4日目・4月30日(火)、午後。
ただいま、ストラスブール中央駅発14:51のローカル線に飛び乗ったところです。
ストラスブール一泊案を、ちょっと本気で考えそうになりましたが、しかし今回の旅の趣旨はあくまで”移動”であります。我が輩には土曜日までにリスボンにたどりつくという重大かつストイックな使命があるのです、プチフランスだー中世の町並みだーってほんわかしてる暇はない。
当初の予定通りのルートを”ちゃんと移動する”ことにします、それが吉と出るか凶と出るかは知りませんが。
【ヨーロッパ鉄道旅行には向かない乗り換え】
ここからのルートです。
フランスの東縁のあたりを、舐めるように、ローカル線で刻みながら移動します。宿はリヨンの予定です。

■14:51 ストラスブール発 → 15:47 ミュールーズ着
■16:19 ミュールーズ発 → 16:59 ベルフォート着
■17:04 ベルフォート発 → 18:28 ブザンソン着
■18:37 ブザンソン発 → 19:22 ディジョン着
■19:40 ディジョン発 → 21:40 リヨン着
さて、ヨーロッパを鉄道で旅行した経験のある方なら、↑一見して「え、無理だろこの乗り換え」と思われることでしょう。
接続に余裕がなさする、遅延が当たり前のヨーロッパ鉄道ではありえない乗り換え、典型的なやってはいけない旅程。
こんな接続が成り立つのは狂ってるレベルでオンタイムな日本だけでしょう、と。ていうか、日本でもまあまあ怖いのでは。なんだあの、ベルフォート駅の乗り換え5分って。
結論から先に言うと。
乗れたんです。行けたんです、この乗り換えで。自分でやっといてびっくりしました、あ、行けたなあって。どローカルや高速TGVや合わせて5便の列車が、ひとすじにリヨンまでオンタイムでつながってくれたんです。終わった後で、マジかありえへん、と思った。
ていうか、今回の2019GWeu・ヨーロッパ鉄道旅行の全体において、発着が大幅に遅れるとかいうようなトラブルが、奇跡的にほぼありませんでした。フランスでもイタリアでもスペインでも、だいたいオンタイムです。
余談ですが、これ奇跡的にというよりか、最近ヨーロッパで鉄道乗ってて、そこまで言うほどの遅延って、あんまり経験しなくなったような気がするんですよね。なんなら、ドイツの新幹線が平気で1時間以上遅れたりするのが腹立つ、っていうレベルで、他所であんまりお目にかからなくなったなって。
ちょっとこの件、しばらく成り行きを見守ります。
さておき。
東フランス・ぶらりローカル鉄道の旅、です。
1本目、14:51 ストラスブール発 → 15:47 ミュールーズ着。
↑アルザス地方の田園風景の中を走る。ただただ平原という感じ。
ドイツもそうでしたが、やっぱ土地があるっていうのはそれだけで”力”だな、って思いますね。
一応このあたりは「ワイン街道」的扱いをされてるキャラのはずです。
↑コルマール駅。
↑ミュールーズ駅に到着、ほぼ定刻です。
↑ミュールーズ駅前。そこそこ大きめなローカル駅という感じ。
産業都市らしいです、その文脈でよさげな博物館もいろいろあると聞いた。

このミュールーズ駅で30分の余裕があったので、チケットオフィスで、えーと、4本目にあたるブザンソン→ディジョン間のTGV予約券を購入するという旅行事務を遂行しました。地方の町の駅で、違う駅から違う駅の、ユーレイルパス専用の予約券、しかも日時が本日このあとわりとすぐ、って、カウンターのおねえさんがまあまあ訝しそうに「ムッシュ、マジでこの列車乗るの? てか、乗れるの? アメージングなんだけど」っていう感じで、手配してくださった。すみません、ありがとう助かります。
2本目、16:19 ミュールーズ発 → 16:59 ベルフォート着。
40分。
車窓を楽しみながらも、ドキドキしてます、次の駅で乗り換え5分しかないから、超微妙、2-3分でも遅れることがあるようならアウトなのですが…。(なぜそんなルート組んだ)
ベルフォート駅着!
走る!
乗り換えは何番ホームだ!
乗れた!
走ったら息が切れた、こんな歳でもう走りたくない…。(だからなぜ)
3本目、17:04 ベルフォート発 → 18:28 ブザンソン着。



川がなんとなくだらだらと併走しているかなどうかな、という感じのローカル線。
とてつもない風光明媚というわけではなく、土地開発もわりと多くされており、なんちゃないけどそれなりに自然の風景を楽しめる、渋めの車窓。現トマスクック時刻表のシーニックルートからは外されてる、というくらいの感じ。
余談・旅行事務噺ですが。
ヨーロッパの鉄道旅でどの路線をどう行こうか決めるとき、よく参考にするのが、トマスクック時刻表の「景勝路線リスト」ページです。
こんなふうにして、景勝路線はここですよ、というのが、まあわりと無愛想感はあるもののずらずらっと列挙されているので、どうせ近くを通るんだったらここを選ぶよ、という感じで参考にしてます。
もうひとつが、同じくトマスクックの鉄道地図「Rail map of Europe」で、これはヨーロッパ全域の鉄道地図なんですが、景勝路線に色塗りがされていてさらにわかりやすいという。↓写真の緑ラインがそれです。

さて問題は、この3本目ベルフォート→ブザンソン間のルートについて、手持ちの鉄道地図(2004年版)では路線として色塗りされていたのが、トマスクック時刻表(2019年版)の景勝路線リストには挙がっていない、ということです。
この齟齬はなんだろう?と思いつつ、実際に現地に来てみたわけですが、当落線上なのかなっていう。
4本目、18:37 ブザンソン発 → 19:22 ディジョン着
ここはややショートカット気味に、ブザンソンからマジのTGVでディジョン駅まで行きます。さすがの車内。
ていうか、ここもよく見たら乗り換え9分しかなかったじゃないか…、ようこんなん平気でまにあったな…。
フランスの鉄道はパリをトップとした中央集権然としていて、↑このTGVも最終的にはパリのリヨン駅に行くやつです。
…そうか、これに乗ってれば”そっちの”リヨン駅まで行けるのか。それもいいな(笑)。
なんだかんだで、↓ディジョン駅に到着。
5本目、19:40 ディジョン発 → 21:40 リヨン着。
↑これが今日一日のラスト、いや、昨晩のコペンハーゲン発22:12分から続く連続便の、しめくくりの列車です。
リヨン着が21:40ですからほぼ丸一日ですし、24時間中20時間近く乗ってましたうえに、座席の夜行ではあまり眠れてませんでしたので、…さすがに寝落ちしてて、記憶も記録もないです。まあ、何かしらの列車に乗ってたのでしょう。
問題は、その夜のリヨンです。
寝ぼけの頭痛で朦朧とした中を、夜10時前のリヨン駅に到着したはよいのですが、駅前に立つとなんとなく人気が少ない。あれ、リヨンってこんなんだっけ(註:9年ぶり2回目)、人波で栄えてるような街じゃないのかな、そう思って夜遅くの到着でも安心してたんだけどな、と不審に思いながら、ホテルへ向かおうとする。
駅からホテルまでの間には駅前ショッピングモール的な施設があるらしい、と地図でわかっていましたので、じゃあそのモールを通り抜けていけばこんな夜でも安全安心だよね、と思うじゃないですか。で、キャリーケースをがらがらひっぱりながら入るじゃないですか。
夜10時のショッピングモール、さすがに店はもうすべて閉店していて、買い物客もいない。しかし駅前の通り抜け施設のひとつだから、通路は開放されている、ベンチもやなんやもたくさんある、照明もぴっかりとついている。
結果、どうなってるかというと。
だだっぴろいショッピングモール通路が、地元のヤンキーでジベタリアンな若者たちのかっこうのタムロ場になっているという。追い駆けあったり、おらおら騒いだり、フード被ってうろうろしたりしてる。
そこを、長旅で疲れきった朦朧なやつが、キャリーケースがらがらひっぱって歩いてるという。
あかんやん、ここ絶対、夜に歩いたらダメなエリアやん。背景がオシャレなブランド店なだけで、照明がぴっかりついてて明るいですよというだけで、ギャングの集まりやん。
身の危険を感じて、ここは早く立ち去ったほうがいいな、と。これだったらまだ外に出た方がいい、外なら、営業中のカフェバーとかオープンなレストランとかあって、大人が行き交ってたりするでしょう、そっちのほうが安心できる。
そう思って、ようよう出口を探しあてて外に飛び出した、ところが。
そんな店なんてどこにもない。
閑散として、人っこひとりも通ってない。
もう、走るようにして宿に向かいましたよね。
通り全体を街灯が照らしてくれてたので、まだ良かったけど、そうじゃなかったらゴーストタウンか何かかと思った。
リヨンは大きい街だし、歴史地区は世界遺産だし出版印刷の歴史でも注目したいところですが、街の構成的に旧市街−川−新市街−川、さらに1キロほど離れてリヨン・パールデュー駅、あたしが降りたのはこのパールデュー駅で、街の構造に不慣れな立場としては、ちょっと選択ミスだったかもしれないですね。
ていうか、やっぱストラスブールに泊まってりゃよかったのでは…。
ほんとはその晩行ってみようと思ってたクラフトビールの店をネットで見つけてあったのですが、ちょっと肝が冷えて、疲れてるうえにこんな閑散とした中を夜遅くに10分近くも歩くのは、さすがにちょっとアレだぞと我が輩の妖怪アンテナが警報を出すので。
宿併設のバーで我慢することにしました。
【egamidayさん、フランスにあってもなおビール】
というわけで、今夜のビールレポートです。
ていうか、Grimbergenのドラフトがあるじゃん、じゃあもうこれで充分ですよ。
ブロンドですけど、甘みと旨味が口福。よかったねえ、これ一杯で一昼夜の移動の疲れがなぐさめられたかのような気分です。
しかもこのホテルのラウンジ、ソファやテーブルがたくさんあってそこそこの人出があるんですが、みんなテレビのサッカー中継に夢中になってはる。あとその向こうでは、ゲームかなんかやってはる。なんかこう、ちょうどいい距離のリビング感があって、はからずもほっこりしてます。
フランスでビールを探すと、必ず、ていうか唯一無二くらいの勢いで目にする「1664」という名前。それこそストラスブールに1664あたりからあるブルワリーで、現在はカールスバーグ傘下というパターンのやつらしい。ビールは、なんちゃないやつだった。
それから、アルザス地方のローカルなビールにFischerというのがある、褐色で甘みとスパイス味が効いてる、とかなんとか予習してたので、メニューに載ってるFischerのボトルを注文してみたら、バーの兄さんに「切らしてる」って言われてしまった。無念…。
かわりに、なんや知らんペリカンマークのビール。
「Pelforth」のBrune。
ブラウンで、甘み中心という感じ。
結論:Fischerビール、飲んでみたかった…。(外行く云々はどうでもよくなったらしい)
というわけで、長かった一日が終わります。
だいぶ刻みつつも、大胆に移動したな、という感じです。
明日はちょっと楽しようかな。
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