2016年05月12日

(メモ)「図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門の出版に当たって」聴講メモ


2016年度立命館大学大学院文学研究科行動文化情報学専攻「文化情報学専修」広報企画ワークショップ
日本出版学会2016年度第2回(通算第95回)関西部会のご案内
テーマ:「図書館を変えるウェブスケールディスカバリー」
日時:2016年 4月25日(月) 18時30分〜20時00分
場所:立命館大学平井嘉一郎記念図書館

 立命館大学の噂の新図書館・平井嘉一郎記念図書館にて、ディスカバリー界隈では日本随一の佛教大学・飯野さんによる、ご著書『図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門』とディスカバリーシステムまわりのトークイベント、という感じのワークショップに参加してきました。

図書館を変える!  ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -
図書館を変える! ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -

 自分勝手メモです。ていうかほぼ個人の感想です。

 (註:WSD=ウェブ・スケール・ディスカバリー)

・著書出版まわりについて。WSDの佛教大学図書館導入における現場体験を紹介したものなので、アカデミックというよりは体験談。編集サイドとのやりとりでそういう路線に行ったらしいのですが、個人的にはアカデミックばりばり列伝的なほうを読んでみたかった気がする。
・出版までの経過としては、原稿の試験提出から最終の第3稿までに1年かかってはる。自分のとき(#本棚の中のニッポン)は原稿どばっと書いて基本それがそのままという感じだったので、進め方ってそれぞれでだいぶ違うんだなあ、と思たです。
・この本はネットアドバンス社さんが初めて出す紙の本だとかで、第2弾への動きがどうなるか、注目されますね。
・「5分で分かるWSD」。WSDは図書館の蔵書検索からe-resource、商用オンラインデータベースまで、統合的に検索できるし、統合的に表示もできる。特に学部生・初学者に吉ですよと。
・効果について。WSDに収録されたコンテンツはその後よく使われるようになるし、逆に収録されないものは利用が減る。それまでとてもよく使われていた某データベースが、お気軽検索(佛教大学のWSD)公開後、そこに含まれてないがために使われなくなってしまったという、実にシビアなお話も。そう考えると、コンテンツが求められるかどうかって、純粋に内容だけの問題でもなんでもない、環境に大きく左右されるものなんだから、内容にあぐらをかいて紙媒体でがちがちにかためてたら、それでジ・エンドなんだろうなあと。
・一方で、論文情報がヒットする→紙媒体の利用が増える、という現象も。ビジビリティの野戦場、的な感じがする。
・電子書籍は章単位で検索・ヒット表示・閲覧が可能。→「章」が独立したコンテンツ化する。→”評価”が「章」ごとに可能、的な。→電子書籍がレファレンス・データベース化する/本文もヒットするから見つかり具合が上がる。(これは知の断片化というより、知のランダムアクセス可能化、なんだろうな)。
・で、洋書はそういう章レベルのレコード登録や目次・全文検索化に対応しててリッチなんだけど、和書はそういうのがまだ少ないから、検索結果として和書は埋もれた存在になっちゃう、っていうね・・・。
・WSD向けのリッチなメタデータをデジタル形式で流通させる、ていうのが、出版社さんににとっても販路の拡大につながる、ていうこと。日本の図書館と出版社が共同で、抄録や本文データを含むリッチなレコードを、積極的に流通させていく仕組みを構築しないと、っていう。そりゃもう、紙でめくって苦労するのがいいとか見出しも商品だから権利があるとか、21世紀も1/6過ぎようというご時世に言ってる場合じゃないですよと思う。
・なぜWSDで枕草子を検索すると中国語コンテンツが上位に来るのか。コンテンツの収録設定は図書館の仕事なんだけど、有償コンテンツは能動的に収録しようとするけど、オープンアクセスコンテンツは必ずしもそうではないから。商用が少なくオープンが多い日本はそのために収録されづらくなっている、か? あとは抄録や本文などのリッチなデータがあるほうが関連度が上位になるから。枕草子中国語問題は以下を参照。
--CA1827 - ウェブスケールディスカバリと日本語コンテンツをめぐる諸課題―海外における日本研究の支援を踏まえて / 飯野勝則 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/CA1827
--ディスカバリ・システムにおける日本製e-resourceの対応(まとめ) - egamiday_wiki
・タダより高いものはない、とまでは言わないけど、タダだからこそスルーされてしまう問題はおしなべてあるよなとは思う。ただまあだからといってオープンより有償が優秀、ていうことではないと思うんですが。

・以上、飯野さんのトーク。以下、飯野さんと安東さんのセッション。

・出版社サイドからデータを提供してもらえない、説得できてない、という問題について。出版社サイドでも積極的に出していこうとしているところはあって、実際に動いているところもあるとのこと。
・図書館の”オススメ”が”おしつけ”になるか?という、まあ長期スパンでゆっくり考えたい哲学的問い。
・さてそんな佛教大学図書館さんでも、WSDの利用度はOPACの1/3程度。図書館としてはWSDを上位に考えてwebページのデザインも設計したけども、それでもやっぱりWSD利用比率は変わらなかったという。そこが着地点なんだろうか。
・次のステップは、パーソナルスケールなWSDの提供、か。
・egamidayさんからの質問は、WSDはOPACのリッチ版というよりGoogleのセレクト版ですよね。→佛教大学さんでは学内PCのデスクトップにお気軽検索を置いてもらったりしてる、とのこと。
・その他、なかなかの裏話が聞ける平井記念図書館。
・飯野さんのまとめ。WSDは手塩にかけてちゃんと育てないとうまく作動しないシステムです、とのこと。実は図書館にとっては手のかかる子なんだよ、と。その手のかかり具合の奮闘記が、『図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門』ですね。

図書館を変える!  ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -
図書館を変える! ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -

 このあと土佐料理屋で懇親会がとりおこなわれましたとさ。

posted by egamiday3 at 22:43| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする