2020年02月28日
第4章「物語の向こう側にある課題と展望」(まとめ) - 『君に届け 〜 OCLCと日文研をつないだ目録・ILLの物語』
導入経緯、目録、ILLの全体を通して、どういう効果があったか、それにはどういう意味があるか、そこにはまだ何が解決すべき問題として残ってるか。この事業がのこしてくれた効果と課題と展望のエトセトラでまとめるという感じです。
・OCLC WorldCatに30万件の所蔵情報と、17万件の新規書誌情報を提供できた、しかも多くが日本語資料の、というのはひとつの国際的貢献であったと言えると思います。とはいえ、自主自律的なメンテナンスができるわけではないというのは、長期的に見てノンビリしてもいられないところです。あとはデジタルアーカイブ的なののメタデータとそこからのリンクをどう実現するか、ということですが、これについてはむしろ「ジャパンサーチの成長と活躍を支えて待つ」という解のほうが最適だろうなと思ってます。
・そうやって提供できた書誌・所蔵を、世界にひろがる多種多様なエンドユーザがWorldCatで検索してくれるし、でっかいプラットフォーム上で機械的にも活用してくださることが期待されます。この効果はWorldShareILL上での依頼件数に限った話ではなく、日常的ないろんなところにあらわれてきてます。日々の問い合わせメールや閲覧依頼が、海外から、図書館からとなく研究者・学生個人からとなく来るようになり。とはいっても件数こそそこまで目を見張るほど増えたわけでもないのですが、いままで来たことなかった国・地域から、それこそ個人ベースで直に連絡来たりすると、単館OPACやCiNii Booksなどではこれまでとどかなかったようなところへも、ある程度はリーチできてるんだな、と思います。なので、あとはこのWorldShare ILLの枠組み以外でのアクションを、ソフト的にどう受けとっていくか、しかもひとつひとつ丁寧に、あたりが一番の肝だよなと思います。どこまでできるかわかりませんが。
・年間で500件来るリクエストを見てると、海外ユーザのニーズが実際はどんなものか、というのがいままでと違ったかたちで理解できて、これはありがたかったです。ユーザとそのニーズが幅広い国・地域に存在することはもとより、中国語や韓国語等の外国語資料であっても日本までリクエストが届くこと(特にうちとこにしか所蔵登録がない資料についてはなおさら)、日本研究じゃない資料でも日本語資料が求められることがあること、ていうか人文系分野以外の社会科学系・自然科学系の資料にもニーズがあること。うん、と言うことはやっぱり、うちとこだけがこれやっても賄いきれないということなんですよね。ほんとにあちこちの大学さんがもっと多種多彩な言語・分野の資料を登録してWorldShare ILLに参加してくれたら、もっともっと世界に貢献できるはずなんです、マジで。
・年代の古い資料へのニーズもたくさんある、ということについて言えば、国立国会図書館の図書館送信サービスでなら閲覧できるはずの資料にも、貸出や複写のリクエストが結構来る、という問題があります。うん、つまり、その海外対応がどれだけ求められてるか、っていう話なんですが。
・目録の章でも申したように、フィードバック的な感じでうちとこのOPACにも、タイトルのローマ字と該当するOCLC番号が入ったです。ローマ字ももちろん大助かりなんですが、OCLC番号でうちとことWorldCatが紐付けされた、っていうのが今後じわじわとでも確実に効いてくると思います。WorldCatのヒットからリンクでこっちまで飛んでこれる、ってだけでもわりとお得なんですが、よそのシステムと連携の可能性があること、しかも国際的に、っていうのは、今後なんかあったときにひょいっと身軽になったりするんじゃないかな、って期待してます。
・当面の問題点といえばやはり、謝絶の割合の多さということになり、これは先述の通り「先方都合」がヘビーだし、システム上でも解決は難しそうです。いまは、むしろこれをちょっとしたレファレンス対応のチャンスと捉えてもいいんじゃないか、って思い始めてます。これだったらwebのここにデジタルで載ってるよー、とか、これは改版されたこっちの図書と同じやつだよー、とかをコメントで返してみたり。それをエンドユーザが見たりライブラリアンやILLスタッフが見たりといろいろでしょうけど、手間を逆手にとったアピールができればいいかな、っていう。
・で、なんだかんだ言って結局一番の課題は、これと同じようなことをよそさんにたくさんやってほしい、これに尽きます。本事業によって、OCLC側にしてみれば「数十万件レベルのCATP形式データを登録する」という、ある意味実験的な事業に成功したわけであって、よそさんがこれを踏み台にしない手はない、踏んでってほしい。そういうふうに切に願ってます。
このほかにも、十何万円という毎年のWorldShare ILL参加料を賄うのにどういうふうなマネタイズ的なあれをしていくべきなのか、とか、国内他館へのILL/DDS代行という後ろ宙返り的なことができないか、とか、いろいろあれですが。
とりあえずは「夢物語」が「実現」に昇華した、というところでハッピーエンドを迎えられたんじゃないかな、と思ってます。
早稲田や奈文研・東文研などの勇気をくれたセンパイたち。
気がつけばいつもそばで親身に提案や助言をくれたOCLCや紀伊國屋のセンパイたち。
時に厳しくそして惜しみなくフィードバックをくれた海外の研究者・ライブラリアンのみなさん。
この事業の意義と効果を理解して調整・実務・広報に協力してくださったうちとこのみなさん。
構想段階から実施後の現在まで、いろんな立場の、いろんな国の人たちが、いろんなサポートでもってたくさん汗かいたり脳しぼったりしてくれたおかげで、ここまでやってきたわけですから。ハッピーエンドにしなきゃ申し訳ないじゃないですかね。
但し。
本当にこの調子での対応で大丈夫か? ちゃんとニーズを満たせているのか? という疑念もやはり常にあるにはあって、自己反省&改善の余地を保つという意味でも、今後も海外ユーザなりライブラリアンからのフィードバックを注意深く読み取り分析していかなきゃな、という感じです。
物語はハッピーエンドであっても、日常は現実として続いていくわけなので。
というわけで引き続きよろしくお願いいたします。
2020年02月27日
第3章「君は君のままで、USドルはUSドルのままで」(ILL) - 『君に届け 〜 OCLCと日文研をつないだ目録・ILLの物語』
●君は君のままで、USドルはUSドルのままで
ILL。
相互貸借、文献複写、ドキュメントデリバリー、云々をひっくるめての、ILL。
そもそも目録登録の長い長い旅路は、すべてこの海外ILL受付を実施するための大切なレッスンでした。
というわけでWorldCatへの目録登録にあわせて、OCLCのILLサービス・WorldShare ILLにも参加しました。
WorldShare ILLは、56ヶ国1万館以上が参加し、年間700万件のリクエストが飛び交うという、世界最大のILLプラットフォームなわけで、この大舞台に参加すればたくさんの人から見つかりやすくなり、リクエストも受け取りやすくなる、という見込みです。
規模が大きいだけでなく、提供されているwebブラウザベースのシステムがかなり使いやすい。テスト段階でごにょごにょ触らせてもらったのですが、なんだこの使いやすさは、とても初めてとは思えない、と思いました。なんというか、もちろんNACSIS-ILLもそのクライアントである某社-Jも便利さはあるわけなんですけど、WorldShareさんのはめっちゃシンプルで、あれですね、こっちが細かいことを気にさえしなければサクサク使えてポイっと終わる、という感じです。かゆいところに手が届く感はないけど、手を届かせるための手間が省ける、というか。あと、うちとこのOPACへもOCLC番号で直リンクしてくれて、サクッと該当資料を確認しに行けるし、使いやすいの当たり前ですよね、だって、必要な機能が必要なところにちゃんとあるから。
そしてさらに、WorldShare ILLの利点として、もっとも大きな魅力といえるのが「IFM」です。これこそが、日本の図書館において海外ILL受付を阻んでやまないラスボス・「料金を受け取れない」問題を、一気に解決してくれる夢のひみつ道具であると言えます。
IFM、ILL Fee Managementシステムを使うと、図書館間の料金収受・相殺の処理をOCLCさんが代行してくれますので、各大学と何百円のコピー代を個別にやりとりする必要がなくなります。例えば、ナントカ大学さんがうちとこにコピーをオーダーしました。料金は300円、ドル換算で2.71USドルです、っていうのをシステムに入力します。これをOCLCさんが月締めで全体を精算して、各大学に請求したり送金したりします。そうすると、ナントカ大学さんはうちとこのコピー代を、個別精算しなくていいし、円建てじゃなくUSドルなり自国通貨なりでそのまま払えるし、銀行の国際送金手数料も払わなくていい、と。さらにOCLCとうちとこの間には紀伊國屋さんが代理店として入ってますので、うちとこはILL料金を円建てで紀伊國屋さんに請求すればいい、というかたちになります。相手館はUSドルのままで、うちとこは円のままで、銀行手数料無しで、いままでの高い高いハードルに比べるとどんな天国かしら、っていう。
…まあ種明かしをしますと、このIMFシステムを使うのにOCLCさんに若干の手数料を上納してます、そりゃそうか。でも、それも1件当たり0.30USドルとかですから、為替の上下でうやむやになるレベルのやつ。
あともちろん、そういう料金収受で行きましょうね、っていうのを、事前に数ヶ月くらい、紀伊國屋さんと関係部署とで丁寧に調整・合意したうえで、っていう、関係各位のご協力のおかげであります。決して打ち出の小槌のように使えるシステムっていうわけではないので、参加料さえ払えばその日のうちにさらっと使える、というようなことではないです。調整大事。
●ゆずれない想いとレンディングポリシー
というシステムの便利さはわかったとして、実務としてどんなふうにこれを運用していくか、というところですが。
まずレンディング・ポリシーのおおまかなところは、国内相手とほぼ差異はありません。料金も貸出日数も、資料種別による可否判断も、国内/海外で同じ。コピー代1枚35円だから、たまに請求金額0.63USドルとかあるんですけど、北米の館って「1件20ドルから」みたいな料金設定の世界なんで、この不均衡なんとかならんだろうか、っていうのは今後の課題ですね。
国内と海外で違うことのひとつは、現物貸借の時の郵送方法です。うちとこは、海外郵送はEMSを基本とし、返却するときも相手館に「traceableなcourierを使ってね」と求めてます。なので、金額的にはこっちのほうが逆に高額を要求してることになりますが、資料の保全を考えるとここはちょっと求めなしゃあないラインです。
資料の保全をということで言えば、絶版本・入手困難本の類、つまり紛失したら再度入手できなくなってしまうようなものに貸出リクエストが来た場合は、貸すことはお断りしています。その代わりですが、日本の著作権法にはその第31条1項の3に「他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する」というのがあってね、というのを長々と説明したりして、全頁複写というコストをかけても良ければ、っていうふうに提案します。これにノってくれば複写提供、ノってこなければ謝絶になりますが、ノってくるのが3割4割くらいという感じです。ちなみにWorldShare ILLには「max cost」という設定、つまり依頼館が「最大いくらまでだったら出すけど、それ超すなら辞めます」という金額設定があるんですが、だいたいどこも30とか50とか大きめの金額書いてはりますね。
あともうひとつ大事なポリシーですが、WorldShare ILLを通さないリクエスト(メール等)や、IFM以外の支払い方法を希望するというリクエストでも、これまで通り、その時々で可能な方法を模索して対応しています。
これがたぶんこの話題で一番重要なところだと思うんですが、うちとこがWorldShare ILLなりIFMを使う理由って、それを使うことで省力化できるサービスを実現するため、であって、それ以外のサービスを拒絶する理由にするためでもなければ、その枠内に入れる館と入れない館とを分断するためでもないです。それだけは決してない。もちろん、WorldShare ILLやIFMを使わないと途端に手間や条件がどうしてもしんどくなり、涙を呑むことが多くなってしまいはするのですが、なんとかならないかの模索はお互いにちゃんとするのです、だってもともとそういう姿勢からこの話は始まってるわけじゃないですかね。
というような感じで、明確にポリシーを定めて、譲れないところはキープして、省力化できるところは省力化して、謝絶の場合の代替手段を用意して、というふうに身構えてることによってかどうかはわかりませんが、一応いまのところ大きなトラブルは起こってないです。
●このままいつまでもサステナブルな関係でいられたら
さて、そんな調子でとりあえずやってきたわけですが、大きな事故なく1年間が過ぎ、なるほどだいたいこんな調子なんだな、というのが見えてきた数字が、このブログ記事の元ネタになってる某論文に載ってますので、ひっぱってきます。

(荒木のりこ他. 「国際日本文化研究センターにおける目録・ILLの海外対応 : OCLC WorldCat・WorldShare ILLによる新サービスと課題」. 『大学図書館研究』. 2019, 112. https://doi.org/10.20722/jcul.2042 より引用)
これまで年間で依頼10件来るか来ないか程度だったのが、500件以上依頼がきて、200件以上受け付けられたわけですから、数字上まずは事業として成功したと言えると思います。
気になる謝絶の割合云々については後述にまわすとして、まず525件の依頼について少し能書き述べます。
リクエストされた資料のほとんどが日本語資料ですが、525件中65件、つまり1割以上が非日本語資料へのリクエストでした。中国語30件、韓国語12件。目録のところで申しましたように、言語・メディアを問わずに全件を丸ごと登録しましたが、やってみるとしっかりリクエストが来る。日本の図書館が海外に貢献できるのは、日本語資料に限るわけではないのだな、ということがわかります。
依頼してきた図書館を国/地域別に見ると、アメリカ408、カナダ30ともちろん北米が最多ではあるのですが、アジア勢では香港(32)、台湾(18)、タイ(7)、ほか中国・韓国など。それ以外にも、オーストラリア(3)、ニュージーランド(5)、デンマーク(6)、ほかスイス・ノルウェー・スペイン・イギリス・イスラエル、といった調子です。つまりはこのWorldShare ILLに参加さえしてる図書館であれば、どんな国からだってリクエストは来得るということでしょう。…とはいえ、北米以外のたとえばデンマークやタイや香港なんかは、おおむねどうやらリピーターが件数を重ねてる、というのもなんとなくの現実ではありますが。まあ、国/地域を問わずやってるところはやってる、という感じですかね。
リピーターか初見さんかでカウントしてみると、ほとんどの機関(95機関)が1-3件程度の初見さんだなという一方で、30件近いヘビーなリピーターも5機関ある。ということは、がっつり日本語資料使いたい、っていう機関のユーザさんにも届いているし、かつ、WorldCat上でなんとなくたまたま見つけてくれたユーザさんがいるようなところにも届いている、両方にちゃんと届いてるんだったらこれもとりあえず成功かな、って思いますね。
さて問題は、525件中289件と過半数を占める「謝絶」です。つまり、よそさんがうちとこの資料欲しいってリクエストを送ってくれたんだけど、うちとこはそれに応えることができなかった、ていうやつ。ダメじゃん、こんなにたくさん断ってたんじゃ、苦心惨憺して目録登録した意味ほんとにあったのか?ていう。じゃあ、あったのかなかったのかを、どういう理由で謝絶したのかをもって考えてみると。
謝絶理由の第1位「所蔵無し」、105件(謝絶中36%)。
リクエスト来るんだけど、え、いや、それうちとこでは持ってないです、ていう。
いや、おかしいじゃないですかね、目録で所蔵してるものを登録してるのにね。
実は「所蔵無し」のほとんどが、雑誌タイトルはWorldCat上でヒットして所蔵してることになってるんだけど、その人が求める巻号は持ってない、というものです。で、なぜ持ってない巻号にリクエストが来るかというと、所蔵巻号まではWorldCatに登録してないから、っていう。
再々申してますように、うちとこはカタロギング参加館ではなくデータをまるごとOCLCさんに提供している立場なので、細かい情報登録や修正なんかができません。とはいえ、所蔵巻号くらいは登録して当然なんじゃないの?ってNACSIS-CATベースでお働きのみなさんなんかは思われるでしょうが、実はOCLC WorldCat、所蔵巻号を登録する機能はもちろんあるにはあるのですが、北米の参加館さんでもそれを細やかに登録してるところは、まあずいぶんと少数派のようです。見たところ、巻号情報を登録してるのをお見かけする方が圧倒的にめずらしい。じゃあどうするかっていうと、所蔵館のリンクをポチッと押して、そこのローカルなOPACで巻号を調べなきゃいけない、っていう感じ。そこの不便さに加えて、アメリカさんのILLスタッフもそこまで細かく調べずにダメ元でリクエスト送ったりしてるっぽいし、さらにはイマドキだとユーザが直接webフォームか何かでポチったリクエストがダイレクトにうちとこまで来たりするわけです。ていうなんやかんやの諸要素が重なった結果、うちとこに限ったことじゃない、北米館同士のやりとりでも「所蔵無し」の謝絶はごくありふれた日常風景なんだよ、とうかがったことがあります。
謝絶理由の第2位「それはおたくの国内にある」、72件(謝絶中25%)。
主に北米の話です。うちとこに貸出のリクエストが来る、その資料は確かにうちとこにあるんだけど、ちょっと待てよ、こんな基本的な本くらいはさすがに北米内のどっかの図書館にはあるだろう、って思ってWorldCatを自分で検索してみると、ふつーに北米内にやまほど所蔵があるっていう。こういう場合、わざわざ日本から郵送料かけて送るくらいだったら、いったん北米内で融通しあってくださいよ、という意味合いをこめて、「先に北米内の所蔵館に依頼してね」と返します。
これも不思議な話で、なぜ北米内に所蔵があるのにわざわざ日本のうちとこにリクエストを送ろうとするのか。その大きな理由が、目録の章で触れたEnglish書誌とJapanese書誌の別にあります。WorldCat上には、同一の書籍についての書誌を言語ごとに個別に持つ、ということが認められており、まあ国際的総合目録として必要な措置のひとつではあろうにもしろ、その複数書誌(あえて重複書誌とは言いませんが…)に所蔵館が泣き別れになっていてそこまでちゃんとは統合できてない、っていうことになっちゃってます。WorldCatはわりとFRBR化ができてるほうではあると思うのですが、それでも完全ではないし、ILLスタッフが使う業務システムのほうのWorldCatはそのFRBR化もされてない。ということは、日米間の目録事情の違いなんかに精通してるわけでもない北米のILLスタッフや、web上でセルフにオーダーしようとするエンドユーザに対して、そこまで丁寧に重複書誌の存在を認識して(重複書誌って言っちゃったけど)検索し尽くしてくれることを期待はできんでしょうから、結果、北米で何十館が持ってるようなポピュラーな図書にも、遥か遠い極東の山の上までリクエストが届く。ていうか正直、「いや、おたく自分とこで持ってますやん」ていうのも何回かありますよね。
で、複写とちがって、現物貸出はやはり一定のリスクがありますから、一応こちらの手と目で検索して、ほんとに北米内にないかどうかはいったん確かめます。特に、絶版/入手困難本は貸し出せないし、そうじゃなくてもこれ買い直すのきついなと思えるものも多い(ていうか、まあそういうのにこそ依頼は来ますよね)ので、わりと丁寧めに調べます。
で、そうやって調べた結果、絶版/入手困難本は貸し出せないので全頁複写なら対応しますよ、と代替案を提供した結果、特に反応が無くてそのままキャンセルに流れるようなのが、謝絶第3位です、44件。
これら「所蔵無し」「自国内にあり」「全頁複写辞退」の上位3件が言わば”先方都合”であり、謝絶全体の76%を占めていますので、まあ、これはゴメンやけどしょうがない話じゃないかな、って思います。
というようななんやかんやがありますが、結果として年間236件のリクエストに対応している、と。
うちとこの同年のILL受付件数は2300件弱なので、だいたい全体の1割くらい。実数ですと週あたり5件くらい。まあこのくらいだと、日常業務の範囲内で消化できるレベルかな、という感じです。
しかも、うちとこの蔵書が年間で大幅に増えるっていうことはありません(年あたり1万冊程度)。リクエストはあくまで蔵書に来るのであって、蔵書の有無問わず機関に来る、なんてことは通常無いわけですから、リクエスト数が年によって大幅に増減するというようなことはまずないでしょう。
そしてそれ以上に、そもそもこのWorldShare ILLのシステムがものすごく使いやすくて、当初予想していたよりもずっとずっとラクチンなわけです。IFMがラクチン、webシステムの操作がストレスフリー、自館OPACとのリンクがシームレス。当初ものすごく心配してビクビクしていたようなトラブルも、明確なポリシーと代替手段の賜物か、ほとんど無くて拍子抜けという感じで。
ですので、事業としては過度に無理せずサステナブルに続けていって、資料がユーザに届き、必要な方のお役に立ち、かつうちとこへの好評も得られる、という感じで当面はやってけるんじゃないかなと見込んでます。
2020年02月26日
第2章「伝わらない言葉たちをローマ字にのせて」(目録) - 『君に届け 〜 OCLCと日文研をつないだ目録・ILLの物語』
●背伸びしたい、その標準に
さる信頼筋(註:NII)の情報によれば、うちとこの新規書誌作成件数は1年間(2017)で7000件以上、NACSIS-CAT内では全国20位という。こんなちっちゃな機関にしては、てぇしたもんだと思います。
ですが、そんなNACSIS-CAT内ではがんばってるようなうちとこも、大海のOCLC WorldCatへ漕ぎ出そうとなると、これはまったく話が別です。OCLCが求める標準、ていうか、図書館目録の標準というもの自体、そもそもデータの流通をスムーズに促すための存在であるはずでしたが、、(良い意味か悪い意味かは別として)ガラパゴスに成功した日本の学術目録環境の中でベッタリと業務をこなして来た身にとっては、その”標準”が高い高いハードルとなって立ちはだかる存在になってしまう、という。
うちとこの現状。
NACSIS-CATのCATPフォーマット。
ヨミのローマ字無し。
OCLC WorldCatさんが求める標準。
MARC21。
ローマ字タイトルが必須。
ここで注釈をしておかなきゃいけないのですが、うちとこが「OCLC WorldCatに参加した」と言うのは、「NACSIS-CATを辞めた」とイコールでは決してありません。あくまでもいままで通り、総合目録データベースとしてのNACSIS-CATさんとべったりの関係であり、ローカルデータベースもOPACもまったくこれまで通りのフォーマットでありながら、データだけコピーしてOCLC WorldCat”にも”入れる、というだけの話になります。本事業の目的は「海外ILL受付」と「目録の国際的な可視化・アクセス可能化」であり、要は「大舞台上で、なんとなくヒットしてくれりゃ、それでいい」と言っちゃえるわけです。目録データベースMARC21に大変身SP、とか、図書館システムOCLCに鞍替えSP、とかではないし、ましてやうちとこの目録担当者が日々OCLCにデータを登録するというようなこともまったくしません。
だから例えばですが、初年度に数十万件を一括登録したあと、後年の差分については年一回まとめて差分だけ追加、というやり方をとることにしました。タイムラグもしゃあなし、リアルタイムというわけではありません。一括登録の時だけ背伸びして届く関係でいい、と。
なので、あくまでうちとこのデータはNACSIS-CATに登録済みのCATPフォーマットで、それをMARC21に変換してから、WorldCatに投入しなければならない。
で、この変換作業をOCLCの欧州サイド(EMEA)にまるごとお願いするということになりました。EMEAのほうでCATP→MARC21変換プログラムを開発しはった、と聞いてます。もちろんその変換仕様はNIIさんが提示してるの(https://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/about/infocat/z3950/m21_b.html)の準拠です。
そう、だからOCLCにはもうすでに成功したCATP→MARC21変換プログラムがある、ということですから、日本のほかの大学図書館さんもこれを同じように使えるんですよ、ていう話です。これがたぶん一番大事。
●伝わらない言葉たちをローマ字にのせて
次にヨミのローマ字化です。
これについてはNACSIS-CATさんはすごく都合の良いことに、すべてのタイトル・責任表示のヨミ(カタカナ)を分かち書きして入力することになってますね。だからこれをわりと素直にそのままローマ字化すれば、(いわゆるALA翻字のルールにものすごく厳密にしたがったわけじゃないにもしろ)だいたい問題ない。
これってわりとシリアスな話で、NACSIS-CATじゃない公共図書館さんとか別カテゴリの専門機関さんとかだとヨミが無いとか分かち書きじゃないとかがあったりして、するっとローマ字変換というわけにはいかなかったりしますね。大学図書館であっても、図書館目録じゃないデジタルアーカイブ系とかのメタデータがヨミや分かちが無かったりするパターンもあって、じゃあ辞書を噛ませて処理するとかいうひと手間になるのかしら、ていう感じです。
なお、ローマ字変換作業自体はEMEAさんがやったのですが、ローマ字変換規則の設定は紀伊國屋さんのほうから提供されました。このローマ字変換については、これまでも紀伊國屋さんが早稲田さんなりどこそこさんなりのを長年やってきた実績があるらしく、そういうチューニングができているという感じのようです。
さて、ヨミのローマ字が理由の大きなひとつは「海外の日本研究ユーザが使えるように」なわけですが、もうひとつの大きな理由に「既存書誌とのマッチングをする」というのがあります。
WorldCatは、書誌共有するタイプの総合目録ですから、うちとこの目録データを無条件で全部流し込むなんてことは、もちろんしません。いったんWorldCat内を検索して、すでに同じ書誌があればそこに所蔵情報を付ける。同じ書誌がまだ無いと判定されれば、うちとこ由来の新規書誌を登録する。「あれば使う、なければ作る」です。
その有る無し判定のマッチングに使われるメインのデータが、タイトル(245フィールド)とISBNであり、既存書誌のメインタイトルは日本語資料だろうがアルファベット記述されているので、マッチングという第1段階の作業のためにはうちとこの全書誌にローマ字ヨミが必要、ということになるわけです。
それからさらに、目録の記述自体を英語化してなくていいのか?問題があるかと思います。つまり、いくらタイトルだ何だがアルファベットで記述されていようが、注記だの件名標目だのといった目録記述自体はべったり日本語のままなわけだし。もっと言うと、その目録記述はNCR(日本目録規則)に従って書いてるわけですから、そんなのをAACR2の世界に投入しちゃっていいのかと。
それについては、OCLC WorldCatさんは「EnglishレコードとJapaneseレコードは別物」制度をとっておられます。つまり同じ資料について、北米のカタロガーが作成した、AACR2準拠の、英語で記述された書誌レコードがある、という一方で別途、日本由来の、NCR準拠で書かれた、日本語記述の書誌レコードがある。両者はマッチングされることなく、「言語がみんなちがって、みんな良い」ということになってるそうです、WorldCatさんの世界の中では。
うん、まあWorldCatの対象館を全世界に拡大しようとすると、そうせざるを得ないんだろうなというのはわかります。その措置がなかったらどうなるかと言うと、うちとこ由来の日本語書誌が先にWorldCatに登録された場合、あとから北米カタロギング館がマッチングする→いちいち英語&AACR2に書き換える、みたいなことをすることになっちゃう。あるいは、先に英語&AACR2の書誌レコードがあるのに、あとからうちとこがそれを日本風に書き換えちゃう、ということが起こってしまうかもしれない、そっちのほうが相当おそろしいという感じはしますね。(細かい話になりますが、例えば早稲田さんが先に登録した日本語書誌に、うちとこの書誌がマッチングした時、うちとこの書誌だけにあるデータ(注記とか件名標目が多かったり)を追加で書き込む、という方針もあるにはあるらしいのですが、うちとこはそれを採用しませんでした。先にある書誌に、何も逆らうことなくただ所蔵をつける、ていう)
●重なり合う書誌と書誌
以上のあれこれをふまえて、実際の作業はこんなふうに進められます。
(念のため再度、うちとこはカタロギング参加館ではなく、データをOCLCさんに提供しているだけ、というあれです)
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《ここからうちとこ》
NIIから、CAT-Pフォーマットの書誌レコード全件(30万件)を入手する。(「NII「個別版ファイル」と呼ばれるもの)
↓
《ここからOCLC(EMEA)》
CAT-Pフォーマットのファイルを、MARC21フォーマットのファイルに変換する。
↓
ヨミのあるすべてのフィールドに、ローマ字ヨミを自動生成して、書誌レコードに付与する。
↓
うちとこの書誌とWorldCatの既存書誌とのマッチング作業をする。
既存書誌があれば所蔵のみを登録し、無ければ書誌と所蔵を登録する。
↓
《ここからうちとこ》
MARC21ファイルからローマ字ヨミとOCLC番号を抽出して、うちとこのローカルデータベースの書誌に付与する。
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あらためて見ると、やっぱりだいぶ丸投げでしたね。
なお、この時点でうちとこの所蔵件数は55万点程度でしたが、書誌件数にすると30万件程度です。
また30万件には日本語以外の外国語資料も含みますし、貸出対象ではない貴重書やデジタルメディア等も含みます。そこはケチってセレクトする必要はあえてなく、発信という意味では全部載せでいいだろう、と。(実際、日本語以外の資料にもILLリクエストは来たりしてます)
で、初年度の一括登録の結果。

(荒木のりこ他. 「国際日本文化研究センターにおける目録・ILLの海外対応 : OCLC WorldCat・WorldShare ILLによる新サービスと課題」. 『大学図書館研究』. 2019, 112. https://doi.org/10.20722/jcul.2042 より引用)
書誌約30万件のうち、1件のエラーをのぞくほぼすべてを登録。
なお30万書誌のうち、既存書誌が約13万で、新規書誌が約17万でした。
注、ですが、新規書誌約17万件とは言えども、ほんまにすべてが”初出”なのかというとどうやらそうやすやすとは行かなさそうです。English書誌がすでにある資料で、同一のはずなんだけど、個別にJapanese書誌として登録されてる、という例もまあまあ多いっぽい感じで、なんだろう、ALA翻字形とか数字英字の解釈とか分かち書きとか巻号表記とかそういうことなのかなあ、このへんはworldcat.orgのFRBR機能あるしなあ的な感じで、あまりちゃんと検証はしてないです。…ただし、それがILL実務ではわりと困ることになってる。
あと、もし細かい間違いなんかがあったとしても、再三言うようにうちとこはカタロギング参加館ではないため、自力でそれを修正するということができないので、そのもどかしさはあるかな、とは思います。
それ以外のことについては、まあ細かい間違いやトラブルがあったかなというくらいで、全体に影響するような致命的なつまづきなんかはなく、当初の目的通りの「なんとなくヒットしてくれりゃいい」レベルな意味では、満足に成功、というありがたさでした。
それで、うちとこのOPACにもローマ字は入るし、それどころか対応するOCLC番号まで入れられて、だからworldcat.orgからうちとこのOPACへopenurlでリンク付いてくれてるんですよ、ずいぶん得したな、という感じはします、よかったねえ。いまどきは、よそさんとリンクリンクでなんぼ、ってところあるからねえ。
というのが2017年春頃から検討して、2018年1月に登録完了、というののおおまかな経緯です。
で、これをふまえていよいよ本丸の、ILL受付実施、になります。
2020年02月22日
第1章「センパイがくれた勇気と見積り」(概要と経緯) - 『君に届け 〜 OCLCと日文研をつないだ目録・ILLの物語』
●その背中に叫んでも届かない
海外には日本について研究したり勉強したりする人たちがいて、日本の資料・情報を必要としています。日本からその資料・情報を海外へいかに届けやすく、伝わりやすく、見つけやすく探しやすくできるかが、海外の日本研究を支援・サポートするための大きなカギとなる。
というようなことを専門にやってる機関がうちとこ、国際日本文化研究センターとその図書館であり、そういうことを始終考えてるような者がそういうことについて書いた下記のあれこれが、この記事の前提にあります。
・江上敏哲. 『本棚の中のニッポン : 海外の日本図書館と日本研究』. 笠間書院, 2012.5.
http://doi.org/10.15055/00006806
・江上敏哲. 「海外における日本研究と図書館 : 概観および近年の動向・課題と展望」. 『情報の科学と技術』. 2017, 67(6), p.284-289.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/67/6/67_284/_pdf
・江上敏哲. 「日本からの学術資料の提供をどう実践するか : 国際日本文化研究センターによるOCLC参加の取り組みから」. 教育と研究の未来(紀伊國屋書店). 2018, OCLC News 特別号.
https://mirai.kinokuniya.co.jp/2018/06/4006/
日本から海外に資料・情報を届けるのにも、いろいろと方法があります。出版物を売り買いする、学校で教える、学会集会でコミュニケーションする、インターネット、デジタルアーカイブ、SNS等々。その中でもここで問題にしたいのが、図書館同士による図書・コピーの送りあい、いわゆる「相互貸借」「文献複写」とか「ILL(Inter Library Loan)」「DDS(Document Delivery Service)」などとと我々界隈で呼び習わしているものですが、以下、全部ひっくるめてこの記事では「ILL」と書きます。
そもそもどんな図書館であれ、利用者に対してまともに資料提供機能を果たそうとするならば、この「ILL」による図書館同士の横のつながりがなければ成り立たない、君なしでは生きていけないということは、業界界隈の方なら当然承知のことと思います。これは海外の日本関係図書館にとってはいよよ切実で、恵まれてても数万冊、だいたいが数千数百規模の蔵書しかなく、それでは現地利用者のニーズを充分にはまかなえない。かたやデジタルはと言えば、英文中心の電子書籍や理工系中心の電子ジャーナル、PDメインのデジタルアーカイブや紀要メインのオープンアクセス。ほんとに欲しい文献がデジタル化されてくれてることはまだまだ少なく、欧米・中韓に比べても資料の電子化が遅れたまま、そんな失われたn十年を過ごす我々にとって、質・量、品揃えとコストの問題を解決してデジタルが満足に手に入るようになるのは、残念ながらまだ先の未来っぽい。となれば、紙でもしゃあないから、日本からの図書・コピーの取り寄せで解決したいという、日本→海外間のILLサービスへのニーズは当面続く、続けざるを得ないだろうという感じです。
となれば国際的に日本文化の研究をサポートするセンターさんはそのILLをさぞや、とよく言われてきたのですが、これがなかなかうまく行かずに難儀してた、というのがこれまでのうちとこの実情でした。30年前20年前の古文書をひもといてみる(文書保存は大事です)と、結構な試行錯誤であの手この手を繰り出していた様子はわかるのですが、残念ながらいまに伝わるほどではなかったっぽい。結局のところ、所蔵資料が海外からは発見されにくく、利用もされにくいしリクエストも届かない、たまに届いてもほとんどその場しのぎのソリューションしかない。多くの日本の図書館における現状と、まあほぼ同じ惨状だったわけです。
例えば、所蔵資料が発見されにくい問題。webOPACかCiNii経由で探してもらうしかないわけですが、CiNiiですらそれなりに日本リテラシーの高い海外ユーザくらいしか使わないわけで、決して発見され安いとは言えない。そこからさらにリクエストを送ろうとすると、ユーザさんは何ステップものタスク(webにしろリアルにしろ)を乗り越えなきゃいけないわけですから、リクエストも届きにくい。
たまに何かのかたちでリクエストが届いても、サービスの対価を海外から受けとる方法が限られている。クレジットカードは使えないし、IFLAバウチャーも使わせてもらえないし、銀行振込には高額な手数料がかかる。日本の図書館の海外ILL受付がうまくいかないのは、結局この「どうやってお金受けとろう」問題に帰するところがあって、まあ、ラスボスです。
これを解決しようと大学図書館業界ががんばって編み出したのが「GIF(Global ILL Framework)」でしたが、うちとこはこれがトラブル続きでデータのやりとりや料金のやりとりがスムーズに行かず、まともに機能した試しがありませんでした。おまけに2018年3月でGIFは終了するし代替手段も見つからない、開始当初はそれなりの存在だったと思うんですが、サービスとしてアップデートし損ねたんだろうと思います。日本から海外文献を取り寄せるという観点からは、電子が整備されてほぼ興味失ってるという感じだったし。
ただ、うちとこに話を戻せば、それなりに何年もの間がんばってあがいてはみてたわけです。そもそもGIFでうまくやりとりできないのはうちとこの経験値が少ないせいであり、リクエスト件数を増やしてサイクルを上げれば成功率も高まるんじゃないか。「センパイ、うちとこにILLリクエスト送ってクレナイカナー」って待ってるだけじゃ振り向いてもらえないわけなんで、英文案内を整備する、国際会議でがんばって営業活動する、「センパイお願いっ、うちとこにILLリクエスト投げて!」って、何度となく叫んでみました。涙ぐましい。
…が、うまく行かない。行くはずがありません。ユーザは誰も「よし、自分はいまからILLリクエストを送るぞっ」って決心してリクエストなんかしません。《必要な資料・情報がある→その資料・情報の所在がわかる→リクエストする》、という一連の行動の流れがあるわけで、その「資料・情報の所在がわかる」のところにうちとこの目録情報が飛び込んでこなきゃ、気づいてももらえないし、ふりむいてもらえるわけもない。センパイに声をかけてほしければセンパイの通学路に出てきてください、自分の部屋の中で叫んでたってダメです、と。ましてや、最初から日本という分野にその気があって自らCiNiiを検索しに来てくれる積極的なセンパイならまだしも、それほど日本リテラシーも高くない初学者や一般人やよその分野の人に、CiNiiひきに来てクレナイカナーつっても、他校のセンパイが来るのを自校の校門前で待ってて物語が始まりますか、っていう。
えっと、なんだっけ。
そのセンパイの通学路、じゃない、海外ユーザの情報検索のメインストリーム、として「OCLC」がある、ということですね。
●出逢える場所に、私がいない。(ダメじゃん)
OCLC、Online Computer Library Centerは、世界規模の図書館サービス機関であり、北米中心ではあるものの、172ヶ国/地域の7万以上の図書館が参加する国際的な機関である、と。その総合目録であるWorldCatは、書誌レコード4億、所蔵レコード26億、ビリオネアじゃないですか、しかもそれをworldcat.orgでオープンに公開していて、世界中から検索されているポータル的な存在である、と。そしてその総合目録をベースに展開しているのがWorldShare ILLというILlサービスで、56ヶ国の1万館が年700万件のリクエストをやりとりしている、と。
ああなるほど、ここに参加すれば海外への目録情報発信もILLやりとりもできるんだね、ソリューションあるじゃないですか。
と思いきや、残念ながらこの国際的図書館サービス機関への日本からの参加が驚くほど少ない、というのが現状です。日本から海外に資料・情報が届きにくい理由のひとつが、ここにもあります。WorldCatに目録情報を登録して、WorldShareILLで資料のやりとりをしているのが、日本では早稲田大学とあといくつかくらい、国立大学・研究機関からは無しです。だから逆に言うと、早稲田大学の図書館は海外の日本研究者や学生さんの間ではすごく有名で、現地で話をしてると何かにつけて「WASEDA」の名前が出てきますから、ブランディング的にもしっかりできてるという感じです。
そう、うちとこもここに参加できればいい、と。早稲田という先輩がいるんだから(註:ここで言う「先輩」はほんとの先輩の意味です)。
世界中のユーザさんがひきに来てる総合目録WorldCatでうちとこの資料がヒットし、ファインダビリティとディスカバラビリティが上がり、料金収受もスムーズと聞こえの高いWorldShareILLでリクエストをやりとりし、うちとこの図書現物なりコピーなりを届けることが、ルーチンワークとしてサステナビリティになれば、世界の日本研究が推進されて海外ユーザに喜ばビリティなだけでなく、うちとこのセルフ・ブランディングビリティ的にも向上ビリティなわけです。
これはやや細かい話になりますが、うちとこの蔵書は通常の総合大学さんのようなところとは違い、かなりヘンクツです。蔵書数自体そこまで多くないし、一般ウケしそうな書籍もそれほど多くない。その一方で、ニッチな分野・トピックで所蔵館の極少なそうな軽くレア的なやつがそれなりにある。となると、そういうニッチな蔵書でストライクをとりたければ、検索者という母数が相当大きくないと難しいわけです。自ら意識的にCiNiiをひきに来てくれるような中小規模の検索者数(註:あくまでWorldCatとの対比です)だとなかなかうちとこの蔵書がストライクをとれそうにはなくて、もっと多くの、それこそWorldCatレベルの巨大規模で検索しにきてもらえることで、やっとストライクがとれそうな相手とマッチングできるんじゃないか。という意味でも、WorldCatのような大舞台でのディスカバラビリティが結構大事だと思ってます。
そう、やはり狙いはOCLCである、と。早稲田先輩を見習って、その背中に追いつけ追い越せと。
…などと、口で言うだけ、頭の中で妄想するだけならなんとでも言えますが、ちょっと考えてみてもこれがなかなか高嶺の花なわけです。
目録を登録する? え、50何万冊、書誌30万件を、誰が? どうやって? いくらかかるの?
OCLCってMARCでしょ? うちとこってあれだよ、NACSIS-CAT、CAT-Pフォーマットだよ。そう、日本の大学図書館がなかなかOCLCの海に漕ぎ出せない大きな理由のもうひとつがここにある、良いガラパゴスとそうでないガラパゴスは紙一重、っていう。
しかも、書誌レコードって全部日本語で、ローマ字なんか無いんだよ? そんなのOCLCに入れたところで、どれだけヒットしてもらえるろうか、と。実際海外のユーザやライブラリアンに相談してみても、そりゃあなたローマ字無かったら現実問題として検索してもらえませんよ、という反応でした、ええ、そりゃそうです。
それやこれやが全部クリアできたら夢みたいだけど、でもでも、そんなこと無理だよね、うちとこなんかにそんなことできっこないもの、と。
校舎の影からそっと眺める遠い存在でしかない、とまでは言わないにもしろ、まああれだ、NIIさんが頑張ってNCのレコードをOCLCに投入してくれるのを、そう遠くない未来と信じて待ってる方が現実的なんじゃないかな、ていう構えでした。
2020ってそういうことなのカナー、って。
…あ、そういうことじゃないんだ。というのが分かるようになってきてから、あれ、これホンマに10年経っても20年経っても、OCLCへの船出のドラは鳴らせないんじゃないか、そんなことで国際的に日本文化云々って名乗ってみたところで、結局は海外の日本研究関係者のみなさんにソッポ向かれて終わるんじゃなかろうか。
そういう意味でもなんとかしなきゃと危機感を感じていたところに、耳にしたのが、これも先輩(註:ほんとの)のニュースでした。
つまり、OCLCにデータを投入することに成功した、という先輩の話です。
●センパイがくれた勇気と見積り
出逢いは、何年か前の近畿地区MALUI名刺交換会だったと記憶しています。
ある人にお会いしたのですが、その方、パワポで描いたポンチ絵的なのを印刷して来てて、見せてくれはるわけです。確かおっしゃってたのが、自分のとこのデータベースのデータを、国内・海外問わずあちこちに流通させて、見つかりやすくしたい、このポンチ絵だけでなくもっと何か他に出せるルートはないだろうか、というようなことだったと思います。拝見して、度肝を抜かれました。いや、もうこれほぼ完璧というか、その時点で考え得るほぼすべてのルートを視野に入れてはるんじゃないか、っていう。
そしてその中にOCLC WorldCatもちゃんとある。
これを見て、あ、あかん、自分本気出してない、って反省させられました。
その時のポンチ絵そのものではないですが、いまネットで公開されてるものから引用すると、こんなんです。

(高田祐一. 「発掘調査報告書の電子公開による情報発信とその新たな可能性」. 『デジタル技術による文化財情報の記録と利活用』(奈良文化財研究所研究報告21). 奈良文化財研究所. 2019, p.73-78. http://hdl.handle.net/11177/6888 より)
このころも、そしていまも、奈文研さんと東文研さんはなかなか目の離せない、輝いてる先輩っていう感じがします。そのご活躍には枚挙に暇が無いという感じなので、カレントアウェアネスでキーワード検索でもしていただきたいのですが、当時自分が注目してたのが特に以下あたりです。
・東京文化財研究所、展覧会カタログ情報をOCLCで提供 (2016年10月)
「第7回美術図書館の国際会議(7th International Conference of Art Libraries)への参加」
http://www.tobunken.go.jp/materials/katudo/240626.html
「東京文化財研究所は、本年度このOCLCに、日本で開催された展覧会の図録に掲載される論文情報を提供することになっており、来年度にはこうした当研究所のもつ情報が世界最大の図書館共同目録「WorldCat」や、OCLCをパートナーとする「Art Discovery Group Catalogue」で検索することができるようになります」
・奈良文化財研究所、全国遺跡報告総覧とWorldCatのデータ連携開始 (2017年2月)
https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2017/02/worldcat.html
OCLCのセントラルインデクスに奈文研がデータを提供して、WorldCatで全国遺跡報告総覧の検索・リンクができる。
「WorldCatの検索結果画面から奈良文化財研究所の全国遺跡報告総覧に画面遷移し、収録する発掘調査報告書の PDF をダウンロードできる」
(「「全国遺跡報告総覧」は、埋蔵文化財の発掘調査報告書を全文電子化して、インターネット上で検索・閲覧できるようにした“電子書庫”です。「総覧」は、全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトによって構築された遺跡資料リポジトリ・システムとコンテンツを国立文化財機構 奈良文化財研究所が引き継ぎ、運用しているものです」)
てっきり高嶺の花か夢物語かでしかない、と思ってたOCLCについて、身近なところに実際の成功例がある、と知れたわけです。あれ、これってもしかして、うちとこにとっても遠い対岸の花火ってわけじゃないんじゃない? と。これで食指を動かさなかったら、それこそウソじゃない? と。
というところでの、出逢いその2、です。
2016年・冬、都内某所にて。
東文研さんがOCLCにデータ投入なさったんですよね、あれってどうやってできたんですか、ていうか、うちとこもちょっとマジでOCLCさんとこで目録とILL、なんとかできないかなって思ってるんですけど、と。なんかもう、丸投げのような体当たりのような相談を、とある人に持ちかけたのが、きっかけでした。
本事業については、その前史的なころからずっと紀伊國屋書店さん、そのOCLCセンターさんと京都店さんにはお世話になっていて、まあOCLCのエージェントだからそりゃそうなんですけど、いろんな提案なり助言なりをその時々で与えてくれはったわけですね。実務的な調整の段階がしばらく続いていた頃も、技術的なこととか制度的なこととがわかんないのを、まるで自分ごとかのように親身になって対応してくださって、なんていうかな、途中でくじけそうになる気が全然起きなかったのがありがたいなって思います。
とはいえ、最初からいきなりベストな選択肢にたどり着けたわけではもちろんなくて、そこは試行錯誤があったわけです、こういうかたちで実施するとこれくらいの計算になります、こういうかたちだとこんな感じです、みたいなのが選択肢として出るんですが、んー、いやー、やっぱりキビシー、現実的な事業ではやっぱりなかったのかしら、と考えあぐねてたりしてたところが。
そんな折での、まさかの出逢いその3。2017年・春。
東方の三博士、ではありませんが、この極東の島国の桂坂の最果ての山裾という辺境の地に、西方から2人のお客様がおいでになりました。
EMEA。Europe, Middle East and Africaの略。元々はOCLCの中でも欧州をメインに営業しておられた部署らしいのですが、そこが拡大していまや北米以外、アジア・太平洋その他の広域をひっくるめて担当する、とうかがいました。そういうところの結構な方々が紀伊國屋さんと一緒にやってきて、なんだろうと思ってましたら。
日文研から受け取った目録データを、EMEA(欧州)が一括して登録する、という方法ではどうか。
というご提案を告げられるのです。
それまでの考え方としては、うちとこがOCLCの「カタロギングをおこなう参加館」となった上でデータを一括登録する、というものでした。それをやると、なんかOCLCさんって目録1件登録ごとに何ドルとかいう料金がかかるビジネスライクな仕組みらしく、単価(2ドル)かける件数だとそりゃまあキビシー感がでるのも致し方ない。
でもそうじゃなくて、うちとこは参加館になりません、カタロギング行為はしません、OCLCの欧州のスタッフの方がうちとこのデータを受け取った上でまるごと一括登録します、と。聞いたところによると、OCLCの中でも欧州エリアさんでは、欧州各国でそれぞれ事情が異なるローカルな目録データをOCLC上に上手いことのっける、ということをやるらしく、確かにここ数年、欧州各国の大規模書誌データがWorldCatで検索可能になりました、的な話題はちょいちょい聞くなと思ってたし、どうやら日本・NDLさんのデータもそういうふうにして投入してる、ということらしいです。
それをセントラルビブリオグラフィックシステムと言うんだ、とかなんとかいうお話もうかがったように思うのですが、こちらの英語力もへっぽこだし、技術的なことはさらにぽんこつなので、正確に理解できてるかどうかは自信薄です。
ただ、この話を西方からのお客様としてた、その終わり頃に。
「ていうか、なぜあなた方はわざわざこういうことをがんばってやろうとしてるの?」的なことを尋ねられたので。
「うちとこは国際的に日本文化を云々なので、積極的に情報を発信することで、海外のユーザを支援するのが、重要なミッションなんだ」的なことを答えました。
そのときのお2人。
別にラテンチックに大仰なリアクションをして見せたりということは決してありませんでしたが、ちょっとだけ驚いたような、ちょっとだけ微笑んだような、ちょっとだけ頼もしげ誇らしげな、ふんわりとしたポジティブな表情。
その顔を見たときに、あ、この事業はたぶん成功するな、と。
ていうか、成功させなあかんな、と。
というようなあれこれの想い出をあらためてふりかえってみると、この事業がこんなにもいろんなところから、たくさんの人らに支えられて、そして実現したんだな、ということをしみじみと感じますね。
付け加えておきます。
この年の3月のCEAL/NCC@トロントとか、その前の年のEAJRS@ブカレストとか、そういう国際会議的なところでもまた、各国の日本研究者・日本専門司書の人たちにお会いして、具体的なニーズなりクレームなりだとか、目録やILLにまつわる業務の実際のところだとか、そういうフィードバックやアドバイスをたくさんいただきました。そう、そういうフィードバックの類がちゃんと受けとめられてこそ、それがこういう事業のガソリンとしてやる気を起こさせてくれるんだよな、って、やはりあらためて思います。
第2章で目録、第3章でILLの、それぞれの具体に入ります。
『君に届け 〜 OCLCと日文研をつないだ目録・ILLの物語』 序章
うちとこ、すなわち国際日本文化研究センターが、OCLCに目録情報を登録して、海外からのILL受付を本格的に始めた、ていうことの、経緯や思い・考え、その他あれこれをここに書きとめておこうというものです。
この話はこれまであちこちで報告したり、「大学図書館研究」に報告論文も発表したりしてきましたが、一度自分の言葉でざっくりとでもまとめたものを、記録しておこうって思いました。
とは言え、差し障りのない範囲でしか書けなくもあり、しかもあくまで個人的な感想や叙情的な描写が多いものとして、お察しください。
ILL受付開始を堂々と始めることができたのは2018年4月でしたが、それまでに、大量の目録情報をどうやって登録したらよいのか、お金のやりとりをどうしたらいいのか、どうやったら海外ユーザのニーズを満たすことができるのか、いやそもそもそんなこと本当にできるのかできないのか、さまざまな準備、段取り、議論と検討の紆余曲折があり、さかのぼればそのきっかけは2016年末の東京国立近代美術館、いやもっとたどれば奈良文化財研究所との出逢いだったような気がします。
結果、30万タイトルの目録情報をOCLC WorldCatに登録し、すべてに一括してローマ字データも付与し、ILL受付は年間で200件を超え、そしてこの事業のサステナビリティ、つまり今後も無理することなく継続していけるというメドも立ちました。
ただ、本当はもっとうちとこ以外、よその大学図書館・研究図書館さんにもたくさんお仲間に加わってほしい。そういうことを期待して、まあすでにあちこちに報告していることと若干の重複はあるかもですが、あらためてこのweb上の片隅に書きとめておこうとするものです。
資料・情報を求める人のところに、あるいは求めようと思ってなかった人のところにも、届けるにはどうしたらいいのか。
そういうことをいつも想っているという、日々の記録のようなものです。
以下、おおまかな目次。
第1章 「センパイがくれた勇気と見積り」(概要と経緯)
第2章 「伝わらない言葉たちをローマ字にのせて」(目録)
第3章 「君は君のままで、USドルはUSドルのままで」(ILL)
第4章 「物語の向こう側にある課題と展望」(まとめ)
参考文献です。
・荒木のりこ他. 「国際日本文化研究センターにおける目録・ILLの海外対応 : OCLC WorldCat・WorldShare ILLによる新サービスと課題」. 『大学図書館研究』. 2019, 112.
https://doi.org/10.20722/jcul.2042
・江上敏哲. 「日本からの学術資料の提供をどう実践するか : 国際日本文化研究センターによるOCLC参加の取り組みから」. 教育と研究の未来(紀伊國屋書店). 2018, OCLC News 特別号.
https://mirai.kinokuniya.co.jp/2018/06/4006/
・江上敏哲. 「海外における日本研究と図書館 : 概観および近年の動向・課題と展望」. 『情報の科学と技術』. 2017, 67(6), p.284-289.
https://doi.org/10.18919/jkg.67.6_284
・江上敏哲. 『本棚の中のニッポン : 海外の日本図書館と日本研究』. 笠間書院, 2012.5.
http://doi.org/10.15055/00006806
なお、元ネタ作品についてはタイトル以外何も知らないことを、念のため述べ添えます。
でもまあ、このトピックにぴったりなフレーズじゃないですかね。
2020年02月08日
2020年1月のまとめ
■2020年1月のまとめ
●総評
年頭の所感も定まらないうちに、わりと濃いめのあれこれが起こってなかなかのバタバタ感。
●まとめ
・『情報爆発-初期近代ヨーロッパの情報管理術』
・ギークという名の創作論。ギークという名のメディア論。@ヨーロッパ企画カウントダウン2019→2020
・姫路途中下車の旅
・怒濤の棚卸しシーズン
・らくらくスマホとは何か
・「「情報発信とは研究者の生き方である」研究者のためのターゲティング・ストラテジー: イベントレポート」(https://ura.sec.tsukuba.ac.jp/archives/18505)。これは決定版。
・『オックスフォードからの警鐘』。「内部に参照点を持つ」ということについて。「おまえのオールをまかせるなって言うけど、オール持ってても地図コンパスをよそに握られてたら一緒やからな」
・もう一度学び直す>シェアードプリント
・エアコンクライシス、からの、20年ぶりの買い換え、からの、ずっと寒いクライシス、ぜっんぜんあったまんない。
・ICOM京都大会2019報告会「あたらしいミュージアムのかたちとは?」@京都文化博物館。「おおむねライブラリー界隈の問題と同じだったので、もっとお互い食い込んでいかんと、ばらばらで議論してるのもったいないなって思いました。」
・島津製作所創業記念資料館
・R寄席・D寄席が終了。「やりがいの高いお客の年だったので、終わるのがさみしい」
・NII会議。安定のホワイトボード・ディスカッション。
・SORACHI会議。たくさんのハヤシさんをつくる。最大公約数約数×社会要請カスタマイズ。場の機能に逃げたらダメ、NYPLだってそもそも資料がしっかりあったうえでの話。
・『情報リテラシーのための図書館――日本の教育制度と図書館の改革』
・sli.do
・奈文研講師。sli.do、つるっと行く。
・下鴨車窓『散乱マリン』@旧明倫小。「あたし毎日何して生きてんだろ、って思った。また明日もその毎日になるんだろか。」
・自宅クライシス、始まる。
・京都府立図講師。sli.do、盛り上がる。
・自宅クライシス、具体編。
・AAS in Asia神戸
・『教え学ぶ技術 : 問いをいかに編集するのか』
・某女子会。ボタンを押し込む、自分を駒だと思ってる、不動産相談室、他。
・「お休み」という名のエアコン業者待ち。あと軟禁状態。情報共有の大事さを痛感、等。
・blog20周年おめでとう。
●1月テーマの進捗
1月テーマは設定していませんでしたが、
・絵馬 →まあまあめどが立った
・公演対応 →これは成功
・公演対応に伴うJLA更新 →これはそこまでは行かず
・居室対応 →それどころじゃないクライシスが多発
●2月の月テーマは
・AAS神戸対応
・OCLC執筆
・寄席枠組みの再構成
・ボストン準備対応
の、4本です。
全部やんなきゃ。
●総評
年頭の所感も定まらないうちに、わりと濃いめのあれこれが起こってなかなかのバタバタ感。
●まとめ
・『情報爆発-初期近代ヨーロッパの情報管理術』
・ギークという名の創作論。ギークという名のメディア論。@ヨーロッパ企画カウントダウン2019→2020
・姫路途中下車の旅
・怒濤の棚卸しシーズン
・らくらくスマホとは何か
・「「情報発信とは研究者の生き方である」研究者のためのターゲティング・ストラテジー: イベントレポート」(https://ura.sec.tsukuba.ac.jp/archives/18505)。これは決定版。
・『オックスフォードからの警鐘』。「内部に参照点を持つ」ということについて。「おまえのオールをまかせるなって言うけど、オール持ってても地図コンパスをよそに握られてたら一緒やからな」
・もう一度学び直す>シェアードプリント
・エアコンクライシス、からの、20年ぶりの買い換え、からの、ずっと寒いクライシス、ぜっんぜんあったまんない。
・ICOM京都大会2019報告会「あたらしいミュージアムのかたちとは?」@京都文化博物館。「おおむねライブラリー界隈の問題と同じだったので、もっとお互い食い込んでいかんと、ばらばらで議論してるのもったいないなって思いました。」
・島津製作所創業記念資料館
・R寄席・D寄席が終了。「やりがいの高いお客の年だったので、終わるのがさみしい」
・NII会議。安定のホワイトボード・ディスカッション。
・SORACHI会議。たくさんのハヤシさんをつくる。最大公約数約数×社会要請カスタマイズ。場の機能に逃げたらダメ、NYPLだってそもそも資料がしっかりあったうえでの話。
・『情報リテラシーのための図書館――日本の教育制度と図書館の改革』
・sli.do
・奈文研講師。sli.do、つるっと行く。
・下鴨車窓『散乱マリン』@旧明倫小。「あたし毎日何して生きてんだろ、って思った。また明日もその毎日になるんだろか。」
・自宅クライシス、始まる。
・京都府立図講師。sli.do、盛り上がる。
・自宅クライシス、具体編。
・AAS in Asia神戸
・『教え学ぶ技術 : 問いをいかに編集するのか』
・某女子会。ボタンを押し込む、自分を駒だと思ってる、不動産相談室、他。
・「お休み」という名のエアコン業者待ち。あと軟禁状態。情報共有の大事さを痛感、等。
・blog20周年おめでとう。
●1月テーマの進捗
1月テーマは設定していませんでしたが、
・絵馬 →まあまあめどが立った
・公演対応 →これは成功
・公演対応に伴うJLA更新 →これはそこまでは行かず
・居室対応 →それどころじゃないクライシスが多発
●2月の月テーマは
・AAS神戸対応
・OCLC執筆
・寄席枠組みの再構成
・ボストン準備対応
の、4本です。
全部やんなきゃ。