2015年11月24日

ミュージアムで写真を撮りたい、んだけど(@[世界を変えた書物]展)

 
 先日、大阪で開かれてた「[世界を変えた書物]展」を見てきたので、そのときにちょっと思ったことを書きのこしておきます。

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 「[世界を変えた書物]展」は、金沢工業大学さんが所蔵する科学・工学・技術系の古典籍・稀覯書の類を100冊だなんだ的な規模で展示するもので、刊本ばかりですが、プリンキピアはあるわ天球の回転についてはあるわ、ケプラーはおるわガリレオはおるわ、もちろん時代が下がればもっとお歴々がおるわなんですが、科学史展示としても学術史展示としても書物史展示としても、おっ、とならざるを得ないような感じで、これが過去に金沢(2012)や名古屋(2013)でやってたのを今回大阪でもやりました、というような感じみたいです。

 そしてもうひとつ、この展示会は「写真撮影OK」という。

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 これをこそ、オープン・サイエンスと言いますよね。
 ヨーロッパやアメリカのミュージアムに行くと、有名どころで写真撮影OKなところは結構多くて、やっぱりお気にのが撮れるとうれしいので、日本でももっとこっちのオープンさが普及してくれないかしら、と常々思ってましたから、あ、なんかこの展示は撮影OKらしいよ、っていうのを聞きつけてっていうのもあって、大阪までやってきたわけです。
 そして撮ってきたわけです、こんな感じ。

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↑コペルニクスの「天球の回転について」
 光っているのは、装丁(表紙裏表紙)を見せてくれている鏡のせいですが、撮影はともかく、見るだけでも若干邪魔ではある。

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↑ニュートン先生の「プリンキピア」。

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↑あたしは書物目線で見に来たんで、こういう中身がのぞけてるのをじっと見てたりします。

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↑正直、エジソンとかレントゲンとか言い出す時代になると、ああ、一般書だな、ってなっちゃう職業病。
 とかなんとかいいつつ撮ってる。

 で、撮らせてもらえたのはいいんです。
 ただ、なんかこう、違和感がある。

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 会場に見に来てるお客の人たちの、写真撮影熱がだいぶ高すぎるんじゃないか、っていう。
 もう来る人来る人みんな、スマホでパシャパシャ撮ってるという。その電子的シャッター音がフロア中で鳴り響いてて、ピーチクパーチクで埋め尽くしてるという。
 自由に回遊できる展示フロアとはいえ、資料もある程度は連番順にならんでるんですけど、そのひとつひとつを番号順に丁寧に、1個パシャ、次パシャ、ってコンプリートするように撮影している人も、めずらしくないどころか次から次にやってくるくらいに、撮ってる。
 これあれですね、展示会というより撮影会ですね。撮影会がてら、展示物として見に来てる人もいるという感じ。

 そりゃ自分もちょいちょい撮りましたけど、そう熱心な撮影会に来たつもりはなかったので、ちょっと驚いたわけです。

 なぜ、ここでは、こんなに撮影熱が高かったのか。
 そこまで科学史上の稀覯書群に興味あったからかしら。
 写真撮影OKな展示が日本ではめずらしかったせいかしら。
 そりゃ稀覯書だし、歴史的価値もあるやつだしだけど、えー言っちゃうと、見た目まあまあ地味で(笑)、そんなフォトジェニックな資料群っていうわけでもなく、みんながみんな、全部が全部を撮影するかしら、っていう。
 日本人がそういう国民性だからかしら。
 ちょっと前まで日本人×海外旅行=カメラみたいな偏見イメージあったかもしんないですけど、でもじゃあたとえば、写真撮影OKな海外の美術館で、ここまで熱心に撮影するような大量の日本人観光客なんて、見かけたことない。どっちかというと、そういうとこで一番熱心にパシャパシャ撮影してるのたぶん自分自身だろうな、ていう自覚があるほう。

 みたいなことをいろいろ考えているうちに、ふと。
 もしかして、写真を撮ることのほかにすることがなかったからじゃないかしら、的なことをちょっと思ったんです。

 科学史分野の、洋書の、古典籍の展示なわけです。基本的に文字が書かれたページ、あっても幾何学模様とか機械類の図面とかがならんでて、基本的にモノクロで、そして基本的に外国語で書かれているので、何かが見せられているけど、それが何かがわかるにはそれなりの前提知識への理解がいる、ビジュアルな美術作品とちがって。
 じゃあその脇に書いてある日本語テキストのキャプション読めばいいじゃん、ってなるけど、うん、でもわざわざテキスト読み込むために展示見に来るわけじゃないし、それだとwikipedia読んでるのとあんまたいしてかわりないんで、ある程度やっぱりモノというかビジュアルで見たい。

 ってなると、ある程度科学史や科学技術的な内容を予備知識として持っているか、自分みたいに出版史目当てで来てるようなおっちょこちょいくらいじゃないと、こういう本がストイックに並んでる展示会って、飲み込みづらいんじゃないかしら、と。
 そこへ来て「写真OK」ていう環境下だったら、あ、じゃあまあとりあえず撮っとくか、あんまこういうの見たことないし、ってなるだろうなと。

 そういう思いであらためて展示の様子を思い返してみると、そういえばパネル解説の類みたいなのほとんどなかったな、ていう。例えば、プトレマイオスなりケプラーなりの著作にこんなんありまっせっていう幾何学的な図を見せてくれてたら、その図はどういうことを描いているものなのかっていうのを、拡大で、日本語で、色つきで、補足する解説パネルみたいなんがあれば、ああこれこれこういうことをここではこういうふうに書いてるんだね、ってなるんだけど、それがテキストベースのキャプションで概要を読み込むだけではやっぱりちょっとつらい。
 これが琳派展@京博くらいの有無を言わさぬビジュアルな美術作品群であれば、当然のごとくテキストベースのキャプションを脇に置いておくという補い方で全然いいんですよ、むしろ邪魔してくれない感じで。虎の人形とかいらんし。でもその逆、ビジュアルさがないところ×ビジュアルさがない補い、はあれかなっていう。

 ビジュアルさのある補いもあるにはあって、今展示でのお気に入りのひとつがこれなんですけど。

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 今回の出展資料同士の概念関係を、立体で構築し、線でリンクさせ、それをカラーでビジュアルに描いてみせたという、一大オブジェです。モニュメントです。これが会場の中央にでっかくドデンって、謎のモノリスみたいに置いてある。
 これだけでもすごいんだけど、さらに工夫があって、資料展示のほうも各カテゴリごとに章立てしてあって、「光」とか「幾何」とか「電気」とかにわかれてあるんだけど、各章の展示列の冒頭にモノリスのミニチュアがあって、この章はあのオブジェでいうとこのあたりのことを言ってるんですよ、っていうふうに色づけしてある。

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 おおっ、これはいい工夫だ、って思ったんだけど、この子モノリスをよくよく見てみると、今度はこれは色づけだけしてあってテキストがない、何と何がどうつながって流れになっているのか、そのリンクも線引きされてない。
 なので、えーっとこの章ってどのへんの位置にあって、どれとどれとがつながってるんだっけ、ていうのを、中央の親モノリスまで見に戻って確認する、っていう。せめてパンフにモデル図でもあればな、っていう。
 そんな感じでした。

 それで、えー、強引にまとめにかかると。
 自分たち自身が今後、ビジュアルでもなんでもない、この稀覯書群よりも数十倍地味で飲み込みづらい書籍・史料の類を使って展示を構成する、というようなことをいくらでもやる機会があるであろう立場なので、そういうときにでも予備知識無しで見に来はる人たちに向かって、何をどう補って展示をするのかっていうのは考えなあかんな、ていう。
 写真撮影くらいOKにしたいんだけど、それはそれとして、撮影じゃなくてまずモノを見ることに専心してもらえるコンテンツになるように。オープンって、それ自体が目的じゃないですから。

 そういうことって、自分自身が渦中でやってるときにはなかなか客観的に気づけないので、よそさんがやってるのを見てるときにできるだけ考えとかなな、っていう感じです。

 でも、それでも、やっぱり写真撮影OKっていうだけですばらしいので、全国にもっと広まって欲しい。
 あと、混んでるときに1時間待ちとかしなくて済むよう、そこはネット予約じゃないかしら、っていう制度をもっと整備してほしい。これは主に琳派展への注文。

 あと、極私的に好きだった絵↓(これも職業病)
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posted by egamiday3 at 22:51| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月07日

(メモ)電子書籍(あと主に公共図書館とのそれ)


●日本の現状
・「電子書籍ビジネス調査報告書2013」
 電子出版市場規模推移(確定分のみ)(億円)
 http://www.garbagenews.com/img13/gn-20130720-02.gif
・アマゾン
 iBooks
 楽天(kobo)
 紀伊國屋書店
 BookLive(凸版印刷)
 honto(大日本印刷)

●アメリカの現状
・電子書籍のシェア
 金額ベース 11%
 部数ベース 22%
・アマゾンのシェア
 冊子 40%強
 電子書籍 50%強 (iBooks 約15%)


●電子書籍の種類分け
・パソコンで、CD-ROM/DVDで閲覧する
・電子辞書
・ケータイ小説/ケータイコミック
---
・パソコンで、オンラインで、ダウンロード/閲覧する
・携帯電話・スマホ・タブレットで、オンライン、ダウンロード/閲覧する
・専用端末で、オンラインで、ダウンロード/閲覧する

・スタンドアローン
・ダウンロード(オンラインで保存)
・ストリーミング(オンラインでリアルタイム)

・フィックス(画像方式)
 PDF、マンガ・ビジュアル雑誌・写真集、紙からのスキャン
・リフロー(テキストデータ、全文型)
 フォント変更、全文検索、書き込み、外部参照、読み上げ対応(障害者支援機能)

・一般的なブラウザ
・専用閲覧ソフト/閲覧アプリ
・専用端末
・電子書籍アプリ
(例:2010「もしドラ」電子書籍アプリ、10万ダウンロード)

・出版者が新刊書・近刊書(紙書籍)の電子書籍を販売する
・過去の紙書籍を遡及的に電子書籍化する
 例:日本出版インフラセンター「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」(→)
・電子書籍のみで出版・販売される
・個人が自己出版として電子書籍出版する
・個人が”自炊”する
・デジタルアーカイブとして構築する
 Google Books、NDLデジタルコレクション、各図書館・公的機関等の電子化事業、青空文庫/グーテンベルグ・プロジェクト、機関リポジトリ・オープンアクセスサーバ

・DRM(Digital Rights Management)
・コンテンツに鍵をかけて利用を制限する(ハードDRM)
・コンテンツに電子透かし/番号を埋め込んで追跡・識別可能にする(ソフトDRM)


●電子書籍の規格(ファイル形式)
・・国際標準
・PDF
 Adobe社開発→国際標準規格
 電子書籍に限らず幅広く普及
 ページレイアウトを固定する
 画像データ/テキストデータ
・EPUB3.0
 IDPF(International Digital Publishing Forum:国際出版フォーラム)(2011年から)
 HTMLコンテンツをzipでまとめ、拡張子を.epubとしたもの
 (HTML、CSS、XML、JPEGなど)
 仕様はオープン

・・デファクト・スタンダード
 企業=プラットフォーム提供者が、独自の規格を開発・採用し、市場シェアを確保する。
 コンテンツと、プラットフォーム、デバイス(機器)、ビジネスモデルなどのエコシステムを構築する。
・アップル(iBooks)
・アマゾン(kindle) KF8(拡張子.azw)


●電子書籍のエコシステム
・アップル(iBooks)
・アマゾン(kindle)
・大企業(プラットフォーム提供者)が、コンテンツ、プラットフォーム、デバイス(機器)、ビジネスモデルなどの大規模なエコシステムを構築する。
・コンテンツを管理し、ユーザを管理する。
・このエコシステム内では便利・快適(「檻の中の平和」)
・エコシステムが一部のプラットフォーム提供者により寡占化している。
 ↓
・(例)2009 アマゾンが、著作権的に問題のあった書籍を、強制的に遠隔操作により削除した。(『1984年』『動物農場』)
 ↓
・書籍データ(ユーザの書き込みデータも含む)が勝手に削除される。
・企業が、ユーザの購入・閲覧履歴等のデータを把握している。
・ユーザは、電子書籍を”入手”したのではなく、”アクセス権”を得ているだけ。(DRM、自力で保存不可)
・企業が”閉店”したら、ユーザは電子書籍へのアクセスができなくなる。
・以上のことを、ユーザは”同意”している。


●電子書籍の価格
・エコシステムが一部の大企業により寡占化している
 ↓
・電子書籍は物品ではないので再販売価格維持制度の対象ではない。(2011年 公正取引委員会)
・価格を自由に付けられる(割引、セール等)
・売る/売らない、いくらで売るか/いくらで買うかが、一部のプラットフォーム提供者に左右される
 例:無料セール・格安セールの実施


●電子書籍の歴史
・1985 『最新科学技術用語辞典CD-ROM版』
・1987 『広辞苑第4版CD-ROM』
・1988 日本電子出版協会「日本語対応CD-ROM論理書式に関する標準化案」
・1990年代 EPWING(辞書システムCD-ROMの標準規格)
・1999 電子書籍コンソーシアムが「ブック・オン・デマンド実証実験」
・2000年代 国内各者(パナソニック、ソニー等)が電子書籍端末を発売
・2006 GoogleがGoogle Books事業を開始
・2007 AmazonがKindleを発売
・2009 国立国会図書館が所蔵資料の大規模デジタル化事業を開始
・2012 日本出版インフラセンターが「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」
 (東日本大震災復興関連予算による。460社、6万タイトル。多くの出版者が電子書籍化を開始。運営・内容・効果に批判あり)


●公共図書館における電子書籍の導入
・2014年 アメリカの公共図書館の約95%が電子書籍を提供している
・2013年 日本の公共図書館では17館しか電子書籍サービスを導入していない(10万人以上の自治体、電子出版制作流通協議会調べ)
・大都市圏の公共図書館では関心が高いが、それ以外の市町村立図書館では反応が鈍い


●なぜ日本の公共図書館では電子書籍サービス導入が進まないのか
・予算が足りない
・導入費・維持費・電子書籍費が高い
・タイトル数が少ない
・新刊書が少ない
・利用者のニーズに合ったタイトルが少ない

・紙書籍よりも電子書籍のほうが販売時期が遅い
・同時貸出数に制限がある

・公共図書館向けの電子書籍サービス(販売用のビジネスモデル)が少ない、流動的
・有力なプラットフォーム提供者があらわれていない
・出版者側が無料貸出による販売圧迫を警戒している

・図書館・図書館員のスキル・考え方が追いついていない
・ユーザの利用がまだ定着していない
・ユーザからのニーズ、問い合わせが少ない
・むしろ日頃図書館に来館しない人へ向けての利用促進が必要


●出版者側と公共図書館側との見解の比較
・磯部ゆき江, 三輪眞木子. 「公共図書館への電子書籍サービス導入 : 公共図書館と出版社の視点」. 『日本図書館情報学会誌』. 2014.12, 60(4), p.148-164.

・・公共図書館
・電子の値段は、紙と同額かそれ以下をのぞむ
・電子の提供時期は早期をのぞむ
・電子の貸出回数に上限を求めない
・(公共図書館は)電子の所有権を重視していない(流通←→保存)
・主な対象者は、非来館者、障がい者、高齢者。期待する機能は文字拡大、音声読み上げ。
(電子書籍に関する公立図書館での検討状況のアンケート(2013))
・公共図書館のサービスで重要なのは、レファレンスサービスである

・・出版者
・電子の値段は、紙より高い価格をのぞむ
・電子の提供時期は、紙より遅くらせることをのぞむ
・電子の貸出回数に上限を求める
・公共図書館は貸出を重視している(と考えている)
・紙と電子をともに出版する
・一般消費者向けビジネスが優先

●公共図書館向け電子図書館サービス(日本)
・TRC「TRC-DL」
・紀伊國屋書店「NetLibrary」
・株式会社日本電子図書館サービス(2013、角川・講談社・紀伊國屋書店)
・Over Drive社(米国)

・OPACで紙書籍と同様に検索・アクセス可能なサービス
・電子書籍専用のサイトからアクセス可能なサービス
・専用の閲覧ソフトが必要か/不要か
・サービス終了後、購入した電子書籍を入手保存できるか/できないか

●公共図書館向け電子図書館サービス(日本)の課題
・タイトル数が少ない
 千代田区立千代田図書館 6200冊
 大阪市立中央図書館 5000冊(和書1500冊)
・導入費・維持費・電子書籍費が高い
・価格が紙書籍よりも割高である(TRC-DL:1.2-1.3倍)
・ライセンス(同時貸出数)ごとに料金が必要(3ライセンスなら3倍)
・奉仕対象人口に応じて価格が決まる
・NetLibrary: 電子書籍購入費用を一度支払えばよい(入手・保存可能)
 TRC-DL: 継続してシステム使用料・サーバ使用料などを支払う

●図書館における電子書籍の購入
・購買(買い切り)
・アクセス契約
・Pay per view
・Demand Driven Acquisition(要求主導型購入モデル)
 利用者が借りた分だけを、図書館が後払いで購入する
(例)米Over Drive社 20回までの貸出はPay per view料金を適用、それを越えると自動的に購入料金を適用

●公共図書館向け電子図書館サービス(アメリカ)
・2014「Ebook Usage in U.S. Public Libraries」
 公共図書館の約95%が電子書籍を提供している
 74%がフィクション、26%がノンフィクション
 タイトル数の中央値は約1万点 (3万点をこえる図書館は約17%)
 購入予算は全体の8%程度(5年後に14%と予想)

●Over Drive
・50言語・200万タイトルの電子書籍が、世界30か国の34,000の図書館や学校で利用可能
・Over Drive社の電子書籍サービスを9割以上の図書館が利用している
・図書館OPACまたは書店等のwebサイト、Amazon等で貸出手続き
 自分の機器(PC、タブレットなど)にダウンロード
 貸出できるのは1冊あたり1回に1人だけ
 貸出期間が過ぎれば、自動的に消去される
 貸出中の電子書籍には「購入」ボタンも出る
・多くがコンソーシアム契約によって他館と共有する
・電子書籍は、紙にとってかわるのではなく、補完サービス

●米国での課題と活動
・図書館界から出版会に対して積極的なビジネス提案をする
・サービス契約の終了と変更
 (例)カンザス州立図書館(書籍の一部は新システムへ移動、一部はアクセス権を失う)
・2012 ALA会長が図書館への電子書籍供給を拒否する出版社を批判
 「経済的に図書館利用しかない利用者への差別であり、出版社によるデジタルデバイドの拡大を傍観できない」

●日本での展望と課題
・2015年 株式会社メディアドゥが日本の公共図書館にOver Driveの電子書籍サービスを提供開始
 (龍ケ崎市立中央図書館・潮来市立図書館)
・2016年 国内の電子書籍タイトル数は100万点をこえる見込み(http://current.ndl.go.jp/node/28502
・電子書籍に最も出費する国は日本(平均86ドル)(米調査、http://current.ndl.go.jp/node/29072

・出版者によるビジネスモデル(図書館によるサービスモデル)の構築
・公共図書館、出版者の相互理解、協力関係



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■参考文献
・日本図書館情報学会研究委員会編. 『電子書籍と電子ジャーナル』. 勉誠出版, 2014.
・星野渉. 「電子書籍と出版産業」. 『情報の科学と技術』. 2012.6, 62(6), p.236-241.
・植村八潮. 「電子書籍の市場動向と図書館」. 『現代の図書館』. 2013.12, 51(4), p.197-202.
・磯部ゆき江, 三輪眞木子. 「公共図書館への電子書籍サービス導入 : 公共図書館と出版社の視点」. 『日本図書館情報学会誌』. 2014.12, 60(4), p.148-164.
・伊藤倫子. 「電子書籍貸出サービスの現状と課題 : 米国公共図書館の経験から」. 『情報管理』. 2015, 58(1), p.28-39.
・村上泰子, 北克一. 「電子書籍と知の公共性,図書館」. 『図書館界』. 2015.7, 67(2), p.96-104.
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