2022年10月25日

図書館が文献をメールで送るための近くて遠き道 : 「図書館に向けた図書館等公衆送信サービス説明会」メモ

 2021年6月に著作権法が改正され、図書館がいよいよ文献複写をメール等で送っていいという時代が、来るのかどうなのか、それをどう段取りするのかを協議している関係者協議会による、2023年の本サービス開始を前にした、説明会、というのがおこなわれ動画配信もされていますので、それを見たまとめメモと所感。
 2022年10月24日現在です、新コンテンツが公開されれば追記するかも。


●説明会動画
・図書館に向けた図書館等公衆送信サービス説明会(1回目)説明アーカイブ - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=WuF6iONAtiY
・動画見た人が質問を送れるフォーム(10月31日まで)
 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeMJKjUPBBzP5tJTk60PfpOTLOsFa5-4agIb3kd-FwWHI8hYQ/viewform?usp=sf_link

●ドキュメント類
・図書館に向けた図書館等公衆送信サービス説明会
 http://www.jla.or.jp/committees/chosaku/tabid/988/Default.aspx
・図書館等公衆送信サービス説明会 説明資料(2022年9月30日)
 http://www.jla.or.jp/Portals/0/data/iinkai/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A/20220930_toshokankoshusoshin.pdf
・図書館等公衆送信サービス説明会 1回目質疑応答概要
 http://www.jla.or.jp/Portals/0/data/iinkai/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A/kosyusoshin_setumeikai_shitsugi01.pdf



■法改正の概要

・図書館等が、現行の複写サービスに加え一定の条件(※)の下、調査研究目的で、著作物の一部分をメールなどで送信できるようにする。
・その際、図書館等の設置者が権利者に補償金を支払うことを求める。
(※)正規の電子出版等の市場を阻害しないこと(権利者の利益を不当に害しないこと)、データの流出防止措置を講じることなど

・権利者保護のための厳格な要件の下で、国立国会図書館や公共図書館、大学図書館等が、利用者の調査研究の用に供するため、図書館資料を用いて、著作物の一部分(政令で定める場合には全部)をメールなどで送信することができるようにする。

・公衆送信を行う場合には、図書館等の設置者が権利者に補償金を支払うことを求める。
(※)実態上、補償金はコピー代や郵送代と同様、基本的に利用者(受益者)が図書館等に支払うことを想定。
(※)補償金の徴収・分配は、文化庁の指定する「指定管理団体」が一括して行う。補償金額は、文化庁長官の認可制(個別の送信ごとに課金する料金体系、権利者の逸失利益を補填できるだけの水準とする想定)



■動画(@図書館に向けた図書館等公衆送信サービス説明会)等からわかる要点

・要件を満たす図書館のみが公衆送信できる。(「特定図書館等」)
・事前に利用者が図書館等に氏名・連絡先等を登録する。その際、不正防止規約に同意を求める。

・不正拡散防止(複製抑止措置?)として、
  全頁のヘッダに、利用者ID等を挿入する。
  全頁のフッタに、図書館名と作成日を挿入する。
図書館から指定管理団体へ、実施実績の報告と、実際に利用者に送ったPDFファイル(ただし利用者IDを削除した別のファイル)を、送付する。
・ファイルは保存期間中に破棄する、誤送信防止の対策をする、等。

・(関係者協議会としては、)補償金は利用者(受益者)が図書館に支払うことで負担することを想定している。
・補償金の徴収分配は、指定管理団体が一括しておこなう。
・補償金は、各図書館が個別の送信ごとに利用者から徴収し、指定管理団体に一括して支払う。
・補償金は、包括的な料金体系(年いくら)ではなく、個別の送信ごとに課金する
・補償金は、一律の料金体系(1件いくら)ではなく、著作物の種類・性質、分量に応じてきめ細かな設定
算定の要素は、著作物の種類(新聞か、雑誌か、価格あり図書か、そうでないか)と、価格と、ページ数。

・著作権者の利益を不当に害さないありかたについて、具体的にはガイドラインを作成する。
・複写送信可能な図書館資料には、ILL借り受け資料、電子資料(契約によりそれが可能なもの)を含む。
・著作権保護期間が満了していれば補償金支払いは不要だが、やっぱ駄目だったとわかったときの追徴・返還について
・複写可能な範囲の問題として、発行後相当期間経過の定期刊行物の著作は全部、が消えて、政令で指定することになった。政令で定めるのは定期云々のほか、複写内の写真や著作物。
・楽譜・地図・画集・写真集はのぞく。



■所感
・「個別に課金・徴収」「個別に複数要素できめ細かに算定」「ヘッダ・フッタにID等を入力」「その後それを削除したものを管理団体に送付」、現場パンクするのでは
・割高でいいから年額定額プランもつくってほしい、事務処理コスト半端ないので。
・なおILL・図書館間については特に考慮されていない様子。(第2回質疑応答より)
・PDFファイルのヘッダーにID等を入力できるシステム・ソフトが用意できなければならない?
・JPEGやTIFFは?
・連絡先はメールアドレスに限らず、LINEのIDその他の各種コミュニケーションツールのアカウント等でよい?([送信」なので)
・発行後相当期間経過の定期刊行物の著作は全部、の政令←図書わい。
・関係者協議会の案に現場から意見する態勢はないのか? パブコメは?


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posted by egamiday3 at 05:13| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする