7日目の朝になりました。旅も後半に入ります。
ところで、昨日今日あたりの就寝・起床の体内時計がほぼ現地時間に合ってきました。そうですか、合っちゃいましたか。これは帰国後の時差ボケが心配・・・。
いまのところ心づもりしている旅程ですが、
・朝 朝のヴェネツィアを歩く
・午前・午後 パドヴァか他の小さめの街へ行く
・夜 ヴェネツィア 2泊目
・翌早朝 イタリアを離れてザルツブルク(オーストリア)へ向かう
ということなので、今日が事実上最後のイタリアということになります。
まずは、朝食前のヴェッネエエエツィアアアアッ散歩の巻です。

ていうか、まだ朝6時半です。日も出てないまっ暗な早朝です。どのくらい早朝かというと、魚市場も開いてませんでした(笑)。



それでも行っておきたかった場所がありまして、昨夜渡ったリアルト橋と並んでもうひとつ、カナルグランテにかかる徒歩交通の要衝的な橋、アカデミア橋というところです。
これがまた南の辺にある橋なので結構歩きます。歩いているうちに明るくなってきます、とはいえ、相当な曇り空のようで薄暗いです。でも、路地を歩く人出がどんどん増えてくるので、ああ、朝になってきてるんだな、とわかります。昨夜の心細さが嘘のように、狭い路地がみるみるうちに早歩きの通勤者たちであふれてくる。
道が狭いからよけいにスピード感が増して感じられるので、ちょっとした競歩会場のようにも見えてきました。
通勤、というよりも、多くは大学へ向かう学生さんたちなんでしょう。ヴェッネエエエツィアアアアッには本島内にヴェネツィア大学があって、おおかたの校舎もたぶんいま向かってる南西側にあるんじゃないかな。

そんなことを考えているうちに、アカデミア橋に着きます。
橋の上から。
曇り空のせいでいまいちぱっとしませんが、こっちが東向きなので、晴れてると朝日がものすごくきれいな場所、なはずなんですよね・・・。こればかりは仕方ない。

水上バスも通勤時間帯を迎えてせわしなさそうな感じ。

このアカデミア橋の欄干にたくさんの錠前がかかっていて、あまりにも多すぎて錠前かけ専用のバーが併設されてるくらいで、まあどうせあれでしょう、恋人たちがここに鍵をかけにきて末永い愛がどうとかこうとかっていう、世界中のどこに行ってもありがちなやつなんでしょう。(註:やさぐれてませんよ)
別の道をまわって帰ることにします。
それにしてもさっきから小さなお子さん連れが多くて、なんだろうこれ、家族旅行の人たちか何かなんかな、と思っていたら。

小学校がありました。だからお子さんがたくさん歩いてたんですね。きゃあきゃあとじゃれあいながら校舎に入っていきます。
・・・あ、そうか。ということは、このお子たち&親たちは島内に住んでる人たちなわけで、こんなとんでもない世界的観光地で、ぎゅうぎゅうの島の中に尋常じゃない数の観光客が押し寄せる、夏となく冬となく人が道に押し合いへし合いしている、そんな中で
日常生活を送っているお子たちだって、現にいるわけなんだなあ、と。一歩お外に出ると観光客と観光仕様の店でぎゅうぎゅうの。ハイシーズンなんか、どんなふうにして暮らしてるんだろうなあ、などと考えています。まあ、京都もいっしょですが(笑)。


対して、先ほどから競歩五輪枠を争うかのごとくグングン歩いてくる学生さんたちのほうは、その流れと道筋を確認するに、どうも駅の方から列をなすかのようにやってきておられるので、島内からというよりは本土から大勢通学に来てるんじゃないかな、という気がします。ともあれ、やっぱり学生さんがこんなにたくさん出てくると、活気があってよいです。
大学のある街は、いい街です。まちがいない。



ひたすら歩く感じになっています。
歩いてるとよしなしごとが頭をよぎります。
よぎって出てきた句を書き留めたら、↓こんなふうに、あやしくもものぐるおしい感じに。
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地図があっても迷う 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの みつを
一筋まちがうと 水路にはばまれる 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの みつを
もうあいているバールと まだあいていないバールとがある 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの みつを
犬の”トラップ”が あちこちに落ちている 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの みつを
気がつけば逆走してた 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの みつを
街並みはうつくしいけれど 運河の水は濁りきっている 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの みつを
●最優秀作品地図通りではおもしろくないけど 地図なしでは歩けない でも地図通りにうまくはいかない 人生だってそうじゃないか ヴェッネエエエツィアアアアッだもの みつを
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・・・みつをって誰だ(笑)。
ところで、朝、といえばゴミ出し(笑)ですが、ヴェッネエエエツィアアアアッではカラスではなく海鳥によるゴミあさり被害がどうも困った感じのようです。海鳥同士が生ゴミを挟んで一触即発の対峙、なんて光景も見かけましたよ。
で、海鳥対策のゴミ出しがこうなんでしょう↓。

ゴミがロープで宙づりに出されてる。これだと空中でストップできない鳥は手を出せない、ていうことなのかなあ、と。
ぶらぶら歩いてて、ふとある門のプレートに目をやってみると、偶然にも「ヴェネツィア大学東洋学科」と書いてあります(Dipartimento Studi sull'Asia Orientale - Universit Ca' Foscari Venezia)。8年前、ここにお呼ばれして電子図書館の発表をしたのです。ああ、ここだったかあ、と懐かしい感じです。


うん、えっと、それはいいんだけど、そろそろ本当に宿に戻って朝食にしたいな・・・。身体もだいぶ冷えてきたし、歩いても歩いてもこれじゃあきりがない。

そう思ってiPhoneで地図を見つつ歩いてると、なんか海側に出ちゃった。

おお、でかいっ。
・・・いやいや、そうじゃなくて帰ろうよ、寒いよ。


あれ、ここさっきのとこじゃん・・・><
またあるときは、あれ、いつのまにか逆方向に歩いてる・・・><
地図通りにうまくはいかない ヴェッネエエエツィアアアアッだもの。 などというコントに苛まれながら、なんとか宿のある駅近くになってくると、明らかに大学へ向かう学生さんたちの列、人波。学生さんなんだけどちゃらちゃらしてる感じではなくて、黙々と競歩に勤しんでいる、みんなこれから勉強しに行くんだなあという、きりっとしてて賢そうな人が多いなあと思う。でもってやっぱり活き活きとした感があるから、やっぱり「大学のある街はいい街」説は正しいんだな、って思います。

駅すぐ近くですが、あれ、この橋って見たことない。2008年にできた新人さんらしく、それで見たことないのか。なんか、いかにもいまどきのデザインって感じがするなあ。

この建物も、一見すると歴史ある昔からの建物のようですけど、実は最近できた新人さんで、いまどきのショップとかオフィスとかが入ってます(MUJI=世界の無印商品、とかも入ってる)。外観はこの街の歴史的建造物とほとんど同じで違和感がないので、説明書きの看板を見るまでそんな新人さんだということもうっかり気づきませんでした。
そういえば、いままでこの街を散歩してきて3時間近く経つ(えっ(笑))けど、あらっ、と違和感を覚える外観の建物や、ミスマッチな景観に出くわした記憶がほとんどありません。ですが、かといって、ボローニャやオストゥーニの美しさとも、空気がちょっとちがう気がします。
路地の街だから、歩いておもしろい、いろんな顔がある、変化に富んでる、それはそう。生活感がちゃんとある、観光地仕様ばかりの厚化粧じゃない、現代人が現役で使って暮らしてるのがわかる街、それはそう。なんだけど、その上で街並みや個々の建物、その景観というかスタイルというかそういったものに”ブレ”がない。景観の”背骨”がかちっとしてる、という感じがします。こんなに密集してごっちゃりしててるのにね。
計画都市ってわけでもなさそうなのに”ブレ”がないって、己の欲するところに従いて矩をこえず、みたいでいいなあって思います。ヴェッネエエエツィアアアアッが好きな理由のひとつなのかもです。
宿で朝食後、第2回戦ということで、さっき行きそびれた魚市場に行くことにしました。
「えっ、まだ行くの!?」て感じですよね(笑)、でもあれです、何時間歩いても歩いても、不思議なことにこれといって”飽きた”という気持ちがわかないのです。ヴェッネエエエツィアアアアッのポテンシャルは半端ないです、ほんとに。
しかも。
我が輩の大好物の市場です!!
テンションがあがるぅっ、血がたぎるぅっ!!


なぜだ! なぜ我が宿にはキッチンがないのだ!!
捌かせろ!!

ヴェネツィア共和国の紋章がライオンだったので、まさにその幕がここにも張られてるんでしょうけど、魚市場にこの絵はちょっとシュールかなと。
「おまえら、魚食え、魚」って言うてはるんでしょうか、ライオンが。


野菜も食いましょう。
ていうか、知らん野菜がいろいろあるから、やっぱりキッチンがほしい。
捌かせろ。 ・・・あれ、そういえばあたし、今日はここを離れて周辺の小さな街に行くって言ってなかったっけ?