2017年01月07日

201611it イタリア・シチリア旅 2日目その1「"旅行"がしたいのであって"観光"がしたいわけじゃない」

 
 というわけで2日目、実質初日です。
 今日はローマから鉄路で、旅の主目的地であるシチリア島へ向かいます。

 ローマ・テルミニ駅発 07:26 → パレルモ駅着 19:00

 地図的にいえばこんな感じ。

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 ポイントが2つあって、1つめが「乗り換えなし・12時間一本勝負」の旅程だということ。
 つい昨日が関空→パリ間12時間フライトをこなしておいてからの、今日さらに12時間鉄道乗りっぱなし、という旅程は、まあ確かに自分でも首をかしげなくもないですが、しかしだからといって、その分の時間を観光にまわしたほうがいいんじゃないのみたいなことは思わない。極端に言えば、"旅行"がしたいのであって"観光"がしたいわけじゃない、鉄道に乗ること自体が旅行の目的のひとつ、車窓をぼぉっと眺めて過ごすのが求むアトラクションのひとつなので、という感じです。
 そうじゃなかったら、ローマ−パレルモ間なんか空路1時間で済んでる話なんで。

 ポイントの2つめは、イタリア本土とシチリア島の間に海があること。関門海峡くらいの距離ですがここは橋がかかっているわけではなく、列車を降りて舟に乗り換えるというわけでもなく、乗ったままの列車ごとフェリーに載せられます。この話を誰にしても、怪訝な顔をするか明らかにおかしいと否定されるのですが、何両か編成の列車をいったん切り離して、そのままフェリーに載せて海峡を渡り、渡った先で再度連結して走るっていう。こんな極上アトラクションありますか、っていう話ですよ。
 橋でしょ? 橋はですね、これまでも何度も何度も「かけます」っていう計画が持ち上がってはぽしゃってるらしいです。実際今回の旅の予習でも、数年前の本には「ついに○年竣工予定」と書いていたのが、さらにその数年後の本では「その計画は頓挫した」みたいなこと書いてあって、なんというか、イタリアだなあという感じ。
 人が降りてフェリーで渡りゃいいじゃんっていう説もごもっともなんですが、これについてはどうだろう、たぶん本土−シチリア便のうち何便かは夜行なので、寝てる間に海峡越えなきゃいけないからなのかな、っていう推測です。

 というわけで、鉄道をたのしむ+車窓をたのしむ+海峡渡りをたのしむ、という2日目です。

 国文の先生がフロントで、整備のおっちゃんがソファで雑魚寝してるところを、叩き起こすようにして宿出です。

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 12時間一本勝負、つまりは、昼食を食べられないおそれが大なので、朝食はがっつりめにカツサンドとカプチーノです。駅食ですが、なんやテルミニ駅は地下なり2階なりに相当いろんな店が整備されたみたいで、はかどりますね。
 あと、売店で水とかチョコとかを買い込む。

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 ちなみに今回乗る鉄道便のチケットについて、朝宿でネット予約したものを駅の券売機でプリントアウトしようとしたのですが、何度やってもQRコード付きのこんなレシートしか出てこなくて、そしたらなんかボランタリーな学生さんが「それがチケットだ」って言うんですよ、こんなペラッペラで40代の目では読み取れないような小さい字の紙がチケットとか、困るw

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 というわけで、07:26、ローマ・テルミニ駅発です。

 ところで車窓をたのしむには、地図から考えて海側、進行方向にむかって右側の座席が吉なわけですが、じゃあどの席を予約すれば”右側”なのか、これが日本の新幹線なら決まってるのですが、じゃあイタリア鉄道(FS)の場合はどうかとネットをさんざんググりにググったのですが、結局「予測不可能」という結論に達しました。欧州ではターミナル式の駅が多いですが、それに停車する度に進行方向が変わるので、どうしようもないですね。
 と思って列車に乗り込んだのですが、「どの席を予約すれば」なんて無関係でした。
 席がガラガラでどこも空いている。あと、そもそも予約席を守ってない、あたしの席になんかもうおっちゃん座ってるし。
 さらに窓が・・・ひどい結露でまったく外が見えないという。これはさすがに困る、車窓をたのしむのが旅の目的って、それあかんやん、と。
 と困って、客車内を見回すと、結露している窓としていない窓がまだらにあるので、海側の、結露してない、他の人と相席にならずに済むひろびろとした席を、小一時間ほど不審者かのようにうろうろと移り探し、サレルノを過ぎてもう客は増えないだろうというタイミングでやっと落ち着いた、っていう。
 この後、シチリア島内でもそのほとんどにおいて、指定席予約はいっさい関係なかったです、みんな好きなところに座ってる。まあそういう土地柄だということで。

 というわけで、あとは海峡渡りイベントまでの6時間強、延々と車窓をおたのしみください、という感じ。

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 ていうか、ローマど真ん中のテルミニ駅を出て10分もしないうちに、草原、林、農場、突如としてあらわれる古代の水道橋的な巨大建造物。WindowsXPかと思うような緑豊かな景色がずっと続いてて、こんだけ豊かな国土があったら、そりゃ美味いもん作れるだろう、って思いますね。

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 一応特急としての便ではあるのですが、ローマ−ナポリ間を過ぎるくらいまでは地元駅にちょいちょい停まります。特急なのにまた停まるの?ていうのが京阪みたい。

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 15分停車のナポリ駅で、がまんできなくてエスプレッソを買ってきちゃった。しかもババ(スポンジケーキのシロップ漬けにしたの)があったのでついでに買ってきて、手のひらをシロップでべっとべとにしながらいただきます。

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 観るとほぉっとため息が出る、霊峰・ベスビオス火山。
 海側に突き出た半島の山、あの向こうがアマルフィ海岸です。

 途中、サレルノに停まり(アマルフィ行きはまた今度に)、アグロポリを通過し(古城跡があるという古い町、また今度来ようね)、という感じでもうそろそろ停車駅が少なくなってきます。南イタリアをぜいたくにがんがん飛ばしていく感じになってます、この列車。海が見えては遠ざかったり、鉄橋と併行してめっちゃ古い石造りの橋が渡ってたり、そのうち次第に、植物相が蘇鉄蘇鉄な感じ、家の壁が白と黄色、屋根が茶褐色という南イタリア南イタリアした感じになってきます。空が晴れてその光が海面に反射している、次々と襲いかかる風光明媚攻撃に休む余地のない、いまのところは実にヴァケーションっぽい車窓です。

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 ていうか、フライト12時間の翌日に鉄路12時間中ですが、ぜんっぜん苦にならない、めっちゃ楽しんでるので、egamidayさんはやっぱ正気じゃなかった。

 さすがに電波(レンタルwifi)が弱くなってきたかなというくらいに、もうずっと海岸沿いを走ってて、たまに浜辺で人が半裸や水着姿でフラフラ歩いてたり釣竿立てたり、リゾートっぽい集落だとスキューバのグループがたむろしてたり、おっさん達がかたまって駄弁りしてるのが見える、そんな車窓。オレンジの樹が増えだしたり、たまに富豪っぽい邸宅も見えたりする。
 どれもこれもこの土地の、いたってふつーの日曜日の暮らしの中を、旅行者の自分が客車の窓から眺めながらすぅーっと走り抜けていく。
 そのうち次第に曇ってくる。寒くもなってくる。何もない土手を犬ととぼとぼ歩く人がいるなと思ったら、工場跡地みたいなとこに砂をかぶったように汚れた簡易テントがたくさん並んでて、ひっそりとしてる。この寒いのに薄手の服で汚れたボールをひとりで追いかけてる少年がいる。あるいはその先に、鉄骨が剥き出しで整備も何もされていない建物ばかりが密集するような集落もある。そこもここも、それがどこかもわからない、そこにいる人たちがどういう人たちなのかもちゃんとはわからない、けれども、でもやはりそこの人たちにとってはそれが日常であり、暮らしであり、その中を異邦人たる自分が無言で走り抜けていく。

 そして。

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 やたら山越え、やたらトンネルだったなあという辺りを過ぎ、薄曇りの中、前方をぼーっと見ていることしばし。
 ・・・あれ、もしかして、さっきから遠くに見えてるあれがシチリア島なの? (気付いてなかった)

 ただいま14時前、鉄路予定の半分は過ぎてます。
posted by egamiday3 at 17:26| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする