注:本記事はまる14時間分、ほぼ鉄道の話しか無いです。 ただいま4月29日の夜、デンマーク・コペンハーゲン中央駅。
コペンハーゲンから夜行列車で明朝にハンブルク着。さらにそこからドイツをぐっと南下した上に国境を越えて、フランス・ストラスブールまで大胆に移動しよう、という目論見です。
【egamidayさん、座席夜行でハンブルクへ向かう】 まずは夜行列車でドイツ・ハンブルクへ向かいます。
■22:12 コペンハーゲン中央駅発 →(IC51089/IC430)→ 4/30 05:40 ハンブルク中央駅着


しかもご覧ください。座席です。
あすこがあたしの寝床でございます。
座席の夜行、ずいぶん久しぶりな気がする。まだ若い頃は連日連夜あたりまえのように座って眠ってたけどな・・・。
今宵の寝床には「IC51089/IC430」という番号がついているので、いわゆる「インターシティ」と呼ばれる便になるのかな。長距離で国際間を走る夜行ではあっても、寝台がついてるわけでも高速鉄道というわけでもなく、ふつーの在来線っぽい感じでローカルな駅にも深夜に結構停まったりする。webサイトで調べたお値段も、2等の最低料金なら30ユーロ程度とだいぶお安く、座席も8割方は埋まってる感じだったので、なるほど両国市民にとっての手頃な移動手段なのかな、という感じです。

ただ鬱陶しいことに、日本からドイツ鉄道のwebサイトで予約しようとすると、ユーレイルパスホルダー割引が効きそうで効かない。効いてくれそうなフリして、途中で拒否られる。これは悔しいんですが、この便って、北欧からヨーロッパ本土に渡るための必須ルートにあたってしまうので、乗り損ねると柔軟なルート変更が難しいのです。まあしょうがないか、元からお安めだし、と、早めに正規料金で予約確保した、という旅行事務的経緯があります。

しかし実際に乗ってみたら、「DSB」って書いてあるということは、これドイツ鉄道じゃなくてデンマーク鉄道の車輌やな。そうか、デンマーク鉄道のwebサイトで予約試してみたら良かったな…しまった…。
と言ってる間に。
ほぼオンタイムで列車がコペンハーゲン中央駅を発ちます。
さようならデンマーク。ありがとうコペンハーゲン。
たった3時間の滞在で得られたのは、最高の豚肉との出会いでした。
2等車輌がほぼ満席なのに対し、乗ってる1等車輌はぽつぽつとしか人がおらず、向かいあう4席シートをぜいたくに貸切状態、これでゆったりできますなあ。
…と思いきや、奥の方で若いのがずっとへらへら電話してて、2-3時間程度の仮眠しかとれませんでした。鬱陶しいやつめ。しかもカフェコーナーに置いてあるクッキーほとんど一人で全部食べやがって、最終的にラクリス(註:薬草を煮詰めてグミにしたような苦くて黒い”菓子”)しか残ってへんやないか。

しかたないので、買い込んできたノンアルコールビールを飲みながら旅行事務をこなしてます。
課題は翌日昼のフランスです、どの便でどう乗り継いで、最終的にどこで泊まることにするのか。

こうやって、
手製の時刻表をノートに書き出し、この街で何時まで遊ぶなら乗り換えはこうだな、この駅でこう乗り換えるならここには何時まで滞在できるな、などと、複数プランを選び出しておくという。
そんなことをしているうちにも、列車は真夜中のデンマークを走り抜けていきます。
コペンハーゲンからオーデンセを経て、ユトランド半島に上陸する。その時点でもう午前2時近いのですが、それでもFredericiaという駅なんかで乗客が何人も降りたり、さらに新たに乗ってきたりするので、ずいぶんと受容のある深夜便なんだなあって思います。眠ってる間に、朝一でドイツに着ける、って感じかしら。
その後もユトランド半島を駆け抜けるわけですが、深夜の車窓風景、
灯りらしい灯りがまったくありません、まっくらです。だからろくに写真も撮ってない。相当な田舎の牧草田園地帯かなんかなんでしょうか、そうはいっても道路の街灯なりなんなり見えてもよさそうなものですが。ムーンライト九州の山陽本線沿線って、全編通して相当都会だったんだなってちょっと思いますね。
そのうち、デンマーク鉄道の車内wifiがつながらなくなり、またiPhoneにドコモからのお知らせメールが届くなどして、あ、ドイツに入国したんだなと驚かれぬる感じです。
えらくしたもんで、ドイツに入国した途端、窓の外に道路灯の灯りがやたら増えて車窓風景が明るくなりましたね。山陽本線くらいにはなった。
よく、昔のヨーロッパ旅行とちがって国境越えがなくなって味気ないよね、みたいな感想を見聞きするんですけど、いやいやそんなことない、
灯りとかネット環境とか道路の造りとか、よく見るとわりといろんなところが急に変わったりしてるのを発見するの、まあまあおもしろいもんですよ。
そんなこんなを経て、朝が来て(結局ほぼ起きてた)。


4月30日(4日目)午前5時40分、これもほぼオンタイムで。
4ヶ国目、ドイツ・ハンブルクに到着しました。


我が輩は帰ってきた。ここ、ハンブルクに。
どこか見慣れた光景、なぜか見知った駅舎。
…去年の6月以来。(参照:
http://egamiday3.seesaa.net/article/460820050.html)
いや、ちがうんですよ。あたし別にハンブルクに縁もゆかりも、それどころかさしたる思い入れもお気に入りもまったくないんですけど、まさかあれから1年も経たないうちに再訪することになるなんて、思ってもいなかったわけですよ…。
えらくしたもんで、この段になるとハンブルク駅舎にすっかり愛着が…。
というわけで、ドイツ旅情はついこないだまでさんざんやってた(参照:
http://egamiday3.seesaa.net/article/465127478.html)ので、とりあえずさっくり飛ばして、このままさっそく5ヶ国目、フランス・ストラスブールに向かおうと存じます。
【egamidayさん、さらに列車を乗り継いでストラスブールへ向かう】
さていよいよ、
ここから本格的にユーレイルパスが効力を発揮する、という感じになります。
車内旅行事務の結果、目論んだルートがこんな感じ。
■06:18 ハンブルク発 →(ICE71)→ 11:08 カールスルーエ着
■11:32 カールスルーエ発 →(ICE9574)→ 12:13 ストラスブール着
ハンブルクを出た列車が、ハノーバー、ゲッティンゲン、フランクフルト、マンハイムを経て、フランス国境にほど近いカールスルーエに到着する。そのカールスルーエでパリ行きの列車に乗り換えると、さくっと国境越えしてストラスブールに連れてってくれる。という算段です。
「さらに6時間も乗るのか」と思いました? あたしは「昼にはストラスブール着けるの楽勝」と思う派でした。

ここで旅行事務です。
1本目のカールスルーエ行きは、さすが鉄道大国のドイツだけあって予約不要パスのみで自由に乗れるんですが、2本目のパリ行きICE、これが実はフランス鉄道のTGV扱いらしく、パスに加えて予約券が必要だとおっしゃる。そこでハンブルク駅の券売機をがんばって操作してみたんですが、いっこうに買える様子がない。じゃあチケットオフィスに頼ろうかというと、朝もまだ早いもんですから、6時にならないと開かないという。
次の列車は6:18発、オフィスが6時オープン、時計を見ながらジリジリとカウンターが開くのを待ってるわけですな。ガラス張りのオフィスですから、制服姿のおばさんがのっそりのっそり席についたりつかなかったりしてるのを、じっとにらみつつ、あと2分、あと1分、…よし、開いた!ってんでスタスタとカウンターに寄ってって。
『ICE9574 11:32 Karlsruhe→12:13 Strasbourg
ONLY Reservation, with EURAIL PASS』
出た、
必殺・「あらかじめ書いたメモを見せる」の術。
”ユーレイルパスを持っている人用の、予約だけのチケットがほしい”という意思を確実に伝えるための、一子相伝の奥義であります。(注:もちろん、ある程度口頭でちゃんと言う)
しかもさすが鉄道大国(しつこい)ドイツのおばさん、ぽちぽちと端末をいじって、ちゃんとチケット出してくれました。ものの数分です、誰も並んでない朝一でよかった。
そして予約料は20ユーロ。ちなみに正規運賃は2等なら30ユーロ…、うーん、ほんとに予約必要だったんだろうか…、まあ大人だからちゃんと出すけど。


というわけで、次は↑この列車でカールスルーエまで。
11時過ぎまでまったりしてます。

さようならハンブルク。
短い間だったけど(38分)懐かしかったし、旅行事務がはかどったよ。
またいつか、あの美味いピルスナー(参照:
http://egamiday3.seesaa.net/article/460666675.html)を飲みに来れるといいな。

↑駅売りのパンですが、まずパン生地がクロワッサン的な重ねのやつで、しっとりとしてすごく食べやすいのに加え、バター感がぜんぜんくどくない。生地の焼き目とゴマが香ばしくて、かつ、具のチーズとキュウリが朝の胃にやさしくてありがたい。さすがパン王国・ドイツ。ドイツはパンです。

ドイツの車窓、初めの頃こそ↑平べったい田園風景でしたが。


ゲッティンゲンを過ぎたあたりから山が多く高低差がある風景になって、トンネルにもしょっちゅう入るようになります。それがドイツ中部の土地並みってことなんでしょうか。
そしてさすがに緑の豊かさ豊潤さが、申し訳ないけどスウェーデンやヘルシンキあたりとはだいぶちがいますね。春が青い、って感じがする。高速道路や物流トラックセンターみたいなのの向こうに、古寂びた古城っぽい建造物が見えたりする。

↑菜の花畑もあちこちにあります。
そうこうしているうちに、あれ、そろそろフランクフルトかな、っと思ってると、車窓風景がだんだん都会化していくのがおもしろいですね。最初、教会と村集落、昔ながらの様式と色合いの民家だったのが、その数が増えて途切れ目がなくなり、建物の階数が増えていく。コンクリ建造物が混ざるようになり、車道が整備された町並みになる。集合住宅や商業的建物が出現してくると、ただのフェンスのような無機質な建造物も珍しくなくなり、やがて工場、高層ビル。そして”アム・マイン”の名の通り、↓川を渡って。


↑フランクフルト駅に到着です。
なお、車窓風景の変化は、最終的に東横イン・フランクフルト店の出現でシメでした。



なんだかんだで、これもほぼオンタイムでカールスルーエ駅着。
パリへ行こうとする人たちでまあまあにぎわってるという感じです。

そして↑これが次の列車。TGV9574でありかつICE9574のコードシェア便で、車両はDBさんですね。これは確かシュツットガルト始発で、最終パリまで行く便です。
こいつが40分くらいで、国境越え&ストラスブールまで連れてってくれます。


↑リアルタイムでGoogleマップを見てますと、どうやら、カールスルーエからバーデンバーデンあたりを経由して、オッフェンブルクの手前で折れて、フランスに入る、という感じのようです。
そして。

↑ライン川です。
いままさに、ライン川を越えてドイツを去ろうとしています。
さようならドイツ、ありがとうドイツ。
ほんとは離れたくない、大好きよ(ビール的な意味で)。

↑ライン川を越えました。ただいま2019年4月30日、現地時間で正午過ぎ、フランス入国であります。
風景に特に変わった様子はありません、それは平成から令和への移行が何も変わりようがないのと同じであります。
で、そのまますぐに。


5ヶ国目、フランス・ストラスブールに到着したのでした。
コペンハーゲンから14時間ほど、まるっきり列車に乗り通しだったわけですが、なんというか、さほどの疲れも倦怠感も特にないです、さくっと乗ってきちゃったなっていう感じ。