2015年03月24日

(メモ)公的研究費の不正使用防止に関するコンプライアンス研修会


・研究費の不正使用に含まれるものとして、
 他の研究課題への流用
 複数の経費の合算使用
 研究期間外での使用
・私的流用だけが不正使用ではない。むしろほとんどが私的流用ではないが、不適切な経理。(では、”不正”や”不適切”の概念は何に根差すか?)
・2007年「研究機関における公的研究費の管理監査のガイドライン(実施基準)」制定 → 2014年「同」改定
・研究現場の実態や制度にそぐわないルールがあれば、窓口に問題提起していただいて、実効的なルールの策定のための協力とフィードバックを行ってほしい、とのこと。(←案の定質疑応答でここが軽く燃える)
・機構内外からの告発通報をうけつける窓口を設ける。実際のところ、大半の事例の発覚が内部からの不正告発であるとのこと。あとは、業者からの告発、という例。(「これやってくれって言われたんだけど、やりたくないんですけど」)
・契約というのは原則として事務部門が行うものである。なぜなら研究者は当事者で事務員は第3者である。(ちょっと納得いかない) 研究者による発注行為は例外行為である。例外としてあるのは、資金の前渡しを受けての購入。研究者自身の立替支払。海外での使用など。
・リスクアプローチ監査。不正が起こりやすそうなところへ重点的にチェックを入れる。旅費とか。(なんかもっと端的なネーミングはないか)
・研究助成プログラム等で得られた研究助成金は、研究者個人ではなく、機構が寄付金として受け入れたうえで管理を行なう。
・法人・研究者・共謀者に対して、競争的資金への申請資格が奪われる。(私的使用かどうかでその期間がかわる)
・「目的積立金」として認められたものについては、節約によって次年度以降に繰り越すことができる。

・例
・海外出張で予定していたミーティングがおこなわれなかった。→先方の都合などによって実施できなかったなどの場合はその旨を出張報告書に記載し報告する。
・予定外の移動先(別の国など)へ行った。→研究目的と異なる行き先への訪問は不正。実務上必要だった場合は帰国後速やかに変更申請を行う。
・会議費支出伺に記載されたのと実際の会食参加者が異なると、不実の記載として、不正に該当する可能性がある。
・研究目的と直接関係ない学会年会費や名刺代の支払→×

・類型
・預け金(買ってないのに買ったことにしといて金銭を業者に管理させておいてゆくゆく使う)
・品名替え(お酒を別名で買う)
・分割発注(1件の購買取引を一定の金額以下に抑えて、相見積もりとかで済ます)
・合算使用(二つの別のプロジェクトからお金を寄せ集めてひとつのものを購入する。ルール上認められる場合もある)
・カラ出張(私的旅行、家族同伴などを含む)
・カラ謝金/還流(研究補助者への給与を水増しして支給してプールする)

 個人的な感想としては、○×問題で「〜〜ない」という否定で終わる文を提示してはいけない。というのはクイズ研的に基本。
 あと、ルールって何か。ガイドラインとは。それは”ききわけのよさ”なのか。

posted by egamiday3 at 22:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月21日

(メモ)「デジタル化資料活用セミナー」 #NDL送信 にまつわるもろもろ


 開始から1年ちょっとが経ったNDLさんの図書館送信サービスですが。
 先日(2015年3月20日)、国会図書館さん主催で「デジタル化資料活用セミナー 〜図書館送信の利用の実際と活用法〜」が開催されました。

 デジタル化資料活用セミナー〜図書館送信の利用の実際と活用法〜
 http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/20150320digi_info.html

 デジタル化資料活用セミナー:図書館送信の利用の実際と活用法 2015.3.20 国立国会図書館 #NDL送信 - Togetterまとめ
 http://togetter.com/li/797311

 ディスカッションのパートでコーディネータをさせていただきました関係で、このサービスにまつわるいろいろな話題・コメント・質問・実情などなどにたくさん触れまして、また自分であらためていろいろ考えたこともあり、そのあれこれを記録としてまとめておきます。


●全体像
・NDLデジタルコレクションの図書館送信サービスについて、参加館にしろ未参加館にしろ、どういうことが主な疑問点や悩み点になっているかというと、だいたいざっくりと以下のような感じにまとめられるみたいです。
 −利用の実態(利用者層・利用者像、利用頻度、資料の傾向)
 −具体的な活用事例
 −広報・PRのしかた
 −端末の具体的な運用(端末の確保、場所、自館ルール)
 −複写(自館ルール、手順、画質)
 −複写における著作権判断
・これ以外になると、今度は逆に”個別事情”にもとづく個々の質問・悩み・要望という感じになってくる。そういう性格のサービスであるなということ。
・もうただひたすら「お気軽に相談して下さい」ということ。これを当事者でないあたしがあまり言うのも気がひけるんだけど、最終これを言うしかない、どんなことでも相談してみたらいいと。

●参加館数が増えない
・いまやっと456くらい。
・県立レベルでも数カ所未導入。
・後述するあれこれ総じて、このサービスは「やってみなければわからない」し「ふとしたことで役に立つ」ものではあるけど、だからといって「やってみなはれ!」((c)鴨居の大将)で導入できるほど敷居が低いとはちょっと言えないという、手続&利用条件的に。

●ユーザ像
・未導入館にとっては、どんなユーザがどんなふうに使いにくるんだろう(頻度とか)、というのが関心事っぽい。まあ心配事にはなるよな、というのはわかる。
・ただ、北大さんの統計数字なんか見てもまさにそうなんだけど、一部のヘビーユーザによって数字が大きく左右する、というような感じがいまのところの大方なんだろうなと思うので、どうなるかはわからないという意味では心配してもしょうがないというのはあるかも。(例:複写枚数が総数4300で、一人の最多枚数が1200とか)
・ただ、「30分未満」の短時間と「60分以上の長時間との”二極分化”的傾向はおおむね言えそうな気がする。

●活用するには
・結局何に使えるの?/何に使ったらいいの?というのが、おおかたの悩みみたい。
・実際どんなふうに利用されますかとコメント求めると、まあたいていが、レファレンスの過程でとかILLの過程でその中にあるってのがわかって、そこへ案内する、というパターンですよね、このサービス・仕組みありきというあれではない。
・自分的には、このサービス自体には訴求力がそれほどあると言えるわけじゃなくて、資料自体のほうで惹きつける、資料に語らせるほうがいいだろうなって思います。こんなおもろい資料がある、我が町に関する資料、話題のトピックに関する資料、懐かしのあの人の記事、で、それはこのサービスで、っていう。
・だって、ふつーに岩波文庫・新書の古いのが読めるっていうだけでも、充分すごくないですか。筒井康隆の小説が初出誌で読めるとか。
・あと婦人雑誌とか映画雑誌も入ってるし、ゆったらちゃらちゃらしたエンタメ路線でもいいです、例えば「吉永小百合」「男はつらいよ」で検索したらまあまあヒットする、30年前の吉永小百合のインタビュー記事があちこちに掲載されてるのが読めるとか。
・資料目線で、っていうコメントは参加者からもあって、「地域に関する資料をあらかじめリストアップして置いて、レファレンスに利用したい」と。
・あと岡崎市立中央図書館ではホームページで実際そういうことをやってる、という紹介とか。
 http://www.library.okazaki.aichi.jp/?page_id=293
 これは近代デジタルライブラリーの例なんですけど、近デジの中に収録されてる岡崎地域関係の資料を簡易目録化して載せてるという。
・こういうのって、従来から図書館員がやってきたような情報編纂スキルの格好の発揮場所だと思うんで、例えば「地域」だけでなく、「時事のトピック」「人物」「分野別パスファインダー」に含めるなどなど、この視点からだけでも活用すべきやり方はいくらもあると思うんですよね。
・例えば単純に言って、自館所蔵資料で、近デジやデジコレで見れるものリストとか、OPACからのリンクとか。
自館OPACに送信対象資料のデータを搭載したい、というコメントもあって、NDLサーチのAPIを使ったらそれもできるっぽい、あたしではちょっとちゃんとはわかんないんだけど、いつかわかれるようになりますように、リンクは下記。
 「外部提供インタフェース(API)」(NDLサーチ)
 http://iss.ndl.go.jp/information/api/
 「オープンデータセット」(NDL)
 http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/standards/opendataset.html

●複写・複製
・複写についてのポイントは、
 −運用
 −画質
 −著作権
 の3本柱。
・うちとこの事情を記録しておくと、送信サービス初めて1年での複写実績は、申し込み件数が750件、枚数なら万はこえてるでしょう(北大さんの倍・・・)。かといってNDLさんへの複写依頼が劇的に減っているというわけではない、通常の変動範囲程度な感じです。
・大阪府でカラープリンタ導入。ただし現段階で統計見る限りでは、数ヶ月に1件程度か。
・著作権の話はもうあれですね、話し始めると止まんないし終わんないしそして結局わかんない、っていう。
・ただ、著作権の判断は各図書館で、とのことで、例えば自館で独自に調査した結果「この資料はもう著作権切れてる」って判明したんだったらそれでいいよ、という感じ。あと、自力で著作権者に許諾とれたんだったら、NDLさんからの許諾はいらないとか。
・直接来館しないでの複写依頼で、複写していいか、という問題。これについてはNDLさん的には「参加館で複写物を手渡しならいい」とのこと。だから、導入館・県立図書館さんが非導入館・市立図書館さんの求めに応じて複写物を送ってあげる、というのはできない。市立図書館さん、導入してください、ということになると。NDLさん的には。
・ていうか「図書館送信」以前に、「インターネット公開」であっても、「著作権保護期間満了」だからインターネット公開してるものは複写できるけど、「著作権者許諾」とか「文化庁長官裁定」とかでインターネット公開してるものは図書館が複写しちゃいけない、だってあれはおたくの図書館の所蔵資料じゃないでしょ(31条的に)、ていうことみたい。
・あと著作権法31条1項3の「他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合」は、マジでもっと周知されてください。
・もうひとつ、参加館にとってわりと切実なのが、実際の送信サービス画面をチラシとかポスターとかに写真で載せて広報しまっせ!というのが、複製的にアウトだという話ですね。それって困るでしょうと。例えば今回のセミナーでのプレゼンで画面を映すにあたって、その写真載せたりやっぱするでしょう、と。でもそれってダメなんですかね。
・と、思ってたら、このセミナーでのNDLさんのパワポ&配付資料をよくよく見てみると、事例写真として使われてるデジタル資料の画面というのが、インターネット公開(著作権切れ)かそうでなければ自館出版資料(著作権じぶんとこ)で、送信サービス対象の資料の写真は使ってなかったという。ガチだった。軽く戦慄が走った。

●その他もろもろ
・例:大阪府立図書館さんは既存の利用要綱を改訂して送信サービス利用をこの中で可能にさせたとのこと。
 大阪府立中央図書館データベース・CD-ROM端末利用要綱
 https://www.library.pref.osaka.jp/site/kisoku/lib-dbyoko-c.html
・端末の利用について。おそらく参加者が静かにざわついたのが、大阪府の「自動ログインツール」。これはマジ。
・このサービスを利用できる図書館とはについて。このサービスを利用可能な「著作権法第31条第1項が適用できる施設」として、「文化庁長官指定施設」があり、その例として「国際交流基金図書館」が挙がっている。
・登録利用者とは誰ですか?問題。考え方としては「各館が特定の条件を設けて登録している人」ということで、学外者も利用登録するんだったら対象にできますけど、まあ個別に相談してくださいとのこと。ちなみにうちとこは「こういう規則なんですけど」って相談したら「OKです」って言われたです。

●余録
・福井の人は関西館会場に来てはったけど、富山の人は東京会場にいてはった。北陸新幹線・・・。

posted by egamiday3 at 15:36| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする