歳末に片足つっこんだこの時期に、それでもせっかくだし源氏千年紀がらみで一冊くらい関連本読んでおいてみようかしら、どうかしら、と迷ってる方がいらしたら、ちょっとこれぜひ読んでみてください、という本。
タイトルにひねりがないので、ふつーにたくさんある源氏物語紹介本のひとつかな、と一瞬スルーしてしまいそうになるのだけど、まあ、とんでもない、裏帯にずらりと書き並べられている以下の面々を見れば、嗚呼、島内先生、”その話”をしてくださるんですか、これは喰いつかざるを得んではないですか、とはらはらと落涙すること限りなし。(←文体がおかしくなった)
藤原定家
四辻善成
一条兼良
宗祇
三条西実隆
細川幽斎
北村季吟
本居宣長
アーサー・ウェイリー
すなわち、源氏がどう恋愛しただとか、当時の風習文化がどうだとかいうはなしではなく、『源氏物語』という文学作品が、鎌倉、室町、江戸期という数百年の間に、誰にどう読まれ、どう受け継がれ、”古典化”していったか、というそっちの筋のお話ですよね。
だからといって、じゃあ専門向けなのかといえばこれがまたとんでもなく、扱ってるテーマは古典文学どころかだいぶ踏み込んだ”国文学史”なんだけど、これほどまでに専門外の人に対してわかりやすく、平明平易に、丁寧にあたたかく説明してくださっている本が、かつてあったろうか、と。定家や宗祇はともかく、四辻善成が何者でどんな功労者かなんてことが、こんなにもカタギの人向けに書かれた文章が、かつてあったろうか、と。
そしてこれほどまでに、『源氏』の内容そのものに踏み込むことなくして、ああ『源氏』読みたい、いや、読まねばならぬ、「あさきゆめみし」でかまわんからいますぐ、と、もはや使命感にも似たものを抱かせかねない解説本が、かつてあったろうか、と。
古典苦手だったよという人であろうと、理系の人であろうと、いっさい関係ないです。「鎌倉時代の次が室町時代」とかさえ知ってる人なら、するっと理解できるわかりやすさです。
中途半端に『源氏』本体にとりかかって、途中で挫折してもやもやするくらいだったら、本体なんか読まずにこっちのほう手に取ったほうが、てゆっちゃいたい、700円。
だいぶ持ち上げたな。
持ち上げたし、最後矛盾してたな(笑)。

