2018年12月31日

2018年に見た演劇の感想 : 劇団衛星、京都学生演劇祭、今@吉田寮、タウンホール事件、そんなに言わんでモリエール 等

 
 年間ふりかえり企画にするつもりはまったくなく、最近見た演劇の感想をまとめて書こうと思ってたら、いつのまにか歳末になってたというあれなんで、とりあえず今年見たののリストアップを含めて。来年は怠けずこまめに出しましょう。
 なお、演劇というメディアの特性上、時間が経つにつれて記憶が書き換わってる可能性が大なり小なりあるはずで、まあそれも含めての自分の受けとめの記録という感じで。


・「続・時をかける少女」@森ノ宮ピロティホール
・「ナナマル サンバツ THE QUIZ STAGE」@全労済ホール/スペース・ゼロ
・シベリア少女鉄道「今、僕たちに出来る事。あと、出来ない事。from 2001 to 2018。」@赤坂RED/THEATER

・劇団衛星「白くもなく、さほど巨大でもない塔を覗き込む、ガリヴァー」@KAIKA
 いまや白い巨塔でも象牙の塔でもなくなった塔を虎視眈々とのぞきこむガリヴァー(巨人)って、何をあらわしてるんでしょうね、と思いながら岩戸山のところに見に行った作品。
 ある学会の分科会というフォーマットをベースに、そこでトラブル的に勃発するディスカッションだのレジスタンスだのパフォーマンスだのが、雇い止めとか、学内行政のなれあいとか不透明さとか、実社会とアカデミズムとの乖離とかの問題を、ゴリゴリとえぐりにかかってくる、という。議論と裏芝居をちゃんとみたかったので、まさかの2回観劇でした。演劇っていうメディアはこういうのを遠慮なくぶつけてくるから目を離せないというか、正直NHKでやってた九大非常勤講師事件のドキュメンタリーに残念ながら特に感情移入できなかった自分としては、こっちの作品のほうを劇場中継したほうがよかったのではと思う。
 観劇当時の自分のツイート。「大学が社会を軽蔑し、社会が大学を軽蔑する、ということを繰り返している限り、それはもう単なるリソースの無駄遣いでしかないから、進められる人は進められる人で話を先に進めた方がいい」
 ※観劇当時のメモがあるはずなので、見つけ次第追記。

・中野劇団「代役」。
 いままで見てきて一度もハズレがない中野劇団さんの新作本公演は、コメディの王道で、尋常じゃなくおもろかった。

・ヨーロッパ企画「サマータイムマシン・ブルース」2018、「サマータイムマシン・ワンスモア」。
 http://egamiday3.seesaa.net/article/461235900.html

・GO AND MO’S「松浦の箱」@スペースイサン

・京都学生演劇祭@吉田寮食堂
 木材・ベニヤ板がむき出しの舞台を、客前で演者自らがセッティングする。運営も演者も観客もみながそのへんからふんわり寄り集まってきたような場所。配慮も深謀遠慮も計算や配分も大人の事情もない、ただただ、セーブすることなく全力で叩きつけるような芝居。見ていてこちらが恥ずかしくなるような黒”現在”とか、その底流に流れるナイーブすぎる細い価値観とか、分厚い仮面の下の感情という肉の塊のぶつけ合いとか、自分探しと世間との軋轢みたいなんを怪演でコメディにしてるかと思ったら実はちゃんとリンクしてたとか。そういう、エネルギーを浴びにまた行きたい演劇祭。あと、尻が痛い。

・小林欣也「今」@吉田寮食堂
 吉田寮食堂での、「今」というタイトルの、2018年10月公演の芝居。100年前の吉田寮が舞台その1、600年後の吉田寮が舞台その2、それらが交互に寓話として語られる。いい題材だったし、いい構成、ていうか好きな構成だし。メッセージも、ただダイレクトでも安直でもなく、でも確かな方向性なり怒りなりをしっかりぶつけてくるという、なんだろう、いい意味で危なげの無い、ああ、こういうのを見たかったんだよなあ、というゆりかご感ある安心感だった。ぶつけてる先にあるのはアンフェアさのようなもの、なんだけど。
 そんなお芝居を仕事帰りにふぁっと見に行ける環境って、京都だなと思います。

・ウースターグループ「タウンホール事件」@春秋座
 「今」@吉田寮食堂と、「タウンホール事件」と、「岸田國士」の3本を同週末でハシゴして見てたという、文字通りの意味での観劇三昧だった。当時のツイートには、「吉田寮とタウンホールで議論のアンフェアさを思い、吉田寮とフィガロで場と集いとパフォーマンスを思い、タウンホールと岸田國士で男ってホント馬鹿と思った。」と書いてある。
 「タウンホール」のほうは「今@吉田寮」がダイレクトには描かなかった”議論のアンフェアさ”みたいなのを、まさに直接の題材にしたようなもので、これは史実というかwikipedia(wikipediaかよw)か何かを脇本に置きながらじっくり考えたい。あの姿って、他の人にはどんなふうに見えてるんだろうというか当時はどんなふうに見えてたんだろうと素朴に思うんだけど、少なくとも自分にはすごく醜悪で狡猾な司会の”議論の場設定”のように見えるし、しかも、自分もいつか/いつしかそこに座ってる/てたであろうことを思うから、ブルッとしてしまう。
 「議論が成り立つ/成り立たない」という物言いはわりと便利な言葉で、議論の場からある要素を恣意的に排除したい時に、そのマジックワードを使うと正論っぽくて聞こえがよくて仕事した感じになる。でもじゃあ、成り立たない議論は議論する意味ないかって、そんなわけないし、そもそもその議論を”成り立たせよう”としてること自体が一方的で恣意的な行為なんだな、ということを忘れないように気をつけよう。

・「岸田國士一幕劇集ヲちょっと混ぜ」@喫茶フィガロ
 フィガロという喫茶店、学生の頃は毎日のようにその前を素通りしてたはずなのに、こんな演劇インフラみたいなことやってはるなんて知りませんでした、いつからだろう。
 という感じで、喫茶店という”場”に、芝居をしたい人やそれを見たい人等々が、集い、朗読したり演技したりその練習をしたりそれを観劇に来たり、という様子を見てると、別に吉田寮という”場”だけが特別な存在なわけではなくて、そんな場は作る気のある人が作る気があればいくらでも作る余地はあるはずなんだよな、と思いました。だから、問題なのは”場の価値”ではなくて、ガバナンスとか議論のあり方のほうだろう、という再確認。
 あと、男ってホント馬鹿、と思うことがいくつかあった。

・笑の内閣「そんなに言わんでモリエール」@京都芸術センター
 なぜかいままで笑の内閣さんに行く機会に恵まれなかった。ごめんなさい。次からはマストで行くべきと思い知った、2018年のアルファコンテンツリスト行き。
 モリエールの劇団の当時の#MeTooを風刺することで、現代の#MeTooを風刺する、だけじゃなく、じゃあ創作とはなんだ倫理や正義や政治との距離はどうだ実益とメンツの秤はどうだ、と。どれのためならどれはないがしろでいいのか、と。それをふまえてのアフタートークがマジの格闘技戦だったので、議論って素晴らしいな、と思いました。

・下鴨車窓「微熱ガーデン」@studio seedbox
 なんだろう、感情移入できなかったの、自分の人としてのつまんなさのせいなんだろうか、『人間失格』読んだときみたい。

・GO AND MO’S「岡本の耳」@東山青少年活動センター
・左京区「下京区」@ときじく
・ROB CARLTON「SINGER-SONGWRITERS」@HEP HALL

posted by egamiday3 at 13:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

極私的・egamiday十大ニュース 2018

 
 今年もいろんなことがあったけど結局楽しかったし充実してたよね、と無理やり自分に思い込ませるため、そういう意味での”極私的”な年末のとりまとめ。果たしてこの1年に生産性はあったのか、なかったのか、なくてもまあなんとかなったのか。

●egamiday氏、「限りある肝臓を本当に美味いクラフトビールのためだけに使おうキャンペーン」を断続的に実施中
 数年前からクラフトビールに傾倒中のegamiday氏。今年もあらたに呑み場(某四条方面、某九条方面等)や銘柄(エルビスジュース等)に手を染め、果ては「もうビール作りたい」などと妄言をつぶやいている昨今ですが、肝腎の身体がそれをいつまでも許すはずもなく、いろいろな数値がラインからひょっこりはんなのをいかに抑制するかが優先課題ではないか、との声があがっています。これについてegamiday氏は「だからこそ、酒税法上1%未満しか許されてない自家醸造に成功すれば、数値の抑制にもつながるのでは」などとうそぶいており、まあなんというか、アルコールフリーの輸入物ヴァイツェンでも飲んでなさい、という感じです。

●egamiday氏、ドイツ3Bを堪能
 そのビールが主目的だったんでしょどうせ、との疑いの声が高い、2018年6月のドイツ方面行き旅行(201806eu)。Beer(ビール)、Bahn(鉄道)、Bibliothek(図書館)というegamiday氏大好物揃いの「ドイツ3B」(注:極私的定義です)を心置きなく堪能、したかと思いきや、あまりにも事前予習でドイツ関連文献(参考:http://egamiday3.seesaa.net/article/460443477.html)を読み漁りすぎたため、togoリストが膨れ上がりそのほとんどをあきらめざるを得なくなってしまい、あろうことかドイツに行く前からすでに「もう一回ドイツ行きたい」などとつぶやく始末。ドイツ全土に網の目のように張り巡らされる在来線、乗っても乗っても乗り足りないドイツ鉄道。村ごと、店ごとに醸造されるビール、飲んでも飲んでも飲みきれないへーフェヴァイツェン。土地ごと、領邦ごとに乱立するいにしえの図書館。どうやら再訪の日もそう遠くはない模様です。

●egamiday氏、あまりの酷暑でまさかの宵山断念
 記録的な酷暑に悩まされた今年の日本。egamiday氏によれば「この我が輩をして宵山をあきらめさせるほどの酷暑」「こんなに暑い杉本家さんには来たことがない」とのことで、マジで今年の暑さは相当しんどかった、夏のことはほとんど覚えがないんですよね。もしかして脳みそフリクションなんじゃないかしら。

●egamiday氏、あまりの業務過多で謎の奇病を発症
 酷暑に加え、さらに追い打ちをかけたのが夏季全体にわたるあまりの業務過多で、ピーク時には「電車やバス内で読んでる本やツイートを無意識に音読し始める」という謎の奇病を発症するに至りました。タスクの溜まった借金生活は年末近くまで影響を及ぼしており、正直、いまもまあまあきつきつのままですよ。

●「生きてて良かった」 egamiday氏、「サマータイムマシン・ブルース」「サマータイムマシン・ワンスモア」を観劇
 そんな酷暑と業務過多に苛まれたegamiday氏の支えとなったのが、これもまた大好物の劇団ヨーロッパ企画による本公演「サマータイムマシン・ブルース」「サマータイムマシン・ワンスモア」(2作同時上演)でした。2001年の初演を見てから実に17年、まさかの続編登場に、生きてこの作品を見られたことを神に感謝せざるを得ないという感じです。これでもし25年後ver.(2028年?)でもやろうというのであれば、わりとリアルに健康と長生きに気を遣わなければならないレベルなので、とりあえず来年のDVD発売までは生き延びよう。

●egamiday氏、リトアニアでもなぜかビールを堪能
 9月には某会議参加のためリトアニアに渡ったegamiday氏。よくよく調べてみれば実はリトアニアも相当の「ビール大国」だったことが判明しました。1人あたりの年間ビール消費量が世界10位以内だとか、たいていのレストランに自家銘柄のビールがあるとか、あと飲んでみたらわりとどれもおしなべて酸っぱいなどなど。ただ、リトアニアの歴史をあらためて文献で事前予習すると、同じビールの国・アイルランドに負けずなかなかつらいものがあり、食事したときのリアルな感想がこんな感じでしたということだけ記しておきます。
 「食事、ツェペリナイ。ジャガ芋おはぎの中身豚ひき肉、サワークリームとベーコン炒め。奇妙な話、これを口に含んで考えたのが、これしきを郷土料理とする土地をなぜドイツやポーランドやソビエトは執拗に奪い合い責め立てる必要があったか。それもう「内なる怯え」だろうとしか思えないんですよね」
 (参考:http://egamiday3.seesaa.net/article/462278000.html

●箱根でブラegami、キーワードは「逃げ場がない」
 ブラegami、今年のテーマは「箱根」。箱根登山鉄道で大はしゃぎ、箱根フリーパスで縦横無尽、風呂嫌いなのに温泉、等々。準備に苦心した甲斐あってそれなりに成功したようです、よかったね。なお旅のお題「なぜ夕食がバイキングの宿をあえて選ぶのか?」という謎に関しては、「コースや懐石だとハズレだった場合に「逃げ場がない」から」という家族内合意が暗黙の内に成り立っていたようです。食いしん坊万歳。

●OCLC派宣言、新たな船出へ
 主語は職場ですが、今年新たにOCLC WorldCatとWorldShare ILLに直接参加、ILL受付開始という新たなる船出に乗りだしました。その報告はまあそのうちどこぞに上がるでしょうが、ざっくり言えば、多すぎず少なすぎず、幅広い地域と分野からさほど負担になるわけではない程良い反応、という感じで、まあまあの成果ではないでしょうか。これについてegamiday氏は「とは言え、うちとこで持ってない本は提供できやしないので、日本の参加館もっとちゃんと増えてほしい」と、これはマジのトーンで言ってます。

●egamiday氏、今年もやっぱりデジタルアーカイブとジャパンサーチに翻弄される
 多くは申しません、タイトルの通りです。東京や神戸での司会、非専門分野での発表、執筆のオファー等々を四季折々でいただき、とはいえまだジャパンサーチの全貌が見えてるわけでもないなので、どうしてもふんわりしたことをずっと言い繰ってる感が否めないという、まあ、1月の試験公開に期待してます。
 (参考:「「日本の古地図」を”日本”の”古””地図”から解放する、ということについて考えたメモ」http://egamiday3.seesaa.net/article/457638561.html、「「資料発掘と利活用 : アーカイブサミット2017in京都へのリプライ」の司会側メモ」http://egamiday3.seesaa.net/article/457841554.html

●egamiday氏、謎のダンボール箱大量購入
 egamiday氏が年末も押し迫った頃になぜか大量のダンボール箱を購入している、という新たな情報が入ってきました。秋口には手押し台車も購入しており、とうとう蔵書の大せいもん払いか?との憶測を呼んでいますが、実態は、まあちょっとわけあって10年ぶりに部屋を大幅に整理する機会に見舞われており、しばらく時間をかけて環境を整える予定です。

 以上、振り返ってみれば3/10がビール関連という、身も蓋もない十大ニュースでした。まあ楽しかったからそれはそれでいいですが、ライ編はもっとがんばりましょう。
 
posted by egamiday3 at 09:44| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

極私的・今年のアルファ本棚行きコンテンツリスト 2018

 
 あのオバマ前大統領もやってるらしいですよ、じゃああたしがやったって全然いいよね、となぜか得意げな年末ふりかえりシリーズその2。
 自宅の”アルファ本棚”と呼んでる本棚に置いておきたい極私的アルファ級のコンテンツを、書籍メディアに限らずリストアップしたもの。解説含みで。

・Bear Beer(ビール)
 (ドイツのヘーフェヴァイツェンの缶ビールで、美味くて高くないのでしばらく前から普段遣いしているもの)
・雷山ボック、ペールエール@杉能舎(ビール)
・田中あずさ『サブジェクト・ライブラリアン : 海の向こうアメリカの学術図書館の仕事』(書籍)
・小川剛生『兼好法師 : 徒然草に記されなかった真実』(書籍)
・『騙し絵の牙』(書籍)
・「レイチェルのおいしい旅レシピ」「レイチェルのキッチンノート」(テレビ)
・BUNGALOW(店)
・山椒W-IPA@箕面ビール(ビール)
 (翌朝まで口の中に香りがのこる)
・カーリング@平昌五輪(スポーツ)
 (egamidayさんが4年に1度だけマジでスポーツ中継を見る機会があるというのがこれ)
・「アンナチュラル」(ドラマ)
・「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(アニメ)
・「資料発掘と利活用 : アーカイブサミット2017in京都へのリプライ」@デジタルアーカイブ学会(司会)
 (この企画パネルはフロアのみなさんからのコメントで成り立っています方式による)
・Elvis Juice@BrewDog(ビール)
 (アメリカっぽいやつでボトルで買えるビールとしてはいまのところ極私的ベストテン第1位)
・90年会「僕らだって、ヒーローだ」(演劇)
 (表現制限の妥当性への疑問と、制限下の創作の可能性という希望)
・京都クィーンの会(イベント)
・聴竹居・山崎エリア(建築・街)
 (建築も美術も自然も歴史も鉄道も酒も楽しめる山崎エリアが地味にスゴイ)
・『ビールの教科書』(書籍)
・『ビールを「読む」 : ドイツの文化史と都市史のはざまで』(書籍)
 (togoリストが際限なく増えるドイツビールと文化と歴史の本)
・『ドイツ図書館入門 : 過去と未来への入り口』(書籍)
 (togoリストが際限なく増えるドイツ図書館案内本)
・劇団衛星「白くもなく、さほど巨大でもない塔を覗き込む、ガリヴァー」(演劇)
 (まさかの2回観劇。「大学が社会を軽蔑し、社会が大学を軽蔑する、ということを繰り返している限り、それはもう単なるリソースの無駄遣いでしかないから、進められる人は進められる人で話を先に進めた方がいい」)
・Franziskaner Hefe-Weissbier Dunkel(ビール)
 (ドイツのヘーフェヴァイツェンの日本でもボトルで買えるビールで、ドイツで飲んだうち実は一番美味いと思ったもの)
・ノンアルコールのヘーフェヴァイツェン(ビール)
 (銘柄は特定しないものの、今年のドイツ行きの最大の収穫は「ドイツのビールはノンアルコールでも美味い」と知ったこと)
・リューベック(街)
・ハレ・フランケ財団(街・文化事業)
・バンベルク(街)
・「京都インディーズ・ジョーンズ」(テレビ)
 (京都で文化・カルチャー的なことを仕事にor注目してる人はマストなKBS京都の番組)
・中野劇団「代役」(演劇)
・「建築の日本展 : その遺伝子のもたらすもの」@森美術館(展示)
・ラピンタイカ(店・料理)
・ヨーロッパ企画「サマータイムマシン・ブルース」「サマータイムマシン・ワンスモア」(演劇)
 (参考:http://egamiday3.seesaa.net/article/461235900.html
・ディーガのチャンネル録画機能(ツール)
 (24時間全チャンネルを自動で録画し続けるエグいツール、これで宣伝の薄いドキュメンタリーの類がわりと見れるようになった)
・「クイズ99人の壁」(テレビ)
・「TIMELESS」(ドラマ)
・ヘルシンキ空港の自動入国審査エリアの説明動画(コンテンツ)
 (わかるやつだけわかればええ)
・「Alaus Biblioteka(ビール図書館)」(店)
 (参考:http://egamiday3.seesaa.net/article/462278000.html
・「今」小林欣也@吉田寮食堂(演劇)
・「タウンホール事件」ウースターグループ@春秋座(演劇)
・鳥居本町並み保存館(展示)
・シンポジウム「大学図書館デジタルアーカイブの活用に向けて」@神戸大学(司会)
・京都醸造試飲スペース(店)
・「フェイクニュース : あるいはどこか遠くの戦争の話」(ドラマ)
・吉見俊哉『トランプのアメリカに住む』(書籍)
・「獣になれない私たち」(ドラマ)
・笑の内閣「そんなに言わんでモリエール」@京都芸術センター(演劇)
・箱根登山鉄道(鉄道)
・BOX HOTEL from bizan@箱根(宿)
・「木下直之全集」@ギャラリーエークワッド(展示)
・「和様刊本の源流」@武蔵野美術大学(展示)
・経堂エール@後藤醸造(ビール)
・「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」(アニメ)
・「ボヘミアンラプソディ殺人事件」(テレビ)
・小山騰『戦争と図書館 : 英国近代日本語コレクションの歴史』
・ペグシルと付箋(ツール)
 (バス電車内で紙本を読書するため、ペグシルを束で買った)
・POUNDY(食)

 今年なぜか豊作なのは、まめにふりかえっていたから、かも。

 なお、以下は自作コンテンツから。

・ごあいさつ2017→2018 附:「検索できないネットに意味あるんですか?」
 http://egamiday3.seesaa.net/article/455898073.html
・「日本の古地図」を”日本”の”古””地図”から解放する、ということについて考えたメモ
 http://egamiday3.seesaa.net/article/457638561.html
・NBK10年のまとめ
 http://egamiday3.seesaa.net/article/458530678.html
・人はなぜ「図書館情報資源概論」を学ぶのか
 http://egamiday3.seesaa.net/article/458716536.html
・日本からの学術資料の提供をどう実践するか : 国際日本文化研究センターによるOCLC参加の取り組みから
 https://mirai.kinokuniya.co.jp/2018/06/4006/
・「サマータイムマシン・ブルース」「ワンスモア」観劇メモ -- 2001、2003、2005、そして2018 #ヨーロッパ企画
 http://egamiday3.seesaa.net/article/461235900.html
・捨てずに取っておいた「地球の歩き方」旧版でたどる、リトアニア30年史 (#201809eu 特別編の2)
 http://egamiday3.seesaa.net/article/462593652.html

posted by egamiday3 at 09:33| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

極私的流行語大賞 2018


 自分だけが得する、年末振り返りシリーズその1。
 自分のためだけのメモに、ある程度の解説を添えて。

・OCLC / IFM / 絶版全頁複写
・この○○は○○方面行きです。
・年度末は2月が本丸
・「日本の古地図」を”日本”の”古””地図”から解放する
 (デジタルアーカイブのあり方として 参考:http://egamiday3.seesaa.net/article/457638561.html
・質問を書く紙
・おなかへっておきる
・吉宗の渡来象
 (日文研シンポジウム「世界の中の日本研究--批判的提言を求めて--」の中で紹介された国際的日本研究の一事例から。印象的でわかりやすい例だったので、わりとあちこちで多用した。参考:https://mirai.kinokuniya.co.jp/2018/06/4006/
・ドイツ3B (Beer(ビール)、Bahn(鉄道)、Bibliothek(図書館))
・ヘーフェヴァイツェン
・ビアライゼ
・「早希ちゃん宿探し危機」
 (6月のドイツ行き前にyoutubeで見てた「ロケみつ」の、この企画の益体も無さを端的に表現したワードとして)
・別棟
・電子ブック班
・「この世界のかたちをミニに」
 (参考:http://egamiday3.seesaa.net/article/460913792.html
・念のため、のべそえる。
 (井上先生の著書を読んだ)
・オールを人に任せるな
・あなたの◯◯はどこから
・自由と平和が大事
 (リトアニアの歴史と現在のことをふまえての感想)
・キビナイ、ツェペリナイ、サタデナイ
 (リトアニア料理2つと、ただの語呂)
・吉田寮食堂
・箱根
・逃げ場がない
 (あえてバイキング料理の宿を選ぶ理由として、コースや懐石料理だとハズレだった場合に「逃げ場がない」から、という宿選びにおける家族内合意を表現したワード)
・○○含み

(裏流行語)
・slackだのbacklogだの
 
posted by egamiday3 at 09:26| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月26日

2018年11月+12月のまとめ


■2018年11月のまとめ

●総評:
 箱根と風邪に足を取られて、他が思うように進展せず。
 でも箱根が成功して何よりだし、何故かいろいろ充実してた(そのせい)。

●まとめ
・台車を買う。
・鞍馬残念紅葉
・「そんなに言わんでモリエール」(笑の内閣)@京都芸術センター
・今年最初の雪の華(ジンジャーブレッドラテ)を
・岩倉BBQ。しいたけのめんたいバターと、サーモンと柿のマリネ。
・「捨てずに取っておいた「地球の歩き方」旧版でたどる、リトアニア30年史」(egamiday3)
・来年のゴールデンウィーク問題が浮上。博打含み。
・MICRO-LADY COFFEE STAND(彦根駅のコーヒーショップ)
・彦根城
・近江鉄道ミュージアム
・大向寄席
・以下、箱根。
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・『箱根人の箱根案内』『箱根富士屋ホテル物語』
・箱根フリーパス(周遊ではなく、縦横無尽)
・箱根登山鉄道
・バイキング総評:なんてことない品揃えではあるが平均して美味くはあった。カンパチの寿司とシチューにしたビーフがとりわけ美味かった。野菜が少ないのが難点。
・なおバイキングをあえて選ぶのは、コースや懐石ではハズレたときに「逃げ場がない」から。
・「そばを食べさせたい」
・BOX HOTEL from bizan(宿)
・UNO
・BBQと、上品な足柄牛バーガー。
・タモリ、からの、出川。
・朝一からアイスをまわしぐいする家族。
・教訓:余裕のある行動とインフラがさらなる余裕を生む
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・『トランプのアメリカに住む』(岩波新書)
・「獣になれない私たち」
・一般公開対応
・ベトナム料理女子会
・「微熱ガーデン」(下鴨車窓)@studio seedbox
・中山酒店@NF・西部講堂
・「岡本の耳」(Go and Mo)
・「下京区」(左京区)
・「風邪をひいたっぽい」「いまさら何言ってるんですか」
・11月末から12月頭まで執筆3連発に苛まれる。
・電子ブック×メタデータ(ていうか海外ユーザ)
・デジタルアーカイブ×メタデータ(ていうかジャパンサーチ)
・デジタルアーカイブ×人材(ていうか連携協働)



■2018年12月のまとめ

●総評:
 前半の執筆をがんばりました。
 その後あらためてスタートを切った諸々について、1月からもちゃんとがんばりましょう。

●まとめ(-12/25)
・人間ドック、γ-GTPその他
・「わらいとこわい展」(日文研春画・妖怪資料)@細見美術館
・日文研図書館見学会
・誰もがみな/自分だけのKJ法を/抱きしめて生きてる
・嵐山で昼食。講評:こんなものか。
・関西文脈の会第35回「誌友交際のはなし」
・藤田嗣治展@京都国立近代美術館
・『情報生産者になる』
・『ベルリンは晴れているか』
・委員会というプロレス(または田舎芝居)
・NIIで会議など
・「木下直之全集」@ギャラリーエークワッド
・「天文と印刷」@印刷博物館
・「和様刊本の源流」@武蔵野美術大学
・国文研初訪問
・旨味の経堂エール@後藤醸造
・もう何年かぶりのロブ・カールトン
・『戦争と図書館』
・「ありし日のままのすがた見せる書庫」(egamiday3)
・寄席にて、文献選びにダメ出しの巻
・日文研恒例年末パーティ
・別棟整備が本格化。ダンボール箱確保に苦心しつつも、めでたくメド立ち。よかったね。
・森林食堂
・「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」(特に「かえでクエスト」)
・「ボヘミアンラプソディー殺人事件」
・自分ホリック
・職場片付けもめでたくメド立ち。


 2019年ももっとがんばりましょう。


posted by egamiday3 at 07:58| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月18日

「このローカル線は、無駄な乗り換え経由、未来都市ベルリン方面行きです。」@リューベック→ベルリン(201806euドイツ3日目その3)


201806euドイツ3日目その2「ありし日のままのすがた見せる書庫」からの続き)

 汗だく&息ぜいぜいの状態で、列車に飛び乗りました。
 ここから、在来線4本を乗り換え乗り換えして、4時間後くらいにベルリンに到着する見込みです。

IMG_0599_201806eu.jpg

 行程です。

Lubeck 11:03 → Bad Kleinen 11:52
Bad Kleinen 12:03 → Butzow 12:28
Butzow 12:34 → Gustrow 12:43
Gustrow 12:56 → Berlin 15:16

 早朝からの旅行事務でデータベースを叩きに叩きまくってたのですが、ロストックというバルト海沿いの街にミニ機関車を観に行ってしまうとベルリン着が夜になってしまう。鉄道は観るより乗りたい、というより乗り換えたい、なんとか無駄に乗り換えて行程を楽しめるルートはないかと探っていたところ、トーマスクックの路線図に謎の三角形を発見。

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 データベースが提示してくれない(註:無駄だから)ここの乗り継ぎをうまくすれば、上記の行程の通りいけるんじゃないかと。

 ちなみに、当日使ってたノートにはこんなメモがのこってます。
 「ムダにのりかえを増やし、ローカル線と北ドイツの景色を味わいつつも、それほど時間かからずすんなりベルリンへ行けるルートを選ぶ」
 なんちゅう選択基準か(笑)。

 というわけで。
 1本目、Lubeck 11:03 → Bad Kleinen 11:52。

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 基本、草原と森、林。たまに集落。
 上がった息が整うか整わないかくらいのうちに、次の駅Bad Kleinenに到着、したのですが。

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 いま乗ってきたやつもこれから乗る列車も、ほんとのほんとにジモティな在来線、車両も2両くらいしかないのですが、しかし乗客がやたらと多い。というかせまいせまい駅のホームが異様にぎゅうぎゅう詰めになってる。しかもなんとなく人が多いとかじゃなく、なんだろう、旅支度の有閑マダム的なおばさんグループとか、旅支度の屈強で騒がしい30代男性集団とか、旅支度の小学校高学年エクスカーション集団とか、そういうののごった返し方をしてる。この町はシュヴェリナー湖のほとりにあるのですが、なんか保養地(註:badはドイツ語で風呂や温泉のはず)とか自然研修センターとかそういうのがある土地柄なのかどうか、田舎の自然の中でどんな過ごし方をする社会なのかとか、よくわかりませんが、これは今後の課題。

 2本目、Bad Kleinen 12:03 → Butzow 12:28

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 湖、平原、森。(繰り返し)
 そういえば、日本の森は低木が多いから歩きにくいけど、ドイツの森は低木は少ないから歩きやすいんだよ、だからドイツの童話でやたら森歩いてても違和感ないんだね、みたいな話を思い出しながら、なるほど、歩ける歩ける、とか思って見てるという。

 Butzow駅着。

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 3本目、Butzow 12:34 → Gustrow 12:43。
 これはもう1駅。

 Gustrow駅着。

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 4本目、Gustrow 12:56 → Berlin 15:16。
 ここからは大きめの路線で、このままベルリンまで行きます。

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 ときどき現れる駅舎や沿線の民家なんかをこうやってぼーっと見てましたが、そういえばベルリンまで残り2時間、せっかくゆったり席に座れているので、いまのうちにベルリンの街&観光予習でもしておこうじゃないか、というふうに思いまして、カバンからiPad miniを取り出すわけです。
 そもそも今回の旅行では全編ほぼドイツに焦点をあててるわけですから、ドイツの観光旅行ガイドをしっかり持ってきておきたい。とはいえ、例えば「地球の歩き方」だとドイツには「ドイツ全土編」「北ドイツ編」「南ドイツ編」の3種類があり、どれもそこそこのボリュームがあるわけで、なかなか紙では持ち歩きたくない。で、電子書籍ですよ、と。しかも我が勤め先は丸善eBook Libraryのオンライン版「地球の歩き方」を契約しており、リモートアクセスで海外からもオンライン利用できるという利点がありますので、こいつにいまからアクセスしてドイツのガイドブック閲覧を・・・。

 ・・・・・・え、つながらない。

 なんと、ただいま列車で移動中のこの地域、ベルリンまでまだあと2時間弱、場所的には相当の田舎というか自然豊かな土地柄にあたるらしく、電波がつかまらないという。たまに大きめの集落のある町の駅に停まると瞬間的につながるのですが、その駅を出て1分経つか経たないかでもうつながらない。
 そう、ここはケータイ天国日本じゃないんだと。海外の出先でどこでも自由にオンライン接続できると思ってんなよ、と。
 いうわけで、結局この列車内での予習活動はあきらめました。このあとベルリンでネットつながった時に結局Kindleでダウンロード版買った。教訓:どんな電子情報資源もダウンロードしてオフラインでも使える環境が大事。

 とかなんとかぶつくさボヤいてるうちに、車窓がずいぶんと都会めいてきましたという感じになり、やっとのことでベルリン中央駅に到着しました。

 egamidayさん、初ベルリンです。

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 え、ちょっと待て何この近未来駅舎・・・。
 中世のハンザ都市から、一気に未来都市に来てしまった・・・。
 キラキラすぎて、圧に負ける・・・。

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 あまりの駅ビルさ加減からか、上へ行ったり下へ行ったり、右往左往、かなり迷ってしまって、結局トラムのチケットを手に入れて乗り込むまでに20分近くかかってしまった・・・。人として「駅舎に負けた」感を覚えたのは初めてかもしれない・・・。

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 とは言え、庶民的なトラムに腰をおろし、地元の街の人たちにまじって、窓から通りの様子を眺めていますというと、まあちょうどそういう雰囲気の街通りだったからか、都会過ぎず粗雑過ぎず、ほどほどに下町でざっかけないがほどほどにオシャレで見栄えよく、肩こらずに自由でいられそうな、大都会にしてはずいぶん暮らしやすそうな街だぞ、という好印象を抱くわけです。仮に、パリに住むかベルリンに住むかと言われたら、ベルリンだな、ていう。

 というわけで、ミッテ地区というにぎわったあたりの宿に到着。
 なんか、小洒落たデザイナー系でかつカジュアルな感じの宿、とはなんとなく聞いていたのですが。
 部屋の内装が、こう。

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 いや、ちゃうねん(笑)。

posted by egamiday3 at 21:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月13日

「ありし日のままのすがた見せる書庫」@リューベック(201806euドイツ3日目その2)

 (201806euドイツ3日目その1「ハンザという市の女王」 からの続きです。)


 ありし日のままの すがた見せる書庫
 ありし日のままの 寺院もあるの



 さて、この北ドイツの古都・リューベックにやってきましたのには、もうひとつ理由があって。

ドイツ図書館入門―過去と未来への入り口
ドイツ図書館入門―過去と未来への入り口

 ↑ドイツの図書館の歴史と概要が過不足なくいい感じでわかる本があって、ドイツに渡る直前にやっと目を通したところ、あんな町のあんな立派な図書館、こんな町のこんな素敵な図書館などなどが写真と解説文付きでたくさん載せられてて、しまった、こんなん見たら「行きたい土地候補リスト」が激増するじゃないか(注:実際、直前に手が付けられないほど増えた)、ていうような代物なので、ドイツに行く図書館関係の人は必読にしてください。
 で、そんな中になんとなくふんわりと、リューベックの図書館についても紹介されていたわけです。

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「ハンザ都市リューベック図書館(シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州)の複合建築。公共図書館を統合した学術図書館で、中世の建築と19世紀から20世紀にかけての建築が融合されている。かつてのフランシスコ修道院に隣接するネオゴシック様式の閲覧室は、1877年の建築で、中世の建築様式の影響を受けている。」

 ほお、なんかえらく惹きつけること書いてありますね。
 公共と学術が統合されてる?
 中世建築と近代建築が融合されてる?
 閲覧室が修道院に隣接してて、ネオゴシックで、中世の様式?
 そういう建築を近年まで改装して現役で使ってるらしく、白黒ですが↑写真を見ると確かにだいぶ食指が動く装いをしておられるので、そんな閲覧室がある図書館だとおっしゃるのなら、ちょっとのぞいてみないわけにはいかないじゃないですか。

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 というわけで、開館時間10時というのにあわせてやってきたわけです。
 ちなみに、次に乗る予定の列車は11:03なので、駅まで戻ることも考えると、30分くらいののぞき見が限度かなと。

 そんな軽い気持ちでのあれなんで、一旅人としてお忍びで、空気のようにふわっと入って、ベールをかぶってるかのように存在感を消して、何の気なしにさくっと見て、風のように去っていこうかな、という感じでおそるおそる入ってみますと、まあさすがに公共図書館なんで、特に何もどうということはなくするっと入館し、カウンターがあって、よろずレファレンスデスクみたいなんがあって、採光のための吹き抜けと観葉植物があって、あっちが軽読書、あっちが視聴覚資料、みたいなんがチラ見しただけでだいたいわかるという、わりとよくあるタイプの街の図書館。
 館内掲示のフロアマップを見てみると、「公共と学術が統合されてる」というのは伊達じゃなく、2棟くらいのわりと階数ある建物が無理くりながらもがっつり組み合わさっていて、ということはこれ、町の大きさから比べて相当の規模だし相当の蔵書数なんじゃない?という気がする。ただし、やっぱり無理くりですね、どのフロアとどのフロアがどう組み合わさってるのか、どう移動したら何エリアに入るのか、がよくわからない。なんかカジュアルな閲覧フロアをぼんやり歩いてたつもりが、いつのまにか学術書のスチール書庫に迷い込んだりしてる。なんというか、”オープンなダンジョン”という感じがしますね。

 そう、書庫も閉架というわけではなく、扉開けると入って自由に動けるようになってるので、ぶらぶらと歩いて見てます。
 閲覧室や開架スペースとも扉一枚でアクセスできるので、あっち行ったり、こっち行ったり、上へ下へと。

 ・・・・・・ん、あの↑写真の”閲覧室”、ないな。

 天井の高いあのネオゴシック様式の部屋の写真は、たしか”閲覧室”として使われていると書いてあった。どっかにあるんだろう、と思いながら、フロアマップにしたがって、各フロアを端からスキャンするように(注:よそさんの図書館行ったときはよくやる)全部見て回った、ところが、ない。
 あれ、おかしいなあ、なんかヘンだなあ、と思って、列車の時刻もあるし、これ自力では無理だなと思って、よろずレファレンスデスクに主婦読者モデルのような小洒落た女性がいたので、ちょっと教えてもらおうかなと、空気のベールを脱いで声をかけてみたわけです。

 (上記の本の写真を見せながら)「自分は日本から来たライブラリアンで、この本を見て来たんですけど、この閲覧室を見るのってどう行ったらいいんですかね?」

 という、自分の口から発せられるこのぼんやりした質問。
 そして、その小洒落たライブラリアンの見せた一瞬の困った表情。

 その瞬間。
 ・・・あっ、そうか。
 たったいま、気づいた。
 ていうか、このおねえさんがいまから口を開いて、何て言うのか、わかるわ。

 「えーと、ここはオープンなスペースではないんです」

 ん、そりゃそうやん・・・。
 そんな歴史的建造物、クローズに決まってるやん・・・。

 そしてこのときになって、初めて気付くわけです。
 そういえば自分、この図書館のこと、開館日と開館時間以外なにもチェックして来てない・・・。
 うわあー、これまたずいぶんとぼんやりした奴(注:自分)が来たなあ。webサイトのチェックもろくにしてないの、さすがに度が過ぎるだろうと。
 
 おねえさんによれば、決まった日の決まった時間ならガイドツアーがあって、そうじゃない日にもツアーやってることもあるんだけど、みたいなことを言ってて、そっか、じゃあそういうツアー時に配るパンフレットみたいなんだけでもありますか、それならシュッと出そうじゃないですかね、と思って、「パンフレット、ブローシャー、スモールブック」などと伝えてみるんだけど、おねえさん、やはり困ってるというか手こずってて、何やらブラウザであちこち探したり検索したりした挙げ句、「ちょっと、こっち来て」と誘われる。例のオープンな書庫のほうへガンガンと歩を進めるので、申し訳なさげについていくと、ある書架のあたりで立ち止まり何やら本を探し出し、「こういうの?」と一冊のペーパーバックを渡してくれる。んー、これあれだ、この図書館の歴史をマジで書き綴ったちゃんとしたブックだわ、しかも全編ドイツ語の。でも満面の笑みでありがとうを伝える。

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 で、そういえばさっき「決まった時間にガイドツアー」と言ってたな、と思い、去り際のあきらめついでに「そのツアーは今日あるんですか? 待ってたら参加できます?」と尋ねてみたわけです。
 するとおねえさん、またも軽く逡巡した表情の末、
 「もし暇な人が見つかれば今から案内するから、ちょっとまってて」
 ・・・え、いや、ちがうんですちがうんです、あのそこまでのご迷惑をかけるつもりでは、とうろたえるegamidayさんをよそに、いや、ほんとにもしいたらのことなんで、とすたすた去っていく主婦読者モデルの背中を見送る、その、限りなくありがたく、かつ限りなく時間が気になる(注:発車まで約40分)その時の気持ちたるや。

 数分後。
 お菓子の家でパン作ってくれてる感をただよわせる、別のベテラン女性ライブラリアンが登場。どうぞ、案内しますから、とにこやかにいざなわれる。
 もう申し訳ないやらありがたいやらで、こうなったらあれですね、存分に楽しんでる反応を見せるのが一番のつぐない、とばかりにいそいそとついて行きますと、鍵を持ってあちこちを開けてくださって、特別閉架スペース的なところの建物と見所をまわってくださり、ひとしきり堪能させてくださった、という「珍客即席ツアー」の一幕だったのでした。

 以下ツアーのあれこれですが、私のつたない英語リスニングと、ドイツ語webサイトやwikipediaのGoogle翻訳版との、奇妙な複合体くらいに眉唾で。

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 ↑背の高いネオゴシック様式の部屋。こちらはどうやら19世紀に増築された部分らしいので、最初の近代エリア。1990年代に思い切って改装して使いやすくはしてある、という感じかな。でも天井高くてあの屋根だと、見栄えは一番するよなあ。配架してあるのは1500年代だか1600年代だかそこらの蔵書。

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 ↑この、いまはイベントごとでレクチャールームに使っている部屋が、かつて(14世紀頃からか)は修道士のドミトリーだったところ。ここがドミトリーで、この向こうに寺院があって、起きてすぐ礼拝に行けたんだよね、あはは、みたいに説明してはった。ほんとかな。
 で、そこが1600年代初期ころに図書館になったのが、リューベックの図書館の起源であると。

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 この場所を2000年頃にリノベーションしたところ、床下から当時のタイル↑が見つかったので、こんなふうにディスプレイしてある。あれは当時の犬さんか猫さんの足跡かな?

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 そして書架の下の部分が飾り彫りみたいになってたんだよ、っていうのもこうやってディスプレイしてはる。ライト付きで。なかなかに、ちゃんと凝ってる感がある。
 まさに、ありし日のままの姿を見せる書庫、です。

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 ダメだ、わからない(ごめんなさい)。それぞれ別の時代の、ということはわかった。

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 奥まで行くと、ほらね、教会(Katharinenkirche)があったでしょ、と。ほんとに寺院に隣接してた。この教会は同じブロック内でもだいぶ向こう側の道路に面してるやつなので、ブロック内をがっつりダイナミックにつないでる感じで建物がつながってるっぽい。
 そしてつながった教会の中を、ツアー客が望めるようにちゃんと設計してくれてるという、この図書館の文化財活用姿勢が学ばされる。

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 この先は20世紀初頭に作られた閲覧室で、いまも現役使用中なので写真は撮りませんでしたが、壁がちゃんとフレスコだった。Katharineumというラテンスクールにも隣接してて、その閲覧室もある、みたいな説明がされてたと思うんで、要はこの辺り一帯で教会・学校・図書館が融合してるという、下鴨半木町を思い出させるブロックなんだな、という感じですね。

 以上、結果的に無理言ってお願いするかたちになった、堪能ツアーでした。
 ベテラン司書さんに深々とお礼を言って(そりゃ言わざるを得ない)、そして館を出て、時計を見る。

 次に乗る予定の列車まで、およそ15分。
 Googleマップが指す道のりは、1.6km。

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 さあegamiday選手、スタートから猛ダッシュだ。
 走る、走る。とにかく走る。
 次の目的地はベルリンだ、ベルリンティウスだ、走れ、走るのだ。
 しかし無情にも、あっというまに息が上がる。そして足は上がらない。
 日本じゃないからタクシーなんて都合良くつかまらない。
 セントマリア教会も、昼食を目論んでたマルクト広場の市場も、女王の門も、色鮮やかな果物屋もお土産品の並ぶツーリストインフォメーションも、脇目もふらず走る。
 身体中に乳酸がこびりついて、足も手も呼吸器すらももはや動かない、こんなに走ったのは何十年ぶりでしょうか、egamiday選手、40代、京都府在住。

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 ・・・間に合った(倒)。
 当然のことながら、汗だくだくです。

 すこしも寒くないわ。


posted by egamiday3 at 23:38| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする