2017年03月04日

コラボレーション #2017年の本棚の中のニッポン


 これまでたびたび出てきてた”コラボレーション”というキー概念について。
 ”和本”のためのくずし字講座やくずし字学習アプリ開発もそうだし、「みんなで翻刻」もそう、”在外資料”のデジタル化もそうだし、それを使ったデジタルヒューマニティーズもそうだな、っていう流れで。

 海外の日本専門家や日本司書を日本に招いて”研修”するという研修企画についても、たとえば、JAL2016のワークショップでは日本の美術司書がピッツバーグへ出向いていって研修的なことと情報交換的なことをしたんだけど、お互いにフラットな立場で情報交換したほうのほうがよさそうで、っていうことになってくると、それもう授受的な研修じゃなく相互なワークショップ・情報交換・ネットワークづくり、という意味の広義のコラボレーションのほうが良くね?ってなると思うので、そのへんはたぶん「研修」という別項が立つでしょう。

 海外の日本研究や在外資料、そのデジタルアーカイブ構築やweb展示に関連して、ああこれいいな、best practiceだな、っていうコラボ的なプロジェクトをいくつか挙げると。

 まず、琉球大学附属図書館とハワイ大学マノア校図書館による合同プロジェクト「ハワイ大学所蔵阪巻・宝玲文庫デジタル化プロジェクト事業」。翻刻・書誌調査、保存処置、デジタル化作業、英訳、コンテンツ・webサイト作成や広報など、様々な課題を、両大学の図書館司書や研究者・学生等が、インターナショナルにチームを組み、取り組んだ、というもの。
 これについては、2016年6月AAS in Asia 2016京都で開催したラウンドテーブル「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」の中で、ハワイ大学マノア校図書館のバゼル山本登紀子が報告してくださいました。あと、2015年ライデンのEAJRSやカレントアウェアネスでも。

・Tokiko Yamamoto Bazzell(University of Hawaii at Manoa Library)
「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies: Spaces for Change and Growth Collaboration & Collective Solutions @ the University of Hawaii at Manoa Library」
http://egamiday.sakura.ne.jp/MyFiles/pptBazzell.pdf
・「越境する沖縄研究と資料U−「阪巻・宝玲文庫」のデジタル化プロジェクトを通して−」
https://perswww.kuleuven.be/~u0008888/eajrs/happyo/Tomita_Chinatsu_15.pptx
・琉球大学附属図書館、ハワイ大学マノア校図書館所蔵の阪巻・宝玲文庫デジタル公開
http://current.ndl.go.jp/node/26924
Posted 2014年9月2日
「2014年9月1日、琉球大学附属図書館が、ハワイ大学マノア校図書館との連携事業により、マノア校ハミルトン図書館が所蔵する、阪巻・宝玲文庫(The Sakamaki/Hawley Collection)のデジタル公開を開始したことを発表しました。今回公開されたのは阪巻・宝玲文庫全902件の内、琉球・沖縄に関する古典籍・古文書その他110件とのことです。今年度中にはさらに110件の公開を予定しているとのことです。」

 うん、やっぱカレントアウェアネスに記事がひとつあると、ペッと貼って紹介や説明がしやすいので、すごくいいんですよね。インフラですね。

 もうひとつbest practice。アジ歴とBLのコラボ。

・E1630 - ウェブ展示「描かれた日清戦争」:アジ歴とBLの共同企画
http://current.ndl.go.jp/e1630
カレントアウェアネス-E
No.271 2014.11.27
BL所蔵版画コレクションと公文書のウェブ展示を日英版で同時制作するという共同企画。
2012年、自館資料を世に出したいと考えたBL日本部スタッフと、EAJRSでネットワークづくりをしていたアジ歴が、共同で企画。「歴史的資料の公開について専門的な知見を有する機関の協力が必要であり,近現代の公文書のデジタル公開とそれを用いたコンテンツ制作という実績を持つアジ歴は,BLにとって最適なパートナーとなった」。
https://www.jacar.go.jp/jacarbl-fsjwar-j/
http://eajrs.net/files-eajrs/ohtsuka.pdf

 あと、「NDLとフランス国立図書館とで締結された包括的協力協定(2013)にもとづき、2014年両館による共同電子展示サイトが公開された」っていうのは、どこまで実際のコラボレーションがおこなわれているのかよくわかんないんですけど、とりあえず挙げておきます。

・フランス国立図書館の電子展示“France-Japon: Une rencontre, 1850-1914”が公開
http://current.ndl.go.jp/node/27638
Posted 2014年12月15日
BnFの“France-Japon: Une rencontre, 1850-1914”は、NDL「近代日本とフランス―憧れ、出会い、交流」と、相互補完的な機能を持つ。NDL側は日本がフランスに抱いている情熱を、BnF側はフランスから見た日本の魅力を、とのこと。
"France-Japon, une rencontre, 1850-1914"(BnF)
http://expositions.bnf.fr/france-japon/
近代日本とフランス―憧れ、出会い、交流(国立国会図書館)
http://www.ndl.go.jp/france/

 そういう海外に日本研究や日本司書とのコラボレーションを志向するんだったら、日本の司書が積極的に海外に出かけていって、ていうことが必要になってくるので、そうしましょう、っていうことも良く言われています。

 たとえば国際会議に参加してそこで何かしら発表・情報提供をすること。AASやCEALやEAJRSでパネルやワークショップを申し込んで開催したり、何なら同じ会場で別途部屋を借りて人を呼んでやったっていい、という考え方もあるので、っていうのをJAL2016ワークショップでグッドさんに教えてもらったので、企画力と人さえそろえばっていう感じですね。

 それから、インターンなり在外研修・在外勤務なりで長期にわたる派遣を積極的にやるという活動。
 例えば、最近ニュースになったワシントン大学の話。

・2017 Tateuchi Visiting Librarian Program
http://www.lib.washington.edu/east-asia/2017-tateuchi-visiting-librarian-program/view
・「ワシントン大学図書館、日本のライブラリアン招聘プログラムを開始、志願者募集」
Posted 2016年10月7日
http://current.ndl.go.jp/node/32697
研修者は、ワシントン大学東アジア図書館での6ヶ月のプログラム中に、プロジェクトもしくは自らの調査を完成させるなど。開始は2017年3月〜5月頃から。

 これにどんだけ手が挙がってどんだけ定着してくれるかがすごくワクワクしますね。
 こういう海外図書館への司書派遣は慶應さんがわりと積極的にやってはる印象があるなと思ってて、なんか海外出張とか行くとしょっちゅう慶應の人に会うんですよね、すげえなと思って。なんかこの件については中の人からもっと話をききたいです、あんまこのことが表に語られてるのを見ることがない気がする。

・イズミ・タイトラー. 「英国・欧州の日本研究図書館との関わりにおいて」. 『専門図書館』. 2014.11, 268, p.2-7.
JLG(Japan Library Group・英国内日本語資料コレクションのための学術図書館コンソーシアム)と慶應義塾大学による職員英国派遣プログラムがあって、日英交流強化のメリットがあった、と評価している。
・関秀行. 「慶應義塾大学メディアセンターにおける国際交流活動」(EAJRS2016)
http://eajrs.net/sites/default/files/uploads/seki_hideyuki_16.pdf
「国際的な視野を持つ人材を育成していく方法の一つとして、図書館員を欧米の図書館に長期派遣する制度の継続に力を入れている」
最初の派遣はハワイ大学へ1965年。1985年から継続的に。過去、シカゴ大学、UCLA、バークレーなど。現在は、トロント大学、シアトル大学、セインズベリーと継続中。

 これによってコラボレーションが進むというのももちろんだし、そもそもこういうことができるのも先方のライブラリアンの人たちの尽力と日本側との連携があってこそだよな、って思いますね。

 JAL2016のアンサーシンポジウムで、「日本のデータベースやデジタルアーカイブに関するリンク集やパスファインダーや解説集のようなものを、海外向けに、各主題の専門家同士の共同で作成できたらいいのではないか」というのが話題にあがりました。たぶんそれも、日本の人らだけでやるよりは海外の専門家・司書らとのコラボレーションでやっていくのがいいのだろうと思います。そういうのって、成果物としてのリンク集・パスファインダー・webサイトもそうなんだけど、そうやって寄り集まってコラボ活動している過程によってうまれる空気感の形成、みたいなところにこそ、本質的な意義があるんじゃないかなって思いますね。

 ていうか、日本側で海外日本研究に関わっている機関や部署や人があちこちにあると思うんですけど、なんというか、その連携が目に見えてとれてないところがあるんじゃないかな、っていうのは思ってます。

 2014年に試行版が、2015年に現在の版が公開されている、下記のリンク集を事例として挙げておきます。

・「日本研究と日本における人間文化研究情報の国際リンク集」
http://www-e.nihu.jp/sougou/kyoyuka/japan_links/index_ja.html
人間文化研究機構の資源共有化事業の一環として作成されたもの。日本研究と日本における人文系研究情報について、国内外を問わず、英語のリソース中心に、国際的に発信する目的で。

posted by egamiday3 at 12:19| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする