2017年03月02日

ウェブ・スケール・ディスカバリー(WSD) #2017年の本棚の中のニッポン


 いわゆるウェブ・スケール・ディスカバリー、これこそ、海外の研究者や学生のふだん目にしているところであり、ひとつの”ポータル”と考えてそこを介して”情報発信”することの意味の大きさ、みたいのはあると思うのですが、それはアメリカの下記の調査でもわかってて、

・「Ithaka S+R US Faculty Survey 2015」
http://www.sr.ithaka.org/publications/ithaka-sr-us-faculty-survey-2015/

 研究者がどこから研究をスタートさせるかについて「図書館のサイトやカタログから」と答えている人の割合が、2015年にぐっと上昇してるという。

 ところが、海外の学生・研究者のみなさんがいつも目にしているというそのウェブ・スケール・ディスカバリーにおいて、日本製のコンテンツがヒットしない、という話については、これはまるごと飯野さんにおまかせしますという感じで。

・飯野勝則. 「CA1827 - ウェブスケールディスカバリと日本語コンテンツをめぐる諸課題―海外における日本研究の支援を踏まえて」
No.321 2014年9月20日
http://current.ndl.go.jp/CA1827
・飯野勝則. 『図書館を変える! : ウェブスケールディスカバリー入門』. 出版ニュース社, 2016.
・飯野勝則. 「海外日本研究に忍び寄る危機:学術情報サービスの視点から」. 『リポート笠間』. 2016, 61, p.94-96.

 2014年9月当時のカレントアウェアネスの記事においては、アリゾナ州立大学のWSDで「枕草子」を検索すると、上位を中国語コンテンツが占める。中国語コンテンツが76%、日本語コンテンツが13%。Googleで検索結果の上位にかからないことと同じ状況が、欧米のアカデミックな世界で起きている、と。
 同様の指摘についてヨーロッパから。

・Kamiya Nobutake, Naomi Yabe Magnussen. 「Case study : CiNii's Japanese language bibliographies in Primo Discovery system : at Zurich and Oslo University Libraries」(EAJRS2015年次集会). 2015.9. https://perswww.kuleuven.be/~u0008888/eajrs/happyo/Magnussen_Naomi_Yabe_15.pdf

 2015年チューリヒ大学では、「夏目漱石」で検索すると、中国の論文情報が上位にヒットする。同じく2015年オスロ大学では、「夏目漱石」で検索すると、日本の論文情報が上位にヒットする。

 この手のお話は時々刻々と状況が変化していくものなので、飯野さんのアラートによって改善はしていってるものと思うのですが、基本的な考え方としての、WSDは日本の大学図書館に導入が進みつつあるものの、日本製コンテンツにかかわる発信についての理解が進んでいない、というのは、知識情報を輸入はするが輸出はしないという根本的な日本側の考え方を問われているようなあれです。

 同志社のシンポジウムで北米ライブラリアンがあげた日本製の電子書籍プラットフォームは、EBSCO・NetLibrary、丸善eBook、JapanKnowledgeという感じで、数万冊近い電子書籍が入っていたりするようですが、”存在だけ”していてもどうやらダメなようで、メタデータやアブストラクトが弱かったり不足したりしているとディスカバリーで上位に表示されにくいとか、全文へのURLがあるのとないのとでは、強力な統合的e-resourceプラットフォームがあるのとないのとでは、存在はしていても流通が乏しい、目に触れない、的な話を聴いていると、これもうまんまSEOの話なんだな、っていう理解になるし、実際、「欧米を中心とした海外の出版社は、学術雑誌や図書、データベースの販促ツールとして、これらの項目を含んだ書誌レコードを熱心に作成する傾向にある」らしいので、もっと我々界隈こぞってSEO(Search Engine Optimization)ならぬWSDO(Web Scale Siscovery Optimization)を考えていかなあかんのだな、っていう理解になります。

 再掲します。

・東京文化財研究所、展覧会カタログ情報をOCLCで提供 (2016年10月)
「第7回美術図書館の国際会議(7th International Conference of Art Libraries)への参加」
http://www.tobunken.go.jp/materials/katudo/240626.html
・奈良文化財研究所、全国遺跡報告総覧とWorldCatのデータ連携開始 (2017年2月)
https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2017/02/worldcat.html

 その他WSD対応関連。

・ディスカバリーサービスSummonに、JapanKnowledge搭載
(2013年6月7日)
・医中誌WebがSerials Solutions社のディスカバリサービスSummonで検索可能に(2012年10月30日 http://current.ndl.go.jp/node/22195
・ジャパンナレッジのメタデータがEBSCO社のディスカバリサービス“EBSCO Discovery Service”に提供へ(2013年8月7日 http://current.ndl.go.jp/node/24109
・Serials Solutions社、ディスカバリーサービスSummonの検索対象に丸善の日本語電子書籍コンテンツの追加を公表(2013年10月25日 http://current.ndl.go.jp/node/24675
・EBSCO社、EBSCO Discovery Serviceに丸善の日本語電子書籍のメタデータの追加を発表(2014年2月19日 http://current.ndl.go.jp/node/25509

posted by egamiday3 at 12:50| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする