http://egamiday3.seesaa.net/article/421699189.html
・AAS in Asia 2015 @台北、に行ってきました。記録(その2)
http://egamiday3.seesaa.net/article/421800363.html
・AAS in Asia 2015, Taipei 参加メモ #AASinAsia
http://togetter.com/li/837823
●Exhibition(展示ブース)のこと

企業やその他団体がブースを借りて展示しているというExhibitionのコーナーです。会場の低層階の人が行き来し集まりそうなところに設置されてある。それで、この人数規模でこの狭い通路みたいなロビーで、20とか30くらいしかブースがないのって、えらいすくないんじゃないか、って思ってたんですけど、でもそれほど混み合ったりしてなくて、そんなに人いなかったな、という印象でした。
休憩時間はバタバタ移動しなきゃいけないからなのか。分科会に出てない人はどこか外へ出てよそへ行っちゃうからなのか。だいたい毎回こんな感じの人出なのか、いつもはもっとちがってたまたま今回場所の設計があまりよくなかったのか。そのへんはよくわからないです。
おおむね、パンフやチラシを配る。本の現物を展示する。データベースの紹介をする。ノートパソコンでデータベースのデモをしたり、トライアルの案内をしたり、あと動画を再生したりしてる。そして、ペンとかクリアファイルとかお菓子みたいなんを配っている。それやこれやの手法で、参加者ときっかけを作ってはしゃべっている、という感じ。
出展しているのは主に、出版社、データベース会社、大学出版会が主だなという感じなんですが、その中にあってちょっと印象に残った出展者が、当の中央研究院のデジタルセンターというところ。まさにこの建物の一角にオフィスを陣取ってはる組織らしいんですけど、そこがこの中央研究院における”デジタル化事業”を担ってはるとのこと。30人くらいのメンバーがデジタルセンターにいて、デジタルの専門家だったり資料の専門家だったりデザインの専門家だったりという各種の役割を持った人たちがいっしょになって、デジタルなコンテンツを作成しているという。それは、中央研究院内の台湾史研究所の持つ史料のデータベースであったり、歴史語言研究所のデータベースであったりするわけです。
というような話を、そのブースにいた学生スタッフらしき2人と、チーフらしき人1人が英語であれやこれや説明してくれはる、という感じのイベントですね。
ブースでは、各種デジタルコンテンツのパンフ類やクリアファイルを配ってたり、出版物を展示してたり、背後のボードに大きく印刷したポスターを掲示してたり、という感じ。あと、ノートパソコンをテーブル上に置いて、目玉らしき古地図のデジタル画像のデモンストレーションみたいのをやってました。
あとは台湾の学術データベース会社の人らにお会いして、日本語でいろいろ説明をしてもらってました。台湾日日新報とか、うちめっちゃいるやん、みたいなの。めっちゃ営業熱心、なだけでなくて、日本ではどういうデータベースがあるかとか、どういう出版社があるかとかいろいろインタビューされて、データベースを売るにはどうしたらいいかとか尋ねられるから、ああそれは日本の書店さんに代理店になってもらったほうが、うちらも契約しやすいからそうしたほうがいいですよ、どこどこ堂さんとかどこどこ屋書店さんとか、みたいな話を調子に乗ってしてましたけどね。
あと、webに載ってるデータベースなんだし日本で自分で見りゃわかるだろう、というようなe-resourceであっても、こういうのってやっぱり普段よっぽど意識することがないと、こまめにチェックしたりする余裕なんか仕事中はないから、こういう場で直に関係者の人と触れて話を聞くと、あらためて、あ、こんなんあるんだねーって気付かされること、たくさんあると思うんですよ、たとえネットで見れるe-resourceであってもやっぱり。そういう出会いが得られるのも、こういう学会とかExhibitionの有用な点だろうなって思います。
あと、日本からアジア歴史資料センターさんが出展してはりました。ここはすごい、こういうところちゃんと来てはるから。
●ライブラリアンの参加のこと
研究者以外のライブラリアンがもっと来てるイベントなのかと思ってましたけど、結局、自分と阪大・某山さんも含め、中国専門司書の人も含め、ライブラリアン職じゃなく教員で図書館役職の人も含めて、全部で10人くらいでした。そんなもんかーと思った。(前年のシンガポールは2人だったらしい)
ただ、ほんとのところはわかりません、上に言う10人は全員が北米と日本の顔見知りグループから成るので、もしかしたら台湾の地元のライブラリアンが参加はしてたけどわかってないだけかもしれない。ただ、わかってない人と出会える構造になってなかった、という感じ。
でも、2日目の朝一のピリオドで「ライブラリアンシップが云々」ていうテーマのパネルがひとつあって、それが唯一の今回のライブラリアン向け企画だったんですけど、そこにその10人がいて、あとそれ以外にも6-7人の聴衆はいたんですけど、たぶん教員職や研究者の人たちで興味を持った人ら、という感じだったんじゃないかなという。あそこにライブラリアンが混じってくれてたとしても、じゃあ多くて12-3人くらいになるのかな、という。
ただ、来年はもっと多くなりそうな予感というか、予感だけはFacebookあたりからかなり感じとれますけど。
あと、あたしはうっかりしててそういうラウンドテーブルがあるって気付かなかったんですけど、台湾のドキュメンタリーフィルムによる映像記録、というテーマのラウンドテーブルがあって、そこにフィルム・アーカイブの人が参加してたらしいです。
そんなんあったんだ、タイトルだけではわかんなかった、アブストラクトを注意深く読んだら確かにそうだった、という。
●ライブラリアンのパネルのこと
その、ライブラリアン向けパネルについてです。
司会・北米A大学の日本専門司書。
パネリスト・北米B・C・D大学の中国系司書。
ディスカッサント・日本E大学の図書館役職にある研究者。
「Librarianship in a changing world: Google is not enough!」という、ひと目見てライブラリアンなら参加しに来るタイトル。(うん、タイトルはそういうふうに付けてください・・・)
各パネルの発表は、エンベデッド、アジア言語資料、留学生支援などについての、実践報告、実態調査、事例調査報告の類の感じでした。やっぱりなじみ深いテーマの話を、なじみのあるプレゼン手法でしゃべってもらえると、苦手な英語もわりかしするっと身体に入ってくる感じがしますね。
ディスカッサントの先生が、自分なりの見解を述べて、それにからめながら発表者各者へひとつづつ質問、という、見てて非常に”美しい”流れになってた、一番いい進行のパネルだったと思います。
あと、フロアまじえてのディスカッションが、一気に実務・実践的なことが中心の話題になって、そのへんもやっぱりライブラリアンの集まりだな、という感じがしますね。自分も参加して、つい議論に集中しちゃう感じになりましたけど。
このパネルをオーガナイズしたのは、司会の北米A大学から参加してた日本専門司書の方だったんですけど、これは特にNCC(北米の日本司書の集まり)とかCEAL(北米の東アジア分野司書の集まり)とかの企画、というわけでもなんでもなくて、ご自分でオーガナイズしはったとのこと。
あと、ライブラリアン系のパネルはもうひとつ申請されてたんだけど、採択されなかったという話もありました。そういうこともあるという。
●レセプション
●北米ライブラリアンとの会話から
で、そのレセプションで、ライブラリアンたちでかたまって(数人で)この会のありかたや参加者の行動みたいなことについて、いろいろとしゃべってましたという話。
そもそもこの北米から来たライブラリアンの人たちも、お目当てのパネルとか以外の時間帯には会場にいなかったらしく、むしろ台北どこどこ図書館とか、どこどこアーカイブみたいなところに、事前に何時に何人というかたちでアポとってて、訪問・見学に行ってはったらしいです。そういう話とか聞いてるともしかして、いろんな分野の複数のパネルに連続して参加する、みたいなことやってるのってあたしくらいのものなのか??というようなことすらちょっと考えてしまうという。
展示ブースにもそんなに人ががやがやいてたわけではないし、会場全体が人混みしてるわけではないから、みんな、時間を作ってはあちこちに出かけたり、必要なグループの人同士で集まって何かしたりしてるんじゃないかしらと。
これが、このAASでは毎回そんな感じだというのか、それとも今回の時間設定・プログラム構成・会場の物理的構造によるものなのかはちょっとわかんないですけど、でも、事前にアポとってそういうことしてたっていうなら、要はそういうことなんでしょう、ていう感じですね。
で、でもみんながみんなそうやって事前にアポとって用意周到にかつスムーズにあちこちに行けるような、ある種のリテラシーがある人たちばかりではないだろうから、そういうのがプランとして用意されてたらいいね、というようなことは言われてました。それはそれでなるほどと思います、ただまあ、それは誰が何のためにやることなのか、という話になるとは思うんで、ちょっと考えどころではあるんだけど。
とにかく、こういった学会に来ると、今回の台北はともかくとしても、北米の本体の学会のほうは予定予定で詰め込まれすぎ、朝一から深夜までオーガナイズされすぎで、自由に余裕をもって動いたり、いろんな立場の人と話をしたりっていう状態らしくって、それじゃ集まってる意味ないじゃんね、て思うんですけど、そういうインフォーマルなコミュニケーションを持つ場がほしいんだ、みたいなことです。
って、みんながみんなそう思ってるとは限らないだろうけど、とは言え、実は自分自身、たった2日このAASに参加しただけでもその気持ちがよくわかるというか、なんかねえ、予備校生みたいな1日をおくってる気になるんですよね。予備校生になったことないからわかんないけど。
ここにいてたら、誰かに会える、会いたい人に会える、ていうか会う機会もなかったような人となんとなく会える、ていうような”ゆる邂逅”ができるようなデザインになってる場所・時間って、なかったんじゃないかなあって思いますね。
まあそんなようなことを、アルコールも出ないレセプションの片隅で言いたい放題(英語なので言いたいこともなかなか言えないんだけど)の即席ディスカッションを、してましたよね。
あとはe-resoruceやオープンアクセスの話とか、司書の専門性の話とか、会えてよかったねみたいな話とか、そんなんのフルーツ盛りみたいな感じ。まあ図書館関係者が寄ったらいつもしてるような話です。
●その他
このほかにも、4年前に来たときよりなんか中央研究院の周りって垢抜けたんじゃないかなって思ったこととか、バスでちょっと外に出たらひとつ別の駅に行っちゃったこととか、二日目のお弁当をあけたら骨付きもも肉のフライドチキンがごはんの上に乗っかってた衝撃とか、学食的なところで大勢でいただいた台湾料理のレベルの高さとか、ペットボトル自販機の写真を撮るアメリカ人とか、もろもろあるのですけど、まあそういうのはまた別の話。
とりあえずイベントとしてのAAS in Asia 2015 @台北はこんな感じでした、っていう記録です。