2017年03月05日

アジア #2017年の本棚の中のニッポン


 アジア地域における日本研究、および、アジア地域に所在する日本資料については、ここ最近ではNDL関西館のアジア情報課さんによるキュレーションが、意欲的に進んでます。
もう、基本文献中の基本文献です、ありがとうございます。

・・NDLアジア情報課
・湯野基生. 「台湾の図書館が所蔵する1945年以前刊行の日本語資料(レファレンスツール紹介19)」. 『アジア情報室通報』. 2010.6, 8(2).
・齊藤まや. 「台湾に所在する植民地期日本関係資料の現況と課題」. 『アジア情報室通報』. 2014.12, 12(4).
https://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/bulletin12-4-1.php
・福山潤三. 「韓国所在の植民地期日本関係資料 : デジタル化資料の利用方法を中心に」. 『アジア情報室通報』. 2016.3, 14(1).
・水流添真紀. 「中国で刊行された日本関係資料とアジア情報室における収集・所蔵」. 『アジア情報室通報』. 2016.6, 14(2).
https://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/bulletin14-2-2.php
・リサーチナビ 調べ方案内
「日本研究」(2017.2.17現在)
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/cat2858/cat168/index.php
アジア地域の日本研究
中国の日本研究
台湾の日本研究
海外博士論文(人文社会)
韓国の日本研究
・「台湾所在の植民地期日本関係資料の調べ方」(更新日:2016年12月16日)
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-asia-116.php
・「アジア地域で刊行された日本関係図書リスト」(アジア諸国の情報をさがす)
http://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/bojasia.php

 アジアというキーワードを出すんであれば、やはりアジ歴さんで、”コラボレーション”の例で出した「E1630 - ウェブ展示「描かれた日清戦争」:アジ歴とBLの共同企画」(カレントアウェアネス-E  2014.11)のほかに、もうひとつこういう話も最近出たので載せておきます。

・「戦後のアジア公文書、ネット公開へ 外交文書が中心」(朝日新聞デジタル)
http://www.asahi.com/articles/ASJDP74GGJDPUTFK016.html
2016年12月23日
「アジア歴史資料センターは、近現代のアジア諸国との関係にまつわる公文書をネットで公開する対象をこれまでの明治〜戦前から戦後へ広げる方針を決めた」

 これ出ると、日本研究のための資料の幅がぐっと拡がるな、っていう話ですよね、それは単に時代が拡大したというより、分野・対象者ががらっとかわり、研究手法や文脈もまたたぶんがらっと変わる。その変わり方はおそらく、「日中韓電子図書館イニシアチブ(CJKDLI)会議」によるCJK Digital Library(http://current.ndl.go.jp/e1885)の比ではないんじゃないかと思います。

 2016年11月、韓国の仁川で「東アジア日本研究者協議会」の第1回国際学術会議が開催されました。

・東アジア日本研究者協議会
http://www.eacjs.org/

 中・韓・台・日の“日本研究”者が集まっての協議会ですが、これまで、例えばAASやEAJSのような大規模国際的な日本研究の集まりを、“東アジア”の人たちが集まってやるっていうことがあんまなかったと。そこもっと、東アジア地域内で互いに日本研究の学術交流やっていきましょうよねと。いうのでこの協議会が組まれたとのことです。webサイトには、日本研究の質的な向上(学際・融合)、各国での自国中心の日本研究からの脱却(多様な観点)、東アジアの安定と平和への寄与、が趣旨として述べられています。
 発起人は、下記のような感じ。
「東アジア日本研究者協議会を立ち上げるため、その間協議を重ねてきた下記の5名を発起人とする。徐一平 (北京外国語大学北京日本学研究センター長)
小松和彦 (国際日本文化研究センター長)
徐興慶 (国立台湾大学日本研究センター長)
李康民 (漢陽大、日本学国際比較研究所長)
朴母、 (ソウル大学校国際大学院院長) 」
第2回は天津・南開大学とのことです。

 約50のパネル・約300人の参加者の中に、図書館関係・情報学関係の専門家が多数参加していたというようなことはどうやらなかったようですが、例えば京都大学地域研究統合情報センターによる「日本学のためのデジタル・ヒューマニティーズ」というようなパネルもプログラムからは見てとれますので、今後は日・中・韓・台の図書館・情報学業界界隈もここを交流の場として使えるように乗っかれればなと思います。それには事前段階として、もっと日常的な交流の基礎固めをしないとなって思うのですが。ただ、例えば韓国のライブラリアンの方に話を聞くと、別に日本を専門にしているサブジェクトライブラリアンがいるというわけでもない、そんなコミュニティもない、という話なので、では日本資料ユーザと図書館・ライブラリアンとの関係は、日本資料の届け先はどこか、という話になってきますので、これはちょっとおいておきます。

 AAS(北米のアジア学会)さんも最近は、年1ペースでのAAS in Asiaのアジア現地での開催を続けています。2014シンガポール、2015台北、2016京都、2017ソウル。

・AAS in Asia
http://www.asian-studies.org/Conferences/AAS-in-ASIA-Conferences/
・「AAS-in-Asia 2016 京都大会ラウンドテーブル「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」報告」
http://kasamashoin.jp/2016/08/aas-in-asia_2016_the_digital_r.html

 AAS in AsiaもEAJS日本大会も、なんとなく、欧米の地域研究としての文脈の中での“アジア研究/日本研究”を、アジア地域の人からも参加しやすくする場を設けるというような意図だろうなので、それと、東アジア内で日本研究を云々する場を作ろう、という東アジア日本研究協議会とはまたちょっと違うんだろうな、とは思います、「日本における日本研究」とも「欧米における日本研究」ともまた別の、っていう。

 東アジアにおける日本研究の例としては、「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」とその雑誌『跨境』の創刊が目をひきます。

・日比嘉高. 「国際査読誌『跨境(こきょう) 日本語文学研究』の創刊、および少々の展望」. 『リポート笠間』. 2014, 57.
http://kasamashoin.jp/2014/12/57_15.html
2013年から「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」を開始。韓国、中国、台湾、日本の近代日本文学研究者が連携で研究集会を開く。
2014年、雑誌『跨境 日本語文学研究』を創刊。編集・査読は韓中台日米欧の研究者からなる。
「国別、地域別、言語別に閉じたまま研究される傾向にある日本文学研究を、つなぐような試みができないか」
「創刊号では、第一回フォーラムが論じた「東アジアにおける日本語雑誌の流通と植民地日本語文学」が特集」「戦前の東アジア各地では、さまざまな日本語雑誌が刊行されていた。ただし研究は、旧満洲、朝鮮、台湾など地域ごとになされる傾向が強く、それらを突き合わせて検討する機会は少ない」
「本誌の「日本語文学」という表記は、日本語で書かれた文学であるということを基準とし、書き手の国籍や民族、書かれたり発表されたりした地域については制限しない、むしろその横断性や重層性を重視するという趣旨によっている」
「創刊する過程で議論に上ったのが、何語で研究を公表するかという問題である」・・・

 戦前東アジアの日本語雑誌、というものを考えるだけでも、日本文学研究が東アジアの視点や文脈抜きに語ることができないし、そしてそれは、日本史研究が同じく東アジアやユーラシア・環太平洋等の文脈抜きに語れないのと同じであって、それはどの日本研究もそうだろう、というふうに考えていくと、これもまた、アジアどうこうを考えると言うよりも、いや、アジアを考えれば考えるほど、“日本研究とは?”という話になっちゃうと思うので、いったん離れます。

posted by egamiday3 at 09:27| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする