2008年07月09日

”レファレンスを促す図書館”的2次元vs3次元

 かたつむりさんが「レファレンス・サービスを促す図書館施設計画」というのを書いておられたのを(http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20080704/1215189635)読んで、去年の秋にお邪魔しに行ったUMass Amherstでのラーニング・コモンズの在り様を思い出したよ。

 かたつむりさんの要件(註:公共図書館前提)は、
 ・PC必須
 ・PCと図書を近接させて
 ・レファレンスデスクをそのそばに
 ということとで描かはった絵と、UMass Amherstのラーニングコモンズの配置図とがこちら。

(1)かたつむりさんのフロアプラン
 http://f.hatena.ne.jp/min2-fly/20080705013113
(2)UMass Amherstのフロアプラン
 http://www.umass.edu/learningcommons/floorplan.html
(参)千代田区立図書館のフロアプラン(註:かたつむりさん言及)
 http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/facilities/floor9.html

 (2)の中央やや下の「Public Terminals」や、上辺左辺の青い席が、PCのあるところ。Public Terminalsの右にあるのが調査系レファレンスのデスクで、左にあるのが技術系サポートデスク。で、わかりにくいですが、調査系レファレンスデスクから右下のほう、「Interlibrary loan」の吹き出しに隠れてるあたりが、冊子体参考図書の書架になります。
 うん、かたつむりさんの考え方もだいたい同じであるな、と。

 (2)の調査系レファレンスデスクが、PCエリアと冊子体エリアの間にはさまれたところにあるということが、なかなかにミソだなあ。どっちにも隣接してるよ、ていう。PCエリアから冊子を求めに行こうとする学生は、レファレンスデスクの前を通ることになる、というんであれば、そりゃ行きがけ帰りがけに質問のひとつもするだろう、ていう。

 もうひとつのミソは、デスクがフロアの中にぽんっと出てきていることで、おおかた図書館のカウンターてのはフロアの壁際に陣取ってることが多く、そりゃまあ、バックの事務室と接続してないと何かと不都合だからそうなってるわけなんだけど、それをやめて、飛島的な感じでフロア内に出張ってきてる、ユーザに近づいた位置におでましになる、ていうスタイルは、まあちょこちょこあちこちで見かけますな。

 ただ、上記よりももっとミソだなあ、ということを、実際ここにうかがってまじまじと拝見してきたときにいくつか感じたのですが、まずひとつが、270度くらいぐるっと対応できる円形のカウンターなので、あらゆる方向から声がかけられる。イコール、学生側からすれば、気軽に声をかけやすい。で、ライブラリアンの座ってはるイスが360度回転するので、どの方向から声をかけられてもさっとそちらに対応できるし、そのときのリクエストに適した資料類がデスクのどこに置いてあっても、さっと取ることができる。なので、見てると、あらゆる角度からのリクエストにすぅっ、すぅっと回転しながら対応する様が、スピーディで、ややコミカルで、やがてクールかな、ていう感じになっているよ。昔ドリフのコントにあった、逆・回転寿司みたいな(笑)。

 ただ、ここまでだとあくまで”二次元”なんだけど、”三次元”的なミソがこのデスクの高さで、カウンターが胸下くらいの高さまであって、ライブラリアンの人はイスに座ってるんだけど、たぶんそのイスが高いか、中の床が高いかで、立ち歩いてる学生さんの目線と、ライブラリアンの人の目線が、ほぼ同じ高さで出会う、ていう。これはすこぶる声をかけやすいし、実際、ひっきりなしに学生さんがライブラリアンに声をかけてましたよ。PCエリアうろうろしてて、うろうろしてるだけでごく自然に、ちょっとしたことを何かしら教えてくれる役目の人とふと目があったら、そりゃもう、質問を躊躇するハードルががたんと減るでしょう。目線よりもだいぶ下のほうに腰をおろして、じっと事務作業してるカウンターの人なんかよりは、ずっと。

 そう思ってハーバードさんのいくつかの図書館を思い出してみると、そういえばレファレンスデスクはどこも高かったような気がするなあ。シアトルは低かったかな。ニューヨークは覚えがないなあ。
 いや、日本のだって高いところはあるだろうとは思うんだけど、いま「図書館 レファレンス カウンター」的なのでGoogle画像検索してみたら、やっぱし、たいてい低かったでしたよ。

 でもじゃあ、そんなんだったら、レファレンスの質問しにきた学生さんをずっと立たせることになるじゃないか、と。即答系のだったらいいけど、じっくり時間が必要な、調査系のレファレンスを満足にできるのか、立たせたままで、と。おっしゃる向きもあるかもしれない。そういうお客さんのために、このレファレンスデスクのすぐ背後には、半透明のパーティションで区切られた小部屋があって、その中でPCや基本参考図書に囲まれながら、じっくりレファレンスに応じる、という仕組みも整っているのでしたよ。善哉善哉。

 さて、だったらその、気軽に声をかけやすくなった結果としてそのレファレンスデスクがどんな感じになってたかというと、かたつむりさんの危惧、

> たぶんクイックレファレンスが激増するんだろうなー。
> 「すいません、このソフトの使い方なんですけど・・・」とか。
> 「PCの調子が悪くて・・・」とか。

 それだけならまだしも、「ねえ、ホッチキス借りれる?」的なのがひっきりなしにやってきてたよ、ていう(笑)。

 声かけやすい、ていうのと、レファレンス質問が増える、ていうのは、別問題として考えなあかんのかしら。

 まあ、デパートや空港のインフォメーションも、おねえさんたちの目線はたいてい立ってる自分らと同じところにあってくれてるし、そういった意味では、レファレンスデスクは高いのがデフォ、という感じになっちゃってもいいかもしんない、と思いつつも、まあそれ以前に、日中レファレンスのみに専念できるスタッフなんかどんどん減ってるよ(=貸出その他と併行)、ていうところが問題なんだけど。

posted by egamiday3 at 19:28| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする