言うとしたら、多巻ものの内容索引の電子化に関するミーティング、とでも言うべきミーティングがあり、参加してきました。(3/31 21:45-23:00頃)
・ホテル内小会議室にて。北米の日本研究ライブラリアン数人と、AASに企業ブース参加で来ていたと思われる日本の出版関係者が参加。
・この問題は数年前のCEALでも「本棚の中のニッポンの会」的な名称でインフォーマルなミーティングが持たれていたもの。
・北米では日本で出版された冊子・マイクロなどの全集もの・多巻ものについて、高額なのであちこちが買うわけにはいかないんだけど、それでもせめて北米内で1セットは持つようにということで、北米の日本司書間で連携してなんとか買っている状態。で、その1セットを所蔵している図書館へ北米内各館がILL依頼を出して取り寄せようとするわけなんだけど、そこで問題になるのが、その全集もの・多巻ものの内容索引・目次情報の類が電子化・オープン化されていないので、書誌情報を明確にできない・検索調査ができない、という問題。遠隔で所蔵館から取り寄せようとするのに、ほしい著作が第何巻にあるのか、何ページにあるのか、そもそもどういう著作があるのか。それを、webで、デジタルのかたちで、ライブラリアンにもユーザ自身にも参照可能なようにすることができないか、という。
・このくらいのことすらweb・デジタルで検索調査できないと、北米での日本研究はどんどん見向きされなくなってしまう、という危機感。それから、出版者側としてもどの多巻ものにどんな著作が含まれているかがwebで顕在化すれば、販売促進につながるはずだよという考え方。
・ではそれをどのようなかたちで、どこに置いて、公開するのか。例えば、冊子索引をPDF化してOCLCの書誌からリンク貼ってたどれるようにする? あるいは簡易データベースを構築する?
・詳細は割愛しますが、簡易データベース化について具体の提案・紹介あり。課題は、レコードのフォーマットをどう整理調整するのか。そして、データ自体を各出版社から提供してもらえるのか。
・データの提供については出版社側からどれだけ協力を得られるかがカギ、という感じのよう。これがなかなか難しく、最終的には全部紙でめくっていくから研究力がつくんだ的な話も出るくらいで、21世紀も1/6が過ぎそうな頃にそういう議論というのはどうなんだろう。(ほんとはいまごろ本文のほうがネットで見れてていい頃合いでは)
・以下、egamidayさんの意見。この問題、つまり全集多巻ものの内容索引・目次情報がデジタルのかたちで検索できない状態にあること、というのはそもそも、日本側の未整備の問題であり、日本の図書館業界こそが率先してリクエストの声をあげるなりあるいは解決に取り組むべき問題であって、デジタルヒューマニティーズだなんだと言って画像だ研究データだwikiだと上げていくのもさることながら、このくらいの基本的な書誌情報整備は我々がちゃんと責任もってやっていかなきゃダメだろうと。なので、この文脈に限らないで、もっと広く日本の図書館コミュニティを巻き込んで議論できないか。
・それと、たぶんだけど、これの解決方法は唯一の何かに収斂していくものというわけではないだろう、CiNii ArticlesやNDLサーチやNDLデジタルコレクションという解決かもしれないし、NACSIS-CATのCWの問題かもしれないし、ディスカバリーサービスかもしれないし、オープンデータのコミュニティかもしれない。だからこそ、問題を顕在化させて多様な眼に触れさせるステップが必要なんじゃないか、と思う。
・という上記2点を組み合わせた結果、とりあえず「カレント・アウェアネス」に記事書かせてもらったらどうか、という提案をしたんですが、どうですか>関係各位。あるいは「人文情報学月報」さんに。
・あと細かい点では、データベースにするならツールとして汎用性のあるものに、ていう。
・11時近くまで議論して、終了後数人でホテルのバーでねぎらって、Uberで宿所に送ってもらって、12時くらい。おつかれちゃん。
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