2008年10月17日

横の肩書きを、縦にするには。

 フランスの(とある有名な)図書館からおいでになった、とある方と、お知り合いになる。
 で、名刺を交換する。
 つつーっと見てみると、肩書きらしき位置に”conservator”と書いておられる。
 あ、そうなんですか、じゃあ紙の修復とか製本とか、和紙とかも扱ってられるんですか?
 と問うてみると、きょとんとしてはるので、あれ?と思うていると、側にいるイギリスの(とある超有名な図書館から来はった)方が、フランスで言う”conservator”は、”curator”にあたるんだよ、と教えてくれはる。
 えー、ぜんぜん知らなかったよ、そうなんだ。

 似たような間違いは前にもやってて、とあるアメリカの大学のライブラリアンの方と初めてお会いして、名刺をいただいて、肩書きに”bibliographer”と書いてあるので、あ、カタロギングやってはる方なんですね、とゆったらやはりきょとんとしてはって、側にいた日本の(とある有名な図書館関係者)の方に、アメリカで言う”bibliographer”は、選書や蔵書構築を専門にする人のことを言うんだよ、と教えてくれはったですよ。

 とかく肩書きは難しいよ。しかも、そのtranslationは。

 ”curator”だって、日本語にしようとしちゃうと「学芸員」になってしまうんだけど、じゃあ果たしてここでいう”curator”をそのまま「学芸員」と訳したり、この人を「学芸員」なんだと理解してしまっていいのだろうか。
 ヨーロッパとかアメリカとかで、ライブラリアンの人に会って、名刺の肩書きを見ると”curator”と書いてあることがわりとちょくちょくあるんだけど、欧米で、図書館の人で、”curator”の人は、それは日本で言えば「司書」なんじゃなかろうか。
 例えば、ダブリンのチェスター・ビーティ・ライブラリーみたいに、ライブラリーと名は付いてるもののあり方としてはほぼ美術館・博物館の類、ていうところにいる人の肩書きが”curator”なのは、それは「司書」じゃなくて「学芸員」だろうと思うんだけど。
 例えば、でっかい国立図書館規模のところの、マニュスクリプトが専門のリーディングルームとか、言語が特殊な資料のリーディングルームとかにいはる人が、”curator”ていうときのは、「学芸員」と解するよりはやっぱり「司書」のような気がする。

 というようなことをつらつらと考えてると、いや、これはもはや、それらの肩書きをわざわざ日本語に置き換えて表記したり理解したりすること自体が、どうもおかしいんじゃないか、と。”curator”は「キュレーター」として体に落とすべきなんじゃなかろうか、と。さえ思うようになってくるのですよ。

 江上は、ハーバードさんにいるときには、”visiting librarian”という肩書きでした。
 これ、わざわざ訳す? 「外来司書」とかって言う? それとも”visiting librarian”のままのほうがしっくり来る?
 図書館のトップの人の肩書きに、”Librarian”というのがあって、その人が日本語で言う「館長」ではないとき。どうする? もう、「トップの人」としか言えなくなっちゃうけど。それとも「図書事務部長」とか、訳す? それって翻訳というより、もはや役職を創作してしまってるんじゃないかとさえ思うんだけど。
 そういうのってじゃあ、肩書きの名称を”逐語訳”したって意味ないんじゃなかろうか。組織まるごとの中でどういう位置づけの身分だから、こういう日本語にあたるんだていうのを、”意訳”しないと、ていう。逐語訳しちゃうと、あきらかにどっかで矛盾や衝突を起こしちゃいかねないので。

 とかなんとかいっちゃって、実はとっくに、肩書きや役職的な単語についてどの日本語をあてるか、なんてことは、かっちり決まってたりする(特に資格のからむ職業については)、ていう単なる自分の勉強不足パターンかもしんないので、また調べておこうっと。

posted by egamiday3 at 06:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする