2017年02月28日

在外日本資料 #2017年の本棚の中のニッポン


 在外資料、つまり、海外に所在する日本関係資料です。

 2016年夏、大坂の陣に関する記述がオランダのハーグ国立文書館所蔵の資料にあったと、それを日文研の研究者が見つけた(?)と、新聞等で報じられました。

「「秀頼に落とされ死んだ」大坂の陣、オランダで新文書」
朝日新聞デジタル 2016年9月21日
http://www.asahi.com/articles/ASJ9N5RT9J9NPTFC01H.html

 あまりセンセーショナルにとりあげられるのもどうかと思うようなあれではあったし、内容の検証はもちろん別問題なのですが、まあ話題にはなったということで。

 で、これが見つかった云々というのがどういう文脈の成果かというと。
 もともと、人間文化研究機構が「日本関連在外資料調査研究事業」というものをやっていました。
https://www.nihu.jp/ja/research/zaigai
https://www.nihu.jp/sites/default/files/plan.pdf
日本関連の在外資料を国際的な共同研究として、調査研究しましょう、という感じのやつです。できれば、ありがちな個別ばらばらにやるのではなく、複数機関の複数研究者が、共同で、複数のプロジェクトを同時並行的にがんばってやる、という形式の事業です。人間文化研究機構からだけじゃなくて、東京大学史料編纂所、東洋文化研究所、京都大学人文科学研究所、大分県立先哲史料館みたいなところも一緒にやらはるし、もちろん在外資料だから海外の各地各機関とも共同でやります。
 っていうのを、まずはH22年度からH27年度までやってました。

 そのH28年度からH33年度版が、人間文化研究機構の、ネットワーク型基幹研究プロジェクト「日本関連在外資料調査研究・活用事業」という位置づけでやってるやつです。
http://www.nihu.jp/sites/default/files/MasterPlan_Japan-relatedDocuments_CollaborativeUtilization.pdf

 このプロジェクトが4つあって、
・ハーグ国立文書館所蔵平戸オランダ商館文書調査研究・活用
・ヨーロッパにおける19世紀日本関連在外資料調査研究・活用―日本文化発信にむけた国際連携のモデル構築―
・バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書調査研究・保存・活用
・北米における日本関連在外資料調査研究・活用 ―言語生活史研究に基づいた近現代の在外資料論の構築―

 そのうちの1番目のやつが、さっきの大坂の陣関係のやつですね。

・「ハーグ国立文書館所蔵平戸オランダ商館文書調査研究・活用」プロジェクト
http://www.nihu.jp/ja/research/pj-holland

ハーグにある平戸オランダ商館文書を、ライデン大学の東インド会社が専門の先生と、日文研の日本関係洋書が専門の先生が、共同で研究して、っていうのをまあ言うともう20年近くじっくり関係持って”コラボ”でやってきてたのの、どこかのタイミングで見つかったどれかの資料のどこかの記述が、まあああいうふうに取り上げられましたな、真田丸効果で、っていう感じです。

 ところで、国文研さんがやってるバチカン・マレガ文庫の調査も、もともともっと前からやってはいたはずですけども、いまの事業としてはこれも同じく「日本関連在外資料調査研究・活用事業」に入ってるやつです。国文研×バチカン、もここの文脈ですね。

 それからイェール大学、2016年にwebサイトができ、目録と研究論文が合わさった書籍が出版され、カレントアウェアネスで紹介された、「イェール大学所蔵日本関連資料調査プロジェクト」、これも、人間文化研究機構「日本関連在外資料調査研究事業」一環であり、H22-27の期間で、東京大学史料編纂所さんと米側関係者・機関との”コラボ”で取り組まれたやつです。

・イェール大学所蔵日本関連資料調査プロジェクト
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/exchange/yale/top_page/index.html
・CA1885 - イェール大学図書館の日本資料コレクションに関する最近の研究動向 / 松谷有美子(2016年12月20日)
http://current.ndl.go.jp/ca1885
・『イェール大学所蔵日本関連資料 : 研究と目録』(2016刊)

 イェール×日本と言えば朝河貫一ですが、彼が収集した日本資料コレクションを、”コラボ”で共同調査・研究し、書簡をデジタル化し(”デジタル化”であり”デジタルヒューマニティーズ”であり)、学生教育に活用し、webサイトで情報編纂&情報発信した、ていう。
 ただしこれもやはり、人間文化研究機構の事業開始より以前(2006年から)に、ずっと関係持ってやってはったやつです。張交屏風の修復とかやってはった(2012年7月返還)し、2008年には日本資料調査に関するワークショップをやってはる。

 さて、このイェールのやつもそうだから、というつながりで、「海外にある日本資料のデジタル化が進んでいる」というネタを並べてみます。最近の。管見の範囲内で、ていうやつです。

・イェール大学図書館所蔵、朝河貫一書簡のデジタル化プロジェクト。
CA1885 - イェール大学図書館の日本資料コレクションに関する最近の研究動向 / 松谷有美子(2016年12月20日)
http://current.ndl.go.jp/ca1885

・CA1859 - 事例報告:北米の大学における日本古典籍の電子化事業 / 鈴木紗江子
2015年12月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1859
-ワシントン大学で、「Take Me There」という、日本古地図を中心とした、ハイブリッド展示(リアル+デジタル)。
-UBCで、モストウ博士による小倉百人一首に関する和本・カルタ史料のデジタルデータベース(One Hundred Poets Digital Collection)

・「米・図書館情報資源振興財団、「隠れた特別コレクションのデジタル化助成プログラム」の助成プロジェクトを発表:カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館による日本の古地図デジタル化プロジェクトも採択」(カレントアウェアネス 2017年1月5日)
http://current.ndl.go.jp/node/33202
「カリフォルニア大学バークレー校C. V. スター東アジア図書館による、1600年代から1923年までの日本の古地図(Japanese Historical Maps)約1,500点のデジタル化プロジェクト」

・「米・スタンフォード大学図書館、デジタル化した地図へのリンク機能を持つ索引図をオンラインで公開:最初の対象コレクションに外邦図」(カレントアウェアネス 2016年9月28日)
http://current.ndl.go.jp/node/32623
・スタンフォード大学マップコレクションでは外邦図を多数所蔵している。約10000枚、1940年代後半-1950年代前半。外邦図シンポジウムが大阪大学の小林先生のところの企画で2011年10月に開催された。(http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/newsletter9/
・「離島を含む全国すみずみまで網羅、約100年前の日本の古地図をスタンフォード大が公開中」(INTERNET Watch 2016年8月8日)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1014219.html
「「五万分一地形圖」と題されたこの地図は、明治20年代から昭和10年頃にかけて大日本帝國陸地測量部が作成、修正したもの」
Japan 1:50,000
http://stanford.maps.arcgis.com/apps/SimpleViewer/index.html?appid=733446cc5a314ddf85c59ecc10321b41

・プランゲ文庫
-国立国会図書館デジタル化資料にプランゲ文庫が追加―約3,400点の図書を館内提供
Posted 2013年3月21日
http://current.ndl.go.jp/node/23127
-国立国会図書館デジタルコレクションに、米国戦略爆撃調査団文書、極東軍文書、プランゲ文庫等の資料を追加
Posted 2014年3月12日
http://current.ndl.go.jp/node/25684
-国立国会図書館デジタルコレクションに、GHQ/SCAP文書、プランゲ文庫等約14,200点を追加
Posted 2015年3月17日
http://current.ndl.go.jp/node/28169

 もちろんこれは氷山の一角で、浮世絵なんかは山ほど電子化されてるでしょう、それは、ukiyo-e.orgとかメトロポリタン美術館とかEuropeanaでもたくさんヒットしてるのがすぐ見てとれる。
 というふうに見ていくと、種類や場合によっては、在外日本資料の方が在日日本資料よりも電子化進んでるだろう、っていうような逆転現象も一部起こりつつあるわけです。なんていうかな、これが10年前とかだとどの欧米日本資料図書館に行っても「資料の電子化は進んでるもののそれは西洋文献の方が優先で、日本資料なんかまだぜんぜんあとまわし」みたいな話がメインで聞かれてたんですが、ああ、もうそのフェーズはとっくに経過したんだな、というようなある種の感慨深さがあります。いや、感慨深さってる場合じゃないんですけど。
 そしてこれら在外日本資料の電子化については、立命館アートリサーチセンターさんやいま綺羅星のごとき国文研さんこそが、というあれなんですが、これについては別途項をあらためて、という感じで。

 このペースだと〆切までに終わらんなっていうあれなんで、もっとさくさく、おしゃべり(笑)はほどほどに。
posted by egamiday3 at 21:29| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする