https://current.ndl.go.jp/e2177
「2019年5月,米国の13の大学図書館で構成されるアイビー・プラス図書館連合は,日本の性的マイノリティに関するウェブサイトを収集保存するプロジェクト,Queer Japan Web Archiveを発足させた」。
この記事は、以下の複数の重要な要素を含みます。
海外の日本研究
LGBTQ資料
灰色文献の収集
webサイトの保存
多機関連携
その中でも特に「webサイトの保存」についての実践例解説が、具体的で勉強になるなと思いました。
○灰色文献の収集
「LGBTQのコミュニティに関する情報の多くは,チラシやニュースレター,またはTwitterやブログなどの電子媒体での発信のみで,研究に有益な情報は保存されにくい」
○海外の日本研究
「日本のLGBTQトピックに対する関心は,世界の学術コミュニティのなかで高まっており,…今後日本のLGBTQに取り組む研究者の増加を見込み」
「オーストラリア国立図書館のJapan: Sex and Gender: LGBTQはトップページの階層のみの保存」
○多機関・専門職の連携
「Ivy Plusのうち5校(イェール,デューク,ハーバード,プリンストン,ブラウン大学)の日本研究専門司書は,共同で関連ウェブサイトをアーカイブすることに同意した」
「QJWAではサイトのアーカイブだけでなく,司書によるコレクション構築のための共同キュレーションにも尽力している。日々,作られては消える多様で膨大なサイトを,一個人でアーカイブすることは不可能に近い」
「日本研究専門司書が共同で対象サイトのURL,タイトル,言語,メタデータなどの情報を登録し,それを基にWeb Resources Collection Librarianがサイトの所有者に通知し,Archive-Itでクロールを行う」
○webサイトの保存
「Ivy PlusのWeb Collecting Program…このプログラムは,消滅しやすいウェブサイトをテーマ別に精選し,収集することを目指す」
「Web Resources Collection Librarianと称する専門司書…この専門司書は,コロンビア大学を拠点として,Archive-Itのアカウントの維持,目録の作成,サイト所有者への通知,収集するサイトの選考をする司書のサポートを職務としている」
「研究価値の高いサイトのリスト作成のため,学術的知見と,LGBTQコミュニティと良好な関係を持つ日本の研究者2人から協力を得た」
「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)が対象とする政府機関のサイトは収集対象外」
「Facebookは有効性の高い方法での保存が困難なため対象外だが,Twitterは技術的に可能なため収集を検討している」
「日本研究専門司書が共同で対象サイトのURL,タイトル,言語,メタデータなどの情報を登録し,それを基にWeb Resources Collection Librarianがサイトの所有者に通知し,Archive-Itでクロールを行う」
「通知後は所有者からの返事を待たずにクロールを行うが,サイト所有者からクレームがあった場合はサイトを削除する。このような手順は“Notification-Only”と言われている」
○Archive-It
「Archive-It」はInternet Archiveが作成したwebサイト保存サービス。
・自組織のウェブアーカイブを簡単に行えるサービス“Archive-It”
https://current.ndl.go.jp/node/6565
・E1832 - Internet Archiveによるウェブアーカイブの現状・課題等調査
https://current.ndl.go.jp/e1832
・ウェブアーカイブを支える技術
https://doi.org/10.18919/jkg.67.2_73
・億万長者からの圧力でニュース記事や文書を葬られないよう保存する「Archive-It」とは?
https://gigazine.net/news/20180201-archive-it/
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