2022年06月19日
今日の「CA読み」メモ: 生産的相互作用、そらまめの会、『大学図書館を再定義する』 他
●E2476 - 日本学術会議の研究評価に関する提言について
https://current.ndl.go.jp/e2476
「研究評価はアカデミアのピアレビュー(専門家による評価)のみに委ねられるのではなく,大学・研究機関の機関評価(予算配分)や研究者個人の人事評定に使われるようになり,特定の定量的評価指標(数値指標)が一人歩きしている」
「欧米では,定量的指標への「過度の依存」が強く警告されている。2012年のサンフランシスコ宣言(DORA)や2015年のライデン声明を始めとする国際文書では,研究評価の基本は各分野の特性を活かした定性的評価にあり,定量的評価はあくまで補助的に用いるべきと指摘」
「新しい試みの一つが,提言でも言及されている「生産的相互作用」という考え方である。これは,学術界・産業界・行政・NPO・市民などの多様なアクターが結びつきながら社会的インパクトが形成される過程を評価しようとするというもの」
「図書館は学術界と市民社会をつなぐ「生産的相互作用」の拠点となり得る。書籍や論文などの研究成果が,地域の活性化や文化の伝承,災害対策,社会問題解決のために,市民や行政によって研究がどのように活用されているのか。社会的インパクトを可視化すること」
●E2478 - シンポジウム〈見せる/魅せる〉近世文学<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2478
「日本文学の基礎知識が無く,書かれた文字自体を読むことの出来ない人々を対象としている海外の2機関のパネリストの発表からは多くの示唆を得た。書物のマテリアリティの魅力を伝えること,本文の英訳を備えることなど,日本国内でも検討に値する取り組み」
●E2479 - 市民NPO「そらまめの会」による指宿市立図書館の運営
https://current.ndl.go.jp/e2479
ただただ尊敬するばかり。
「市民NPOによる指定管理の持続モデル」
「2006年に指宿市立図書館が指定管理になることが決まった際に,「自分たちのまちの図書館は自分たちで守る」という思いから,筆者ら地域住民が立ち上げた」「指宿図書館・山川図書館の2館からなる指宿市立図書館の指定管理者として図書館運営を開始」
●E2482 - 第32回保存フォーラム:図書館における資料防災<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2482
報告2「米国の大学図書館における所蔵資料の防災の取組」(ハワイ州立大学マノア校図書館資料保存司書・日沖和子氏)
「資料防災は,長期的に多くの関係職員の理解と協力を得て行っていくべき事業である。しかし,実際に被害が起こった際にしか成果が発揮されないため,モチベーションの維持が難しい。日沖氏はハワイ州立大学マノア校図書館の職員構成や,資料防災研修の内容への工夫を取り上げながら,職員の興味関心を維持するため,実習的内容を取り入れるなどその都度内容を変化させ,時には数年研修を行わない期間を置くことを視野に入れる」
●E2484 - 台湾の総統図書館設立の動き
https://current.ndl.go.jp/e2482
「台北市の中正紀念堂を廃止し,その施設を歴代総統図書館に転用することを提案する。蒋介石氏の名(中正)を冠してその事績を顕彰する中正紀念堂は,民進党政権になって,過去の権威主義体制の象徴的建造物として,そのあり方の見直しが議論されている。国史館は,蒋介石氏の記念物を単に撤去するのではなく,同氏の生涯を中正紀念堂や台湾社会の変遷とともに示し,異なる立場間の対話を促すことが,過去の人権抑圧を清算し,国民の和解を促す「移行期の正義」の実現に欠かせないと主張している。」
●E2486 - デジタル化及びデジタルアーカイブ構築の現状と未来<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2486
「東京国立近代美術館の長名大地氏から,同館の刊行物を公開している「東京国立近代美術館リポジトリ」の概要や,ガラス乾板をはじめとする所蔵資料のデジタル化の取組等について」
「滋賀県愛荘町立愛知川図書館の三浦寛二氏は,小規模図書館のデジタル化事業として「あいしょうデジタルライブラリー」(E2474参照)を紹介した。愛荘町立図書館で収集に力を入れている地域資料としての写真について,職員の手でデジタル化と登録を行い,既存の町のウェブサイト上で公開することで,ほとんど予算をかけずにデジタル化を実現した」
●E2487 - 教育現場への古典籍無償貸出プロジェクト「和本バンク」
https://current.ndl.go.jp/e2487
同志社大学古典教材開発研究センター
「有志から明治時代以前の和本(日本の伝統的な装訂で作られた書物)を募り,寄贈された書物を授業での使用を検討している小学校・中学校・高等学校・高等専門学校の教員へ無償で貸し出す「和本バンク」のプロジェクト」
授業実践例「古典への興味関心を高めることを目的に,グループごとに異なる和本を配付し,文字・挿絵・大きさ・重さ・紙という5つの観点から,現代の書物との相違点と共通点を考察してもらった。」
「存在するだけなら文化遺産である。しかし,それが活用されると文化資源となる」
●E2491 - 図書館のビジネス支援活動を推進するガイドブック(米国)
https://current.ndl.go.jp/e2491
「全米各地から規模や地域が多様な13の公共図書館が選ばれ,ビジネス支援の方法や提供サービスの内容について実証を重ねてきた。」
「5項目にわたって,実践的なアイデアが列挙され,多くの事例が紹介されている」
●E2492 - レファレンスと研究の関係性:『近代出版研究』創刊
https://current.ndl.go.jp/e2492
「日本は近代本の書誌学が立ち遅れているため,専門家がいないに近い状況だった(西洋書誌学は「古典」と近代を分けない)」
●E2493 - 公立図書館での迷惑行為を理由とした入館禁止処分の適法性
https://current.ndl.go.jp/e2493
「迷惑行為の具体的態様やこれが今後も継続する蓋然性,当該処分が当該利用者に与える不利益の程度を総合的に考慮するとともに,直ちに処分を行うのではなく,警告等を行った上で,当該利用者の行動に改善が見られるかという点も踏まえて,処分の要否及び内容について慎重に検討する必要」
●E2494 - Web NDL Authoritiesの拡充:著作とジャンル・形式用語
https://current.ndl.go.jp/e2494
「NDLでは,資料が復刻・翻刻または翻訳(現代語訳・口語訳を含む)された古典作品の場合と,日本語訳のタイトルが複数存在する近現代の外国語作品の場合に,その原著作に対応する著作典拠を作成している。」
”ジャンル・形式用語典拠”か”件名標目”か。要確認。
●E2495 - 日本における大学図書館のグランドデザイン<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2495
「本シンポジウムの開催の契機は2021年夏に公表された日本私立大学連盟による提言「ポストコロナ時代の大学のあり方」である。この提言では図書館等の設置・配備を規定した大学設置基準第38条の削除が明記され,大学図書館をはじめとして各方面に大きな衝撃を与えた」
「米国においては,University Leadership Councilにより2011年に『大学図書館を再定義する:デジタル情報サービスへ上手に移行する』が出版されている」
↓これを要確認。
・University Leadership Council. Redefining the Academic Library: Managing the Migration to Digital Information Services. The Advisory Board Company. 2011, 78p.
https://utlibrarians.files.wordpress.com/2012/01/23634-eab-redefining-the-academic-library1.pdf
●E2496 - SPARC Japan セミナー2021<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2496
「2022年2月22日にSPARC Japanセミナー2021「研究データポリシーが目指すものとは」」
「大波純一氏(国立情報学研究所(NII)オープンサイエンス基盤研究センター)からは,「学術情報インフラが実現する研究データの管理と循環」と題した講演があった。三宅氏の講演をふまえ,研究データ管理に向けたメタデータの共通項目や,GakuNin RDM(E2409参照),JAIRO Cloud,CiNii Research(E2367参照)からなるNII RDCの構成が説明された。」
●E2498 - 「読みたくなる図書だより」をめざして
https://current.ndl.go.jp/e2498
「捨ててもいいような図書だよりを作っているのは私か」
●E2502 - Gallicaの利活用促進・創出戦略<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2502
「本イベントは,Gallica(CA1193,CA1905参照)の多彩で斬新なサービスを詳しく知り,日本におけるデジタルライブラリーの活動を踏まえて意見交換する機会となることを目的として企画された」
「「里親制度」について質問があった。これは利用者がデジタル化を希望する資料を指定しそのための寄附をする制度で,寄附者の名を残すことができる。」
「事業を展開する側の主体性という観点から「戦略」というテーマを掲げたが,それは実はユーザーに負うところが大きいと実感させられる機会であった。それは,大場氏の「研究者が使う,研究の発展に生かす,SNSで話題になる,つまりユーザーが電子図書館を支えてくれる」という言葉に端的に示されている」
今日の「CA読み」メモ: 「怒りの声は「エンパワーメントの貴重な源」であり,それが求めているのは,罪悪感ではなく,中身のある「変化」である」 他
●E2456 - 『渋沢栄一伝記資料』とデジタル化の現在
https://current.ndl.go.jp/e2456
「2019年度からは東京大学大学院の人文情報学の講座において,別巻第3・第4に収められた渋沢の書簡テキストの活用が行われている。2020年度と2021年度には国立歴史民俗博物館総合資料学奨励研究に採択された研究プロジェクトにテキストとページ画像を提供し,その研究成果として2021年4月に「渋沢栄一ダイアリー」(別巻第1・第2),2021年12月に「渋沢栄一フォトグラフ」(別巻第10)が公開された」
「2021年に新たに国文学研究資料館で公開された渋沢栄一の日記など,デジタルアーカイブ同士の連携を強化し,広大なデジタル空間における位置を定めること」
●E2457 - フィンランド公共図書館のデジタルメディアプロジェクト
https://current.ndl.go.jp/e2456
こういうことをふだんからやんないとなんだなあ。
「図書館員向けにライブチャットによるオンライン意見交換会を行ったほか,地方選挙の期間に合わせて「#tulevaisuudenkirjasto」(未来の図書館)というハッシュタグを用いたTwitter上のキャンペーンを実施し,図書館の未来についてビジョンを語ることを政治家に促した」
●E2458 - 愛知県図書館開館30周年記念講演会<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2458
基本、偉大の話だった。
●E2464 - 2021年世界図書館・情報会議:IFLA年次大会<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2464
・Expanding Global Digital Access through Controlled Digital Lending
「IFLAが2021年6月に発表した,CDLを支持する声明の内容として,各国における政策を考慮する必要があるとしつつ,収集・貸出の自由は図書館の核となること,デジタル環境での資料の利用は紙媒体と同様の柔軟性を持つべきである」
・International Guidelines for LGBTQ+ Library Resources and Services
「差別的な法制度がある国・地域をはじめとしてLGBTQ+コミュニティにとって図書館は必ずしも安全な場所ではないこと,既存のツールキットやガイドラインの内容は英語圏に偏っており,他の国・地域で有効とは限らないこと等」
「近年の法制度を紹介すること,事例や視点を共有することを目的に,同協会が策定・公開したガイドラインの紹介があった。ガイドラインには,図書館における取組,物理的な図書館・電子図書館に関する推奨事項の他,図書館の取組に対する批判・支持の声等」
●E2465 - 大学図書館とWikipediaの連携がもたらすものは?<文献紹介>
https://current.ndl.go.jp/e2465
Bridges, L.M.; Pun, R.; Arteaga, R.A. ed. Wikipedia and Academic Libraries: A Global Project. Maize Books, 2021. ISBN 978-1-60785-672-6.
各章でとりわけ言及されているのは,エディタソンの事例。
「学生はWikipediaを編集する過程で,情報リテラシー,ライティング,批判的思考,学問的誠実性,デジタル・シチズンシップ等のスキルを獲得する。なぜならWikipediaには「検証可能性」「中立的な観点」「独自研究は載せない」等の方針があり,編集の際には情報の検索や批判的な精査,あらゆる観点からの公平な描写,情報源の適切な要約や言い換え,出典の記載等が求められる」
「ボランティアたる編集者(その大多数は男性である)の関心がコンテンツに反映されやすい構造も一因となり,女性やマイノリティに関する記事が少ない,もしくは内容が偏りがちであるという課題をWikipediaは抱えている」
「学術論文の書誌情報あるいは図書館の目録データをWikidataに作成する試み(E1517,E1570参照)や,Wikisourceを用いて図書館員が共同でデジタルコンテンツのデータ整備を行った例も,データやコレクションの発見可能性や利便性を高めるアプローチとして興味深い」
「教育ツールととらえた場合,そのオープンな特性はむしろ強みとなることを本書は教えてくれる」
●E2466 - 図書館・博物館のソーシャル・ウェルビーイングへの貢献
https://current.ndl.go.jp/e2466
「1)図書館・博物館は教育やリテラシー育成による健康の増進など,社会サービスの提供における重要な存在であること,2)個人や組織のネットワークを促進する機関であり,コミュニティの紐帯を強化していること,3)信頼されている機関として,情報や交流の場を提供することにより,ソーシャル・ウェルビーイングにインパクトを与えていること」
●E2467 - BIPOC図書館員の労働を白人が盗用することへの抗議声明
https://current.ndl.go.jp/e2467
「「黒人・先住民・有色人種」(以下「BIPOC」)」
「有色人種の(主に女性)図書館員から成るオンライン上の組織であるWOC+LIBから「黒人・先住民・有色人種による労働を,白人が盗用することへの抗議声明(Statement Against White Appropriation of Black, Indigenous, and People of Color’s Labor)」が発表された。
「(ALA)や米国大学・研究図書館協会(ACRL)等の組織内部からBIPOCを排除しようとする動きが従来からあったとし,たとえばBIPOCによる改善提案を尊重せず,トーンポリシング(議論の内容ではなく口調を批判すること)を行っていること,白人中心の場にBIPOCを迎えるにあたって,反感や差別が生じるのを未然に防ぐような対策がなされていないこと等」
「怒りの声は「エンパワーメントの貴重な源」であり,それが求めているのは,罪悪感ではなく,中身のある「変化」である。」
●E2468 - 大学における研究データポリシーの策定について<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2468
↓いつか来た道のようにも見えるけど、結局ここではないか。
「研究者はこれまで自身で研究データ管理を実施してきたことから,研究データをトップダウンで管理することに抵抗があり,その点を配慮する必要がある」
●E2469 - 第26回情報知識学フォーラム<報告>
https://current.ndl.go.jp/e2469
「研究データの管理,公開,利活用が全学問に及ぶ課題であることを認識するとともに,非常に多岐にわたるデータの一元的な管理は難しく,各分野に合った研究データ管理の考え方の確立が重要である」
2022年06月15日
今日の「CA読み」メモ: 文化財論文ナビ、CDL、図書館のような博物館 他
●CA2008 - 紀要論文等の書誌情報流通における課題と「文化財論文ナビ」の取組 / 持田 誠, 高田祐一
https://current.ndl.go.jp/ca2008
前半の問題提起。
「市町村立博物館からみた学術情報拠点としての博物館の役割は何か?」
後半の仕組み構築。
「遺跡総覧や文化財論文ナビのスキームは学術情報流通面の課題を抱える他分野にも応用可能である」
で、NDLはどうするのか。
●CA2009 - 教員と連携した情報リテラシー教育の実践―名古屋大学附属図書館の取り組み― / 堀友美
https://current.ndl.go.jp/ca2009
”部局図書室””顔が見える教員との協働”のあたりは、部局図書室を抱える超大規模大学だからこそできる取り組みであろうという感想があり、中小規模の大学図書館にこの記事のままで参考になるかについて、検証や議論があってもいいのかなという感じ。
(そういう意味では、私大図書館の「形骸化」云々は、実は”形骸化するところまで到達すらしてない”ところも少なくないのでは。)
●CA2010 - 大学カリキュラムへの情報リテラシー教育の統合に関するモデルおよび理論 / 井田浩之
https://current.ndl.go.jp/ca2010
これとCA2009とあわせて読むと、CA2009の事例が文献調査に特化していることの良さもわかる。
●CA2013 - 論文公開手段としてのオープンアクセスジャーナルの有効性 / 浅井澄子
https://current.ndl.go.jp/ca2013
「Directory of Open Access Journals(DOAJ)では、ジャーナルタイトル数が多い出版社の上位10社に、Big5と呼ばれる購読ジャーナル大手出版社5社(Elsevier, Sage, Springer Nature, Taylor & Francis Group, Wiley)が入っている。」
「購読ジャーナルの多くは、研究機関が編集し、発行を出版社に委託するケースが多いが、ゴールドOAジャーナルにおいても、出版社は研究機関との協業によって、自社ジャーナルのポートフォリオを拡充している」
「ゴールドOA市場においても、大手出版社は独立系のOAジャーナルの出版社をグループ内に取り込んで」
「高いAPCが設定可能な学術面で評価されているOAジャーナルを発行している出版社を、Big5が自社内に取り込んでいる」
「最近では、大手出版社が転換契約(CA1977参照)を提供し、その実施に際して、購読価格とAPCをパッケージ化した料金体系が導入されている」
「そのAPCは一般的に高水準で、かつ上昇傾向にある。APCの決定要因の分析で、大手出版社は、高い引用指標を持つジャーナルに高いAPCを設定する」
結局”ビジネス”モデルとしてはビジネスのプロにかないっこなかったんだな、という、まあしょうがないのかなという感じがする。
そもそもAPCって、”オープン”のマインドにかなってないんじゃないかと思うだけど、そういう議論ってどこかにあるかしら。川下さえオープンなら全OKってわけでもないだろうっていう。
●CA2014 - 文部科学省「学校図書館の現状に関する調査」結果の経年変化と課題 / 米谷優子
https://current.ndl.go.jp/ca2014
↓これだなあ。
「司書教諭は学校図書館法で「教諭をもつて充てる」(充て職)…負担軽減状況(授業時数を軽減している学校数)や学校図書館担当時間平均には、規模による差はほとんどなく、また経年によって若干の増加がみられるものの大きな変化はない。最新調査でもいずれも少ない値で留まっている」
「小・中学校では学校司書数、配置校割合ともに伸びていたが、それはほぼ非常勤職員の増加による」
「「児童生徒が情報メディア機器を利用できる自主学習スペースが用意されている」のは小学校6.1%、中学校5.2%、高等学校20.0%と少数である。」
↓これはもっと強調されても全然よかったと思った。
「次回は令和7(2025)年実施予定と報知されている。5年に一度の調査結果は「現状」とは言い難い」
●CA2015 - 動向レビュー:くずし字資料の解読を支援するデジタル技術 / 橋本雄太
https://current.ndl.go.jp/ca2015
「くずし字資料の大規模かつ高精度なテキスト化が実現した場合、それがもたらす恩恵として考えられるもの」
●CA2016 - 動向レビュー:“Controlled Digital Lending”を巡る動向:CDLに羽化した図書館サービス理念と米国出版界の主張 / 山本順一
https://current.ndl.go.jp/ca2016
まだまだ前途多難だけど、これちゃんとやんないと図書館本来の機能を損壊しかねないなあ、というのがちゃんとわかるまとめだった。
「以上が図書館間貸出(ILL)の発展史であり、さらに一歩進めて利用者への提供まで電子化したのがCDLである。このように見てくれば、現在行われているCDLは、なかば図書館発展の自動運動の結果、生まれてきたことが分かるであろう。実際に、米・ボストン図書館コンソーシアムが、加盟館内のILLにCDLを導入する意向を示す(5)等、実装に向けた動きや実装事例が少なからず見られ」
「米国の裁判所は、いまだ著作物そのものの全体を無償でオンライン利用に供することを正面からフェアユースにあたるとの判決を下したことはない」
「アシェット・ブック・グループ(以下「HBG」)、ハーパーコリンズ社、ワイリー社、ペンギン・ランダムハウス社といった米国の大手出版社4社がIAを相手取って、大規模著作権侵害を理由として、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に訴訟」「HBG訴訟は執筆時点で係争中であるが、この訴訟の帰結は大きな影響があると予想される」
●CA2017 - 動向レビュー:文化機関における3次元計測・記録データの管理・公開の意義と課題 / 野口 淳
https://current.ndl.go.jp/ca2017
「3Dデータによる、「図書館のような博物館」」
「「図書館のような博物館」では、そうした情報を、利用者が興味関心に沿って自由に閲覧利用できる。さらに施設・機関を超えた共有・連携も容易になるので、たとえば図書館のレファレンスとの連結も進む」
しかしそうなると、博物館である必要もなくなるような。2次元と3次元の区分も必要ないし。その融合は、学校生徒の1人1台端末上で起こるだろうし、起こすべき。
https://current.ndl.go.jp/ca2008
前半の問題提起。
「市町村立博物館からみた学術情報拠点としての博物館の役割は何か?」
後半の仕組み構築。
「遺跡総覧や文化財論文ナビのスキームは学術情報流通面の課題を抱える他分野にも応用可能である」
で、NDLはどうするのか。
●CA2009 - 教員と連携した情報リテラシー教育の実践―名古屋大学附属図書館の取り組み― / 堀友美
https://current.ndl.go.jp/ca2009
”部局図書室””顔が見える教員との協働”のあたりは、部局図書室を抱える超大規模大学だからこそできる取り組みであろうという感想があり、中小規模の大学図書館にこの記事のままで参考になるかについて、検証や議論があってもいいのかなという感じ。
(そういう意味では、私大図書館の「形骸化」云々は、実は”形骸化するところまで到達すらしてない”ところも少なくないのでは。)
●CA2010 - 大学カリキュラムへの情報リテラシー教育の統合に関するモデルおよび理論 / 井田浩之
https://current.ndl.go.jp/ca2010
これとCA2009とあわせて読むと、CA2009の事例が文献調査に特化していることの良さもわかる。
●CA2013 - 論文公開手段としてのオープンアクセスジャーナルの有効性 / 浅井澄子
https://current.ndl.go.jp/ca2013
「Directory of Open Access Journals(DOAJ)では、ジャーナルタイトル数が多い出版社の上位10社に、Big5と呼ばれる購読ジャーナル大手出版社5社(Elsevier, Sage, Springer Nature, Taylor & Francis Group, Wiley)が入っている。」
「購読ジャーナルの多くは、研究機関が編集し、発行を出版社に委託するケースが多いが、ゴールドOAジャーナルにおいても、出版社は研究機関との協業によって、自社ジャーナルのポートフォリオを拡充している」
「ゴールドOA市場においても、大手出版社は独立系のOAジャーナルの出版社をグループ内に取り込んで」
「高いAPCが設定可能な学術面で評価されているOAジャーナルを発行している出版社を、Big5が自社内に取り込んでいる」
「最近では、大手出版社が転換契約(CA1977参照)を提供し、その実施に際して、購読価格とAPCをパッケージ化した料金体系が導入されている」
「そのAPCは一般的に高水準で、かつ上昇傾向にある。APCの決定要因の分析で、大手出版社は、高い引用指標を持つジャーナルに高いAPCを設定する」
結局”ビジネス”モデルとしてはビジネスのプロにかないっこなかったんだな、という、まあしょうがないのかなという感じがする。
そもそもAPCって、”オープン”のマインドにかなってないんじゃないかと思うだけど、そういう議論ってどこかにあるかしら。川下さえオープンなら全OKってわけでもないだろうっていう。
●CA2014 - 文部科学省「学校図書館の現状に関する調査」結果の経年変化と課題 / 米谷優子
https://current.ndl.go.jp/ca2014
↓これだなあ。
「司書教諭は学校図書館法で「教諭をもつて充てる」(充て職)…負担軽減状況(授業時数を軽減している学校数)や学校図書館担当時間平均には、規模による差はほとんどなく、また経年によって若干の増加がみられるものの大きな変化はない。最新調査でもいずれも少ない値で留まっている」
「小・中学校では学校司書数、配置校割合ともに伸びていたが、それはほぼ非常勤職員の増加による」
「「児童生徒が情報メディア機器を利用できる自主学習スペースが用意されている」のは小学校6.1%、中学校5.2%、高等学校20.0%と少数である。」
↓これはもっと強調されても全然よかったと思った。
「次回は令和7(2025)年実施予定と報知されている。5年に一度の調査結果は「現状」とは言い難い」
●CA2015 - 動向レビュー:くずし字資料の解読を支援するデジタル技術 / 橋本雄太
https://current.ndl.go.jp/ca2015
「くずし字資料の大規模かつ高精度なテキスト化が実現した場合、それがもたらす恩恵として考えられるもの」
●CA2016 - 動向レビュー:“Controlled Digital Lending”を巡る動向:CDLに羽化した図書館サービス理念と米国出版界の主張 / 山本順一
https://current.ndl.go.jp/ca2016
まだまだ前途多難だけど、これちゃんとやんないと図書館本来の機能を損壊しかねないなあ、というのがちゃんとわかるまとめだった。
「以上が図書館間貸出(ILL)の発展史であり、さらに一歩進めて利用者への提供まで電子化したのがCDLである。このように見てくれば、現在行われているCDLは、なかば図書館発展の自動運動の結果、生まれてきたことが分かるであろう。実際に、米・ボストン図書館コンソーシアムが、加盟館内のILLにCDLを導入する意向を示す(5)等、実装に向けた動きや実装事例が少なからず見られ」
「米国の裁判所は、いまだ著作物そのものの全体を無償でオンライン利用に供することを正面からフェアユースにあたるとの判決を下したことはない」
「アシェット・ブック・グループ(以下「HBG」)、ハーパーコリンズ社、ワイリー社、ペンギン・ランダムハウス社といった米国の大手出版社4社がIAを相手取って、大規模著作権侵害を理由として、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に訴訟」「HBG訴訟は執筆時点で係争中であるが、この訴訟の帰結は大きな影響があると予想される」
●CA2017 - 動向レビュー:文化機関における3次元計測・記録データの管理・公開の意義と課題 / 野口 淳
https://current.ndl.go.jp/ca2017
「3Dデータによる、「図書館のような博物館」」
「「図書館のような博物館」では、そうした情報を、利用者が興味関心に沿って自由に閲覧利用できる。さらに施設・機関を超えた共有・連携も容易になるので、たとえば図書館のレファレンスとの連結も進む」
しかしそうなると、博物館である必要もなくなるような。2次元と3次元の区分も必要ないし。その融合は、学校生徒の1人1台端末上で起こるだろうし、起こすべき。