2016年01月31日
さよならパスポート
パスポートを新調しました。
旧いほうのパスポートは2006年12月末から10年有効のやつで、まだ1年近く期限はあるけど余裕をもってできるときに更新したという。
旧いやつは新しいのが渡されるのと同時に、無効化のうえ返却されてきました。カバーの類いは付けない主義なので端々がよれてたり、黄ばんだりシミができたりしていますが、それだけに手に馴染んだ感もあります。過去9年間、海外に行くときは常に大事に携帯していた、ある意味自分にとって代わりのきかない”相棒”のようなものでした。ポイズンでした。
全体の半分も埋まってませんが、それでもたくさんの出入国スタンプが押されてて、ページを一枚めくるごとに「あー、これあのときのか」といった想い出がよぎりますね。
「ふぉんす、ふぉんす」て言わはるのが何かさっぱりわかんなかったけど要は”France”のことだったという、2010年のパリとか。
お昼に公園のベンチでチキン食べてたら鳩に取り囲まれた、2011年のアメリカとか。
夜市を歩くと角々で臭豆腐のにおいの不意打ちをくらった、2011年の台北とか。
豚のごちゃっと焼いたのが出て、伝統料理と言うんだけど真偽は定かではない、2008年のリスボンとか。
ビアカフェでアメリカにいるはずの知人に偶然出くわして時空がゆがむ思いがした、2014年のブリュッセルとか。
話題になってるらしい図書館にふらっと出向いて適当にブログに書いたら、速攻でカレントアウェアネスに晒されるという羞恥に遭った、2013年のイギリスとか。
夕食食べたくてパブに入ってもビールしかないからみんなでビールばかり呑んでいた、2009年のイギリスとか。
その経験を踏まえて食事ができるパブにあらかじめ目星をつけておいて、行ったらタイムアウトだった、2011年のイギリスとか。
北国で涼しいからと安心して行ったら、めったにない暑さだとかで、クーラーもないから寝苦しく過ごした、2012年のコペンハーゲンとか。
延々鉄道に乗っててこいつ帰国せえへんのちゃうかと日本では思われてた、2013年のヨーロッパ周遊とか。
おかゆが好きじゃないから宿の朝食をパスして外売りの肉まんを食べて続けてたら、速攻で飽きて困った、2015年の台北とか。
これがビジネスですか、そうですか、もうエコノミーには戻れなくなるではないか不幸すぎる、という2014年のイギリスとか。(イギリス行きすぎだろう)
パブ、パブ、パブ、パブ、パブで帰国後の健診にひっかかった、2014年のアイルランドとか。
パンパンのキャリーケース2つを両手に、二の腕をぷるぷるさせながら引きずり回した、2015年のライデンとか。
なにより、この相棒と最も苦楽を共にしたのは2007年、1年間のハーバード暮らしでした。
1年間毎日、外出するときには必ず携帯してました、それは、携帯してなきゃいけないことになってるっていうのもあるのですが、それよりもまずスーパーでお酒買う時に必ず身分証提示させられるからで、そのためのリカーライセンスみたいなのを役所で取得するのに運悪く失敗しちゃったということもあって、しょうがなく毎日持って歩いてたという。しかも、なくしたりスリにとられたりしないようにポケット付きの下着に入れて携帯してたので、常にズボン下がごわごわしてたっていう。そりゃよれもするし黄ばみもするだろうと。
その相棒に「VOID」の穴が空いてしまったのは残念ですが、まだまだ行ってないところはいくらもあるので、新しいパスポートにも出入国スタンプがたくさん押されますようにという思いでいます。
新しい手帳にもあなたのイニシャルがたくさんありますように、的な感じで。
極私的・2016年の絵馬(活動指針メモ)
絵馬。
それは、折に触れて掲げたり降ろしたりする、今年一年の活動指針。
●タイムライン
2007 HVU
2008 NBK・JLA
2012 本棚の中のニッポン
↓ ↓
2016 ===いまここ===
↓ ↓
↓ Something
2020 ↓
2022 ↓
●イベントごと
2016.03 CEAL/NCCシアトル
2016.06 AAS京都
2016.09 EAJRSブカレスト
隙を見て イタリアかバルト三国か北海道に行きたい
●2016年の絵馬
・以下のことについて、とりあえず節酒から始めます。これはマジです。
・基礎体力をつけてください。ヒヤリ・ハットです。そのための有酸素運動です。(知的活動の話)
・α(アルファ)を選別的に志向します。もうそんなリソースに余裕ないです。
・出不精はダメ絶対。
・アウトプットを無駄に増やします。こうなったら”無駄に”でいいです。
・(客)をダシにして、(主)にしてください。
・NBKをどうしたいのか、可視化させてください。
・環境整備のためには、投資くらいしてください。
図書館のお仕事の日常的な記録(2015年夏のとある1日) : 「司書の一日をみてみよう」に寄せて
「研究者の一日をみてみよう」というおもしろ企画があった、とうかがっています。
第109回 人文科学とコンピュータ研究会発表会
開催情報/第109回 - PukiWiki
http://www.jinmoncom.jp/index.php?%E9%96%8B%E5%82%AC%E6%83%85%E5%A0%B1%2F%E7%AC%AC109%E5%9B%9E
いまのところネットに特に何かあがってるわけではなさそうなのでどんな感じのことだったのかはわかりませんが、わからないながらもそれと同じノリで「司書の一日をみてみよう」ってやったらおもろいんじゃないかなと思って、っていうか、あたし自身は下記のような感じでたまにやったりしてるのですが。
図書館のお仕事の日常的な記録(2013年冬季のとある1週間) | egamiday3
http://egamiday3.seesaa.net/article/353784231.html
で、ちょうど去年8月のとある1日の書き留めた記録がdropboxの片隅にふわっと落ちてたんで、ここに載せるという感じです。個々の事例を晒したり特定されないようにということで、大幅に匿名化・偽名化、ストーリーを書き換える感じで、”行動”は記すけど”内容”は伏せるようにしてあります。
時期は、2015年8月上旬のとある平日。
場所は、とある人文系の研究センターの図書館。
担当業務は閲覧、パブリックサービスまわりです。
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8:15 1時間半かけて出勤
8:15 開館準備。4棟12フロアをすべてまわって点灯、軽く片付け、異常がないかの確認。
8:30 メール確認。今日やる、明日以降やる、要注意、寝かす等の仕分け。
9:00 外来利用者が不調を訴える閲覧用PCの、一時ファイル削除やソフトのアップデートなどのメンテ。
9:20 台湾の先生が戦前の日本料理についての文献を他大学から借りて欲しいと言ってきたのを調査した結果、東京の私立大学がデジタル画像公開しているのを見つけられたので伝える。
9:30 海外ILL受付対応。貸出依頼が来た本について、近年に貸し出されてなかったか、この分野で借りそうな内部の人がいないかを記録や記憶から判断(つまり長期に海外に貸し出しても問題なさそうかを判断)して、貸出処理。
10:00 依頼により、過去1年のOPACへのアクセス統計をまとめて報告。その過程で、数字のあらわれ方に不審な点があることに気付いたので、ひととおり内容を吟味した上で、業者さんに問い合わせを送る。
10:45 依頼により、過去の利用統計から関連しそうな数字を抜き出して、報告。
11:00 換気のために新館の窓を開放。
11:15 外部より閲覧打診のあった絵巻物について、劣化状態を現物で確認して、回答する。
11:30 ミラノの芸術雑誌からの問い合わせ対応で、うちが撮影して保管している艶本資料のデジタルデータのマスター画像について、解像度その他を調査して回答する。
11:50 東京の出版社に送るための古地図画像をDVDに大量に焼く作業。
12:10 館内の展示ケースの仕様について問い合わせあり。
12:15-13:00 休憩
12:30 休憩中、テレビ局から名所図会への問い合わせあり、対応。
12:40 英語の勉強
13:00 カウンター業務(以下17:00まで通常のカウンター業務と併行して)
13:00 マイクロフィルム利用の外来利用者に対応、案内。
13:15 業者に委託する図書移動作業(約3万冊)の準備。別置すべきタイトルの選定と棚数のカウント、空き棚数の算出、Excelによる空き棚配分の計算、フロア・書架マップの描画、業者さんへの指示票(棚に貼る)をwordの差込機能で印刷作成、等々。(以上を16:30頃まで断続的に)
15:00 館内数カ所に設置する予定のカーテンのサイズを採寸しにきた業者さんを現場に案内、館内を一巡してまわる。
15:30 換気のために開放していた新館の窓を閉める。
15:45 大阪の某文庫から届いた文献複製・製本の見積金額の内訳に不審な点があり、過去の書類と見比べる作業。
16:20 外来利用者の複写料金受け取りと経理処理。
16:30 新着図書のバーコード読み込み、帯の装備、貸出希望者への連絡、新着コーナーへの配架、古い新着図書の間引き。
17:00 閉館作業。4棟12フロアをすべてまわって消灯、軽く片付け、異常がないかの確認。
17:15 東北の博物館から来年の巡回展のための展示貸出の打診あり、その資料を扱う先生に相談。
17:30 ライデン出張準備の一環として、構想図を再描画。
18:00 同じく出張準備から派生して、OPAC利用ガイドの確認と新規作成、そのための動作確認。
19:00 おしまい。1時間半かけて帰宅。
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8月上旬のことなので、内部の研究者・院生からの問い合わせや職員とのやりとりはむしろ少ないほうの1日だったのかなという感じです。たぶんルーチンワークや球の打ち返しのような仕事もこれだと少ないほうで、図書移動準備とか出張準備とかに腰を据えてとりかかる時間があったということはだいぶ落ち着いた感じの日だったんだろうなと。だいたい、カウンターと併行して図書移動の計算仕事ができてるとか、よっぽどふだんよりは余裕があった特異日のはずです、いつもはうちとこみたいな図書館であったとしても、酸欠や脱水で頭痛くなったり閉館までお手洗いに行く隙も見つからないような日だって珍しくはないです。
2016年01月17日
(メモ)「海を渡る日本の“学術書”」(図書館総合展2015)からの抜粋
・「海を渡る日本の“学術書”」(図書館総合展2015)
http://www.libraryfair.jp/forum/2015/1885
・Youtube動画
https://www.youtube.com/watch?v=0ofZIN8J5kE
・図書館総合展2015「海を渡る日本の学術書」 #海を渡る日本の学術書 #図書館総合展 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/899264
●野口幸生. 「北米研究図書館における電子化環境 : コロンビア大学図書館を事例として」.
・コロンビア大学図書館における電子化資料e-resourceの導入においては、「冊子体と電子と両方がある場合には、電子のほうをより好んで選ぶ」。導入の条件として「追加のソフトやアプリを用いることなく、ブラウザの機能のみで使うことができること」「学内(LAN)のみならず、学外からもリモートアクセスが可能であること」がある。
・電子書籍e-booksは現在200万以上のタイトルを提供、その支出は全図書予算の25%に及ぶ。
・4.日本研究コレクションの電子化の現状
・オンラインデータベース、CD/DVD形態の資料、e-books
・CD/DVDはスタンドアロンのパソコンでしか利用できないが、OSのバージョンアップに対応できないなどの問題から、恐竜の運命にある。オンラインデータベースへの移行を勧告される。
・オンライン資料はリモートアクセスが可能であること。
・特殊なソフトやアプリを追加し泣け得ればならないものはNG。
・(e-resource・コンテンツについての)北米向けの目録データを提供してほしい。
・学術書は冊子体と電子と両方で出版されるべき。
・韓国・中国・台湾などのe-book、e-journalは大量に電子化されており、日本の現状とは著しく異なる。
(以下、ディスカッションにて)
・日本の学術雑誌が電子化されていないことについて、北米や中国の学生には驚かれる。
・一方で中国は驚くほどの量の電子化がされている。
・たとえばCiNii(機関定額制)ひとつを契約するにもNIIの対応が柔軟でないため、(かつ大学側は契約条件に問題があるものについては法務が妥協しないため)コロンビア大学ではいまだにCiNiiを契約できていない。日本は発信というものをどう考えているんだろうか、とのこと。
●田中政司. 「海を渡る日本の”学術書” : 海外における日本資料の可能性について」.
・JapanKnowledgeの海外法人契約をもとに。
・海外図書館司書「日本からの発信が少ない」「海外の日本研究はどんどん小さくなってしまう」「もっと情報発信と資料の電子化を進めてほしい」
・全契約数のうち14%(約100機関)が海外での契約。北米6割、ヨーロッパ3.5割。
・海外でも需要はある(現在15%、中国が増えれば20%はいく)
・北米では日本研究司書が購入権限を持っており、大手大学は予算も大きいため、直接営業をかけて即断してもらえるという意味では営業コストは高くはない。
・紙の資料については海外に販売する流通のルートは整っている。問題は、電子資料のプラットフォームができあがっていないため、必要な資料情報が利用者の元に届いていない。
・仕組みが整いビジネスモデルが立てやすくなればよい。
・外部データベース・サービスとの連携がこれから重要になってくる。
http://www.libraryfair.jp/forum/2015/1885
・Youtube動画
https://www.youtube.com/watch?v=0ofZIN8J5kE
・図書館総合展2015「海を渡る日本の学術書」 #海を渡る日本の学術書 #図書館総合展 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/899264
●野口幸生. 「北米研究図書館における電子化環境 : コロンビア大学図書館を事例として」.
・コロンビア大学図書館における電子化資料e-resourceの導入においては、「冊子体と電子と両方がある場合には、電子のほうをより好んで選ぶ」。導入の条件として「追加のソフトやアプリを用いることなく、ブラウザの機能のみで使うことができること」「学内(LAN)のみならず、学外からもリモートアクセスが可能であること」がある。
・電子書籍e-booksは現在200万以上のタイトルを提供、その支出は全図書予算の25%に及ぶ。
・4.日本研究コレクションの電子化の現状
・オンラインデータベース、CD/DVD形態の資料、e-books
・CD/DVDはスタンドアロンのパソコンでしか利用できないが、OSのバージョンアップに対応できないなどの問題から、恐竜の運命にある。オンラインデータベースへの移行を勧告される。
・オンライン資料はリモートアクセスが可能であること。
・特殊なソフトやアプリを追加し泣け得ればならないものはNG。
・(e-resource・コンテンツについての)北米向けの目録データを提供してほしい。
・学術書は冊子体と電子と両方で出版されるべき。
・韓国・中国・台湾などのe-book、e-journalは大量に電子化されており、日本の現状とは著しく異なる。
(以下、ディスカッションにて)
・日本の学術雑誌が電子化されていないことについて、北米や中国の学生には驚かれる。
・一方で中国は驚くほどの量の電子化がされている。
・たとえばCiNii(機関定額制)ひとつを契約するにもNIIの対応が柔軟でないため、(かつ大学側は契約条件に問題があるものについては法務が妥協しないため)コロンビア大学ではいまだにCiNiiを契約できていない。日本は発信というものをどう考えているんだろうか、とのこと。
●田中政司. 「海を渡る日本の”学術書” : 海外における日本資料の可能性について」.
・JapanKnowledgeの海外法人契約をもとに。
・海外図書館司書「日本からの発信が少ない」「海外の日本研究はどんどん小さくなってしまう」「もっと情報発信と資料の電子化を進めてほしい」
・全契約数のうち14%(約100機関)が海外での契約。北米6割、ヨーロッパ3.5割。
・海外でも需要はある(現在15%、中国が増えれば20%はいく)
・北米では日本研究司書が購入権限を持っており、大手大学は予算も大きいため、直接営業をかけて即断してもらえるという意味では営業コストは高くはない。
・紙の資料については海外に販売する流通のルートは整っている。問題は、電子資料のプラットフォームができあがっていないため、必要な資料情報が利用者の元に届いていない。
・仕組みが整いビジネスモデルが立てやすくなればよい。
・外部データベース・サービスとの連携がこれから重要になってくる。