2020年11月28日

今日の「ジャパンサーチ文献読み」メモ・2020.11


 たくさんあるね。


●デジタルアーカイブジャパン推進委員会・実務者検討委員会. 「3か年総括報告書 : 我が国が目指すデジタルアーカイブ社会の 実現に向けて」. 2020.8.19
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_suisiniinkai/pdf/r0208_3kanen_houkoku_honbun.pdf

・(つなぎ役について)
「○書籍等分野(国立国会図書館)
書籍等分野のつなぎ役として、「国立国会図書館サーチ」を運用中。国立国会図書館サーチ経由でジャパンサーチ試験版と連携している公共・大学図書館等のデジタルアーカイブは令和2年8月12 日現在で10 機関、12 データベース。これらのメタデータはCC0又はCC BYの条件で連携しており、メタデータのオープン化は促進されつつある。資料のデジタル化の推進、デジタルコンテンツの二次利用条件表示及び利活用の促進等の課題があるが、これらについては国全体としての取組が必要である。」
・「分野のメタデータ標準を作ることが難しいといった意見もあった。これらの課題を解決するためには、当該分野において主導的立場にある大規模なアーカイブ機関が、自らのメタデータ付与の基準や方法を公開していくといった解決策も考えられる」
・「中小規模のアーカイブ機関においてデジタルコンテンツの拡充を図っていくためには、アーカイブ機関が自らコンテンツのデータ整備に責任を持ち、つなぎ役が大きなプラットフォームを用意すること等により、役割・負担を分担することが望ましいという意見があった」
・「つなぎ役として分野/地域の独自性を反映したポータルが整備・提供されていない場合には、アーカイブ機関のメタデータファイルの取りまとめを行うことでも良い」
・「ジャパンサーチとアーカイブ機関との連携は、つなぎ役を通じて連携することを原則としている。しかし、現時点においてメタデータ集約を行うつなぎ役が明確ではない分野47・地域が多い。そこで、それらの分野・地域については、次の条件に当てはまるアーカイブ機関との直接連携を検討することとした。
 ○国の機関であり、当該分野におけるコンテンツを幅広くカバーしているアーカイブ機関
 ○公益に資する目的のため、当該分野におけるコンテンツを幅広くカバーしているアーカイブ機関
 ○唯一性・独自性の高いコンテンツ群を塊として扱う分野・地域を代表するアーカイブ機関
 ○その他(実務者検討委員会において適当と認められるアーカイブ機関)」


●[国立国会図書館]. 「国立国会図書館サーチ連携拡張に係る実施計画(2019改訂版)」. 2020.
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11475844_po_iss_plan_2020.pdf

・「国の中央図書館としての当館の役割に鑑み、図書館については、NDLサーチと直接連携することを基本とする。特に公共図書館のシステムとの連携は最優先で進める。長期的には、公共図書館、大学図書館が運営するデジタルアーカイブについては、網羅的に連携することを目標とする」
・「(令和2年度の実施事項) 
 3)大学図書館
 3-1)デジタルアーカイブ
 ○ データ件数が大きいデジタルアーカイブとの連携を順次進める。
 3-2)機関リポジトリ
 ○ 国立情報学研究所との協力により、網羅的に検索対象とし、コンテンツへのアクセスを提供することを目指す。連携拡張も、同研究所との協力で効率的に進める」


●国立国会図書館. 「各分野・地域におけるつなぎ役の役割と分担の明確化について」. 2019.12.16.
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_suisiniinkai/jitumusya/dai9/siryou4.pdf

・「特に地域のつなぎ役については、地方自治体が主体的に推進することが重要であり、社会教育施設や大学の役割と併せて考えていくという観点も必要」「現状、地域におけるつなぎ役となり得るのは、地域における規模の大きな図書館や大学等のアーカイブ機関であり、さらにつなぎ役のすそ野を広げるのであれば、複数の機関によるアライアンスを形成することも考えられる」
・「ジャパンサーチとの連携における役割の整理(例)」
「アーカイブ機関
1.つなぎ役に対し、ジャパンサーチにデータを提供するための文書(依頼状に対する回答書)を提出
2.つなぎ役へのメタデータ提供、又はジャパンサーチ管理画面におけるメタデータ登録
3.必要に応じ、ギャラリー及びテーマ別検索の作成・公開
つなぎ役
1.ジャパンサーチに提供されたデータの取扱いに関する文書取り交しの窓口(依頼状を受理し、回答書を発出)
2.ジャパンサーチと連携するメタデータの取りまとめ(ポータルがなくとも、ファイルでの取りまとめでも可)、又はメタデータの標準化に関する取組(ジャパンサーチにデータを提供する際の標準的なメタデータ項目の推奨)
3.ジャパンサーチと連携するアーカイブ機関/データベースの推薦
4.ジャパンサーチとの連携に関する情報提供窓口(連携に関する説明会の開催など)
5.ジャパンサーチに関する広報への協力
6.その他、アーカイブ機関に対する必要な支援つなぎ役」
・「当面の連携の進め方について(提案)」
「ジャパンサーチと連携するつなぎ役の必要最小限の役割を具体化し、ポータルの運営を必須としないつなぎ役を許容する。そのつなぎ役を通じて魅力あるデジタルアーカイブとの連携を進める。
→ つなぎ役のハードルを下げ、メタデータの集約を促す」
「連携機関数が一定規模に達するまでは…直接連携を進める。連携後、同じタイプの連携機関のグループ化を行い、つなぎ役の創出を促す」


●知的財産戦略本部. 「知的財産推進計画2020 : 新型コロナ後の「ニュー・ノーマル」に向けた知財戦略」. 2020.5.27.
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20200527.pdf

(文部科学省)「全国の大学等研究機関の人文学術情報の集約を継続し、人文学分野のつなぎ役としてジャパンサーチとの連携を促進する」


●デジタルアーカイブ学会SIGジャパンサーチ研究会. 「ジャパンサーチに関する提言」. 2019.10.30.
http://digitalarchivejapan.org/bukai/sig/japansearch/teigen

・「ローカルレベルの情報の収集方法の検討/地域型のつなぎ役の機能の明確化
 ジャパンサーチが国の統合ポータルサイトを指向する以上、これまでの、つなぎ役に集約されていた情報をジャパンサーチが収集するという構築手法のみならず、ローカルレベルからつなぎ役が新たに情報を収集して集約し、ジャパンサーチに投入する、という活動が今後のメインになる。特に地域型のつなぎ役については、余力がない上にデジタル情報の流通に関する準備が十分整っていない、市区町村等からの情報収集を如何に行うかが、そのカギとなる。
 地域型のつなぎ役の機能の明確化、特に収集にあたってローカルレベルへの積極的な支援活動に関する活動指針・スキルセット・資金充当の手段などについて検討されたい。」
・「海外の日本研究でのユースケースの充実や働きかけについて
 今回の研究会では、海外の日本研究での活用について提言があった。この提言では、海外での日本研究あるいは東アジア研究において活用するために、英語での発信が重要であるとするものである。海外での日本研究が日本だけを主題とするのではなく、東アジア研究の一環として行われることが求められる昨今、英語のみならず中国語にも目を向ける必要性がある。また、日本研究だけに特化するとしても、「やさしい日本語」のような取り組みに目を向ける必要がある。
 そのような理想の一方、どのように英語や中国語、「やさしい日本語」などに展開すればよいか、現時点で明確なわけではない。今後は、日本語に熟知した日本研究関係者(EAJS・AAS・東アジア日本研究者協議会参加者等)に協力を仰ぎ、多言語展開のありようを検討することが望ましい。」


●大谷周平. 「琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブのリニューアルとメタデータ設計」. JPCOAR Newsletter. 2020.9, 11.
http://id.nii.ac.jp/1458/00000238/

・2020年8月リニューアル正式公開
・JPCOARスキーマを採用
・IIIF対応
・メタデータの積極的流通を意図
・メタデータは、コレクション・資料情報・ページの3層に分かれる。
・メタデータの管理はGoogleスプレッドシート
・登録されたメタデータはあらかじめ設定したマッピングをもとにIIIFmanifestやJPCOARスキーマに変換する
・「JPCOARスキーマへのマッピングは右図のTwigテンプレートの文法で、タグの変更や簡易な条件分岐で柔軟に変更できます。」
・JPCOARスキーマに変換されたメタデータは、OAI-PMHによってIRDBにハーベストされる。IRDBからNDLサーチに連携する。
・JPCOARスキーマは、junii2と比べて、資源タイプの語彙が豊富。
・JPCOARスキーマはデジタルアーカイブを主要目的としていないため、メタデータ記述に迷うところがある(古典籍特有の事情、権利情報の対象範囲など)
・メタデータのサンプル
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1wgaObNnEa6DBoCUosbQhzrR1sxMroKhouIo99cSbZNw/edit#gid=0
・「JPCOARスキーマへのマッピングは右図のTwigテンプレートの文法で、タグの変更や簡易な条件分岐で柔軟に変更できます。」


●向井 紀子, 高橋 良平, 中川 紗央里. 「ジャパンサーチの連携コンテンツの概況及び連携拡充に向けて」. 『デジタルアーカイブ学会誌』. 2020, 4(4), p.333-337 
https://doi.org/10.24506/jsda.4.4_333

・「現状では、つなぎ役が存在しない、又は明確でない分野・コミュニティが存在するため、次の条件に該当する場合は、つなぎ役を介さない直接の連携を検討することとなっている」
 国の機関であり、当該分野におけるコンテンツを幅広くカバーしているアーカイブ機関
 公益に資する目的のため、当該分野におけるコンテンツを幅広くカバーしているアーカイブ機関(NHKアーカイブス)
 唯一性・独自性の高いコンテンツ群を塊として扱う分野・地域を代表するアーカイブ機関(渋沢栄一記念財団)
・「地域アーカイブとして、新潟大学(にいがた地域映像アーカイブデータベース)、南方熊楠顕彰館(南方熊楠邸資料)、三重県(三重の歴史・文化デジタルアーカイブ)及び県立長野図書館(信州デジタルコモンズ)の4機関のメタデータがジャパンサーチに加わった」「つなぎ役が明確でないが前掲の条件に該当するような地方や民間の機関との連携にも力を入れていきたい」
・「2020年7月には全国美術館会議をつなぎ役に、愛知県美術館(愛知県美術館コレクション)及び東京富士美術館(東京富士美術館収蔵品データベース)との連携が実現した」
・「全国書誌は国立国会図書館が網羅的に収集した国内出版物の標準的な書誌情報で、デジタルコンテンツのメタデータではない。博物館・美術館の作品等とその作品に関連する出版物の情報を一緒に検索できると調査研究に有用であるとの意見があったことから、デジタルコンテンツがないメタデータであってもジャパンサーチと連携している」
・「なお、現状では、デジタルコンテンツが存在し、かつ、権利区分が設定されているメタデータは、全体の一部に限られており、図3において約900万件が「該当なし」と表示されている。今後、これらの権利を具体化していくことが課題」

●村田良二. 「ColBaseとジャパンサーチの連携」. 『デジタルアーカイブ学会誌』. 2020, 4(4), p.338-341.
https://doi.org/10.24506/jsda.4.4_338

・メタデータフォーマットはLIDO(ICOM開発、博物館所蔵品向け)
・各館のメタデータをOAI-PMHでハーベスティングする
・NDLサーチと連携(2018年3月から)。ColBaseがリポジトリ機能を実装し、NDLサーチがOAI-PMHでメタデータをハーベストする。
・NDLサーチ側のDC-NDLは、「図書との親和性が高いように思われ、「ColBase」のような文化財のデータを扱うには制約が多いと感じられた。作品の「品質形状」や「所蔵者」などの基本的な項目であっても、「dcterms:description」にマッピングせざるをえず、「所蔵者:XXXX」のように導入句をつけるといった対応となった」


●中村覚. 「Cultural Japanの構築におけるジャパンサーチ利活用スキーマの活用」. 『デジタルアーカイブ学会誌』. 2020, 4(4), p.348-351.
https://doi.org/10.24506/jsda.4.4_348

・「国外の機関が所蔵・公開する日本文化に関するデータについては、ARC古典籍ポータルデータベースなどを除いて、それらの発見が難しい。そこで筆者らは世界中の機関が公開する日本文化に関するデータを収集し、それらの発見可能性を高める仕組みである「Cultural Japan[3]」の構築を進めている。メトロポリタン美術館やEuropeana、DPLAなどから収集した日本関連データを、ジャパンサーチ利活用スキーマでRDF化し、それらを検索プログラムで横断検索可能なサービスを提供している」
・「ジャパンサーチについては、そこで提供されるRDFストアにジャパンサーチ利活用スキーマ(以下、利活用スキーマ)に基づいて変換されたRDFデータ(以下、ジャパンサーチのRDF)が格納されている。Cultural Japanの開発対象範囲は、ジャパンサーチ以外の各国・分野別のポータルサイトから収集したデータについて、利活用スキーマに基づいて変換したRDFデータを格納するRDFストア(以下、Cultural JapanのRDF)、およびジャパンサーチとCultural JapanのRDFに対する一括検索機能を提供するアプリケーションである」


●齊藤有里加, 堀井洋, 堀井美里, 小川歩美. 「ジャパンサーチを利用した大学博物館所蔵の学術資料公開 : 蚕糸学術資料「蚕織錦絵コレクション」を事例として」. 『デジタルアーカイブ学会誌』. 2020, 4(1), p.s77-s79.
https://doi.org/10.24506/jsda.4.s1_s77

・Omeka SとIIPImageServerを使用してDAを構築
・ジャパンサーチとの連携に際しては、ジャパンサーチ側へメタデータを提供(アップロード)し、提供機関が独自に設定した「個別項目ラベル」とジャパンサーチ側で公開する「共通項目ラベル」との対応付けを提供機関側が行う。
・アイテム単位のURIやIIIFマニフェストURIが必要となる
・「ジャパンサーチからのアクセスにより、これまで館の専門性により蚕糸科学もしくは産業技術史領域からの限定的な研究利用が多かった本資料が、近代史や、民俗など多方面の研究者の目に触れる機会が増加すると考えられる。また、浮世絵資料においては、膨大な国内外の資料群との連携が可能になるため、美術資料としても利用されることが期待できる」


posted by egamiday3 at 20:57| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月17日

「2020年から2050年へ。「図書館」(仮称)をリ・デザインする!」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち) #図書館リデザイン

2020年から2050年へ。「図書館」(仮称)をリ・デザインする!
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f153

セッション1 過去から未来をつなぐ「図書館」(仮称)年表
セッション2 リ・デザインのためのワークショップ
セッション3 「図書館」(仮称)のためのファクトフルネストーク
ラウンドテーブル 2050年の「図書館」(仮称)を考える

 以下、メモ。
 <e>はegamidayさんの感想。

●「過去から未来をつなぐ「図書館」(仮称)年表」
・年表
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1UF2Kdo34dWnqqEPEyoyiU-JCFKpQbOC2vjJQxFwEAls/edit#gid=950636576

・図書館年表プロジェクトはオープンでこれから誰でも参加できるそうです。詳しくはファイスブック(https://www.facebook.com/LibraryRedesign/)で。
・<e>やはり未来を考えるときは、社会制度面より技術面の方が多く出がちなんだなという感想。社会とか制度とかってどうなるだろう。(そういう投稿をした)
・「図書館がどうなるか」、から、「図書館が何をどう変えるか」、へ。的な。
・<e>司書の役目や要不要を議論するとき、レファレンスとか対人サービスが前提にされることが多いけど、バックヤードやマネジメントにはだれか人がいるだろうという気がする。

●「「図書館」(仮称)のためのファクトフルネストーク」
・データ班はのんびり楽しげなので参加してね、とのこと。参加方法はフェイスブックかな(https://www.facebook.com/LibraryRedesign/ または https://www.facebook.com/groups/305646624119347/ か?)。
・<e>図書館がデータ/ファクトフルネスを収集保存編纂提供するのはもちろんながら、いかに活用しそれによって世界の何がどう変わるんだということを具体的に提示するとこまで(残念ながら)やってあげないと、伝わらない/アクセスしづらいのではないか。

●ラウンドテーブル「2050年の「図書館」(仮称)を考える」
・学校と社会外界との接点・交流点としての”学校図書館”という話が出てた。←<e>それはすごくありだと思った。児童生徒を学校内に囲ってしまわないという意味で。授業から離れた学びの支援こそ図書館の役目だろう、と思う。
・<e>諸々お話しを聞いての自分の考えとしては、「書を捨てずに街へ出よう」、と。図書館もデータも使わない人が大多数の世の中で、図書館の機能を活用してもらおうと思ったら、うざがられようが押し売りになろうが、こっちから”御用聞き”として行くしかない。(だから「館」の名が邪魔ではある)

 もうちょっと内容のメモっぽいこと残してればよかった、残念。

 と思ってたら録画が公開されているようですので、興味ある方はぜひ。
 https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f153
 良い感じの議論のタネがいっぱいあるイベントでした。
posted by egamiday3 at 20:09| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「デジタル人文学の可能性と未来」@国文学研究資料館 視聴メモ (デジタル源氏物語、 日本古典籍研究国際コンソーシアム 等)

第6回日本語の歴史的典籍国際研究集会「デジタル人文学の可能性と未来」
2020年11月7日
https://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/sympo2020.html

セクション@「NW事業から後継計画へ」
セクションA「「デジタル源氏物語」の構築と展開」
セクションB「若手研究者からの提案:テキストマイニング−KH Coderを中心に」

 主にセクション2の「「デジタル源氏物語」の構築と展開」がおもろかった&勉強になりました。

「デジタル源氏物語」
https://genji.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/
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(解説)
東京大学総合図書館所蔵『源氏物語』の公開(2019年6月)を契機に、有志により「『源氏物語』研究にとって有意義なデジタル機能は何か」という検討が始まりました。その成果の一環として、ここに「デジタル源氏物語 - 源氏物語本文研究プラットフォームを目指して -」を公開しました。当サイトでは『源氏物語』に関する様々な関連データを収集・作成し、それらを結びつけることで、『源氏物語』研究はもちろん、古典籍を利用した教育・研究活動の一助となる環境の提案を目指しています。また研究目的以外でも、『源氏物語』を広く楽しんでもらえるような機能の提供も視野に入れサイトの構築を進めています。
 テキストデータには、著作権保護期間が満了し画像が公開されている『校異源氏物語』(中央公論社、1942年)を用いました。本文の頁数は戦後の『源氏物語大成』校異篇(中央公論社、1953-1954年)と同じです。
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 東京大学総合図書館さんの所蔵する「源氏物語」54冊写本、室町末期写・おおむね青表紙系。これを2019年6月に画像公開しました、と。その際の”新しい試み”として、他機関さん公開の源氏物語画像(九大・国文研)や、「校異源氏物語」のテキストデータ、新編全集(JK版)、青空文庫等等を統合的に参照できるサイト「デジタル源氏物語」(=本文研究プラットフォーム&デジタル校本)を構築したという話。
 それを支えたのが、IIIFやTEIの積極的活用、ということのようです。

 以下、メモ。

・複数ソースの横断検索のために。索引→底本関係が複数あって、共通ナンバーを付与することでリンク付け可能にしている。ひとつは、「源氏物語大成」の校異番号という、源氏の本文研究にとっての基礎的なもの。もうひとつは、ネット対応しているジャパンナレッジに由来する新編全集のページ番号。なるほど。
・その、どの画像のどの部分が何ページにあたるのか、のページ番号付与にあたっては、「くずし字OCRと編集距離を用いた、校異源氏物語の頁番号の自動付与」、くずし字OCRは有用だけど、完全ではなく、それを補う”編集距離”概念が有用だった、と。第1段階でテキストデータ同士を比較して類似度を推測させ機械的に付与させる。しかるのちに、人の目と手で確認する。ちなみにその人手確認もビューワーで操作・確認がだいぶしやすそうなツールになってる。
・つまりは、CODHが提供するIIIF Curation Viewerや、Kuronetといった、ツールの有用さ加減が肝なプロジェクトだったっぽい。
・その54帖分の作業をやったのが、東京大学の図書館職員。図書館職員ってわりとこういう作業得意だし興味あるから、ぜひ図書館職員に協働をもちかけてください、的な呼びかけがあった。
・あと、『校異源氏物語』のテキストデータ(TEI/XML)DBを作成するにあたっては、Omekaを使ったよ、とのことですが、どう使ったかは聞き落とした。
・今後は「校異源氏物語」に未収録の伝本も追加して、一画面で参照できるようにすれば、「校異」を補完できるよねと。そうやって、今後も”追記可能”な”開かれた”システムにする、とのこと。というわけで、第3者機関本を追加可能なのでぜひご協力を、と。
・本プロジェクトのアドバイザーである永アさんから、「同様のプロジェクトを立ち上げる」にあたって、の話。このプロジェクトは専門家同士の連携が肝で、資料内容の専門家は、利用当事者が研究に実際何が必要かについて追及する。図書館員は資料を知り活用できる。IT専門家として中村先生みたいな人はそうそういないかもしれないが、外部化された/国際標準を使ったモデルや、既存のオープンもの技術を採用し、先行事例を活用することによって、新しい人に参加してもらう時のハードルが下がる、という考え方。そういった意味で、「日本古典籍研究におけるデジタルヒューマニティーズのモデルとして、このプロジェクトは今後重要な位置づけになるだろう」、との宣言が出た。(←<e>これはまさにおっしゃるとおりと思います。プロジェクトの組み方、専門家の連携、技術活用、それらのオープンさ加減などなど、めっちゃ、良い。)

 以下、<e>江上メモ。

・第3者機関の本も追加したいオープンなプロジェクトとのことでしたが、ただし、画像公開がオープンなところが連携対象であり、そうでないところは対象外、とおっしゃってるので、ということは源氏で参照すべき重要本をそろえるという活動なわけではないということであり、「国文学研究に有用なツール」というよりは「デジタルヒューマニティーズに有用なツール」という印象があります。
・また、東京大学の図書館職員さんがこのプロジェクトに図書専門家として参加してはいるものの、あくまで私的な勉強会、業務時間外、ボランティアベースであり、うん、まあ、なんとなく予想はしていましたがやはりその域だなと。
・あと、そもそもこの室町末期写本は、東大図書館で一般書庫に普通に配架されてたらしい。ほええ…。

 全体を通して、プロジェクトの発端的な発想やマインドは90年代末の「電子図書館事業」とそこまで離れてるわけではないと思うんだけど、あのころとはいろいろと仕上がりが違うし、スマートさもオープンマインドもだいぶ違うので、こういうのが時の流れがなせる業なんだろうな、と思いました。でも、ということは、20年経つとこれも古くなってるんだろうか…。

 あと、同じデジタルヒューマニティーズやデジタルアーカイブの技術の話でも、「源氏物語」が対象になってる話だと、自分の中で理解度が一気に高くなってて話がすいすいわかるのでした。歴史史料系のデジタルアーカイブなんかの似たような話たくさん聞いてきたはずなんだけど、いままでの自分は実はふわっとしか理解できてなかったんだなあ、といまさら気付く、っていう。やっぱあたし”文学の人”です。

 落ち穂拾い。
・「若手研究者からの提案:テキストマイニング−KH Coderを中心に」のセクション。小風さんがテキストマイニングについて、これは注目点を見つけ出すというものですので、期待しすぎず、人的解釈と分業で。結果を得るのではなく、問いを立てるためのヒントとして、と。これはおっしゃる通り。

 以下、「日本古典籍研究国際コンソーシアム」の説明と、ラウンドテーブル。
・設立趣旨。研究資源・人的資源の活用、グローバルな共働体制、等。
・参加機関は63機関(海外34、アジア、欧、米)。
・活動計画として、代表委員会(研究調査プロジェクト、教育活動など)、オンライン研究会、webサイト構築など。
・オンライン研究会は各機関から自由に。最大の目的は「日本古典籍の専門知識をオープンに」である。輪読からテキストマイニングまで。
・Dokuwikiを使った全機関による共同編集、ディレクトリ、カレンダー、wikiなどを計画。
・ラウンドテーブル。ハワイの登紀子さんが、ミュージアム所蔵の古典籍について言及(絵本はMuseumに行っちゃうので)。
・図書館に何ができるか、ネットワーク、資料活用、ワークショップ、等々の文脈で、富士川文庫はかっこうのモデルになるな、と。
・あとは埼玉大学の先生がいいことをおっしゃってたような気がするのですが、失念しました。

 総じて、録画されてたらアーカイブとして公開してほしい、有用な会だったと思われます。
 スライドもどこかで公開されてほしい。
posted by egamiday3 at 07:15| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月15日

「正式公開となったジャパンサーチを使ってみる」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち) #ジャパンサーチ

2020-11-06(金) 18:00 - 20:00
正式公開となったジャパンサーチを使ってみる
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f193

 デジタルアーカイブ学会のSIG「ジャパンサーチ」による。
 録画公開されていますので、↓どうぞ。

第22回図書館総合展フォーラム「正式公開となったジャパンサーチを使ってみる」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7P_DNRFw0YE&feature=youtu.be

 ワークショップは40人限定でzoomでおこなわれ、その他100数十名はyoutubeで前と後だけ見てるという感じ。
 今回使われ&その機能が紹介されたのが「共同編集(ワークスペース)」というやつで、全体通してその機能と魅力を伝えるという感じの話をしておられました。(この機能はまだ一般公開されてません)

 解説パートで聞けた話としては、「Cultural Japan(カルチュラルジャパン)」について。
https://cultural.jp/
・国外機関の日本文化資源の発見がまだ難しいので、それを探せる仕組みとして作った「カルチュラルジャパン」は、データ利活用促進と新規サービス創出がねらい。
・<e>確かに、「インフラとしてのジャパンサーチ」を上手に踏み台にして、別プロジェクトとしてきれいに料理盛り付けした感があるし、ジャパンサーチ側もそれを期待して運営してはるところあるしなという感じ。そういうふうな使い方をもっともっと、我々がやろう、って思った。
・中村覚さんの技術的解説。仕組みとしては、日本関係文化資源を含む海外のデジタルアーカイブから、データをCurturalJapanRDFストアに集めて、それとジャパンサーチRDFストアとを、CulturalJapanで統合している、という感じ。なので、これは「キュレーションだ」とおっしゃってるのがなるほどという感じでした。

 あとは新規のキュレーション機能である「共同編集(ワークスペース)」を使った学校での探究型学習の例を紹介。複数人でキュレーション作品をつくることができる。授業としては2週間に1回ペースで実施。
 担当の大井将生さんの、事例紹介、操作説明、その他もろもろが過不足ないポイントのおさえかたをしてて、すっごくわかりやすく安心して聞ける感じでした。
 cf.「[52] ジャパンサーチを活用したハイブリッド型キュレーション授業:遠隔教育の課題を解決するデジタルアーカイブの活用」  https://htn.to/2wKvX5Jbe1

 というわけで、このワークスペース機能は確かに学校で使うのにめっちゃ適してる感じで、素材がビジュアル、インタフェースが直感的、グループワークに適してる、そんな感じで、いいなー良さげだなーと思えるものでした。 
 だからこそ、ですが、いまはまだこれが一般公開されておらず、「ジャパンサーチ登録機関のみ」かあるいは「使いたかったらお問い合わせフォームから相談を送る」というような状態であり、非常にもったいない話だなと思います。一般公開される日が待たれる。
posted by egamiday3 at 18:43| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「学術情報基盤を支えるシステムと制度のこれから」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち) #niiLF2020

2020-11-05(木) 13:00 - 16:00
学術情報基盤を支えるシステムと制度のこれから
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f073

 CAT2020が始まっても「まだちょっとだけ続くんじゃ」なNIIさんの”これから”運動は、電子リソースやメタデータ流通などのまだいまいち弱い辺りに取り組んでいます、的な感じ。

 ↓当日プレゼン資料の一部が公開されています。
 https://www.nii.ac.jp/event/other/libraryfair/

 おおむね、電子リソース対応NIIシステム、各館図書システムの共同運用、等の話。

 それから、飯野さんの佛教大学Alma導入話。「図書館として世界と繋がりたい。日本の情報を世界に発信したい。国際的なコミュニティの一員として活動したい」というのがAlma導入の狙い。その他、BDSその他各種外部システムとの連携にゲートウェイをかませる話や、電子コンテンツのメタデータをNDL(DC-NDL)に流すゲートウェイが必要だという話。(<e>技術のすり寄せというよりは気質・思想のすり寄せだな、という印象。)
 極私的には、WorldCat連携に注目、書誌ダウンロード、日本書誌新規作成の提供、OCLC番号付与等々。

 以下、<e>江上メモ。
 一連の話を聴いててだんだんわかんなくなってきたのが、こういうとき盛んに「コミュニティ」って言うじゃないですか、でもじゃあここで想定されてる「コミュニティ」ってホントのところはどういう界隈なんだろうっていう。それって「大学図書館」なんだろうか。それ以外も含むだとかなり種々だし、大学図書館に限ったとしてもだいぶバラバラだろうとは思うから一緒くたにして大丈夫なのかとも思うし、なんならうちとこは大学図書館じゃないんだけどな。

 Alma導入で世界とつながる云々については、でもNIIさんがNCをOCLC WorldCatに投入しちゃえばだいぶ実現できる話なんじゃないかって思うんだけど、なんかあんまそういうのやってくれなさそうだしな、っていう。

 おそらくNIIさんでは国内の各大学図書館にAlma導入を布教しようとしてはるんだろうと思うのですが、それって国内ベンダーは黙ってるんだろうか、とちょっと思った。例えばOPACでの書誌データのリッチ化や、目次・概要・解題の全文サーチ/インデクシングなんかは、日本のシステムでもできるだろうし、少なくともうちとこはできてる。
 電子ジャーナルが日本上陸して20年も経ったいまこのタイミングで、それをやるのだろうか、と。
 まあでも、いまやんなかったらいつまでもやんないか。どっちみち、別に正解あるようなことをやってるわけじゃないんだから、できそうなことなりやりたいことなり、とりあえずやってみなはれ、ですね。

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2020年11月14日

「アフターコロナ・ウイズコロナ時代の図書館サービスを考える --全図書館ハイブリッド化に向けて」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち)

2020-11-05(木) 13:00 - 14:30
「アフターコロナ・ウイズコロナ時代の図書館サービスを考える --全図書館ハイブリッド化に向けて」講師:湯浅俊彦・淺野隆夫・沖田綾子
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f011

 裏番組(NII)と同時のながら視聴でしたが、気になったキーワードはいくつか出てました。

・学校図書館の電子書籍/電子図書館の導入&利用については、コロナでその移行が進みつつはあるものの、ハイブリッドな図書館をどうめざすかは、サービスの強みをどうするかであり、それは学校毎でちがうよね、という感じでした。
・電子書籍は、購入所蔵システムの安定性脆弱性を考えると、紙の補完か、と。
・自館コンテンツ作成スキルの習得が重要になる、という感じの話。
・で、結局デジタルが足りない足りないという話になり、「国内の図書館が文献をPDFで送ってくれないから、わざわざハーバードに依頼している、情けない」という話題になってた。ネット送信もしたいけど、出版社の利益の保証も必要、でもやっぱ電子でやりとりできるようにしていかないと、全体としてやっていけなくなるんだから、と。

 以下、<e>江上メモ。
 よく言われることですが、デジタルトランスフォーメーションについては、「出版社」や「図書館」のような既存のプレーヤーを無視して白紙からグランドデザインしたほうがいいのでは、と思いました。っていうか、そうか、YouTubeあたりがそれなのか、と。
 まあそれも含めて、別に1つの正解があるようなことでもないんだから、できそうなことなりやりたいことなり、とりあえずやってみなはれ、でいいんじゃないかな、っていう。
posted by egamiday3 at 20:33| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ジャパンサーチ正式版公開 --書籍等分野の連携及び利活用拡大に向けて」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち) #ジャパンサーチ


2020-11-05(木) 10:00 - 12:00
ジャパンサーチ正式版公開 --書籍等分野の連携及び利活用拡大に向けて
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f022

 得るところの非常に多い回でした。ジャパンサーチや二次利用の基本的なことはとくに変わらないのですが、デジタルアーカイブを実際に登録している3館の実例とお話が聞けたのが、結構に収穫あったです。こういうのをもっとやっていこう。

 なお、内容とはまた別の観点で、青デジの方のパワポhttps://www.ndl.go.jp/jp/event/events/lff2020_forum4.pdf)が非常によかった、と記しておきます。2度3度と「このスライド好き」とつぶやいており、久々に「よいレポート・プレゼン事例コレクション」に保存しました。
 なお当日のパワポはすべて下記にて公開されています。
 https://www.ndl.go.jp/jp/event/events/lff2020.html

 この時点での基本文献的なの。
「3か年総括報告書〜我が国が目指すデジタルアーカイブ社会の実現に向けて(令和2年8月 デジタルアーカイブジャパン推進委員会・実務者検討委員会)」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_suisiniinkai/pdf/r0208_3kanen_houkoku_honbun.pd

(1)講演T:
「ジャパンサーチとの連携に向けた二次利用条件整備について(PDF file: 1.7MB)」
高橋 良平 (電子情報部電子情報 企画課連携協力係長)
(2)講演U:
「デジタルアーカイブにおける二次利用条件整備の要点と課題(PDF file: 911KB)」
生貝 直人(東洋大学経済学部総合政策学科准教授)
(3)講演V:
「書籍等分野の連携事例報告@;デジタルアーカイブ福井(PDF file: 1.3MB)」
長野 栄俊(福井県文書館(福井県立図書館兼務))
(4)講演W:
「書籍等分野の連携事例報告A ;青森県立図書館デジタルアーカイブ(PDF file: 729KB)」
原田 綾子 (青森県立図書館奉仕課主幹司書)
(5)講演X:
「書籍等分野の連携事例報告B;慶應義塾大学メディアセンターデジタルコレクション(PDF file: 1.1MB)」
保坂 睦(慶應義塾大学三田メディアセンター課長)
(6)質疑応答:
司会 徳原 直子(電子情報部電子情報企画課次世代システム開発研究室長)

 以下、メモ。
 <e>はegamidayさんのコメント。

 その1、生貝さんの二次利用噺。「3か年総括報告書」に沿いつつ、おおむねこれまでに示された通り。
 例えば、機関がPD原資料の権利者だという誤解を招いたり、法を超えた追加のないようにしましょう、という言及。からの、法的意味はなくても「お願い」を伝えるという話。生貝さん邦訳の、Europeana「パブリックドメイン利用ガイドライン」には、「この利用ガイドラインは善意に基づきます」と書いてあった。

 その2、デジタルアーカイブ福井。
・2019年から開始。2020年3月NDLサーチ連携、10月ジャパンサーチ連携。
・古典籍、公文書、行政刊行物、新聞、人物文献検索など。(なお、新聞については「E2277 - 文化庁長官裁定制度による明治期地方紙のインターネット公開」カレントアウェアネス・ポータル
https://current.ndl.go.jp/e2277 を参照。)
・県5館・市2館での協同で、例えば越前松平家文書が県内で分散所蔵されているのを集約公開している。福井の”つなぎ役”を展望として持っており、超期待です。
・そのためか、「多様なメタデータのあり方を持つ多様な資料について、その多様なまま残すという方針をとった」という話もQ&Aで出てました。<e>こういうのもナレッジ共有されたい。
・デジタルアーカイブ公開によって、所蔵館があずかり知らぬところでデジタル化された初三郎地図が展示されたり、みんなで翻刻との連携がツイッター上で実現したりした。

 その3、青森県立図書館デジタルアーカイブ。
・うちとこの掲載資料は660点と決して多くないが、それでもジャパンサーチ連携できるんだよ、と。←<e>非常におっしゃる通りかつ聞き手に有用なツカミだと思います。
・API連携は無理であきらめようと思ってたけど、「ファイル連携ができるよ」とNDLさん側から打診があって実現した、とのこと(←<e>この事業はこういうのが肝だと思う)。で、結果、JSから青デジのデータをAPI取得できる、という嬉しいお土産つき。
・図書館/デジタルアーカイブ向けのパッケージ的システムに関する話の中で、「パッケージにダウンロード機能などの二次利用機能が不足している(あっても追加料金を支払わないといけない等))のは、図書館側がそのようなサービスを前提としていないからでは、というかなり重要な話がさらっと出てた。←<e>ユーザ側の意識というか責務的なことの問題として。
・<e>事情により発表原稿代読とのことでしたが、例えば「利便性向上のために、オープンソースを活用」とか「そのオープンソースでメタデータはどう流れる」とか、そのあたりもっと詳しくゆっくり聞きたかったなと思い、今後のデジタルアーカイブ学会あたりへのご登壇を期待しています。まとめかたもすごくわかりやすく、かつ多くの機関で実践の真似しどころが多い事業だと思うので、全国にナレッジとして広く共有されてほしい。

 その4、慶應義塾大学メディアセンターデジタルコレクション。
・慶應さんはさすが、国文研古典籍総合DB、デジタル富士川(京大)、GoogleBooksやArts&Culture、そしてNDLと、貫禄ある連携ぶりをしている。
・ただし、関与しているプラットフォームが複数あり、それぞれで二次利用条件が異なっているという、耳を澄ませたくなる話が出た。例えば、通常はweb公開画像であっても(コストかけて質を担保するという背景のもと)所蔵明示と有料対応だが、連携先のプラットフォーム(他資金による撮影等)では先方の意向にしたがってCC0にしたりする等。
・そしてJS+NDLサーチへのメタデータ提供は、スプレッドシート方式らしい。<e>ね、それで充分じゃないかなって思うんですけど。
・かつ、慶應さんも、自学のWSDにデジタルアーカイブのメタデータを投入するのにNDLサーチから取得しているという、これも興味ひかれる話。

 <e>なお、「こちらが許諾無し公開でも、営利利用者側が許諾を求めている」という話が出てましたが、そうですね、そういうのはうちとこでも具体的にちょくちょくありますよ。



posted by egamiday3 at 20:27| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月11日

「図書館システムのニュー・ノーマルを模索する」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち)

2020-11-04(水) 15:00 - 16:30
飯野勝則 × 北山信一 - 図書館システムのニュー・ノーマルを模索する(日本と世界の図書館システムを考える Vol.2)
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f063

 この回のポイントは2つ。
 1つめは「WSDがいかに有用か」で、コロナ禍で使用数は増加しているし、特にファセットが大幅に使われるようになったし、電子資料の増加でさらに有用性が増している、というような調子で、あれ、同じ大学図書館のWSD噺でも、午前中のカーリル回(http://egamiday3.seesaa.net/article/478294103.html)とは真逆の世界観だな、知らぬ間に転生しちゃったかなというくらい。ので、ためしに質問機能で「午前中の別の回では「遅い」ってクレームが多いという評判でしたけどどうですか」と尋ねてみたけど、「いや、そんな言うほどでもない」ていう感じでした。そもそもうちとこはWSD導入の余地もなく、普段遣いしてない立場としてはどっちがあたってるかが感覚的にわからないので、ユーザ満足度や行動履歴とかを数字で見なきゃな、と。イサカレポートの日本版的な。

 2つめのポイントは「佛教大学さんAlma導入」の噺。
 ・Alma導入目的は、世界的な図書館コミュニティの一員となるため(でもCATPベースではありつづける)。
 ・CATP→MARC21の、未経験のデータマッピングに苦心した。一部データを捨てる決断もしたのは、心配はしたけど結局大丈夫だった、だいぶキレイになりましたよとのこと。
 ・OpenBDからデータを取り込んで、書誌のエンリッチメントを実現させた。
 ・電子資料管理が向上した。特にコロナ禍で有利。

 紙も電子も関係ない、見つけたものを使う、という探索環境の整備をどうするか、というお話だったと思います。あとはOCLC Webcatにも参加ということで、今後その詳細が聞ける機会を楽しみにしています。
posted by egamiday3 at 04:12| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月10日

「これからの日本の科学研究を発展させるために〜若手研究者をどう支援するか〜」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち)

11月4日(水) 13:30 - 16:25
これからの日本の科学研究を発展させるために〜若手研究者をどう支援するか〜
https://www.elsevier.com/ja-jp/events/japan_event/library-fair-2020

 以下、メモ。

 前半、基調講演。

『日本における学術の発展に向けて〜若手研究者支援を中心に〜』
 三成 美保 氏(奈良女子大学副学長・日本学術会議前副会長)
・新たな評価指標が重要。現状の問題は、競争過多・定量的評価、と、ポスト不安定(プロジェクト型、任期付き)により、チャレンジングな研究を回避する傾向にあるという問題。研究評価のあり方と不安定さは、研究内容に影響するだけでなく、”無意識の偏見”への抵抗もライフイベント両立もできなくさせる。
・任期付きポストの財源が、競争的資金だけでなく基盤的経費からも出るようになって、任期無しを増やさない傾向にある。博士号取得者は減っており、取得しても職がない。
・任期付きの研究者は女性が多く、特に国立大学で差別感が多い。小泉政権下での”202030目標”の結果、数値達成のため若手女性研究者を任期付き雇用、という傾向にある。ライフイベントと研究の両立問題、職場理解や育休などにおいて女性にしわ寄せが来る。
・時間がかかるタイプの研究への評価では、任期付き若手が不利。ポストの流動性と、前職業績評価が問題、等。
・雇用安定化のためには、博士号取得者のキャリアパスを産業界に組み込むことが重要、特に文系博士。
・評価のあり方においては、ライフイベント期間を評価上加味すること。(評価指標を拡大する必要はあるが、むしろ競争激化が懸念される、と)
・研究進学を目指す学生を育てるために(<e>ここが「若手研究者支援」か)。研究の魅力を学内外に伝える、そこで図書館ですよ、とのこと。産業界は多様なキャリアパスを受け入れること。官はワークライフシナジーを。

 後半。

『若手研究者のための新しい図書館のありかた』深澤@早稲田
 図書館システムの早慶共同運用の話。仮想的早慶大学図書館という考え方、自館蔵書は学内のモノ、という概念を捨てようという。
 他は、ビックディールの話等。

『大学図書館のデジタルトランスフォーメーションを前提とした研究支援の方向性』竹内@千葉大
 コロナで、これまでやっとくべきだったデジタル移行をしてなかったことが露見した。
 からの、千葉でこれだけやったという話。リポジトリ(デジタル移行)とアカデミックリンク(考える学生の育成)。空間(リアル+バーチャル)、コンテンツ(デジタルスカラシップ)、人的支援、と。
 大学図書館 as 学術情報基盤のデジタル移行(DX)、の話(契約利用条件、プラットフォーム、識別子等)。それと、研究から出版へという「知の創出」プロセス全体がデジタル移行(DX)しているのであって、そこに図書館が関与しに行くことがポイント、という話。このあたりはこれ単体で1企画になるレベルの話題であり、もう少しゆっくり、議論交えながら聞きたいところではあります。

『ニューノーマルを見据えた図書館を求めて:東北大学附属図書館の取り組み』大隅@東北大
 「東北大学コネクテッドユニバーシティ戦略」などを例に、図書館の役割が研究プロセスの全体に関わってくるんだ、という話、これは竹内先生@千葉大と同じ。
 「授業支援のための図書館資料電子化サービス」(<e>←これだよなあ。)はやった。電子ブックの整備強化が今後の課題(<e>←これもマジ)。


 以下、総じての極私的感想。
 それぞれのスピーチはとても興味深く、聴き応えある、いまこの業界が基本として共有すべき話題であっただけに、サブタイトルの「若手研究者への支援」というテーマから想起できるような直接的な議論や問題提起が少ないかほぼ無かったことが、かなり残念ではあります、正直そのワードに釣られて聞きに来たので。総じて「研究の発展のために」という話であり、サブタイトルだけが違和感として浮かんでる扱いになってたのは、なんだろう、若手研究者問題自体の認知度の問題なのか、企画ミスなのか。
 それから、前半の基調講演で提起された「研究の魅力を伝えるという役割を、図書館に期待する」という話を、後半でまるっきり否定される(注:講演者は不在)というロックな展開もなかなか刺激できてはありました。それこそ研究プロセスの一端への関与であり、発信装置としてのメディア/プラットフォームの機能を図書館が備えるという意味では、「リ・デザイン」の話だと思うので、いまはまだそれほど見向きされないか無理夢語りであったとしても、もっと奔放に議論していい話題なんじゃないかなって思たです。

 超充実&参照したいレジュメパワポリンクはあるのですが、公開はされてないようなので、必要な方はお知り合いを頼るなどしてください。
posted by egamiday3 at 12:44| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月09日

「いまこそオープン JPCOAR2020」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち)

2020-11-04(水) 13:00 - 15:00
いまこそオープン JPCOAR2020
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f007
https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/?page_id=152

 裏番組と同時にながら視聴。

 納得したのは、南山さんの発表で、

 南山泰之「JPCOARによる研究データ管理教材の開発状況
  http://doi.org/10.34477/00000250

 支援者向けRDM教材へのアンケート結果で、「関係者間で基礎知識を共有する上で、このようにまとまった教材が提供されているのは非常にありがたい」「このような教材はまだ日本にはない」「この講座以外なしでは研究データ管理を始めるのは難しい」のあたり。
 確かに、教材やトレーニングツールの開発は、学ぶこと教えること自体よりも、それがあることによって”リテラシー”の外枠を整理して、共有できるというところに利点があるのだからな、という感じです。
 まあ「教科書をつくろう」っていうのはそういうことだし。裏返せば一種の権力行使ではある。

 「これいま「ナレッジマネジメント」の話としてなるほど的な話をしてますね」と自分がツイートしてたのはたぶんこのことだろうなと。

posted by egamiday3 at 07:50| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月08日

2020年10月のまとめ

■2020年10月のまとめ

●総評
 オンライン学会と寄席準備x3により、さくっと時間がなくなった感じ。
 11月は二の轍を踏まぬよう、意識的に注意。

●10月のまとめ
・人生の選択クイズはだいたいとっさに出題される
・日本図書館情報学会研究大会
・寄席講義動画の公開録画(egamidayの配信練習(20201004))
・三浦春馬くん
・「デジタルアーカイブ論構築」@デジタルアーカイブ学会
・「極私的に言うと、デジタルアーカイブとは「未来の図書館をつくる」」
・大学図書館問題研究会全国大会。驚きの調査結果。
・ILL送料無料化開始
・「寄席終わって、ビール飲みながらクイズ見る至福」「ビール飲みながら、これはいい問題、とか言ってる至福」
・「MANGA都市TOKYO」@国立新美術館
・「Inside/Out ─映像文化とLGBTQ+」@早稲田大学演劇博物館
・後藤醸造
・ついにクイズノック動画と早押しアプリに手を出してしまう。
・災害と図書館
・デジタルアーカイブ学会研究大会。いま一番熱く、勉強になる、未来の図書館を作る会。
・ゆるトレッキング、原谷
・「立ち位置は見つけるじゃなく作る」
・「好きしか知らないし、楽して生きたい。」
・図書館案内動画撮影。シナリオ打ち合わせと一発撮り等。
・「国際日本文化研究センター | 図書館総合展」
 https://2020.libraryfair.jp/online_tour/2020/37
・ナントカ世代「その十字路の先を右に曲がった」(リーディング再演)
・ゆるトレッキング、若王子〜東山〜蹴上
・平熱35℃台半ば説が浮上。
・「紀要の魅力と大学の役割」
・まさかのネズミクライシス
・『夏の夜の夢』
・『学術書を読む』
・『モモ』
・「弐」(京都醸造)

●10月テーマの進捗
 ・セキュリティ →3点(10点中)
 ・寄席登壇と下ごしらえ(読み書き)のリズムをつかむ →時間かかる。
 ・アウトプットの増やし処をカルティベートする(謎) →あ、ちょっとだけできたな。でもまだ足りぬ。

●11月の月テーマ
 ・デジタルアーカイブの再来
 ・調整活動の再開
 ・セキュリティをもう一回
 あと、図書館総合展。

posted by egamiday3 at 12:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月05日

「大学図書館の検索インターフェースを考える座談会」視聴メモ ( #図書館総合展 2020まとめのうち) #カーリル

(20201117追記)
 録画公開されました。
 https://www.youtube.com/watch?v=ms8-pJ0kiRs


2020-11-04(水) 10:30 - 11:50
大学図書館の検索インターフェースを考える座談会 | 図書館総合展
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f039

 筑波大学図書館さんは、それまでのSummonベースのOPACをブラッシュアップさせたいと考えていたところ、京都府立図書館OPACの速さに注目し、カーリルさんに声をかけた。SummonのようなWSDはどうしてもレスポンスが遅く、かねてより不満の声があったという。カーリルさん側としては学術図書館向けの開発は初めてだったのが、その検討経緯において多くの気付きを得られ、それをぜひ大学図書館業界で共有したい、という熱いぶっこみからこの企画がうまれたという。たぶんそういう物語(ストーリー)。

 出演。
吉本龍司 カーリル
松野渉 筑波大学附属図書館
大向一輝 東京大学大学院人文社会系研究科
上野学 ソシオメディア
白石啓 ポップインサイト

 後日アーカイブ公開されるかものようです。
 通知受けとりたい方はこちら→ https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f039
 
 以下、メモ。
 <e>は、egamidayさんのコメント。

・図書館は、外部の提供者からの情報資源を、学内の利用者へ配信する流れの、中間に存在する。そして外部提供者は複数多様である。(←<e>ここもうちょっとちゃんと聞けてなかったけど重要そう)
・学生の検索への要望は、圧倒的に速度。速度によってユーザエクスペリエンスは相当改善される。
・一方、司書が業務上の文献探索でWSDを使用するのは、わりと早めにあきらめがち。
・そもそも、メタデータスキーマが異なるものを雑多にまとめても”確認”にはなりがたい。
・学生の検索行動の例。Googleスカラーで文献を見つける→所属大学図書館で所蔵/アクセスを検索する。学生も学内所蔵/アクセスのためにOPACとして使いがち。(←<e>これは、目的のはっきりしているある程度レベルのユーザの場合だと、おっしゃるとおり)
・いまのOPACはPCで使いやすいがスマホで使いづらく、そのため、OPAC検索するために図書館に行ってPC使う、と言う学生。うー…
・新しいものを作るアプローチとして重要なのは、技術的な新しさというより、「意味的な変化」。例えば任天堂のwiiが、ゲームを一人・個室から、家族・リビングに変えたように。検索システムの模索ではなく、検索とは何かの模索。(上野さん)
・「NDL情報探索サービス」という提供側目線の名前だったのを、「ユーザが一元的に検索したい」という意味合いで「国立国会図書館サーチ」にしたという話。(上野さん)
・(これも上野さん)いまのGoogle検索のような何か入れて何か出てくるのを期待、というのは検索というよりは「レコメンド」である、と。「3分22秒」→「4分33秒」。(大向さん)レファレンスだ、と。
・ユーザの検索行動を知るの例。ユーザにつぶやきながら検索してもらう。なるほど。
・謎のボタンをなくす時の知見、という話。追加した機能は減らせない(「使ってたのに」と言われる)ので、追加は慎重に。要求をそのまま反映するのではなく、その背後にある原理を見極めるのが必要。これこれがほしいと言われてそれをそのまま作ってもその実使われないことが多い。それはどうしてかを考えないと、と。それはおっしゃる通り。

 以下、<e>のメモ。
・職員や学生にとても丁寧にヒアリングしている様子がよくわかる語りだった。
・ディスカバリーシステムが実現してくれるのはどちらかといえばセレンディピティに近いのでは。情報探索の目的がはっきりしている人ほどもどかしいのではないか。
・一方で、レコメンドとしての検索、あるいはレファレンスとしての検索なら、それこそWSDが適しているという気がする。まあそのくらいのことはWSD素人のegamidayさんが思うまでもなく既出なんでしょうが…。
・というわけで、あたしがWSDを使いたいと思うとしたら、既存のデータベース類を個々に自力であれこれ試して、手詰まりになってきたときにワラをもつかむ感じで、だなあと。
・あと気になったのは、職員に要望出させたら次に出るのは、貸出予約ILL情報等の図書館システムとの連動になるけど、そこをどう考えたか。それと、海外英語文献を中心に使う院生以上研究者教員というユーザ層が、今日言われた学生層と同じように感じているのかどうか、あたり。

 新しいものを作るときの考え方については、とてもおっしゃるとおりで、まあだからこういうのは調達時期が来ちゃう前の余裕があるときに検討しないとですね。(はっ、うちとこは今がその時期だ…)

 なお、上記メモで赤字にしまくったあたりの、上野学さん(ソシオメディア)の話がよくわかる&大事な話が多くて、ご著書拝読したいと思いました。(自分に理解できるかはともかく)
 ↓これかな。
https://www.sociomedia.co.jp/10046
オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理 WEB+DB PRESS plus - ソシオメディア株式会社, 上野 学, 藤井 幸多, 上野 学
オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理 WEB+DB PRESS plus - ソシオメディア株式会社, 上野 学, 藤井 幸多, 上野 学

posted by egamiday3 at 09:37| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする