【egamidayさん、リヨンを出てアルプスを越える】
5日目・5月1日(水)、午前8時。
リヨン駅。
これから出発、というタイミングですが、なぜかもうヘトヘトです。
リヨンで有名なパン屋さんなるものをネットで見つけて、せっかくだから朝食はそこで調達しようと目論んだわけですが、重い荷物(註:5日目なりに増えてきてる)を担いで、歩きづらい通りを、10分ほど右往左往しながらようやくたどり着いてみると↓、見事に閉まってました。
5月1日、これが国際的に重要な「労働者の日」のスタートです。
さすがに駅のスタンド的な店は営業してくれてるので、適当にパンを調達。
それからのどが渇いてしょうがなかったので、エスプレッソじゃなくドリップコーヒーが欲しいなと思うじゃないですか。駅のコーヒースタンドでドリップコーヒーはあるかと英語で問うと、どうもあたしが何を所望しているかがさっぱりわからない様子で、英語がわかる別の店員が召喚され、ドリップコーヒーはうちの店にはないんですが、出たところにスターバックスあるからそこで買えるよ、と、まさかの案内をされてしまうという。さすが、フランスのエスプレッソ文化は堂に入ってるなと感服しましたね、フランスでドリップコーヒー飲むにはスタバ行くしかないらしいですよ。なぜか嬉しくなったので、そのままその店でエスプレッソもらっちゃいましたよね、っていう。
エスプレッソが大動脈から毛細血管へ染み渡る…。
それはさておき。
本日の予定です。

■08:31 リヨン発 → 12:23 トリノ・Porta Susa駅着
■13:30 トリノ・Porta Nuova駅発 → 15:30 ジェノヴァ着
これも一応”アルプス越え”になるルートらしいのですが、7時間ほどの行程でイタリア北西部・ジェノバに向かいます。
今日はラクしたいし、せっかくのイタリアなので、3時台で宿インの予定。
↑待合エリアで待ってますが、イスがいちいちオシャレで、これだと多少待たされても座ってていいかなって思えるので、公共物のデザイン性は大事だなって思いますね。
5分ほど遅れて発車です。
そう、よく考えたらこの列車は”パリーミラノ便”などという字面だけでオシャレ感が沸き立ってくるような便になるわけで、かなり人気のためかほぼ満席の様子です。それでよくユーレイルパス用予約券なんか買えたなあと、リヨン駅SNCFのチケットオフィスの方に感謝してます。
いったん旧市街近くの駅まで行ってからの、出発です。
さようならフランス。また会おうストラスブール。
ちゃんと予習してからまた来ます、リヨン。
しばらくは平原でしたが、1時間も経つと山に入ります。
あっという間に車窓が山キャラに変貌したなあ、という感じです。
とはいえ、ど高い山をガシガシと力任せに登って越えようという感じではなく、さっきから東西南北を右往左往うねうねしてて、走れるすき間を巧みに選んで走ってるというような印象。
シャンベリー駅の手前で、↑湖の脇を通ります。
山また山、ではありますが、秘境という感じはありません、民家やブドウ畑やローカル駅やが線路沿いにぽつぽつと続いてるという感じ。
また、アルプスでもあるはずですが、「アルプス」ときいて想い描きがちな岩や雪や厳格さ標高高さがあるわけではなく、どこかおだやかでやわらげでカジュアルで、例えるならば「アルプスのお勝手口」みたいなエリアなのかな?という感じです。
さて、時間的にも位置的にもイタリア国境が近づいてきた頃ですが、腕章つけた若者たちが車両に乗り込んできて、乗客ひとりひとりに声かけたり、荷物についてどうやこうやと尋ねたり…、あ、なるほど、一応国境越え前に軽めの”入国審査”イベントをちゃんとやるんだね、と。にしては、腕章以外はそのへんの大学生バイト然としたカジュアルな私服なので、ほんとかな?とちょっと戸惑うほど。
ちなみにですが。車窓風景をiPhoneにおさめるために、デッキに出て窓からパシャパシャ写真撮ったりしてたんですが、なぜかデッキに折りたたみシートが備え付けられてあって、ラッキーに思って座ってのんびりしてたら、その腕章スタッフらしき人が「ごめんね、そこ私らのシートなんで、自分の席に戻ってね」とおっしゃる。なるほど、専用シートを備え付けてあるくらいには、ちゃんとした仕事なんだねと。しかも、たぶん車両数からいっても結構な人数いるんじゃないかな。
Modane駅を過ぎると、この先でイタリアに入ります。
交替した車掌、英語のイタリア訛りが耳に心地よいです。
ドイツも好きなんですが、イタリアも好きなんだなあ。
で、お、こんなに長いか、と思うような国境の長いトンネルを脱けると。
Bardonecchia駅。イタリア側の駅に着きました。
この時点で当便は30分ほど遅れており、アナウンスで「フィレンツェ行く人は、ミラノじゃなくてトリノで乗り換えたらいいよ」みたいなことを言うてはる感じ。
と言いつつも、わりと急速に高度を下げてきて。
12時半過ぎ、まあ言うほどの遅れもなく、6ヶ国目イタリア・トリノに到着しました。
さて、駅のホームでぱしゃぱしゃ写真を撮ってるところで、なんとなあく気配を感じるなあ、と思ってたら。
↑窓の向こう、車内の食堂車クルーがノリノリなの、お分かりいただけるだろうか。
あの人らまちがいなく、イタリア側のスタッフだな(笑)。
【egamidayさん、ジェノバに到着する】
トリノはただいま21度。
さて、トリノには駅が2つあるとかで、いまリヨンから着いたのは「Porta Susa」駅。次のジェノヴァ行きが出るのは「Porta Nuova」駅で、距離1.5km、20分くらいか。
まあ街の様子も軽く見てみたいし、歩きでいいかなあ、なんつって。
・・・・・・
(15分後)

…逆方向に歩いてた。
やってもうた…。
しかもめっちゃ暑い、こんな中もう歩くのイヤや…。
しかたがないので、トラムのストップを見つけて待つことに。
次乗るはずの便まで、わりとギリギリですが…。
地元のカップルや子連れお母さんらに混じって、ジリジリしながら(時間的にも暑さ的にも)待ってると。

これでNuova駅に向かいます。
Googleマップさんが「1.70euro」だと書いてくれてたのと、乗り合わせた地元の娘さんが「あの箱で切符買うんですよ」と教えてくれたのとで、焦りと不慣れな中においてもスムーズにトラムに乗ることができました。
こんなふうに、いろんな人たちのおかげのたまもので、旅をしています。ありがとう!


というわけで、特にトリノのトリノらしいところも撮りあえず。
13:30、ジェノヴァ行きの発車です。
2時間程度らしいですが、めっちゃ車両がたくさん連なってて、しかもめっちゃ空いてるという。回送兼用かな?
しかも存外なスピードでガシガシとばし、わりと古めの車体をミシミシ言わせながら、ほかのローカル線車両をぐいぐいと追い抜いていく、イタリア鉄道。「TGVかなって思うくらい早い」ってツイートしてる、どんなんだろう。
しばらく平原が続いたあと。
列車は山を越えるような素振りを見せ。

すっきりと晴れた空の下に、好きなタイプのイタリアの風景が広がって。



ほぼオンタイムで、ジェノヴァ駅に到着したのでした。
まだ午後4時にもなってない。まあ、7時間程度ならなんてことはなかったです。
今日はここでのんびりします。