2014年11月15日
(メモ)コトラーのラテラル・マーケティング : コンピュータを持たない人のオンラインショッピング、まで。
●フィリップ・コトラー(Philip Kotler)
・アメリカの経営学者
・「近代マーケティングの父」
・著書『Lateral Marketing』(2003)で、従来のマーケティング手法とは異なる「ラテラル・マーケティング」(水平思考のマーケティング)を提唱
・エドワード・デ・ボノの水平思考をマーケティングに応用したもの
●従来のマーケティング(「バーティカル・マーケティング」(垂直思考のマーケティング))
・従来のマーケティングにおける思考法
バーティカル・マーケティング
垂直思考のマーケティング
・既存の市場を定義し固定化することから始まる。
・市場を定義し固定化する(変更不可能にする)ことで、セグメンテーションとポジショニング(これが大事らしい)ができるようになる。
・セグメンテーションでは、定義済みの市場をさらに細分化して考える。
うちはここに陣を張るよ、と。
市場全体ではなく、分割された一部分を対象にして、位置を獲得する。
・ポジショニングでは、他製品との差別化をはかるために自社製品の特徴を強調する。
うちはよそとはこうちがうよ、と。
そのために、製品のもつ特性のうちのいずれかを選択し、それを強調する。
・バーティカル・マーケティングでは。
思考が論理的・分析的
短期間で効率的に改善できる
製品・サービスと企業のミッションとの間に一貫性がある
・ただし
特定のターゲット、特定のニーズを明確にする
それ以外の顧客が対象から排除される
思考に制限が加わり、想定外のニーズに思い至ることができず、無視される
製品・サービスに適さないニーズ・顧客・状況を切り捨てる
製品・サービスの一面的な特徴だけが強調され、それ以外の側面が見落とされる
・利点と同時に限界も伴う。
●「ラテラル・マーケティング」(水平思考のマーケティング)
・ラテラル・マーケティングは、
バーティカル・マーケティングが対象外としたところを対象に考える
既存の定義から除外されていたニーズ・用途・ターゲット・状況に目を向ける
可能性がある限り選択肢を排除しない。
既存の製品・サービスや市場と無関係と思われる要素でも、見込みのありそうなものすべてが対象
製品・サービスを根本的・抜本的に改め、変更を加える。
市場そのものを再構築する
・例:シリアル
×従来の手法:朝食用というカテゴリー内にとどまったまま、ターゲットを限定したり特徴を際立たせたりする。
シリアルの用途を再定義する→携帯可能でいつでも食べられるヘルシースナック
・ラテラル・マーケティングの問いと答え
これまで対象にしていなかった他のどのようなニーズを満たせるか、取り込めるか?
これまで対象とされてこなかった顧客のうち、どのような顧客層を対象とすることができるか?
既存の顧客に対してほかにどのような製品を提供できるか?
・ラテラルマーケティングの弱点
既存製品では到達できなかった顧客層をターゲットとするなどの場合には適している
反面、正確性は求められない。
時間がかかりリスクを伴う
バーティカル・マーケティングとは、互いに補完し合う関係
●ラテラル・マーケティングの具体的なプロセス
・思考の対象として設定(フォーカス)したもの
→一時的に論理的思考を排除する
→論理的な思考の流れ(垂直移動)をせき止めるような発想をする(水平移動)
→論理をせき止めると、そこにギャップが生じる
→ギャップを埋めて論理的な連結ができるまで、必要な変更を加え続ける
→ギャップが解消されると、新しいものが創造される
・例
「花は、枯れる」
→「枯れる花」ではなく「枯れない花」を考える
→「花」と「枯れない」との間にはギャップがある
→そのギャップはどうすれば解消されるか、どうすれば「花」が「いつまでも枯れない」になるかを、考える
→「造花」を発想する
→連結できれば、論理的な説明が可能になる
・論理的思考を排除する基本的な技法
代用する(論理的につながるものの代わりに、別のものを発想する)
逆転する(論理的に正しいものと逆のものを発想する)
結合する(論理的に結合しないもの同士を結合する)
強調する(理屈に合わないレベルに増減する)
除去する(論理的に切り離せないものを切り離す)
並べ替える(論理的な順序とは別の順序を発想する)
・ギャップを連結するためには、それまで以上に明確な論理付けが必要となる
利用可能なあらゆる要素を積極的に評価して考える
具体的な買い手を想定して、その人物の購買プロセスをたどってみる
アイデアのネガティブな面ではなく、ポジティブな側面を見いだす
アイデアが意味をなすような状況を設定して、それに適合するようにアイデアに修正を加えていく
・「ターゲットの代用」
製品・サービスの対象外とされていた(購入する見込みがないとそれまで考えられていた)個人やグループを代入し、新たなターゲットとして定める
対象外とされていた層を特定する最も効果的な方法は、何が購入や消費の妨げになっているかを考えること
・例
オンライン・ショッピング
→「コンピュータを所有していないにもかかわらず、インターネットで買い物をする人」をターゲットにする
→「コンピュータを所有していない人は、本来インターネットで買い物ができないはず」というギャップがある
→ギャップを埋めるために「コンピュータを所有していなくてもインターネットに接続し買い物ができるような場面」を想像して、そのプロセスをたどる。
どういう場面ならその可能性があるか
どういう阻害要因、壁があるか
解消する方法には何があり得るか
→「サイバー・ショップ」という店内でオンライン・ショッピングが可能な店舗、を考案する
→デジタル・アーカイブでは??
to be continued...?
2014年11月09日
(メモ)図書館とアウトリーチ : どうしたら未知の"不利益をこうむっているユーザ"に気づけるか、まで。
●アウトリーチと図書館
想定されている一般的な方法・環境下ではサービス・資料へのアクセスに支障・不自由があり、何らかの不利益をこうむっているユーザ(群)が存在する。
その事情にあわせて何らかの対策をとり、あるいは働きかけをして、サービス・資料へのアクセスを保障しようとする。
そういった活動を、図書館業界では「アウトリーチ活動」と称して、重要視している。
そもそも、本来私的所有物となり得る書籍を公的に確保し、無料で公共に提供して、ユーザの資料・情報にアクセスする権利を保障する、という図書館の存在自体がすでにアウトリーチ活動なんだということ。
医療、社会福祉、公共・コミュニティサービスなどの文脈でもそういったことは語られるとは思うんだけども、ここではとりあえず図書館学の視点からのみ。
1994年『ユネスコ公共図書館宣言』
「年齢、人種、性別、宗教、国籍、言語、あるいは社会的身分を問わず、すべての人が平等に利用できるという原則」
「図書館に来られない利用者に対するアウトリーチ・サービス」
『公立図書館の任務と目標』
(知る自由の保障)「いろいろな事情で図書館利用から阻害されている人々がおり、図書館は、すべての住民の知る自由の拡大に努めなければならない」
2014年IFLA『情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言』
情報へのアクセスによって、人々、特に社会の主流から取り残されている人々と貧しい生活をしている人々に多くの権限が付与されるという原則
図書館をはじめとするスキルやリソースを備えた機関は、ある集団に関連のある差し迫ったニーズと問題を明らかにし、それらに注目することで支援をおこなうことができる
●アウトリーチ@1960'sアメリカ
アメリカの公共図書館の歴史を、
『図書館の歴史 アメリカ編 増訂第2版』
『多文化サービス入門』
『知る自由の保障と図書館』
『アメリカ公立図書館・人種隔離・アメリカ図書館協会―理念と現実との確執』
からおさらい。
1960年代
当時の公民権運動を社会的な背景として、
人種的マイノリティや低所得者層の図書館利用の低下・サービスの不足が課題として認識されるようにまる。
不利益をこうむっているユーザ(群)へのアウトリーチという概念およびその活動が本格的に展開し始める。
1963年、ALA『公立図書館へのアクセス』を出版。
非白人地域の図書館数の少なさ、資料の貧弱さは“間接的差別”である。
間接的差別は米国全土に及んでいる。(直接的差別の集中する南部に限らず)
相当大きな議論を呼んだ。
1969年『不利益をこうむっている人々への図書館サービス』(要確認)
不利益をこうむっている人々の範囲を「経済的に苦境にある人々」「身体に障害を受けている人々」「精神的に障害を受けている人々」「人種差別を受けている人々」「刑務所やその他の施設に収容されている人々」「高齢者」「社会参加の機会を奪われた若者」「英語に不自由を感じている人々(非識字者を含む)」と定義。
クリーヴランド公立図書館
この図書館は、前々から視覚障害者、病院、児童サービスなどに取り組んでいた。
1971年発表の報告書では、”非白人ユーザ”への図書館サービスに失敗していたことを認める。(→それまで認識していなかったユーザに対し、アウトリーチ活動が必要であると新たに認識・発見した)
スペイン系住民などのアウトリーチ活動を開始。
→現在のアメリカ公共図書館では、多文化サービスは基本。(スペイン系に限らず)
●アウトリーチ@1960's日本
『障害者サービス』(JLA)
視覚障害者に対する図書館サービスは、京都のライトハウスなど、点字図書館・点字文庫の整備としての歴史はさかのぼれる。
1949年、身体障害者福祉法
それまで公共図書館に設置されていた点字文庫の類が分離され、視覚障害者への図書館サービスは点字図書館で取り組まれるものとされた。(要確認)
1960年代
1963年『中小レポート』
日本の公共図書館における住民サービスが活性化し始める。
↓
1960年代末
視覚障害者から、公共図書館利用への要求が示されるようになる。
視覚障害を持つ学生が東京都立図書館や国立国会図書館を訪問、要求運動を展開する。
1970年
「視覚障害者読書権保障協議会」が結成される。
→現在の日本の公共図書館では、規模の大小に左右されはするものの、視覚障害者だけでなく障害者へのアウトリーチ活動は基本的にサービスに組み込まれている。
図書館学テキストでも、(点字図書館の文脈ではなく公共図書館の文脈で)必ず取り上げられている。
●アウトリーチと”定番”について
『ユネスコ公共図書館宣言』(1994年)
「すべての人が平等に利用できるという原則」
「理由は何であれ、通常のサービスや資料の利用ができない人々、たとえば言語上の少数グループ(マイノリティ)、障害者、あるいは入院患者や受刑者」
→図書館がアウトリーチ活動の対象とすべきユーザ(群)の例
現在の日本の図書館学・司書課程向けテキストの例
・非識字者、民族的少数者、肢体不自由者、入院患者、内部障害者、高齢者、矯正施設入所者(・アウトリーチの例。交通手段をもたない利用者・時間的余裕のない利用者へのサービス。入院患者サービス。矯正施設入所者へのサービス。そのほかの非来館者(潜在的図書館利用者)向け図書館サービス。)(@『図書館サービス概論(現代図書館情報学シリーズ)』9784883672042 2012@)
・在宅障害者、在宅高齢者、入院患者、収監者、言語上の障壁がある移民(@『新訂図書館サービス論(新現代図書館学講座)』(2009 9784487803330)@)
・高齢者、障害者、アウトリーチ:入院患者、在日外国人、受刑者。(@『図書館情報サービス論(図書館情報学の基礎)』(4585001883 2003)@)
・遠隔地、図書館の未設置地域、図書館から遠い地域に住んでいる利用者。外出が困難な利用者。障害者、高齢者、入院患者、矯正施設、老人介護施設(@『図書館サービス論(JLA図書館情報学テキストシリーズ)』(2005 9784820404460)@)
・入院患者、高齢者福祉施設、外国人(文化的マイノリティ)、受刑者、非識字者(@『図書館サービス論(図書館情報学シリーズ)』(2011 9784762021534)@)
・図書館の利用に障害のある人たち
A図書館資料にアクセスできない利用者のケース:視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、寝たきり老人等、非識字者、外国人
B図書館員とのコミュニケーションが不自由な利用者のケース:聴覚障害者、視覚障害者、外国人
C来館できない利用者のケース:肢体不自由者、病弱者、寝たきり老人、視覚障害者、入院患者、障害者施設入所者、矯正施設収容者
(@『図書館サービスと著作権』(4820493221 1994)@)
多くのテキストが共通してあげている”定番”は。
高齢者、障害者(身体障害者、内部障害者)、在日外国人、言語・文化的マイノリティ、入院患者、矯正施設入所者
それ以外としては、
交通手段をもたない利用者・時間的余裕のない利用者へのサービス。
老人介護施設
●アウトリーチ活動は「まずその存在やニーズに「気がつくこと」からはじまる」
図書館活動の基本は、すべての人にすべての本と図書館サービスを届けること。
アウトリーチ活動は、不利益をこうむっているユーザの、サービス・資料へのアクセスの支障・不自由を解消すること。
マイノリティの利用環境を整備することは、マジョリティの利益にもつながる。
ユネスコ宣言や図書館学テキストで言及・例示されていないユーザに対してアウトリーチ活動をおこなう必要がない、というわけではない。
“不利益”や“マイノリティ”の種類が、いまの図書館業界にとって(たまたま?)“定番”や“想定内”であろうとなかろうと、利用の権利を保障するという責務に変わりはない。
1960-70年代
クリーヴランド図書館ほかアメリカ多文化サービスの例
日本の障害者サービスの例
↓
(1)図書館は、それまで想定していなかったユーザ(群)のニーズを発見し、認識し、その問題をあきらかにして、アウトリーチ活動に取り組んできた
(2)逆に言えば、時計の針を約50年戻して考えれば、現在の図書館ではまだ認識も想定もされていないが、何らかの理由で資料・情報の利用・アクセスに支障があり、それが解消されないまま不利益をこうむっているユーザ(群)が存在する可能性がある。
アウトリーチ活動は「まずその存在やニーズに「気がつくこと」からはじまる」。(@『多文化サービス入門』@)。
→どうやったら気づけるか?
→デジタル・アーカイブに何が出来るか?
to be continued...?
想定されている一般的な方法・環境下ではサービス・資料へのアクセスに支障・不自由があり、何らかの不利益をこうむっているユーザ(群)が存在する。
その事情にあわせて何らかの対策をとり、あるいは働きかけをして、サービス・資料へのアクセスを保障しようとする。
そういった活動を、図書館業界では「アウトリーチ活動」と称して、重要視している。
そもそも、本来私的所有物となり得る書籍を公的に確保し、無料で公共に提供して、ユーザの資料・情報にアクセスする権利を保障する、という図書館の存在自体がすでにアウトリーチ活動なんだということ。
医療、社会福祉、公共・コミュニティサービスなどの文脈でもそういったことは語られるとは思うんだけども、ここではとりあえず図書館学の視点からのみ。
1994年『ユネスコ公共図書館宣言』
「年齢、人種、性別、宗教、国籍、言語、あるいは社会的身分を問わず、すべての人が平等に利用できるという原則」
「図書館に来られない利用者に対するアウトリーチ・サービス」
『公立図書館の任務と目標』
(知る自由の保障)「いろいろな事情で図書館利用から阻害されている人々がおり、図書館は、すべての住民の知る自由の拡大に努めなければならない」
2014年IFLA『情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言』
情報へのアクセスによって、人々、特に社会の主流から取り残されている人々と貧しい生活をしている人々に多くの権限が付与されるという原則
図書館をはじめとするスキルやリソースを備えた機関は、ある集団に関連のある差し迫ったニーズと問題を明らかにし、それらに注目することで支援をおこなうことができる
●アウトリーチ@1960'sアメリカ
アメリカの公共図書館の歴史を、
『図書館の歴史 アメリカ編 増訂第2版』
『多文化サービス入門』
『知る自由の保障と図書館』
『アメリカ公立図書館・人種隔離・アメリカ図書館協会―理念と現実との確執』
からおさらい。
1960年代
当時の公民権運動を社会的な背景として、
人種的マイノリティや低所得者層の図書館利用の低下・サービスの不足が課題として認識されるようにまる。
不利益をこうむっているユーザ(群)へのアウトリーチという概念およびその活動が本格的に展開し始める。
1963年、ALA『公立図書館へのアクセス』を出版。
非白人地域の図書館数の少なさ、資料の貧弱さは“間接的差別”である。
間接的差別は米国全土に及んでいる。(直接的差別の集中する南部に限らず)
相当大きな議論を呼んだ。
1969年『不利益をこうむっている人々への図書館サービス』(要確認)
不利益をこうむっている人々の範囲を「経済的に苦境にある人々」「身体に障害を受けている人々」「精神的に障害を受けている人々」「人種差別を受けている人々」「刑務所やその他の施設に収容されている人々」「高齢者」「社会参加の機会を奪われた若者」「英語に不自由を感じている人々(非識字者を含む)」と定義。
クリーヴランド公立図書館
この図書館は、前々から視覚障害者、病院、児童サービスなどに取り組んでいた。
1971年発表の報告書では、”非白人ユーザ”への図書館サービスに失敗していたことを認める。(→それまで認識していなかったユーザに対し、アウトリーチ活動が必要であると新たに認識・発見した)
スペイン系住民などのアウトリーチ活動を開始。
→現在のアメリカ公共図書館では、多文化サービスは基本。(スペイン系に限らず)
●アウトリーチ@1960's日本
『障害者サービス』(JLA)
視覚障害者に対する図書館サービスは、京都のライトハウスなど、点字図書館・点字文庫の整備としての歴史はさかのぼれる。
1949年、身体障害者福祉法
それまで公共図書館に設置されていた点字文庫の類が分離され、視覚障害者への図書館サービスは点字図書館で取り組まれるものとされた。(要確認)
1960年代
1963年『中小レポート』
日本の公共図書館における住民サービスが活性化し始める。
↓
1960年代末
視覚障害者から、公共図書館利用への要求が示されるようになる。
視覚障害を持つ学生が東京都立図書館や国立国会図書館を訪問、要求運動を展開する。
1970年
「視覚障害者読書権保障協議会」が結成される。
→現在の日本の公共図書館では、規模の大小に左右されはするものの、視覚障害者だけでなく障害者へのアウトリーチ活動は基本的にサービスに組み込まれている。
図書館学テキストでも、(点字図書館の文脈ではなく公共図書館の文脈で)必ず取り上げられている。
●アウトリーチと”定番”について
『ユネスコ公共図書館宣言』(1994年)
「すべての人が平等に利用できるという原則」
「理由は何であれ、通常のサービスや資料の利用ができない人々、たとえば言語上の少数グループ(マイノリティ)、障害者、あるいは入院患者や受刑者」
→図書館がアウトリーチ活動の対象とすべきユーザ(群)の例
現在の日本の図書館学・司書課程向けテキストの例
・非識字者、民族的少数者、肢体不自由者、入院患者、内部障害者、高齢者、矯正施設入所者(・アウトリーチの例。交通手段をもたない利用者・時間的余裕のない利用者へのサービス。入院患者サービス。矯正施設入所者へのサービス。そのほかの非来館者(潜在的図書館利用者)向け図書館サービス。)(@『図書館サービス概論(現代図書館情報学シリーズ)』9784883672042 2012@)
・在宅障害者、在宅高齢者、入院患者、収監者、言語上の障壁がある移民(@『新訂図書館サービス論(新現代図書館学講座)』(2009 9784487803330)@)
・高齢者、障害者、アウトリーチ:入院患者、在日外国人、受刑者。(@『図書館情報サービス論(図書館情報学の基礎)』(4585001883 2003)@)
・遠隔地、図書館の未設置地域、図書館から遠い地域に住んでいる利用者。外出が困難な利用者。障害者、高齢者、入院患者、矯正施設、老人介護施設(@『図書館サービス論(JLA図書館情報学テキストシリーズ)』(2005 9784820404460)@)
・入院患者、高齢者福祉施設、外国人(文化的マイノリティ)、受刑者、非識字者(@『図書館サービス論(図書館情報学シリーズ)』(2011 9784762021534)@)
・図書館の利用に障害のある人たち
A図書館資料にアクセスできない利用者のケース:視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、寝たきり老人等、非識字者、外国人
B図書館員とのコミュニケーションが不自由な利用者のケース:聴覚障害者、視覚障害者、外国人
C来館できない利用者のケース:肢体不自由者、病弱者、寝たきり老人、視覚障害者、入院患者、障害者施設入所者、矯正施設収容者
(@『図書館サービスと著作権』(4820493221 1994)@)
多くのテキストが共通してあげている”定番”は。
高齢者、障害者(身体障害者、内部障害者)、在日外国人、言語・文化的マイノリティ、入院患者、矯正施設入所者
それ以外としては、
交通手段をもたない利用者・時間的余裕のない利用者へのサービス。
老人介護施設
●アウトリーチ活動は「まずその存在やニーズに「気がつくこと」からはじまる」
図書館活動の基本は、すべての人にすべての本と図書館サービスを届けること。
アウトリーチ活動は、不利益をこうむっているユーザの、サービス・資料へのアクセスの支障・不自由を解消すること。
マイノリティの利用環境を整備することは、マジョリティの利益にもつながる。
ユネスコ宣言や図書館学テキストで言及・例示されていないユーザに対してアウトリーチ活動をおこなう必要がない、というわけではない。
“不利益”や“マイノリティ”の種類が、いまの図書館業界にとって(たまたま?)“定番”や“想定内”であろうとなかろうと、利用の権利を保障するという責務に変わりはない。
1960-70年代
クリーヴランド図書館ほかアメリカ多文化サービスの例
日本の障害者サービスの例
↓
(1)図書館は、それまで想定していなかったユーザ(群)のニーズを発見し、認識し、その問題をあきらかにして、アウトリーチ活動に取り組んできた
(2)逆に言えば、時計の針を約50年戻して考えれば、現在の図書館ではまだ認識も想定もされていないが、何らかの理由で資料・情報の利用・アクセスに支障があり、それが解消されないまま不利益をこうむっているユーザ(群)が存在する可能性がある。
アウトリーチ活動は「まずその存在やニーズに「気がつくこと」からはじまる」。(@『多文化サービス入門』@)。
→どうやったら気づけるか?
→デジタル・アーカイブに何が出来るか?
to be continued...?
2014年11月05日
『群書類従』その3・JK: いきいき群書類従ライフ( #図書館総合展 来場者様だけの特典付き!)【広告】
『群書類従』噺のその3です。
(1) おいたち:『群書類従』はどういう経緯で誕生したのか
http://egamiday3.seesaa.net/article/406921580.html
(2) 評価: 『群書類従』って実際すげえのかどうか
http://egamiday3.seesaa.net/article/407049317.html
★(3) JK: 『群書類従』がJapanKnowledgeに入ったら何が起こるのか
(1)・(2)とふつーにそれっぽいことまとめてたブログでしたものが、ここから突然に特定の製品を褒めちぎり始めるという青汁番組へと一気に変貌していきます。
『群書類従』を現代での立場で評価したとき、
△ 本文としての質・正確さ
△ 文献それ自体の現代における価値
には△印をつけざるを得ないけども、
○ 文献が残っていること(保存)
○ 読みやすく整備されていること(出版・活字化)
○ ひとところに集まっていること
○ 参照・アクセスのしやすさ(オープン)
○ 分類・部立て、連番付与による組織化
○ ”区切り”をつけられること(通読)
○ ”あたり”をつけられること(レファレンス)
には○をあげていいんじゃないかと。
そしてその中でも
「ひとところに集まっていること」
「参照・アクセスのしやすさ」
「”あたり”をつけられること」=「レファレンス」
の界隈が、どうやらJapanKnowledgeに搭載されることでより強力になるっぽいよ。
という話です。
あ、言うまでもないことですが念のため、タイトルの「JK」は「JapanKnowledge」の略ですね、JK。
JapanKnowledgeという超強力デジタル・コンテンツ・プラットフォームに、この秋『群書類従』web版が搭載されました。『群書類従』本文テキストが全文検索可能という、やばいこれ、来るときが来た、というような感じですけど。
JapanKnowledgeさんについてあらためてご紹介すると、小学館グループの株式会社・ネットアドバンスさんが提供するデジタル・コンテンツ・プラットフォームで、契約による有料会員制、国内外の出版各社の事典・辞書などのレファレンス系&本文テキスト/PDFなど、日本の人文社会系の研究教育に欠かせない基本的かつ信頼おけるコンテンツが、約50種類、総項目数200万以上という大規模で収録されているという。それだけの情報/見出し/本文を、検索・参照できるという。
やっぱりこの”複数の参考図書・データベース・コンテンツを、同一のプラットフォーム上で検索・参照・操作できる”というのが一番の魅力で、それひとつで日本研究に必要なツールをおおむねカバーしてくれてるし、しかも玉石混淆の”玉”をセレクトしてくれてるし、それひとつさえ契約してればいいということになるので、実際使うユーザだけでなく、契約して提供する図書館側にも結構なメリットあるよねという。海外での契約多数というのもうなずける話ですよねという。
その、”複数を統一で検索・参照できる”プラットフォーム上に、「参照・アクセスしやすい」かたちで「複数著作が大規模集積」している和製基礎コンテンツ『群書類従』があがることによって、
・相互参照ができる
・統合検索ができる
・ファインダビリティが上がる
・セレンディピティが増える
すなわち、もともと『群書類従』さんが持ってはった「”あたり”をつける」のに有用というレファレンスツールとしてのキャラに、さらに磨きがかかるわけです。
うん、もはや『群書類従』のことを叢書という名のレファレンスツールとして見てますが。
まず『群書類従』本文と他の参考図書類とを容易に「相互参照」できるというありがたポイントです。それは、『群書類従』本文を読んでいるうちに、この人誰?とかこれ何て訓むの?ってなったときに、他の参考図書を参照しにいける。しかも、えっと国史大辞典って何階のどこにあるんだっけ?って探しながら参照しに行くというんじゃなくて、同じパソコンの同じブラウザの同じプラットフォーム上ですぅっと検索しに行けるし、チラ見してまたすぅっと本文に戻れる。いちいち思考や集中が途切れないからいたって効率がいい、と。
逆もまた便利なりで、他のコンテンツ、例えば日本歴史地名大系の記事本文中になんやらほんやらと引用されている、ん、これ本文もうちょっと確認したいなってなったときに、それが『群書類従』内にあればすぅっと本文確認しに行ける。
もっとざっくり言うと、国史大辞典で何かしらの歴史用語なり調べてるときに、定義はなんやかんや書いてあるにせよ、ともあれ実際どんなふうに使われてたんだろうっていうのを、じゃあとりあえず『群書類従』本文全体をざっくり検索してみるということができる、今度は『群書類従』を対象にした「統合検索」、串刺し検索ができるとういありがたポイントです。異なる複数の文献・著作の本文全体をひとつのキーワードでごっそり検索して、なるほどこの言葉って、なんかこの頃の時代のこの界隈の文献にこんなノリでヒットする言葉なんだね、ってなる。あ、こっちの文献ではこんなふうに使ってるけど、こっちの記録類ではむしろこういうノリで登場するんだね、という比較・対照。
え、なにそれすげえ強力な文脈補完ツールじゃないですか、と。
こういうのって、単独単一のデータベースとかネットから切り離されてアローンにスタンドしてるCD-ROM系のデータベースではなかなかかなわないことですよねと。
そうやって、いままで自分の研究調査のまな板の上にのせようなんて考えてもみなかった文献・著作の中に、え、この人出てくるの? このお寺の名前、この歌枕、なんでこんなとこに書かれてるの?的なことが、複数の異なる分野の異なる場所からボロボロと砂金の粒のように見つかってくれる。
「ファインダビリティ」が上がるし、「セレンディピティ」が増える、ていうことだと思うんです。
それは、『群書類従』本文がテキストデータベース化したことによるというだけでなく、それが多数の、多様な、多分野の代表的コンテンツを備えたプラットフォームたるJapanKnowledgeさんに搭載されてるからこそだろう、とも思います。人文系だろうが社会系だろうが世の学術研究は今後ますます学際化・国際化していきますところへ、日本の法制の歴史だけとか、この時代のこの地域の地誌だけとか確認してれば物事が理解できるというようなことはおそらくなく、分野や文献を横断して連想的・発想的な検索と発見ができるというのが、いまどきのビッグでウェブケールなディスカバリーということなんだろうと思います。そこまでの発見は、やっぱりどうしてもメタデータだけとか参考図書だけとかではかなわなかったスケールのことでしょう、本文がサーチャブルな『群書類従』で、分野・文献の壁をのりこえて、ディスカバリー・ジャパンの旅に出よう、ていう。
でもじゃあ、それってGoogleでいいじゃんと、webのサーチエンジンでいいんじゃないのというと、そこがまたJapanKnowledgeさんのプラットフォームのありがたポイントで、適合度の高い、信頼できる。定番なコンテンツだけをあらかじめセレクトして載せてくれている、そうでなくてもあるいは指定・しぼりこみができるわけなので、無法地帯への無謀な旅というわけではなくて、的確な文献・本文を的確に参照できる、という安心感&効率の良さもここにはあるわけです。これが、単にググれば済むというようなwebサーチとはまた違うところっていう。
そんなJapanKnowledgeが、みなさんのいきいき『群書類従』ライフを豊かですこやかなものにしてくれますよ、という。
それは例えば、こんな感じじゃないでしょうか。
京都府大枝町にお住まいの蛇班馴次さん・67歳(取材当時)は、大の歴史ファンです。
週に一度の大河ドラマは欠かさず視聴。歴史上の人物について本や歴史資料を調べたり、図書館に通ったりしています。晴れた日には健康管理もかねて、奥さまとふたりで史跡めぐりがてらのウォーキング。楽しそうですね。
そんな蛇班さんの最近のお気に入りは、大河ドラマでも大人気の黒田官兵衛。ところが、いつものように町の図書館を訪れた蛇斑さん、浮かない顔をしていますね。どうしたんでしょう。
蛇班馴次さん・67歳(取材当時)
「若い頃は『群書類従』くらい気合いで端から端までめくって通し読みできたんですけどね。最近はだんだんつらくなって来て・・・」(※個人の感想です)
なぜ黒田官兵衛をわざわざ群書類従で調べなきゃいけないかという無理矢理な設定はともかくとして、そんな蛇斑さんにこれ、JapanKnowledgeのweb版群書類従を試していただきました!
蛇斑さん、さっそく本文を黒田官兵衛で検索。
蛇班馴次さん・67歳(取材当時)
「あー、あったあった、いくつかありますね。・・・でも多分これで全部じゃないですよね、彼には別の名前があったから、その名前で出ているかもしれないね、えーっと、なんていったかな?」(※個人の感想です)
歴史ファンならそれくらい知ってるだろうというツッコミは、「物忘れにも効く!?JapanKnowledge」という字幕で覆い隠しつつ、今度はJapanKnowledge全体を黒田官兵衛で見出し検索します。そう、JapanKnowledgeには『国史大辞典』、『日本人名大辞典』、『日本大百科全書』など、40を越える参考図書やコンテンツが成分として含まれているのです!
黒田官兵衛でJapanKnowledgeを検索して、ヒットしたのは『日本人名大辞典』。官兵衛の名前が「黒田孝高」だとようやく思い出せた蛇斑さん、ここであらためて『国史大辞典』の「黒田孝高」記事を読みにいきました。
別名がヒットしやすいのは『日本人名大辞典』。記事が充実しているのは『国史大辞典』。この2つの異なる成分をたった1つのデータベースで摂取できるのも、JapanKnowledgeならではのおトクさですね!(※効果には個人差があります)
画面
「[参考文献]『大日本史料』一二ノ二 慶長九年三月二十日条、『寛政重修諸家譜』四二五、貝原篤信『黒田家譜』(『益軒全集』五)、金子堅太郎『黒田如水伝』」
蛇班馴次さん・67歳(取材当時)
「参考文献がたくさん書いてありますね、なるほどなるほど。ところで、『群書類従』はどうなんだろう?」
あくまでも『群書類従』にこだわる不自然な設定の蛇斑さん、今度は『国史大辞典』で「黒田孝高」や「如水」で「群書類従」を全文検索してみました。そう、『群書類従』だけでなく『国史大辞典』の記事も全文検索できるのがJapanKnowledgeのスゴイところ! 『国史大辞典』の記事の中に「群書類従」と「黒田孝高」が同時に書いてあれば、目指す文献名が書いてある可能性が高いですね。
検索の結果、『神屋宗湛日記』という日記が『群書類従』に収録されていて、そこに黒田孝高が登場するということ。それから『玄与日記』という『群書類従』日記部の文献にも黒田如水の名前で登場していることがわかりました。
蛇班馴次さん・67歳(取材当時)
「これまでだと、1冊1冊本棚から手にとって、1ページ1ページめくってじっと読んでいかなきゃ見つからなかったから、とてもつらかったんです(※個人の感想です)。それがweb版群書類従の全文検索だと、ウソみたいに簡単に見つかるんですね(※個人の感想です)。しかも、わからない人名や地名が出てきたらその場で検索できるからとても楽ですし(※個人の感想です)、いままで想像もしなかったような(※個人の感s)気づきもしなかったような(※個人の)ところに探している人名が書いてあったりして(※たまにはそういうこともあります)、毎日が発見の連続ですね(※毎日というのは一種の比喩表現です)。おかげさまで最近ではなんだか足腰の調子もよくなって、若返ったような気がしてね、はははっ(※おそらく気のせいです)」
そんなJapanKnowledge搭載のweb版群書類従が、いまならナント無料でお試し頂けます!
というのが↓こちら!
https://twitter.com/yagisyoten/status/519315586388463616
東京は神保町の八木書店さん古書部にて、「お試し機」が利用できるんです!
カレーでも食べるついでにぜひ検索しに来てみてください!
さらに!
2014年度の図書館総合展を訪れてくださった方だけの特典として!
企業展示会場にて「Web版 群書類従」特別展示ブースをごらんいただけます!
さらにさらに!!
11月7日金曜日、午後3時から45分間だけ限定で!!
特別イベントにご参加いただけます!!
第一部:ミニレクチャー「群書類従を活用して戦国の社会と地域を学ぶ(仮)」
第二部:討論「群書類従×図書館でできること」
(株式会社ネットアドバンス)
・丸島和洋(国文学研究資料館研究部特任助教)
・福島幸宏(京都府立総合資料館新館担当副主査)
・恋塚嘉(八木書店古書出版部)
まああれです、調子に乗っていろいろふざけたまま終わるのもあれなんで、ざっくりとまとめると。
『群書類従』は、個々に所蔵され公開されなかった書物を、叢書・出版によって公開し、書物と人との間の障壁をとりのぞいてアクセスを可能にした。
加えて『JapanKnowledgeの群書類従』は、個々に閲読・検索するしかなかった書物を、同一プラットフォーム上に載せ、書物と人との間の障壁だけでなく、書物と書物との間の障壁をとりのぞいて、アクセスを容易にした。
という感じのフリップでも出しておけばかたちになるのかな、という感じです。
あくまで感じです。
効果・効能には個人差があります。