2023年07月10日

「北米におけるデジタル・ヒューマニティーズと日本研究の現状」(カレントアウェアネス)を読んだメモ


・CA2042 – 北米におけるデジタル・ヒューマニティーズと日本研究の現状:発展、協働、そして課題 / ポーラ R. カーティス、後藤 真(翻訳)、川邊咲子(翻訳)
 https://current.ndl.go.jp/ca2042

 ポーラ・カーティスさんに、北米のDHと日本研究にまつわる事情を概説していただきました。
 カレントアウェアネスには編集企画員として携わらせていただいてますが、提案したものがこうやって形になるとやはり感慨深いというか、ホッとしますね。なお、昨年(2022年のDigital Humanities 2022における記念レクチャー「北米における日本研究とデジタル・ヒューマニティーズ」(https://dh2022.adho.org/japanese_studies)や、『人文情報学月報』第115号の「デジタル・シフトとデジタル日本研究の未来」(https://www.dhii.jp/DHM/dhm115-1)を企画の種としています。

 以下、ざっとさらうと。
 まずは北米のDH事情を概観してみると、「DH」が一貫したカテゴリになっているわけではないが、様々なプログラム名によってDHとの関連付けと広義の解釈の両方を可能にしている、という感じらしい。
 そのうえで日本研究のDHはというと、有志レベルで活発だが、システマチックではないということか(制度的、定期的支援がなく、将来が不透明)。「COVID-19パンデミックによる困難にも関わらず、より多くの日本の研究者が容易に北米のオーディエンスに接触できるようになってきているのは、まさにオンラインイベントの開催が増えているからである」という指摘は重要で、あれもこれもと列挙されるのは盛りだくさんに見えるんだけど、にもかかわらず「日本の研究者による参加は少なく、おそらくこれは、日本と北米のコミュニティ間でのコミュニケーションのギャップが依然として課題であることを示唆している」という指摘もまたさらに重要(註釈先文献は、Curtis, Paula R. デジタル・シフトとデジタル日本研究の未来. 人文情報学月報. 2021, no. 115-1.(https://www.dhii.jp/DHM/dhm115-1))、ていうか、んー、やっぱりそこか、と。
 そしてさらにDHへの図書館員の役割(@北米)については、ただでさえ人手が足りてないのに、過剰な追加負担で研鑽し率先する司書もいる、と何人もが紹介される。誰もがどこまでできるかはまた別の課題でしょうが、そこをカバーするかのようにグループ/コミュニティでの活動例もまたいくつか紹介される。
 結果としてカーティスさんの問題意識は「北米のデジタル日本研究においては、個々の研究機関や研究者のプロジェクトにとどまらない年次イベントやワークショップ、共同プロジェクトを企画・運営していく後ろ盾となる、中心的で公式な資金提供を受けている組織が存在しない」というところと、「JADHのFacebookページ、DHJのメーリングリスト、DHJDiscordサーバーなど、交流の場は十分にあるにも関わらず、未だコミュニケーションのギャップがある」というところにあるようだ。「ネットワークを構築する」「コミュニティの枠を越える」「アクセスしやすくなる」「生産的になる」といったDHの利点が活きる/活かせるように、意識的積極的な活動を、という感じです。

 つまるところ、マインドがどうなのか、ていう。
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posted by egamiday3 at 21:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする