『群書類従』噺のその3です。
(1) おいたち:『群書類従』はどういう経緯で誕生したのか
http://egamiday3.seesaa.net/article/406921580.html
(2) 評価: 『群書類従』って実際すげえのかどうか
http://egamiday3.seesaa.net/article/407049317.html
★(3) JK: 『群書類従』がJapanKnowledgeに入ったら何が起こるのか
(1)・(2)とふつーにそれっぽいことまとめてたブログでしたものが、ここから突然に特定の製品を褒めちぎり始めるという青汁番組へと一気に変貌していきます。
『群書類従』を現代での立場で評価したとき、
△ 本文としての質・正確さ
△ 文献それ自体の現代における価値
には△印をつけざるを得ないけども、
○ 文献が残っていること(保存)
○ 読みやすく整備されていること(出版・活字化)
○ ひとところに集まっていること
○ 参照・アクセスのしやすさ(オープン)
○ 分類・部立て、連番付与による組織化
○ ”区切り”をつけられること(通読)
○ ”あたり”をつけられること(レファレンス)
には○をあげていいんじゃないかと。
そしてその中でも
「ひとところに集まっていること」
「参照・アクセスのしやすさ」
「”あたり”をつけられること」=「レファレンス」
の界隈が、どうやらJapanKnowledgeに搭載されることでより強力になるっぽいよ。
という話です。
あ、言うまでもないことですが念のため、タイトルの「JK」は「JapanKnowledge」の略ですね、JK。
JapanKnowledgeという超強力デジタル・コンテンツ・プラットフォームに、この秋『群書類従』web版が搭載されました。『群書類従』本文テキストが全文検索可能という、やばいこれ、来るときが来た、というような感じですけど。
JapanKnowledgeさんについてあらためてご紹介すると、小学館グループの株式会社・ネットアドバンスさんが提供するデジタル・コンテンツ・プラットフォームで、契約による有料会員制、国内外の出版各社の事典・辞書などのレファレンス系&本文テキスト/PDFなど、日本の人文社会系の研究教育に欠かせない基本的かつ信頼おけるコンテンツが、約50種類、総項目数200万以上という大規模で収録されているという。それだけの情報/見出し/本文を、検索・参照できるという。
やっぱりこの”複数の参考図書・データベース・コンテンツを、同一のプラットフォーム上で検索・参照・操作できる”というのが一番の魅力で、それひとつで日本研究に必要なツールをおおむねカバーしてくれてるし、しかも玉石混淆の”玉”をセレクトしてくれてるし、それひとつさえ契約してればいいということになるので、実際使うユーザだけでなく、契約して提供する図書館側にも結構なメリットあるよねという。海外での契約多数というのもうなずける話ですよねという。
その、”複数を統一で検索・参照できる”プラットフォーム上に、「参照・アクセスしやすい」かたちで「複数著作が大規模集積」している和製基礎コンテンツ『群書類従』があがることによって、
・相互参照ができる
・統合検索ができる
・ファインダビリティが上がる
・セレンディピティが増える
すなわち、もともと『群書類従』さんが持ってはった「”あたり”をつける」のに有用というレファレンスツールとしてのキャラに、さらに磨きがかかるわけです。
うん、もはや『群書類従』のことを叢書という名のレファレンスツールとして見てますが。
まず『群書類従』本文と他の参考図書類とを容易に「相互参照」できるというありがたポイントです。それは、『群書類従』本文を読んでいるうちに、この人誰?とかこれ何て訓むの?ってなったときに、他の参考図書を参照しにいける。しかも、えっと国史大辞典って何階のどこにあるんだっけ?って探しながら参照しに行くというんじゃなくて、同じパソコンの同じブラウザの同じプラットフォーム上ですぅっと検索しに行けるし、チラ見してまたすぅっと本文に戻れる。いちいち思考や集中が途切れないからいたって効率がいい、と。
逆もまた便利なりで、他のコンテンツ、例えば日本歴史地名大系の記事本文中になんやらほんやらと引用されている、ん、これ本文もうちょっと確認したいなってなったときに、それが『群書類従』内にあればすぅっと本文確認しに行ける。
もっとざっくり言うと、国史大辞典で何かしらの歴史用語なり調べてるときに、定義はなんやかんや書いてあるにせよ、ともあれ実際どんなふうに使われてたんだろうっていうのを、じゃあとりあえず『群書類従』本文全体をざっくり検索してみるということができる、今度は『群書類従』を対象にした「統合検索」、串刺し検索ができるとういありがたポイントです。異なる複数の文献・著作の本文全体をひとつのキーワードでごっそり検索して、なるほどこの言葉って、なんかこの頃の時代のこの界隈の文献にこんなノリでヒットする言葉なんだね、ってなる。あ、こっちの文献ではこんなふうに使ってるけど、こっちの記録類ではむしろこういうノリで登場するんだね、という比較・対照。
え、なにそれすげえ強力な文脈補完ツールじゃないですか、と。
こういうのって、単独単一のデータベースとかネットから切り離されてアローンにスタンドしてるCD-ROM系のデータベースではなかなかかなわないことですよねと。
そうやって、いままで自分の研究調査のまな板の上にのせようなんて考えてもみなかった文献・著作の中に、え、この人出てくるの? このお寺の名前、この歌枕、なんでこんなとこに書かれてるの?的なことが、複数の異なる分野の異なる場所からボロボロと砂金の粒のように見つかってくれる。
「ファインダビリティ」が上がるし、「セレンディピティ」が増える、ていうことだと思うんです。
それは、『群書類従』本文がテキストデータベース化したことによるというだけでなく、それが多数の、多様な、多分野の代表的コンテンツを備えたプラットフォームたるJapanKnowledgeさんに搭載されてるからこそだろう、とも思います。人文系だろうが社会系だろうが世の学術研究は今後ますます学際化・国際化していきますところへ、日本の法制の歴史だけとか、この時代のこの地域の地誌だけとか確認してれば物事が理解できるというようなことはおそらくなく、分野や文献を横断して連想的・発想的な検索と発見ができるというのが、いまどきのビッグでウェブケールなディスカバリーということなんだろうと思います。そこまでの発見は、やっぱりどうしてもメタデータだけとか参考図書だけとかではかなわなかったスケールのことでしょう、本文がサーチャブルな『群書類従』で、分野・文献の壁をのりこえて、ディスカバリー・ジャパンの旅に出よう、ていう。
でもじゃあ、それってGoogleでいいじゃんと、webのサーチエンジンでいいんじゃないのというと、そこがまたJapanKnowledgeさんのプラットフォームのありがたポイントで、適合度の高い、信頼できる。定番なコンテンツだけをあらかじめセレクトして載せてくれている、そうでなくてもあるいは指定・しぼりこみができるわけなので、無法地帯への無謀な旅というわけではなくて、的確な文献・本文を的確に参照できる、という安心感&効率の良さもここにはあるわけです。これが、単にググれば済むというようなwebサーチとはまた違うところっていう。
そんなJapanKnowledgeが、みなさんのいきいき『群書類従』ライフを豊かですこやかなものにしてくれますよ、という。
それは例えば、こんな感じじゃないでしょうか。
京都府大枝町にお住まいの蛇班馴次さん・67歳(取材当時)は、大の歴史ファンです。
週に一度の大河ドラマは欠かさず視聴。歴史上の人物について本や歴史資料を調べたり、図書館に通ったりしています。晴れた日には健康管理もかねて、奥さまとふたりで史跡めぐりがてらのウォーキング。楽しそうですね。
そんな蛇班さんの最近のお気に入りは、大河ドラマでも大人気の黒田官兵衛。ところが、いつものように町の図書館を訪れた蛇斑さん、浮かない顔をしていますね。どうしたんでしょう。
蛇班馴次さん・67歳(取材当時)
「若い頃は『群書類従』くらい気合いで端から端までめくって通し読みできたんですけどね。最近はだんだんつらくなって来て・・・」(※個人の感想です)
なぜ黒田官兵衛をわざわざ群書類従で調べなきゃいけないかという無理矢理な設定はともかくとして、そんな蛇斑さんにこれ、JapanKnowledgeのweb版群書類従を試していただきました!
蛇斑さん、さっそく本文を黒田官兵衛で検索。
蛇班馴次さん・67歳(取材当時)
「あー、あったあった、いくつかありますね。・・・でも多分これで全部じゃないですよね、彼には別の名前があったから、その名前で出ているかもしれないね、えーっと、なんていったかな?」(※個人の感想です)
歴史ファンならそれくらい知ってるだろうというツッコミは、「物忘れにも効く!?JapanKnowledge」という字幕で覆い隠しつつ、今度はJapanKnowledge全体を黒田官兵衛で見出し検索します。そう、JapanKnowledgeには『国史大辞典』、『日本人名大辞典』、『日本大百科全書』など、40を越える参考図書やコンテンツが成分として含まれているのです!
黒田官兵衛でJapanKnowledgeを検索して、ヒットしたのは『日本人名大辞典』。官兵衛の名前が「黒田孝高」だとようやく思い出せた蛇斑さん、ここであらためて『国史大辞典』の「黒田孝高」記事を読みにいきました。
別名がヒットしやすいのは『日本人名大辞典』。記事が充実しているのは『国史大辞典』。この2つの異なる成分をたった1つのデータベースで摂取できるのも、JapanKnowledgeならではのおトクさですね!(※効果には個人差があります)
画面
「[参考文献]『大日本史料』一二ノ二 慶長九年三月二十日条、『寛政重修諸家譜』四二五、貝原篤信『黒田家譜』(『益軒全集』五)、金子堅太郎『黒田如水伝』」
蛇班馴次さん・67歳(取材当時)
「参考文献がたくさん書いてありますね、なるほどなるほど。ところで、『群書類従』はどうなんだろう?」
あくまでも『群書類従』にこだわる不自然な設定の蛇斑さん、今度は『国史大辞典』で「黒田孝高」や「如水」で「群書類従」を全文検索してみました。そう、『群書類従』だけでなく『国史大辞典』の記事も全文検索できるのがJapanKnowledgeのスゴイところ! 『国史大辞典』の記事の中に「群書類従」と「黒田孝高」が同時に書いてあれば、目指す文献名が書いてある可能性が高いですね。
検索の結果、『神屋宗湛日記』という日記が『群書類従』に収録されていて、そこに黒田孝高が登場するということ。それから『玄与日記』という『群書類従』日記部の文献にも黒田如水の名前で登場していることがわかりました。
蛇班馴次さん・67歳(取材当時)
「これまでだと、1冊1冊本棚から手にとって、1ページ1ページめくってじっと読んでいかなきゃ見つからなかったから、とてもつらかったんです(※個人の感想です)。それがweb版群書類従の全文検索だと、ウソみたいに簡単に見つかるんですね(※個人の感想です)。しかも、わからない人名や地名が出てきたらその場で検索できるからとても楽ですし(※個人の感想です)、いままで想像もしなかったような(※個人の感s)気づきもしなかったような(※個人の)ところに探している人名が書いてあったりして(※たまにはそういうこともあります)、毎日が発見の連続ですね(※毎日というのは一種の比喩表現です)。おかげさまで最近ではなんだか足腰の調子もよくなって、若返ったような気がしてね、はははっ(※おそらく気のせいです)」
そんなJapanKnowledge搭載のweb版群書類従が、いまならナント無料でお試し頂けます!
というのが↓こちら!
https://twitter.com/yagisyoten/status/519315586388463616
東京は神保町の八木書店さん古書部にて、「お試し機」が利用できるんです!
カレーでも食べるついでにぜひ検索しに来てみてください!
さらに!
2014年度の図書館総合展を訪れてくださった方だけの特典として!
企業展示会場にて「Web版 群書類従」特別展示ブースをごらんいただけます!
さらにさらに!!
11月7日金曜日、午後3時から45分間だけ限定で!!
特別イベントにご参加いただけます!!
第一部:ミニレクチャー「群書類従を活用して戦国の社会と地域を学ぶ(仮)」
第二部:討論「群書類従×図書館でできること」
(株式会社ネットアドバンス)
・丸島和洋(国文学研究資料館研究部特任助教)
・福島幸宏(京都府立総合資料館新館担当副主査)
・恋塚嘉(八木書店古書出版部)
まああれです、調子に乗っていろいろふざけたまま終わるのもあれなんで、ざっくりとまとめると。
『群書類従』は、個々に所蔵され公開されなかった書物を、叢書・出版によって公開し、書物と人との間の障壁をとりのぞいてアクセスを可能にした。
加えて『JapanKnowledgeの群書類従』は、個々に閲読・検索するしかなかった書物を、同一プラットフォーム上に載せ、書物と人との間の障壁だけでなく、書物と書物との間の障壁をとりのぞいて、アクセスを容易にした。
という感じのフリップでも出しておけばかたちになるのかな、という感じです。
あくまで感じです。
効果・効能には個人差があります。
【関連する記事】