2017年9月、オスロで行われたEAJRS(European Association of Japanese Resource Specialists:日本資料専門家欧州協会)に行ってきましたので、その参加記録のメモ、いくつか。
●この記事のハイライト
・オスロ大学におけるストリーミング中継体制の本気。(https://www.youtube.com/playlist?list=PLEy8DN9V7foVa7eupCmXwNP84lYqli-aV)
・さすが飯野さんが安定の人気。ウェブスケールディスカバリーが抱える、海外からの日本コンテンツアクセスの難点について。(https://www.youtube.com/watch?v=NPjnHxC8OSY)
・羽生浩一「四カ国に散在する一次資料から史実を掘り起こす : ノーベル平和賞と日本についての研究から」。これは日本のMALUI関係者に届いてほしくもあり、そうでなくてもかなりおもろい現代史噺。(https://www.youtube.com/watch?v=sqOKe0wLPGw)
・スペシャル・パネル・セッション。
https://www.youtube.com/watch?v=sqOKe0wLPGw
発表:布施さん@フィンランド、三竹さん@紀伊國屋バンコク
パネリスト:飯野さん@佛大、後藤さん@歴博、田中さん@ネットアドバンス(ジャパンナレッジ)
司会:egamiday氏


以下、記録。
●ストリーミング中継&録画公開について
・今回のEAJRSはほとんどすべてのターンが、ストリーミング中継&録画公開されてました。
リンクは↓こちら。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLEy8DN9V7foVa7eupCmXwNP84lYqli-aV

・中継は、オスロのIT部署(っていうかおそらく中継専門部隊)の全面バックアップによるもので、なんか江上とかがその場でやりそうなiPhoneとかwebカメラとかじゃなく、ごっついマジの機材を使ったやつ。
・登壇者は事前に専用のヘッドセットをつけさせられる。持ち込みPCも予告無しにちゃちゃっとつなげようとかすると、なぜかわりと揉める。それくらい本気のやつ。
・いや、そりゃ本気でオープンコースだなんだっつってやろうっていうなら、これくらいのちゃんとした人材と機材とをしっかりコストかけて用意したうえで、クォリティを確保しないとダメだよな、っていうのがよくわかりました。m(_ _)m
●中身的なハイライト
・ハーバード大学イェンチン図書館の雛形本デジタル化。OPACの書誌にデジタル化に関する注記があるっていうのと、御存知Mirador。(https://www.youtube.com/watch?v=7Pdct-eWCss)
・コロンビア大学の牧野コレクション(映画史関係資料)。牧野氏のコレクションがコロンビア大学に寄贈された理由は、牧野氏によれば「日本の大学図書館は公開しないがアメリカの大学図書館なら公開してくれると思ったから」、だそうで、ぐうの音も出ない。(https://www.youtube.com/watch?v=BzZlxklyqmQ)
・さすが飯野さんが安定の人気。ウェブスケールディスカバリーが抱える、海外からの日本コンテンツアクセスの難点について。(https://www.youtube.com/watch?v=NPjnHxC8OSY)

・杉山ゆかり・中村治子「WorldCat Search APIから取得したデータによるコレクション分析:日本語漫画資料の場合」は、OCLC的にじっくり再視聴の必要あり。(https://www.youtube.com/watch?v=NPjnHxC8OSY)
・羽生浩一「四カ国に散在する一次資料から史実を掘り起こす : ノーベル平和賞と日本についての研究から」。これは日本のMALUI関係者に届いてほしくもあり、そうでなくてもかなりおもろい現代史噺だった。(https://www.youtube.com/watch?v=sqOKe0wLPGw)
・津田眞弓「研究成果発表としてのデータベース作り : 絵と文が混在する日本古典籍資料のために」は、デジタルアーカイブ的にもう一回再視聴の必要あり。(https://www.youtube.com/watch?v=sqOKe0wLPGw)
・古橋さんのNIIワークショップは、話中身の事務堅さに比べて雰囲気のポップさが楽しかったのに、録画されてないらしいのが残念。
・フィンランド・Tampere大学の布施さんからの発表で、いかに日本製リソースが入手できないか、アクセスしづらいかという話。なんですが、この手の話はこれまでもたくさん聞いてきたはずの自分であるにもかかわらず、今回の話はもうひと段階新鮮味をもって拝聴した感じになりました。北米サイドから「自分たちが10年前にたどった道だ」的なコメントは出てたんだけど、いや、これはそこまで単純にとらえていい話でもないと思う、アメリカのような大国とこの話とを同じ受け皿で受け止めちゃいけない気がする。(https://www.youtube.com/watch?v=sqOKe0wLPGw)
●スペシャルパネルセッション
https://www.youtube.com/watch?v=sqOKe0wLPGw



・3日目(金曜日)の午後は、前半がパネルセッション、後半がワークショップという2段構え。
・後半のワークショップでは日本から来た企業・ベンダーそして公的機関・団体など(総称してリソース・プロバイダー)がブースを出して、参加者の皆さんに自由に見て回ってもらっては、ああだこうだと営業・交流・議論しあうという。で、その後半のワークショップに入る前に、いったんみんなで集まって、日本からのパネリストを壇上に挙げつつやいのやいのパネルディスカッションのかたちでトークできたらおもしろいんじゃないかな、っていうような発想で、今年初めて組み込まれたのがこの「スペシャルパネルセッション」(前半発表→後半パネル)企画なわけです。
・発表者は、布施さん@フィンランド、三竹さん@紀伊國屋バンコク。
・パネリストは、飯野さん@佛大、後藤さん@歴博、田中さん@ネットアドバンス(ジャパンナレッジ)という、極めて安定安心間違いなしの3人。
・そして、なぜかここでも自分が司会をしてるっていう。
・写真は、なぜかちょっとづつ関係者が集まってくるという、ふんわりした感じのランチミーティングの想い出。

・そしてやはりここでも圧倒的人気&話題沸騰の「ジャパンサーチ」さん。後藤さんがその概要を紹介するやいなや、俄かには信じがたい、ほんとにそんなものが実現するのか、という、あれは不思議なもので、ある種の”憤り”にも似た”期待感”が噴出してるのを感じました。終わんないんだもの、話が、延々。司会から2-3回止めましたけど。
・そして実はもう一つ大事な気付きは、要するにあそこで紹介されるまで「ジャパンサーチ」知られてなかったんだよな、ていう。届いてませんでしたよ、ていう。
・司会進行的なことで言えば、どうしても発言者が偏ってしまう、決まった人しか発言しようとしないので、ほんとはもっと時間があれば「こちらから当てにいく」作戦を発動すべきだったんだけどやっぱり難しかったということ。
・特にEAJRSでは、英語で発言したい人からの発言が出づらそうなので、そこをどう促すのかがポイントかと思われる。
・しかも、あのパネルセッションがどのくらい後半ワークショップに(有機的に)つなげられただろうか、というのもやはり疑問。そのへんの全体設計、というか、何のためにこの企画をやるのか、だからこれをやることが必要だ、ということが企画として問われねばならんな、という感じでした。
・フロアからの発言があっち行きこっち行きしたにもかかわらず、どの玉もこぼさず打ち返す”安定すぎるパネリスト”3人に、何の不安感も抱く余地なく司会席でぼーっとつっ立ってたegamiday氏。
・いずれにしろよく盛り上がったので、来年もやったらいいのでは。ていうか、最終日の総会で、great successだったから来年もsame featuresでって言ってたので、まあ、そう言ってもらえる企画で貢献できたなら、これまでお世話になってきたみなさんへの恩返しになるかなって思いますね。
●アトラクション的なハイライト
・エクスカーションで、博物館(Museum of Cultural History)と美術館(the National gallery)に行きました。






・最終日エクスカーションの、バイキング船博物館。正直、思ってたよりもわりと小さく簡単な造りで、これに集団が大荷物で乗り込んで長々と航海するの、めっちゃハードなんちゃうかと思わざるを得ない。ようこれでシチリアまで行ったなノルマン人。



・ちなみにすぐ隣の野外民俗博物館は素通り・・・スターヴ教会見たかった・・・。
・ちょっと苦手な謎の彫刻公園・・・。

・スキージャンプ台も想像以上に小さく狭かった・・・。

・ごらんあれがフィヨルドと見知らぬ人が指をさすけど、どれをもってフィヨルドだと認識したらいいのかがよくわかってない・・・。


●雑感
・造語「EAJRS友達」。毎年EAJRSの場でだけ会う機会のある関係の人。
・ブースの地図は圧巻。あと、ブースは手狭感あっても全員が集まれるフロアプランがいい。お祭り感ないと”営業”にならない。



来年は、リトアニア・カウナスで開催の予定だそうです。
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