4月1日に書くと「どうせまたウソでは」と思われるので、日付変わる前に急いで書きました。
春は別れや旅立ちの季節ですが、異動のお知らせが飛び交う季節でもあります。かく言う私も、今の職場(日文研)に来て丸12年が経ちました。あたりまえのように自宅と職場の往復を繰り返す毎日が続くと思っていましたが、いまになってこんな異動の挨拶のようなものを書く日が来るというのを、なかなか信じられない思いでいます。もうすっかり自分の家のようになってしまったこの場所を、この春いよいよ離れることになりましたことを、ここにご報告致します。
わりと急に決まったことだったので、いまいち現実味がありません。また、もう十数年も移動ということから離れてしまってて、ちょっと勝手を忘れているということもあります。あまりに前のことなので、どんなふうに気持ちに整理をつけたり、どんなふうにタスクを片付けたり、どんなふうにあとから来る人のために諸々を整理したり、どんなふうにまわりに挨拶をしたりしてたか、あまり思い出せません。
さすがに10年以上同じところにいると、想い出の量も半端ないです。いろいろなことがありました。もともと蔵書は多かったと思うのですが、私がここに来てからもさらに毎年増え続けてましたから、とうとうリアルに置き場所がなくなってきてました。通常の図書館だとこういうときは除籍するなりせめて購入を減らすなりするのでしょうけど。うちでは、結果どうしたかというと、さらに建物を増やしてそこに図書を置く、っていう。移動させるだけでも大仕事で、ダンボールを乗せた台車が何往復したかわかりません。もちろん、たくさんの人にお世話いただいたからこそ実現したことですが。
また、出張やプライベートで海外に何度も行き、そのため留守にすることもたびたびでした。安心して旅行していられたのも、周りの人々のご理解とご協力があったからこそだと思います。もちろんそれなりにお土産は配ってまわりましたが。
もちろん、本当はこのままここを離れたくない気持ちで未練たらたらではあります。仕事についてはすでに他のところでいろいろ報告してきましたから、あえてここに書くようなことでもないでしょう。人はいろいろ言うかもしれませんが、個人的にいまのこの場所は居心地が良くてやりがいも生まれるし、長く同じところにとどまっていたからこそやりたいことがいろいろできたな、と思います。あと、これも人により好みが分かれるかもですが、私は結局ここの建物が好きでしたから。趣のある屋根といい、窓、しかも天窓から差し込む晴れた日の光といい、エントランスからのアプローチといい。駅からバスで数十分かかる立地はあまりいいとは言えないかもしれない、自宅ー職場間の通勤に1時間半かかると言うと皆一様に顔をしかめますけど、慣れると特にどうということはなかったです。静寂な中にたたずんでいるという環境も悪くなくて、何か視線を感じるなとふと窓の外に目をやると、おもいっきり見慣れぬ小動物と目が合う、なんてこともちょくちょくありました。
といっても、あちこちにガタが来てることも事実です。雨漏りや水濡れも少なくなかったし、そうでなくても湿気には常に悩まされる環境でした。紙だけじゃなく、意外と視聴覚資料も多いので、保存にはピリピリしがちでした。まあこの悩みは行く先でもそう変わらないんでしょうけど。もちろん電子化もがんばってやってはいますけど、量的にいってなかなか険しい道のりでしょう。
そうは言っても、いざここを離れることが決まると、それなりに新天地への期待も湧いてきます。自分なりのやり方で、徐々に慣れていけるんじゃないかなと思います。落ち着いた頃に、よろしければお立ち寄りください。
環境が変わっても、一司書として、世界人類のために働く。その気持ちには変わりありません。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
なお転居先は4軒隣で、平屋の借家です。間取りは2DKといまの自宅と変わりませんが、押入が2つあって収納が多いので、押入を書架にしたろうかと思ってます。瓦屋根や天窓は今の家と変わらず、かつ、リフォームのおかげで今の家のように雨漏りや水濡れに悩むことはなさそうです。こっちにも猫は出没しそうですが。実際の引越しは5月頭にしたいのですが、今の場所に2006年から14年住んでたので、本だけでなくいろんなものの整理に苦戦してます。もちろん、今のこの自宅にあるたくさんの想い出を整理するのも難しいものです。
まあ家は変わっても職場は変わりませんから、生活が大きく変わることもないでしょう。というわけで4月から13年目に入りますが、これからも同じ職場(日文研)でがんばります。まだまだやるぜい。
3月31日なので、嘘は書いてません。
言いたいことはそれくらいです。