
4月30日、正午過ぎ。
5ヶ国目、フランス・ストラスブールに到着しました。
↑ストラスブール中央駅の駅舎です。
昔ながらの古い石造り駅舎を、近未来的なガラスのドームですっぽり覆うという、なかなか大胆な資料保存策をとったなと。
ここで何時間すごすことになるかはわかりませんが、とりあえず旧市街へ向かおうとしています。
ストラスブールはかねてより一度来てみたかった街でしたが、さて、どういう街なのかしら。
【ははあん、ストラスブールってこういうことかあ。】
ストラスブールとは。
フランス北東部のアルザス地方、ほんとに端の端、ドイツとの国境であるライン川そばに位置する街・ストラスブールは、ライン川あり独仏国境ありヨーロッパの真ん中らへんという土地柄ありで、いわゆる交通の要衝・十字路的な立ち位置であったし、ラテンとゲルマンの融合する文化地でもあったし、また、フランスとドイツが互いに国盗り合戦しあってた場所でもあります。そう、アルザス地方といえば、「フランス、アルザス!」、すなわち『最後の授業』だし、そしてあの舞台であるアルザス地方はいやもともとドイツだったんだよとか、その後も取ったり取られたりしてたんだよとかいう経緯を踏まえつつ、ん、でもじゃあいまはフランスの領土なんだね、と。でも文化由来的にはドイツであり、ていうか言語的にもドイツらしい。
よくよく街の名前を見てみれば、ストラス=シュトラーセ、すなわちドイツ語で街道であり、街道の街、交通の要衝。ドイツからパリへ行く列車の玄関口でもあり、フランスからドイツへ向かう列車もここを通り、あるいはスイスや東欧へも向かったりする、と。そしてその街には、フランスでありながらドイツ文化が根付き、12世紀からの荘厳な大聖堂は世界遺産であり、中世の姿をいまにのこすという謳い文句の町並みもまた世界遺産であるという。
ていうか要素多いな、いったいどういうキャラの街なのか。
百聞は一見にしかずで、とりあえず徒歩でやってきました。
ははあん、ストラスブールってこういうことかあ。(納得)
美しい水辺と中州、張りめぐらされた水路。
紛うことなきドイツ風な木組み民家を、ガチなのか観光向けなのかはわかんないけどこれ見よがしに見せつけてくる、町並み。
その町並みと風景をとっぷり堪能している、たっぷりの観光客の群れ。
了解です、そういうキャラの街ね。だったらそういうノリで楽しんじゃえばいいんだ。
というわけで、ストラスブール・ふれあい街歩きの巻、です。
我が輩の極私的法則である、「水のある町は良い町」説が着々と証明されていっております。
そもそもストラスブールの旧市街(グランド・イル、世界遺産)そのものが、イル川(ライン川の支流)に囲まれた丸くてでっかい中州のようなところにあります。そしてさらにいまあたしがいるこの界隈には水路・水門・橋の類がぐじゃっとたくさんあって、水運に長じた土地柄であったり、「プチ・フランス」などという可愛いらしい名前がついていたり、見た目的に小ヴェネツィアかのようでもあり、それでいてその由来は天然痘の病院があったんだとかいう歴史もあり、なかなか味わい深い。
↑このあたりなんかたぶんあれでしょう、水門で水の高さを操作して船が州を上へ行くというパターンのやつ。
↑この水路に架かる橋は回転式で、船が通るときはぷいって避ける。写真は、橋が元にもどってこれから歩行者が渡ろうとするところ。
えー、どうしよう、ここ泊まりに来るべきキャラの街じゃないですか。
ちょっと本気で日程変更して、泊まったろうかなあ。
そして↑これが、ストラスブール名物・「グーテンベルクとメリーゴーラウンドのある広場」らしいです。
グーテンベルク師匠、あなたこんなところに建ってはったんですね。活版印刷キャラを開花させる前のグーテンベルク師匠はわりと長いことストラスブール(当時ドイツ)で下積みしてはったわけです。
ていうか、印刷キャラもある町なのか・・・多彩・・・。
【egamidayさん、ラスボス・大聖堂に詣でる】
そして。
突如現れる、ストラスブール名物のラスボス、↓大聖堂です。
離れたところから全体像をおさめようとすると、どうしても↑こういう「少し開いた障子の向こうから顔を出す巨大物体」風になります。
しかし近づくと、残念ながら聖堂前広場がせますぎるのと聖堂自体が高すぎるのとで、↑こんな半端な写真しか撮れない。
あれですね、大聖堂と呼ばれ類される建物を欧米のあちこちでいくつも拝見しますけど、どういう印象を抱くかは、大聖堂そのものの造りよりも、むしろ周囲の建物・街並みがどういう状態であるかにずいぶんと左右される感じですね。
それでもまあ、↑これでもかというくらいのびっしり刻み込んだゴシック系のやつは、そばに立ってぼーっと見てるだけでいくらでも白いご飯食べられるなという気がしますね。
内部にお邪魔します。
やばい、見所が多すぎるのと人が多すぎるのとで、見ててそわそわする。
↑これが名物の「天文時計」だそうで、これそのものは19世紀の作ですが、そもそも大聖堂内には中世からこの手の時計があったんだよ、ということらしい。毎日決まった時間には機械仕掛けの人形たちがなんやかんやと動いて、それを観光客がやんややんやと見物する、というパターンのやつ。
↑これは大聖堂ではないんですが、その周囲にもなんだか大聖堂ボスと張りあってるかのようなびっしり刻み込み系の建物(おそらく宿の類)があったりして、これはストラスブール、要素多いですよ、どこからどう見ていったらいいか迷う。
というような、いかにもな観光を短時間なりに楽しんで、しっかりノックアウトされてましたという。
ほかにも、よさげな博物館があったり、EU系の機関が集まってたりという感じなので、ほんとはもっとちゃんと楽しみたい。
というようなところで、さすがに14時をまわると昼食もいただきたいというわけで。
【アルザス風ピザは国境を越える】
何で見つけたんだかももう忘れましたが、ちょっと路地を入ったあたりにある↑「Binchstub」という店。小洒落たカフェバーっぽい感じで、これもまたのんびり滞在するのに吉そうな内装でした。
ここでいただこうと目論んできたのが、アルザス地方のローカルフードとして予習してた「タルト・フランベ」なる料理です。
焼き上がってきたのが、↓こちら。
タルト・フランベ。
超極薄ピザ生地に、クリームチーズ、スライスしたタマネギ、ベーコンといったものをのせて、ピザ焼き釜で焼くというやつ。
まず、生地がパリッパリの手作りのやつで、極薄だからこんなにでかくてもぺろっと食べてしまえる。ペロリアンです。ベーコンの身がきゅっと引き締まっててまた良い、さすが、いいかげんなベーコン使ってない。焼かれたクリームチーズから出る油脂分の絶対に美味いやつが、タマネギに浸るわけだから絶対に美味い。そう、タマネギか、こうなるとタマネギはもっと厚めのがたっぷりのってても良かったかな、まあそれは好みでしょう。
そう、好みでいくらでもアレンジしがいのありそうな構造の料理なわけで、この店のメニューを見るだけでも何種類もリストされてる。今回食べたのはトラディショナルですが、チーズの種類もいろいろ使われているっぽいし、下の方を見るとバナナだのチョコレートだの不穏な単語も見えるので、楽しみがいはあるかなという感じですね。
ちなみに、フランス語で「Tartes Flambees」というこの料理は、アルザス地元の言葉で「Flammekueche」と呼ばれるらしいです。うん、ドイツ語風ですね。料理に国境はないね。