塩野さんはじめ京大図書館のメンバーによる2013年1月アメリカ調査については、公開された報告書や、NDLさんのニュースレター寄稿などがもうすでにあるわけなので、そちらも参照。
●RDA導入に向けた米国図書館の現状について―米国図書館訪問記― | NDL書誌情報ニュースレター2013年1号 | 国立国会図書館-National Diet Library http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2013_1/article_02.html
●平成22年度国際交流推進機構基盤強化経費に基づく教職員等の海外派遣事業実施報告書 : 米国図書館界の目録業務調査 : RDA導入状況を中心に
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/173545
ここではまあ、ゆるゆると、当日話をきいた中から特に心に残ったことなど。
●米国図書館界の目録業務調査 RDA導入状況を中心に 塩野真弓 #josoken 2013.7.27 - Togetter
http://togetter.com/li/539864
・調査は2013.1。LC、オハイオ州立大学、OCLC、コロンビア大学を訪問調査。
・LC。
・LCはRDAの維持改定のためのJSC(Joint Steering Committee for Development of RDA)の中核メンバー。2013.3.31から全面的にRDA導入。
・カタロガー用(?)のRDA Toolkit(RDA: Resource Description & Access Toolkit http://t.co/UGzW8SjPdD)上では、AACR2をその場で参照できたり、Cataloger's Desktop(***)へのリンクがあったりする。(
・RDA本格導入したし、新規作成時はRDAを使う。とは言え、すでにAACR2でちゃんとつくられている書誌をコピーカタロギングする分には、わざわざRDAにコンバートしたりはしない、ということらしい。
・(
・カタロガーへのRDA研修体制あり。4週間36時間のリアルまたはオンラインのプログラムがあって、誰でも利用可能なwebinarとして公開もされている。段階、目標などがシステマチックにできている。(←
・OCLC。
・OCLCは2013.3.31以降、マスターレコードをRDAによって書き換えてよいことになっている。でも、RDA以外の目録規則も継続して使用可能。
・機械的なRDA変換をいろいろやってるっぽい。
・OCLCは、修正できるできないの権限が参加館によって異なる。マスターレコードの修正ができる館、簡易にしかできない館、など。wikipediaのようなソーシャルな書誌編集システム、というイメージ。
・OCLCの文字コードはMARC-8。日本漢字と中国漢字などの異体字はMARC-8内にある文字だけしか使えない、というルール。
・コロンビア大学。
・コロンビア大学の目録部署は、「ルーチンワーク部署」と「非ルーチンワーク部署」とにわかれている。これはなるほど、日本も導入すべき。
・コロンビア大学の図書館はざっくり言うと”RDA当事者・協力館”。RDAのテストにも参加し、そのまま現在も使い続けている。
・例えば、OCLCにAACR2のフルレベルの書誌があればそれをそのまま使うし、そうでなければRDAでつくる。
・コロンビア大学内の東アジア図書館(C.V.スター)では、当初AACR2とRDA併用→2012.1以降、新規書誌はRDA採用。
・ブリガムヤング大学ということろが、CJKを含む全資料をRDA対象にしている。(←
・日本語書誌への評価。新刊書はTRCから、古い資料や専門的な資料はNDL、雑誌書誌はNCを参照する。NCは著者名のヨミとかがけっこうあやしい。CiNii Booksでは著者名典拠のYearが確認できない、など。
・「OCLC's RDA Policy Statement」(2013.4)
http://www5.oclc.org/downloads/webinars/RDApolicywebinar20130417.pdf
・RIMMF、という、ビジュアライゼーションさせた教育ツール。http://www.marcofquality.com/wiki/rimmf/doku.php
・CEALによるRDAワークショップのwikiが、CJK事例混じりで、馴染みやすい。
http://rdaandcjkworkshop.pbworks.com/w/page/49260024/Home
・まとめ。
・米国では、RDAにしろ目録業務にしろ、そのマニュアル化と知識共有に熱心(
・RDA導入は、MARC環境下ではさほど影響大きくないが、書誌フレームの刷新を見据えた取り組みが始まっているといえる。
全体の感想として。
質疑応答のところで、なんだかやたらと「ほんとにRDAみたいなわかりにくい構成の目録規則で、実際の目録がとれてるのか。現場のカタロガーは文句言ってないか、ちゃんとやれてるのか」的な質問ばかりが出てたんだけど、今回のお話全体を聞いてだいたい察しがつくとおり、RDAはAACR2にくらべて構成や内容や方針がかわったとかそういう問題ではまったくなく、”違う存在”になった、ととらえるのが適当なんでしょう。AACR2の後継として作られたという経緯はあるにせよそれはもう関係ない、いままでAACR2使ってたのと同じノリで、実際にデータを作成しますよというような現場のカタロガーが、現場のツールとして手もとに置いてくびっぴきで使う、というような存在じゃなくなった、でいいんじゃないかなって。それが必要な人は、かつてのAACR2と併用でだましだまし使ってください、程度のことしか想定されてないんじゃないか。
それは、時代が変わったイコール、メタデータを作るという行為が、その役割(業務)が、カタロガーの存在意義が、いままで通りではなくなった。もっというと、人間とデータというものとの関わり合い方がもはや随分と変わった、ていうことなんでしょう。RDA検討当初の時代からだって結構変わったろうし、これからさらに加速度的にガンガン変わるんだろうし。
だから、ほんとの意味でRDAとかBIBFRAMEとかに今後取り組んでいくのは、現場のカタロガーや目録専門家ではなくて、システムライブラリアンとかプログラマーとかシステムエンジニアの人たちのほうだろうし。もっと言うと、日本のNDLやNACSIS-CATにそれらが実装できるだろうかどうだろうかみたいなことをうんうん唸りながら考えてる間に、どこかしらの誰かしらによって、それチックなwebサービスみたいなんがぽこんっと産み出される、ていうことになるんだろうなという予想がつくなあ、っていう。
というわけで、目録規則は、ていうか目録は、もう現場のモノでも一部の人のためのモノでもなくなりました、ていう「いわゆる”目録規則”終了のお知らせ」を聞いてきたんだなあという気がしています。うん、そりゃまあ、構成がわかりにくいとかは問題にならないか。