2016年04月21日

CEAL2016のメモ その4・その他もろもろ

 その他もろもろの巻。

●図書館見学(3/29 15:45-16:55)
・グループにわかれてワシントン大学内の図書館を見学するツアー。
・その1、資料修復ラボ@Suzzallo Library(中央図書館)。見学時にはコンサベーター3人が在室。スペースはできるだけフレキシブルにとる、撮影用スペースを確保する、作業しやすい家具をそろえる、湿度に気をつけて水を使用する作業場所は隔離する、など。東洋の線装本もここで修復する。展示準備を行うのもこの部署であるとのこと。
・その2、東アジア図書館(http://www.lib.washington.edu/east-asia)。蔵書の2/3は学部図書館地下の書庫に所蔵されており、この図書館では雑誌・参考図書の配置が中心とのこと。韓国企業からの寄付によるグループスタディエリアの確保や、東アジアから来た留学生のためのオープンイベントなど。また、シアトル市内の東アジア・CJKコミュニティとも関係を持って活動している。

●レセプション(3/29 17:00-)
・レセプションではいろんな人と適当にフランクにお話しした、親交を深めた、という感じ。
・寿司の米がかたかったのと、マウント・レーニアが美しかったの。

●Committee on Technical Processing (3/31 10:15-11:15)
・CEALのテクニカル、つまり目録・メタデータ的な委員会の分科会。
・全体タイトルは「BIBFRAME, Linked Data, and Their Application in East Asia Technical Services」
・「Development and Testing of BIBFRAME at the Library of Congress」LCからの経緯&実践報告、これは整研あたりの話。BIBFRAMEは情報共有のためのvehicleである。2015-2016がLCでのパイロットプロジェクト期間である。その後改訂反映させて、2回目のパイロットを予定。とりあえず長期プランでMARCレコードをBIBFRAMEリンクドデータへ移行させるんだけど、CJKは・・・というところであまり話がわからなくなってしまった。BIBFRAMEはBIBFRAMEでもわりと”図書館寄り”のBIBFRAME話だったけど、でも結局、BIBFRAMEは図書館目録を終了させるものなんだ、ということがわからないと納得は難しい気がする。
・「BIBFRAME and Linked Data at the University of Washington」ではワシントン大学におけるBIBFRAMEの実践報告でより現場に近い感じの報告。MARCをBIBFRAMEへ変換するのは、これはBIBFRAMEと図書館員が仲良くするためのコミュニティ・プロジェクトなんだ、ということか? 変換結果のレビュー(特にCJKレコード)が報告されているんだけど、わりと問題が多い。CJKが消えた、変換されなかった、別のフィールドへいった、言語タグが間違って変換された(特に翻訳版やバイリンガル版のようなもの)、などなど。ちょっと良く理解できなかったけど「BIBFRAMEへは変換できても、RDAへバックできない」というのは折り返し変換が無効みたいな感じの意味なのかな。CJKレコードの特徴として、タイトルなりなんなりを記述するのに、ローマン(アルファベット表記)のフィールドと非ローマン(CJK等の原語表記)のフィールドの2つを持っていてそれを並列させることでペアなんだよつながってるんだよとわからせる、っていうのがあるけど、それがつながらないという問題がある。みたいな話は、なんというかこう、これまでは”文脈”を”規則”として(悪く言えば)だましだましで運用してきてしまってたのが、そういう文脈が規則として引き継がれる余地がなくなっちゃったから、みたいな感じかなあと自分なりに解釈している。

●某個人的な打ち合わせ (3/31 14:00-)
・某個人的な打ち合わせを廊下のテーブルでしてた、というだけなんですが。
・どうもその廊下が「交通の要衝」的な場所だったらしく、またAAS学会が始まりつつあった時間帯だったこともあって、打ち合わせしてるところへ所属大学の研究者に出逢う、退職した懐かしのライブラリアンに出逢う、うちとこの元院生に出逢う、うちとこの現院生に出逢う、などなど、とてもじゃないが打ち合わせどころじゃなかったという。そういう話。関所かと。


posted by egamiday3 at 23:33| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

CEAL2016のメモ その3・多巻もの内容索引の電子化に関するミーティング 

 CEAL2016@シアトルのメモ、その3です。
 言うとしたら、多巻ものの内容索引の電子化に関するミーティング、とでも言うべきミーティングがあり、参加してきました。(3/31 21:45-23:00頃)

・ホテル内小会議室にて。北米の日本研究ライブラリアン数人と、AASに企業ブース参加で来ていたと思われる日本の出版関係者が参加。
・この問題は数年前のCEALでも「本棚の中のニッポンの会」的な名称でインフォーマルなミーティングが持たれていたもの。
・北米では日本で出版された冊子・マイクロなどの全集もの・多巻ものについて、高額なのであちこちが買うわけにはいかないんだけど、それでもせめて北米内で1セットは持つようにということで、北米の日本司書間で連携してなんとか買っている状態。で、その1セットを所蔵している図書館へ北米内各館がILL依頼を出して取り寄せようとするわけなんだけど、そこで問題になるのが、その全集もの・多巻ものの内容索引・目次情報の類が電子化・オープン化されていないので、書誌情報を明確にできない・検索調査ができない、という問題。遠隔で所蔵館から取り寄せようとするのに、ほしい著作が第何巻にあるのか、何ページにあるのか、そもそもどういう著作があるのか。それを、webで、デジタルのかたちで、ライブラリアンにもユーザ自身にも参照可能なようにすることができないか、という。
・このくらいのことすらweb・デジタルで検索調査できないと、北米での日本研究はどんどん見向きされなくなってしまう、という危機感。それから、出版者側としてもどの多巻ものにどんな著作が含まれているかがwebで顕在化すれば、販売促進につながるはずだよという考え方。
・ではそれをどのようなかたちで、どこに置いて、公開するのか。例えば、冊子索引をPDF化してOCLCの書誌からリンク貼ってたどれるようにする? あるいは簡易データベースを構築する?
・詳細は割愛しますが、簡易データベース化について具体の提案・紹介あり。課題は、レコードのフォーマットをどう整理調整するのか。そして、データ自体を各出版社から提供してもらえるのか。
・データの提供については出版社側からどれだけ協力を得られるかがカギ、という感じのよう。これがなかなか難しく、最終的には全部紙でめくっていくから研究力がつくんだ的な話も出るくらいで、21世紀も1/6が過ぎそうな頃にそういう議論というのはどうなんだろう。(ほんとはいまごろ本文のほうがネットで見れてていい頃合いでは)
・以下、egamidayさんの意見。この問題、つまり全集多巻ものの内容索引・目次情報がデジタルのかたちで検索できない状態にあること、というのはそもそも、日本側の未整備の問題であり、日本の図書館業界こそが率先してリクエストの声をあげるなりあるいは解決に取り組むべき問題であって、デジタルヒューマニティーズだなんだと言って画像だ研究データだwikiだと上げていくのもさることながら、このくらいの基本的な書誌情報整備は我々がちゃんと責任もってやっていかなきゃダメだろうと。なので、この文脈に限らないで、もっと広く日本の図書館コミュニティを巻き込んで議論できないか。
・それと、たぶんだけど、これの解決方法は唯一の何かに収斂していくものというわけではないだろう、CiNii ArticlesやNDLサーチやNDLデジタルコレクションという解決かもしれないし、NACSIS-CATのCWの問題かもしれないし、ディスカバリーサービスかもしれないし、オープンデータのコミュニティかもしれない。だからこそ、問題を顕在化させて多様な眼に触れさせるステップが必要なんじゃないか、と思う。
・という上記2点を組み合わせた結果、とりあえず「カレント・アウェアネス」に記事書かせてもらったらどうか、という提案をしたんですが、どうですか>関係各位。あるいは「人文情報学月報」さんに。
・あと細かい点では、データベースにするならツールとして汎用性のあるものに、ていう。
・11時近くまで議論して、終了後数人でホテルのバーでねぎらって、Uberで宿所に送ってもらって、12時くらい。おつかれちゃん。

posted by egamiday3 at 23:24| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

CEAL2016のメモ その2・日本研究ライブラリアンの集まり

 CEAL2016@シアトルのメモ、その2です。
 日本研究ライブラリアンの集まり、公式プログラムが3件と、インフォーマルなのが2件。

 以下に登場するNCCとCJMですが。NCCは、North American Coordinating Council on Japanese Library Resources(北米日本研究資料調整協議会)。CJMはCEAL内の日本資料委員会、Committee on Japanese Materials。ざっくり言えばどちらも北米の日本研究ライブラリアンのコミュニティ。


 以下が公式編。

●NCC/CJM Joint Session (3/30 19:00-20:00 + 20:00-21:00頃)
・“Updates from Japanese Partners: the National Institute of Japanese Literature and the National Diet Library”
・小分科会的なセッションで、NCC・CJMが合同で持つ日本研究司書向けの企画。
・NDLから、ILLサービスについての概説。e-ラーニング教材や海外日本研究司書研修について。それから地図のデジタル化事業の紹介、など。
・国文研の山本先生から、例の事業、「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」について、概要紹介。
・なお、公式セッション企画のあとさらに1時間ほど、有志で集まってアンオフィシャルにミーティングが持たれて、主に国文研の事業について具体的な質疑応答や議論がなされる。アンオフィシャルなやつなので具体的なことは割愛しますが、北米図書館側はこの事業への連携提携を具体的に進めよう進めよう手を挙げようと望んでいる様子。国文研側の考えとしては、事業名にもあるようにこれは共同研究ネットワークの構築だ、という感じなんだなという印象でした。
・まあいずれにしろ、ヨーロッパ(2015年秋ライデン)でも北米(2016年春シアトル)でも、国文研さん超大人気、超期待大、ていうのがありありと見てとれました。

●Committee on Japanese Materials (3/31 15:15-16:15)
・CEALの日本資料分科会。二の丸。「Recent Developments in Japanese Higher Education: Politics and Policies in Japanese Universities」と題す。
・『右傾化する日本政治』(岩波新書)の著者、上智大学・中野晃一氏による「Historical Revisionism as Official Policy: Crisis of Academic and Press Freedom in Japan」という講演。どうなっちゃうんだろう、とため息がきこえる感じ。日本の図書館ではニセ歴史書?の類はどう分類してる?という問いあり。
・われらが永崎さんの講演、「Crisis of Humanities in Japan」。少子化、財政難。中期目標中期計画。科研費中の人文社会系の割合の少なさ。大学院重点化によって急増したのはおおむね理工系? 現在キーになっているような官僚が、勉強しなくてよかった大学時代を過ごしたから、という説にちょっとわく。あと、無用の用論ではまにあわない説は、おっしゃるとおり。今後必要となる対応としては、理工系との学際性、研究手法の改善、オープン化・・・、そこでデジタルヒューマニティーズですよ、ってことかな?

●North American Coordinating Council on Japanese Library Resources (3/31 16:30-17:30)
・NCC分科会。本丸。「Digital Humanities in Japanese Studies Now: What's Next?」と題し、先ほどは日本からの研究者の講演っぽかったけど、今回は北米ライブラリアンの現場報告のような感じ。
・ケンタッキー大学のコンサベーター・日沖さんからの報告「Advancing digital scholarship in Japanese studies workshop」。2015年11月にハーバード大学で催された「Advancing Digital Scholarship in Japanese Studies: Innovations and Challenges」(http://guides.nccjapan.org/c.php?g=397542)というワークショップについて。
・ライデン大学・ナディアさんの報告。ライデン大学の東アジアコレクションと、ライデン大学図書館によるデジタル化事業について。デジタルヒューマニティーズのための教員・ライブラリアンを採用する、イメージ・リポジトリを構築する。日本資料で言えば、シーボルトコレクションやホフマンコレクションのデジタル化、など、かなり積極的な姿勢で取り組んでいる様子がわかる。ライデンって前からそういう土地柄だったんだろうなという気はする、たとえばIDCだってマインド的にはそうだろうし。
・ワシントン大学セントルイス校の小牧さんのプレゼンは、永井荷風とデジタルヒューマニティーズ。技術的問題、レファレンス的な問題、学術的な問題などなど。
・そして来年3月、トロントのCEALでは、2017/3/13-14にデジタル・スカラシップin Japan StudiesのワークショップをNCCでやりますとのこと。これは、期待・行きたい、です。


 そして以下が、非公式なの。ちゃんと企画立てて組まれたものもあれば、個人ベースで顔をつきあわせて話するといったものもあり。

●「Gaihozu Show and Tell」(3/29 12:00-13:20)
・外邦図を所蔵する北米図書館の司書などからなるグループによる、外邦図に関する自主的勉強会。
・ワシントン大学Suzzallo Libraryのマップルームにて。
・参加者は、北米のいくつかの大学の日本研究司書やマップコレクションの司書など。NDL地図部署の方も参加。またオンライン会議システムで大阪大学名誉教授の小林茂先生やスタンフォード大学のマップコレクションの主任司書の方も参加。

・外邦図について
・外邦図は、明治から太平洋戦争終戦までの間に、旧陸軍参謀本部の陸地測量部(現在の国土地理院)が作成した、日本の領土以外の地域の地図。満州・中国などの地図、当時日本の統治下にあった台湾、朝鮮半島、樺太南部などの地図が多い。主に軍事目的で作成されたこともあって、機密文書として終戦直後に多くが処分されたか、あるいは米軍に接収された。その一部が日本の大学図書館等に残り、また多くが北米など海外の大学図書館等に所蔵されている。
・国立国会図書館では約15000枚を所蔵(台湾、朝鮮半島、樺太南部、満州等)。ほかに、東北大学、京都大学、お茶の水女子大学、東京大学、広島大学、駒澤大学、岐阜県図書館など。
(参考)
・小林茂. 『外邦図 : 帝国日本のアジア地図』(中公新書, 2119). 中央公論新社, 2011.
・東北大学附属図書館/理学部地理学教室 外邦図デジタルアーカイブ http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
・外邦図(一覧) | 調べ方案内 | 国立国会図書館
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-601012.php

・日文研には、朝鮮総督府・陸地測量部による朝鮮半島地域の地図が約400点所蔵されている。タグ「外邦図」をクリックまたは下記URL。
 http://toshonin.nichibun.ac.jp/webopac/ufirdi.do?ufi_target=ctlsrh&srhclm1=tag&valclm1=外邦図

・勉強会で出た話
・スタンフォード大学マップコレクションでは外邦図を所蔵している。約10000枚、1940年代後半-1950年代前半。
・2011年10月にスタンフォード大学でシンポジウムが開催された(参照:http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/newsletter9/
・GIS化は困難では(実戦経験の共有が少ないため)。
・国立公文書館や東北大学がデジタルアーカイブ構築を進行中。
・外邦図は長い間秘密にされてきたもの。臨時に作成されたもの、正確さに疑問があるものなどがある。地名の90%が間違っている例や、漢字が適当に作字されてしまっているものもある。
・外邦図が何に活用可能かは、今後の課題であるところが多い。
・全体像を把握するために、日米で資料とその情報の共有が必要。(その経緯から、アメリカにしかないものがたくさんある)
・外邦図の公開・閲覧システムの構築が必要。
・所在調査をするにしても、各大学のどこ/誰に問い合わせれば分かるかという問題がある。地図コレクション? 地理学? 日本研究司書? Goverment Document?

・egamidayさんの感想。外邦図を「外邦図」という視点だけでかためてしまうと、今度は同時期の他の地図とリンクさせた利用など、地図一般・史料一般としての利用ができなくなる/しづらくなってしまうのではないか。外邦図含めどの古地図もデジタル化・可視化させていく動きは必要として、「外邦図」としてはそれらをヴァーチャルにまとめる/ポータル化していく方向にもっていったほうがいいのではないか、という気がする。


●ILLに関するインフォーマルなミーティング(3/29 20:00-21:00頃)
・急遽、話をしないかと声をかけられて、Sheratonホテルロビーにて、夜、インフォーマルに。
・NCCのILL委員の方々、NDLのサービス系の方、NBKのサービス系の方(つまりegamidayさん)。
・おおむねNDLのILLサービスや図書館送信サービス等に質問・要望する感じのやりとり。
・GIF初期に、海外の図書館へは(図書館間送信に限っては)デジタル形式で複写を送信していいという合意がとれていたはず、との言あり。確かにうちとこでも過去にはArielで電子送信していた作業手順があるにはあったが、確認したところ、やはり著作権管理団体と国内大学図書館とによる”許諾資料”のみか。ただこれも人によって言うことが違う。要確認。
・他には、NBKとしてはとりあえず何かしら出来るだけの対応をするから、何かあればメールしてほしい、と宣伝(これは宣伝になってるか?)。
・結局どういうふうにすればILL受付って増やせるんでしょう、難しい。


 もうひとつミーティングがあったのですが、それは別途。

posted by egamiday3 at 23:09| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

CEAL2016のメモ その1・CEAL全体会


 CEALの2016年次大会@シアトルに行ってきました。そのメモです。

 CEALはCouncil on East Asian Libraries(東アジア図書館協会)の略で、北米の東アジア分野(中・日・韓)の研究図書館・大学図書館のライブラリアンたちからなるコミュニティです。毎年3月に年次集会が開催され、講演、パネル、ミーティングなどがもろもろおこなわれます。
 http://www.eastasianlib.org/CEAL/AnnualMeeting/Annualmeeting.htm
 
 その、参加メモです。
 おおまかにわけて、全体会、日本研究ライブラリアンの集まり(公式なものと、非公式なもの)、その他もろもろ、といった感じです。

 まずは、その1・CEAL全体会、の巻です。


●Plenary (3/30 10:00-17:00)
・CEALの全体会。基調講演、パネル、ディベート等。シェラトンホテルの中広間くらいのスペースに、参加者全員が列席している感じ。おおむね、聞いてる、という。
・Business Plenary。退職者、新任者の紹介など。

・Presidential Panel: East Asian Studies Librarians: Moving beyond (job) boundaries.
・Yunshan Ye(Johns Hopkins University)。3大学(Johns Hopkins University, George Washington University, Georgetown University)による共同webアーカイビングプロジェクトの紹介。中国のブログ・マイクロブログの類を保存していく。「Chinese Social Media and Anti-Corrupution Campaign」https://archive-it.org/collections/6314
・イェール大学の中村さんからはデジタルヒューマニティーズのスペシャリストについて、イェール大学での手鑑帖プロジェクトその他を踏まえてのスピーチ。一次資料の取り扱い、データの取り扱い、プロジェクトマネジメントスキル、何を知らないかを知ること、そしてとにかくコラボコラボコラボ、といった感じ。
・Hyoungbae Lee(Princeton University)。「Collective Subscription of Korean Databases」では、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ということで、プロバイダーを知ること、商品を知ること、トレンドを知ることが語られている。確かに、本当に必要なこのことをどれだけちゃんとできているか、ということだなと。また己を知るという意味で紹介された"Handbook for Korean Studies librarianship outside of Korea"は自分にも聞き覚えがあった、eastlibで紹介されてたか何かかな。国立中央図書館が運営する、韓国研究司書の情報共有のためのウェブサイト:INKSLIB (International Network for Korean Studies Librarians)で提供されている、韓国研究のために必要な資料収集、整理、参考情報源等に関する情報を英語で提供するハンドブック。これはちょっと参考にすべき。
・質疑応答で、タイムマネジメントとプライオリティについて、ていうか、みんなすごい忙しいはずなのにどうしてこんなにいろいろできるの? という実に万国共通な疑問(悩み)が問われてて、答え「忙しいから誰かに放り投げるために、コラボが必要なんだ」と。まあそうですね(笑)。

・Plenary: Panel II。「Conflict of Interest and the East Asian Studies Librarian: Employer in “the west”/ Vendor in “the east”」と題した、ワシントン大学の教授や理事による講演。異文化と労働とビジネス関係とが哲学的に語られている感じ。そういうことを常にしながらにならざるを得ないんだろうなと。ただまあ詳細は、お察しください。

・CEAL Debate。「東アジアコレクションは、多分野と統合した図書館たるべきか、独立部署たるべきか」的な命題で、CEALの現チェアと次期チェアとがディベートをします、という企画。手順がっつりのディベートというよりは、現チェアがスピーチします、次期チェアが反対意見をスピーチします。会場から何人かが質疑応答マイクに立って、両人がそれに答えます。時間が来たら、どっちの意見に変わった人が多かったかを挙手でカウントして、次期チェアが多くを説得できましたね、あなたがやっぱり次期チェアです(笑)的な感じ。というようなカジュアルで自然な流れのディベートを見て、あ、やっぱりこの国の人たちは議論という行為を相当当たり前のようにやりなれて生活してるんだな、という感じでした、そこが一番勉強になったかもしれない。

・Plenary: Panel III。「Perspectives on the Roles of East Asian Studies Librarians: Reports from the Field」。
・UCLAのTomoko Bialockさんから、「A Tale of “The Hentaigana App”: Assisting Wahon (Premodern Japanese Books) and Digital Literacy in Japanese Studies」という題で、早稲田大学とUCLAが共同で開発した変体仮名学習アプリの紹介。http://alcvps.cdh.ucla.edu/support/
・Haihui Zhang(University of Pittsburgh)「Are We on the Right Track? - EAL Librarians' New Role in Digitizing Humanities at PITT」。デジタルヒューマニティーズのプログラムやプロジェクトの類に、図書館がどのような位置づけをとり、ライブラリアンがどのような役割を提供すべきか。Proactive-Reactive x Provider-Partnerというマトリクスと、結論のTossed Saladという比喩がわかりやすいか。


●CEAL/NCC全体の感想
・CEAL/NCCへの参加は9年ぶり2回目なんだけども、9年前と比較したら、人数的にも勢い的にも韓国系の存在感ががっつりしてた。9年前のハーバード滞在の時も5年前の本棚の中のニッポン取材であちこちに行った時にも、「いまはまだ韓国語蔵書少ないけどこれから増えていくだろう」みたいな未来予想図的なお話をどこでも聞いたんだけど、いまそれがはっきりと現実になっている様子がありありと見てとれた。たぶん日本の勢いと同等どころか押され気味。一番おおっと思ったのが、全体会の事務連絡のターンの時に、コリアの何とかのファウンデーションからインターンが来てます、って紹介されて、年若いインターン生が4人も参加しに来てたところ。外へ外への姿勢というか気合いの入り方が違うもの、って思た。
・全体会の感想。参加しているのは中国系でもあり韓国系でもあり、ジャンルや専門や得意分野、居住地、経歴やバックグラウンドもさまざまで、そんなさまざまな人たちが”東アジア”の”図書館”という同じテーマのもとであやこやディスカッションしている、そういう話を朝から晩まで通しで聞いてきて、その印象をざっくりと言うと、ここに来ている全員が、ライブラリアンの新しい役割と今後の活動指針はなんであるかを、考え、語り、知りたがっている、という感じ。そして、その新しい役割や活動指針なるものは、おおむねだいたいなんとなく同じことだろうなということがみんな肌感覚ではわかってるんだけど、では具体的にはいったい何をどうすればいいのか、何をすればそれが成就するのかしないのか、実践例は、その釣果は、ていうのをみんなが大なり小なり模索しあい報告しあいをしている。そういう、各自のself developmentの持ち寄りがここにあらわれているんだな、という感じ。フロンティアのつばぜり合いみたいな感じ。もちろん何をどうするかというのの具体のかたちや結論はそれぞれちがうでしょう、例えばそれはデジタルアーカイブやデジタルヒューマニティーズであったり、教育プログラムへの関与であったり、新たな特殊コレクションの収集・構築であったり。人によっても、がっつり取り組んでるぜっていう人もいれば、懐疑的な人もいる。タイムマネジメントやプライオリティはどうしてるのか?という問いが何度か聞かれたので、わかってるけど体がついてこない的な悩みは万国共通的に皆持ってはるんだな、という感じでした。まあどれをどうするのが正解かはわかんないし、それがわかるのが5年後・10年後だとしてそのころにはまた新しいサムシングを追ってるんだろうしな。
・そこに統一した正解はないとしても、共通しているのはたぶんself developmentかなと。専門職としての司書が、やらなあかんことのために、常に必要な研鑽を、勉強を、と思うんだけど、その勉強というのはstudyというよりはself developmentでしょう。
・そしてやっぱりCEALは、というかアメリカのライブラリアン界隈は、いい。アメリカのライブラリアンから、なまった魂に水をジャブジャブぶっかけられて、気持ちを新たにさせられた感じ。これで新年度を迎えられるのはなかなか縁起がいいです、がんばります。



posted by egamiday3 at 22:41| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする