きく鳴り響く。鐘の響きに身が浸っていく感じがする。
 そういうところです。たぶんザルツブルクに次に来たときも、またここに来るんだろうな。いや、ここに来るためにザルツブルクに立ち寄ってもいいくらいなんだよな、って思えるところです。そういう場所があるのは、やっぱりうれしい。

IMG_5054.jpg

 これはザルツブルクで有名らしいB級グルメ、ボスナ。焼きたてのジューシーなソーセージにカレースパイスをたっぷりかけて、ホットドッグにしたもの。パンもカリカリで、文句なくうまい。まあ、そういえば昼食はちゃんととってなかった気がするので、うまかろう(笑)。

 まあ、もう早くもB級グルメ話を投入しなきゃいけなくなるくらいには、古都っぽさを語れるネタがあんまない、っていう。

posted by egamiday3 at 12:50| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月16日

201301eu・8日目その1「GPS整備されまくった21世紀でも、叫びたい」(1/9 ヴェローナ→インスブルック→ザルツブルク)

 
 おはようございます。8日目です。
 今日はいよいよイタリアを離れます。もうそろそろアムステルダムへ向けてちゃんと北上を始めないと、という感じです。
 念のため、この先のスケジュールを確認しておきますと。

1/9 ヴェネツィア → ザルツブルク
1/10 ザルツブルク → (未定・ドイツ北部あたり?)
1/11 (未定)
1/12 (未定・オランダ附近にいてたい)
1/13 アムステルダム → 1/14 関西空港

 ちょっと考えながら移動しないといけない。

 というわけで、今日の目論みはこんな感じ。

venezia-salz.JPG

 Venezia 0650 → 0800 Verona 0904 → 1232 Innsbruck 1308 → 1507 Salzburg

 赤のヴェネツィアから黄色のザルツブルクまで、距離も時間も長いように見えますが、途中2度の乗り換えがあるし、実質乗車は6時間くらいなのでリハビリ感覚で。

 もはや住み慣れた我が家。さようなら、ヴェネツィア。
 やっぱり好きだった。
 ・・・・・・。
 あ、感傷にひたってる間にもうヴェローナに着きました。1時間、瞬殺です。

 ヴェローナ。初。
 ヴェローナといえばロミオとジュリエットであり、観光に吉なロマンチックな街としてガイドブックではあおられてる感じですが、鉄道駅はその旧市街からやや離れたところにあるということらしく、駅前はもう、こう。

IMG_4749.jpg

 車、びゅんびゅんですよ。アメリカかと。モータリゼーション全盛かと。今後「ヴェローナ」と聞いてももうこの風景しか思い出せないですよ。
 この車道風景か、もしくはこういうてらてらした看板。

IMG_4756.jpg
 「ロミオぉぉぉぉっ! その名前を捨てて、このあたしと50万ユーロを手に入れてぇぇぇぇぇぇっ!!」

 車びゅんびゅんなのもなるほどと思うのが、このヴェローナという地は西にミラノ、東にヴェネツィア、そこからさらに北のドイツ・オーストリア方面へ向かうための中継地点のような位置づけらしく、ロミジュリの舞台になるくらいに”都市”だったのもそういうことなのかなあ、と。

 しかもこのイタリア・ヴェローナの駅には、DB、つまりドイツ鉄道(旧国鉄)のチケットオフィスがちゃんとある、ていう。
 そしてこれから乗る列車は、ミュンヘン行きのオーストリア鉄道(旧国鉄)・OBBの車両です。

IMG_4759.jpg

 もうあれです、ロミオ〜っとか言ってる場合じゃない、鉄道的にはドイツ・オーストリア圏にそこそこ足つっこんでる状態です、すでに。そういう土地柄のようです。
 シートにはドイツ鉄道名物のパンフがもう置いてあるし。このパンフは各便ごとに、全シートに1部づつ配布されていて、この列車の旅程・時刻・各駅での乗り換えや駅サービスなんかが一覧できるようになってるという、鉄道旅にはすごくすごくありがたいお役立ちツールです。

 来ましたよ、鉄道大国!

 というわけで、ヴェローナから北、アルプス方面へ向かうと車窓はこんな感じ。

IMG_4773.jpg
IMG_4801.jpg

 山、川、畑、集落、教会。ほっとします。そして、眠くなります。
 眠くなったり、起きたり、することがないのでノートパソコン取り出してメールチェックしたりしてます。左目で北イタリアの山並み。右目で来年度予算案のExcel
 さらに国境が近づいてくると、雪が目立ってきます。
 そして、どうやらこの駅の向こう側がオーストリア、ということのようです。

IMG_4858.jpg

 イタリア語・Brennero、ドイツ語・Brennerがこの駅の名前のようで、もう随分手前あたりから駅名は両語併記になってましたね。
 で、国境の峠を越えるとこんな感じ。

IMG_4869.jpg
IMG_4875.jpg

 2カ国目、オーストリア入国。7年ぶり3度目。
 さっき国境を越えたところでもう早速、検札の車掌が・・・、
 「グリュスゴット」(オーストリア語の挨拶のことば)

 ・・・【速報】・・「グリュスゴット」、きたあああーーーっ!!・・・

 紛うことなく、オーストリアに来ました。オーストリアと言えばグリュスゴットです、まちがいない。

 それにしても、いまは国境越えるっつっても実にあっさりしたもんだなあと思います。15年前の鉄道旅行でオーストリア入国したときは、でっかい銃を肩から提げた口ひげの軍人さんがパスポートチェックしに来て、
 「どこ行くんだっ」
 「・・・ザルツブルクです・・・」
 「ザルツブルク。ふんっ」
 って威嚇されて、そういうのが国境を越える度毎回だったんですけど、いまはもう、飴ちゃんでも配ってくれそうなおじいちゃんがにこっと「グリュスゴット」っつって来るだけ。その車掌制服が、1週間見慣れたイタリアのそれとがらっと変わってるということで、あ、国が変わるんだとやっと気づくくらい。
 でも、自分で頭はちゃんときりかえないと、もうここからはグラツィエもスクージも使えないのです。ユーロ使えるだけまだぜんぜんまし。

 峠を越えてしばらくくらいで、乗り換えの街・インスブルックに到着します。

IMG_4916.jpg
IMG_4906.jpg
IMG_4895.jpg

 インスブルック。15年ぶり2度目。
 2度目っつっても、前回も今回もただの乗り換えです。
 駅前をざっと見て、ああ、トラムが新しいなあ、とか。見上げる雪山の様子が、長野の街の駅前みたいだなあとか、長野ってオーストリアをパクってるんちゃうか(笑)、とかそんなん。

 ところで、イタリアの鉄道では特急・急行に乗る度に別途追加のチケットが必要でしたが、オーストリアではそういうことはなく、基本的にこのユーレイルパスだけで行けるっぽいです。
 そういった旅行事務を確認しながら、インスブルック発、ザルツブルク向かい。約2時間です。

 上記の地図のルートにもあるように、インスブルックからザルツブルクへ行くのに、いったんドイツ内を抜けていきます。
 早くも3カ国目、ドイツ入国。7年ぶり3度目。
 そして、もはや検札すらない(笑)。そのかわりに、キットカット配りに来てくれはった。EU万歳!(笑)
 ドイツの車窓がこんな感じ。

IMG_4965.jpg

 ところどころ木が密集した森らしきところが見えます。ドイツといえば森です。シュバルツなバルトです。

 そして、これもやっぱりあっというまに、ザルツブルクに到着です。正直、ふだんから通勤に片道2時間弱かけてると、このくらいの移動は旅行でもなんでもないなというか(笑)。

IMG_4985.jpg

 ザルツブルク。15年ぶり2度目。
 駅舎も駅前もごっそり改装されて、これもイタリアと同じなのか、いかにも最近のはやりっぽいピカピカとした明るい造りになっています。もうこうなってくると、イタリアなのかオーストリアなのかJR九州なのかよくわかんないくらいの勢いです。

 駅前バス乗り場の自販機で、公務員試験かというようなパズルめいた表示を必死に読み解いて、24時間券を買うことに成功。これはよし。
 で、中心街へ行くバスは、3番ね。あ、これか。3つ4つくらい先ってことかな。
 というようなことを確認しながら、iPhoneのGoogleマップと窓の外とを見比べています。
 さすがiPhoneは便利だなあと。慣れない街の慣れないバスなんか、昔はどこへ連れて行かれるかこわくて乗るのもあれだったけど、こうやって現在地を確認できて・・・。

 ・・・・・・自分がいま乗ってるバスが逆方向行きだ、ということが、Googleマップに表示されている
 ほんとにiPhoneは便利だなあ・・・(涙)。

 すぐに降ります。
 田舎道に公民館と病院らしき建物、自転車ではしゃぐお子さま、地元のおじいちゃんと買い物袋さげたおばちゃんがバス停のベンチに座ってる。
 ・・・ここ、どこよ!?
 いや、わかってんねん、iPhone見てるからここがItz・・・なんとかはうぷとしゅとらーせ、ってことはわかんねん。
 でも、わかってても、GPS整備されまくった21世紀でも、やっぱり叫びたい。
 ここ、どこよ!?(笑)

posted by egamiday3 at 10:13| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月11日

そこに図書館は出てこない

 
 あれは何年か前のことでしたかね。
 友人の家で何人か集まって、鍋してたですよ。それでレンタルのDVDの映画をみんなで見てて。
 ネタバレになっちゃうんでタイトル出しませんけど、医療系の社会派ミステリーですね、現代日本の、とある総合病院が舞台で。

 後半の大詰めのところで、病院の近くにあるショッピングセンターで大きな爆発事故が起こって、多数の、その病院のキャパをゆうに超える規模の負傷者が、一気にその病院に運び込まれてくる、ていうめちゃめちゃ緊迫した展開になる。救急車が何台も何台も到着する、見る見るうちに床や敷地内が患者であふれだす。そんななかを病院中の医者が、看護師が、スタッフが必死になって、喚き、かけずり回るようにして、治療や手術やにあたっていく。
 それを見ながら友人のひとりが言うわけです。医者は偉いなあ、すごいなあ、って。こうやって人命に直接関わって助けていく仕事は、本当にたいへんだし、そしてすごいよなあ、って。それに比べたら我々図書館の仕事なんて、別に人命にも人生にも大きく関わるわけでもないし、こんな緊迫感もないし、ゆるい仕事だよなあ、って。自嘲気味に。自虐的に。

 でもあたしは、彼と同じくそのシーンを見ながら、まったくあさってなことを考えてたわけです。

 山ほどの怪我人が到着するので、あっというまに、あの、ころころのやつ、ストレッチャーって言うんですかね、怪我人を寝かせて運ぶためのキャスター付きの簡易ベッドみたいなやつです。あれがもう足りなくなっちゃうんです。そしたら、備蓄倉庫的なところからアレを持ってこい、つって、何かと思ったら、ビニールシートと寝袋の合体版みたいなやつが大量に出てくる。あたしあれ、あの映画で初めて見たんですけど、寝袋状のビニールシートの上に怪我人を寝かせる、長いベルトをシートの端と端に金具で装着する、看護師さんがそのベルトを肩からたすき掛けにする、そして看護師さんが走り出すと、怪我人を乗せたシートが病院の床の上をするするするっと滑るようにして運ばれていくわけです。えー、すごい、人間ひとりの重さなんて結構あるだろうに、あんな簡単に運べるツールがあるんだなあ、って。
 で、あんなのただの思いつきで開発できるわけじゃないよね、と思って。シートは摩擦を極力減らす材質にしなきゃいけないし、金具も人間ひとりの重さに耐えうる強度や形状にしないといけない、看護師さんがもたつかずに走れるためにはベルトの長さや角度もそれなりに計算されてないといけない。しかも、病院にあれを導入するためにはある程度単価も低くないとあれなんで、量産できる材質や形状でないといけない。
 そういったことが思いつきじゃなく科学的工学的に計算された上で、この人命を救助するためのツールが作られたんだとしたら、その背景には物理とか材料工学とか、各分野の研究成果というものがあるはずだと。そして、科学工学の研究なんて口伝だけで成り立つわけがもちろんなくて、それらの研究成果が生み出されていく過程には必ず何かしらの論文・文献やファクトデータといった情報があって、それに基づいて生み出されていくわけだ、と。それだけじゃない、そもそも、コロコロのストレッチャーだけじゃなくてああいうシート状のものも有事には必要になるんだ、そういうニーズがあるんだ、ということも、別に風の噂で広まるわけじゃないだろうから、なんらかの文献なりメディア的なものを通して、ニーズの現場からまったく別の場所の研究者や開発者に伝わっていく。

 そういう、研究成果だとか知見だとか過去の経験だとかそういったものが、何かしらの文献や情報ツールによって伝えられ、それに基づいてあのシートが生まれたんだとしたら、その根底の下の下のほうには、文献・情報を蓄積し、流通させ、効率的効果的に提供する存在、というものがあるはずなんだ、っていうこと。
 そういうことを考えていたわけです、病院の緊迫したシーンを見ながら。

 いま処方している薬だってそう。手術の機械だってそう。
 いや、そもそもいまがんばってるお医者や看護師の人たちが身につけている医療技術だってそう。
 口伝の職人じゃないんだから、ある程度というか相当程度は何かしらの文献・資料の上で成り立っているはずだし、その文献は天から降ったわけじゃない、何らかの方法でもって誰かしらどこかしらが、蓄積・流通・提供しているはずなんです。(もちろんそれはいわゆる学術雑誌や論文や、紙の形だけじゃないでしょう、デジタルだって灰色文献だって同じことで、ひっくるめて文献って言ってます。)

 例えば、それだけたくさんの患者が一時に押し寄せてくるので、トリアージというものをしなきゃいけなくなる、というシーンがあります。そういう対応が必要なんだ、そしてそれはこういうふうにやっていくのがいいんだ、ということも何らかの文献を介して医療従事者の間で周知され、あるいは議論・検討がなされたんじゃないかなって。それだけでなく、世間一般の我々にも、そういうことがあるんだということを知らせ理解を得るということも必要になる。そのための、新聞その他の報道というものがあったりする。
 救急車が何台も何台も押し寄せてきます。病院前が混雑しないように、なんとかがんばって交通整理してはります、そういうシーンもこの映画にはある。なんか、「渋滞学」ていうのがあるらしくて、交通その他さまざまな渋滞を解消するにはどうしたらいいかを考えるみたいな、そういう本(西成活裕『渋滞学』(新潮選書))を以前読んで、ああ、これって深刻だよなあって、対策されてないとこういう有事にはどえらいことになっちゃうもんなあって。その本で言われてたんですけど、渋滞解消には物理学や工学の専門家も、交通や社会学や政治・経済・法律の専門家も、心理学の専門家も、みんなで複合的に考えないといけない、ってあって、そうだよなあって。だから、こういう一見理工系の問題であっても、社会科学や人文科学がまったく無縁かっていったらそんなことはない。
 この映画の前半の方には小児科のシーンもあって、たくさんの絵本や折り紙なんかに囲まれた病気の子供たちが、看護師さんのオルガンにあわせて歌を歌ったりしてる。やっぱり、心が満たされ癒やされてこそ、健康っていうのはあると思うし、そういうものでたくさんの患者が救われているんだろう、ということも考えるわけです。
 宗教、思想・哲学、芸術、文学、人が自分や相手を思う想いの拠り所となるもの。人間がなんでこうも"文化"などというちっとも腹の膨れないものにこだわるのかっていったら、やっぱり、精神的な尊厳に満たされてないと生きていけないって思ってるからだと思います。

 そういう、たくさんの人たちがめいめいで学び、考え、開発し、生み出してきたもの。科学工学的研究成果や、データ、技術やスキル、知見・経験、失敗や警告、主張や思い、喜怒哀楽や人としての尊厳のようなもの。
 それが、あくまでも客観的な形で、不特定の人にも確実に伝わるように残されたものとしての、文献・資料。
 そして、それを蓄積し、流通させ、提供していくという、何らかの機能。

 それらすべてがいまこの瞬間、緊迫した病院内のあらゆる場所で、その威力を発揮している。爆発している。
 そういうことなんだろうなあ、って。

 いま、この映画に、図書館は出てきません。
 図書館員なんて一人も登場しません。

 でも、なんかこう、見えませんかね。
 この画面の背後の背後のずっと奥のほう、根底の下の下のそのまた礎のところ。または時系列で言えば、もっとずっとずっと手前の準備段階のそのまた以前の段階。
 そこに図書館があるのが、あたしにはたぶん見えます。
 職業病かよと言われるかもしれませんけど、うん、まあまあ見えます。まあまあくらいの薄さで、半透明で。

 もちろん、図書館だけがとは言いません、それはあたしがその中の人だからなだけですごめんなさい。あらゆる学術情報関係、研究教育関係、文献、出版、情報、文化資源とその生産や流通を担う業種や組織・機能の存在。それらひっくるめて、のことですけどね。

 そしてもちろん、この映画に限らないです。
 今日現在のいまここは安穏だったかもしれないけど、近い将来に起こるかもしれない、さまざまな種類の有事、事故、災害、被害。または、いま起こっているかもしれない人的な不安や社会的な危機。
 そういったものの背後の背後、礎、手前の準備段階に、文献・資料があって、図書館があって、あたしを含む我々図書館員がいる。

 人の”知恵”ってそういうことだと思うんです。

 そこまで想像して、自分の立場を真摯に自覚したら、とてもじゃないけど悠長なことは言っていられないんじゃないかって思います。やらなきゃいけないこと、整備しなきゃいけないところ、解消しなきゃいけない問題は、いまあたしが勤めているこの館内だけでも山のように積もり積もってるはずなんです。
 いまのうちに、ていうか、いまのうちだからこそ。"いつか"にとっての手前の手前であるいまだからこそ。去年の今頃も書いたけど、非常時は平常時の賜物、ということ。
 それが、数年後か100年後か明日明後日かはわからないけど、将来の”何か”を左右し、誰かを救うかどうかにつながるかもしれない。

 これが難しいところで、つながるかもしれないし、つながらないかもしれない、というあれなもんだから、相当程度ストイックに自覚しないと日常に流されちゃってどうしようもなくなるんだけど。

 でもそんくらいやれよ、と。
 そういう職業なんだろお前、と。

 そうすることが必ず誰かにとって何かしらの”力”になるんだって、信じてるから、この手前の手前な職業に就いてるんだろ、と。
 
 そういうふうに自分自身の尻を叩きながら、今日も一日ノンストップで、夢中になって働いてました。

 うん、明日もたぶんそうします。






 追記
 「そこに図書館がある」のが、あたしにだけ見えててもしょうがないんで、そういうことを社会的にも世間様にもご理解いただくという努力やアピール的なあれが必要なんだけど、っていう。


posted by egamiday3 at 22:12| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月10日

201301eu・7日目その3「肩に力を入れずに、それでも歴史が残る」(1/8 パドヴァ)


 もう帰っちゃおうかというくらいに堪能したのですが、とりあえずパドヴァの街をぶらぶらと歩いてみます。

IMG_4682.jpg
IMG_4685.jpg

 いくつかの広場があったり、賢そうなたたずまいの時計塔があったりします。時計塔の横のポールにはてっぺんにライオンの彫像があります。ヴェネツィアのライオンです、やっぱり関係のある土地柄なんだなあと思います。  

IMG_4675.jpg

 このでっかい体育館みたいなのはラジョーネ宮殿といい、もとは裁判所だったらしいのですが、いやこの、でっかいのに優男風みたいな容姿がいいじゃないですか。これはこれで賢そう。

 そういう表舞台な建物もいいんだけど、裏通りにまわって路地のありさまなんか見ると、さらに胸がきゅぅっとなる感じがします。これはいい。

IMG_4689.jpg
IMG_4691.jpg
IMG_4693.jpg

 古そうな建物はすごく古そうで、歴史的な街並みだなあ建築だなあとは思うんですけど、決してそれ一辺倒ではないし、”歴史”という単語からややもすると感じてしまいそうな厳めしさとはいっさい無縁な空気感。なんていうんだろう、古都としてのいかにもな自己主張みたいなのもないし、衒いもない。そう、ゆるい。歴史が、ゆるい。ゆるぅい。「ぅ」を入れちゃう(笑)。
 カジュアル、ていうことかな。アカデミックな古さでも、ヒストリカルでもアーケオロジックでもアーティスティックな古さでもない。現役の生活感をもまじえての、カジュアルな歴史的古さ。 
 そういう、(一見してですが)ゆるぅく、肩に力を入れずに、それでも歴史が残る、残していく。それができるっていうのはある意味、がんばって気合い入れて残していくこと以上に、すごい大事で学びたいなあって。自分が”街づくり”を勉強しに来るんだったら、ここに来るだろうなっていう。

 そうやって、何がもらえるでもないのに心中で褒めちぎっていると。

IMG_4699.jpg
IMG_4702.jpg

 パドヴァと言えば、の、パドヴァ大学のあるあたりに来たようです。あっちが政治学科、こっちが地理学科、ここは経済学科、という感じ。
 そして本部建物は、実は街のメインストリートのど真ん中でした。

IMG_4712.jpg

 ふつーにショップが入ってて、イルミネーションもあるし、気づかなかった。そして、やっぱりライオンがいます(入り口の上)。
 入れるところまでぶらぶらしています。観光客もそこそこ来るのかわかりませんが、大学グッズのショップがあったりします。

IMG_4706.jpg

 で、大学を出て、さてそろそろ帰るかどうかと思っていると。向かいの建物の入り口に警備員さんのいる詰め所があって、風が入り込むから寒いんでしょう、隙間に新聞紙を詰めている。その様子を何気なしにのぞいてると、どうぞ、入りな、みたいに誘ってきます。え、ここなんだろう? 公共スペース? もしかして京都でいうと新風館みたいなところ? と誘われるままに奥へ奥へと入っていくと、最終的に。
 ・・・料金所がある(笑)。
 有料じゃないか、なんだここ、と思ってよくよく見てみたところ、先ほど見た体育館みたいなでかい建物、ラジョーネ宮殿の中への入り口でした。
 せっかくなので入ってみると。

IMG_4721.jpg

 なにこれ、でかい(笑)。
 中ってこんながらんどうだったんだ、まんま体育館じゃない。
 天井も特徴的で、まっ暗で、キリスト教風神秘的な空気と装飾で、ああ、ここがノアの方舟なんだな・・・という感じです。
 その方舟に。

IMG_4722.jpg

 怖い・・・。
 なにこの巨大造形物・・・、夜になったら絶対暴れて、そして喰われるにちがいないわ・・・><;

 そんなふうにふざけているうちに、パドヴァの街も日が暮れていきます。もうヴェネツィアに戻らないと・・・。

IMG_4730.jpg

 という感じで、そろそろ駅へ、と街をとぼとぼ歩いていると、街角にふつーのスーパーマーケットが!
 外国の、ふつーのスーパーマーケット! これ以上のエンターテイメントが、極上のアトラクションが果たしてあるでしょうか!!
 というわけで、行ってきます!!

 ---(30分後)---

 行って参りました・・・堪能した・・・。
 そしていろいろ買っちゃいました。これからヴェネツィアに帰らなきゃいけないのに、荷物増やしてもうた(笑)。
 えっとまず、オリーブオイルとバルサミコ酢のミックスが、醤油パックみたいに1食分サイズの袋に入ってるの。携帯用、こちらではお弁当とかに入れるんだろうなきっと。
 それからちょっとわかんないんだけど、ポモドーロとオリーブのペーストがチューブに入ってるっぽいの。パンとかクラッカーにつけるっぽい。
 あとチーズ、ミント入りティーバッグなど。
 それにしても、乾麺パスタはもちろん、生パスタも山ほどの種類があるし、チーズも、ワインだって高級品としてでなく日常品としての超やっすいやつがいろんな種類あるんだけど、アジアンフード関係の食材や調味料が明らかに少ない。あらためて、この国にアジアンフードのつけいるスキはないんだなあと思います。
 
 帰りは、タバッキでバスチケットを買って駅へ。
 ヴェネツィアで夕食処を探しますが、昨日と同じく見つからないか閉まってるかで、やっと入ったヴェネツィア風居酒屋・
のお店に行ってみたら、結構な有名店だったっぽくて観光客様扱いとなり、まあそこそこ美味いけど高いなあ、というシーフードの盛り合わせでした。

IMG_4735.jpg

 イタリア最後の夜はそんな感じです。
 明日は朝一で、2カ国目のオーストリアへ向かいます。 

posted by egamiday3 at 15:59| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

201301eu・7日目その2「住むならここかな感は”左京区”のそれ」(1/8 パドヴァ)

 
 ヴェネツィア遊びについ夢中になってしまいました。
 そうです、今日の本来の目的「近隣の小さめの街に行く」をやらなきゃいけません。

 とりあえず駅から鉄道で、パドヴァの街へ急いで向かいます。

map_padova.JPG

 パドヴァ。初。
 ヴェネツィアからは鉄道で30分もしないくらいのところです。ここも古都として栄えた街ですし、あと、パドヴァといえばパドヴァ大学、ボローニャ大学に次いでイタリアでは2番目に古い大学のあるところです。そう、大学のある街はいい街です。

 駅を出てしばらく歩いていくと、中心街の始まるあたりがこんな感じ。

IMG_4651.jpg
IMG_4662.jpg

 まるっきり現代都市ではないけど、ボローニャほどいかにもこれが古都だあどうだあという感じもなく、もっと現役の生活感が強いのかなあ、と思います。ちょっとくだけた、そして落ち着いたゆるさ、気取りのなさ。
 だから、あ、ほんとに住んで生活するならここなんだな、って。「またか」という感じですが、なんでしょう、この例えが伝わるかどうかはわかりませんが、ボローニャの移住したい感が”東山区”や”中京区”に対するそれだとしたら、パドヴァの住むならここかな感は”左京区”のそれ、っていう。伝わるかなあこれ、伝わってほしいな(笑)。

 まあいいや、左京区感が伝わる伝わらないでうだうだ言ってる場合ではなくて、昼食にしたいんです。昨日のボローニャも昨夜のヴェネツィアも負けが続いてますので、ここらでほんとにいいお店でいい食事にありつきたいのです。
 例によってネットであたりをつけておいた店を探して、ひっこんだ路地にある、Osteria Dei Fabbriというところに来ました。

IMG_4670.jpg

 内装が木造調で、カジュアル町家風な感じ。カウンターバーもあり、ワインを主に出すお店らしく、壁には古い木製のコルク抜きが飾られてたり。これは住んでたら通うなあ、通いたい。

 そしてメニューを拝見して、思わずにったりとほくそ笑んでしまいます。
 イタリア語しか書いてない
 よっしゃ、これは明らかに地元の店(笑)、まちがいのないネイティブ感。
 対応してくれてるおかみさん(らしきフロアの女性)も、ほとんどイタリア語で片言の英語しかしゃべってくれないあたり、ネイティブ感ですまさに。
 とはいえ、こっちもイタリア語ができる人なわけでもなんでもないので、おかみさんに、
 「英語のメニュー、ない?」
 (ちょっと困った感じで)「あるにはあるんだけど、えっと、スタンダードな料理だけ」
 と、お互い慣れない英語でやりとりしてるんですが、なるほど、イタリア語メニューが本筋で、英語は抄出版という感じか。ちょっとじっくり読み解かせてもらいたいです、という感じで、テーブルにイタリア語メニュー、英語簡易メニュー、iPhoneのイタリア語辞書アプリ、ここはフリーマッケットかというくらいに並べてます。
 えっと、あ、ビゴリあるな。英語の方には鴨って書いてあるけど、これなんや・・・あ、ラグー、煮込みか。シーフードっていう気分なんだけど、どうしよう、前菜もらおうか。これは? ソードフィッシュだったらカジキでしょ、それがスモークされて、えっと・・・。
 「決まった?」
 早い早い(笑)。あ、おかみさん、横についっと腰掛けてきて、いっしょにメニュー見てくれてはる。じゃあ遠慮無く英語でききますけど。
 「えっと、ビゴリの、ラグーのほう、ひとつ」
 「シー。うん」
 「あとね、何かシーフードのアンティパストがほしいんだけど」
 「ん?」
 「シーフード。えっと、フィッシュ」
 「んん?」
 おい、シーフードでわからんか。
 えっとね、確か海産物系のイタリアの単語があったはずなんだけど・・・。
 「・・・ペスカトーレ?」
 「んんん?」
 ちっ!(笑)
 と、向かい側のカウンターの紳士客、ビジネスマン風で立ってエスプレッソ飲みながらフロアの女性たちとおしゃべりしてた人なんだけど、イタリア語でおかみさんにホニャラホニャラホニャラと言わはる。おかみさん、ああー、わかった、という感じ。この紳士が通訳してくださったらしい。
 後々観察してると、どうやらこの方は常連さんとかではなくこの店の関係者、ひょっとするとオーナーか何からしくて、レジ周りで書類片手にスタッフさんとあれこれ話をしてはる。そんなお仕事だから、英語もわかってくださったんでしょう。
 「これとこれとこれが、シーフードね。これはどう?」
 と、おかみさんが指してくれた料理ですが、あ、これ明らかに「バカリャウ」って書いてある、昨日の棒鱈じゃん・・・、イヤだ・・・。
 「これはノー。イェスタデイに食べた」
 「んんん?」
 だから(笑)。
 「ホニャラホニャラホニャラ」
 あ、また通訳してくれはった。そしておかみさん納得してる(笑)。
 「こっちのもフィッシュでしょ? ソードフィッシュ。これは何?」
 「そう。これ、カルパッチョ」
 ああ〜、カルパッチョか。やっとわかるイタリア語が出た(笑)。
 「いい、いい、カルパッチョもらう」
 「よし、よし」
 というわけで、どうにかこうにかオーダーできましたが、このときほど反省させられたのは、なんで自分はもっとイタリア語をまともに学んでないんだと。いや、ふつーのイタリア語なんかはいらない、ただ料理まわりのイタリア語は、どう考えたって熟知しておくべきだろう、自分、と。次にこの国に来るまでは、メニューでイタリア料理把握できるくらいの語学はいるだろう、と。いう反省をしながら、そわそわとお料理を待っています。

 1品目、カルパッチョ。ソードフィッシュのスモークに生野菜、トーストされたパン、バター。

IMG_4664.jpg

 一瞬、あれ?生ハム来た?と思ってしまい、一口食べても生ハム?と感じてしまいましたが、スモークな味が強いけど確かに魚、カジキを燻して薄く削いだ感じ。それだけでも美味いのに、下に敷いてある菜っ葉にはオリーブオイル・バルサミコ酢・胡椒がかかっていて、それと和えながら食べると美味い! そうか、生の魚(スモークだけど)とオリーブオイル&バルサミコ酢ってこんなにも合うのか、俺が甘かった!! 魚の方も美味くなるけど、そうやって浸しながら食べてるうちにカジキの魚の旨味がそっちに染み出ていってるから、これを今度はトーストされたパンにオリーブオイル&バルサミコ酢を吸わせて食べると、旨味とオイルと酸味とパンで4乗に美味い!!! 誰だ、二口目くらいに醤油が欲しいなどと一瞬でも思った奴は!! 誰だ、生魚にパンはいらんなどと不埒な考えを抱いた奴は!! そしてバター! バターなんか美味いに決まってるじゃないか!
 実際この旅の後、オリーブオイル&バルサミコ酢にはまってしまい、最近ではスーパーで買った鯖きずしをこれに浸していただくのが自分へのご褒美と化しているという。ありがとうございました。日々勉強です。

 そして、2品目来る前に、すでに「これはこの店でドルチェまで行くな」予想が立っています。

 2品目、ビゴリ。鴨のトマト味ラグー(煮込み)ソース。

IMG_4665.jpg

 ビゴリは、昨夜も出ましたが、ヴェネツィア近辺地域のローカルなパスタで、太くてかためなのが特徴です。いや、見たらあきらかに太いし、そして噛んだら堅いしまた噛みごたえが悪い。そして、なぜかそれがだんだんと旨みにかわっていく感じ。うん、これなら美味い。しかも鴨の挽肉のソースにローリエがたっぷりで、麺が太くてもしっかりコクがあるからいい。そして中盤からは、壺入りかけ放題パルメザンチーズを投入。パルメザンはヤバい(笑)、夢中。このビゴリなら、いい。

 で、ふつーにどれも美味いから、ドルチェもひねらずにふつーにティラミスをいただいてみたら。

IMG_4667.jpg

 椀入り。でかくないっすか(笑)。
 あれですよね、ほんとにこの店でがっつり作った”おふくろの”ティラミスですね、これ。だってさっきレジのところに現れたシェフ、肝っ玉母さんでしたもの、まちがいない。もちろんエスプレッソ込みで。
 もう2皿すでに食べてるのに、このティラミスを掬う匙がとまらない。いくらでも、いつまでも食べていられるティラミス。

 だめだ。この店は、この国はだめだ。
 この国にこれ以上いたら明らかに、太る。
 そしてここまで美味いともやは不幸になる。こんなものを食べたあとで、日本に帰国してどうやって生きていったらいいんだ。
 ティラミスがとまらんではないか。

 と、もうこの先の旅路は消化試合かウィニングランにしかならないんじゃないか、という勢いで堪能しています。

 イタリア語(料理語)、勉強しよう。マジで。

posted by egamiday3 at 15:58| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月06日

201301eu・7日目その1「続・歩いても 歩いても ヴェッネエエエツィアアアアッ」(1/8 ヴェネツィア)

 7日目の朝になりました。旅も後半に入ります。
 ところで、昨日今日あたりの就寝・起床の体内時計がほぼ現地時間に合ってきました。そうですか、合っちゃいましたか。これは帰国後の時差ボケが心配・・・。

 いまのところ心づもりしている旅程ですが、
 ・朝 朝のヴェネツィアを歩く
 ・午前・午後 パドヴァか他の小さめの街へ行く
 ・夜 ヴェネツィア 2泊目
 ・翌早朝 イタリアを離れてザルツブルク(オーストリア)へ向かう
 ということなので、今日が事実上最後のイタリアということになります。

 まずは、朝食前のヴェッネエエエツィアアアアッ散歩の巻です。

veneziamap.JPG

 ていうか、まだ朝6時半です。日も出てないまっ暗な早朝です。どのくらい早朝かというと、魚市場も開いてませんでした(笑)。

IMG_4517.jpg
IMG_4518.jpg
IMG_4522.jpg

 それでも行っておきたかった場所がありまして、昨夜渡ったリアルト橋と並んでもうひとつ、カナルグランテにかかる徒歩交通の要衝的な橋、アカデミア橋というところです。
 これがまた南の辺にある橋なので結構歩きます。歩いているうちに明るくなってきます、とはいえ、相当な曇り空のようで薄暗いです。でも、路地を歩く人出がどんどん増えてくるので、ああ、朝になってきてるんだな、とわかります。昨夜の心細さが嘘のように、狭い路地がみるみるうちに早歩きの通勤者たちであふれてくる。道が狭いからよけいにスピード感が増して感じられるので、ちょっとした競歩会場のようにも見えてきました。
 通勤、というよりも、多くは大学へ向かう学生さんたちなんでしょう。ヴェッネエエエツィアアアアッには本島内にヴェネツィア大学があって、おおかたの校舎もたぶんいま向かってる南西側にあるんじゃないかな。

IMG_4551.jpg

 そんなことを考えているうちに、アカデミア橋に着きます。
 橋の上から。

IMG_4534.jpg
 
 曇り空のせいでいまいちぱっとしませんが、こっちが東向きなので、晴れてると朝日がものすごくきれいな場所、なはずなんですよね・・・。こればかりは仕方ない。

IMG_4543.jpg

 水上バスも通勤時間帯を迎えてせわしなさそうな感じ。

IMG_4537.jpg

 このアカデミア橋の欄干にたくさんの錠前がかかっていて、あまりにも多すぎて錠前かけ専用のバーが併設されてるくらいで、まあどうせあれでしょう、恋人たちがここに鍵をかけにきて末永い愛がどうとかこうとかっていう、世界中のどこに行ってもありがちなやつなんでしょう。(註:やさぐれてませんよ)

 別の道をまわって帰ることにします。
 それにしてもさっきから小さなお子さん連れが多くて、なんだろうこれ、家族旅行の人たちか何かなんかな、と思っていたら。

IMG_4557.jpg

 小学校がありました。だからお子さんがたくさん歩いてたんですね。きゃあきゃあとじゃれあいながら校舎に入っていきます。
 ・・・あ、そうか。ということは、このお子たち&親たちは島内に住んでる人たちなわけで、こんなとんでもない世界的観光地で、ぎゅうぎゅうの島の中に尋常じゃない数の観光客が押し寄せる、夏となく冬となく人が道に押し合いへし合いしている、そんな中で日常生活を送っているお子たちだって、現にいるわけなんだなあ、と。一歩お外に出ると観光客と観光仕様の店でぎゅうぎゅうの。ハイシーズンなんか、どんなふうにして暮らしてるんだろうなあ、などと考えています。まあ、京都もいっしょですが(笑)。

IMG_4566.jpg
IMG_4561.jpg

 対して、先ほどから競歩五輪枠を争うかのごとくグングン歩いてくる学生さんたちのほうは、その流れと道筋を確認するに、どうも駅の方から列をなすかのようにやってきておられるので、島内からというよりは本土から大勢通学に来てるんじゃないかな、という気がします。ともあれ、やっぱり学生さんがこんなにたくさん出てくると、活気があってよいです。大学のある街は、いい街です。まちがいない。

IMG_4568.jpg
IMG_4569.jpg
IMG_4574.jpg

 ひたすら歩く感じになっています。
 歩いてるとよしなしごとが頭をよぎります。
 よぎって出てきた句を書き留めたら、↓こんなふうに、あやしくもものぐるおしい感じに。

---------------------------------

地図があっても迷う 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの  みつを

一筋まちがうと 水路にはばまれる 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの  みつを

もうあいているバールと まだあいていないバールとがある 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの  みつを

犬の”トラップ”が あちこちに落ちている 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの  みつを

気がつけば逆走してた 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの  みつを

街並みはうつくしいけれど 運河の水は濁りきっている 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの  みつを

●最優秀作品
地図通りではおもしろくないけど 地図なしでは歩けない でも地図通りにうまくはいかない 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの  みつを

---------------------------------

 ・・・みつをって誰だ(笑)。

 ところで、朝、といえばゴミ出し(笑)ですが、ヴェッネエエエツィアアアアッではカラスではなく海鳥によるゴミあさり被害がどうも困った感じのようです。海鳥同士が生ゴミを挟んで一触即発の対峙、なんて光景も見かけましたよ。
 で、海鳥対策のゴミ出しがこうなんでしょう↓。

IMG_4578.jpg

 ゴミがロープで宙づりに出されてる。これだと空中でストップできない鳥は手を出せない、ていうことなのかなあ、と。

 ぶらぶら歩いてて、ふとある門のプレートに目をやってみると、偶然にも「ヴェネツィア大学東洋学科」と書いてあります(Dipartimento Studi sull'Asia Orientale - Universit Ca' Foscari Venezia)。8年前、ここにお呼ばれして電子図書館の発表をしたのです。ああ、ここだったかあ、と懐かしい感じです。

IMG_4579.jpg
IMG_4581.jpg

 うん、えっと、それはいいんだけど、そろそろ本当に宿に戻って朝食にしたいな・・・。身体もだいぶ冷えてきたし、歩いても歩いてもこれじゃあきりがない。

IMG_4585.jpg

 そう思ってiPhoneで地図を見つつ歩いてると、なんか海側に出ちゃった。

IMG_4593.jpg

 おお、でかいっ。

 ・・・いやいや、そうじゃなくて帰ろうよ、寒いよ。

IMG_4579.jpg
IMG_4581.jpg

 あれ、ここさっきのとこじゃん・・・><

 またあるときは、あれ、いつのまにか逆方向に歩いてる・・・><

 地図通りにうまくはいかない ヴェッネエエエツィアアアアッだもの。

 などというコントに苛まれながら、なんとか宿のある駅近くになってくると、明らかに大学へ向かう学生さんたちの列、人波。学生さんなんだけどちゃらちゃらしてる感じではなくて、黙々と競歩に勤しんでいる、みんなこれから勉強しに行くんだなあという、きりっとしてて賢そうな人が多いなあと思う。でもってやっぱり活き活きとした感があるから、やっぱり「大学のある街はいい街」説は正しいんだな、って思います。

IMG_4609.jpg

 駅すぐ近くですが、あれ、この橋って見たことない。2008年にできた新人さんらしく、それで見たことないのか。なんか、いかにもいまどきのデザインって感じがするなあ。

IMG_4613.jpg

 この建物も、一見すると歴史ある昔からの建物のようですけど、実は最近できた新人さんで、いまどきのショップとかオフィスとかが入ってます(MUJI=世界の無印商品、とかも入ってる)。外観はこの街の歴史的建造物とほとんど同じで違和感がないので、説明書きの看板を見るまでそんな新人さんだということもうっかり気づきませんでした。
 そういえば、いままでこの街を散歩してきて3時間近く経つ(えっ(笑))けど、あらっ、と違和感を覚える外観の建物や、ミスマッチな景観に出くわした記憶がほとんどありません。ですが、かといって、ボローニャやオストゥーニの美しさとも、空気がちょっとちがう気がします。
 路地の街だから、歩いておもしろい、いろんな顔がある、変化に富んでる、それはそう。生活感がちゃんとある、観光地仕様ばかりの厚化粧じゃない、現代人が現役で使って暮らしてるのがわかる街、それはそう。なんだけど、その上で街並みや個々の建物、その景観というかスタイルというかそういったものに”ブレ”がない。景観の”背骨”がかちっとしてる、という感じがします。こんなに密集してごっちゃりしててるのにね。
 計画都市ってわけでもなさそうなのに”ブレ”がないって、己の欲するところに従いて矩をこえず、みたいでいいなあって思います。ヴェッネエエエツィアアアアッが好きな理由のひとつなのかもです。

 宿で朝食後、第2回戦ということで、さっき行きそびれた魚市場に行くことにしました。
 「えっ、まだ行くの!?」て感じですよね(笑)、でもあれです、何時間歩いても歩いても、不思議なことにこれといって”飽きた”という気持ちがわかないのです。ヴェッネエエエツィアアアアッのポテンシャルは半端ないです、ほんとに。

 しかも。
 我が輩の大好物の市場です!!
 テンションがあがるぅっ、血がたぎるぅっ!!

IMG_4631.jpg
IMG_4635.jpg

 なぜだ! なぜ我が宿にはキッチンがないのだ!! 
 捌かせろ!!

IMG_4628.jpg

 ヴェネツィア共和国の紋章がライオンだったので、まさにその幕がここにも張られてるんでしょうけど、魚市場にこの絵はちょっとシュールかなと。「おまえら、魚食え、魚」って言うてはるんでしょうか、ライオンが。

IMG_4626.jpg
IMG_4627.jpg

 野菜も食いましょう。
 ていうか、知らん野菜がいろいろあるから、やっぱりキッチンがほしい。
 捌かせろ。 

 ・・・あれ、そういえばあたし、今日はここを離れて周辺の小さな街に行くって言ってなかったっけ?


posted by egamiday3 at 05:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする