去る2014年6月20日、京都情報図書館学学習会・Ku-librarians合同勉強会というところからのオファーということで、若干のお話をしてきました。
第179回ku-librarians勉強会:京都図書館情報学学習会共催「NDL図書館送信サービス、やってみたらこうだった、を語る」 #kul179 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/682847
これは動画配信され、アーカイブにもなってると思うのですが、まあ動画って斜め読みみたいなのできないので、じんまり見なくてもいいように、当日しゃべりましたことをざざっと文字にしてここに置いておきます、っていうあれです。
パワポ置いときゃいいだろうってウワサもありますが、とてもそんなことする度胸のないシロモノだったので。
(参考文献)
図書館向けデジタル化資料送信サービスについて〜サービスの概要〜
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/01gaiyo.pdf
〜申請方法と資料利用の流れ〜
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/02shinsei.pdf
〜システム要件と操作イメージ〜
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/03system.pdf
図書館向けデジタル化資料送信サービス
http://www.ndl.go.jp/jp/library/service_digi/
デジタル化資料送信サービスについてよくあるご質問
http://www.ndl.go.jp/jp/library/service_digi/faq.html
図書館向けデジタル化資料送信サービスについて
http://dl.ndl.go.jp/ja/about_soshin.html
●まずは(なぜか)アイルランドの想い出を語る
ていうかまあ、NDL図書館送信サービスの話よりも、できればこないだ行ってきたアイルランド旅行の想い出話のほうがしたいので、ちょっとだけ時間もらってアイルランド話をさせてください、っていう。
そうアイルランドに行ってきたんですよ、すげえ楽しかったんです。
首都ダブリンからぐるっと島を一周するかたちで、まわってきたんです。
地図で見るとこんな感じなんですけどね。
『世界のカード. 7 (イギリス・アイルランド)』. 世界文化社, 1965.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1674966
この赤い線がアイルランドと北アイルランド(イギリス領)の国境線です。ここもぐるっとまわってきました。で、例えば北アイルランドにデリー(ロンドンデリー)という街があるんですけど、ここは1972年に血の日曜日事件というのが起こった場所でして、公民権を求める市民のデモ隊にイギリス軍が発砲して10数人の方が亡くなるという痛ましい事件だったんです。
薬師寺亘. 「デリー虐殺以後のアイルランド」. 『現代の眼』. 13(6), 1972.6, p.172-181.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1771708
当時の日本でのそういう運動の強かった雑誌記事ですけど、やっぱりかなり厳しく批判してるのがわかります。
それからこのデリーの街の名前がついた「ロンドンデリーの歌」っていうアイルランド民謡があります。メロディはわりと有名だと思うんで、聴くと知ってる人も多いんじゃないかな。
https://www.youtube.com/watch?v=wE6pI_MMl6g
この歌は日本にも早くから伝わってて、1930年代の歌詞付き楽譜もありますね。
津川主一編著. 『合唱名曲撰集. 第1巻 (女声篇)』. 東京音楽書院, 1937.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1121448
それからさらにぐるっと島をまわって、西側の海にうかぶアラン島っていうところに行ってきました。
ここはほんとに石ばっかりしかない荒涼とした場所で、一応牧草みたいなのが生えてて牛や羊を飼ってるんだけど、そもそも土らしい土がないから作物とか育たない、むかしはこの石の上に海藻を敷いて、それを畑としてジャガイモを栽培してたとかそんなん。
そんな最果ての地を有名にしたのが、アイルランドの劇作家・シングという人のエッセイ本で、島の人の見慣れぬ生活とか習俗とか語りみたいなのを本にして出版して広く読まれた。それでかどうか、いまはわりと有名な一大観光地です。
日本でもその本は何年も経たないうちに翻訳されて、岩波文庫で出てます。
シング作, 姉崎正見訳. 『アラン島』(岩波文庫 ; 1476-1477). 岩波書店, 1937.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1181616
あたしこれ、国会さんのはもちろん持って行けないけど、自分で自炊してipad miniでずっと読んでました。すごいおもろい。
このシングさんもそうなんですけど、アイルランドっていうのは文学者・劇作家がたくさん輩出されてるっていう、文芸に富んだ土地柄っていうんですかね、なんとなくイギリス文学の作家として思われてるような人たちの中に、実はまあまあの数でアイルランド出身の人なんですよ、っていう人がいるみたいです。
上田勤ほか編『20世紀英米文学ハンドブック』. 南雲堂, 1966.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1672861
こんなレファレンスブックを見てみると、例えばバーナード・ショウもアイルランドの人だし、ジョイスはあきらかにアイルランドですね。あとイェーツというノーベル文学賞とった劇作家の人がいる。イェーツさんってあたしにとっては興味深い人で、日本の能を下地にした戯作をひとつ作ってはるそうです、『鷹の井戸』っていう。
そのことを扱った学位論文がこちらです。
Amparo Adelina C.Umali, 3. 『東西の女流劇作家による能の再生』(博士論文), 2001.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3181657
あとアイルランドのお料理ですけど、うん、まあまあ美味しいものもありました。けどアイリッシュシチューにしろギネスシチューにしろ、肉ばっかりで野菜が少ない。あと魚も少ない。アイルランドって島国ですけど、昔から魚はあまり好まれなかったみたいで、食生活はお肉中心らしいです。
「アイルランドの食品産業」. 『海外の食品産業』. 日本貿易振興機構. 160, 1994.10, p.10-14.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3329093
これを読んでみても確かに、肉と酪農製品がメインだなっていうのがわかります。
●存外、こんな本も読める、っていう話
というわけで、まあ正直アイルランドについてはどうでもよくて、要はアイルランドひとつテーマにしてみてもいろんなお話ができるくらいに、わりといろいろな本が入ってるっていうのが、これで感覚的におわかりいただけたんじゃないかと思います。社会系・産業系の雑誌記事もあるし、博士論文もあるし、楽譜やレファレンスブックもあるし、岩波文庫も全文読める。決して「
古い、歴史的な、人文系の本ばっかりある」っていうわけじゃない、実際検索してみると、あ、存外”使える”アーカイブなんだな、っていうのがわかります。
あと雑誌とか特にそうですが、”やや古”くらいのがごろごろ入ってる。1970年代・80年代あたりの雑誌記事をブラウジングしてると、うわっマイコン、ポケコン、懐かしっ、とか、婦人雑誌の表紙が出てきて、うわっ大原麗子、坂口良子、若っ、とかなっちゃう。これいい感じの「おっさんホイホイアーカイブ」だな、っていう。
そんな楽しみ方ができちゃう感じです。
あらためて、確認します。
国立国会図書館の「図書館向けデジタル化資料送信サービス」は、国立国会図書館がデジタル化した資料で、国立国会図書館に来館して館内でしか閲覧できなかったデジタル化資料のうち、一部(絶版等)を、全国の公共図書館・大学図書館その他で閲覧・複写ができる。そういうサービスです。
じゃあ見られる本はどんななの?という話ですが。
NDLさんのデジタルコレクションをざっくり3つにわけるとこうなります。
(1)「インターネット公開」 約50万 公開できる
(2)「図書館送信資料」 約130万 公開できない×入手できない(絶版等)
(3)「NDL内限定」 約50万 公開できない×入手できる
で、参加してると、(1)+(2)が見れますよ、ということです。
そして参加してなければ、(1)だけが見れます。一般の人もそうです。
ということはつまり、このサービスに参加してる/してないで、50万冊と180万冊っていう差になるわけです。
この差はさすがに大きいです、180万冊の蔵書がある書庫を持つか持たないかって相当の”事件”だと思うんです。
ちなみに「国立国会図書館デジタルコレクション」のサイトに行くと、
http://dl.ndl.go.jp/
検索窓の下にチェックボックスがならんでます。
「 □インターネット公開 □図書館送信資料 □国立国会図書館内限定 」
これがさっきの(1)(2)(3)のカテゴリです。だからもう、はなっから区別して検索できます。
正直このチェックボックスが相当便利です、参加館にとっては。
で、その130万冊の内訳は「古い、歴史的な、人文系」ばっかりじゃないよ、っていう話なんですけど。
内訳を事務的に言うと、
「図書(明治期から1968年受入)
雑誌(明治期から2000年刊行・非商業誌)
博士論文(1991から2000年度受入)」
でもまあそんなこと言ってもピンとくるわけはないので、それよりも、これひとつをいっぺん見てみてください。
国立国会図書館デジタルコレクション - 図書館向けデジタル化資料送信サービス利用統計
http://dl.ndl.go.jp/ja/soshin_library_stats.html
利用統計(2014年5月)
http://dl.ndl.go.jp/files/soshin_stats/soshin_stats201405.xlsx
このオフィシャルの利用統計、なにがうれしいって、アクセスされた資料の書名が全部あがってるんですよ。書名と、出版年と、しかもNDC。これをためしにずらずらーっと見てみると、歴史系ばっかりじゃなくて社会科学系もあれば理工系・医薬系もある、出版年も結構戦後のが多いし、雑誌記事なら90年代だって別に珍しくない、っていうのがわりと簡単に把握できるんです。
あたし実際、適当なキーワードで適当に検索してみてもいまいち漠然としてるなーって感じだったんですけど、こっちのリストのほうが全然わかりやすいし、げんにアクセスされてる資料であるぶん”使いやすさの説得力”みたいなんがちがうと思います。
なので未参加館のみなさんにおかれましては、「うちとこのユーザにニーズのある本は入ってないんじゃないの?」みたいなこと言っちゃう前に、いったんこのExcelファイル見てみてくださいって思います。それから判断しても遅くはないと思う。
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[[ Check! ]] ここがポイント・その1
古い人文系向けの本ばかりじゃない。
どんな本があるかは、「利用統計」を見るとわかりやすい。
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●「参加館に、なるっ!」
ただ、やっぱりいろいろ制約があって厳しい、っていう話はどうしても通らなあかんのです。
全部公式の通りですが、
・館内の、決まった端末からだけ見られる。
・ID・パスワードを、毎回職員が入力する。
・複写は、職員の手で、管理用端末のみ。(利用者セルフではない)
・職員が見張れるところに閲覧用端末を置く。
ということなんで、これ現場としては場所&端末の確保がまあまあの課題だろうな、とは思います。特に小規模図書館さん。
あと、職員がわざわざ毎回ログインしたり、複写も職員の手でしなきゃいけなかったりという、職員めんどくさ案件でもあります。ただ、だからといって、「うちとこでこれのニーズは無いだろう」と言った同じ口で「そんなサービスで利用増えたら対応できない」と言い出すという、お役所にありがちなループ理屈はやめましょう。
あと、禁止!
・データの保存・コピーは 禁止
・メモリ・PCの接続は 禁止
・画面キャプチャも 禁止
・画面の写真撮影も禁止
写真撮影なんか、「禁止」って言われて初めて「なるほどその手があったか」と膝を打つ思いですけど、どれもちゃんと禁止です、っていう。
まあそういう厳しさが祟ってかどうか、開始から半年経とうかといういまの時期になっても、参加館がなかなか増えない。全国でまだ200館台とか、信じられない。
一納税者の立場として、これは怒ってます。激おこです
あと、よその大学の人が「自分とこではまだこのサービス使えないから、そっち行って使わせてくれ」って言いに来ます。おいおいなにしてんの各大学、って、激おこです。まだ実際に使うところまで成就した例はありませんが、成就するとしたら「登録利用者になってもらう」が解になります。
いやだから、増えてほしいんです、参加館。
未参加館さんに参加館になってほしいんです。
太秦萌ちゃんよろしく「参加館に、なるっ!」って言ってほしいんです。
それが、この語る会の趣旨です。
●ひとりで悩まないで
しかしこの「参加館に、なるっ!」というのも実際にはなかなか難しいところがあって、その難しさの大きなひとつが「申請が簡単ではない」というところにあると思いますので、その申請手続きを経験した者として、どういうところがどんなふうにネックだったか、ということをあけっぴろげてみます。
図書館向けデジタル化資料送信サービス
http://www.ndl.go.jp/jp/library/service_digi/
デジタル化資料送信サービスについてよくあるご質問
http://www.ndl.go.jp/jp/library/service_digi/faq.html
基本的にはNDLさんの公式サイト通りなんですけども、そのサイトに一言こういうことが書いてあります。
「申請から許可まで、1〜2ヶ月かかる」
これはマジです。時間はかかります、ここでひとつハードルが上がる。
例えばうちとこで言えば、NDLさんでの受付開始が10月に始まった、そのまあまあ直後に申請手続きにとりかかったわけなんですけど、申請するにはうちとこの規則では”不適合”であるということが判明し、大急ぎでその規則類の整備・決裁の手順を踏んだ、これにまず1か月かかるわけです。
そして11月中旬に申請書を提出する、NDLさんでの審査を待つ、追加質問に答え追加書類を出す。ところがサービス開始日1月21日が近づこうというにいっこうに連絡がない。最終的に連絡が来てうちとこで使えるようになったのは1月29日です。つまり、受け付け開始直後にとりかかっても、サービス初日にはまにあわない、事情は種々おありでしょうけども、要はそれくらいの、ちゃっと腰を上げればちゃっと始まる、というようなものじゃなかったということです。
だからこそ、です。導入するかどうしたものかを悩んでるだけではさらに遅れるんだ、ということです。うだうだするなよ、世紀末が来るぜ、というあれです。
提出書類についても正しくは公式サイトの通りなんですけど、ざっくりざっくり言うと、
・申請書
・「図書館の設置根拠を明記した文書」(設置条例・規則など)
・「図書館の活動がわかる文書」
−施設規模・職員構成・蔵書数などの資料
−利用規則・運営規則・管理規則等の全文
・館内・端末の写真・図面
・チェックシート(主に技術面)
で、うちとこでもそうでしたし、おそらく多くの図書館さんで問題になるであろうところが「利用規則・運営規則・管理規則等の全文」というやつです。
この申請にまつわるQ&Aのページ(「よくあるご質問」)があって、あ、この「よくあるご質問」ページはマストでチェックしておいてください、これ見ないとわからないことがやまほどあります。そこには、利用規則にはこんなことが書いてある必要があります、こういう利用規則であってくれる必要があります、ていうのがもう少しわかりやすく書いてあります。
曰く、
・登録利用者について規定があること
・「送信資料を閲覧・複写できるのは、登録利用者である」
・「送信資料の複写は、著作権法第31条の規定に基づいて行う」
・「送信資料の複写は、職員が、管理用端末で行う」(利用者自身ではなく)
・以上の規則は、館長等決裁の公的文書であること。(現場のマニュアル類は不可)
でも、書いてある必要があること、っていっても、どれだけの図書館の利用規則に「送信資料は」っていう規則が書いてあるもんでしょうか。この送信資料はNDLのそれに限ったことでないってNDLさんはおっしゃるけど、マニュアルや利用案内レベルならともかく、公的規則にまで「送信資料は」という言及があるかどうか。ないんじゃないかしら。
で、「規則がなければ、作ればいいでしょう?」ということになります。
そりゃまあ、NDLさんが各図書館さんに向けて「こういう規則を作りなさい」なんて指示命令できやしないでしょうから、「規則文書を送ってください、それにはこう書いてある必要があるんですけどね」、っていうことだと思います。
だから悩んでる時間がもったいないのでさっさと作りましょう、と。
うちとこでは、さすがに特定の一サービスのためだけの文言を公的な利用規則に盛り込むのもちょっとあれだな、ハードル高いし、規則の粒度がぶれるし、NDLさんの求める文言が変わったらまた改定しないといけないとかキツイので、ということで、「取扱要領」というかたちでまったく別の規則類をひとつ付け加えて利用規則に添える、ということにしました。そういう「取扱要領」でもいいですかってNDLの人にきいたら、いいですってことだったので。その文言も条文もNDLさんが求める最小限的なものを、この一サービスのためにつくるという、そういう条文でした。こういう文言・文章で審査通りますかってNDLの人に事前にきいたら、いいですって言ってもらえたので。
というふうに、これについてはNDLの担当者の人と密に連絡をとりあい、メールを何度も送りあって、再三再四再五再六延々確認しました。そりゃそうです、ひとつ規則通すのに委員会や会議や決裁やを通して1か月かかるものを、あとから、ここがちがうここが足りないでは困るわけです。なので「これでほんとにだいじょうぶですよね?」って逐一確認しつつ進めていくという。
ことほどさように、NDLさんに直に・密に・具体的に相談することなしにこの申請は、おそらく成就することはないんじゃないかと思います。だからこの件について考えている人、けどわかんなくて悩んでる人、迷ってる人は、とりあえずいったん下記の連絡先にコンタクトとってみてください。
デジタル化資料送信サービス お問い合わせ窓口
(国立国会図書館関西館 文献提供課 複写貸出係)
メールアドレス:digi-soshin@ndl.go.jp
電話:0774-98-1330(直通)
かく言うあたしも、この件に取り組み始めた初日からいきなり担当係さんにメールしました。要領を書いてあるwebサイトやPDFの諸々の説明を、読んで、読んでもわかんなくて、半日くらい悩んでみて、あ、これあかんやつや、このまま独力で理解しようとしても無理で時間だけ消費するパターンのやつや、って気づいたので、すっぱりあきらめてすぐメールしました。わかんないんですけど、つって。そしたらいろいろ教えてくれて最終的にこうしたらいいよってわかったっていう。
そうやって教えてもらいながらじゃないと、わかるの、たぶん無理です。そりゃNDLさんだって、全国の諸事情まったく異なる何千もの図書館さんにすべて適合するような説明文なんか書きようがないし、具体的にどういう事情で何に困ってるかがわからないと解説やアドバイスのしようがないだろうと思うので、そういうのは洗いざらい言っちゃったらいいんだと思います。
とはいえ、あたしはこの担当者さんの顔も名前も知ってたし、ふだんからNDLさん自体親しくやりとりさせてもらえてるから、そんなノリで気軽に聞いちゃえっ、なんてできたんですけど、たいていの図書館員さんはふつーそんなことないですよね、国立国会図書館さんなんて遠い銀河の彼方のような存在でうかつに連絡できるようなところじゃないって思ってはったりしかねない。
けど大丈夫です。
NDLのこの件の担当の方が「どうぞ連絡してください」って言うてはりました。
だから大丈夫です、連絡してください。
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[[ Check! ]] ここがポイント・その2
なんでもいいのでとりあえずNDLさんに相談してみてください。
あと「よくあるご質問」はマスト。
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●利用の実際
うちとこの利用の実態を紹介します、とはいっても、ここはおおむね以前ご紹介したとおりです。
うちとこの「NDL図書館送信サービス」レポ (2)-導入した結果編: egamiday 3 http://egamiday3.seesaa.net/article/389678377.html
現在の利用頻度としては、おおむね2日に1回、最近はそれ以上に増えつつあるという傾向です。少ないと思われるでしょうが、うちとこはもともとユーザ母数も入館者数も少ないところなので、2日に1回でも多いと思える感じです、一般的な図書館さんにしたら毎日10人は来てそうなレベル。
使われるきっかけとしては、ILL・所蔵調査の過程で、我々職員が送信サービス対象であることを発見して、それを本人に伝えて使いに来てもらう、というもの。これがほとんどです。
自力で見つけて来る人は、まずいない。「送信サービス使わせてくださいよ」とか「NDLデジタルコレクションに収録されてるの見つけたんで見にきました」とかいうようなアプローチの仕方はまず起こらない。(いないことはないです、最近。) それどころか、NDLOPACなりNDLサーチで見つけてきたとか、Googleで見つけてきたと言ってくる例すら、ない。彼ら彼女らの名誉のために言っておくと、うちとこのユーザさんはみな、自力検索力高めです。CiNiiもその他のwebデータベースもひととおり、それ以上にいったいどこから見つけてきたんだというような文献情報・書誌情報をわんさか持ってきてILL依頼しに来はります。その人たちが、送信サービス対象の資料を自力でそれとわかって来ることっていうのは、まずない。これは考えられるべきことだと思います。
それから、うちとこの閲覧者は、閲覧に来たらほぼすべて複写を依頼しはります。いやむしろ、複写箇所の確認・決定のために閲覧に来る、ととらえるべきかと思います。画像をディスプレイ上で延々読みふける、というような使い方をする人はほとんどいません。(いないことはないです、最近。) あたしもそうですが、やっぱ、画面じゃ読んでられないです、しんどいし、あと自室のパソコンといっしょにじゃないと作業はかどらないので、その場で利用済ますってことはたぶんないです。
ただしこれは、うちとこが内部ユーザからはプリントにお金とってない、ていう事情が大きいんだと思います。
いろいろ不満があるとか、永続的識別子がどこのなんのことかわかんない問題とか、セーブのできないRPG問題とかについては、上記既出記事に書いた通りです。
複写依頼をメモしてもらうときに必ずと言っていいほど発生する、「永続的識別子がなんのことかわからない=どの番号をメモしたらいいかわからない」問題について、うちとこの対応としては、「複写箇所メモ」専用の用紙に「画面のここに書いてあるこの番号をメモせよ!」と図解入りしたやつを作って、さらにその欄内に「info:ndljp/pid/」まで書いといて、もうこのあとの番号をメモせざるを得ない状態をお膳立てしてやる、ということをしてます。
こんな感じ。
タイトル:________________
永続的識別子:info:ndljp/pid/___________
コマ数:_________________
で、この専用用紙を用意したら効果覿面で、複写依頼時のディスコミュニケーションがまったくと言っていいほどなくなりました。よかった!
●館間協力のチャンス??
とはいえ、やっぱりこのサービスの一番の課題は「可視性の低さ」じゃないかしらと思います。先の話に戻りますけど、ユーザさんが送信サービス対象の資料を自力でそれとわかって来るってことはまずない。
いみじくもサービス開始からさかのぼること数ヶ月前に、某ささくれの人が指摘しています。
「NDL図書館送信が始まったら利用者をどうナビゲートするか」 - ささくれ
http://cheb.hatenablog.com/entry/2013/09/16/021838
「その利用者はどうやって自分の欲しい資料がNDLでデジタル化されていて,かつそれが送信対象であり,自大学の図書館で閲覧できることに気づいてくれるだろうか」
この通りです。
うちとこはまだ、ILL依頼が活発で、お客との距離が近くて、顔と名前とパーソナリティわかってる相手に情報やりとりするので、こっちからナビゲートしてあげれば送信サービスの資料にたどりつけるのですが、それって一般的な図書館とユーザのあり方とはちがうわけなんで、さてよそさんはどうしてはるんだろうなあ、って思います。
しかも、例えばユーザさん相手にこのサービスの広報をしようとしても、これがかなりの難題に近い。
そもそもこのサービスって、概念として”のみこみにくい”と思うんです。
デジタル画像なのにネットで見られなくて図書館に行かないといけない、ってどういうこと??、と。あと、読める本/読めない本が見えづらい。説明しようとすると「○○はできない」「○○は禁止」ばかりになっちゃう。名称・用語が抽象的でお役所的でなんかわかりづらい。「デジタル」「インターネット」「送信」「公開」「図書館」「国会図書館」「限定」、何がどうなってんのか。
ただ、だからこそ思うんですけど、例えばこのサービスの広報ってどの図書館さんでも似たようなことをやることになるわけじゃないですか。だったらお互いに知恵を出し合ったり、上手くいった例を紹介し合ったりして、共有したらいいと思うんです。ガイダンスでこんなふうにやったらこんな反応だったよとか、案内パンフやwebサイトでの案内をこんなふうにしてるよ、とか。
あと、参加館と未参加館との間でも情報共有して、未参加館さんに「ああ、こういうふうなサービスなんだな、こういうふうにやったら上手く始められそうだな」って思ってもらえるように、参加館が経験を語る、とか。
・・・あ、そう、この会のことですね(笑)。
まさにこの会はそういう発想から始まったあれで、あたしがtwitterで「NDLさんよりも、導入館が未導入館の人を交えて経験談トークをするっていうことを、こじんまりサイズであちこちでたくさんやったらいいんじゃないかな」って言ったのを、そこの主催者の人がひっつかまえてここに連れてきた、っていう感じのあれなんで、もっとこういうことをやったらいいと思います。
そういう、館間協力のいいチャンスなんじゃないかなって。
(ここで『ユーザ館の会』を提案したんだけど、そういえば当日その話するの忘れてたなあって。)
という感じなので、みなさん各都道府県なり各地域で、もっとこの送信サービスのことを話題にしてみちゃってください。
そして、「参加館に、なるっ!」っていう図書館さんがひとつでも多く一日でもすみやかに増えてくださることを願ってます。
参考画像です。
http://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/cmsfiles/contents/0000158/158989/ho-mupe-jiposuta-.jpg
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