2018年08月05日

「この世界のかたちをミニに」@ハンブルク(201806euドイツ2日目その4)


 秀作だ、ありがとう
 この世界のかたちをミニに
 家(うち)を造ってくれて


 ハンブルクに戻り、まだ夜7時半。
 せっかくなのでこれから、もうひとミュージアム稼ごう、と。

 Googleマップとにらめっこして、英語が軒並みアウトなバスドライバーと、無理くり対話しながら無理くりバスに乗って、ていうかなぜ同じバス停から逆向きのバスが出るんだ、などと毒づき(注:たぶん駅前終点だからややこしい)ながらも、やっぱバス乗りこなせる方が街歩きははかどるんですよね。

 ということの末にやってきたのが、こちら。

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 この建物の中に「ミニチュア・ワンダーランド」なる私設ミュージアムがあるらしいのです。「世界最大」というふれこみの鉄道&建物ジオラマ館で、2000年頃から現在にいたるまでなお建設進行中とのこと。
 あまり情報がなくて、文化施設なんだろうかお子様向けなんだろうかというのもよくわかんないまま、ふわっと入ってみると、受付の軽くチャラい娘さんが怪訝そうな顔でこっちに何か言ってくる。
 「あと1時間で閉館ですけど?」
 いや、1時間もありゃ充分だろう、オッケーアイノーアイノーと応じると、にこやかに受け入れてくれはる。
 うん、じゃあ、閉館も近いみたいなんで、さくっと見てきますかね。

 と、入ってみると。

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 ・・・あ、これは「あと1時間」警告受けるわ(笑)
 とんでもないフロアの広さ、とんでもない部屋数、そこにとんでもない縮尺でかつとんでもない数量の、土地、自然物、建造物、都市そのもの、鉄道、そして人や家屋や調度類。
 そのスケールのでかさと、造り込みの細やかさ。
 おそろしい執念をもって、惜しみなくリソースが注ぎ込まれたにちがいない。
 これが私設ミュージアム?
 なんだこのエネルギー、どこから湧いて出る。

 展示は2フロア、10以上のセクションにわかれてて、「中部ドイツ」とか「イタリア」とか「アメリカ」「スカンジナビア」云々という感じで、例えば、

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 ↑あ、これはノイシュバンシュタイン城ですね。

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 ↑これが旅行者のあたしにでも「ハンブルク中央駅」だ!ってわかるからすごい。それくらいちゃんと特徴つかんで造られてるあたり、本物への愛を感じるわけです。

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 時間が経つと夕方や夜も部分的に訪れるという演出になってて、↑夜のラスベガスだったり、北欧だったりする。

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 ↑空港もあって、時折、飛行機の模型が離着陸するという演出。

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 壮大な自然や建造物だけでなく、この世界の片隅で生きている市井の人々の、街角での生活のワンシーンが切り取られていたりする。

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 ↑ヴェスビオス火山のふもとのポンペイでは現代と古代が入り混じったりする、なかなか凝った構成の創作。

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 いやもう、見所がわんこそばのように次々飛び込んでくるから、紹介も追っつかない。
 これはもうしょうがない、ぜひ現地でごらんください。
 ていうか、これ、造るの絶対楽しいやつやん。

 以下、心の琴線、中でも特に"都市""建築"のコードをわしづかみにかき鳴らされる、珠玉の逸品をいくつか。

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 おおっ、これすごい、↑アマルフィ海岸じゃないですか。

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 これもすごい、↑ローマのテルミニ駅だ。別にそこまで特徴ある駅舎ってわけでもないのに、テルミニ駅って見ただけですぐわかるように造られてるっていうのが、何よりすごいと思います。

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 ↑そしてヴェネッツィアーです。
 そう、これ見てわかるんですけど、「精緻に模造」してるわけでもないんですよね、特徴と見どころ・勘どころをしっかりつかんでくれてる。だから、見て「どこそこだ」ってわかるんですよね、それが嬉しいし楽しい。

 それからもうひとつ、別のセクションでは「ドイツの歴史」を時系列で描いたジオラマ群もあって。

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 ↑ドイツの街の、中世と近代であったり。

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 ↑ベルリンの壁が築かれてから、崩れるまで、であったりするわけです。

 いや素晴らしかった、秀作揃いで、造ってくれてる人らにありがとうの言葉しかないですね。
 もうひとつ素晴らしいのは、これらのジオラマ作品すべて、写真撮影自由&SNS投稿推奨、というところ。
 こんなん写真見たらぐっと引き込まれるし、しかも現地行かなあかんわってなるから、ガンガン撮らせてガンガンアップさせるに限りますね。

 思わず堪能してしまいましたが。
 やっとビール&食レポです。

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 あまり深探ししても時間とるだけだなと、駅前の有名老舗店っぽい「Nagel」という店へ。店のプロフィールはよく知りませんが、てかてかした木製の内装といい、いかにもなモノクロ写真の掲示といい、壁に造り付けの酒瓶棚といい、いかにも有名老舗然としてる。なんでも創業は1848年という。

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 朝市以降何も食べてないところにちょっと危険ではあったのですが、この店のハウス的なブロイがある(その名もNagel)っていうから、まあそれは注文せざるを得ないだろうと思って注文したら、見た目のこのいかにもどっしりしてそうなスタウト感からは一切想像できなかった、爽やかな甘みのビールでした。アルコールもそんなに強くなかった。
 ふわっと飲んだけど、もしかしたらこれがシュヴァルツビール(注:バイエルン発祥の黒ビールで、モルトをローストしてるけど、スタウトやポーターのようなエールではなく、ラガーなのですっきりもしている、とのこと)なのかもしれない。

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 一応シーフードのお店らしくはあってそっちも気になったのですが、ここはぜひ、ハンブルクの郷土料理と音に聞く「Labskaus(ラプスカウス)」なるものを経験しておきたくて、注文してみました。

 説明しよう、Labskaus(ラプスカウス)とは。
 ハンブルク他北ドイツの名物料理のひとつで、もともと船乗りの食べ物だったという。マッシュポテトにコンビーフを混ぜて目玉焼きをのせる、という謎の料理。素材の時点でなるほど船の上での保存食料理だなと思うのですが、実際食べてみるとコンビーフというよりふつーに挽肉がたっぷり入ってて、「コロッケの中身をあったかくして出したの」という(ネットでもよく見た)表現が一番しっくりくる。このあたり、自分のコンビーフ認識が狭いだけかもしれない。ていうか、味は、まあ、マッシュポテトとコンビーフを混ぜたらこういう味になるよな、ていう味。
 つけあわせはビーツのたいたん。ていうか本体のマッシュポテトの赤いのからしてビーツらしい。あと、なぜかのってるニシンの酢漬け、最初この店のオリジナルかとも思ったけど、定番らしい。漬かり過ぎたままかりみたいだったけど。

 余談ですが、サーブしてくれた店の兄ちゃん、終始フレンドリーだったんだけど、このラプスカウスを注文したときだけちょっと顔を曇らせるので、あれ、どうしたんだろうと思ってると、

 「えっとあのー、このラプスカウスっていうのはー、肉ではなくてマッシュポテトで、挽肉がどうとかこうとかで」

 うん、そうですよね、そう聞いてますけどそれが何か? 

 「ポーションとかでなく」

 あ、なるほど、かたまり肉のステーキのような、ちゃんとした肉料理と間違えて注文するかもしれない人のために、説明してくれてるわけか。
 まあ確かに、特に予習もなくぼんやりとこれを注文して、出てくるのがあの謎すぎる見た目の、ていうか言っちゃうと決して美味そうではない見た目で、味自体そこまで気分のあがるものでもない(注、結構、お塩振った(笑))このお皿が出てきたら、と思うと、これまでそこそこクレームも受けたりしたんだろうな、とちょっと気の毒には思いますね。
 そこは、郷土料理あるあるということで。

 郷土料理あるあるといえば、前の方の席にアジア系の個人客が来て、お店の人とわりと長くやりとりしてた末に、でっかいフライパンにシーフードはじめどっさり具材が入ったの(注:フライパンに盛り合わせで料理出すのもこちら流らしい)が来たの、一人で苦戦してたかもしんないけど、あれはあれでちょっと美味そうでうらやましかった。こっちのマッシュポテトよりは(略

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 最後、ホテルの近くで2軒目1杯。
 昨日の晩にグレーニンガーで飲んだあのこってりした”ピルスナー”がどうしても不審で、あのレベルがこちらの土地では普通なのかそれとも特殊なのか、確かめないとこの土地を離れることはできないとの想いから、ここはあえてふつーのチェーンっぽい飲み食い屋で、大手メーカーっぽいふつーのピルスナー樽生をもらってみた。
 そしたら、あ、ふつーのピルスナーなビールだった。

 ていうか「Konig Pilsener」って書いてある。
 これ多分、日本でも飲んだことあるな。

 やっぱあの”ピルスナー”は謎だった。


posted by egamiday3 at 11:07| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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