2016年07月07日

「外邦図」というものについて関西文脈の会(2016.6.26)で発表してきました、記録


 図書館史勉強会@関西 関西文脈の会: 第30回勉強会のお知らせ(協力:京都府立図書館)
 http://toshokanshi-w.blogspot.jp/2016/06/30.html

 第30回関西文脈の会つぶやきまとめ - Togetterまとめ
 http://togetter.com/li/992485

 関西文脈の会で、外邦図について、発表してきましたよ、という記録です。
 タイトルが「北米の外邦図、その発見と整理」とあるように、メインはあくまでワシントン大学のライブラリアン・田中あずささんのほうだったんで、私はその前のにぎやかしというか、客席をあたためるためにちょっとしゃべった、という、前座です。ドリフターズです。
 まあドリフはドリフなりにがんばったので、そのときにしゃべるために勉強したことを記録としてまとめるものです。つい一ヶ月ほど前から急ごしらえで勉強しただけのメモなので、多少の間違いや不足があったとしてもそのへんは、怒っちゃやあよ。

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●ソース
小林茂. 『外邦図 : 帝国日本のアジア地図』(中公新書2119). 中央公論新社, 2011.
・小林茂編. 『近代日本の地図作製とアジア太平洋地域 : 「外邦図」へのアプローチ』. 大阪大学出版会, 2009.
・小林茂. 「近代日本の地図作製と東アジア : 外邦図研究の展望」. 『E-journal GEO』. 2006, 1(1), p.52-66.
・山本健太. 「日本における外邦図デジタルアーカイブの構築と今後の展開」. EAJRS2015発表. 2015.9. https://perswww.kuleuven.be/~u0008888/eajrs/happyo/Yamamoto_Kenta_15.pptx
・外邦図(一覧) | 調べ方案内 | 国立国会図書館(リサーチ・ナビ)
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-601012.php
・外邦図 デジタルアーカイブ(東北大学附属図書館/理学部地理学教室)
http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
・『東北大学所蔵外邦図目録』. 東北大学大学院理学研究科地理学教室, 2003.
・西村三紀郎. 「岐阜県図書館世界分布図センターにおける外邦図の収集と整理及び利活用について」. http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/newsletter3/pdf/n3_s2_5.pdf

●外邦図とは
・外邦図の定義には、狭義と広義がある。
・狭義の外邦図は、旧陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)が、主に軍事目的で作成した、台湾、朝鮮半島、満州、中国、東南アジア、太平洋地域、樺太南部などの地図、を言う。
・広義に言うと、陸軍陸地測量部に限らず、日本の植民政府や民間出版のものも便宜上含む
例:朝鮮総督府・臨時土地調査局による地図
例:市販され民間で使用されたもの
・その作られ方も、測量隊による測量もあれば、他国地図をぱくって複製したようなものもあれば、隠密が密命によって秘密裏に作製したもの(目測・歩測など)もあって、そんな調子だからそもそもその全体が把握されていない。軍事目的なもんでほとんどが機密扱い。

●戦後の経緯
・太平洋戦争終了
→日本軍による焼却処分(外邦図・空撮写真、命令だけでなく自主的・口コミ等で)
→連合軍による接収(→アメリカへわたる、これは田中さんの発表へ)/一部中国大陸に残される
→連合国軍による処分を免れようと、「兵要地理調査研究会」の研究者たちが参謀本部の外邦図を保存しようと各大学へ持ち出した。
(兵要地理調査研究会は、戦争終盤・連合軍の本土上陸を前に、陸軍少佐・渡辺正+各大学地理学者によって、連合軍との戦争に関する地理情報を収集するために組織された研究会)
→その後、日本軍解体により担当官庁がなくなってしまう

●現在の国内所蔵状況
・下記パワポの5枚目を参照すると一番わかりやすい。
 山本健太. 「日本における外邦図デジタルアーカイブの構築と今後の展開」. EAJRS2015発表. 2015.9
 https://perswww.kuleuven.be/~u0008888/eajrs/happyo/Yamamoto_Kenta_15.pptx

・ほとんどは、第二次世界大戦終結後に市ヶ谷の参謀本部から持ち出したもの
・上図には資源科学研究所からの分配経路の概要が示されている。
・資源科学研究所は、戦争時に大陸の資源調査を目的として文部省によって1941年設置。1971年国立科学博物館に吸収合併。

・現在の国内所蔵状況の概要は以下の通り。
東北大学 約7万点(1.2万種)
京都大学 約1.6万点
国立国会図書館 約1.5万点
お茶の水女子大学 約1.3万点
駒澤大学 約1万点
岐阜県図書館 約1.4万点
東京大学
広島大学
防衛省防衛研究所
陸上自衛隊中央情報隊 約23000種類

●戦後の経緯 パート2
・戦後の持ち出し→未整理が続く
・1960年代 学術利用が徐々に始まる
・1970-80年代: 布目潮フウ(大阪大学)『中国本土地図目録』刊行
・1994年: 東北大学地理学教室が外邦図の整理・目録作成を開始(現在まで更新)
・1990年代後半: 東北大と京都大とが交換・展示
・2000年代: 外邦図研究が本格化、目録刊行、デジタルアーカイブ構築
・2002年: 大阪大学が取得した科研費により研究プロジェクト組織
http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/(人文地理学教室)
・2003年: 「外邦図研究ニュースレター」刊行開始
・2003年: 『東北大学所蔵外邦図目録』刊行
・2005年: 『京都大学博物館収蔵外邦図目録』刊行
・2005年: 外邦図研究会デジタルアーカイブ作成委員会によるデジタルアーカイブ構築が開始(@東北大学)
・2007年: 『お茶の水女子大学所蔵外邦図目録』刊行
・2014年: 各大学の外邦図目録が統合される(→東北大学のデジタルアーカイブへ)


●東北大学所蔵の外邦図
・占領期、約10万点の外邦図が搬入される
・占領期間中は公開がはばかられ、未整理
・1994年 本格的に整理分類が開始
・1995年 理学部自然史標本館に収蔵
・国土地理院や岐阜県図書館に重複分やコピー等を寄贈、京都大学文学部と交換
・2003年 『東北大学所蔵外邦図目録』刊行(地域名、図幅名、縮尺、緯度経度、備考、大きさ(縦横)、色数、測量機関、測量時期)
・現在約7万点(1.2万種類)
・うち、中国の地図が約40%、という特徴

●国立国会図書館所蔵の外邦図
・約1.5万枚
・台湾・朝鮮半島・樺太南部・満州は比較的よくそろっている。中国はそろっていない。
・主に5万分の一〜20万分の一
・NDLCではYG810〜YG837を「外邦図」(各地域分類あり)とする
・東京本館地図室で閲覧可能
・OPACのほか、索引図での検索が可能

●岐阜県図書館
http://www.library.pref.gifu.lg.jp/map/worlddis/mokuroku/out_japan/out_japan.htm
・外邦図約1.4万点
・1995年、岐阜県図書館世界分布図センターを設置。
・東北大に寄贈複製を依頼し、一般公開を条件として快諾を得て、東北大学理学部から本紙・複製含め約1万枚寄贈。(1997年から収集) 趣旨としては、「多くの方に気軽に利用していただくため」[#web]。

●陸上自衛隊中央情報隊 
・約23000種類
・戦後、地理調査所(現・国土地理院)にあったものが移管されたもの。
・『国外地図目録』(全4巻)+『国外地図一覧図』(全4巻)1953年頃作成のものがあるが、この目録は現物5部のみ(しかもカーボンコピーによる)しかない。国土地理院、国立国会図書館等にあり。
・大学のコレクションにみられない作製時期の早い外邦図はほとんどここにある。
・非公開

●外邦図デジタルアーカイブ
・外邦図 デジタルアーカイブ(東北大学附属図書館/理学部地理学教室)
 http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
例:http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/ghz-dtl.php?lang=ja-JP&fm=m&fno=TH008433

・外邦図の画像と書誌情報を公開したもの。
・外邦図デジタルアーカイブ作成委員会による。
・2005年に、東北大学理学部地理学教室・図書館により公開
・目録データ 約20000件 / 電子化地図(公開) 約13000点

・「内容に高度な政治的判断を求められるものが含まれる資料もあり、すべてが公開とはされていない。」(山本)
・「中国大陸と朝鮮半島の地図については、まだ公開を開始していない」「中国の場合は、外邦図に秘密測量により作られた物が多いこと、南京事件などに際しての押収図を元図にするものが多いこと」「中華人民共和国では大縮尺の地図はなお実質的に軍の管理下にあり、市民や学生の自由な使用はゆるされていない」(小林)
・「これらの地域の外邦図は現地研究者と合意を作り、現地から発信することが望ましいという意見もあり」(小林)

・その書誌データは東北大学の目録に準拠している。(ちなみに、お茶の水大学や京都大学の外邦図コレクションの目録も、東北大学の目録に準拠して作製された(山本))
例:
地域名 インドネシア
記 号 ジャワ島389号
図幅名
縮 尺 1:50,000
サイズ(縦×横) 60cm × 48cm
色 4色(黒・青・赤・茶)
日本語表記 凡例のみ
測量機関国 オランダ
測量機関 旧蘭印測量局
測量時期(修正含む) 1924年調製
製版・印刷機関 陸地測量部・参謀本部
製版時期 昭和18年製版
発行時期 昭和18年発行
備 考 経度はバタビア基準
表示範囲 (グリニッジ基準に修正した緯度経度)

●日文研図書館の外邦図
・計約500枚。おおむね”広義”のほう。
・これらは日文研OPACにタグ「外邦図」で登録されている。
・天沼俊一旧蔵・寄贈の朝鮮総督府地図ほか(京都帝国大学の建築史学者)
・園田英弘・千田稔収集の外邦図(元日文研教授で、当時、京都の地図や外邦図などを集中的に集めていたらしい)
・このほか、未整理資料として、2010-2012年頃購入の「二十万分一帝國圖」(本土・台湾・朝鮮半島・北方領土等の地図、陸地測量部・大正-昭和)が約300枚ある。

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 今年1月に田中さんからお話をきいて、はじめて、そういえばうちにもある、っていうことがわかったくらいで。そこから小林先生の新書をざっと読んで、アメリカで勉強会に参加して(http://egamiday3.seesaa.net/article/436969984.html)、文脈発表が決まった1か月前くらいからまとめはじめて、いまにいたる、という感じです。

 で、連合軍が接収したものはアメリカにわたり、そこからまた紆余曲折の物語があるわけですが、それはまあ、また別の話ということで。(そっちが本編ですが)

posted by egamiday3 at 20:56| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月06日

(報告)近畿地区MALUI名刺交換会(2016.6.26)で、司会をしてきました。

 毎年一度、関西の善男善女が集まって友情と名刺を交わし合うという、この界隈、この業界でマストな名物企画、「近畿地区MALUI名刺交換会」が、今年もおこなわれました。

 近畿地区MALUI名刺交換会(2016年度)
 http://bit.ly/MALUI2016

 MALUIというのは、もうみなさんご存知かとおもいますが、
  Museum(美術館・博物館)
  Archives(アーカイブ・文書館)
  Library(図書館)
  University(大学)
  Industry(産業・企業)
 の略ですね。
 文化学術情報関係のあらゆる人々で集まり、シェア&コラボで協力し合い、全体でMALUIだけにまあるく環になって、その中心の穴から文化がうまれ出ずる、という多業種横断的ムーブメントです。

 その歴史(https://kinkimalui.wordpress.com/history/)をひもとけば、2011年頃からなんとなあく居酒屋で集まっては、適当に飲み会をやってだらだらしてる、という感じのあれだったのですが、まあいつのまにかでっかい集まりになりましたよねっていう。
 こんな感じです。

IMG_3254.JPG

 そこで司会をしてきました。何度目だ司会。某都府立の偉大なるアーキビストとのダブルMCです。正直、あんたしゃべんなさいよという感じで、一切何も考えず何も意識していませんでした。
 告知ある奴は手を挙げな、ていう感じのやつ。

IMG_3256.JPG

 それでも今年は、AAS in Asia京都大会@同志社大会のために来日中のアメリカのライブラリアンが多数いらっしゃってましたし、紀の書店さんの海外営業さんたちなどなども多数おいでになってたり、教員・研究者のみなさんも多数おいでになってたり、未就学児のみなさんの寄り合い所みたいになってるテーブルも一部あったりで、そんなみなさんがうら若い学生さんや某国立図書館の新人さんたちとめくるめく交流を広げていらっしゃる様子を遠巻きに見てると、まあ、これ、司会あってもなくてもいいよなっていう感じで、心地よくアイデンティティが崩壊していきましたよね。

 今年もありがとうございました。
 来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2日の日程が終わった後のギネス&ベルギービールが、それはそれは美味かったこと。

posted by egamiday3 at 20:52| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月05日

(報告)ラウンドテーブル「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」(2016.6.25)@AAS in Asia京都で、司会をしてきました。

 
 AAS、というのはAssociation of Asian Studiesの略で、アメリカのアジア研究学会というでっかい学会なのですが、その北米大会(例・シアトル:http://egamiday3.seesaa.net/article/436967407.html)とは別にアジア大会というのが最近年1回ペースで開かれており(例・台北:http://egamiday3.seesaa.net/article/421699189.html)、2016年が京都・同志社大学を会場としてた、っていう話です。egamidayさんの6月末のやたら忙しそうな素振りを見せてた諸々は、要はこれにおいでになってた方々を巻き込んでなんやかやしてた、に尽きます。

 でっかい学会で、何千人という人たちが何十何百という分科会にそれぞれで参加して、発表したりディスカッションしたりという。アジア学会ですから中国も南アジアも西アジアもありますし、研究者の学会ですから研究発表が主ですし、アメリカの学会ですから原則英語ですしという感じです。
 何回かしか行ったことないですが、行くと、参加者間のフラット感がすごく楽しい。日本の学会類ではあんまない空気感がある。来年のソウル、正直行こうかなと思ってる。

 そこにライブラリアンやその他の専門家も、そんなに多くはないかもしれないけどいらっしゃるみたいなので、じゃあそういう人たちが集まって、がっつり研究者というよりは実務目線混じりのことを、発表したり議論したりできる”公式”な”セッション”を持ちましょうよね、ということで、egamidayさんから声をかけさせていただきましたところ、日本側で強力な発信者の賛同を得られ、米国の重鎮ライブラリアンの賛同をも得られ、いまの時代の趨勢で我々が議論をするならデジタルアーカイブやオープンデータだろうという標的も定められたところで、おっかなびっくりプロポーザルをAAS学会様におはかりもうしあげた(去年10月頃)ところ、2倍だか4倍だかの倍率の中、おもいがけなくもかしこくも採択され(今年1月頃)、おお、マジでやるんだな!という感じで、なんやかんやで6/25のラウンドテーブル「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」に至ったのでした。ざっくり言うと。

 下記のページにその大概をまとめてあります。
 プレゼン資料だけでなく、(ギリギリレベルの質ではありますが)動画も一応あります。

「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」 - egamiday_wiki
http://egamiday.sakura.ne.jp/wiki/%E3%80%8CThe_Digital_Resource_Landscape_for_Japanese_Studies%E3%80%8D

 英語ベースの会ですので、当日は通訳の人に来ていただいて、日本語発表を英語にと、ディスカッションの日英・英日を逐次通訳していただきました。

 進行と、5人のスピーカー及びそのだいたいのプレゼン内容は、下記の通り。

・趣旨説明(江上)
・福島幸宏「歴史資料とデジタル化」(日本社会の現状と、東寺百合文書をはじめとする歴史資料のデジタル化)
・Tokiko Yamamoto Bazzell「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies: Spaces for Change and Growth Collaboration & Collective Solutions @ the University of Hawaii at Manoa Library」(琉球大学とのデジタルアーカイブ構築のコラボレーション)
・Edan Corkill「My journeys into the digital archive of The Japan Times」(Japan Timesのデジタルアーカイブ)
・Kuniko Yamada McVey「Today’s Challenge: The New Digital Haystack」(ディスカバリーとIIIF)
・是住久美子「ライブラリアンによるWikipedia Townへの支援、オープンデータの作成」(Wikipedia Townやオープンデータによる発信)
・質疑応答・ディスカッション

 こういった方々のご協力を得てこのセッション全体をコーディネートした背景には、一応の自分なりの考え見たいなのもありました。Abstractからそれを表現するのならば、
 ⓪「The volume of such resources is still small」(現状)
 @「often prevent them from being discovered and widely utilized」(ユーザと利用の便の問題)
 A「this interdisciplinary roundtable of librarians and other professionals from Japan and the US」(多様性の問題)
 B「identifying common goals and exploring avenues for collaboration and collective problem-solving」(シェアとコラボの問題)
 という感じです。前日に一生懸命考えて当日即興でしゃべりました。

 デジタルアーカイブにしろオープンデータにしろ、リソースのデジタル整備と普及はいまどきは必要不可欠、特に国を越えたアクセスには本気と書いてマジと読むレベルで必要不可欠なわけです。一方でそれが足りてないという日本、というときに、じゃあその解決はどうしたらいいかというと、個々で断絶しててもしょうがない。リソースの提供者と利用者はそもそもどちらも同じ情報流通のサイクルの上にある存在であって、無関係ではあり得ないわけなんで、互いに課題を共有し、情報やニーズを共有し、孤立することなくコラボレートしていきましょうよねと。
 なので、特にこのラウンドテーブルでは、異なる地域の、ことなる立場の、異なる職種の人たち、利用者も提供者も、図書館員も研究者もその他の職種の者も、日本国内にいる者も海外にいる者も、右や左のどなた様にも耳を傾けていただけるような、口をはさんでいただけるような、そういう場作りをめざしたい。それが今後のデジタル環境の構築には重要なんだ、というのをひとつのメッセージにできればいいんじゃないか、っていう。

 と思ってて、え、ほぼライブラリアンばっかりか? あまつさえ某都府立から2人か? とのあれはあるでしょうけど、その某都府立の2人がまったくベクトルの異なる加減の話をしてるあたりがこの界隈の底力じゃないかな、みたいな言い訳でご勘弁下さい。

 そのかわりというわけではないですが、参加してくださったフロアのみなさんの幅広さがすごかったです。まず人数、まあ来ても10人もいないくらいだろうと思ってたら、なめてました、40人近くは来てはったと思います。他のセッションであまりあそこまで人がいるの見たことなかった、テーマ的に他に類がなかったのと、かつ、テーマ的に刺さる範囲が広かったということかもしれません、その意味では意図通りだったのかも。その内訳も、わかるだけでも研究者の人もいればアーカイブ系の人もいるし、書店・出版の業者のみなさんも結構たくさん来てはる、コリアンのライブラリアンの人も何人か来てはったので、すごい、夢のような集まりになったなって。

 にも、かかわらず。
 タイム・キーピングに失敗しました。orz...
 結局、ディスカッションの時間がまったく取れなかった・・・。

 確かにスタートは遅れました。前のセッションが長引いたとか、機械的な問題とか、人が多くてテンパってたとか、諸々ありました。けど、どれも防げたはずじゃないかという。
 スピーカーがみなこんなにも力を入れてしゃべってくださるとは、と。だいたいこのくらいの時間で、という提案の長めのほうにみなさん寄せてこられるとは、と。いや、考えればみなさんお話し上手な人ばかりだとわかるはずの、防げたはずのことでした。それはごめんなさい、もう5分ほど短めに提案しておけばよかった・・・。

 結果、うしろのほうのプレゼンの方には相応に削っていただいていました。これは本当に申し訳ありませんでした。
 そして、上記のような魅力的なフロア参加者が待ち構えてくださっていたにもかかわらず、そして5つもの魅力的なディスカッション素材を披露してくださったにもかかわらず、メインディッシュたるべきディスカッションタイムが、無い、ていう。これはせっかく来てくださってたフロアのみなさんにも、本当に申し訳ない、礼を失した対応だと深く反省しています。

 というあれやこれやで、ここでも一言で言うと「もったいない!」になっちゃうという。
 この日、午前と午後(注:http://egamiday3.seesaa.net/article/439627340.html)で二度もったいないという。何やってんだろあたし・・・。
 実は結構ディスカッションタイムのための英語とか勉強してた。(註:https://www.amazon.co.jp/dp/4758108463/) Save the question later、とかノートに書いてある。

 とは言え、ああいうことをやるとあれだけの人が来る、というようなことがわかっただけでも充分に良かったと思ってます。これは2度3度とやる価値のある試みなんじゃないかなっていう。

 それともうひとつ、このセッションの極私的な裏テーマがあって。
 京都MALUI界を代表する2大・人的コンテンツを、国際セッションの場にひっぱり出せた、っていうことですね。
 これです。正直コラボだ連携だみたいな効能書きはわりと二の次で、本音は、あの2人の存在を日本国外に知らせたかった、見せつけてやりたかった。で、それに一応なりとも成功できましたので。偉大の「縮小を前提に云々」のくだりで軽く会場ざわついたりしたし、ウィキペディアタウン支援も「おおっ」みたいな反応ちょっと出てたので、手応えはあったんだと思います。それで充分です。司会=メディアとしては、魅力あるコンテンツが届くべき人のところへ届いてくれさえすればそれでいいんです。

 スピーカーのみなさん、当日ご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

 次は、もっと上手くやりたい。
posted by egamiday3 at 22:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月04日

(報告)アンサー・シンポジウム「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館」(2016.7.1)で、司会をしてきました。

 6/25のシンポジウム(http://egamiday3.seesaa.net/article/439627340.html)を聴いた日本側メンバーが、それにこたえるようなディスカッションをしあうという”アンサー・シンポジウム”という企画が翌週7/1にありまして、同じくそこで司会をしてきましたよ、という話です。

 1週間で4司会ですけどね。
 egamidayさんはいつから司会業ですか、中居くんですか。

 「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館 〜6/25開催のシンポジウムを振りかえりつつ〜」
 http://www.slis.doshisha.ac.jp/event/20160701.html
 2016年7月1日 18:25-20:00
 同志社大学 今出川キャンパス 良心館 1F RY106教室

パネリスト :
飯野 勝則 氏(佛教大学図書館)
今野 創祐 氏(京都大学附属図書館)
岡部 晋典 氏(同志社大学ラーニング・コモンズ、当日惜しくも欠席)
久保山 健 氏(大阪大学附属図書館)
長坂 和茂 氏(京都大学附属図書館)
司会 : 江上 敏哲 氏(国際日本文化研究センター)

 アンサー・シンポジウムって何だよ、て思いますけどね(笑)。
 でも最初にこの提案きいたときに、あ、これってたぶん自分が一番やりたかったやつや、って思いましたので、一も二もなく引き受けました。

 以下、やっぱり進行報告的な感じになります。
 内容報告は↓またもやこちらをご参照ください。
 「シンポジウム「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館 〜6/25開催のシンポジウムを振りかえりつつ〜」に行ってきた。」(みききしたこと。おもうこと。)  http://d.hatena.ne.jp/xiao-2/20160703/1467514366
 もうこのxiao-2さんという方には頭も顔も足も向けられない、直立不動で感謝しなきゃっていう感じになってます。

【後日追加】
当日の様子がYoutubeで公開されています。
https://youtu.be/GeazV807vak


 写真はいまのところ手に入っていませんが、40-50人くらいの方においでいただいてたでしょうか。土曜の午後ならいざしらず、金曜の夜に、はなきんに(死語)、大勢来てくださいましてどうもありがとうございました。

 進行としてはだいたいこんな感じでした。
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イントロダクション
→6/25シンポジウムのふりかえり
→第1問「学生たちはなぜ 図書館・ラーコモに来るのか? そもそも「来るべき」なのか?」
→第2問「ディスカバリー慣れした ユーザの前で 司書は何して過ごすのか?」
→第3問「日本の電子資料や デジタル・アーカイブは どこがダメなのか?」
→まとめ
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 まずはふりかえりのターン。
 先週のシンポジウムに来てない学生さんやお客さんも少なからずいてはるやろう、ということで、江上のほうから、きわめてざっくりと小カールくんのみの駆け足で、どんな話が出てたかっていうのを紹介しました。
 もちろんここでの紹介はのちのディスカッションのために踏まえてもらうものなので、どっちかというと後で扱う3テーマにだいぶ寄せた偏りのものにはなりますよね、ていう。まあその3テーマも振り返りをまとめているうちになんとなく浮かんできたやつなので、卵と鶏ですが。
 でもここをちゃんとやんないとあとのディスカッションでコメントが出にくいだろうし、フロアも飲み込みづらいでしょうから、ここは2時間サスペンスで登場人物をじっくり描いていく時間帯の感じで。

 で、それを踏まえてパネリスト登場&ディスカッションのターン、なわけですが。
 パネリストの4人(当日惜しくも1人欠席)はと言えば、全員よく知ってる、ていうか何をどう言いそうな輩かっていうのもだいたいわかってる、なので一切不安もしないし準備も何もいらないとしか思えないんだけど、唯一にして最大最強の不安要素と言えば、放っておいたら好き勝手しゃべり過ぎられてカオス&時間超過になるに違いない、そうならない未来が一切想像できないという顔ぶれなので、どうにかして抑制的な手綱をとらないといけない、はて、どうコントロールするか。

 というわけでやったのが、「学生の来館」「ディスカバリー」「電子資料」という3テーマを、問いの形式、「学生たちはなぜ 図書館・ラーコモに来るのか? そもそも「来るべき」なのか?」「ディスカバリー慣れした ユーザの前で 司書は何して過ごすのか?」「日本の電子資料や デジタル・アーカイブは どこがダメなのか?」というものにして、それぞれA3の紙(ほんとはスケッチブックにしたかったパターン)にマーカーで答えを書いてもらう、というやつです。
 「IPPONグランプリ方式」です。ただの大喜利です。
 教室のサイズにもよると思いますが、これはだいぶよかったと思います。その人の考えを、話だけ耳で聴いて理解するよりは、端的なフレーズが文字として見えている中で聴いてるほうが、そりゃまあわかりやすいよなっていう。話す方も、話題がさまよわずにすむし。

 もうひとつ成功したなと思ったのが、マイクを1人1本ぜいたくに与える、という。6/25のシンポは2人で1本だったんですが、これだとやっぱり発話までにひとハードルあるし、ワンテンポ遅れるから当意即妙な掛け合いみたいなんが難しいんですよね。発言したい人はマイクを手にとって司会に軽くアピールしてくれるから、司会として采配もすごくしやすいし。
 ディスカッションを盛り上げようと思ったら、マイクなしか全員マイクあるかのどちらかで、共有マイク態勢は避けたほうがいいと思います。(まあ、それでも盛り上がった6/25のパネリストは神4だったということで)

 そんなこんなのやりやすさの中で、司会たる私にも多少の心の余裕が得られたのか、今回はディスカッションの途中で適宜フロアにいる人に話をふる、ということができました。どれもみなこちらの無茶ぶりばかりで、発言してくださったみなさんにはごめんなさいしか言えないのですが、みなさんさすがのマイクパフォーマンスぶりという感じでした。具体的には学生さんとか、訊け!の人、紀がつく書店の人、そして先週のパネリスト約1名、とか。

 最後の最後に、その先週のパネリストだった約1名さんにコメントをいただきまして、これで上手いこと2企画が輪になってつながったんじゃないかなと思いますね。しろやぎさんたちからのお手紙を、アンサーなくろやぎさんたちががっつり咀嚼して、さらにしろやぎさんからお返事をもらう、っていう。

 ディスカッションの内容としては、自分にもいくつか言いたいことが出てきてしまうようなテーマで、っていうか我慢できなくてちょいちょい自分も何か言ったりしてたし、そもそもこんだけ司会してると自分の言いたいことなんか全然言えやしないから、フラストレーションの元気玉が熾りまくってる感じになっててどうしようもなかったんですが、本企画のメンバーの気安さからついつい出ちゃった、という感じです。

 極私的に思ったことのメモ。
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・@「学生たちはなぜ図書館に来るのか」の場所としての図書館論。なんというか、”場所としての”だけ言っても、”大学”の”図書館”の”場所としての”機能の一面しか見えないんじゃないのという思いを強くした感じになってて、”資料・文献”(紙にしろeにしろ)というものと”場所”としての機能がどうマリアージュするかを考えるのが、図書館の場所としての機能を議論することの醍醐味なんじゃないのかなあ、って思うんですけどね。(当日コメントした「文献を参照しない学びはscienceと言えるのか」はそのニキビがぷちっと出た感じの)
・A「ディスカバリ慣れしたユーザを前に、司書は何をすべきなのか?」では、もっと長い長いスパンで、未来将来の司書の新しい役割はどういったものになっていくかしら、みたいなこと”も”出題側としては意図してたのですが(で、先週紹介のあったワシントン大学のJapanologists Colloquiumの話になんないかな、とか思ってた)
 実際には、だいたい当面のというかまさにいま現在やるべきことみたいな話になってたので、まあそれはそれでいいかっていう。これは、いま現在のディスカバリがいま現在ホットである、ことのあらわれなんだろうし。
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 繰り返しになってしまいますが、当日はUstream中継もするにはしてたのですが、直前まで機器類の調整がつかず、URLをほとんど広報できていませんでした。申し訳ありませんでした。(アーカイブの公開が同志社サイドでできるようになれば、またあらためてお知らせできればと)

 あとこのアンサー・シンポジウムは、実は「図書館基礎特論」という授業のひとコマとして開催したもので、その受講生の学生がふつーに聴きに来てるっていうあれだったんですが。会の後の懇親会で「学生には内容的に難しすぎたんじゃないか」というコメントも出てたんですけど、あたしはそれはそれでいいと思います。わかりやすいあつらえられたものばかりでなく、噛み切りにくい呑み込みにくいものをあえて体験するというのは、もちろんそればっかりではしんどいでしょうが、2度3度くらいはあると良い学びになると思いますので。

 あらためましてパネリストのみなさん、当日運営でお世話くださった同志社大学のみなさん、ご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

 このアンサー・シンポジウムによって、AASに関連した一連の催しごとがすべて終わった、ということになりました。暦の上では夏が始まったばかりの日ではありましたが、egamidayさん的には、2016年はもうこれですっかり終わっちゃったようなもの、という感触ですね。
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2016年07月02日

(報告)シンポジウム「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館」(2016.6.25)で、司会をしてきました。


アメリカの日本研究ライブラリアン4人を招いて話をしてもらう、というシンポジウムで、司会をしてきました。

「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館〜図書館利用行動を中心に〜」
http://www.slis.doshisha.ac.jp/event/20160625.html
2016年6月25日 15:00-17:00
同志社大学 今出川キャンパス 良心館 2階 RY202教室

パネリスト :
Kuniko Yamada McVey (Harvard University)
Tokiko Yamamoto Bazzell (University of Hawaii)
Hiroyuki Nagahashi Good (University of Pittsburgh)
Azusa Tanaka (University of Washington)

以下、司会でしたので、内容報告ではなく進行報告的な感じになります。
司会や当事者としてイベントに参加することの最大の難点は、自分で記録を残せないことですね・・・。
内容報告は↓ぜひぜひこちらをご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/xiao-2/20160626/1466905299

【後日追加】
当日の様子がYoutubeにアップされています。
https://youtu.be/-r4byVlaqqU


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当日会場においでくださったみなさん、どうもありがとうございました!
公式発表?によると約200人のご来場だったそうです。マジかと。正直、ここまで大勢の人が来るとは思ってなくて、ごめんなさい、まあまあなめてました。
来ていただいていた方々をざっと見渡すと、学生さんや現役図書館業界者だけでなく、教員の方あり大学関係者あり、書店出版の業界の方々も大勢いらしてて、これってMALUIの会じゃないのか、みたいになってた感ありましたね。

4人のパネリストはみなさんかねてよりよく存じ上げている方で、お話も上手にしてくださる方々ばかりとわかっていたので、そのへんについては司会として安心しきってました。なので準備らしい準備もほとんどしていなかったのですが、それでも一応事前に、こういう進行でいきましょう、みたいなことは言ってて、egamidayさんは阿呆なのでそれをそのままここに載せるという感じ。
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・イントロダクション
→・各人で、「図書館の概要」「普段の仕事」「経歴」を自己紹介を兼ねて。(5-10分×4人。40分程度)
→・「利用行動」(20分程度)
-グッドさんから学生の利用行動(ppt)
-バゼルさんから研究者の利用行動(ppt)
-それを受けて「レファレンス」「電子資料」を中心に全員でコメント
→・「学生の様子」(20分程度)
-田中さんから日本人留学生の様子(ppt)
-マクヴェイさんとフロアで学生の学習・授業について、ディスカッション
→・フロアからの質問+ディスカッション(質問・コメント票を回収して)(30分程度)
→・まとめとして、将来像×4人
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という予定だったのですが。
実際には、自己紹介で約15分×4人=1時間埋まるという、まあタイムキーピングの失敗事例としてはごくごくありきたりなやつ(=防げるはずのこと)ですよね・・・申し訳ありませんでした・・・結果、終盤のディスカッション・ターンでは、フロアとのかけあい的なことが全然できていませんでした・・・。これは非常に残念ですし、もったいない話です。先述のように幅広い業種のいろんな方が来てらっしゃいましたし、あの人もいた、あの人も来てた、マイク向けたらおもろいこと言ってくれたんじゃないかしら、いやそれより学生さんにこそ何か発言してもらいたかった、と今にして思い返すだに地団駄踏んで悔しがってる感じです。(教訓:「各パネリストからまずは一言づつ」、に注意)

もうひとつ、ディスカッションのまわしに余裕がなかった原因は、来場者数が思わず多かった=回収したコメント票が多い=目を通すのがたいへん、という、いや、防げるはずのことでしたね・・・。フロアがあのメンツと人数なら、素直に挙手制や指名制でもよかったんじゃないかと、まあこれは結果論になってしまいますし、それでシーンとしてたらしてたでまたあれなので、会場の雰囲気がどう転んでもどっちのも対応できるような心構えはいるな、という感じでした。

というわけで、正直な告白をすると、司会中はバタバタでとてもじゃないけど内容なんてほとんど頭に入ってきてないのですが、それでもなお、な極私的メモ。
(みききしたことおもうことブログさんにはたいへんお世話になっております!!)
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・[グッドさん]DDA(デマンド・ドリブン・アクイジション)で、英語資料選書の役割が低下。→インストラクション・レファレンスへ。
・[田中さん]「図書館はライブラリアンではなく利用者の夢を叶える場所」
・[バゼルさん]ワシントンDCのとある企業の研究所で、日本資料の収集などの仕事に従事。→日米の差を感じた。(例:政府刊行物の集めにくさなど)

・[グッドさん]ピッツバーグ大学における学生の図書館利用行動。これは2013・2014年の調査をもとにしたもの。
2014年英文オリジナル資料:http://www.library.pitt.edu/other/files/pdf/assessment/MyDayAtHillmanSurveyResults.pdf
当日のスライド:
http://www.slideshare.net/hirogood/ss-63590400
・「毎日来る」学生が50%以上(2014年)
・24時間開館で、PM11-AM6間の来館、週1回以上が30%。
・学生の来館が2010年以降増えてきたが、理由がよくわからない。グループ学習が増えたというよりも、個人の学習場所の要求が多い。そのため、開架資料の半分を遠隔地に送って学習用スペースを確保した。
・良く使われるのが「ディスカバリーサービス(OPAC込み?)」「電子資料」。その他のサービス類は「使わない/知らない」が多い。

・[バゼルさん]アメリカの研究者の図書館利用状況。これはIthaka S+R Surveyによる調査(2003〜2015)をもとにしたもの:http://www.sr.ithaka.org/
・研究をどこから始めるかについて。「図書館内から」は大きく減ったが、「図書館のwebサイト・目録」が2012から2015の間で増えてきた。<ディスカバリーサービスによるのではないか。
・電子があるなら冊子体をキャンセルしてもかまわない。ジャーナルでは、理系80%、人文系でも50%を超えている。書籍では理系50%、人文系でも30%ある。
・図書館にとって重要な役割は? 研究者の意見では「学部生のサポート」が多い。一方、データキュレーション/マネジメントについては、図書館の新しい役割ではなく、研究者が自身で管理したいと考えている。

・[田中さん]日本人留学生の様子+図書館の提供するサポート
・授業では、課題がかなり多い。ディスカッションのファシリテート、期末レポートの発表など。
・ライブラリアンは、期末レポートのアイデアを一緒に考える、資料探しをアシストする。
Japanologists Colloquiumを田中さんが月に一度・東アジア図書館で開く。学部を問わず”日本”をテーマにする学生を集めて、研究テーマの共有や期末レポート発表の練習の場とする。分野を越えたコミュニケーション。←極私的MVPトピック

・[マクヴェイさん]
・図書館の書架でブラウジングをすることは、重要でなくなってきている。
・デジタルへの期待値が高い。図書館サービスのひとつとして、遠隔地の書庫にある図書をスキャンして送るというものあるが、学部生はそれも待てない。

・アメリカの大学図書館で使われている日本の電子書籍プラットフォームは? →EBSCO・NetLibrary・丸善e-books・JapanKnowledge
・日本のデジタルアーカイブについて。隠れていて見つけづらい。Visibilityが低い。そのサイトのその場所にいかなければその存在がわからない、ではなくて、ディスカバリーツールにメタデータを送るなどして見つかるようにするのがよい。
・ワシントン大学図書館における多様性支援について。
・ライブラリアンにはMLIS(図書館情報学修士号)だけではなく、強みのある専門分野や能力(IT・ティーチング等)が必要。博士号を持った人がライブラリアンとして勤める例も。
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当日はUstream中継もするにはしてたのですが、直前まで機器類の調整がつかず、URLをほとんど広報できていませんでした。申し訳ありませんでした。(アーカイブの公開が同志社サイドでできるようになれば、またあらためてお知らせできればと)
当日の様子はテキストお越しされて、「同志社大学図書館学年報」に載るという予定もきいてます。

というあれやこれやで、一言で言うと「もったいない!」、もっとこの魅力あるコンテンツを皿まで舐めまわして味わい尽くすような余地はいくらもあったんじゃないか、という反省点いっぱいなのですが。
だとしても、それでも、あれだけの幅広い立場の&数多くのみなさんに、特に学生のみなさんに、アメリカの日本研究ライブラリアンという立場の人々のお話・考え・視点のようなものをお届けできたこと、現場で目撃していただくことで肌感覚で感じでいただけたことは、非常に大きな意義があったのではないかと思っています。
特に学生さん、当日の感想をレポートとして出してもらったのをざっくり見ると、24時間開館のうらやましいさや語学力がどれだけいるかなども多かったのですが、同じくらい多かったのが「アメリカの大学図書館ではこんなことまで学生サポートをしてくれるのか」というサービスの手厚さと、「ライブラリアンになるまでの経歴がこんなにも人によってちがうのか」的なキャリアパスの広さへのリアクションでした。そのことを見ず知らずの大人の口から聞けたという体験は、司会してるこっちがうらやましく思うくらいのものだと思います。

200人の人が4人の話を聴く様子を司会席でぼおーっと見ながら「明日からもこんな日が毎日続けばいいのに」と、世にも奇妙なフラグのようなことをずっと考えてました。
ほんとにそうなったら、自分自身がしゃべれないことへのフラストレーションがずっとずっと溜まっていくので、我慢ならんと思うんですけどね。でもいいんです。しょせんあたしは司会です、メディアです、魅力あるコンテンツがあたしの上を次々と通っていって、届くべき人のところへ届いてくれさえすればそれでいいんです。

パネリストのみなさん、当日運営でお世話くださった同志社大学のみなさん、発起&ご支援くださった紀伊國屋書店のみなさん、公私ともにもろもろ支えてくださったみなさん、そしてご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

で、さらにクレイジーなことに「アンサー・シンポジウム」なるイベントがその翌週に持たれた、との噂がありますが、それについてはまた別の話で。

posted by egamiday3 at 12:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする