2016年08月24日

デジタルアーカイブについていろいろと考えたメモ


 先日、とある場でデジタルアーカイブについていろいろ議論する機会があって、で、これはその議論をメモしたわけでもなんでもないんだけど、その議論を含めて全体的になんとなく自分で考えたりしたことのメモ。


・システムが先か利用/ユーザが先かについては、システムが新しい利用を掘り起こす、っていう理屈はなるほど確かにわかるし同意なんだけど、一個のイノベーティブなものをとんがって開発ならそれがいい、けどナショナルな社会的インフラの整備でそれだとマズイんじゃないか、ていう感じかしら。
・イングレスでポータルをエンリッチすれば、ポケストップもリッチになる、それによって街をデジタルアーカイビングさせていける。そういう活動について。(註:まあポケモンもいつまで有効は疑問)
・では、アーカイビングするに足る街とは。あるいは、街をアーカイビングしてどう活かせるのか。
・文化資源、学術情報、地域、芸術、呼称はいろいろあるでしょうけど、どれかを採るとどれかが落ちるわけで、どれかに拠るわけではない、全方位を包括する、ワンアップ上を行くメタなワードを、なんとか創出・普及させられないかって思うんだけど、それが「アーカイブ」なんだったらそれでもいいと思うんですね。
・ていうか、たぶんどんな業種、どんな分野にも、ひとりやふたり、1%や2%くらい、”デジタルアーカイブ”的な議題・課題に興味関心を持ってる人ってあまねくいるんじゃないかと思うんで、そういう各業種各分野の人を缶詰を開けるときの取っ掛かりとしてのツメとして、リーチしていけるような議論・企画ができたらいいんじゃないかな、って思いました。
・そういう人たちを招いて企画を催す、ディスカッションを実施する。それは、ディスカッションの中身や結論が効果を左右するというよりも、ディスカッションを実施する、あるいは招く・招へいするということ自体が、ひとつの広報活動、ていうことなんじゃないかなと。
・興味関心を持つ=能動的な態度をとる、だから、能動的に何かしてもらうのが手っ取り早いよな、そりゃそうか。
・京都にとってアーカイブとは? 観光? 寺社? 老舗? 学校? 地蔵? 伏見? 映画村? 任天堂? 挙げだしたらきりがない。京都学自体がアーカイブ学?
・だったら、”京都”は自らの”アーカイブ”を具体的にどう”活かし”てるんだろう?
・「MALUIマインド」という言葉がよぎった。意味はわからない。
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2016年08月21日

(メモ)『アーカイブ立国宣言 : 日本の文化資源を活かすために必要なこと』からのメモ

『アーカイブ立国宣言 : 日本の文化資源を活かすために必要なこと』ポット出版(2014)
http://www.pot.co.jp/books/isbn978-4-7808-0213-9.html

アーカイブ立国宣言: 日本の文化資源を活かすために必要なこと -
アーカイブ立国宣言: 日本の文化資源を活かすために必要なこと -

■極私的感想
・課題も現状もユーザ像も価値観も将来性も優先順位も、これだけ多種多様・百花繚乱・百鬼夜行だと、全体をカバーしようとする仕組みにはできるだけふんわりとした寛容さというかふところの深さがいるなあ、という感じ。


●はじめに
・「問題は、技術力以外の分野での日本の著しい立ち遅れである。これまで技術力、経済力に頼って発展してきた国の驕りが、この立ち遅れの深刻さから目を背けさせてきた。」

●鼎談:アーカイブとは文化そのものである
青柳正規、御厨 貴、吉見俊哉
・「小説や文学、映画、建築、絵画などの中には、近代日本が西洋化・近代化の中で悩み、苦闘してきた痕跡がいっぱい残っています。・・・保持すべきものが、この19世紀末から1970年代前後までの日本にあると思うのですね。でも、現在はその価値が意外と認められていなくて」
・「個人的な記録はどんどん蓄積されているのに、それらが相互につながっていない」「東日本大震災では、被災地で膨大な記録が残されましたが、その大半がおそらくオーファン作品となるでしょう。でも、現在の日本ではそれらを共有する仕組みが整っていません」
・「全国各地で草の根的に生み出されてきた文化的資源がとてもたくさんありますが、それらは今、共有化されないままどんどん失われている」
・「大事なのは、共有化した記録が具体的にどのように役立つのか、そのプロセスを文脈化することです。」「「あなたが持っている記録は、公共の処に預ければこういうふうに役立つから、出したほうがいいですよ」って、目に見える文脈化を行なうことが重要であって、それを可能にするのが文化力だと思います。」

●(マンガ)「マンガ・アニメ・ゲーム文化のすべてを収蔵するミュージアムを」
東京国際マンガミュージアム/森川嘉一郎
・アーカイブを維持するためには、施設に集客機能を持たせて維持費をまかなうとともに、保存の意義を啓蒙普及していく。そのためにアーカイブ機能とミュージアム機能を併設する。→「東京国際マンガミュージアム」
・「保存のためのデジタル化」を可能にする制度が必要。複写請求の多い資料ほど複写不可に陥る。

●(ゲーム)「世界に通じる文化を国内で保存すべきである」
立命館大学ゲーム研究センター/細井浩一
・研究と開発の現場では、世界共通のIDを定めて同定可能にすることがポイントになる。
・「100年後、日本のゲームを研究しようと思った人が「スタンフォード大学に行かないとダメだよ」ってなってしまったら、嫌ですからね」

●(震災)「公開・共有のための仕組みづくりが必要だ」
311まるごとアーカイブス/長坂俊成
・震災前の生活を見たいというニーズ。地域の集会所で昔の地元小学校の運動会の映像を上映すると盛り上がる。コミュニティのアイデンティティの復活は「心の復興」。
・311まるごとアーカイブスを法人化し、法人が行政に代わって公開し、問題があった場合はオプトアウトする。

●(脚本)「映像の現存率が低いなか放送文化を残していくために」
日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム/石橋映里
・脚本アーカイブズでは、脚本・台本を収集し、データベースを作成したのち、複数の機関へ寄贈・移管している。作成した脚本データベースでは何がどのような内容でどこにあるかがわかり、ひとつのコレクションに見えるような形。
・全国の図書館102館に1万冊以上の脚本が所蔵されている。これらをひとつのフォーマットでデータベース化するには、これから協議が必要。

●(映画)「デジタルアーカイブは「保存」に役立つか」
東京国立近代美術館フィルムセンター/岡島尚志
・デジタルデータ保存の方法としての「式年遷宮」方式。一定の期間ごとに決められた新しいキャリアにデータを移し替えていく。
・「永代供養」方式。著作権者に一定の金額を負担してもらい、公的機関で保護する。
・フランスINA(国立視聴覚研究所)では、1000人の常勤職員がフランスのテレビ番組すべてを録画する。フランスという国はそういう事にお金を湯水のように使う。

●(放送)「テレビ番組とアーカイブ NHKの取組」
NHKアーカイブス/宮本聖二
・現在のNHK放送システムは、番組をファイルで完成させ、放送と同時にアーカイブされるという、一体的なシステムをとっている。

●(地域)「普通の人の話をきちんと残していく大切さ」
地域雑誌「谷中・根津・千駄木」/森まゆみ
・地域文化がない場所はない。ただ、それを記録として残しているところがほとんどない。
・地元の自治体とうまくいかない。町の記録をとる者は、行政には扱いにくい。
・「谷根千」のバックナンバーはエール大学、ハーバード大学で全号を保存している。

●(地域)「交流装置としてのアーカイブを作りたい」
小布施町立図書館「まちとしょテラソ」/花井裕一郎
・オーラルヒストリーとしてのこす「小布施人百選」
・「ワクワク通信」は説明責任とともに、図書館への来館を促すツールでもあった。普段来ない人に来館してもらうため、全戸配布にこだわった。
・町は交流産業。ほかに産業がないと、来訪者に小布施ファンになってもらうしかない。そういう町をどう作っていくか。交流装置としての、道具としての、アーカイブ。
・面白いと思えることを図書館が先導して行動すればいい。貴重な資料が地域にあるとわかっているなら、もらいに行く。そういう実績を積み重ねてはじめて予算がついてくる。実績がないところに予算はつかない。
・司書のキャパシティを越えていることには、外部の力を借りたらいい。いろんな角度のスキルを持った人を迎える。

●(地域)「地方の図書館で進める電子書籍の可能性」
札幌市中央図書館/淺野隆夫
・図書館が地域情報を積極的に集めていることに驚いた。だが、図書館は収集はするが、発信までは手が回らない。
・電子書籍サービスについて、インターネットで告知するだけではIT好きな人だけのものになりやすい。電子サービスをリアルな場所でPRすること。
・図書館をいろんな場につくるために、デジタルが必要。役に立つ事例を積み上げていくこと。

●(アニメ)「未来の日本のアニメーションアーカイブスを目指して」
日本・アニメーションアーカイブス/植野淳子
・1963年のテレビアニメ放映開始から2033年で70年になり、保護期間が切れる。そうすると、原版や中間制作物の保管コストを負担している所有者によっては、散逸・消失してしまうおそれがある。

●(音楽レコード)「タイムリミットが迫ってくる古い音源をデジタル化していく」
歴史的音盤アーカイブ/藤本草
・デジタルアーカイブは複製ではなく保全。原盤がなくなってしまえば権利者も権利主張できない。デジタルアーカイブ化してしまえば、これからもずっと権利を主張しつづけられる
・SP盤の総合カタログをインターネット上にオープンにし、収集機関やコレクターに所蔵品について書き込んでもらい、集大成できれば。

●(書籍)「既存の知的財産をいかにアーカイブしていくか」
植村八潮
・NDLの納本率。商業出版物は97%。行政資料は56.7%。
・電子書籍納本について、利用はしなくともデータの保存だけでも先行しておこなうダークアーカイブの実現を。

●「デジタルアーカイブ振興法制定の意義と今後の方向性」
福井健策、中川隆太郎
・国際的なプレゼンスの向上。適切な日本理解を促す外交戦略上の位置づけ。
・インターネットでアクセス可能なコンテンツの質・量。たどりつくための導線、一元的な検索窓口。多言語対応。
・多言語発信の例として、映像コンテンツに英語字幕を付与する字幕ラボの設置。
・国内外のデジタルアーカイブ間の相互接続の促進。アジア・ヨーロッパ・北米など諸外国のデジタルアーカイブとの相互接続を進めるべき。


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2016年08月13日

(メモ)アーカイブサミット2016・基調報告(動画)を見たメモ


アーカイブサミット2016(記録)
http://archivesj.net/?page_id=875

基調講演・基調報告の公開動画@YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=veF6dRHduFM

●(1)「アーカイブサミット2015の成果と課題」/吉見俊哉(東京大学教授)
・日本国内にさまざまな影響を及ぼすべく、継続的な事業としておこなっている。
・アーカイブサミット2015とは何だったのか?について。
・なぜ、アーカイブサミットが開かれたのか?
-現状日本のデジタルアーカイブ、知識基盤整備が遅れている。(ガラパゴス、各機関でバラバラ、ヒューマンリソースの問題)
-これらの問題に対して何がなされなければいけないか。
-著作権とパブリックドメイン
-人材育成
-標準化・横断化・公開化
これらに取り組むため「国立デジタルアーカイブセンター」「アーカイブ基本法」を2015アーカイブサミットで提言した。
・参加は、政界・文化庁、図書館・文書館・博物館、大学、産業界、地域活動、海外機関、メディア。
・何が議論されたか?
-東日本大震災→ポスト東京五輪
-「現場の知」を「政策の知」(「国立デジタルアーカイブセンター」「アーカイブ基本法」)へ。
・「アーカイブ立国宣言」
(1)国立デジタルアーカイブセンターの設立
(2)人材育成
(3)オープンデータ化
(4)孤児作品対策
-特に2015年に議論されたのが、専門職養成・確保などの人の問題。孤児作品対策のための法整備の問題。お金・経済的価値の問題。
・残された課題は何か?
-この場(アーカイブサミット)にいない担い手・地域との連携。
-内容が文化芸術に偏っていないか?
-オープンをビジネス的価値にどうまわしていけるか?
-国家主導の政策は、地方のアーカイブを疎外しないか?/作り手としての市民・草の根への視点が欠けていないか? (★<e>地蔵、じゃないか)
-国内アーカイブ機関の横の連携・連動をどうデザインするか?
-より広く人々に理解してもらい、価値ある物と認めてもらうためにどうするか。
-大胆な提言、ベストプラクティスの共有、文化資源の活用がもたらす価値とは何か、等。
・全体を束ねる機関としての国立デジタルアーカイブセンターや、全体の仕組みとしてのアーカイブ基本法、が必要なのでは。そしてこれは、地域の一人一人の草の根な活動を支援するものであってほしい。

●(2)「著作権リフォームの潮流とデジタルアーカイブの課題」/福井健策(弁護士)
・君臨するプラットフォーム(ビッグデータの集積、序列化、流通を寡占している)
・デジタルアーカイブにとっての問題は、権利処理のコストをいかに下げるかということ。
-そのため、著作権リフォームが必要。
-権利者への補償金よりも、権利処理コストのほうが高い。
-コンテンツが生む利益自体よりも、権利処理コストのほうが高い。
・2016年4月「内閣知財本部・次世代知財システム報告書」
-権利処理コストをどう下げるか
-権利情報の集中管理
-拡大集中許諾
-孤児作品対策として、利用裁定制度をさらに拡充する。(事前供託制度の見直しなど)
-権利処理自体困難な場合に、許諾不要など、柔軟に対応すること。
著作権第31条はここまで到達した!という話。
-絶版資料をNDLがデジタル化&図書館送信。(31条改正済み)
-全国の図書館が絶版資料をデジタル化し、それをNDLが図書館送信。(2015年3月文化審議会で解釈済み、2015年7月には博物館・美術館も含む)
-全国の図書館・博物館・美術館がネットワークでアーカイブを構築することが可能。
-一億総クリエイターの時代だからこそ、「知は力」という観点からの著作権教育をおこなう必要がある。

●(3)「めざすべきナショナルデジタルアーカイブの機能イメージ全体像」/生貝直人(東京大学客員准教授)
・海外の例
-Europeanaは、ディスカバリのためのポータルであり、全欧州の個々のアーカイブをカバーする多数のアグリゲータの連合体である。かつ、利活用のためにオープン化している。
-DPLA。地域拠点をネットワーク化する。(サービスハブ)
・日本の現状。
-非常にたくさんあるが連携できていない。
-「デジタルアーカイブの連携に関する実務者協議会」(2015-)で、日本版ヨーロピアナ機能の構築が検討されている。
-デジタル化されたものを、いかに見つかるものにするかと、使えるものにするか。
・ナショナルデジタルアーカイブの要件とは。
-個々の多様性・固有性・自立性・専門性を最大限に擁護し、強化するものでなければならない。
-各地域・各分野に分散的なアグリゲータ(大学や大規模文化施設)を設置し、連携の拠点とする。
-ポータル機能。公的資金によるコンテンツは基本収録・アクセス保証するように
-これらを束ねるセンターは、必ずしも大きくなくていいだろう。
→アーカイブ基本法の骨子へ。
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2016年08月11日

(Q&A)「実家から出て来た古い時代の資料を、個人でできる範囲でどう保存したらいいですか?」


 寄席の常連さんから質問を出してもらってそれに答える、という三題噺のような企画をよくやるのですが、その時にいただいた質問のひとつ、一部改変して。

「実家の納屋から、戦前戦後の古い時代の小冊子や雑誌などが出てきて、それらをきちんと保存したいのですが、個人でできる範囲でどんなふうに保存したらいいでしょうか?」

 ここで言う「保存」にはいくつかの別のアプローチでの「保存活動」があると思うんです。
 例えば寄席でもよく話題にした「物理的劣化を防ぐ」という意味での保存活動。これはまあ、湿気と酸性紙に気をつける的な感じ。もうひとつは「公的機関に託す」という安住地探し的な意味の保存活動、図書館とか博物館とか、役場とか学校とか、どういうところに相談すれば任せることができるだろうか、みたいなのをがんばる感じ。でも、それをやろうとするとまず、その資料の価値評価をしないといけない、歴史的背景の正確な調査をしないといけない、他人様との交渉ごとをしないといけない、で、コストはかかるといえばかかります、個人レベルでできるかどうかはその人次第だし、決して誰にでもできるようなことではないかもしれない。

 で、ここではさらにもうひとつ別の、個人レベルでできる、とりあえずダンボールに入れて置いときたいくらいの人にも無理のない範囲の、そしてわりとその資料の将来を左右しかねない効き目もありそうな、「保存活動」をご提案します。

 その資料の山の「目録・解題を作る」をやってください。

 ごくごく簡単なものでいいんです、例えば目録って言っても、別に目録規則にのっとった図書館目録を、と言ってるわけではなくて、レポート用紙に一行づつ手書きでメモするんでもいいし、Excelに適当にパシャパシャ書き込んでいくんでもいい。要は、ダンボール箱か何かにごそっとその小冊子や雑誌が入ってるのをいったん取り出して、そこに入っているのが具体的に何なのかが、ひと目でぱっとわかるようなリストを作る、ということです。
 タイトルぐらいはわかるだろうからまあタイトルと、著者編者出版者なり刊行年がわかるようならそれと、それが何冊かとか巻号がどうだとか。中身の整理はしなくてもいいです、上から一冊づつ、パッパッと手にとってメモしていくだけでいい。で、やり始めておもしろくなってきたら、保存状態がいい悪いとかを書いてもいいし、リテラシーのある人なら所蔵館調査してもいい。
 あと解題と言っても、そうたいそうなのでなくていいので、まあざっくり言うとどういう内容のものかを手短に書いてみるっていうことです。毎日の暮らしの知恵を書いた手帖みたいなのだったとか、中に誰それが書いた記事があるとか、ホットケーキや直線裁ちの写真があるとか。それで興が乗ってきたら、タイトルでググってみて、ああこういう雑誌なんだねとかがわかれば、どうせ自分用だからコピペでもなんでもいいんで、ちょこちょこっと書いとくっていう。あとは来歴ですね、実家の納屋のどこそこの、たぶん何代前の爺様の誰それに関わる資料として一緒に出て来て、こうこうこういう経緯でいったん誰それが預かることにした、みたいな。
 そんなこんなを、無理なく書ける範囲でいいんで書いて、最終的に紙に印刷してホチキスなりで綴じて、その資料群が入ってるのと同じダンボール箱の中に、一番上にぽんっと置いておいてください。あるいは1枚で済むくらいだったら、ダンボールの横面に糊かなんかでペって貼っておいてください。

 資料の保存に失敗する、つまり失われてしまう、その原因にはもちろん湿気がどうのとかシバンムシがどうのとか酸性紙が中性紙がどうのとか寄席でもたらたら噺してましたけど、資料が失わせてしまう原因、その圧倒的存在は、「人」だと思います。「人が、棄てる」こそが、資料保存の一番の天敵だろう、ていう。

 その雑誌や小冊子が入ったダンボールを、将来、いつか誰かが、棄てようとします。
 いまはまだ、ご実家から出て来て、おもしろがってめずらしがってちやほやしたり気にかけたりしてて、捨てずにちゃんと保存しようよね、ていう感じになってるかもしれませんけど、そのいまの”興”なんか知らないよという人が、5年後だか10年後だか30年後だかに現れます。箱の中身を見ます。なんだこれ? 誰の何なの? 知らない、わからない、いるのいらないのどっちなの。
 私なんかには驚くべきことですが、この世の少なからぬ割合の人たちは、いるかいらないかどっちかよくわからないものを見つけたら、とりあえず棄てる、という選択肢をふつーにとります。何年かに一度のタイミングでそれが起こるので、かなりの高確率で、いつか誰かが棄てるでしょう。

 棄てられてしまう大きな原因のひとつは、「それが何なのかがわからない」ことです。いま引き取っていま保存しようと思っている、あなたの”興”が伝わらないことです。その正体もわからなければ価値もわからない、誰にとってどんな意義があるものかもわからない、そりゃ棄てます。
 なので、「わからないから棄てる」という気を起こさせないために、ダンボール箱の中の一番上に、そこに何が入っているのかがひと目でわかる「目録・解題」を置いておいてください。それを封入した今日の日付とあなたの名前を書いておいてください。それによって、未来の未知なるその箱の開封者に、「それが何なのか」を伝えることになりますし、あなたの”興”を伝えることになります。まあ、だったら、あなたの”興”的な気持ちをそのまま書いておけばいいっちゃいいんですが、開封者が、あなたの”興”に動かされる人か資料という物の価値に動かされる人かはわからないので、どっちも。

 もっと言うと、その未来の開封者というのは数十年後の自分自身かもしれません。不思議なもので、いまこうやってがんばって保存しようと思っているのと同じ自分が、数十年後には、あれ、これなんだっけ?って、すっかりぽんと忘れてしまっていて、ま、いっか、って棄てる人に簡単に転ぶ、そういうことはよくあります。
 なので、未来の自分自身へのアラートという意味でも、目録・解題、その他の説明メモは、ごくごく簡単でいいんで書いてのこしておくのがいいと思いますね。

 もし余裕ややる気があるなら、スマホででも表紙をパシャパシャ1冊づつ撮って、リストの脇に加えるといいと思います。というのも、棄てる派の未来の開封者というのは、中に何が入ってるかを取り出して確認する、というような自らの手を汚すようなことはたぶんしないので、取り出さなくても何が入ってるかがビジュアルにわかる、というのはひとつの手だと思います。
 それを紙かファイルで別に自分用に持っておけば、誰かに相談するときにパッと見せられるので、そういう意味でも。

 で、とは言え、開封者に「それが何なのか」が伝わったとして、その上でもまた棄てられるというのはあるので、まあできるだけ早めに公的機関に(結局そうなる)。

 とは言えとは言え、公的機関もまあ、棄てる時は棄てる。こういうのは賽の河原の合戦みたいなもんだと思います(最終、悲観的)。

posted by egamiday3 at 19:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月04日

(メモ)司書教諭科目のテキストの内容概観

 複数のテキストを(主に目次を)読み比べて、ざっくりまとめる感じ。

●学校経営と学校図書館
・理念・展望
・機能
・制度・行政・教育課程
・マネジメント・組織構成・評価・渉外
・施設・設備
・情報化
・会計
・資料全般
・活動全般


●読書と豊かな人間性
・読書の意義
・児童・生徒・成長・情操
・読書指導(ブックトークその他)
・読書材の提供
・行事・活動
・生涯学習


●学習指導と学校図書館
・教育課程・教科学習・学習指導
・リテラシー教育
・調べ学習
・情報検索・情報探索
・情報活用・情報編集・情報発信
・レファレンス
・情報サービス


●学校図書館メディアの構成
・資料論一般
・収集・選択・蔵書構築
・メディア/媒体
・組織論一般
・書誌・検索ツール
・目録実務
・分類件名実務
・整理実務・資料保存
・書架・施設


●情報メディアの活用
・情報史・情報化社会
・資料論一般・メディア/媒体
・視聴覚資料
・教育用ソフトウェア
・デジタル資料・インターネット
・情報発信・ホームページ
・データベースと著作権
・情報倫理
・構内情報か
・データベース・インターネット検索と情報リテラシー
・IT
・Word、Excel、PowerPoint、HTML


(所感)
・内容にもっとも揺れがあるのが「情報メディアの活用」。文科省の「ねらいと内容」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/link/1327211.htm)に明確に書いてあるワード以外の部分にかなり迷いがある感じがする。逆に言えば、自由度高い?
・とはいっても、他の科目同士にも移動・揺れはある。5科目しかないのに揺れがあるのはどうか。
・「学校経営と学校図書館」の理念・機能部分は、全科目で前提としていったん触れたほうがよくないか。
・(今後の課題)その揺れを検証・考察している論文類をチェックすること。

posted by egamiday3 at 20:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

「野生のニッポンが飛び出してきた!」 -- デジタルアーカイブと海外の日本研究とをからめて考えたこと


 NDL月報さんにお声がけいただき、2016年8/9月号に「「海外のユーザに日本資料・情報を届ける」ということ」というお題で寄稿させていただきました。

 江上敏哲. 「「海外のユーザに日本資料・情報を届ける」ということ」. 『国立国会図書館月報』. 2016.8, 664/665号, p.6-9.
 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10133196_po_geppo1608.pdf?contentNo=1#page=8

 そしてそれとは別になのですが、ちょっと機会があって、下記の「中間報告」(デジタルアーカイブの連携に関する実務者協議会 中間報告(2016.3))と、それに至るまでの数回の会議の資料・議事録の公開分を、ひととおり読み通しました。

 デジタルアーカイブの連携に関する関係省庁等連絡会及び実務者協議会
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_kyougikai/index.html

 この件と、海外の日本研究とをからめて、いくつか考えることがあったので、ここに書いとくという感じです。

 海外の日本研究について、これまでの繰り返しは避けますのでその大方は上記NDL月報の寄稿をご参照いただければと思うのですが、特に下記あたりのポイントをピックアップしたいという感じです。

 ・日本を専門としない人も日本資料を使うことがある。(研究の学際化、国際化傾向)
 ・デジタル不足、デジタル環境の格差のひろがりが深刻。
 ・海外における日本離れが進行している。(退潮傾向、忌避傾向)
 ・デジタルアーカイブや電子資料の存在が知られていない、ユーザの目に触れない。

 特に「ユーザの目に触れない、知られていない」、discoverability・visibilityの低さについては、日本のデジタルアーカイブにとって深刻な問題ではないかと思います。例えば、
 ・海外司書を日本に招いて研修すると、「現地を訪問して説明を聞いて、はじめてそんなデジタルアーカイブがあるのを知った」と言われる。
 ・ディスカバリシステムで「枕草子」や「夏目漱石」を検索すると、中国語コンテンツが上位を占める。
 ・国際的な美術画像検索ポータルに収録されている日本美術作品は、大英博物館等の海外所蔵品ばかり。

 こういう状態にあって、日本のデジタルアーカイブのポータルを作ろう、というアンビシャス自体は我が友のように充分にわかるのですが、しかし、「ポータル」は「発信」ツールでしょうか、というと自分はそれは違うと思います。
 デジタルアーカイブだけでは「アクセス可能化」だし、そのポータルだけでは「探索効率化」であって、もちろんそれは国内外のユーザが喉から手が2,30本出てきそうなほどほしいんだけど、「発信」できてるわけではないんじゃないでしょうか。

 「ここが”日本”のポータルです」と。
 このwebサイトに、このストップに来て、この検索窓で検索すれば、”日本”のデジタルアーカイブがごっそり検索できます、と。ゲットだぜ!と。
 そう言って、海外のユーザがスマホ片手にわんさか集まるかというと、そんなことはない、それでお客は来ないんじゃないか、と思うんです。

 ひとつには、退潮傾向・忌避傾向が進行しつつある日本に、いま、それだけの集客力があるとはどうも思えない。わーい日本だあ、って言って、自分からわざわざそのサイトに足を運んでくれるのは、世界の本当にごく一部の存在です。
 逆に、「日本リテラシー」が高くない人たち。例えば初学者、若い院生や学部生、他分野・他地域が専門だけど学際化・国際化された研究において日本資料”も”必要としてくれるかもしれない人たち、というのが、人数的には圧倒的に多数で、世界の日本理解を下支えしてくれてて、でもリテラシー的にはサポートを要するので、デジタルの威力が頼りなんだけど、わざわざ日本オンリーのポータルサイトまで行くだろうかというとなかなか厳しい、そういう人たち。いやもっと言うと、世界の9分9厘を占めるであろう、日本になんか特に興味があるわけでもない人たち。
 そういう人たちに、ここが”日本”のポータルです、だからここに来てください、ではちょっと厳しいわけです。リテラシーが低いか、もしくは、それが日本かどうかなんか関係ないよ、ていう人たちが多数派なわけなんで。

 「発信」を、ていうか、もっと下手に出て営業努力をしようとするなら、そのポータルのデータを”外”に送り出すことのほうで、もう言い古されたことだと思うのですが、Googleでヒットするところにデータを出す。あるいは先ほどの例で言えば、ディスカバリシステムに対応させて、収録してもらう。国際的なポータルにも積極的に出す、連携する。
 これは海外に限らず、国内外ともに、ですけど。ユーザが見ている”いつものところ”、GoogleなりOCLCなりディスカバリなりWikipediaなりAmazonなり、そして各種SNSなり各種ポータルなり、そういうところにデータを送り込む、っていう。ユーザのメインな情報行動のルートというものがあるわけなんで、その路上に、ポケモンよろしく「野生のニッポン・コンテンツが飛び出してきた!」と、ポータルからデータを露出させに行く。そういう、こっちからのアグレッシブな働きかけがないと、「受信」はなかなかしてもらえないんじゃないかと思うんですね。

IMG_3620.JPG

 もちろんAPI的なものによってそれは成就するだろうし、私は技術的なことや制度的なことについては疎くて申し訳ないんですけど、ただ技術的に成就するとしても、先にみっちり検討すべきはユーザ理解・ユーザ考察のほうじゃないかと思います。発信者側・提供者側が発信したいしたいと言い募っても、もちろんその気持ちはいたく分かるのですが、ユーザの事情から逆算して組み立てていかないと、なかなかそれは成就しないんじゃないかなって。
 この世界は、受け手がいて、送り手がいて、君たちがいて僕がいて、そのトータルをデザインしてこその情報発信であり、情報流通じゃないかなって思います。

 情報をメインストリームへ合流させる、という意味では、どこがメインストリームなのかなっていう見極め品定めは必要になりますよね。
 聞くところによると、Europeanaの検索ワードランキングで「Japan」が4位に食いこんだらしいじゃないですか、すごいですね、需要あるじゃないですか、退潮傾向ってウソじゃないですかね。
 だったらそのEuropeanaさんと連携しましょうよと。さすがにEuropeanaさん側も日本のデジタルアーカイブのデータそのものを入れてくれるとは思えないし、それはちがうと思いますけども、例えばそうですね、Europeanaで○○と検索したその検索結果一覧の横っちょの欄にでも、「○○のニッポン・ポータルでの検索ヒット件数は**件です」ていうリンクがあって、クリックしたら日本のポータルに飛ぶ、くらいの連携は頭を下げてやってもらう価値あるんじゃないかなって思うんですけど。
 
 ってなってくるとそこで改めて必要になってくるのは、英語であり、ローマ字ですよね、ていう。ニッポン側が日本語でしか検索できないもん、Europeanaと連携のしようがないですしね。まあシソーラスか辞書かを噛ませばいいんでしょうけど。
 ユーザ側の事情もそれは同じで、日本研究者でもローマ字検索が主ですので、メタデータのローマ字対応は必須。教育研究の主戦場が英語であることを考えると、英語対応もできればほしい。インタフェースが英語なのはもちろん。
 できればコンテンツのほうも英語対応/ローマ字対応、というのはちょっとぜいたくかもしれませんが、それでもたとえば映像作品を大学の授業で使おうなんてときに、英語字幕があるかないかっていうのはものすごく重要になってきます。正規版に英語字幕がないなら、どっかよその国で買えるよくわかんないけどなぜか英語字幕がついてくれてるのを、まあ、ね、ってなっちゃいます。
 でも英語字幕みたいなコストかかるものそうそう作れないじゃないですか、商売になんないし、っていうのはわかりますけど、例えばですけど、映像デジタルアーカイブに収録されているファイルを、よそさんのプラットフォーム上でも柔軟に流用してもらえますよ、的な仕組みでオープンに公開すれば、ユーザが映像にクラウド的に字幕をつけられるサービス、なんていうのに活用できるんじゃないかなって思います。不勉強で恐縮ですが、たぶんそういうサービスあるでしょうどっかに。そういう、よそさんとの共有、ていう意味でのゆるいオープンさって、コスト低減という点でも大事だなって思います。

 あとは、翻訳って”言語”の問題だけでなく、意味というか文脈というか、「そのコンテンツっていったい何なの?」がわかんないと海外にアピールし難いと思うんで、それについては、MITさんにVisualizing Culturesっていうサイトがあって、日本資料の画像とそれに関係ある英語論文をリンクする、っていうのをやってはるらしいんですけど、そのアイデアをパクってOA論文とガンガンリンクさせるといいんじゃないかなって。OA論文に限らず、wikipediaや他のレファレンスツールとリンクさせることができれば、デジタルアーカイブ兼エンサイクロペディアみたいになりますね。21世紀の和漢三才図会というか、いい感じの百学連環になるんじゃないかなって思います。それっぽいワードを並べただけみたいになってますが。

 とりあえずはこんな感じです。

 あと、歩きスマホはやめましょう。

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2016年07月07日

「外邦図」というものについて関西文脈の会(2016.6.26)で発表してきました、記録


 図書館史勉強会@関西 関西文脈の会: 第30回勉強会のお知らせ(協力:京都府立図書館)
 http://toshokanshi-w.blogspot.jp/2016/06/30.html

 第30回関西文脈の会つぶやきまとめ - Togetterまとめ
 http://togetter.com/li/992485

 関西文脈の会で、外邦図について、発表してきましたよ、という記録です。
 タイトルが「北米の外邦図、その発見と整理」とあるように、メインはあくまでワシントン大学のライブラリアン・田中あずささんのほうだったんで、私はその前のにぎやかしというか、客席をあたためるためにちょっとしゃべった、という、前座です。ドリフターズです。
 まあドリフはドリフなりにがんばったので、そのときにしゃべるために勉強したことを記録としてまとめるものです。つい一ヶ月ほど前から急ごしらえで勉強しただけのメモなので、多少の間違いや不足があったとしてもそのへんは、怒っちゃやあよ。

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●ソース
小林茂. 『外邦図 : 帝国日本のアジア地図』(中公新書2119). 中央公論新社, 2011.
・小林茂編. 『近代日本の地図作製とアジア太平洋地域 : 「外邦図」へのアプローチ』. 大阪大学出版会, 2009.
・小林茂. 「近代日本の地図作製と東アジア : 外邦図研究の展望」. 『E-journal GEO』. 2006, 1(1), p.52-66.
・山本健太. 「日本における外邦図デジタルアーカイブの構築と今後の展開」. EAJRS2015発表. 2015.9. https://perswww.kuleuven.be/~u0008888/eajrs/happyo/Yamamoto_Kenta_15.pptx
・外邦図(一覧) | 調べ方案内 | 国立国会図書館(リサーチ・ナビ)
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-601012.php
・外邦図 デジタルアーカイブ(東北大学附属図書館/理学部地理学教室)
http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
・『東北大学所蔵外邦図目録』. 東北大学大学院理学研究科地理学教室, 2003.
・西村三紀郎. 「岐阜県図書館世界分布図センターにおける外邦図の収集と整理及び利活用について」. http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/newsletter3/pdf/n3_s2_5.pdf

●外邦図とは
・外邦図の定義には、狭義と広義がある。
・狭義の外邦図は、旧陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)が、主に軍事目的で作成した、台湾、朝鮮半島、満州、中国、東南アジア、太平洋地域、樺太南部などの地図、を言う。
・広義に言うと、陸軍陸地測量部に限らず、日本の植民政府や民間出版のものも便宜上含む
例:朝鮮総督府・臨時土地調査局による地図
例:市販され民間で使用されたもの
・その作られ方も、測量隊による測量もあれば、他国地図をぱくって複製したようなものもあれば、隠密が密命によって秘密裏に作製したもの(目測・歩測など)もあって、そんな調子だからそもそもその全体が把握されていない。軍事目的なもんでほとんどが機密扱い。

●戦後の経緯
・太平洋戦争終了
→日本軍による焼却処分(外邦図・空撮写真、命令だけでなく自主的・口コミ等で)
→連合軍による接収(→アメリカへわたる、これは田中さんの発表へ)/一部中国大陸に残される
→連合国軍による処分を免れようと、「兵要地理調査研究会」の研究者たちが参謀本部の外邦図を保存しようと各大学へ持ち出した。
(兵要地理調査研究会は、戦争終盤・連合軍の本土上陸を前に、陸軍少佐・渡辺正+各大学地理学者によって、連合軍との戦争に関する地理情報を収集するために組織された研究会)
→その後、日本軍解体により担当官庁がなくなってしまう

●現在の国内所蔵状況
・下記パワポの5枚目を参照すると一番わかりやすい。
 山本健太. 「日本における外邦図デジタルアーカイブの構築と今後の展開」. EAJRS2015発表. 2015.9
 https://perswww.kuleuven.be/~u0008888/eajrs/happyo/Yamamoto_Kenta_15.pptx

・ほとんどは、第二次世界大戦終結後に市ヶ谷の参謀本部から持ち出したもの
・上図には資源科学研究所からの分配経路の概要が示されている。
・資源科学研究所は、戦争時に大陸の資源調査を目的として文部省によって1941年設置。1971年国立科学博物館に吸収合併。

・現在の国内所蔵状況の概要は以下の通り。
東北大学 約7万点(1.2万種)
京都大学 約1.6万点
国立国会図書館 約1.5万点
お茶の水女子大学 約1.3万点
駒澤大学 約1万点
岐阜県図書館 約1.4万点
東京大学
広島大学
防衛省防衛研究所
陸上自衛隊中央情報隊 約23000種類

●戦後の経緯 パート2
・戦後の持ち出し→未整理が続く
・1960年代 学術利用が徐々に始まる
・1970-80年代: 布目潮フウ(大阪大学)『中国本土地図目録』刊行
・1994年: 東北大学地理学教室が外邦図の整理・目録作成を開始(現在まで更新)
・1990年代後半: 東北大と京都大とが交換・展示
・2000年代: 外邦図研究が本格化、目録刊行、デジタルアーカイブ構築
・2002年: 大阪大学が取得した科研費により研究プロジェクト組織
http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/(人文地理学教室)
・2003年: 「外邦図研究ニュースレター」刊行開始
・2003年: 『東北大学所蔵外邦図目録』刊行
・2005年: 『京都大学博物館収蔵外邦図目録』刊行
・2005年: 外邦図研究会デジタルアーカイブ作成委員会によるデジタルアーカイブ構築が開始(@東北大学)
・2007年: 『お茶の水女子大学所蔵外邦図目録』刊行
・2014年: 各大学の外邦図目録が統合される(→東北大学のデジタルアーカイブへ)


●東北大学所蔵の外邦図
・占領期、約10万点の外邦図が搬入される
・占領期間中は公開がはばかられ、未整理
・1994年 本格的に整理分類が開始
・1995年 理学部自然史標本館に収蔵
・国土地理院や岐阜県図書館に重複分やコピー等を寄贈、京都大学文学部と交換
・2003年 『東北大学所蔵外邦図目録』刊行(地域名、図幅名、縮尺、緯度経度、備考、大きさ(縦横)、色数、測量機関、測量時期)
・現在約7万点(1.2万種類)
・うち、中国の地図が約40%、という特徴

●国立国会図書館所蔵の外邦図
・約1.5万枚
・台湾・朝鮮半島・樺太南部・満州は比較的よくそろっている。中国はそろっていない。
・主に5万分の一〜20万分の一
・NDLCではYG810〜YG837を「外邦図」(各地域分類あり)とする
・東京本館地図室で閲覧可能
・OPACのほか、索引図での検索が可能

●岐阜県図書館
http://www.library.pref.gifu.lg.jp/map/worlddis/mokuroku/out_japan/out_japan.htm
・外邦図約1.4万点
・1995年、岐阜県図書館世界分布図センターを設置。
・東北大に寄贈複製を依頼し、一般公開を条件として快諾を得て、東北大学理学部から本紙・複製含め約1万枚寄贈。(1997年から収集) 趣旨としては、「多くの方に気軽に利用していただくため」[#web]。

●陸上自衛隊中央情報隊 
・約23000種類
・戦後、地理調査所(現・国土地理院)にあったものが移管されたもの。
・『国外地図目録』(全4巻)+『国外地図一覧図』(全4巻)1953年頃作成のものがあるが、この目録は現物5部のみ(しかもカーボンコピーによる)しかない。国土地理院、国立国会図書館等にあり。
・大学のコレクションにみられない作製時期の早い外邦図はほとんどここにある。
・非公開

●外邦図デジタルアーカイブ
・外邦図 デジタルアーカイブ(東北大学附属図書館/理学部地理学教室)
 http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
例:http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/ghz-dtl.php?lang=ja-JP&fm=m&fno=TH008433

・外邦図の画像と書誌情報を公開したもの。
・外邦図デジタルアーカイブ作成委員会による。
・2005年に、東北大学理学部地理学教室・図書館により公開
・目録データ 約20000件 / 電子化地図(公開) 約13000点

・「内容に高度な政治的判断を求められるものが含まれる資料もあり、すべてが公開とはされていない。」(山本)
・「中国大陸と朝鮮半島の地図については、まだ公開を開始していない」「中国の場合は、外邦図に秘密測量により作られた物が多いこと、南京事件などに際しての押収図を元図にするものが多いこと」「中華人民共和国では大縮尺の地図はなお実質的に軍の管理下にあり、市民や学生の自由な使用はゆるされていない」(小林)
・「これらの地域の外邦図は現地研究者と合意を作り、現地から発信することが望ましいという意見もあり」(小林)

・その書誌データは東北大学の目録に準拠している。(ちなみに、お茶の水大学や京都大学の外邦図コレクションの目録も、東北大学の目録に準拠して作製された(山本))
例:
地域名 インドネシア
記 号 ジャワ島389号
図幅名
縮 尺 1:50,000
サイズ(縦×横) 60cm × 48cm
色 4色(黒・青・赤・茶)
日本語表記 凡例のみ
測量機関国 オランダ
測量機関 旧蘭印測量局
測量時期(修正含む) 1924年調製
製版・印刷機関 陸地測量部・参謀本部
製版時期 昭和18年製版
発行時期 昭和18年発行
備 考 経度はバタビア基準
表示範囲 (グリニッジ基準に修正した緯度経度)

●日文研図書館の外邦図
・計約500枚。おおむね”広義”のほう。
・これらは日文研OPACにタグ「外邦図」で登録されている。
・天沼俊一旧蔵・寄贈の朝鮮総督府地図ほか(京都帝国大学の建築史学者)
・園田英弘・千田稔収集の外邦図(元日文研教授で、当時、京都の地図や外邦図などを集中的に集めていたらしい)
・このほか、未整理資料として、2010-2012年頃購入の「二十万分一帝國圖」(本土・台湾・朝鮮半島・北方領土等の地図、陸地測量部・大正-昭和)が約300枚ある。

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 今年1月に田中さんからお話をきいて、はじめて、そういえばうちにもある、っていうことがわかったくらいで。そこから小林先生の新書をざっと読んで、アメリカで勉強会に参加して(http://egamiday3.seesaa.net/article/436969984.html)、文脈発表が決まった1か月前くらいからまとめはじめて、いまにいたる、という感じです。

 で、連合軍が接収したものはアメリカにわたり、そこからまた紆余曲折の物語があるわけですが、それはまあ、また別の話ということで。(そっちが本編ですが)

posted by egamiday3 at 20:56| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月06日

(報告)近畿地区MALUI名刺交換会(2016.6.26)で、司会をしてきました。

 毎年一度、関西の善男善女が集まって友情と名刺を交わし合うという、この界隈、この業界でマストな名物企画、「近畿地区MALUI名刺交換会」が、今年もおこなわれました。

 近畿地区MALUI名刺交換会(2016年度)
 http://bit.ly/MALUI2016

 MALUIというのは、もうみなさんご存知かとおもいますが、
  Museum(美術館・博物館)
  Archives(アーカイブ・文書館)
  Library(図書館)
  University(大学)
  Industry(産業・企業)
 の略ですね。
 文化学術情報関係のあらゆる人々で集まり、シェア&コラボで協力し合い、全体でMALUIだけにまあるく環になって、その中心の穴から文化がうまれ出ずる、という多業種横断的ムーブメントです。

 その歴史(https://kinkimalui.wordpress.com/history/)をひもとけば、2011年頃からなんとなあく居酒屋で集まっては、適当に飲み会をやってだらだらしてる、という感じのあれだったのですが、まあいつのまにかでっかい集まりになりましたよねっていう。
 こんな感じです。

IMG_3254.JPG

 そこで司会をしてきました。何度目だ司会。某都府立の偉大なるアーキビストとのダブルMCです。正直、あんたしゃべんなさいよという感じで、一切何も考えず何も意識していませんでした。
 告知ある奴は手を挙げな、ていう感じのやつ。

IMG_3256.JPG

 それでも今年は、AAS in Asia京都大会@同志社大会のために来日中のアメリカのライブラリアンが多数いらっしゃってましたし、紀の書店さんの海外営業さんたちなどなども多数おいでになってたり、教員・研究者のみなさんも多数おいでになってたり、未就学児のみなさんの寄り合い所みたいになってるテーブルも一部あったりで、そんなみなさんがうら若い学生さんや某国立図書館の新人さんたちとめくるめく交流を広げていらっしゃる様子を遠巻きに見てると、まあ、これ、司会あってもなくてもいいよなっていう感じで、心地よくアイデンティティが崩壊していきましたよね。

 今年もありがとうございました。
 来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2日の日程が終わった後のギネス&ベルギービールが、それはそれは美味かったこと。

posted by egamiday3 at 20:52| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月05日

(報告)ラウンドテーブル「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」(2016.6.25)@AAS in Asia京都で、司会をしてきました。

 
 AAS、というのはAssociation of Asian Studiesの略で、アメリカのアジア研究学会というでっかい学会なのですが、その北米大会(例・シアトル:http://egamiday3.seesaa.net/article/436967407.html)とは別にアジア大会というのが最近年1回ペースで開かれており(例・台北:http://egamiday3.seesaa.net/article/421699189.html)、2016年が京都・同志社大学を会場としてた、っていう話です。egamidayさんの6月末のやたら忙しそうな素振りを見せてた諸々は、要はこれにおいでになってた方々を巻き込んでなんやかやしてた、に尽きます。

 でっかい学会で、何千人という人たちが何十何百という分科会にそれぞれで参加して、発表したりディスカッションしたりという。アジア学会ですから中国も南アジアも西アジアもありますし、研究者の学会ですから研究発表が主ですし、アメリカの学会ですから原則英語ですしという感じです。
 何回かしか行ったことないですが、行くと、参加者間のフラット感がすごく楽しい。日本の学会類ではあんまない空気感がある。来年のソウル、正直行こうかなと思ってる。

 そこにライブラリアンやその他の専門家も、そんなに多くはないかもしれないけどいらっしゃるみたいなので、じゃあそういう人たちが集まって、がっつり研究者というよりは実務目線混じりのことを、発表したり議論したりできる”公式”な”セッション”を持ちましょうよね、ということで、egamidayさんから声をかけさせていただきましたところ、日本側で強力な発信者の賛同を得られ、米国の重鎮ライブラリアンの賛同をも得られ、いまの時代の趨勢で我々が議論をするならデジタルアーカイブやオープンデータだろうという標的も定められたところで、おっかなびっくりプロポーザルをAAS学会様におはかりもうしあげた(去年10月頃)ところ、2倍だか4倍だかの倍率の中、おもいがけなくもかしこくも採択され(今年1月頃)、おお、マジでやるんだな!という感じで、なんやかんやで6/25のラウンドテーブル「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」に至ったのでした。ざっくり言うと。

 下記のページにその大概をまとめてあります。
 プレゼン資料だけでなく、(ギリギリレベルの質ではありますが)動画も一応あります。

「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」 - egamiday_wiki
http://egamiday.sakura.ne.jp/wiki/%E3%80%8CThe_Digital_Resource_Landscape_for_Japanese_Studies%E3%80%8D

 英語ベースの会ですので、当日は通訳の人に来ていただいて、日本語発表を英語にと、ディスカッションの日英・英日を逐次通訳していただきました。

 進行と、5人のスピーカー及びそのだいたいのプレゼン内容は、下記の通り。

・趣旨説明(江上)
・福島幸宏「歴史資料とデジタル化」(日本社会の現状と、東寺百合文書をはじめとする歴史資料のデジタル化)
・Tokiko Yamamoto Bazzell「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies: Spaces for Change and Growth Collaboration & Collective Solutions @ the University of Hawaii at Manoa Library」(琉球大学とのデジタルアーカイブ構築のコラボレーション)
・Edan Corkill「My journeys into the digital archive of The Japan Times」(Japan Timesのデジタルアーカイブ)
・Kuniko Yamada McVey「Today’s Challenge: The New Digital Haystack」(ディスカバリーとIIIF)
・是住久美子「ライブラリアンによるWikipedia Townへの支援、オープンデータの作成」(Wikipedia Townやオープンデータによる発信)
・質疑応答・ディスカッション

 こういった方々のご協力を得てこのセッション全体をコーディネートした背景には、一応の自分なりの考え見たいなのもありました。Abstractからそれを表現するのならば、
 ⓪「The volume of such resources is still small」(現状)
 @「often prevent them from being discovered and widely utilized」(ユーザと利用の便の問題)
 A「this interdisciplinary roundtable of librarians and other professionals from Japan and the US」(多様性の問題)
 B「identifying common goals and exploring avenues for collaboration and collective problem-solving」(シェアとコラボの問題)
 という感じです。前日に一生懸命考えて当日即興でしゃべりました。

 デジタルアーカイブにしろオープンデータにしろ、リソースのデジタル整備と普及はいまどきは必要不可欠、特に国を越えたアクセスには本気と書いてマジと読むレベルで必要不可欠なわけです。一方でそれが足りてないという日本、というときに、じゃあその解決はどうしたらいいかというと、個々で断絶しててもしょうがない。リソースの提供者と利用者はそもそもどちらも同じ情報流通のサイクルの上にある存在であって、無関係ではあり得ないわけなんで、互いに課題を共有し、情報やニーズを共有し、孤立することなくコラボレートしていきましょうよねと。
 なので、特にこのラウンドテーブルでは、異なる地域の、ことなる立場の、異なる職種の人たち、利用者も提供者も、図書館員も研究者もその他の職種の者も、日本国内にいる者も海外にいる者も、右や左のどなた様にも耳を傾けていただけるような、口をはさんでいただけるような、そういう場作りをめざしたい。それが今後のデジタル環境の構築には重要なんだ、というのをひとつのメッセージにできればいいんじゃないか、っていう。

 と思ってて、え、ほぼライブラリアンばっかりか? あまつさえ某都府立から2人か? とのあれはあるでしょうけど、その某都府立の2人がまったくベクトルの異なる加減の話をしてるあたりがこの界隈の底力じゃないかな、みたいな言い訳でご勘弁下さい。

 そのかわりというわけではないですが、参加してくださったフロアのみなさんの幅広さがすごかったです。まず人数、まあ来ても10人もいないくらいだろうと思ってたら、なめてました、40人近くは来てはったと思います。他のセッションであまりあそこまで人がいるの見たことなかった、テーマ的に他に類がなかったのと、かつ、テーマ的に刺さる範囲が広かったということかもしれません、その意味では意図通りだったのかも。その内訳も、わかるだけでも研究者の人もいればアーカイブ系の人もいるし、書店・出版の業者のみなさんも結構たくさん来てはる、コリアンのライブラリアンの人も何人か来てはったので、すごい、夢のような集まりになったなって。

 にも、かかわらず。
 タイム・キーピングに失敗しました。orz...
 結局、ディスカッションの時間がまったく取れなかった・・・。

 確かにスタートは遅れました。前のセッションが長引いたとか、機械的な問題とか、人が多くてテンパってたとか、諸々ありました。けど、どれも防げたはずじゃないかという。
 スピーカーがみなこんなにも力を入れてしゃべってくださるとは、と。だいたいこのくらいの時間で、という提案の長めのほうにみなさん寄せてこられるとは、と。いや、考えればみなさんお話し上手な人ばかりだとわかるはずの、防げたはずのことでした。それはごめんなさい、もう5分ほど短めに提案しておけばよかった・・・。

 結果、うしろのほうのプレゼンの方には相応に削っていただいていました。これは本当に申し訳ありませんでした。
 そして、上記のような魅力的なフロア参加者が待ち構えてくださっていたにもかかわらず、そして5つもの魅力的なディスカッション素材を披露してくださったにもかかわらず、メインディッシュたるべきディスカッションタイムが、無い、ていう。これはせっかく来てくださってたフロアのみなさんにも、本当に申し訳ない、礼を失した対応だと深く反省しています。

 というあれやこれやで、ここでも一言で言うと「もったいない!」になっちゃうという。
 この日、午前と午後(注:http://egamiday3.seesaa.net/article/439627340.html)で二度もったいないという。何やってんだろあたし・・・。
 実は結構ディスカッションタイムのための英語とか勉強してた。(註:https://www.amazon.co.jp/dp/4758108463/) Save the question later、とかノートに書いてある。

 とは言え、ああいうことをやるとあれだけの人が来る、というようなことがわかっただけでも充分に良かったと思ってます。これは2度3度とやる価値のある試みなんじゃないかなっていう。

 それともうひとつ、このセッションの極私的な裏テーマがあって。
 京都MALUI界を代表する2大・人的コンテンツを、国際セッションの場にひっぱり出せた、っていうことですね。
 これです。正直コラボだ連携だみたいな効能書きはわりと二の次で、本音は、あの2人の存在を日本国外に知らせたかった、見せつけてやりたかった。で、それに一応なりとも成功できましたので。偉大の「縮小を前提に云々」のくだりで軽く会場ざわついたりしたし、ウィキペディアタウン支援も「おおっ」みたいな反応ちょっと出てたので、手応えはあったんだと思います。それで充分です。司会=メディアとしては、魅力あるコンテンツが届くべき人のところへ届いてくれさえすればそれでいいんです。

 スピーカーのみなさん、当日ご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

 次は、もっと上手くやりたい。
posted by egamiday3 at 22:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月04日

(報告)アンサー・シンポジウム「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館」(2016.7.1)で、司会をしてきました。

 6/25のシンポジウム(http://egamiday3.seesaa.net/article/439627340.html)を聴いた日本側メンバーが、それにこたえるようなディスカッションをしあうという”アンサー・シンポジウム”という企画が翌週7/1にありまして、同じくそこで司会をしてきましたよ、という話です。

 1週間で4司会ですけどね。
 egamidayさんはいつから司会業ですか、中居くんですか。

 「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館 〜6/25開催のシンポジウムを振りかえりつつ〜」
 http://www.slis.doshisha.ac.jp/event/20160701.html
 2016年7月1日 18:25-20:00
 同志社大学 今出川キャンパス 良心館 1F RY106教室

パネリスト :
飯野 勝則 氏(佛教大学図書館)
今野 創祐 氏(京都大学附属図書館)
岡部 晋典 氏(同志社大学ラーニング・コモンズ、当日惜しくも欠席)
久保山 健 氏(大阪大学附属図書館)
長坂 和茂 氏(京都大学附属図書館)
司会 : 江上 敏哲 氏(国際日本文化研究センター)

 アンサー・シンポジウムって何だよ、て思いますけどね(笑)。
 でも最初にこの提案きいたときに、あ、これってたぶん自分が一番やりたかったやつや、って思いましたので、一も二もなく引き受けました。

 以下、やっぱり進行報告的な感じになります。
 内容報告は↓またもやこちらをご参照ください。
 「シンポジウム「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館 〜6/25開催のシンポジウムを振りかえりつつ〜」に行ってきた。」(みききしたこと。おもうこと。)  http://d.hatena.ne.jp/xiao-2/20160703/1467514366
 もうこのxiao-2さんという方には頭も顔も足も向けられない、直立不動で感謝しなきゃっていう感じになってます。

【後日追加】
当日の様子がYoutubeで公開されています。
https://youtu.be/GeazV807vak


 写真はいまのところ手に入っていませんが、40-50人くらいの方においでいただいてたでしょうか。土曜の午後ならいざしらず、金曜の夜に、はなきんに(死語)、大勢来てくださいましてどうもありがとうございました。

 進行としてはだいたいこんな感じでした。
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イントロダクション
→6/25シンポジウムのふりかえり
→第1問「学生たちはなぜ 図書館・ラーコモに来るのか? そもそも「来るべき」なのか?」
→第2問「ディスカバリー慣れした ユーザの前で 司書は何して過ごすのか?」
→第3問「日本の電子資料や デジタル・アーカイブは どこがダメなのか?」
→まとめ
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 まずはふりかえりのターン。
 先週のシンポジウムに来てない学生さんやお客さんも少なからずいてはるやろう、ということで、江上のほうから、きわめてざっくりと小カールくんのみの駆け足で、どんな話が出てたかっていうのを紹介しました。
 もちろんここでの紹介はのちのディスカッションのために踏まえてもらうものなので、どっちかというと後で扱う3テーマにだいぶ寄せた偏りのものにはなりますよね、ていう。まあその3テーマも振り返りをまとめているうちになんとなく浮かんできたやつなので、卵と鶏ですが。
 でもここをちゃんとやんないとあとのディスカッションでコメントが出にくいだろうし、フロアも飲み込みづらいでしょうから、ここは2時間サスペンスで登場人物をじっくり描いていく時間帯の感じで。

 で、それを踏まえてパネリスト登場&ディスカッションのターン、なわけですが。
 パネリストの4人(当日惜しくも1人欠席)はと言えば、全員よく知ってる、ていうか何をどう言いそうな輩かっていうのもだいたいわかってる、なので一切不安もしないし準備も何もいらないとしか思えないんだけど、唯一にして最大最強の不安要素と言えば、放っておいたら好き勝手しゃべり過ぎられてカオス&時間超過になるに違いない、そうならない未来が一切想像できないという顔ぶれなので、どうにかして抑制的な手綱をとらないといけない、はて、どうコントロールするか。

 というわけでやったのが、「学生の来館」「ディスカバリー」「電子資料」という3テーマを、問いの形式、「学生たちはなぜ 図書館・ラーコモに来るのか? そもそも「来るべき」なのか?」「ディスカバリー慣れした ユーザの前で 司書は何して過ごすのか?」「日本の電子資料や デジタル・アーカイブは どこがダメなのか?」というものにして、それぞれA3の紙(ほんとはスケッチブックにしたかったパターン)にマーカーで答えを書いてもらう、というやつです。
 「IPPONグランプリ方式」です。ただの大喜利です。
 教室のサイズにもよると思いますが、これはだいぶよかったと思います。その人の考えを、話だけ耳で聴いて理解するよりは、端的なフレーズが文字として見えている中で聴いてるほうが、そりゃまあわかりやすいよなっていう。話す方も、話題がさまよわずにすむし。

 もうひとつ成功したなと思ったのが、マイクを1人1本ぜいたくに与える、という。6/25のシンポは2人で1本だったんですが、これだとやっぱり発話までにひとハードルあるし、ワンテンポ遅れるから当意即妙な掛け合いみたいなんが難しいんですよね。発言したい人はマイクを手にとって司会に軽くアピールしてくれるから、司会として采配もすごくしやすいし。
 ディスカッションを盛り上げようと思ったら、マイクなしか全員マイクあるかのどちらかで、共有マイク態勢は避けたほうがいいと思います。(まあ、それでも盛り上がった6/25のパネリストは神4だったということで)

 そんなこんなのやりやすさの中で、司会たる私にも多少の心の余裕が得られたのか、今回はディスカッションの途中で適宜フロアにいる人に話をふる、ということができました。どれもみなこちらの無茶ぶりばかりで、発言してくださったみなさんにはごめんなさいしか言えないのですが、みなさんさすがのマイクパフォーマンスぶりという感じでした。具体的には学生さんとか、訊け!の人、紀がつく書店の人、そして先週のパネリスト約1名、とか。

 最後の最後に、その先週のパネリストだった約1名さんにコメントをいただきまして、これで上手いこと2企画が輪になってつながったんじゃないかなと思いますね。しろやぎさんたちからのお手紙を、アンサーなくろやぎさんたちががっつり咀嚼して、さらにしろやぎさんからお返事をもらう、っていう。

 ディスカッションの内容としては、自分にもいくつか言いたいことが出てきてしまうようなテーマで、っていうか我慢できなくてちょいちょい自分も何か言ったりしてたし、そもそもこんだけ司会してると自分の言いたいことなんか全然言えやしないから、フラストレーションの元気玉が熾りまくってる感じになっててどうしようもなかったんですが、本企画のメンバーの気安さからついつい出ちゃった、という感じです。

 極私的に思ったことのメモ。
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・@「学生たちはなぜ図書館に来るのか」の場所としての図書館論。なんというか、”場所としての”だけ言っても、”大学”の”図書館”の”場所としての”機能の一面しか見えないんじゃないのという思いを強くした感じになってて、”資料・文献”(紙にしろeにしろ)というものと”場所”としての機能がどうマリアージュするかを考えるのが、図書館の場所としての機能を議論することの醍醐味なんじゃないのかなあ、って思うんですけどね。(当日コメントした「文献を参照しない学びはscienceと言えるのか」はそのニキビがぷちっと出た感じの)
・A「ディスカバリ慣れしたユーザを前に、司書は何をすべきなのか?」では、もっと長い長いスパンで、未来将来の司書の新しい役割はどういったものになっていくかしら、みたいなこと”も”出題側としては意図してたのですが(で、先週紹介のあったワシントン大学のJapanologists Colloquiumの話になんないかな、とか思ってた)
 実際には、だいたい当面のというかまさにいま現在やるべきことみたいな話になってたので、まあそれはそれでいいかっていう。これは、いま現在のディスカバリがいま現在ホットである、ことのあらわれなんだろうし。
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 繰り返しになってしまいますが、当日はUstream中継もするにはしてたのですが、直前まで機器類の調整がつかず、URLをほとんど広報できていませんでした。申し訳ありませんでした。(アーカイブの公開が同志社サイドでできるようになれば、またあらためてお知らせできればと)

 あとこのアンサー・シンポジウムは、実は「図書館基礎特論」という授業のひとコマとして開催したもので、その受講生の学生がふつーに聴きに来てるっていうあれだったんですが。会の後の懇親会で「学生には内容的に難しすぎたんじゃないか」というコメントも出てたんですけど、あたしはそれはそれでいいと思います。わかりやすいあつらえられたものばかりでなく、噛み切りにくい呑み込みにくいものをあえて体験するというのは、もちろんそればっかりではしんどいでしょうが、2度3度くらいはあると良い学びになると思いますので。

 あらためましてパネリストのみなさん、当日運営でお世話くださった同志社大学のみなさん、ご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

 このアンサー・シンポジウムによって、AASに関連した一連の催しごとがすべて終わった、ということになりました。暦の上では夏が始まったばかりの日ではありましたが、egamidayさん的には、2016年はもうこれですっかり終わっちゃったようなもの、という感触ですね。
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2016年07月02日

(報告)シンポジウム「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館」(2016.6.25)で、司会をしてきました。


アメリカの日本研究ライブラリアン4人を招いて話をしてもらう、というシンポジウムで、司会をしてきました。

「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館〜図書館利用行動を中心に〜」
http://www.slis.doshisha.ac.jp/event/20160625.html
2016年6月25日 15:00-17:00
同志社大学 今出川キャンパス 良心館 2階 RY202教室

パネリスト :
Kuniko Yamada McVey (Harvard University)
Tokiko Yamamoto Bazzell (University of Hawaii)
Hiroyuki Nagahashi Good (University of Pittsburgh)
Azusa Tanaka (University of Washington)

以下、司会でしたので、内容報告ではなく進行報告的な感じになります。
司会や当事者としてイベントに参加することの最大の難点は、自分で記録を残せないことですね・・・。
内容報告は↓ぜひぜひこちらをご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/xiao-2/20160626/1466905299

【後日追加】
当日の様子がYoutubeにアップされています。
https://youtu.be/-r4byVlaqqU


0625-01.jpg
0625-02.jpg

当日会場においでくださったみなさん、どうもありがとうございました!
公式発表?によると約200人のご来場だったそうです。マジかと。正直、ここまで大勢の人が来るとは思ってなくて、ごめんなさい、まあまあなめてました。
来ていただいていた方々をざっと見渡すと、学生さんや現役図書館業界者だけでなく、教員の方あり大学関係者あり、書店出版の業界の方々も大勢いらしてて、これってMALUIの会じゃないのか、みたいになってた感ありましたね。

4人のパネリストはみなさんかねてよりよく存じ上げている方で、お話も上手にしてくださる方々ばかりとわかっていたので、そのへんについては司会として安心しきってました。なので準備らしい準備もほとんどしていなかったのですが、それでも一応事前に、こういう進行でいきましょう、みたいなことは言ってて、egamidayさんは阿呆なのでそれをそのままここに載せるという感じ。
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・イントロダクション
→・各人で、「図書館の概要」「普段の仕事」「経歴」を自己紹介を兼ねて。(5-10分×4人。40分程度)
→・「利用行動」(20分程度)
-グッドさんから学生の利用行動(ppt)
-バゼルさんから研究者の利用行動(ppt)
-それを受けて「レファレンス」「電子資料」を中心に全員でコメント
→・「学生の様子」(20分程度)
-田中さんから日本人留学生の様子(ppt)
-マクヴェイさんとフロアで学生の学習・授業について、ディスカッション
→・フロアからの質問+ディスカッション(質問・コメント票を回収して)(30分程度)
→・まとめとして、将来像×4人
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という予定だったのですが。
実際には、自己紹介で約15分×4人=1時間埋まるという、まあタイムキーピングの失敗事例としてはごくごくありきたりなやつ(=防げるはずのこと)ですよね・・・申し訳ありませんでした・・・結果、終盤のディスカッション・ターンでは、フロアとのかけあい的なことが全然できていませんでした・・・。これは非常に残念ですし、もったいない話です。先述のように幅広い業種のいろんな方が来てらっしゃいましたし、あの人もいた、あの人も来てた、マイク向けたらおもろいこと言ってくれたんじゃないかしら、いやそれより学生さんにこそ何か発言してもらいたかった、と今にして思い返すだに地団駄踏んで悔しがってる感じです。(教訓:「各パネリストからまずは一言づつ」、に注意)

もうひとつ、ディスカッションのまわしに余裕がなかった原因は、来場者数が思わず多かった=回収したコメント票が多い=目を通すのがたいへん、という、いや、防げるはずのことでしたね・・・。フロアがあのメンツと人数なら、素直に挙手制や指名制でもよかったんじゃないかと、まあこれは結果論になってしまいますし、それでシーンとしてたらしてたでまたあれなので、会場の雰囲気がどう転んでもどっちのも対応できるような心構えはいるな、という感じでした。

というわけで、正直な告白をすると、司会中はバタバタでとてもじゃないけど内容なんてほとんど頭に入ってきてないのですが、それでもなお、な極私的メモ。
(みききしたことおもうことブログさんにはたいへんお世話になっております!!)
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・[グッドさん]DDA(デマンド・ドリブン・アクイジション)で、英語資料選書の役割が低下。→インストラクション・レファレンスへ。
・[田中さん]「図書館はライブラリアンではなく利用者の夢を叶える場所」
・[バゼルさん]ワシントンDCのとある企業の研究所で、日本資料の収集などの仕事に従事。→日米の差を感じた。(例:政府刊行物の集めにくさなど)

・[グッドさん]ピッツバーグ大学における学生の図書館利用行動。これは2013・2014年の調査をもとにしたもの。
2014年英文オリジナル資料:http://www.library.pitt.edu/other/files/pdf/assessment/MyDayAtHillmanSurveyResults.pdf
当日のスライド:
http://www.slideshare.net/hirogood/ss-63590400
・「毎日来る」学生が50%以上(2014年)
・24時間開館で、PM11-AM6間の来館、週1回以上が30%。
・学生の来館が2010年以降増えてきたが、理由がよくわからない。グループ学習が増えたというよりも、個人の学習場所の要求が多い。そのため、開架資料の半分を遠隔地に送って学習用スペースを確保した。
・良く使われるのが「ディスカバリーサービス(OPAC込み?)」「電子資料」。その他のサービス類は「使わない/知らない」が多い。

・[バゼルさん]アメリカの研究者の図書館利用状況。これはIthaka S+R Surveyによる調査(2003〜2015)をもとにしたもの:http://www.sr.ithaka.org/
・研究をどこから始めるかについて。「図書館内から」は大きく減ったが、「図書館のwebサイト・目録」が2012から2015の間で増えてきた。<ディスカバリーサービスによるのではないか。
・電子があるなら冊子体をキャンセルしてもかまわない。ジャーナルでは、理系80%、人文系でも50%を超えている。書籍では理系50%、人文系でも30%ある。
・図書館にとって重要な役割は? 研究者の意見では「学部生のサポート」が多い。一方、データキュレーション/マネジメントについては、図書館の新しい役割ではなく、研究者が自身で管理したいと考えている。

・[田中さん]日本人留学生の様子+図書館の提供するサポート
・授業では、課題がかなり多い。ディスカッションのファシリテート、期末レポートの発表など。
・ライブラリアンは、期末レポートのアイデアを一緒に考える、資料探しをアシストする。
Japanologists Colloquiumを田中さんが月に一度・東アジア図書館で開く。学部を問わず”日本”をテーマにする学生を集めて、研究テーマの共有や期末レポート発表の練習の場とする。分野を越えたコミュニケーション。←極私的MVPトピック

・[マクヴェイさん]
・図書館の書架でブラウジングをすることは、重要でなくなってきている。
・デジタルへの期待値が高い。図書館サービスのひとつとして、遠隔地の書庫にある図書をスキャンして送るというものあるが、学部生はそれも待てない。

・アメリカの大学図書館で使われている日本の電子書籍プラットフォームは? →EBSCO・NetLibrary・丸善e-books・JapanKnowledge
・日本のデジタルアーカイブについて。隠れていて見つけづらい。Visibilityが低い。そのサイトのその場所にいかなければその存在がわからない、ではなくて、ディスカバリーツールにメタデータを送るなどして見つかるようにするのがよい。
・ワシントン大学図書館における多様性支援について。
・ライブラリアンにはMLIS(図書館情報学修士号)だけではなく、強みのある専門分野や能力(IT・ティーチング等)が必要。博士号を持った人がライブラリアンとして勤める例も。
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当日はUstream中継もするにはしてたのですが、直前まで機器類の調整がつかず、URLをほとんど広報できていませんでした。申し訳ありませんでした。(アーカイブの公開が同志社サイドでできるようになれば、またあらためてお知らせできればと)
当日の様子はテキストお越しされて、「同志社大学図書館学年報」に載るという予定もきいてます。

というあれやこれやで、一言で言うと「もったいない!」、もっとこの魅力あるコンテンツを皿まで舐めまわして味わい尽くすような余地はいくらもあったんじゃないか、という反省点いっぱいなのですが。
だとしても、それでも、あれだけの幅広い立場の&数多くのみなさんに、特に学生のみなさんに、アメリカの日本研究ライブラリアンという立場の人々のお話・考え・視点のようなものをお届けできたこと、現場で目撃していただくことで肌感覚で感じでいただけたことは、非常に大きな意義があったのではないかと思っています。
特に学生さん、当日の感想をレポートとして出してもらったのをざっくり見ると、24時間開館のうらやましいさや語学力がどれだけいるかなども多かったのですが、同じくらい多かったのが「アメリカの大学図書館ではこんなことまで学生サポートをしてくれるのか」というサービスの手厚さと、「ライブラリアンになるまでの経歴がこんなにも人によってちがうのか」的なキャリアパスの広さへのリアクションでした。そのことを見ず知らずの大人の口から聞けたという体験は、司会してるこっちがうらやましく思うくらいのものだと思います。

200人の人が4人の話を聴く様子を司会席でぼおーっと見ながら「明日からもこんな日が毎日続けばいいのに」と、世にも奇妙なフラグのようなことをずっと考えてました。
ほんとにそうなったら、自分自身がしゃべれないことへのフラストレーションがずっとずっと溜まっていくので、我慢ならんと思うんですけどね。でもいいんです。しょせんあたしは司会です、メディアです、魅力あるコンテンツがあたしの上を次々と通っていって、届くべき人のところへ届いてくれさえすればそれでいいんです。

パネリストのみなさん、当日運営でお世話くださった同志社大学のみなさん、発起&ご支援くださった紀伊國屋書店のみなさん、公私ともにもろもろ支えてくださったみなさん、そしてご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

で、さらにクレイジーなことに「アンサー・シンポジウム」なるイベントがその翌週に持たれた、との噂がありますが、それについてはまた別の話で。

posted by egamiday3 at 12:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月16日

(告知)シンポジウム「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館」6/25(土)を、目撃せよ!


 6/25(土)、同志社大学にて、アメリカの日本研究司書を招いてのシンポジウムがおこなわれます。

 「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館〜図書館利用行動を中心に〜」
 http://www.slis.doshisha.ac.jp/event/20160625.html

 同日、同志社でおこなわれているAAS in Asia京都大会(アメリカのアジア学会がおこなう大会)に参加する、アメリカの大学で日本語資料を専門に扱うライブラリアンのみなさん、計4人をお招きして、いろいろとお話をうかがおうというシンポジウムです。

パネリスト :
  Ms. Kuniko Yamada McVey (Harvard University)
  Ms. Tokiko Yamamoto Bazzell (University of Hawaii)
  Mr. Hiroyuki Nagahashi Good (University of Pittsburgh)
  Ms. Azusa Tanaka (University of Washington)

 4人のパネリストはみなさん、日本とアメリカ両方の大学事情・図書館事情をよくご存知の方々です。そんな方々の目に、アメリカの大学・図書館は、日本の大学・図書館は、どのように映っているのか。学生や研究者の学習・研究、図書館での立ち居振る舞いに違いはあるんだろうか。サービスは? レファレンスは? 電子書籍は? そして、海外の大学で学んでいる日本人学生のキャンパスライフは? そんなもろもろを語っていただけたらな、と思っています。

 ちなみにこんな関連文献がございます。
 バゼル山本登紀子「進化する大学図書館とライブラリアンの役割」(『同志社大学図書館学年報』(2010))
 https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/14772/?lang=0

 司書をめざす学生さんでしたら、図書館で働くって実際どんなんかな、と。
 研究・進学をめざす学生さんなら、研究者ってどんなんかな、と。
 海外留学をめざす学生さんや、海外で働くことまで視野に入れてるようなジョン万な学生さんなら、その先輩方の生の声を。
 そしてもちろん、海外話の大好きな現役図書館員や大学関係者等々のみなさんにも、おなかいっぱいになるような話を聞いていただけるんじゃないかと思います。

 これの司会を私がやるらしいです。ほんとかな、大丈夫だろうか。
 でもお話の上手な4人がパネリストとしてそろってるという認識でおりますので、大船の咸臨丸に乗ったつもりで、客席目線で、もはや客として、楽しみたいと思ってます。

 日時は、2016年6月25日(土)、15:00から。
 場所は、同志社大学 今出川キャンパス 良心館 2階 RY202教室。

 参加は自由、無料です。
 あ、それとこれは言っておかないといけない、シンポジウムはすべて日本語でおこなわれます。英語じゃありません、安心してください、ていうか司会の私が一番安心しています。

 事件は同志社で起こります。
 その目撃者は、あなたです。 
 ぜひ、同志社大学RY202劇場で目撃してください。

posted by egamiday3 at 20:03| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(告知)「近畿地区MALUI名刺交換会」6/26(日)で、お待ちしてます!


 関西の善男善女が集まるという業界でマストな名物企画、「近畿地区MALUI名刺交換会」が今年もおこなわれます!

 近畿地区MALUI名刺交換会(2016年度)
 http://bit.ly/MALUI2016

 参加登録は6月19日(日)までです!


 MALUIというのは、
  Museum(美術館・博物館)
  Archives(アーカイブ・文書館)
  Library(図書館)
  University(大学)
  Industry(産業・企業)
 の略で、文化学術情報関係のあらゆる人々で集まり、協力し合いましょう、交流し合いましょう、四角い世界をまあるく環になって踊り包みましょう、というような(かどうかはわかりませんが)感じの、多業種横断的なムーブメントです。
 MLAのパワーアップ版と思っていただいたら結構です。パータッチです。

 そのMALUIの人たちでまずは人と人同士が交流することからはじめましょうよ、という感じでここ数年毎年おこなわれているのが「MALUI名刺交換会」です。特に、よその地域からはじめて関西のMALUI関連職に就いて、まだ周囲に人脈ができてない、というような人たちとの交流が深められたらな、というあれなんですけど、まあ要するに飲み会ですよねと。別に固定メンバーがいるわけじゃない、ゆるいつながりであり、ムーブメントであり、抽象的な概念ではありますが、まあ具体的に言うなら飲み会ですよねと。

 今年は同志社大学にてAAS in Asia京都大会(アメリカのアジア学会がおこなう大会)が行われるのですが、その日程になんとなく合わせて、AASのためにアメリカから来日している日本研究ライブラリアンのみなさんたちにも参加していただく予定です。
 また、そのAASで企業ブース展示に来ている東京や海外の出版・書店・データベース関係の企業のみなさんもまた、多数参加してくださる予定です。

 というわけですから、今年はいつもとちょっと違った出逢いがありそうですよ、という期待含みでよろしくおねがいします。

 日時は、2016年6月26日(日)19:00。
 場所は、コープイン京都(http://www.coopinn.jp/access.html
 参加申し込みは下記URLから、6月19日(日)までです。
 http://bit.ly/MALUI2016

 会場が四条のどまんなかですから、お帰りにも二次会にも不自由しない便利な立地です。
 いま時分の京都は紫陽花(http://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/ajisai/meisho/index.html)の季節ですから、昼間は三室戸や藤森神社あたりに寄ってみてはいかがでしょう。
 あ、この日は、関西の歴史好き猛者司書たちが集うという関西文脈の会の勉強会(http://toshokanshi-w.blogspot.jp/2016/06/30.html)もありますよ、京都府立図書館にて、しかもバックヤードツアー付きのお得プランです。
 これはもう、来ない理由がありませんね!

 それでは、みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。
posted by egamiday3 at 20:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月11日

(メモ)展示「竹中工務店 400年の夢 : 時をきざむ建築の文化史」(@世田谷美術館)

 東京・世田谷美術館で開かれていた「竹中工務店 400年の夢 : 時をきざむ建築の文化史」展(http://www.city.setagaya.lg.jp/event/1991/d00145682.html)を見てきました。建築関係の展示って自分に刺さるときと刺さらないときとあるんだけど、これはすばらしかった、見ててずっと顔のによによが止まらなくって、ああ自分やっぱ好きなんだなって思いました、好きなだけだけど。野暮用で早めに立ち去らなきゃいけないのがほんとに悔やまれたです。6/19までとのことなので関東圏の方はぜひ、っていう。
 そのメモ。

 ていうか、世田谷って普段よく聞く東京の地名くらいにしか思ってなかったけど、実際に行ってみたら世田谷というのは東京駅界隈からあんなにも離れたところにあるんだと、恥ずかしながら初めて知りました。あの辺って自意識の地図帳ではとりあえず緑に塗ってあるくらいの感覚しかなかったけど、別の"市"とかじゃなかったんだ。Googleさんには「新横浜で降りろ」と言われて一瞬我が目を疑った。
 そんなんはさておき。
 
・400年の歴史と書いてあるけど、200年くらいサバよんでないか感、は、まあよくあること。
・高島屋史料館から資料わりと出てた。チラシがスクラップブックで残ってるのとか、キュンキュンした。ていうか、やっぱり高島屋京都店とか西本願寺伝道院とかにどうしても目が止まってしまうので、この手の展示を京都でもやってください。(注:高島屋の展示はこないだあった)
・ちなみに高島屋京都店は、商店建築で、鉄筋コンクリート造としては、日本初だそうです。
・日東コーナーハウス→CIE図書館。
・雲仙観光ホテル、togo。
・竹中大工道具館、togo。
・竹中歴史資料展示室、togo。
・旧ジェームス邸、togo。
・揚輝荘、togo。
・雅俗山荘(小林一三邸)、togo。(行けるのか?)
・ケルムスコット・マナー(イギリス)、togo。(いつだ?)
・雑誌「approach」の所蔵を確認すること。
・竹中工務店の「建築写真集/帖」、所蔵を確認すること。
・建築模型を見るとやっぱり写真やなんやよりずっとわかりやすい。建築模型大事。ちなみに、天王洲の建築模型ミュージアムがいよいよオープンのはず。

 まとめとしては。
 どこで何見ても結局、京都・図書館・資料保存に目が行くという病気。
 あと、聞きかじりだけでまだよくわからない専門用語や人物等がたくさんあるので、egamidayさんはもっと建築(技術も文化も)について、少しづつでも勉強してください。好きなだけじゃなく。建築を勉強したらいま以上にもっと旅を楽しめるにちがいないから。



posted by egamiday3 at 18:19| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月22日

(メモ)京都府立図書館サービス計画


京都府立図書館サービス計画 | 京都府立図書館
https://www.library.pref.kyoto.jp/?page_id=5789

・3つの基本方針→20の項目→64の具体策、という3層構造
・3つの基本方針のうち「I(府内協力)」「II」は従来機能の充実、「III(発信・拠点?)」を新たな挑戦、という位置づけ。
・20項目のうち5項目をピックアップ。「II」(従来機能)から「歴史ある図書館の演出」「利用しやすい空間」、「III」(新挑戦)から「サービスデザインチーム」「知的な交流の場」「行政支援サービス」
・各方針ごとに、その方針・項目について具体的にどう評価していったらいいかを、自ら示すために、「主な評価指標」というのを設けていて、「項目/26年度実績/数値指標」が示されている。
例:総合目録ネットワークシステム加盟機関 26年度実績:30機関、数値指標:80機関
・全体で5年計画、というスケール感。
・文書としてわかりやすい。

 ベストプラクティス行き。

posted by egamiday3 at 11:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月12日

(メモ)「図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門の出版に当たって」聴講メモ


2016年度立命館大学大学院文学研究科行動文化情報学専攻「文化情報学専修」広報企画ワークショップ
日本出版学会2016年度第2回(通算第95回)関西部会のご案内
テーマ:「図書館を変えるウェブスケールディスカバリー」
日時:2016年 4月25日(月) 18時30分〜20時00分
場所:立命館大学平井嘉一郎記念図書館

 立命館大学の噂の新図書館・平井嘉一郎記念図書館にて、ディスカバリー界隈では日本随一の佛教大学・飯野さんによる、ご著書『図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門』とディスカバリーシステムまわりのトークイベント、という感じのワークショップに参加してきました。

図書館を変える!  ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -
図書館を変える! ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -

 自分勝手メモです。ていうかほぼ個人の感想です。

 (註:WSD=ウェブ・スケール・ディスカバリー)

・著書出版まわりについて。WSDの佛教大学図書館導入における現場体験を紹介したものなので、アカデミックというよりは体験談。編集サイドとのやりとりでそういう路線に行ったらしいのですが、個人的にはアカデミックばりばり列伝的なほうを読んでみたかった気がする。
・出版までの経過としては、原稿の試験提出から最終の第3稿までに1年かかってはる。自分のとき(#本棚の中のニッポン)は原稿どばっと書いて基本それがそのままという感じだったので、進め方ってそれぞれでだいぶ違うんだなあ、と思たです。
・この本はネットアドバンス社さんが初めて出す紙の本だとかで、第2弾への動きがどうなるか、注目されますね。
・「5分で分かるWSD」。WSDは図書館の蔵書検索からe-resource、商用オンラインデータベースまで、統合的に検索できるし、統合的に表示もできる。特に学部生・初学者に吉ですよと。
・効果について。WSDに収録されたコンテンツはその後よく使われるようになるし、逆に収録されないものは利用が減る。それまでとてもよく使われていた某データベースが、お気軽検索(佛教大学のWSD)公開後、そこに含まれてないがために使われなくなってしまったという、実にシビアなお話も。そう考えると、コンテンツが求められるかどうかって、純粋に内容だけの問題でもなんでもない、環境に大きく左右されるものなんだから、内容にあぐらをかいて紙媒体でがちがちにかためてたら、それでジ・エンドなんだろうなあと。
・一方で、論文情報がヒットする→紙媒体の利用が増える、という現象も。ビジビリティの野戦場、的な感じがする。
・電子書籍は章単位で検索・ヒット表示・閲覧が可能。→「章」が独立したコンテンツ化する。→”評価”が「章」ごとに可能、的な。→電子書籍がレファレンス・データベース化する/本文もヒットするから見つかり具合が上がる。(これは知の断片化というより、知のランダムアクセス可能化、なんだろうな)。
・で、洋書はそういう章レベルのレコード登録や目次・全文検索化に対応しててリッチなんだけど、和書はそういうのがまだ少ないから、検索結果として和書は埋もれた存在になっちゃう、っていうね・・・。
・WSD向けのリッチなメタデータをデジタル形式で流通させる、ていうのが、出版社さんににとっても販路の拡大につながる、ていうこと。日本の図書館と出版社が共同で、抄録や本文データを含むリッチなレコードを、積極的に流通させていく仕組みを構築しないと、っていう。そりゃもう、紙でめくって苦労するのがいいとか見出しも商品だから権利があるとか、21世紀も1/6過ぎようというご時世に言ってる場合じゃないですよと思う。
・なぜWSDで枕草子を検索すると中国語コンテンツが上位に来るのか。コンテンツの収録設定は図書館の仕事なんだけど、有償コンテンツは能動的に収録しようとするけど、オープンアクセスコンテンツは必ずしもそうではないから。商用が少なくオープンが多い日本はそのために収録されづらくなっている、か? あとは抄録や本文などのリッチなデータがあるほうが関連度が上位になるから。枕草子中国語問題は以下を参照。
--CA1827 - ウェブスケールディスカバリと日本語コンテンツをめぐる諸課題―海外における日本研究の支援を踏まえて / 飯野勝則 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/CA1827
--ディスカバリ・システムにおける日本製e-resourceの対応(まとめ) - egamiday_wiki
・タダより高いものはない、とまでは言わないけど、タダだからこそスルーされてしまう問題はおしなべてあるよなとは思う。ただまあだからといってオープンより有償が優秀、ていうことではないと思うんですが。

・以上、飯野さんのトーク。以下、飯野さんと安東さんのセッション。

・出版社サイドからデータを提供してもらえない、説得できてない、という問題について。出版社サイドでも積極的に出していこうとしているところはあって、実際に動いているところもあるとのこと。
・図書館の”オススメ”が”おしつけ”になるか?という、まあ長期スパンでゆっくり考えたい哲学的問い。
・さてそんな佛教大学図書館さんでも、WSDの利用度はOPACの1/3程度。図書館としてはWSDを上位に考えてwebページのデザインも設計したけども、それでもやっぱりWSD利用比率は変わらなかったという。そこが着地点なんだろうか。
・次のステップは、パーソナルスケールなWSDの提供、か。
・egamidayさんからの質問は、WSDはOPACのリッチ版というよりGoogleのセレクト版ですよね。→佛教大学さんでは学内PCのデスクトップにお気軽検索を置いてもらったりしてる、とのこと。
・その他、なかなかの裏話が聞ける平井記念図書館。
・飯野さんのまとめ。WSDは手塩にかけてちゃんと育てないとうまく作動しないシステムです、とのこと。実は図書館にとっては手のかかる子なんだよ、と。その手のかかり具合の奮闘記が、『図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門』ですね。

図書館を変える!  ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -
図書館を変える! ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -

 このあと土佐料理屋で懇親会がとりおこなわれましたとさ。

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2016年04月22日

201603us@シアトルのメモ・旅情編

 
 CEAL2016@シアトルの番外編。
 なお、休憩時間や食事時間などのすきまなプライベートしかなかったわけなので、おおむね旅行事務か飲食か街の印象、的な話しかないです。


●総評
・シアトル、8年ぶり2度目。ただし1度目は(米国内からの)弾丸的な行き帰りだったためあまり印象がなかったのですが、正直、こんなに居心地のいい街だったとは!という感じでした。山紫水明だし、街もそこそこ都会だし、でも混んでなくてぎすぎすしてない、人々はものすごく愛想がいいし、アジアフードが美味い、シーフードが美味い、カフェいくらでもあるし、実はビールどころだし、日本から近いし、紀伊國屋と宇和島屋があって、移住には最高レベル。坂と、天気の悪ささえなければか。


●シアトル
・着陸寸前の窓からの景色は、「山紫水明」のひとことだった。立派な山々の雪景色、針葉樹の凜としたの、海または湖のたっぷりとしたの、からの、街並み。
・滞在中ずっとほぼ快晴に近かった。これははっきり言ってシアトルにはあり得ない珍事じゃないのかと思った、シアトルはだいたい天気の悪い土地柄なはず。
・相変わらず坂の街だった、そりゃそうだけど。スタバ行くのにめっちゃ急な坂を登らされて、そしてその次にめっちゃ急に下らされた、要するに別の道行けばよかったんじゃんっていう。そういうのをGoogleマップさんは知らんぷりしてるから、やっぱ限界あるんじゃないのと思った。
・これまで訪れたどの街よりも、路上者が多い街だった、という印象。宿所の周辺も結構なところで何度かヒヤッとした。そして、シアトルは全米でもトップレベルに治安がいい街だと聞いていたので、これは要するに、路上に居てられるほど安全だということなのか、と理解している。別の米国在住者も同様の感想だった。
・移動中にバスから見た風景。キャピタルヒルの左京区感はあらためて滞在しに来たい。湖が見えた時はさすがに目をひいてきれいだった。
・マウントレーニアが相当見目美しかった。これが、おお、マウントレーニアよー、か、と思った。日系移民からタコマ富士と賞され愛されるほどの美形が、雪をかぶった様で、しかも奇跡的な快晴でくっきり見えて、おまけに桜という。

IMG_2798.JPG

・なおワシントン大学へはつい前週に地下鉄(LINK)が延伸開通したとのことで、これで空港から大学まで一本で行けるという立地になってる。
・朝に港あたりを散歩していたら、船通勤の人たちがわっと降りて歩いてくるのを目撃した。そういえばシアトルを舞台にしたビジネス書を日本で読んでたけど、その主人公もフェリーに自転車で乗ってきてた。あの人たちが住んでるのはどのあたりになるんだろう。

・というか、シアトルはどこも居心地がいい。というのも、不思議なことにというか、どこも混んでいない。人がそんなに多くなくて、場所に余裕があって、スタバに行ってもスタバ以外のカフェに行っても食事処に行っても、混んでてきゅうきゅうしなきゃいけないっていうような思いをすること、空間的にも時間的にも窮屈な思いをすることが、ほとんどない街だった。そういった意味ではいっさいギスギスしてなかった。
・唯一混んでて居場所を得られなかったのが、ワシントン大学の図書館内カフェ。みんな勉強してて居場所なんかどこにもなかった。
・そして、人々がびっくりするほどものすごく愛想がいい。「愛想いい」と言えばアイルランドにしくはなしと思ってたけども、そのアイルランドと同等かヘタをすればそれ以上レベルで、みな優しいし人あたりがいいし、買い物でもカフェでもどこかしこでもイヤな思いをすることがほとんどなかった。なんなら空港の入国審査も若干人あたりよかったんじゃないかと想い出補正されるくらい。
・シアトルが日本から近い話としては、米国内東海岸の人が国内線乗り継いで10時間かかった、と言っている一方で、成田からここへは直行便8時間台だったという。


●書店・図書館・大学
・宇和島屋と紀伊國屋書店。2度目の訪問で特に大きく変わりはなかったけど、印象としてはさすが地元日本語フリーペーパーが充実してた。
・シアトル公共図書館。オランダでもデンマークでも、旅行中に手詰まるとだいたい公共図書館に来る。居心地のいい図書館ほどビバークしやすい。ただ、あまりに居心地がよすぎて3時間くらいいたのと、セキュリティ的にあまりよろしくない行動をとってしまってたので、要注意。
・なお、職場への土産はシアトル公共図書館モデルのアヒルちゃん人形だった模様。
・うわさのAmazon実店舗がワシントン大学隣接のショッピングエリアにあるというので立ち寄ってみた。ふつーの書店とどうちがうんだろうと思ってたけど、値段がサイトのデータベースでリアルタイムに管理される”時価”なんだな、と。それは確かにふつーのリアル書店とはちがうことになる、このちょっとしかちがわないはずの概念ってもしかしてそうとうちがうものへの第一歩なんじゃないの、という印象。そこが自分にはまだうまく言語化できない。
・ワシントン大学キャンパス。Amazon実店舗側から徒歩よりアクセスしようとすると、まあまあの坂道だった。途中でハイキングのグループとすれちがったほどだった。キャンパスまで山紫水明が過ぎるだろうと思った。
・ワシントン大学キャンパスでは、各国・地域のアジア、タイといい中国といいベトナムといい台湾といい、その学生のコミュニティ活動が盛んな様子があった。日本を見かけなかったのはあれは気のせいなんだろうか。


●カフェ・スターバックス
・コーヒー・シティを飲む。
・スタバ1号店は、もはやお土産を売るためのキオスクと化していた。まあそれはそれでいいんじゃないか。
・「Starbucks Reserve Roastery & Tasting Room」というなにやらプレミアムな店舗があるんだよと聞いていたので、行ってみたら、むき出しのロースト工場施設を眺めながら居られるプチ・テーマパーク的なところだった。そして居心地がいい。ソファでだらっとしてられるし、香りがいいし、雰囲気がいいし。極私的・世界お気にスタバがまたひとつ増えた感じ。ただし、どうやら価格が若干高い。ドリップで5.50ドルもする。
・チェーンじゃない地元カフェは、あたりはずれあり。例えば、各書で評判のよかったカフェのひとつは、トイレの芳香剤の臭いが店内に強すぎて、エスプレッソ味わうどころじゃなくてとっとと出て来た。
・ワシントン大学近所のカフェ・Cafe Allegroが、いい感じのネイティブなカフェだった。古い木造の内装で、サブカルなチラシがわっと貼ってあったり、まさに左京区然とした感じの。ずっと居てられる。学生がうるさめかなとも思うけど、席は2階の方にも広くあるみたいで、時間さえタイミング良ければ居心地よく過ごせる場所なんじゃないかしら。
・最終日に空港へ向かう直前に名残の一杯と思って入った、街中のスタンドだけの狭い狭いPegasus Coffeeが、たぶん一番美味かった。本当にたまたま、通りすがりに数秒で見つけて適当に入っただけの店だけど、タトゥーだらけのロックなお姉さんがエスプレッソ用の粉をぼろぼろこぼしながらがさつに詰めつつ「for hereかtogoか」をきいてくるようなところで、そのエスプレッソが超絶に濃くて血圧が上がるロックな朝だった。


●食
・ほんとはキッチン付きの宿がよかったんだけども、なくて、流しと冷蔵庫と電子レンジまではあるという宿だった。それでも、電子レンジがあるのとないのとではクォリティオブライフがとんでもなく違った。ので、今後も電子レンジだけでもあるほうがいい。
・宇和島屋(シアトルのかなり大きい日本食ショッピングセンター)で、タイ料理のランチと韓国料理のランチをいただいた。1勝1敗。タイはだいたいハズレない。
・あと宇和島屋にはおーいお茶濃いめがあったので、天国かと思った。荷物が許せば2L買いかねなかった。

・ローカルビールを探して、とりあえずパイクプレイスのガイドブックに載ってるくらいの適当なビール処(Pike Brewing Company in Seattle)に入ったら、ほかのお客が利き酒セットを呑んでるのを見つけて、こういうことに。以下、その際のもっともらしいツイート集。

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2028 ローカルビールを探してたらなぜかこうなった。 https://t.co/SUbQWSeqBz
2030 1は、ごく軽い、歩いてきて渇いたのどにうれしいかんじんやつ。それでも苦味がしっかりしてて美味い。これ、秀吉の一杯目やないか。
2038 2はペールエールで、ブラウンさが、日常飲むときにはこれが一杯目やな、ていう感じのやつ
2040 あれこれもしかして日本的にはビールテロですか・・・
2044 3、IPA来た。でもちょっと甘みがあるんじゃないかなっていう感じ。 https://t.co/iHU9IKuln2
2048 日本、ランチタイムじゃないか、ごめんなさい
2051 4、キルト・リフター。少々のピートなスコッチウィスキーモルトがどうのと書いてあるので、何言ってるんだろうと思って一口飲んだら、思っきしスモーキーフレーバーだった。マッサン、わしゃどうしたらええんじゃ。 https://t.co/pafdGpd1Xd
2054 何このビールすげえピート臭
2055 びっくりぽんや
2056 悲報、このあとのこり2杯がスタウトと修道院
2103 5、あースタウト美味いわーやっぱスタウトでええわぁ終わってるわ
2110 6、修道院。甘ったるいw でもなんだろう、なんかクセのあるにおいが最後にふわっと残るの。なんかこう、脱酸した資料についたにおい的な。

・このあと、宿近くのちっちゃい荒物屋みたいなグロッサリーに行ったら結構な種類数のローカルなクラフトビールがあって、パッとえらんだスタウトがこれも甘濃くてすごく美味かった。まともに予習してなかったんだけど、実はシアトルのあるワシントン州は、ホップ生産量が全米1位、ブリュワリー数が2位で、コーヒーシティ以前にビールシティじゃないか、と。
・ピートなビールは、最終日夜遅くのミーティングのあとでライブラリアンの方々とホテルのバーに行ったところでもいただきました。なんだかんだいって呑んでる。

・シアトルで人気店だというドーナツのカフェで朝食をいただいたんだけど、ドーナツはまあ美味いほうのドーナツだなという感じではあるんだけど、コーヒーが薄くてつらかった残念賞。シアトルまできてこんなコーヒー飲みたかったんじゃないという感じ。美味い店開拓はなかなか難しい。
・それから地産地消が売り的なカフェで、ホットサンドイッチ。1回目はアボカドまじりっぽいマヨネーズソースのサンドイッチ。2回目は有名店チーズを使ったらしいがあまりピンとはこなかったベーコンサンドイッチ。まあよかったです。
・朝、パイクプレイスマーケットのあたりを散歩していたら、小さな店に軽い行列ができていて、ピロシキって書いてあって、野菜とキノコのピロシキとか、チーズとサーモンのとか、そういういろんなピロシキというか包み焼きが朝食として売っておられて、日本ももっとピロシキの概念を破壊して売ってくれたらいいのにって思った。
・昼食のカフェで、あ、カニのサンドイッチあるんだ、さすが海鮮処シアトル、と思って注文したら、クラブハウスサンドイッチが出てきて、ああー自分このミスするのいったい何度目なんだ、って嘆くあるある。いい加減学習しろ、自分。(でもtunaの上にclubって書いてあったら、crabと見間違えないですかね・・・)
・夕食その1。パイクプレイスマーケットの、海が望める、トムハンクスが映画ロケしたという観光地的なシーフードレストランだったけど、シーフードラザニアなるものをいただいたところ、アタリだった。トマトとチーズの下に、サーモンと小エビと貝柱でいい感じだったので、これはシアトルのシーフードの良質さがなせるわざか、イタリア料理のハズレなさがなせるわざなのか。
・夕食その2。北米ライブラリアンの方と、ピア的なところにあるオイスターハウス。オイスターはいただかなかったものの、フィッシュケーキ、ブイヤベース的なの、カラマリ(イカ)の唐揚げ、野菜のトマト煮的なの、どれも実に美味しうございました。これはまた行きたい。美味しいから話も弾むし。

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・総じて、「シアトルは美味い」評で良いと思います。


●旅行事務全般
・今回のシアトル行きはデルタで、関空→成田→シアトルという、いったん国内移動するパターン。だけど、関空の時点ですでに出国させられるらしいことがわかって、これは成田で買い増ししようと思ってたユニクロに行けなくなるんじゃないかと察知して、無理してセキュリティ・出国前にユニクロに行って買い増しした。そしたら、関空出国後エリアにもユニクロあった。ユニクロとスタバはもはやユビキタスかと。
・出国審査でもわざわざ「成田で外に出れませんよ」的なこと言われた。デルタの関空→成田は前日から始まったらしいので、混乱があったのかも。
・なんにせよ、直行便がじりじりと減っていく感じになってる。そのうちあっちの会社の便じゃなくても、上海やソウルを経由しないと行けなくなる、ことも増えてくるんだろうなと。
・空港の書店に期待する方が愚かだった。Kindle万歳。
・さすがデルタさんは、国際便・国内便ともに機内wifiふつーに使えてすばらしかった。エコノミーでも電源あるとか、さすがUSA、パワーネイション、と思った。しかもたぶん2011年渡米の時に作ったアカウントが残ってた。
・そのかわり機内食がさすがにひどかった。さすがUSA。例:夕食が、牛丼・巻き寿司・パン・焼き菓子。半分くらい食べ残した。お好み焼きでご飯食べる人でもここまで炭水化物とらないんじゃないかと。朝なんか、寝ててスルーされたんだけど、まあ別にいいやとしか思わなかった。
・窓際なら足下広い席でないとつらいだろうけど、通路側なら足下狭い席でもまあまあいける説。
・機内では、クスリ服用したにもかかわらず、だましだましで4時間程度しか寝られなかった。その後、帰国まで時差ボケにはずっと苦しめられる。
・時差ボケ症例。午後2時か3時頃のセッションはだいたい「お察しください」になる。午後10時11時台にようやく帰宿して、無理やりお酒飲んで、3時間か4時間くらいだましだまし寝て、午前2時か3時頃には起き出して、眠れないので業務メール打ち返しとかしてる。そういう生活が数日積もったところで反動が来て、10時間くらい寝てたりする。それでも、5日程度しか滞在せずまた日本に戻るわけだから、こっちに慣れている場合ではないんだ、という苦痛。
・最終日はもはや自分の体内時計がいまどこをさしているのかさっぱりわからず、かろうじて腹時計に頼って生活しているというありさま。
・ちなみに、帰国後はわりとあっさり日常サイクルに戻りました。やっぱり西向き<東向き問題は相当切実。
・シアトル空港のセキュリティ並びすぎだろうと思った。デルタさんがわざわざメールで「3時間前に来い」って追加アラート出してはって、早すぎるだろうと思ったけど、まったく正しかった。いろいろ謎の多いセキュリティチェックだった。ボードパススキャンしたらピー音が鳴って、掌をなにかでぬぐわれてスキャンされた、調べたら爆発物薬品類を取り扱った手かどうかがわかるらしい。あとは全身X線の機械に入ろうとしたら、おまえはこっちって言われて金属探知機のほうを通らされた。いろいろ謎。


●雑ネタ
・アメリカのライブラリアンと、日本は年度替わりにあたるから日本からあまり来ていないのでは、という話になって、なぜなら新年度で人事異動するかどうかが直前までわからないから、と言ったら、1ヶ月前くらいまでわからないのか?と問われたので、短いときは1週間前って言ったら、HAHAHAHAHA!!って高笑いしてはった。笑えるもんなら笑いたい。

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2016年04月21日

CEAL2016のメモ その4・その他もろもろ

 その他もろもろの巻。

●図書館見学(3/29 15:45-16:55)
・グループにわかれてワシントン大学内の図書館を見学するツアー。
・その1、資料修復ラボ@Suzzallo Library(中央図書館)。見学時にはコンサベーター3人が在室。スペースはできるだけフレキシブルにとる、撮影用スペースを確保する、作業しやすい家具をそろえる、湿度に気をつけて水を使用する作業場所は隔離する、など。東洋の線装本もここで修復する。展示準備を行うのもこの部署であるとのこと。
・その2、東アジア図書館(http://www.lib.washington.edu/east-asia)。蔵書の2/3は学部図書館地下の書庫に所蔵されており、この図書館では雑誌・参考図書の配置が中心とのこと。韓国企業からの寄付によるグループスタディエリアの確保や、東アジアから来た留学生のためのオープンイベントなど。また、シアトル市内の東アジア・CJKコミュニティとも関係を持って活動している。

●レセプション(3/29 17:00-)
・レセプションではいろんな人と適当にフランクにお話しした、親交を深めた、という感じ。
・寿司の米がかたかったのと、マウント・レーニアが美しかったの。

●Committee on Technical Processing (3/31 10:15-11:15)
・CEALのテクニカル、つまり目録・メタデータ的な委員会の分科会。
・全体タイトルは「BIBFRAME, Linked Data, and Their Application in East Asia Technical Services」
・「Development and Testing of BIBFRAME at the Library of Congress」LCからの経緯&実践報告、これは整研あたりの話。BIBFRAMEは情報共有のためのvehicleである。2015-2016がLCでのパイロットプロジェクト期間である。その後改訂反映させて、2回目のパイロットを予定。とりあえず長期プランでMARCレコードをBIBFRAMEリンクドデータへ移行させるんだけど、CJKは・・・というところであまり話がわからなくなってしまった。BIBFRAMEはBIBFRAMEでもわりと”図書館寄り”のBIBFRAME話だったけど、でも結局、BIBFRAMEは図書館目録を終了させるものなんだ、ということがわからないと納得は難しい気がする。
・「BIBFRAME and Linked Data at the University of Washington」ではワシントン大学におけるBIBFRAMEの実践報告でより現場に近い感じの報告。MARCをBIBFRAMEへ変換するのは、これはBIBFRAMEと図書館員が仲良くするためのコミュニティ・プロジェクトなんだ、ということか? 変換結果のレビュー(特にCJKレコード)が報告されているんだけど、わりと問題が多い。CJKが消えた、変換されなかった、別のフィールドへいった、言語タグが間違って変換された(特に翻訳版やバイリンガル版のようなもの)、などなど。ちょっと良く理解できなかったけど「BIBFRAMEへは変換できても、RDAへバックできない」というのは折り返し変換が無効みたいな感じの意味なのかな。CJKレコードの特徴として、タイトルなりなんなりを記述するのに、ローマン(アルファベット表記)のフィールドと非ローマン(CJK等の原語表記)のフィールドの2つを持っていてそれを並列させることでペアなんだよつながってるんだよとわからせる、っていうのがあるけど、それがつながらないという問題がある。みたいな話は、なんというかこう、これまでは”文脈”を”規則”として(悪く言えば)だましだましで運用してきてしまってたのが、そういう文脈が規則として引き継がれる余地がなくなっちゃったから、みたいな感じかなあと自分なりに解釈している。

●某個人的な打ち合わせ (3/31 14:00-)
・某個人的な打ち合わせを廊下のテーブルでしてた、というだけなんですが。
・どうもその廊下が「交通の要衝」的な場所だったらしく、またAAS学会が始まりつつあった時間帯だったこともあって、打ち合わせしてるところへ所属大学の研究者に出逢う、退職した懐かしのライブラリアンに出逢う、うちとこの元院生に出逢う、うちとこの現院生に出逢う、などなど、とてもじゃないが打ち合わせどころじゃなかったという。そういう話。関所かと。


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CEAL2016のメモ その3・多巻もの内容索引の電子化に関するミーティング 

 CEAL2016@シアトルのメモ、その3です。
 言うとしたら、多巻ものの内容索引の電子化に関するミーティング、とでも言うべきミーティングがあり、参加してきました。(3/31 21:45-23:00頃)

・ホテル内小会議室にて。北米の日本研究ライブラリアン数人と、AASに企業ブース参加で来ていたと思われる日本の出版関係者が参加。
・この問題は数年前のCEALでも「本棚の中のニッポンの会」的な名称でインフォーマルなミーティングが持たれていたもの。
・北米では日本で出版された冊子・マイクロなどの全集もの・多巻ものについて、高額なのであちこちが買うわけにはいかないんだけど、それでもせめて北米内で1セットは持つようにということで、北米の日本司書間で連携してなんとか買っている状態。で、その1セットを所蔵している図書館へ北米内各館がILL依頼を出して取り寄せようとするわけなんだけど、そこで問題になるのが、その全集もの・多巻ものの内容索引・目次情報の類が電子化・オープン化されていないので、書誌情報を明確にできない・検索調査ができない、という問題。遠隔で所蔵館から取り寄せようとするのに、ほしい著作が第何巻にあるのか、何ページにあるのか、そもそもどういう著作があるのか。それを、webで、デジタルのかたちで、ライブラリアンにもユーザ自身にも参照可能なようにすることができないか、という。
・このくらいのことすらweb・デジタルで検索調査できないと、北米での日本研究はどんどん見向きされなくなってしまう、という危機感。それから、出版者側としてもどの多巻ものにどんな著作が含まれているかがwebで顕在化すれば、販売促進につながるはずだよという考え方。
・ではそれをどのようなかたちで、どこに置いて、公開するのか。例えば、冊子索引をPDF化してOCLCの書誌からリンク貼ってたどれるようにする? あるいは簡易データベースを構築する?
・詳細は割愛しますが、簡易データベース化について具体の提案・紹介あり。課題は、レコードのフォーマットをどう整理調整するのか。そして、データ自体を各出版社から提供してもらえるのか。
・データの提供については出版社側からどれだけ協力を得られるかがカギ、という感じのよう。これがなかなか難しく、最終的には全部紙でめくっていくから研究力がつくんだ的な話も出るくらいで、21世紀も1/6が過ぎそうな頃にそういう議論というのはどうなんだろう。(ほんとはいまごろ本文のほうがネットで見れてていい頃合いでは)
・以下、egamidayさんの意見。この問題、つまり全集多巻ものの内容索引・目次情報がデジタルのかたちで検索できない状態にあること、というのはそもそも、日本側の未整備の問題であり、日本の図書館業界こそが率先してリクエストの声をあげるなりあるいは解決に取り組むべき問題であって、デジタルヒューマニティーズだなんだと言って画像だ研究データだwikiだと上げていくのもさることながら、このくらいの基本的な書誌情報整備は我々がちゃんと責任もってやっていかなきゃダメだろうと。なので、この文脈に限らないで、もっと広く日本の図書館コミュニティを巻き込んで議論できないか。
・それと、たぶんだけど、これの解決方法は唯一の何かに収斂していくものというわけではないだろう、CiNii ArticlesやNDLサーチやNDLデジタルコレクションという解決かもしれないし、NACSIS-CATのCWの問題かもしれないし、ディスカバリーサービスかもしれないし、オープンデータのコミュニティかもしれない。だからこそ、問題を顕在化させて多様な眼に触れさせるステップが必要なんじゃないか、と思う。
・という上記2点を組み合わせた結果、とりあえず「カレント・アウェアネス」に記事書かせてもらったらどうか、という提案をしたんですが、どうですか>関係各位。あるいは「人文情報学月報」さんに。
・あと細かい点では、データベースにするならツールとして汎用性のあるものに、ていう。
・11時近くまで議論して、終了後数人でホテルのバーでねぎらって、Uberで宿所に送ってもらって、12時くらい。おつかれちゃん。

posted by egamiday3 at 23:24| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

CEAL2016のメモ その2・日本研究ライブラリアンの集まり

 CEAL2016@シアトルのメモ、その2です。
 日本研究ライブラリアンの集まり、公式プログラムが3件と、インフォーマルなのが2件。

 以下に登場するNCCとCJMですが。NCCは、North American Coordinating Council on Japanese Library Resources(北米日本研究資料調整協議会)。CJMはCEAL内の日本資料委員会、Committee on Japanese Materials。ざっくり言えばどちらも北米の日本研究ライブラリアンのコミュニティ。


 以下が公式編。

●NCC/CJM Joint Session (3/30 19:00-20:00 + 20:00-21:00頃)
・“Updates from Japanese Partners: the National Institute of Japanese Literature and the National Diet Library”
・小分科会的なセッションで、NCC・CJMが合同で持つ日本研究司書向けの企画。
・NDLから、ILLサービスについての概説。e-ラーニング教材や海外日本研究司書研修について。それから地図のデジタル化事業の紹介、など。
・国文研の山本先生から、例の事業、「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」について、概要紹介。
・なお、公式セッション企画のあとさらに1時間ほど、有志で集まってアンオフィシャルにミーティングが持たれて、主に国文研の事業について具体的な質疑応答や議論がなされる。アンオフィシャルなやつなので具体的なことは割愛しますが、北米図書館側はこの事業への連携提携を具体的に進めよう進めよう手を挙げようと望んでいる様子。国文研側の考えとしては、事業名にもあるようにこれは共同研究ネットワークの構築だ、という感じなんだなという印象でした。
・まあいずれにしろ、ヨーロッパ(2015年秋ライデン)でも北米(2016年春シアトル)でも、国文研さん超大人気、超期待大、ていうのがありありと見てとれました。

●Committee on Japanese Materials (3/31 15:15-16:15)
・CEALの日本資料分科会。二の丸。「Recent Developments in Japanese Higher Education: Politics and Policies in Japanese Universities」と題す。
・『右傾化する日本政治』(岩波新書)の著者、上智大学・中野晃一氏による「Historical Revisionism as Official Policy: Crisis of Academic and Press Freedom in Japan」という講演。どうなっちゃうんだろう、とため息がきこえる感じ。日本の図書館ではニセ歴史書?の類はどう分類してる?という問いあり。
・われらが永崎さんの講演、「Crisis of Humanities in Japan」。少子化、財政難。中期目標中期計画。科研費中の人文社会系の割合の少なさ。大学院重点化によって急増したのはおおむね理工系? 現在キーになっているような官僚が、勉強しなくてよかった大学時代を過ごしたから、という説にちょっとわく。あと、無用の用論ではまにあわない説は、おっしゃるとおり。今後必要となる対応としては、理工系との学際性、研究手法の改善、オープン化・・・、そこでデジタルヒューマニティーズですよ、ってことかな?

●North American Coordinating Council on Japanese Library Resources (3/31 16:30-17:30)
・NCC分科会。本丸。「Digital Humanities in Japanese Studies Now: What's Next?」と題し、先ほどは日本からの研究者の講演っぽかったけど、今回は北米ライブラリアンの現場報告のような感じ。
・ケンタッキー大学のコンサベーター・日沖さんからの報告「Advancing digital scholarship in Japanese studies workshop」。2015年11月にハーバード大学で催された「Advancing Digital Scholarship in Japanese Studies: Innovations and Challenges」(http://guides.nccjapan.org/c.php?g=397542)というワークショップについて。
・ライデン大学・ナディアさんの報告。ライデン大学の東アジアコレクションと、ライデン大学図書館によるデジタル化事業について。デジタルヒューマニティーズのための教員・ライブラリアンを採用する、イメージ・リポジトリを構築する。日本資料で言えば、シーボルトコレクションやホフマンコレクションのデジタル化、など、かなり積極的な姿勢で取り組んでいる様子がわかる。ライデンって前からそういう土地柄だったんだろうなという気はする、たとえばIDCだってマインド的にはそうだろうし。
・ワシントン大学セントルイス校の小牧さんのプレゼンは、永井荷風とデジタルヒューマニティーズ。技術的問題、レファレンス的な問題、学術的な問題などなど。
・そして来年3月、トロントのCEALでは、2017/3/13-14にデジタル・スカラシップin Japan StudiesのワークショップをNCCでやりますとのこと。これは、期待・行きたい、です。


 そして以下が、非公式なの。ちゃんと企画立てて組まれたものもあれば、個人ベースで顔をつきあわせて話するといったものもあり。

●「Gaihozu Show and Tell」(3/29 12:00-13:20)
・外邦図を所蔵する北米図書館の司書などからなるグループによる、外邦図に関する自主的勉強会。
・ワシントン大学Suzzallo Libraryのマップルームにて。
・参加者は、北米のいくつかの大学の日本研究司書やマップコレクションの司書など。NDL地図部署の方も参加。またオンライン会議システムで大阪大学名誉教授の小林茂先生やスタンフォード大学のマップコレクションの主任司書の方も参加。

・外邦図について
・外邦図は、明治から太平洋戦争終戦までの間に、旧陸軍参謀本部の陸地測量部(現在の国土地理院)が作成した、日本の領土以外の地域の地図。満州・中国などの地図、当時日本の統治下にあった台湾、朝鮮半島、樺太南部などの地図が多い。主に軍事目的で作成されたこともあって、機密文書として終戦直後に多くが処分されたか、あるいは米軍に接収された。その一部が日本の大学図書館等に残り、また多くが北米など海外の大学図書館等に所蔵されている。
・国立国会図書館では約15000枚を所蔵(台湾、朝鮮半島、樺太南部、満州等)。ほかに、東北大学、京都大学、お茶の水女子大学、東京大学、広島大学、駒澤大学、岐阜県図書館など。
(参考)
・小林茂. 『外邦図 : 帝国日本のアジア地図』(中公新書, 2119). 中央公論新社, 2011.
・東北大学附属図書館/理学部地理学教室 外邦図デジタルアーカイブ http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
・外邦図(一覧) | 調べ方案内 | 国立国会図書館
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-601012.php

・日文研には、朝鮮総督府・陸地測量部による朝鮮半島地域の地図が約400点所蔵されている。タグ「外邦図」をクリックまたは下記URL。
 http://toshonin.nichibun.ac.jp/webopac/ufirdi.do?ufi_target=ctlsrh&srhclm1=tag&valclm1=外邦図

・勉強会で出た話
・スタンフォード大学マップコレクションでは外邦図を所蔵している。約10000枚、1940年代後半-1950年代前半。
・2011年10月にスタンフォード大学でシンポジウムが開催された(参照:http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/newsletter9/
・GIS化は困難では(実戦経験の共有が少ないため)。
・国立公文書館や東北大学がデジタルアーカイブ構築を進行中。
・外邦図は長い間秘密にされてきたもの。臨時に作成されたもの、正確さに疑問があるものなどがある。地名の90%が間違っている例や、漢字が適当に作字されてしまっているものもある。
・外邦図が何に活用可能かは、今後の課題であるところが多い。
・全体像を把握するために、日米で資料とその情報の共有が必要。(その経緯から、アメリカにしかないものがたくさんある)
・外邦図の公開・閲覧システムの構築が必要。
・所在調査をするにしても、各大学のどこ/誰に問い合わせれば分かるかという問題がある。地図コレクション? 地理学? 日本研究司書? Goverment Document?

・egamidayさんの感想。外邦図を「外邦図」という視点だけでかためてしまうと、今度は同時期の他の地図とリンクさせた利用など、地図一般・史料一般としての利用ができなくなる/しづらくなってしまうのではないか。外邦図含めどの古地図もデジタル化・可視化させていく動きは必要として、「外邦図」としてはそれらをヴァーチャルにまとめる/ポータル化していく方向にもっていったほうがいいのではないか、という気がする。


●ILLに関するインフォーマルなミーティング(3/29 20:00-21:00頃)
・急遽、話をしないかと声をかけられて、Sheratonホテルロビーにて、夜、インフォーマルに。
・NCCのILL委員の方々、NDLのサービス系の方、NBKのサービス系の方(つまりegamidayさん)。
・おおむねNDLのILLサービスや図書館送信サービス等に質問・要望する感じのやりとり。
・GIF初期に、海外の図書館へは(図書館間送信に限っては)デジタル形式で複写を送信していいという合意がとれていたはず、との言あり。確かにうちとこでも過去にはArielで電子送信していた作業手順があるにはあったが、確認したところ、やはり著作権管理団体と国内大学図書館とによる”許諾資料”のみか。ただこれも人によって言うことが違う。要確認。
・他には、NBKとしてはとりあえず何かしら出来るだけの対応をするから、何かあればメールしてほしい、と宣伝(これは宣伝になってるか?)。
・結局どういうふうにすればILL受付って増やせるんでしょう、難しい。


 もうひとつミーティングがあったのですが、それは別途。

posted by egamiday3 at 23:09| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする