2016年07月07日

「外邦図」というものについて関西文脈の会(2016.6.26)で発表してきました、記録


 図書館史勉強会@関西 関西文脈の会: 第30回勉強会のお知らせ(協力:京都府立図書館)
 http://toshokanshi-w.blogspot.jp/2016/06/30.html

 第30回関西文脈の会つぶやきまとめ - Togetterまとめ
 http://togetter.com/li/992485

 関西文脈の会で、外邦図について、発表してきましたよ、という記録です。
 タイトルが「北米の外邦図、その発見と整理」とあるように、メインはあくまでワシントン大学のライブラリアン・田中あずささんのほうだったんで、私はその前のにぎやかしというか、客席をあたためるためにちょっとしゃべった、という、前座です。ドリフターズです。
 まあドリフはドリフなりにがんばったので、そのときにしゃべるために勉強したことを記録としてまとめるものです。つい一ヶ月ほど前から急ごしらえで勉強しただけのメモなので、多少の間違いや不足があったとしてもそのへんは、怒っちゃやあよ。

-----------------------------------------------------

●ソース
小林茂. 『外邦図 : 帝国日本のアジア地図』(中公新書2119). 中央公論新社, 2011.
・小林茂編. 『近代日本の地図作製とアジア太平洋地域 : 「外邦図」へのアプローチ』. 大阪大学出版会, 2009.
・小林茂. 「近代日本の地図作製と東アジア : 外邦図研究の展望」. 『E-journal GEO』. 2006, 1(1), p.52-66.
・山本健太. 「日本における外邦図デジタルアーカイブの構築と今後の展開」. EAJRS2015発表. 2015.9. https://perswww.kuleuven.be/~u0008888/eajrs/happyo/Yamamoto_Kenta_15.pptx
・外邦図(一覧) | 調べ方案内 | 国立国会図書館(リサーチ・ナビ)
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-601012.php
・外邦図 デジタルアーカイブ(東北大学附属図書館/理学部地理学教室)
http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
・『東北大学所蔵外邦図目録』. 東北大学大学院理学研究科地理学教室, 2003.
・西村三紀郎. 「岐阜県図書館世界分布図センターにおける外邦図の収集と整理及び利活用について」. http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/newsletter3/pdf/n3_s2_5.pdf

●外邦図とは
・外邦図の定義には、狭義と広義がある。
・狭義の外邦図は、旧陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)が、主に軍事目的で作成した、台湾、朝鮮半島、満州、中国、東南アジア、太平洋地域、樺太南部などの地図、を言う。
・広義に言うと、陸軍陸地測量部に限らず、日本の植民政府や民間出版のものも便宜上含む
例:朝鮮総督府・臨時土地調査局による地図
例:市販され民間で使用されたもの
・その作られ方も、測量隊による測量もあれば、他国地図をぱくって複製したようなものもあれば、隠密が密命によって秘密裏に作製したもの(目測・歩測など)もあって、そんな調子だからそもそもその全体が把握されていない。軍事目的なもんでほとんどが機密扱い。

●戦後の経緯
・太平洋戦争終了
→日本軍による焼却処分(外邦図・空撮写真、命令だけでなく自主的・口コミ等で)
→連合軍による接収(→アメリカへわたる、これは田中さんの発表へ)/一部中国大陸に残される
→連合国軍による処分を免れようと、「兵要地理調査研究会」の研究者たちが参謀本部の外邦図を保存しようと各大学へ持ち出した。
(兵要地理調査研究会は、戦争終盤・連合軍の本土上陸を前に、陸軍少佐・渡辺正+各大学地理学者によって、連合軍との戦争に関する地理情報を収集するために組織された研究会)
→その後、日本軍解体により担当官庁がなくなってしまう

●現在の国内所蔵状況
・下記パワポの5枚目を参照すると一番わかりやすい。
 山本健太. 「日本における外邦図デジタルアーカイブの構築と今後の展開」. EAJRS2015発表. 2015.9
 https://perswww.kuleuven.be/~u0008888/eajrs/happyo/Yamamoto_Kenta_15.pptx

・ほとんどは、第二次世界大戦終結後に市ヶ谷の参謀本部から持ち出したもの
・上図には資源科学研究所からの分配経路の概要が示されている。
・資源科学研究所は、戦争時に大陸の資源調査を目的として文部省によって1941年設置。1971年国立科学博物館に吸収合併。

・現在の国内所蔵状況の概要は以下の通り。
東北大学 約7万点(1.2万種)
京都大学 約1.6万点
国立国会図書館 約1.5万点
お茶の水女子大学 約1.3万点
駒澤大学 約1万点
岐阜県図書館 約1.4万点
東京大学
広島大学
防衛省防衛研究所
陸上自衛隊中央情報隊 約23000種類

●戦後の経緯 パート2
・戦後の持ち出し→未整理が続く
・1960年代 学術利用が徐々に始まる
・1970-80年代: 布目潮フウ(大阪大学)『中国本土地図目録』刊行
・1994年: 東北大学地理学教室が外邦図の整理・目録作成を開始(現在まで更新)
・1990年代後半: 東北大と京都大とが交換・展示
・2000年代: 外邦図研究が本格化、目録刊行、デジタルアーカイブ構築
・2002年: 大阪大学が取得した科研費により研究プロジェクト組織
http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/(人文地理学教室)
・2003年: 「外邦図研究ニュースレター」刊行開始
・2003年: 『東北大学所蔵外邦図目録』刊行
・2005年: 『京都大学博物館収蔵外邦図目録』刊行
・2005年: 外邦図研究会デジタルアーカイブ作成委員会によるデジタルアーカイブ構築が開始(@東北大学)
・2007年: 『お茶の水女子大学所蔵外邦図目録』刊行
・2014年: 各大学の外邦図目録が統合される(→東北大学のデジタルアーカイブへ)


●東北大学所蔵の外邦図
・占領期、約10万点の外邦図が搬入される
・占領期間中は公開がはばかられ、未整理
・1994年 本格的に整理分類が開始
・1995年 理学部自然史標本館に収蔵
・国土地理院や岐阜県図書館に重複分やコピー等を寄贈、京都大学文学部と交換
・2003年 『東北大学所蔵外邦図目録』刊行(地域名、図幅名、縮尺、緯度経度、備考、大きさ(縦横)、色数、測量機関、測量時期)
・現在約7万点(1.2万種類)
・うち、中国の地図が約40%、という特徴

●国立国会図書館所蔵の外邦図
・約1.5万枚
・台湾・朝鮮半島・樺太南部・満州は比較的よくそろっている。中国はそろっていない。
・主に5万分の一〜20万分の一
・NDLCではYG810〜YG837を「外邦図」(各地域分類あり)とする
・東京本館地図室で閲覧可能
・OPACのほか、索引図での検索が可能

●岐阜県図書館
http://www.library.pref.gifu.lg.jp/map/worlddis/mokuroku/out_japan/out_japan.htm
・外邦図約1.4万点
・1995年、岐阜県図書館世界分布図センターを設置。
・東北大に寄贈複製を依頼し、一般公開を条件として快諾を得て、東北大学理学部から本紙・複製含め約1万枚寄贈。(1997年から収集) 趣旨としては、「多くの方に気軽に利用していただくため」[#web]。

●陸上自衛隊中央情報隊 
・約23000種類
・戦後、地理調査所(現・国土地理院)にあったものが移管されたもの。
・『国外地図目録』(全4巻)+『国外地図一覧図』(全4巻)1953年頃作成のものがあるが、この目録は現物5部のみ(しかもカーボンコピーによる)しかない。国土地理院、国立国会図書館等にあり。
・大学のコレクションにみられない作製時期の早い外邦図はほとんどここにある。
・非公開

●外邦図デジタルアーカイブ
・外邦図 デジタルアーカイブ(東北大学附属図書館/理学部地理学教室)
 http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
例:http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/ghz-dtl.php?lang=ja-JP&fm=m&fno=TH008433

・外邦図の画像と書誌情報を公開したもの。
・外邦図デジタルアーカイブ作成委員会による。
・2005年に、東北大学理学部地理学教室・図書館により公開
・目録データ 約20000件 / 電子化地図(公開) 約13000点

・「内容に高度な政治的判断を求められるものが含まれる資料もあり、すべてが公開とはされていない。」(山本)
・「中国大陸と朝鮮半島の地図については、まだ公開を開始していない」「中国の場合は、外邦図に秘密測量により作られた物が多いこと、南京事件などに際しての押収図を元図にするものが多いこと」「中華人民共和国では大縮尺の地図はなお実質的に軍の管理下にあり、市民や学生の自由な使用はゆるされていない」(小林)
・「これらの地域の外邦図は現地研究者と合意を作り、現地から発信することが望ましいという意見もあり」(小林)

・その書誌データは東北大学の目録に準拠している。(ちなみに、お茶の水大学や京都大学の外邦図コレクションの目録も、東北大学の目録に準拠して作製された(山本))
例:
地域名 インドネシア
記 号 ジャワ島389号
図幅名
縮 尺 1:50,000
サイズ(縦×横) 60cm × 48cm
色 4色(黒・青・赤・茶)
日本語表記 凡例のみ
測量機関国 オランダ
測量機関 旧蘭印測量局
測量時期(修正含む) 1924年調製
製版・印刷機関 陸地測量部・参謀本部
製版時期 昭和18年製版
発行時期 昭和18年発行
備 考 経度はバタビア基準
表示範囲 (グリニッジ基準に修正した緯度経度)

●日文研図書館の外邦図
・計約500枚。おおむね”広義”のほう。
・これらは日文研OPACにタグ「外邦図」で登録されている。
・天沼俊一旧蔵・寄贈の朝鮮総督府地図ほか(京都帝国大学の建築史学者)
・園田英弘・千田稔収集の外邦図(元日文研教授で、当時、京都の地図や外邦図などを集中的に集めていたらしい)
・このほか、未整理資料として、2010-2012年頃購入の「二十万分一帝國圖」(本土・台湾・朝鮮半島・北方領土等の地図、陸地測量部・大正-昭和)が約300枚ある。

-----------------------------------------------------

 今年1月に田中さんからお話をきいて、はじめて、そういえばうちにもある、っていうことがわかったくらいで。そこから小林先生の新書をざっと読んで、アメリカで勉強会に参加して(http://egamiday3.seesaa.net/article/436969984.html)、文脈発表が決まった1か月前くらいからまとめはじめて、いまにいたる、という感じです。

 で、連合軍が接収したものはアメリカにわたり、そこからまた紆余曲折の物語があるわけですが、それはまあ、また別の話ということで。(そっちが本編ですが)

posted by egamiday3 at 20:56| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月06日

(報告)近畿地区MALUI名刺交換会(2016.6.26)で、司会をしてきました。

 毎年一度、関西の善男善女が集まって友情と名刺を交わし合うという、この界隈、この業界でマストな名物企画、「近畿地区MALUI名刺交換会」が、今年もおこなわれました。

 近畿地区MALUI名刺交換会(2016年度)
 http://bit.ly/MALUI2016

 MALUIというのは、もうみなさんご存知かとおもいますが、
  Museum(美術館・博物館)
  Archives(アーカイブ・文書館)
  Library(図書館)
  University(大学)
  Industry(産業・企業)
 の略ですね。
 文化学術情報関係のあらゆる人々で集まり、シェア&コラボで協力し合い、全体でMALUIだけにまあるく環になって、その中心の穴から文化がうまれ出ずる、という多業種横断的ムーブメントです。

 その歴史(https://kinkimalui.wordpress.com/history/)をひもとけば、2011年頃からなんとなあく居酒屋で集まっては、適当に飲み会をやってだらだらしてる、という感じのあれだったのですが、まあいつのまにかでっかい集まりになりましたよねっていう。
 こんな感じです。

IMG_3254.JPG

 そこで司会をしてきました。何度目だ司会。某都府立の偉大なるアーキビストとのダブルMCです。正直、あんたしゃべんなさいよという感じで、一切何も考えず何も意識していませんでした。
 告知ある奴は手を挙げな、ていう感じのやつ。

IMG_3256.JPG

 それでも今年は、AAS in Asia京都大会@同志社大会のために来日中のアメリカのライブラリアンが多数いらっしゃってましたし、紀の書店さんの海外営業さんたちなどなども多数おいでになってたり、教員・研究者のみなさんも多数おいでになってたり、未就学児のみなさんの寄り合い所みたいになってるテーブルも一部あったりで、そんなみなさんがうら若い学生さんや某国立図書館の新人さんたちとめくるめく交流を広げていらっしゃる様子を遠巻きに見てると、まあ、これ、司会あってもなくてもいいよなっていう感じで、心地よくアイデンティティが崩壊していきましたよね。

 今年もありがとうございました。
 来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2日の日程が終わった後のギネス&ベルギービールが、それはそれは美味かったこと。

posted by egamiday3 at 20:52| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月05日

(報告)ラウンドテーブル「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」(2016.6.25)@AAS in Asia京都で、司会をしてきました。

 
 AAS、というのはAssociation of Asian Studiesの略で、アメリカのアジア研究学会というでっかい学会なのですが、その北米大会(例・シアトル:http://egamiday3.seesaa.net/article/436967407.html)とは別にアジア大会というのが最近年1回ペースで開かれており(例・台北:http://egamiday3.seesaa.net/article/421699189.html)、2016年が京都・同志社大学を会場としてた、っていう話です。egamidayさんの6月末のやたら忙しそうな素振りを見せてた諸々は、要はこれにおいでになってた方々を巻き込んでなんやかやしてた、に尽きます。

 でっかい学会で、何千人という人たちが何十何百という分科会にそれぞれで参加して、発表したりディスカッションしたりという。アジア学会ですから中国も南アジアも西アジアもありますし、研究者の学会ですから研究発表が主ですし、アメリカの学会ですから原則英語ですしという感じです。
 何回かしか行ったことないですが、行くと、参加者間のフラット感がすごく楽しい。日本の学会類ではあんまない空気感がある。来年のソウル、正直行こうかなと思ってる。

 そこにライブラリアンやその他の専門家も、そんなに多くはないかもしれないけどいらっしゃるみたいなので、じゃあそういう人たちが集まって、がっつり研究者というよりは実務目線混じりのことを、発表したり議論したりできる”公式”な”セッション”を持ちましょうよね、ということで、egamidayさんから声をかけさせていただきましたところ、日本側で強力な発信者の賛同を得られ、米国の重鎮ライブラリアンの賛同をも得られ、いまの時代の趨勢で我々が議論をするならデジタルアーカイブやオープンデータだろうという標的も定められたところで、おっかなびっくりプロポーザルをAAS学会様におはかりもうしあげた(去年10月頃)ところ、2倍だか4倍だかの倍率の中、おもいがけなくもかしこくも採択され(今年1月頃)、おお、マジでやるんだな!という感じで、なんやかんやで6/25のラウンドテーブル「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」に至ったのでした。ざっくり言うと。

 下記のページにその大概をまとめてあります。
 プレゼン資料だけでなく、(ギリギリレベルの質ではありますが)動画も一応あります。

「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies」 - egamiday_wiki
http://egamiday.sakura.ne.jp/wiki/%E3%80%8CThe_Digital_Resource_Landscape_for_Japanese_Studies%E3%80%8D

 英語ベースの会ですので、当日は通訳の人に来ていただいて、日本語発表を英語にと、ディスカッションの日英・英日を逐次通訳していただきました。

 進行と、5人のスピーカー及びそのだいたいのプレゼン内容は、下記の通り。

・趣旨説明(江上)
・福島幸宏「歴史資料とデジタル化」(日本社会の現状と、東寺百合文書をはじめとする歴史資料のデジタル化)
・Tokiko Yamamoto Bazzell「The Digital Resource Landscape for Japanese Studies: Spaces for Change and Growth Collaboration & Collective Solutions @ the University of Hawaii at Manoa Library」(琉球大学とのデジタルアーカイブ構築のコラボレーション)
・Edan Corkill「My journeys into the digital archive of The Japan Times」(Japan Timesのデジタルアーカイブ)
・Kuniko Yamada McVey「Today’s Challenge: The New Digital Haystack」(ディスカバリーとIIIF)
・是住久美子「ライブラリアンによるWikipedia Townへの支援、オープンデータの作成」(Wikipedia Townやオープンデータによる発信)
・質疑応答・ディスカッション

 こういった方々のご協力を得てこのセッション全体をコーディネートした背景には、一応の自分なりの考え見たいなのもありました。Abstractからそれを表現するのならば、
 ⓪「The volume of such resources is still small」(現状)
 @「often prevent them from being discovered and widely utilized」(ユーザと利用の便の問題)
 A「this interdisciplinary roundtable of librarians and other professionals from Japan and the US」(多様性の問題)
 B「identifying common goals and exploring avenues for collaboration and collective problem-solving」(シェアとコラボの問題)
 という感じです。前日に一生懸命考えて当日即興でしゃべりました。

 デジタルアーカイブにしろオープンデータにしろ、リソースのデジタル整備と普及はいまどきは必要不可欠、特に国を越えたアクセスには本気と書いてマジと読むレベルで必要不可欠なわけです。一方でそれが足りてないという日本、というときに、じゃあその解決はどうしたらいいかというと、個々で断絶しててもしょうがない。リソースの提供者と利用者はそもそもどちらも同じ情報流通のサイクルの上にある存在であって、無関係ではあり得ないわけなんで、互いに課題を共有し、情報やニーズを共有し、孤立することなくコラボレートしていきましょうよねと。
 なので、特にこのラウンドテーブルでは、異なる地域の、ことなる立場の、異なる職種の人たち、利用者も提供者も、図書館員も研究者もその他の職種の者も、日本国内にいる者も海外にいる者も、右や左のどなた様にも耳を傾けていただけるような、口をはさんでいただけるような、そういう場作りをめざしたい。それが今後のデジタル環境の構築には重要なんだ、というのをひとつのメッセージにできればいいんじゃないか、っていう。

 と思ってて、え、ほぼライブラリアンばっかりか? あまつさえ某都府立から2人か? とのあれはあるでしょうけど、その某都府立の2人がまったくベクトルの異なる加減の話をしてるあたりがこの界隈の底力じゃないかな、みたいな言い訳でご勘弁下さい。

 そのかわりというわけではないですが、参加してくださったフロアのみなさんの幅広さがすごかったです。まず人数、まあ来ても10人もいないくらいだろうと思ってたら、なめてました、40人近くは来てはったと思います。他のセッションであまりあそこまで人がいるの見たことなかった、テーマ的に他に類がなかったのと、かつ、テーマ的に刺さる範囲が広かったということかもしれません、その意味では意図通りだったのかも。その内訳も、わかるだけでも研究者の人もいればアーカイブ系の人もいるし、書店・出版の業者のみなさんも結構たくさん来てはる、コリアンのライブラリアンの人も何人か来てはったので、すごい、夢のような集まりになったなって。

 にも、かかわらず。
 タイム・キーピングに失敗しました。orz...
 結局、ディスカッションの時間がまったく取れなかった・・・。

 確かにスタートは遅れました。前のセッションが長引いたとか、機械的な問題とか、人が多くてテンパってたとか、諸々ありました。けど、どれも防げたはずじゃないかという。
 スピーカーがみなこんなにも力を入れてしゃべってくださるとは、と。だいたいこのくらいの時間で、という提案の長めのほうにみなさん寄せてこられるとは、と。いや、考えればみなさんお話し上手な人ばかりだとわかるはずの、防げたはずのことでした。それはごめんなさい、もう5分ほど短めに提案しておけばよかった・・・。

 結果、うしろのほうのプレゼンの方には相応に削っていただいていました。これは本当に申し訳ありませんでした。
 そして、上記のような魅力的なフロア参加者が待ち構えてくださっていたにもかかわらず、そして5つもの魅力的なディスカッション素材を披露してくださったにもかかわらず、メインディッシュたるべきディスカッションタイムが、無い、ていう。これはせっかく来てくださってたフロアのみなさんにも、本当に申し訳ない、礼を失した対応だと深く反省しています。

 というあれやこれやで、ここでも一言で言うと「もったいない!」になっちゃうという。
 この日、午前と午後(注:http://egamiday3.seesaa.net/article/439627340.html)で二度もったいないという。何やってんだろあたし・・・。
 実は結構ディスカッションタイムのための英語とか勉強してた。(註:https://www.amazon.co.jp/dp/4758108463/) Save the question later、とかノートに書いてある。

 とは言え、ああいうことをやるとあれだけの人が来る、というようなことがわかっただけでも充分に良かったと思ってます。これは2度3度とやる価値のある試みなんじゃないかなっていう。

 それともうひとつ、このセッションの極私的な裏テーマがあって。
 京都MALUI界を代表する2大・人的コンテンツを、国際セッションの場にひっぱり出せた、っていうことですね。
 これです。正直コラボだ連携だみたいな効能書きはわりと二の次で、本音は、あの2人の存在を日本国外に知らせたかった、見せつけてやりたかった。で、それに一応なりとも成功できましたので。偉大の「縮小を前提に云々」のくだりで軽く会場ざわついたりしたし、ウィキペディアタウン支援も「おおっ」みたいな反応ちょっと出てたので、手応えはあったんだと思います。それで充分です。司会=メディアとしては、魅力あるコンテンツが届くべき人のところへ届いてくれさえすればそれでいいんです。

 スピーカーのみなさん、当日ご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

 次は、もっと上手くやりたい。
posted by egamiday3 at 22:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月04日

(報告)アンサー・シンポジウム「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館」(2016.7.1)で、司会をしてきました。

 6/25のシンポジウム(http://egamiday3.seesaa.net/article/439627340.html)を聴いた日本側メンバーが、それにこたえるようなディスカッションをしあうという”アンサー・シンポジウム”という企画が翌週7/1にありまして、同じくそこで司会をしてきましたよ、という話です。

 1週間で4司会ですけどね。
 egamidayさんはいつから司会業ですか、中居くんですか。

 「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館 〜6/25開催のシンポジウムを振りかえりつつ〜」
 http://www.slis.doshisha.ac.jp/event/20160701.html
 2016年7月1日 18:25-20:00
 同志社大学 今出川キャンパス 良心館 1F RY106教室

パネリスト :
飯野 勝則 氏(佛教大学図書館)
今野 創祐 氏(京都大学附属図書館)
岡部 晋典 氏(同志社大学ラーニング・コモンズ、当日惜しくも欠席)
久保山 健 氏(大阪大学附属図書館)
長坂 和茂 氏(京都大学附属図書館)
司会 : 江上 敏哲 氏(国際日本文化研究センター)

 アンサー・シンポジウムって何だよ、て思いますけどね(笑)。
 でも最初にこの提案きいたときに、あ、これってたぶん自分が一番やりたかったやつや、って思いましたので、一も二もなく引き受けました。

 以下、やっぱり進行報告的な感じになります。
 内容報告は↓またもやこちらをご参照ください。
 「シンポジウム「日本の大学図書館員の論じる世界の大学と図書館 〜6/25開催のシンポジウムを振りかえりつつ〜」に行ってきた。」(みききしたこと。おもうこと。)  http://d.hatena.ne.jp/xiao-2/20160703/1467514366
 もうこのxiao-2さんという方には頭も顔も足も向けられない、直立不動で感謝しなきゃっていう感じになってます。

【後日追加】
当日の様子がYoutubeで公開されています。
https://youtu.be/GeazV807vak


 写真はいまのところ手に入っていませんが、40-50人くらいの方においでいただいてたでしょうか。土曜の午後ならいざしらず、金曜の夜に、はなきんに(死語)、大勢来てくださいましてどうもありがとうございました。

 進行としてはだいたいこんな感じでした。
-----------------------------------------------------
イントロダクション
→6/25シンポジウムのふりかえり
→第1問「学生たちはなぜ 図書館・ラーコモに来るのか? そもそも「来るべき」なのか?」
→第2問「ディスカバリー慣れした ユーザの前で 司書は何して過ごすのか?」
→第3問「日本の電子資料や デジタル・アーカイブは どこがダメなのか?」
→まとめ
-----------------------------------------------------

 まずはふりかえりのターン。
 先週のシンポジウムに来てない学生さんやお客さんも少なからずいてはるやろう、ということで、江上のほうから、きわめてざっくりと小カールくんのみの駆け足で、どんな話が出てたかっていうのを紹介しました。
 もちろんここでの紹介はのちのディスカッションのために踏まえてもらうものなので、どっちかというと後で扱う3テーマにだいぶ寄せた偏りのものにはなりますよね、ていう。まあその3テーマも振り返りをまとめているうちになんとなく浮かんできたやつなので、卵と鶏ですが。
 でもここをちゃんとやんないとあとのディスカッションでコメントが出にくいだろうし、フロアも飲み込みづらいでしょうから、ここは2時間サスペンスで登場人物をじっくり描いていく時間帯の感じで。

 で、それを踏まえてパネリスト登場&ディスカッションのターン、なわけですが。
 パネリストの4人(当日惜しくも1人欠席)はと言えば、全員よく知ってる、ていうか何をどう言いそうな輩かっていうのもだいたいわかってる、なので一切不安もしないし準備も何もいらないとしか思えないんだけど、唯一にして最大最強の不安要素と言えば、放っておいたら好き勝手しゃべり過ぎられてカオス&時間超過になるに違いない、そうならない未来が一切想像できないという顔ぶれなので、どうにかして抑制的な手綱をとらないといけない、はて、どうコントロールするか。

 というわけでやったのが、「学生の来館」「ディスカバリー」「電子資料」という3テーマを、問いの形式、「学生たちはなぜ 図書館・ラーコモに来るのか? そもそも「来るべき」なのか?」「ディスカバリー慣れした ユーザの前で 司書は何して過ごすのか?」「日本の電子資料や デジタル・アーカイブは どこがダメなのか?」というものにして、それぞれA3の紙(ほんとはスケッチブックにしたかったパターン)にマーカーで答えを書いてもらう、というやつです。
 「IPPONグランプリ方式」です。ただの大喜利です。
 教室のサイズにもよると思いますが、これはだいぶよかったと思います。その人の考えを、話だけ耳で聴いて理解するよりは、端的なフレーズが文字として見えている中で聴いてるほうが、そりゃまあわかりやすいよなっていう。話す方も、話題がさまよわずにすむし。

 もうひとつ成功したなと思ったのが、マイクを1人1本ぜいたくに与える、という。6/25のシンポは2人で1本だったんですが、これだとやっぱり発話までにひとハードルあるし、ワンテンポ遅れるから当意即妙な掛け合いみたいなんが難しいんですよね。発言したい人はマイクを手にとって司会に軽くアピールしてくれるから、司会として采配もすごくしやすいし。
 ディスカッションを盛り上げようと思ったら、マイクなしか全員マイクあるかのどちらかで、共有マイク態勢は避けたほうがいいと思います。(まあ、それでも盛り上がった6/25のパネリストは神4だったということで)

 そんなこんなのやりやすさの中で、司会たる私にも多少の心の余裕が得られたのか、今回はディスカッションの途中で適宜フロアにいる人に話をふる、ということができました。どれもみなこちらの無茶ぶりばかりで、発言してくださったみなさんにはごめんなさいしか言えないのですが、みなさんさすがのマイクパフォーマンスぶりという感じでした。具体的には学生さんとか、訊け!の人、紀がつく書店の人、そして先週のパネリスト約1名、とか。

 最後の最後に、その先週のパネリストだった約1名さんにコメントをいただきまして、これで上手いこと2企画が輪になってつながったんじゃないかなと思いますね。しろやぎさんたちからのお手紙を、アンサーなくろやぎさんたちががっつり咀嚼して、さらにしろやぎさんからお返事をもらう、っていう。

 ディスカッションの内容としては、自分にもいくつか言いたいことが出てきてしまうようなテーマで、っていうか我慢できなくてちょいちょい自分も何か言ったりしてたし、そもそもこんだけ司会してると自分の言いたいことなんか全然言えやしないから、フラストレーションの元気玉が熾りまくってる感じになっててどうしようもなかったんですが、本企画のメンバーの気安さからついつい出ちゃった、という感じです。

 極私的に思ったことのメモ。
-----------------------------------------------------
・@「学生たちはなぜ図書館に来るのか」の場所としての図書館論。なんというか、”場所としての”だけ言っても、”大学”の”図書館”の”場所としての”機能の一面しか見えないんじゃないのという思いを強くした感じになってて、”資料・文献”(紙にしろeにしろ)というものと”場所”としての機能がどうマリアージュするかを考えるのが、図書館の場所としての機能を議論することの醍醐味なんじゃないのかなあ、って思うんですけどね。(当日コメントした「文献を参照しない学びはscienceと言えるのか」はそのニキビがぷちっと出た感じの)
・A「ディスカバリ慣れしたユーザを前に、司書は何をすべきなのか?」では、もっと長い長いスパンで、未来将来の司書の新しい役割はどういったものになっていくかしら、みたいなこと”も”出題側としては意図してたのですが(で、先週紹介のあったワシントン大学のJapanologists Colloquiumの話になんないかな、とか思ってた)
 実際には、だいたい当面のというかまさにいま現在やるべきことみたいな話になってたので、まあそれはそれでいいかっていう。これは、いま現在のディスカバリがいま現在ホットである、ことのあらわれなんだろうし。
-----------------------------------------------------

 繰り返しになってしまいますが、当日はUstream中継もするにはしてたのですが、直前まで機器類の調整がつかず、URLをほとんど広報できていませんでした。申し訳ありませんでした。(アーカイブの公開が同志社サイドでできるようになれば、またあらためてお知らせできればと)

 あとこのアンサー・シンポジウムは、実は「図書館基礎特論」という授業のひとコマとして開催したもので、その受講生の学生がふつーに聴きに来てるっていうあれだったんですが。会の後の懇親会で「学生には内容的に難しすぎたんじゃないか」というコメントも出てたんですけど、あたしはそれはそれでいいと思います。わかりやすいあつらえられたものばかりでなく、噛み切りにくい呑み込みにくいものをあえて体験するというのは、もちろんそればっかりではしんどいでしょうが、2度3度くらいはあると良い学びになると思いますので。

 あらためましてパネリストのみなさん、当日運営でお世話くださった同志社大学のみなさん、ご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

 このアンサー・シンポジウムによって、AASに関連した一連の催しごとがすべて終わった、ということになりました。暦の上では夏が始まったばかりの日ではありましたが、egamidayさん的には、2016年はもうこれですっかり終わっちゃったようなもの、という感触ですね。
posted by egamiday3 at 21:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月02日

(報告)シンポジウム「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館」(2016.6.25)で、司会をしてきました。


アメリカの日本研究ライブラリアン4人を招いて話をしてもらう、というシンポジウムで、司会をしてきました。

「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館〜図書館利用行動を中心に〜」
http://www.slis.doshisha.ac.jp/event/20160625.html
2016年6月25日 15:00-17:00
同志社大学 今出川キャンパス 良心館 2階 RY202教室

パネリスト :
Kuniko Yamada McVey (Harvard University)
Tokiko Yamamoto Bazzell (University of Hawaii)
Hiroyuki Nagahashi Good (University of Pittsburgh)
Azusa Tanaka (University of Washington)

以下、司会でしたので、内容報告ではなく進行報告的な感じになります。
司会や当事者としてイベントに参加することの最大の難点は、自分で記録を残せないことですね・・・。
内容報告は↓ぜひぜひこちらをご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/xiao-2/20160626/1466905299

【後日追加】
当日の様子がYoutubeにアップされています。
https://youtu.be/-r4byVlaqqU


0625-01.jpg
0625-02.jpg

当日会場においでくださったみなさん、どうもありがとうございました!
公式発表?によると約200人のご来場だったそうです。マジかと。正直、ここまで大勢の人が来るとは思ってなくて、ごめんなさい、まあまあなめてました。
来ていただいていた方々をざっと見渡すと、学生さんや現役図書館業界者だけでなく、教員の方あり大学関係者あり、書店出版の業界の方々も大勢いらしてて、これってMALUIの会じゃないのか、みたいになってた感ありましたね。

4人のパネリストはみなさんかねてよりよく存じ上げている方で、お話も上手にしてくださる方々ばかりとわかっていたので、そのへんについては司会として安心しきってました。なので準備らしい準備もほとんどしていなかったのですが、それでも一応事前に、こういう進行でいきましょう、みたいなことは言ってて、egamidayさんは阿呆なのでそれをそのままここに載せるという感じ。
-----------------------------------------------------
・イントロダクション
→・各人で、「図書館の概要」「普段の仕事」「経歴」を自己紹介を兼ねて。(5-10分×4人。40分程度)
→・「利用行動」(20分程度)
-グッドさんから学生の利用行動(ppt)
-バゼルさんから研究者の利用行動(ppt)
-それを受けて「レファレンス」「電子資料」を中心に全員でコメント
→・「学生の様子」(20分程度)
-田中さんから日本人留学生の様子(ppt)
-マクヴェイさんとフロアで学生の学習・授業について、ディスカッション
→・フロアからの質問+ディスカッション(質問・コメント票を回収して)(30分程度)
→・まとめとして、将来像×4人
-----------------------------------------------------
という予定だったのですが。
実際には、自己紹介で約15分×4人=1時間埋まるという、まあタイムキーピングの失敗事例としてはごくごくありきたりなやつ(=防げるはずのこと)ですよね・・・申し訳ありませんでした・・・結果、終盤のディスカッション・ターンでは、フロアとのかけあい的なことが全然できていませんでした・・・。これは非常に残念ですし、もったいない話です。先述のように幅広い業種のいろんな方が来てらっしゃいましたし、あの人もいた、あの人も来てた、マイク向けたらおもろいこと言ってくれたんじゃないかしら、いやそれより学生さんにこそ何か発言してもらいたかった、と今にして思い返すだに地団駄踏んで悔しがってる感じです。(教訓:「各パネリストからまずは一言づつ」、に注意)

もうひとつ、ディスカッションのまわしに余裕がなかった原因は、来場者数が思わず多かった=回収したコメント票が多い=目を通すのがたいへん、という、いや、防げるはずのことでしたね・・・。フロアがあのメンツと人数なら、素直に挙手制や指名制でもよかったんじゃないかと、まあこれは結果論になってしまいますし、それでシーンとしてたらしてたでまたあれなので、会場の雰囲気がどう転んでもどっちのも対応できるような心構えはいるな、という感じでした。

というわけで、正直な告白をすると、司会中はバタバタでとてもじゃないけど内容なんてほとんど頭に入ってきてないのですが、それでもなお、な極私的メモ。
(みききしたことおもうことブログさんにはたいへんお世話になっております!!)
-----------------------------------------------------
・[グッドさん]DDA(デマンド・ドリブン・アクイジション)で、英語資料選書の役割が低下。→インストラクション・レファレンスへ。
・[田中さん]「図書館はライブラリアンではなく利用者の夢を叶える場所」
・[バゼルさん]ワシントンDCのとある企業の研究所で、日本資料の収集などの仕事に従事。→日米の差を感じた。(例:政府刊行物の集めにくさなど)

・[グッドさん]ピッツバーグ大学における学生の図書館利用行動。これは2013・2014年の調査をもとにしたもの。
2014年英文オリジナル資料:http://www.library.pitt.edu/other/files/pdf/assessment/MyDayAtHillmanSurveyResults.pdf
当日のスライド:
http://www.slideshare.net/hirogood/ss-63590400
・「毎日来る」学生が50%以上(2014年)
・24時間開館で、PM11-AM6間の来館、週1回以上が30%。
・学生の来館が2010年以降増えてきたが、理由がよくわからない。グループ学習が増えたというよりも、個人の学習場所の要求が多い。そのため、開架資料の半分を遠隔地に送って学習用スペースを確保した。
・良く使われるのが「ディスカバリーサービス(OPAC込み?)」「電子資料」。その他のサービス類は「使わない/知らない」が多い。

・[バゼルさん]アメリカの研究者の図書館利用状況。これはIthaka S+R Surveyによる調査(2003〜2015)をもとにしたもの:http://www.sr.ithaka.org/
・研究をどこから始めるかについて。「図書館内から」は大きく減ったが、「図書館のwebサイト・目録」が2012から2015の間で増えてきた。<ディスカバリーサービスによるのではないか。
・電子があるなら冊子体をキャンセルしてもかまわない。ジャーナルでは、理系80%、人文系でも50%を超えている。書籍では理系50%、人文系でも30%ある。
・図書館にとって重要な役割は? 研究者の意見では「学部生のサポート」が多い。一方、データキュレーション/マネジメントについては、図書館の新しい役割ではなく、研究者が自身で管理したいと考えている。

・[田中さん]日本人留学生の様子+図書館の提供するサポート
・授業では、課題がかなり多い。ディスカッションのファシリテート、期末レポートの発表など。
・ライブラリアンは、期末レポートのアイデアを一緒に考える、資料探しをアシストする。
Japanologists Colloquiumを田中さんが月に一度・東アジア図書館で開く。学部を問わず”日本”をテーマにする学生を集めて、研究テーマの共有や期末レポート発表の練習の場とする。分野を越えたコミュニケーション。←極私的MVPトピック

・[マクヴェイさん]
・図書館の書架でブラウジングをすることは、重要でなくなってきている。
・デジタルへの期待値が高い。図書館サービスのひとつとして、遠隔地の書庫にある図書をスキャンして送るというものあるが、学部生はそれも待てない。

・アメリカの大学図書館で使われている日本の電子書籍プラットフォームは? →EBSCO・NetLibrary・丸善e-books・JapanKnowledge
・日本のデジタルアーカイブについて。隠れていて見つけづらい。Visibilityが低い。そのサイトのその場所にいかなければその存在がわからない、ではなくて、ディスカバリーツールにメタデータを送るなどして見つかるようにするのがよい。
・ワシントン大学図書館における多様性支援について。
・ライブラリアンにはMLIS(図書館情報学修士号)だけではなく、強みのある専門分野や能力(IT・ティーチング等)が必要。博士号を持った人がライブラリアンとして勤める例も。
-----------------------------------------------------

当日はUstream中継もするにはしてたのですが、直前まで機器類の調整がつかず、URLをほとんど広報できていませんでした。申し訳ありませんでした。(アーカイブの公開が同志社サイドでできるようになれば、またあらためてお知らせできればと)
当日の様子はテキストお越しされて、「同志社大学図書館学年報」に載るという予定もきいてます。

というあれやこれやで、一言で言うと「もったいない!」、もっとこの魅力あるコンテンツを皿まで舐めまわして味わい尽くすような余地はいくらもあったんじゃないか、という反省点いっぱいなのですが。
だとしても、それでも、あれだけの幅広い立場の&数多くのみなさんに、特に学生のみなさんに、アメリカの日本研究ライブラリアンという立場の人々のお話・考え・視点のようなものをお届けできたこと、現場で目撃していただくことで肌感覚で感じでいただけたことは、非常に大きな意義があったのではないかと思っています。
特に学生さん、当日の感想をレポートとして出してもらったのをざっくり見ると、24時間開館のうらやましいさや語学力がどれだけいるかなども多かったのですが、同じくらい多かったのが「アメリカの大学図書館ではこんなことまで学生サポートをしてくれるのか」というサービスの手厚さと、「ライブラリアンになるまでの経歴がこんなにも人によってちがうのか」的なキャリアパスの広さへのリアクションでした。そのことを見ず知らずの大人の口から聞けたという体験は、司会してるこっちがうらやましく思うくらいのものだと思います。

200人の人が4人の話を聴く様子を司会席でぼおーっと見ながら「明日からもこんな日が毎日続けばいいのに」と、世にも奇妙なフラグのようなことをずっと考えてました。
ほんとにそうなったら、自分自身がしゃべれないことへのフラストレーションがずっとずっと溜まっていくので、我慢ならんと思うんですけどね。でもいいんです。しょせんあたしは司会です、メディアです、魅力あるコンテンツがあたしの上を次々と通っていって、届くべき人のところへ届いてくれさえすればそれでいいんです。

パネリストのみなさん、当日運営でお世話くださった同志社大学のみなさん、発起&ご支援くださった紀伊國屋書店のみなさん、公私ともにもろもろ支えてくださったみなさん、そしてご来場・ご視聴くださったみなさんに、あらためて心より感謝申しあげます。

で、さらにクレイジーなことに「アンサー・シンポジウム」なるイベントがその翌週に持たれた、との噂がありますが、それについてはまた別の話で。

posted by egamiday3 at 12:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月16日

(告知)シンポジウム「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館」6/25(土)を、目撃せよ!


 6/25(土)、同志社大学にて、アメリカの日本研究司書を招いてのシンポジウムがおこなわれます。

 「ライブラリアンの見た世界の大学と図書館〜図書館利用行動を中心に〜」
 http://www.slis.doshisha.ac.jp/event/20160625.html

 同日、同志社でおこなわれているAAS in Asia京都大会(アメリカのアジア学会がおこなう大会)に参加する、アメリカの大学で日本語資料を専門に扱うライブラリアンのみなさん、計4人をお招きして、いろいろとお話をうかがおうというシンポジウムです。

パネリスト :
  Ms. Kuniko Yamada McVey (Harvard University)
  Ms. Tokiko Yamamoto Bazzell (University of Hawaii)
  Mr. Hiroyuki Nagahashi Good (University of Pittsburgh)
  Ms. Azusa Tanaka (University of Washington)

 4人のパネリストはみなさん、日本とアメリカ両方の大学事情・図書館事情をよくご存知の方々です。そんな方々の目に、アメリカの大学・図書館は、日本の大学・図書館は、どのように映っているのか。学生や研究者の学習・研究、図書館での立ち居振る舞いに違いはあるんだろうか。サービスは? レファレンスは? 電子書籍は? そして、海外の大学で学んでいる日本人学生のキャンパスライフは? そんなもろもろを語っていただけたらな、と思っています。

 ちなみにこんな関連文献がございます。
 バゼル山本登紀子「進化する大学図書館とライブラリアンの役割」(『同志社大学図書館学年報』(2010))
 https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/14772/?lang=0

 司書をめざす学生さんでしたら、図書館で働くって実際どんなんかな、と。
 研究・進学をめざす学生さんなら、研究者ってどんなんかな、と。
 海外留学をめざす学生さんや、海外で働くことまで視野に入れてるようなジョン万な学生さんなら、その先輩方の生の声を。
 そしてもちろん、海外話の大好きな現役図書館員や大学関係者等々のみなさんにも、おなかいっぱいになるような話を聞いていただけるんじゃないかと思います。

 これの司会を私がやるらしいです。ほんとかな、大丈夫だろうか。
 でもお話の上手な4人がパネリストとしてそろってるという認識でおりますので、大船の咸臨丸に乗ったつもりで、客席目線で、もはや客として、楽しみたいと思ってます。

 日時は、2016年6月25日(土)、15:00から。
 場所は、同志社大学 今出川キャンパス 良心館 2階 RY202教室。

 参加は自由、無料です。
 あ、それとこれは言っておかないといけない、シンポジウムはすべて日本語でおこなわれます。英語じゃありません、安心してください、ていうか司会の私が一番安心しています。

 事件は同志社で起こります。
 その目撃者は、あなたです。 
 ぜひ、同志社大学RY202劇場で目撃してください。

posted by egamiday3 at 20:03| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(告知)「近畿地区MALUI名刺交換会」6/26(日)で、お待ちしてます!


 関西の善男善女が集まるという業界でマストな名物企画、「近畿地区MALUI名刺交換会」が今年もおこなわれます!

 近畿地区MALUI名刺交換会(2016年度)
 http://bit.ly/MALUI2016

 参加登録は6月19日(日)までです!


 MALUIというのは、
  Museum(美術館・博物館)
  Archives(アーカイブ・文書館)
  Library(図書館)
  University(大学)
  Industry(産業・企業)
 の略で、文化学術情報関係のあらゆる人々で集まり、協力し合いましょう、交流し合いましょう、四角い世界をまあるく環になって踊り包みましょう、というような(かどうかはわかりませんが)感じの、多業種横断的なムーブメントです。
 MLAのパワーアップ版と思っていただいたら結構です。パータッチです。

 そのMALUIの人たちでまずは人と人同士が交流することからはじめましょうよ、という感じでここ数年毎年おこなわれているのが「MALUI名刺交換会」です。特に、よその地域からはじめて関西のMALUI関連職に就いて、まだ周囲に人脈ができてない、というような人たちとの交流が深められたらな、というあれなんですけど、まあ要するに飲み会ですよねと。別に固定メンバーがいるわけじゃない、ゆるいつながりであり、ムーブメントであり、抽象的な概念ではありますが、まあ具体的に言うなら飲み会ですよねと。

 今年は同志社大学にてAAS in Asia京都大会(アメリカのアジア学会がおこなう大会)が行われるのですが、その日程になんとなく合わせて、AASのためにアメリカから来日している日本研究ライブラリアンのみなさんたちにも参加していただく予定です。
 また、そのAASで企業ブース展示に来ている東京や海外の出版・書店・データベース関係の企業のみなさんもまた、多数参加してくださる予定です。

 というわけですから、今年はいつもとちょっと違った出逢いがありそうですよ、という期待含みでよろしくおねがいします。

 日時は、2016年6月26日(日)19:00。
 場所は、コープイン京都(http://www.coopinn.jp/access.html
 参加申し込みは下記URLから、6月19日(日)までです。
 http://bit.ly/MALUI2016

 会場が四条のどまんなかですから、お帰りにも二次会にも不自由しない便利な立地です。
 いま時分の京都は紫陽花(http://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/ajisai/meisho/index.html)の季節ですから、昼間は三室戸や藤森神社あたりに寄ってみてはいかがでしょう。
 あ、この日は、関西の歴史好き猛者司書たちが集うという関西文脈の会の勉強会(http://toshokanshi-w.blogspot.jp/2016/06/30.html)もありますよ、京都府立図書館にて、しかもバックヤードツアー付きのお得プランです。
 これはもう、来ない理由がありませんね!

 それでは、みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。
posted by egamiday3 at 20:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月11日

(メモ)展示「竹中工務店 400年の夢 : 時をきざむ建築の文化史」(@世田谷美術館)

 東京・世田谷美術館で開かれていた「竹中工務店 400年の夢 : 時をきざむ建築の文化史」展(http://www.city.setagaya.lg.jp/event/1991/d00145682.html)を見てきました。建築関係の展示って自分に刺さるときと刺さらないときとあるんだけど、これはすばらしかった、見ててずっと顔のによによが止まらなくって、ああ自分やっぱ好きなんだなって思いました、好きなだけだけど。野暮用で早めに立ち去らなきゃいけないのがほんとに悔やまれたです。6/19までとのことなので関東圏の方はぜひ、っていう。
 そのメモ。

 ていうか、世田谷って普段よく聞く東京の地名くらいにしか思ってなかったけど、実際に行ってみたら世田谷というのは東京駅界隈からあんなにも離れたところにあるんだと、恥ずかしながら初めて知りました。あの辺って自意識の地図帳ではとりあえず緑に塗ってあるくらいの感覚しかなかったけど、別の"市"とかじゃなかったんだ。Googleさんには「新横浜で降りろ」と言われて一瞬我が目を疑った。
 そんなんはさておき。
 
・400年の歴史と書いてあるけど、200年くらいサバよんでないか感、は、まあよくあること。
・高島屋史料館から資料わりと出てた。チラシがスクラップブックで残ってるのとか、キュンキュンした。ていうか、やっぱり高島屋京都店とか西本願寺伝道院とかにどうしても目が止まってしまうので、この手の展示を京都でもやってください。(注:高島屋の展示はこないだあった)
・ちなみに高島屋京都店は、商店建築で、鉄筋コンクリート造としては、日本初だそうです。
・日東コーナーハウス→CIE図書館。
・雲仙観光ホテル、togo。
・竹中大工道具館、togo。
・竹中歴史資料展示室、togo。
・旧ジェームス邸、togo。
・揚輝荘、togo。
・雅俗山荘(小林一三邸)、togo。(行けるのか?)
・ケルムスコット・マナー(イギリス)、togo。(いつだ?)
・雑誌「approach」の所蔵を確認すること。
・竹中工務店の「建築写真集/帖」、所蔵を確認すること。
・建築模型を見るとやっぱり写真やなんやよりずっとわかりやすい。建築模型大事。ちなみに、天王洲の建築模型ミュージアムがいよいよオープンのはず。

 まとめとしては。
 どこで何見ても結局、京都・図書館・資料保存に目が行くという病気。
 あと、聞きかじりだけでまだよくわからない専門用語や人物等がたくさんあるので、egamidayさんはもっと建築(技術も文化も)について、少しづつでも勉強してください。好きなだけじゃなく。建築を勉強したらいま以上にもっと旅を楽しめるにちがいないから。



posted by egamiday3 at 18:19| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月22日

(メモ)京都府立図書館サービス計画


京都府立図書館サービス計画 | 京都府立図書館
https://www.library.pref.kyoto.jp/?page_id=5789

・3つの基本方針→20の項目→64の具体策、という3層構造
・3つの基本方針のうち「I(府内協力)」「II」は従来機能の充実、「III(発信・拠点?)」を新たな挑戦、という位置づけ。
・20項目のうち5項目をピックアップ。「II」(従来機能)から「歴史ある図書館の演出」「利用しやすい空間」、「III」(新挑戦)から「サービスデザインチーム」「知的な交流の場」「行政支援サービス」
・各方針ごとに、その方針・項目について具体的にどう評価していったらいいかを、自ら示すために、「主な評価指標」というのを設けていて、「項目/26年度実績/数値指標」が示されている。
例:総合目録ネットワークシステム加盟機関 26年度実績:30機関、数値指標:80機関
・全体で5年計画、というスケール感。
・文書としてわかりやすい。

 ベストプラクティス行き。

posted by egamiday3 at 11:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月12日

(メモ)「図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門の出版に当たって」聴講メモ


2016年度立命館大学大学院文学研究科行動文化情報学専攻「文化情報学専修」広報企画ワークショップ
日本出版学会2016年度第2回(通算第95回)関西部会のご案内
テーマ:「図書館を変えるウェブスケールディスカバリー」
日時:2016年 4月25日(月) 18時30分〜20時00分
場所:立命館大学平井嘉一郎記念図書館

 立命館大学の噂の新図書館・平井嘉一郎記念図書館にて、ディスカバリー界隈では日本随一の佛教大学・飯野さんによる、ご著書『図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門』とディスカバリーシステムまわりのトークイベント、という感じのワークショップに参加してきました。

図書館を変える!  ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -
図書館を変える! ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -

 自分勝手メモです。ていうかほぼ個人の感想です。

 (註:WSD=ウェブ・スケール・ディスカバリー)

・著書出版まわりについて。WSDの佛教大学図書館導入における現場体験を紹介したものなので、アカデミックというよりは体験談。編集サイドとのやりとりでそういう路線に行ったらしいのですが、個人的にはアカデミックばりばり列伝的なほうを読んでみたかった気がする。
・出版までの経過としては、原稿の試験提出から最終の第3稿までに1年かかってはる。自分のとき(#本棚の中のニッポン)は原稿どばっと書いて基本それがそのままという感じだったので、進め方ってそれぞれでだいぶ違うんだなあ、と思たです。
・この本はネットアドバンス社さんが初めて出す紙の本だとかで、第2弾への動きがどうなるか、注目されますね。
・「5分で分かるWSD」。WSDは図書館の蔵書検索からe-resource、商用オンラインデータベースまで、統合的に検索できるし、統合的に表示もできる。特に学部生・初学者に吉ですよと。
・効果について。WSDに収録されたコンテンツはその後よく使われるようになるし、逆に収録されないものは利用が減る。それまでとてもよく使われていた某データベースが、お気軽検索(佛教大学のWSD)公開後、そこに含まれてないがために使われなくなってしまったという、実にシビアなお話も。そう考えると、コンテンツが求められるかどうかって、純粋に内容だけの問題でもなんでもない、環境に大きく左右されるものなんだから、内容にあぐらをかいて紙媒体でがちがちにかためてたら、それでジ・エンドなんだろうなあと。
・一方で、論文情報がヒットする→紙媒体の利用が増える、という現象も。ビジビリティの野戦場、的な感じがする。
・電子書籍は章単位で検索・ヒット表示・閲覧が可能。→「章」が独立したコンテンツ化する。→”評価”が「章」ごとに可能、的な。→電子書籍がレファレンス・データベース化する/本文もヒットするから見つかり具合が上がる。(これは知の断片化というより、知のランダムアクセス可能化、なんだろうな)。
・で、洋書はそういう章レベルのレコード登録や目次・全文検索化に対応しててリッチなんだけど、和書はそういうのがまだ少ないから、検索結果として和書は埋もれた存在になっちゃう、っていうね・・・。
・WSD向けのリッチなメタデータをデジタル形式で流通させる、ていうのが、出版社さんににとっても販路の拡大につながる、ていうこと。日本の図書館と出版社が共同で、抄録や本文データを含むリッチなレコードを、積極的に流通させていく仕組みを構築しないと、っていう。そりゃもう、紙でめくって苦労するのがいいとか見出しも商品だから権利があるとか、21世紀も1/6過ぎようというご時世に言ってる場合じゃないですよと思う。
・なぜWSDで枕草子を検索すると中国語コンテンツが上位に来るのか。コンテンツの収録設定は図書館の仕事なんだけど、有償コンテンツは能動的に収録しようとするけど、オープンアクセスコンテンツは必ずしもそうではないから。商用が少なくオープンが多い日本はそのために収録されづらくなっている、か? あとは抄録や本文などのリッチなデータがあるほうが関連度が上位になるから。枕草子中国語問題は以下を参照。
--CA1827 - ウェブスケールディスカバリと日本語コンテンツをめぐる諸課題―海外における日本研究の支援を踏まえて / 飯野勝則 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/CA1827
--ディスカバリ・システムにおける日本製e-resourceの対応(まとめ) - egamiday_wiki
・タダより高いものはない、とまでは言わないけど、タダだからこそスルーされてしまう問題はおしなべてあるよなとは思う。ただまあだからといってオープンより有償が優秀、ていうことではないと思うんですが。

・以上、飯野さんのトーク。以下、飯野さんと安東さんのセッション。

・出版社サイドからデータを提供してもらえない、説得できてない、という問題について。出版社サイドでも積極的に出していこうとしているところはあって、実際に動いているところもあるとのこと。
・図書館の”オススメ”が”おしつけ”になるか?という、まあ長期スパンでゆっくり考えたい哲学的問い。
・さてそんな佛教大学図書館さんでも、WSDの利用度はOPACの1/3程度。図書館としてはWSDを上位に考えてwebページのデザインも設計したけども、それでもやっぱりWSD利用比率は変わらなかったという。そこが着地点なんだろうか。
・次のステップは、パーソナルスケールなWSDの提供、か。
・egamidayさんからの質問は、WSDはOPACのリッチ版というよりGoogleのセレクト版ですよね。→佛教大学さんでは学内PCのデスクトップにお気軽検索を置いてもらったりしてる、とのこと。
・その他、なかなかの裏話が聞ける平井記念図書館。
・飯野さんのまとめ。WSDは手塩にかけてちゃんと育てないとうまく作動しないシステムです、とのこと。実は図書館にとっては手のかかる子なんだよ、と。その手のかかり具合の奮闘記が、『図書館を変える!ウェブスケールディスカバリー入門』ですね。

図書館を変える!  ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -
図書館を変える! ウェブスケールディスカバリー入門 (ジャパンナレッジライブラリアンシリーズ) -

 このあと土佐料理屋で懇親会がとりおこなわれましたとさ。

posted by egamiday3 at 22:43| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月22日

201603us@シアトルのメモ・旅情編

 
 CEAL2016@シアトルの番外編。
 なお、休憩時間や食事時間などのすきまなプライベートしかなかったわけなので、おおむね旅行事務か飲食か街の印象、的な話しかないです。


●総評
・シアトル、8年ぶり2度目。ただし1度目は(米国内からの)弾丸的な行き帰りだったためあまり印象がなかったのですが、正直、こんなに居心地のいい街だったとは!という感じでした。山紫水明だし、街もそこそこ都会だし、でも混んでなくてぎすぎすしてない、人々はものすごく愛想がいいし、アジアフードが美味い、シーフードが美味い、カフェいくらでもあるし、実はビールどころだし、日本から近いし、紀伊國屋と宇和島屋があって、移住には最高レベル。坂と、天気の悪ささえなければか。


●シアトル
・着陸寸前の窓からの景色は、「山紫水明」のひとことだった。立派な山々の雪景色、針葉樹の凜としたの、海または湖のたっぷりとしたの、からの、街並み。
・滞在中ずっとほぼ快晴に近かった。これははっきり言ってシアトルにはあり得ない珍事じゃないのかと思った、シアトルはだいたい天気の悪い土地柄なはず。
・相変わらず坂の街だった、そりゃそうだけど。スタバ行くのにめっちゃ急な坂を登らされて、そしてその次にめっちゃ急に下らされた、要するに別の道行けばよかったんじゃんっていう。そういうのをGoogleマップさんは知らんぷりしてるから、やっぱ限界あるんじゃないのと思った。
・これまで訪れたどの街よりも、路上者が多い街だった、という印象。宿所の周辺も結構なところで何度かヒヤッとした。そして、シアトルは全米でもトップレベルに治安がいい街だと聞いていたので、これは要するに、路上に居てられるほど安全だということなのか、と理解している。別の米国在住者も同様の感想だった。
・移動中にバスから見た風景。キャピタルヒルの左京区感はあらためて滞在しに来たい。湖が見えた時はさすがに目をひいてきれいだった。
・マウントレーニアが相当見目美しかった。これが、おお、マウントレーニアよー、か、と思った。日系移民からタコマ富士と賞され愛されるほどの美形が、雪をかぶった様で、しかも奇跡的な快晴でくっきり見えて、おまけに桜という。

IMG_2798.JPG

・なおワシントン大学へはつい前週に地下鉄(LINK)が延伸開通したとのことで、これで空港から大学まで一本で行けるという立地になってる。
・朝に港あたりを散歩していたら、船通勤の人たちがわっと降りて歩いてくるのを目撃した。そういえばシアトルを舞台にしたビジネス書を日本で読んでたけど、その主人公もフェリーに自転車で乗ってきてた。あの人たちが住んでるのはどのあたりになるんだろう。

・というか、シアトルはどこも居心地がいい。というのも、不思議なことにというか、どこも混んでいない。人がそんなに多くなくて、場所に余裕があって、スタバに行ってもスタバ以外のカフェに行っても食事処に行っても、混んでてきゅうきゅうしなきゃいけないっていうような思いをすること、空間的にも時間的にも窮屈な思いをすることが、ほとんどない街だった。そういった意味ではいっさいギスギスしてなかった。
・唯一混んでて居場所を得られなかったのが、ワシントン大学の図書館内カフェ。みんな勉強してて居場所なんかどこにもなかった。
・そして、人々がびっくりするほどものすごく愛想がいい。「愛想いい」と言えばアイルランドにしくはなしと思ってたけども、そのアイルランドと同等かヘタをすればそれ以上レベルで、みな優しいし人あたりがいいし、買い物でもカフェでもどこかしこでもイヤな思いをすることがほとんどなかった。なんなら空港の入国審査も若干人あたりよかったんじゃないかと想い出補正されるくらい。
・シアトルが日本から近い話としては、米国内東海岸の人が国内線乗り継いで10時間かかった、と言っている一方で、成田からここへは直行便8時間台だったという。


●書店・図書館・大学
・宇和島屋と紀伊國屋書店。2度目の訪問で特に大きく変わりはなかったけど、印象としてはさすが地元日本語フリーペーパーが充実してた。
・シアトル公共図書館。オランダでもデンマークでも、旅行中に手詰まるとだいたい公共図書館に来る。居心地のいい図書館ほどビバークしやすい。ただ、あまりに居心地がよすぎて3時間くらいいたのと、セキュリティ的にあまりよろしくない行動をとってしまってたので、要注意。
・なお、職場への土産はシアトル公共図書館モデルのアヒルちゃん人形だった模様。
・うわさのAmazon実店舗がワシントン大学隣接のショッピングエリアにあるというので立ち寄ってみた。ふつーの書店とどうちがうんだろうと思ってたけど、値段がサイトのデータベースでリアルタイムに管理される”時価”なんだな、と。それは確かにふつーのリアル書店とはちがうことになる、このちょっとしかちがわないはずの概念ってもしかしてそうとうちがうものへの第一歩なんじゃないの、という印象。そこが自分にはまだうまく言語化できない。
・ワシントン大学キャンパス。Amazon実店舗側から徒歩よりアクセスしようとすると、まあまあの坂道だった。途中でハイキングのグループとすれちがったほどだった。キャンパスまで山紫水明が過ぎるだろうと思った。
・ワシントン大学キャンパスでは、各国・地域のアジア、タイといい中国といいベトナムといい台湾といい、その学生のコミュニティ活動が盛んな様子があった。日本を見かけなかったのはあれは気のせいなんだろうか。


●カフェ・スターバックス
・コーヒー・シティを飲む。
・スタバ1号店は、もはやお土産を売るためのキオスクと化していた。まあそれはそれでいいんじゃないか。
・「Starbucks Reserve Roastery & Tasting Room」というなにやらプレミアムな店舗があるんだよと聞いていたので、行ってみたら、むき出しのロースト工場施設を眺めながら居られるプチ・テーマパーク的なところだった。そして居心地がいい。ソファでだらっとしてられるし、香りがいいし、雰囲気がいいし。極私的・世界お気にスタバがまたひとつ増えた感じ。ただし、どうやら価格が若干高い。ドリップで5.50ドルもする。
・チェーンじゃない地元カフェは、あたりはずれあり。例えば、各書で評判のよかったカフェのひとつは、トイレの芳香剤の臭いが店内に強すぎて、エスプレッソ味わうどころじゃなくてとっとと出て来た。
・ワシントン大学近所のカフェ・Cafe Allegroが、いい感じのネイティブなカフェだった。古い木造の内装で、サブカルなチラシがわっと貼ってあったり、まさに左京区然とした感じの。ずっと居てられる。学生がうるさめかなとも思うけど、席は2階の方にも広くあるみたいで、時間さえタイミング良ければ居心地よく過ごせる場所なんじゃないかしら。
・最終日に空港へ向かう直前に名残の一杯と思って入った、街中のスタンドだけの狭い狭いPegasus Coffeeが、たぶん一番美味かった。本当にたまたま、通りすがりに数秒で見つけて適当に入っただけの店だけど、タトゥーだらけのロックなお姉さんがエスプレッソ用の粉をぼろぼろこぼしながらがさつに詰めつつ「for hereかtogoか」をきいてくるようなところで、そのエスプレッソが超絶に濃くて血圧が上がるロックな朝だった。


●食
・ほんとはキッチン付きの宿がよかったんだけども、なくて、流しと冷蔵庫と電子レンジまではあるという宿だった。それでも、電子レンジがあるのとないのとではクォリティオブライフがとんでもなく違った。ので、今後も電子レンジだけでもあるほうがいい。
・宇和島屋(シアトルのかなり大きい日本食ショッピングセンター)で、タイ料理のランチと韓国料理のランチをいただいた。1勝1敗。タイはだいたいハズレない。
・あと宇和島屋にはおーいお茶濃いめがあったので、天国かと思った。荷物が許せば2L買いかねなかった。

・ローカルビールを探して、とりあえずパイクプレイスのガイドブックに載ってるくらいの適当なビール処(Pike Brewing Company in Seattle)に入ったら、ほかのお客が利き酒セットを呑んでるのを見つけて、こういうことに。以下、その際のもっともらしいツイート集。

IMG_2768.JPG
IMG_2769.JPG

2028 ローカルビールを探してたらなぜかこうなった。 https://t.co/SUbQWSeqBz
2030 1は、ごく軽い、歩いてきて渇いたのどにうれしいかんじんやつ。それでも苦味がしっかりしてて美味い。これ、秀吉の一杯目やないか。
2038 2はペールエールで、ブラウンさが、日常飲むときにはこれが一杯目やな、ていう感じのやつ
2040 あれこれもしかして日本的にはビールテロですか・・・
2044 3、IPA来た。でもちょっと甘みがあるんじゃないかなっていう感じ。 https://t.co/iHU9IKuln2
2048 日本、ランチタイムじゃないか、ごめんなさい
2051 4、キルト・リフター。少々のピートなスコッチウィスキーモルトがどうのと書いてあるので、何言ってるんだろうと思って一口飲んだら、思っきしスモーキーフレーバーだった。マッサン、わしゃどうしたらええんじゃ。 https://t.co/pafdGpd1Xd
2054 何このビールすげえピート臭
2055 びっくりぽんや
2056 悲報、このあとのこり2杯がスタウトと修道院
2103 5、あースタウト美味いわーやっぱスタウトでええわぁ終わってるわ
2110 6、修道院。甘ったるいw でもなんだろう、なんかクセのあるにおいが最後にふわっと残るの。なんかこう、脱酸した資料についたにおい的な。

・このあと、宿近くのちっちゃい荒物屋みたいなグロッサリーに行ったら結構な種類数のローカルなクラフトビールがあって、パッとえらんだスタウトがこれも甘濃くてすごく美味かった。まともに予習してなかったんだけど、実はシアトルのあるワシントン州は、ホップ生産量が全米1位、ブリュワリー数が2位で、コーヒーシティ以前にビールシティじゃないか、と。
・ピートなビールは、最終日夜遅くのミーティングのあとでライブラリアンの方々とホテルのバーに行ったところでもいただきました。なんだかんだいって呑んでる。

・シアトルで人気店だというドーナツのカフェで朝食をいただいたんだけど、ドーナツはまあ美味いほうのドーナツだなという感じではあるんだけど、コーヒーが薄くてつらかった残念賞。シアトルまできてこんなコーヒー飲みたかったんじゃないという感じ。美味い店開拓はなかなか難しい。
・それから地産地消が売り的なカフェで、ホットサンドイッチ。1回目はアボカドまじりっぽいマヨネーズソースのサンドイッチ。2回目は有名店チーズを使ったらしいがあまりピンとはこなかったベーコンサンドイッチ。まあよかったです。
・朝、パイクプレイスマーケットのあたりを散歩していたら、小さな店に軽い行列ができていて、ピロシキって書いてあって、野菜とキノコのピロシキとか、チーズとサーモンのとか、そういういろんなピロシキというか包み焼きが朝食として売っておられて、日本ももっとピロシキの概念を破壊して売ってくれたらいいのにって思った。
・昼食のカフェで、あ、カニのサンドイッチあるんだ、さすが海鮮処シアトル、と思って注文したら、クラブハウスサンドイッチが出てきて、ああー自分このミスするのいったい何度目なんだ、って嘆くあるある。いい加減学習しろ、自分。(でもtunaの上にclubって書いてあったら、crabと見間違えないですかね・・・)
・夕食その1。パイクプレイスマーケットの、海が望める、トムハンクスが映画ロケしたという観光地的なシーフードレストランだったけど、シーフードラザニアなるものをいただいたところ、アタリだった。トマトとチーズの下に、サーモンと小エビと貝柱でいい感じだったので、これはシアトルのシーフードの良質さがなせるわざか、イタリア料理のハズレなさがなせるわざなのか。
・夕食その2。北米ライブラリアンの方と、ピア的なところにあるオイスターハウス。オイスターはいただかなかったものの、フィッシュケーキ、ブイヤベース的なの、カラマリ(イカ)の唐揚げ、野菜のトマト煮的なの、どれも実に美味しうございました。これはまた行きたい。美味しいから話も弾むし。

IMG_2815.JPG

・総じて、「シアトルは美味い」評で良いと思います。


●旅行事務全般
・今回のシアトル行きはデルタで、関空→成田→シアトルという、いったん国内移動するパターン。だけど、関空の時点ですでに出国させられるらしいことがわかって、これは成田で買い増ししようと思ってたユニクロに行けなくなるんじゃないかと察知して、無理してセキュリティ・出国前にユニクロに行って買い増しした。そしたら、関空出国後エリアにもユニクロあった。ユニクロとスタバはもはやユビキタスかと。
・出国審査でもわざわざ「成田で外に出れませんよ」的なこと言われた。デルタの関空→成田は前日から始まったらしいので、混乱があったのかも。
・なんにせよ、直行便がじりじりと減っていく感じになってる。そのうちあっちの会社の便じゃなくても、上海やソウルを経由しないと行けなくなる、ことも増えてくるんだろうなと。
・空港の書店に期待する方が愚かだった。Kindle万歳。
・さすがデルタさんは、国際便・国内便ともに機内wifiふつーに使えてすばらしかった。エコノミーでも電源あるとか、さすがUSA、パワーネイション、と思った。しかもたぶん2011年渡米の時に作ったアカウントが残ってた。
・そのかわり機内食がさすがにひどかった。さすがUSA。例:夕食が、牛丼・巻き寿司・パン・焼き菓子。半分くらい食べ残した。お好み焼きでご飯食べる人でもここまで炭水化物とらないんじゃないかと。朝なんか、寝ててスルーされたんだけど、まあ別にいいやとしか思わなかった。
・窓際なら足下広い席でないとつらいだろうけど、通路側なら足下狭い席でもまあまあいける説。
・機内では、クスリ服用したにもかかわらず、だましだましで4時間程度しか寝られなかった。その後、帰国まで時差ボケにはずっと苦しめられる。
・時差ボケ症例。午後2時か3時頃のセッションはだいたい「お察しください」になる。午後10時11時台にようやく帰宿して、無理やりお酒飲んで、3時間か4時間くらいだましだまし寝て、午前2時か3時頃には起き出して、眠れないので業務メール打ち返しとかしてる。そういう生活が数日積もったところで反動が来て、10時間くらい寝てたりする。それでも、5日程度しか滞在せずまた日本に戻るわけだから、こっちに慣れている場合ではないんだ、という苦痛。
・最終日はもはや自分の体内時計がいまどこをさしているのかさっぱりわからず、かろうじて腹時計に頼って生活しているというありさま。
・ちなみに、帰国後はわりとあっさり日常サイクルに戻りました。やっぱり西向き<東向き問題は相当切実。
・シアトル空港のセキュリティ並びすぎだろうと思った。デルタさんがわざわざメールで「3時間前に来い」って追加アラート出してはって、早すぎるだろうと思ったけど、まったく正しかった。いろいろ謎の多いセキュリティチェックだった。ボードパススキャンしたらピー音が鳴って、掌をなにかでぬぐわれてスキャンされた、調べたら爆発物薬品類を取り扱った手かどうかがわかるらしい。あとは全身X線の機械に入ろうとしたら、おまえはこっちって言われて金属探知機のほうを通らされた。いろいろ謎。


●雑ネタ
・アメリカのライブラリアンと、日本は年度替わりにあたるから日本からあまり来ていないのでは、という話になって、なぜなら新年度で人事異動するかどうかが直前までわからないから、と言ったら、1ヶ月前くらいまでわからないのか?と問われたので、短いときは1週間前って言ったら、HAHAHAHAHA!!って高笑いしてはった。笑えるもんなら笑いたい。

posted by egamiday3 at 08:11| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月21日

CEAL2016のメモ その4・その他もろもろ

 その他もろもろの巻。

●図書館見学(3/29 15:45-16:55)
・グループにわかれてワシントン大学内の図書館を見学するツアー。
・その1、資料修復ラボ@Suzzallo Library(中央図書館)。見学時にはコンサベーター3人が在室。スペースはできるだけフレキシブルにとる、撮影用スペースを確保する、作業しやすい家具をそろえる、湿度に気をつけて水を使用する作業場所は隔離する、など。東洋の線装本もここで修復する。展示準備を行うのもこの部署であるとのこと。
・その2、東アジア図書館(http://www.lib.washington.edu/east-asia)。蔵書の2/3は学部図書館地下の書庫に所蔵されており、この図書館では雑誌・参考図書の配置が中心とのこと。韓国企業からの寄付によるグループスタディエリアの確保や、東アジアから来た留学生のためのオープンイベントなど。また、シアトル市内の東アジア・CJKコミュニティとも関係を持って活動している。

●レセプション(3/29 17:00-)
・レセプションではいろんな人と適当にフランクにお話しした、親交を深めた、という感じ。
・寿司の米がかたかったのと、マウント・レーニアが美しかったの。

●Committee on Technical Processing (3/31 10:15-11:15)
・CEALのテクニカル、つまり目録・メタデータ的な委員会の分科会。
・全体タイトルは「BIBFRAME, Linked Data, and Their Application in East Asia Technical Services」
・「Development and Testing of BIBFRAME at the Library of Congress」LCからの経緯&実践報告、これは整研あたりの話。BIBFRAMEは情報共有のためのvehicleである。2015-2016がLCでのパイロットプロジェクト期間である。その後改訂反映させて、2回目のパイロットを予定。とりあえず長期プランでMARCレコードをBIBFRAMEリンクドデータへ移行させるんだけど、CJKは・・・というところであまり話がわからなくなってしまった。BIBFRAMEはBIBFRAMEでもわりと”図書館寄り”のBIBFRAME話だったけど、でも結局、BIBFRAMEは図書館目録を終了させるものなんだ、ということがわからないと納得は難しい気がする。
・「BIBFRAME and Linked Data at the University of Washington」ではワシントン大学におけるBIBFRAMEの実践報告でより現場に近い感じの報告。MARCをBIBFRAMEへ変換するのは、これはBIBFRAMEと図書館員が仲良くするためのコミュニティ・プロジェクトなんだ、ということか? 変換結果のレビュー(特にCJKレコード)が報告されているんだけど、わりと問題が多い。CJKが消えた、変換されなかった、別のフィールドへいった、言語タグが間違って変換された(特に翻訳版やバイリンガル版のようなもの)、などなど。ちょっと良く理解できなかったけど「BIBFRAMEへは変換できても、RDAへバックできない」というのは折り返し変換が無効みたいな感じの意味なのかな。CJKレコードの特徴として、タイトルなりなんなりを記述するのに、ローマン(アルファベット表記)のフィールドと非ローマン(CJK等の原語表記)のフィールドの2つを持っていてそれを並列させることでペアなんだよつながってるんだよとわからせる、っていうのがあるけど、それがつながらないという問題がある。みたいな話は、なんというかこう、これまでは”文脈”を”規則”として(悪く言えば)だましだましで運用してきてしまってたのが、そういう文脈が規則として引き継がれる余地がなくなっちゃったから、みたいな感じかなあと自分なりに解釈している。

●某個人的な打ち合わせ (3/31 14:00-)
・某個人的な打ち合わせを廊下のテーブルでしてた、というだけなんですが。
・どうもその廊下が「交通の要衝」的な場所だったらしく、またAAS学会が始まりつつあった時間帯だったこともあって、打ち合わせしてるところへ所属大学の研究者に出逢う、退職した懐かしのライブラリアンに出逢う、うちとこの元院生に出逢う、うちとこの現院生に出逢う、などなど、とてもじゃないが打ち合わせどころじゃなかったという。そういう話。関所かと。


posted by egamiday3 at 23:33| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

CEAL2016のメモ その3・多巻もの内容索引の電子化に関するミーティング 

 CEAL2016@シアトルのメモ、その3です。
 言うとしたら、多巻ものの内容索引の電子化に関するミーティング、とでも言うべきミーティングがあり、参加してきました。(3/31 21:45-23:00頃)

・ホテル内小会議室にて。北米の日本研究ライブラリアン数人と、AASに企業ブース参加で来ていたと思われる日本の出版関係者が参加。
・この問題は数年前のCEALでも「本棚の中のニッポンの会」的な名称でインフォーマルなミーティングが持たれていたもの。
・北米では日本で出版された冊子・マイクロなどの全集もの・多巻ものについて、高額なのであちこちが買うわけにはいかないんだけど、それでもせめて北米内で1セットは持つようにということで、北米の日本司書間で連携してなんとか買っている状態。で、その1セットを所蔵している図書館へ北米内各館がILL依頼を出して取り寄せようとするわけなんだけど、そこで問題になるのが、その全集もの・多巻ものの内容索引・目次情報の類が電子化・オープン化されていないので、書誌情報を明確にできない・検索調査ができない、という問題。遠隔で所蔵館から取り寄せようとするのに、ほしい著作が第何巻にあるのか、何ページにあるのか、そもそもどういう著作があるのか。それを、webで、デジタルのかたちで、ライブラリアンにもユーザ自身にも参照可能なようにすることができないか、という。
・このくらいのことすらweb・デジタルで検索調査できないと、北米での日本研究はどんどん見向きされなくなってしまう、という危機感。それから、出版者側としてもどの多巻ものにどんな著作が含まれているかがwebで顕在化すれば、販売促進につながるはずだよという考え方。
・ではそれをどのようなかたちで、どこに置いて、公開するのか。例えば、冊子索引をPDF化してOCLCの書誌からリンク貼ってたどれるようにする? あるいは簡易データベースを構築する?
・詳細は割愛しますが、簡易データベース化について具体の提案・紹介あり。課題は、レコードのフォーマットをどう整理調整するのか。そして、データ自体を各出版社から提供してもらえるのか。
・データの提供については出版社側からどれだけ協力を得られるかがカギ、という感じのよう。これがなかなか難しく、最終的には全部紙でめくっていくから研究力がつくんだ的な話も出るくらいで、21世紀も1/6が過ぎそうな頃にそういう議論というのはどうなんだろう。(ほんとはいまごろ本文のほうがネットで見れてていい頃合いでは)
・以下、egamidayさんの意見。この問題、つまり全集多巻ものの内容索引・目次情報がデジタルのかたちで検索できない状態にあること、というのはそもそも、日本側の未整備の問題であり、日本の図書館業界こそが率先してリクエストの声をあげるなりあるいは解決に取り組むべき問題であって、デジタルヒューマニティーズだなんだと言って画像だ研究データだwikiだと上げていくのもさることながら、このくらいの基本的な書誌情報整備は我々がちゃんと責任もってやっていかなきゃダメだろうと。なので、この文脈に限らないで、もっと広く日本の図書館コミュニティを巻き込んで議論できないか。
・それと、たぶんだけど、これの解決方法は唯一の何かに収斂していくものというわけではないだろう、CiNii ArticlesやNDLサーチやNDLデジタルコレクションという解決かもしれないし、NACSIS-CATのCWの問題かもしれないし、ディスカバリーサービスかもしれないし、オープンデータのコミュニティかもしれない。だからこそ、問題を顕在化させて多様な眼に触れさせるステップが必要なんじゃないか、と思う。
・という上記2点を組み合わせた結果、とりあえず「カレント・アウェアネス」に記事書かせてもらったらどうか、という提案をしたんですが、どうですか>関係各位。あるいは「人文情報学月報」さんに。
・あと細かい点では、データベースにするならツールとして汎用性のあるものに、ていう。
・11時近くまで議論して、終了後数人でホテルのバーでねぎらって、Uberで宿所に送ってもらって、12時くらい。おつかれちゃん。

posted by egamiday3 at 23:24| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

CEAL2016のメモ その2・日本研究ライブラリアンの集まり

 CEAL2016@シアトルのメモ、その2です。
 日本研究ライブラリアンの集まり、公式プログラムが3件と、インフォーマルなのが2件。

 以下に登場するNCCとCJMですが。NCCは、North American Coordinating Council on Japanese Library Resources(北米日本研究資料調整協議会)。CJMはCEAL内の日本資料委員会、Committee on Japanese Materials。ざっくり言えばどちらも北米の日本研究ライブラリアンのコミュニティ。


 以下が公式編。

●NCC/CJM Joint Session (3/30 19:00-20:00 + 20:00-21:00頃)
・“Updates from Japanese Partners: the National Institute of Japanese Literature and the National Diet Library”
・小分科会的なセッションで、NCC・CJMが合同で持つ日本研究司書向けの企画。
・NDLから、ILLサービスについての概説。e-ラーニング教材や海外日本研究司書研修について。それから地図のデジタル化事業の紹介、など。
・国文研の山本先生から、例の事業、「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」について、概要紹介。
・なお、公式セッション企画のあとさらに1時間ほど、有志で集まってアンオフィシャルにミーティングが持たれて、主に国文研の事業について具体的な質疑応答や議論がなされる。アンオフィシャルなやつなので具体的なことは割愛しますが、北米図書館側はこの事業への連携提携を具体的に進めよう進めよう手を挙げようと望んでいる様子。国文研側の考えとしては、事業名にもあるようにこれは共同研究ネットワークの構築だ、という感じなんだなという印象でした。
・まあいずれにしろ、ヨーロッパ(2015年秋ライデン)でも北米(2016年春シアトル)でも、国文研さん超大人気、超期待大、ていうのがありありと見てとれました。

●Committee on Japanese Materials (3/31 15:15-16:15)
・CEALの日本資料分科会。二の丸。「Recent Developments in Japanese Higher Education: Politics and Policies in Japanese Universities」と題す。
・『右傾化する日本政治』(岩波新書)の著者、上智大学・中野晃一氏による「Historical Revisionism as Official Policy: Crisis of Academic and Press Freedom in Japan」という講演。どうなっちゃうんだろう、とため息がきこえる感じ。日本の図書館ではニセ歴史書?の類はどう分類してる?という問いあり。
・われらが永崎さんの講演、「Crisis of Humanities in Japan」。少子化、財政難。中期目標中期計画。科研費中の人文社会系の割合の少なさ。大学院重点化によって急増したのはおおむね理工系? 現在キーになっているような官僚が、勉強しなくてよかった大学時代を過ごしたから、という説にちょっとわく。あと、無用の用論ではまにあわない説は、おっしゃるとおり。今後必要となる対応としては、理工系との学際性、研究手法の改善、オープン化・・・、そこでデジタルヒューマニティーズですよ、ってことかな?

●North American Coordinating Council on Japanese Library Resources (3/31 16:30-17:30)
・NCC分科会。本丸。「Digital Humanities in Japanese Studies Now: What's Next?」と題し、先ほどは日本からの研究者の講演っぽかったけど、今回は北米ライブラリアンの現場報告のような感じ。
・ケンタッキー大学のコンサベーター・日沖さんからの報告「Advancing digital scholarship in Japanese studies workshop」。2015年11月にハーバード大学で催された「Advancing Digital Scholarship in Japanese Studies: Innovations and Challenges」(http://guides.nccjapan.org/c.php?g=397542)というワークショップについて。
・ライデン大学・ナディアさんの報告。ライデン大学の東アジアコレクションと、ライデン大学図書館によるデジタル化事業について。デジタルヒューマニティーズのための教員・ライブラリアンを採用する、イメージ・リポジトリを構築する。日本資料で言えば、シーボルトコレクションやホフマンコレクションのデジタル化、など、かなり積極的な姿勢で取り組んでいる様子がわかる。ライデンって前からそういう土地柄だったんだろうなという気はする、たとえばIDCだってマインド的にはそうだろうし。
・ワシントン大学セントルイス校の小牧さんのプレゼンは、永井荷風とデジタルヒューマニティーズ。技術的問題、レファレンス的な問題、学術的な問題などなど。
・そして来年3月、トロントのCEALでは、2017/3/13-14にデジタル・スカラシップin Japan StudiesのワークショップをNCCでやりますとのこと。これは、期待・行きたい、です。


 そして以下が、非公式なの。ちゃんと企画立てて組まれたものもあれば、個人ベースで顔をつきあわせて話するといったものもあり。

●「Gaihozu Show and Tell」(3/29 12:00-13:20)
・外邦図を所蔵する北米図書館の司書などからなるグループによる、外邦図に関する自主的勉強会。
・ワシントン大学Suzzallo Libraryのマップルームにて。
・参加者は、北米のいくつかの大学の日本研究司書やマップコレクションの司書など。NDL地図部署の方も参加。またオンライン会議システムで大阪大学名誉教授の小林茂先生やスタンフォード大学のマップコレクションの主任司書の方も参加。

・外邦図について
・外邦図は、明治から太平洋戦争終戦までの間に、旧陸軍参謀本部の陸地測量部(現在の国土地理院)が作成した、日本の領土以外の地域の地図。満州・中国などの地図、当時日本の統治下にあった台湾、朝鮮半島、樺太南部などの地図が多い。主に軍事目的で作成されたこともあって、機密文書として終戦直後に多くが処分されたか、あるいは米軍に接収された。その一部が日本の大学図書館等に残り、また多くが北米など海外の大学図書館等に所蔵されている。
・国立国会図書館では約15000枚を所蔵(台湾、朝鮮半島、樺太南部、満州等)。ほかに、東北大学、京都大学、お茶の水女子大学、東京大学、広島大学、駒澤大学、岐阜県図書館など。
(参考)
・小林茂. 『外邦図 : 帝国日本のアジア地図』(中公新書, 2119). 中央公論新社, 2011.
・東北大学附属図書館/理学部地理学教室 外邦図デジタルアーカイブ http://chiri.es.tohoku.ac.jp/~gaihozu/
・外邦図(一覧) | 調べ方案内 | 国立国会図書館
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-601012.php

・日文研には、朝鮮総督府・陸地測量部による朝鮮半島地域の地図が約400点所蔵されている。タグ「外邦図」をクリックまたは下記URL。
 http://toshonin.nichibun.ac.jp/webopac/ufirdi.do?ufi_target=ctlsrh&srhclm1=tag&valclm1=外邦図

・勉強会で出た話
・スタンフォード大学マップコレクションでは外邦図を所蔵している。約10000枚、1940年代後半-1950年代前半。
・2011年10月にスタンフォード大学でシンポジウムが開催された(参照:http://www.let.osaka-u.ac.jp/geography/gaihouzu/newsletter9/
・GIS化は困難では(実戦経験の共有が少ないため)。
・国立公文書館や東北大学がデジタルアーカイブ構築を進行中。
・外邦図は長い間秘密にされてきたもの。臨時に作成されたもの、正確さに疑問があるものなどがある。地名の90%が間違っている例や、漢字が適当に作字されてしまっているものもある。
・外邦図が何に活用可能かは、今後の課題であるところが多い。
・全体像を把握するために、日米で資料とその情報の共有が必要。(その経緯から、アメリカにしかないものがたくさんある)
・外邦図の公開・閲覧システムの構築が必要。
・所在調査をするにしても、各大学のどこ/誰に問い合わせれば分かるかという問題がある。地図コレクション? 地理学? 日本研究司書? Goverment Document?

・egamidayさんの感想。外邦図を「外邦図」という視点だけでかためてしまうと、今度は同時期の他の地図とリンクさせた利用など、地図一般・史料一般としての利用ができなくなる/しづらくなってしまうのではないか。外邦図含めどの古地図もデジタル化・可視化させていく動きは必要として、「外邦図」としてはそれらをヴァーチャルにまとめる/ポータル化していく方向にもっていったほうがいいのではないか、という気がする。


●ILLに関するインフォーマルなミーティング(3/29 20:00-21:00頃)
・急遽、話をしないかと声をかけられて、Sheratonホテルロビーにて、夜、インフォーマルに。
・NCCのILL委員の方々、NDLのサービス系の方、NBKのサービス系の方(つまりegamidayさん)。
・おおむねNDLのILLサービスや図書館送信サービス等に質問・要望する感じのやりとり。
・GIF初期に、海外の図書館へは(図書館間送信に限っては)デジタル形式で複写を送信していいという合意がとれていたはず、との言あり。確かにうちとこでも過去にはArielで電子送信していた作業手順があるにはあったが、確認したところ、やはり著作権管理団体と国内大学図書館とによる”許諾資料”のみか。ただこれも人によって言うことが違う。要確認。
・他には、NBKとしてはとりあえず何かしら出来るだけの対応をするから、何かあればメールしてほしい、と宣伝(これは宣伝になってるか?)。
・結局どういうふうにすればILL受付って増やせるんでしょう、難しい。


 もうひとつミーティングがあったのですが、それは別途。

posted by egamiday3 at 23:09| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

CEAL2016のメモ その1・CEAL全体会


 CEALの2016年次大会@シアトルに行ってきました。そのメモです。

 CEALはCouncil on East Asian Libraries(東アジア図書館協会)の略で、北米の東アジア分野(中・日・韓)の研究図書館・大学図書館のライブラリアンたちからなるコミュニティです。毎年3月に年次集会が開催され、講演、パネル、ミーティングなどがもろもろおこなわれます。
 http://www.eastasianlib.org/CEAL/AnnualMeeting/Annualmeeting.htm
 
 その、参加メモです。
 おおまかにわけて、全体会、日本研究ライブラリアンの集まり(公式なものと、非公式なもの)、その他もろもろ、といった感じです。

 まずは、その1・CEAL全体会、の巻です。


●Plenary (3/30 10:00-17:00)
・CEALの全体会。基調講演、パネル、ディベート等。シェラトンホテルの中広間くらいのスペースに、参加者全員が列席している感じ。おおむね、聞いてる、という。
・Business Plenary。退職者、新任者の紹介など。

・Presidential Panel: East Asian Studies Librarians: Moving beyond (job) boundaries.
・Yunshan Ye(Johns Hopkins University)。3大学(Johns Hopkins University, George Washington University, Georgetown University)による共同webアーカイビングプロジェクトの紹介。中国のブログ・マイクロブログの類を保存していく。「Chinese Social Media and Anti-Corrupution Campaign」https://archive-it.org/collections/6314
・イェール大学の中村さんからはデジタルヒューマニティーズのスペシャリストについて、イェール大学での手鑑帖プロジェクトその他を踏まえてのスピーチ。一次資料の取り扱い、データの取り扱い、プロジェクトマネジメントスキル、何を知らないかを知ること、そしてとにかくコラボコラボコラボ、といった感じ。
・Hyoungbae Lee(Princeton University)。「Collective Subscription of Korean Databases」では、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ということで、プロバイダーを知ること、商品を知ること、トレンドを知ることが語られている。確かに、本当に必要なこのことをどれだけちゃんとできているか、ということだなと。また己を知るという意味で紹介された"Handbook for Korean Studies librarianship outside of Korea"は自分にも聞き覚えがあった、eastlibで紹介されてたか何かかな。国立中央図書館が運営する、韓国研究司書の情報共有のためのウェブサイト:INKSLIB (International Network for Korean Studies Librarians)で提供されている、韓国研究のために必要な資料収集、整理、参考情報源等に関する情報を英語で提供するハンドブック。これはちょっと参考にすべき。
・質疑応答で、タイムマネジメントとプライオリティについて、ていうか、みんなすごい忙しいはずなのにどうしてこんなにいろいろできるの? という実に万国共通な疑問(悩み)が問われてて、答え「忙しいから誰かに放り投げるために、コラボが必要なんだ」と。まあそうですね(笑)。

・Plenary: Panel II。「Conflict of Interest and the East Asian Studies Librarian: Employer in “the west”/ Vendor in “the east”」と題した、ワシントン大学の教授や理事による講演。異文化と労働とビジネス関係とが哲学的に語られている感じ。そういうことを常にしながらにならざるを得ないんだろうなと。ただまあ詳細は、お察しください。

・CEAL Debate。「東アジアコレクションは、多分野と統合した図書館たるべきか、独立部署たるべきか」的な命題で、CEALの現チェアと次期チェアとがディベートをします、という企画。手順がっつりのディベートというよりは、現チェアがスピーチします、次期チェアが反対意見をスピーチします。会場から何人かが質疑応答マイクに立って、両人がそれに答えます。時間が来たら、どっちの意見に変わった人が多かったかを挙手でカウントして、次期チェアが多くを説得できましたね、あなたがやっぱり次期チェアです(笑)的な感じ。というようなカジュアルで自然な流れのディベートを見て、あ、やっぱりこの国の人たちは議論という行為を相当当たり前のようにやりなれて生活してるんだな、という感じでした、そこが一番勉強になったかもしれない。

・Plenary: Panel III。「Perspectives on the Roles of East Asian Studies Librarians: Reports from the Field」。
・UCLAのTomoko Bialockさんから、「A Tale of “The Hentaigana App”: Assisting Wahon (Premodern Japanese Books) and Digital Literacy in Japanese Studies」という題で、早稲田大学とUCLAが共同で開発した変体仮名学習アプリの紹介。http://alcvps.cdh.ucla.edu/support/
・Haihui Zhang(University of Pittsburgh)「Are We on the Right Track? - EAL Librarians' New Role in Digitizing Humanities at PITT」。デジタルヒューマニティーズのプログラムやプロジェクトの類に、図書館がどのような位置づけをとり、ライブラリアンがどのような役割を提供すべきか。Proactive-Reactive x Provider-Partnerというマトリクスと、結論のTossed Saladという比喩がわかりやすいか。


●CEAL/NCC全体の感想
・CEAL/NCCへの参加は9年ぶり2回目なんだけども、9年前と比較したら、人数的にも勢い的にも韓国系の存在感ががっつりしてた。9年前のハーバード滞在の時も5年前の本棚の中のニッポン取材であちこちに行った時にも、「いまはまだ韓国語蔵書少ないけどこれから増えていくだろう」みたいな未来予想図的なお話をどこでも聞いたんだけど、いまそれがはっきりと現実になっている様子がありありと見てとれた。たぶん日本の勢いと同等どころか押され気味。一番おおっと思ったのが、全体会の事務連絡のターンの時に、コリアの何とかのファウンデーションからインターンが来てます、って紹介されて、年若いインターン生が4人も参加しに来てたところ。外へ外への姿勢というか気合いの入り方が違うもの、って思た。
・全体会の感想。参加しているのは中国系でもあり韓国系でもあり、ジャンルや専門や得意分野、居住地、経歴やバックグラウンドもさまざまで、そんなさまざまな人たちが”東アジア”の”図書館”という同じテーマのもとであやこやディスカッションしている、そういう話を朝から晩まで通しで聞いてきて、その印象をざっくりと言うと、ここに来ている全員が、ライブラリアンの新しい役割と今後の活動指針はなんであるかを、考え、語り、知りたがっている、という感じ。そして、その新しい役割や活動指針なるものは、おおむねだいたいなんとなく同じことだろうなということがみんな肌感覚ではわかってるんだけど、では具体的にはいったい何をどうすればいいのか、何をすればそれが成就するのかしないのか、実践例は、その釣果は、ていうのをみんなが大なり小なり模索しあい報告しあいをしている。そういう、各自のself developmentの持ち寄りがここにあらわれているんだな、という感じ。フロンティアのつばぜり合いみたいな感じ。もちろん何をどうするかというのの具体のかたちや結論はそれぞれちがうでしょう、例えばそれはデジタルアーカイブやデジタルヒューマニティーズであったり、教育プログラムへの関与であったり、新たな特殊コレクションの収集・構築であったり。人によっても、がっつり取り組んでるぜっていう人もいれば、懐疑的な人もいる。タイムマネジメントやプライオリティはどうしてるのか?という問いが何度か聞かれたので、わかってるけど体がついてこない的な悩みは万国共通的に皆持ってはるんだな、という感じでした。まあどれをどうするのが正解かはわかんないし、それがわかるのが5年後・10年後だとしてそのころにはまた新しいサムシングを追ってるんだろうしな。
・そこに統一した正解はないとしても、共通しているのはたぶんself developmentかなと。専門職としての司書が、やらなあかんことのために、常に必要な研鑽を、勉強を、と思うんだけど、その勉強というのはstudyというよりはself developmentでしょう。
・そしてやっぱりCEALは、というかアメリカのライブラリアン界隈は、いい。アメリカのライブラリアンから、なまった魂に水をジャブジャブぶっかけられて、気持ちを新たにさせられた感じ。これで新年度を迎えられるのはなかなか縁起がいいです、がんばります。



posted by egamiday3 at 22:41| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月24日

4月からの新環境で発症しがちな”時差ボケ”とそのしんどさ


 4月から新しい場所や環境でお仕事や生活をなさる方も多いと思います。それは、大学を卒業して就職するとか進学するとかかもしれないし、人事異動や退職・転職でお仕事が変わるとかかもしれない。
 そういうときの話、背景が桜色に染まって時折狂気じみた咲き誇り方や舞い散り方をしてる時節柄の話ですけど。

 いままでと一番違って、そして気持ち的にしんどいののひとつは、自分がやることへの成果・評価のあらわれというものが目に見えて出るまでに、これまでよりもえらくえらく時間がかかることじゃないかと思いますね。え、あれ?っていうくらい、時間軸が歪んでるんじゃないかと思うくらい、時間がかかる。
 学生時代だと勉強したことの評価は講義時間中か翌週、学期中には返ってくるし、尺が一年くらいの取組でも都度都度先生からのリアクションがあるけど、業務だと到達目標がいままでの時間軸にない遠いところにあったり、評価のゲージというか枠みたいなのが自分の年齢を軽く超えてたりする。これは10年20年勤めてる人でも別の場所・環境に移ったりすると同じことで、たとえば図書館職が専門職であるとするならばその専門性を身につけた人なら別の図書館に移っても務まって当然、そういうのを専門職と言うはずなんですけど、いや、だとしても、どんな職場にも必ずローカルなルールというものがありローカルなコンテキストの中で切り盛りされているわけなので、それを獲得するのに時間はどうしてもかかってしまうという。
 学友同士のLINEのやりとりくらいのテンポで得られてたような成果・評価が、急に、年一の年賀状のやりとりでの近況報告くらいの時間感覚でしか得られなくなっちゃうし、手応えがない。そりゃ焦りますよね、そしてかなりしんどい。腕をふりまわしてもふりまわしても成果・評価が目に見えてあらわれない、暗闇で天井の蛍光灯のひもが見つからないみたいに、ぜんぜん手応えがなくて、焦ってるっていう。そういう、あるある。

 でもそれは、時間がかかってるだけなんで、無いんじゃないんですよね。

 やっぱ人間なんで、自分がやることへの”見返り”というか返報性みたいなもんが、わかりやすく目に見えて出てこないと不安になりますから、時間がかかってると、え、”見返り”無いんじゃないか、て錯覚しちゃうんだけど、大方は無いわけじゃない。
 しかもこれは”あるある”なんですよね。時間がかかって手応えがなかなか得られないのは、「新しいところに行った時あるある」。”あるある”、ですからつまり、誰がどこに行っても発生することであって、自分自身や自分がいるその場所特有のことでもなければ、自分に原因があるわけでも自分が悪いわけでもない、”あるある”です。なので強いて自分を責める人もいるかもしれないけどその必要はなく、ああまあ、そういうものだ、ていう理解で当面の応急措置としてはいいと思います。

 自分の体内時計と外界の時間感覚にズレがあるという意味では、これはある種の"時差ボケ"なんだろうなと思いますね。時差ボケってつらい、ほんっとつらい、まわりがキョトンと蛙の面してるぶん余計につらい。
 こういうときの時間って味方にもなり得れば敵にもなり得るし、そしてどっちにしろ所詮あらがえないという、やっかいなものだなと思いますね。

 まあ、できるだけ早く治癒したい場合の処方としてはじゃあ、それが汎用性のあるルールなのかローカルなコンテキストなのかの切り分け・見定めをつけるとか、いろいろあると思うんですけど、でも結局、時間感覚が歪んでるのが一番の原因なんだとしたら、時間に解決してもらうしかないところがどうしてもあって、結局風邪ってあったかくして寝てるのが一番の治療なんですよ、ていう感じになっちゃうので、時間の経過によって歪みが歪みじゃなくなってくるまでは、あまり気に病んだり無駄に腕ふりまわしたりせずに、好きなことの勉強とかでもしてエネルギーチャージしたり、外界に出れる機会に外界に出てって将来のためにポイント積立てていったり、陣取りゲームのポータルにあたるようなものを獲得してったりしてたらいいと思いますね。

 その、自分がやることへの”見返り”というか返報性みたいなもんが、わかりやすく目に見えて出てこないと不安になる、ていうのは、経験年数が少ないときほど不安強く思いますね。
 図書館とか大学図書館にお勤めになって数年目くらいの人と話してて、よく聞くのが、「何かしらの専門性を身につけたい」ておっしゃるんですよ、それは図書館職に専門性があるかどうかという話は別としてここでは、図書館職として勤める中でも例えば医学分野とか資料保存とか、メタデータとか学修支援とかe-resourceとか、そういう、何かこれっていう特化したものを身につけたい、自分に看板というかタグが付けられるようなものがあらまほしい、ていう。そういう話を聞くと、うん自分もそう考えてたな、と思うと同時に、でも何かしらの違和感というか大丈夫かなそれ?という一抹二抹の不安めいたものもあって、なんだろうと考えてたんですけど。
 自分がそうだったころのことを思い出すに、たぶん、これっていう何か特化したものを身につけたいというのは、自分がいまだ何者でもなく評価の手応えがないという不安の裏返し、みたいなものじゃないかなと。だから、経験年数が少ないときほどその不安は強いし、専門性欲しさも強くなる、そりゃそうか、専門性というのは評価獲得のショートカットみたいなもので、時間軸を自力で短縮方向に歪めにかかることができるから、それができるならありがたい。

 でも一方であやういのは、自分もまあまあそうだったんですけど、「これを特化して身につけたい」から「それだけをやっていきたい」みたいになっちゃう、タグや手札を増やす方向じゃなくて、削ぎ落とす方向にいっちゃう感じのやつで、言うたらこれも同じく不安の裏返しだなあと。自分で自分の可能性をある程度狭めてしまわないと、成果・評価という見返りが得られるかどうかもわかんないような状態、それがいつまで続くのかわからない”時間の長さ”が不安だし、満たされない(かもしれない)空のグラスはできれば手放して、満たされたグラスの方を受け取りたい。
 よくおっさんが若い人に、可能性が無限大にあるのが若者のすばらしさだ、特権だ、みたいな昭和の若大将みたいなステレオタイプな説教したりすることあると思いますけど、あれ、逆にだからこそ自分である程度カットしていかないと、いつまでも見返りが得られるステージに到達できなくてしんどくてやっていけない、ていうところもあると思うんですよね。自分は正直、そっちの気持ちのほうがわかります。しかも見返りのテンポもLINEよろしくぽんぽんと速効性であらまほしいから(注:LINEよく知らないです)、自分のやってることへの成果・評価がすぐに目に見えてあらわれないとどうしてもイライラしてしまう。そのテンポを速めたい、無駄を削ぎたい、選択肢を豊富に持つ者の特権としての”あきらめる”を贅沢に行使したい、というのがぐにゃっとなった結果として、だから年若なほどむしろ頑固だったり視野が狭かったり限定的な物の見方言い方をする、ということはよくあると思うしよく見かけるし、だったらその純粋なのめり込み方のほうが若者の特権なんじゃないの、と思ったりするので、おっさんは無責任に若者に自分の可能性の無さの夢を託したりしないほうがいいです。

 ただ。選択肢を豊富に持つ者の特権としての”あきらめる”を贅沢に行使したい、というのはその一時は鬱憤が晴れるから気持ちとしてよくわかるんだけど、見返りが見えづらい得られづらいから不安、というのも、だから"あきらめる"を行使したいというのも、それも結局”時間の歪み"が影響してるだけの"時差ボケ"の一種なんで、そういう意味ではあまり気に病んだりヤケになったりしなくていいんじゃないかなと思いますね。我慢しろ、なんて言葉は嫌いなので口が縦に曲がっても言いませんが、こう、自分の時計の尺度を長めにのばして構えてみる、ていうやわらかさみたいな。なにより、そういうやわらかさを持ってないと、自分を追い詰めるかそうでなければ、他人の原動にやたら厳しいココロトゲトゲくんみたいになっちゃうのであまりいいことないですよね。

 例えば、自分のやりたいこと好きなこと期待していることや理想形があって、それが体内時計に寄り添ったかたちで得られないと、無いものと誤解して不安になる、あきらめる。
 いや、本当に好きな相手なら、見返りまでの時間に歪みがあっても期待通りの時間感覚で物事が進まなくても、イライラしたり気にしたりせずに、堂々と胸を張って好きなままでいていいんじゃないかな、って思いますね。簡単を望むからしんどいんじゃないかと。簡単ではないとしても、それを好きだから好きだでいいし、理想は叶おうが叶うまいが堂々とずうずうしく理想のままで曲げずに持っていればいいし、好きでいちゃけないとか理想を持ってちゃいけないなんてこと誰も決めてないし。そこは自分本位で。自分本位制で。ドルか金塊にでもなったつもりで。たかが時差ボケで自分を卑下したり何かを手離したりする必要はないんじゃないかっていう。

ていうのが、諸々のタイプの時差ボケへの対処かなという感じなんですけど、かと言ってもちろん、その症状が時差ボケ程度ではないずっとずっと重篤な、その環境が発するブラックな排ガスか何かにさらされてるおそれもあるわけなんで、あれ、これ時差ボケにしては症状きつくないか、長くないか、と思ったら、こんなへっぽこブログ読んでないで早めに専門医にご相談ください。ただしただし、そこまでの踏み入った相談の段階になってまでもまだ、それは時差ボケだからしばらく我慢してなさいという応急措置的な精神論しか言わないような組織や上役は、それは専門医ではなくPL剤出しときますねしか言わないおクスリ医者と同じなので、早めにその場所から立ち去る準備はしたほうがいいと思います。

結局人間って誰もが、場所と時間の中で生きているので、時間の流れ方にあらがえないのと同様に、場所や環境が発する影響も受け続けざるをえないので、時間が解決しないような問題であれば場所・環境を変えなきゃしょうがないんじゃないかと。

※個人の感想です。効き目には個人差があります。

posted by egamiday3 at 07:45| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月27日

コスパとキャパ : 或いは、うちとこのサービス小論


・未来食堂
 http://miraishokudo.com/
・未来食堂日記(飲食店開業日記)
 http://miraishokudo.hatenablog.com/

 去年の末頃に「未来食堂」さんというところの紹介記事が出てまして、それをいくつか読んでました。
 一番気になったのは、「あつらえ」(お客が材料を選んで好きな料理をつくってもらえる)のとこですね。

-----------------------------------------------------
・あつらえシステムの解説マンガ
 http://miraishokudo.com/img/manga_atsurae.png

・メニュー1つ、お酒はシェア 元クックパッド社員の食堂:朝日新聞デジタル
 http://www.asahi.com/articles/ASHDV6W3KHDVUTIL02C.html
「「卵とミニトマトが食べたい。ふわふわな感じ」。約5分後、ざく切りのミニトマトをくるんだだし巻き卵が出てきた。
 常に10種類超を用意しているというメニュー表の食材を選んで注文できる「あつらえ」というしくみ。午後6時から注文でき、一品400円。女性は「どんな料理が来るのか、考えながら待っている間がわくわくしますね」と笑顔だ。
 この日の定食は唯一のランチメニューでもある900円のチキン南蛮。メニューにある食材はキャベツ、ゴボウ、ユズ皮など15種類。」

・元・エンジニアが営む“定食屋のスタートアップ”が、飲食業界の定説を覆す!?|PR Table
 https://www.pr-table.com/miraishokudo/stories/24
「「個人の要望に応えて作るなんて非効率だ」と思うかもしれませんが、実際は非常にロスの少ない、飲食業界の定説を覆す、画期的なビジネスモデルになっています。
 「固定されたメニューにすると、1個食材が足りないだけで買い出しに行く必要があったり、どこかで必ず破棄が出ます。でも『あつらえ』は、今日の冷蔵庫の中身を紙に書けばメニューが完成します。あるもので作るので売り切れのメニューもなく、在庫もゼロ。残った食材は次の日のおかずにも使えます」(小林)
 つまり、その日のお店の冷蔵庫に入っているものから食材を選んでもらい、それを使って調理するだけ。未来食堂のロス率はほぼゼロに近いと小林は語ります。」

・元クックパッドのエンジニアが起業 飲食店の常識を覆す「未来食堂」 | 月刊「事業構想」2016年1月号
 http://www.projectdesign.jp/201601/chance-in-mature-industry/002618.php
「オーダーされたものを作る手間暇は、並んでいるメニューから注文されることと変わりません。一方で多くのお店は、メニューが多いほど満足度が上がると考えます。すると、それぞれの料理に合った食材を揃えるため、食材のロスも多くなります。『あつらえ』は、店にある食材を書いているだけです。無駄がないし、メニューから頼むよりも自分のために一品を作ってもらうほうが、満足度が高いと思いませんか?」

・数学科卒エンジニアが「食堂」を起業した理由 | ハーバービジネスオンライン
 http://hbol.jp/69606
「あるもので作るので、在庫を抱えるリスクが減るんです。メニューを増やすことがお客さんに投げるボールを増やすことだとすれば、『あつらえ』はお客さんにボールが当たるところまで来てもらう感じですね。」「店の在庫や私の余力がフレームワークとしてあって、その上でお客さんの要望がその状況に合致するなら『あつらえ』られるというイメージでしょうか。お客さんの要望や行動をリクエストとして捉え、最適なフレームワークを組み立てることで質の良いレスポンスを効率的に返す。」
-----------------------------------------------------

 あつらえのほうがロスが少なく効率的、あるものを提示するだけ、というのはよくわかります。
 知ってる方はご存知の通りここは”図書館バカ”のブログなので、図書館も似たようなところあるんじゃないかな、という話になるわけですが、これを例えて言うなら、図書館が利用・サービスのためのルールをつくればつくるほど、それに縛られて効率が悪くなっていくのは職員側のほうじゃないか、という直感です。

 うちとこは蔵書52万冊、建物4棟×3フロアで、サービスまわりの職員が4人こっきりです。出張先で登壇するときは「私ここに来てますから、いま3人でやってます」て毎回言います。しかも5年前までは建物2棟でした、5年でスペース倍に増えてフロアスタッフ4人のままです、これも定番ネタですが。
 まあそういう愚痴は置いておいて、要は人員きつきつでやってる。ので、例えばおひつから自由によそってもらうかのように、内部の人にも外部の人にもほとんどの蔵書を開架にして自由に使ってもらう、まあ良し悪しは別にしての放置プレイですけど、で、たまによその図書館から来た人に「え、こんな古いの開架なの」て驚かれることもあります。

 一方ユーザさんのほうは、内部利用者がほとんどで対象者100数十人で外部の人もそう多いわけではない。そのかわり各分野の専門の研究者、学生も博士課程以上ですから、求めるものの難しさや複雑さがわけわからなさが半端ない、ということになります。その道の専門の先生が調べて調べて調べて、わかんなかったからって投げてくる。まあ、毎回毎オーダーが、オーダーメイド、みたいになりますから、ゼロから相手の話を聞いて何を欲しているかろ理解してできることを相談してっていうお話し合いからやらないといけない。

 スタッフも少人数、ユーザ数も小規模、オーダーの個別度が高い。そういうところで、例えば不特定多数のユーザが来館してだいたい定型な用向きを満たそうとしにくる規模の図書館さんがやるようなルール作り・様式作りみたいなのって、結局あんま有効に働くこと少ないよな、っていうのがこれまでの自分の直感です。意味ないとか不要とかでは決してないんだけど、コストパフォーマンスで言えば低いな、っていう。

 そのことにあらためて気付かされるのが、よそさんの大学等から来館や遠隔でうちとこを利用しようとしていらっしゃる外部ユーザさんとやりとりをするときです。
 人文系で大学その他に所属されている研究者で、頻繁によその図書館にあちこち出向いて行かれているであろう方の中で、たまにいらっしゃるのが、こちら(図書館)側のルールに先回りして合わせに来よう来ようとする方です。例えば、カメラ駄目なんでしょうね、コピー駄目なんでしょうね、本棚見せてもらえないでしょうね、みたいに。こちらが何も言わないのに禁止事項や制限を確かめにくる方とかがいて、なんだろう、よその図書館で相当イヤな目に遭ったのかしらって思います。あきらめないで、って真矢みきみたいに思います。または、まだ何が必要ということもおっしゃらないうちに、最初から提出書式や手続きの情報を求めにいらっしゃったりするとか。それは、自分もユーザ側にまわる時はそうなりがちなんで気持ちはわかるのですが、図書館をこれまである程度使ってきてる人ほど、自分のリクエストを図書館側の枠組みに無理にあてはめようとしはるんじゃないかなって思いますね。
 それでたまに起こるのが、最後の最後のほうになって、あ、コピーがほしかったんですか、全体の写真がほしかったんですか、だったらカメラもスキャナも使ってもらって良かったでしたのに、ていうか来館なさらなくてもこっちから現物なりコピーなりちゃちゃっとお送りできる方法いくらでもありましたのに、ていう。それはもちろんうちとこだって無理なものは無理、断らざるをえないところは断るしかないんですけど、こういうことができます、こういう方法も選択肢もなんなら裏技もあります、みたいなことって、相手の最終目的というか要するに何をしたいのかがわかんないと、こちらからは提案しようがなかったりしますね。

 なので、あれ、このお客さんなんかありそうだな、と感づいたら、えっと、すみません、それはともかく最終的には何をどうなさりたいんですかね、ていうのを率直に語ってもらう、解きほぐしてもらうことをしたりします。うちとこの先生にもよそさんのお客にも、とりあえず、何が見たいのか、それをもって何をしたいのかを、まずそのまま言ってほしい。上の記事で言う「お客さんにボールが当たるところまで来てもらう」、かな。それで、できないならできないって言うし、できなくても代わりにこんな方法ではどうかというのもできるだけ寄り添ったかたちで率直に提案できる。
 そのほうが、最初から少人数でしかないのに、あれもあるかもしれないこういうことも起こるかもしれないと我々側が先回りして”サービス・メニュー”みたいなのを構築する、というコストをかけるよりは、いいと思うんですね。特にうちとこみたいに、要求がみなさんバラバラで、1個1個がディープ、資料や図書館をある程度使い込んでる人が多いし、その専門の資料の中身や特性や取り扱いについてはお客側のほうがよっぽど精通してはる、イレギュラーな対応がレギュラーみたいにならざるを得ないというようなところで、お仕着せのメニュー提示しても無駄になることが多いというか。これが食品だったら大幅ロスだろうという。

 もちろんうちとこにも組織としての規則はありますし、運用のルールもありますし、それを利用案内にもwebサイトにも書いて提示してはいますからそのへんはよその図書館さんと同じではあるんですけど、なんていうんでしょう、正直言うと、よっぽどの必要最小限のルールやさすがにそれは無理というようなこと以外は、十中八九がケースバイケースになっちゃうから、あんまりつべこべ掲げてもしょうがないんですよね。結局、ものによります、場合によります、何をなさりたいかによります、になっちゃうので。
 だからネットにOPACやデータベースを公開することでこれこれがありますって言って、何がしたいですかって聞いて、それはできます、それは時間がかかります、これは無理です、かわりにこうでどうですか。結局はそれが手っ取り早いんじゃないかと思います。
 というわけなので、webサイトにいろいろ利用のための要領は掲げつつも、あちこちに「事前にご連絡ください」「個別に相談させていただきます」「詳細はご相談ください」「対応が異なります」とうるさいくらいに書いてますね。海外の方にはもう「JUST E-MAIL US」だけ強調して言ってます。とりあえず言ってみろと。とりあえずメールくれと。話はそこからだと。
 なにより、せっかくうちとこみたいな辺鄙なところにわざわざ興味を持って/必要があってモーションかけて来てくれるような奇特なお客さんに巡り会えた僥倖なのに、右から左のルーチンで処理してる場合じゃない、ちょっとつかまえてあれこれお話をうかがう、どんなリクエストがあるのか、どんなニーズがあるのか、どういうことをやってる人がどんな経緯でもってうちとこの扉をノックノックしてくださってるのか、というユーザ理解ポイントがそれによってゲットできるのであれば、あつらえの対応なんかコストでも何でもないだろう、て思うんですよね。

 ただし、です。

 それが通用するのは、ユーザやリクエストの「バリエーションは多い」としても「数・規模は大きくはない」場合にのみ通用することです。
 そうです、よくわかってます。ようするにうちとこだからできる範囲のこと、というだけのことです。ユーザの多くが内部利用者で数字上の対象者が100数十人、顔と名前と専門分野とIDを暗記できてるレベルの規模で、外部からの来館者も1日2桁いくことはそうそうない。だったら上のやり方のほうがコストがかからないかもしれない。
 でもこれが例えば単純に倍になれば、まあまず無理だと思います、あきらかにキャパ・オーバー。不特定多数ユーザの、定型な用向きを満たすための、ルール作り・様式作りを先回りしてやらないと、とてもじゃないけど回していけない。

 ”あつらえ”が効率的でコストもロスも低いからといって、その分キャパシティーを上げられるかというと、そういうわけではない、ということだと思います。
 コストパフォーマンスと、キャパシティーというのは、たぶん別系統の問題として議論・検討されるべき問題なんだろうなと。

 未来食堂さんの別の記事では、「2号店、3号店を出すようなイメージはない」「座席が増やせるわけではない」「私のあつらえと他の人のあつらえは違うし、それぞれの魅力がある」(http://nipponmkt.net/2015/12/23/takurami28_miraisyokudo_kobayashi04/
)というようなことが書かれてます。また、記事が出たころはお客が増えたのか、「1月になってから来てもらったほうがいい」みたいなことも書かれてたみたいです。

 で、ここで誤解したくないのは、キャパ・オーバーするからオーダーメイドはすべて却下、というわけではないよなということです。コスパとキャパは別系統の問題、それぞれの規模によって適したやり方が異なるにちがいないので、うちとこにはうちとこにふさわしいやり方があるというだけだし、またうちとこでうまくいってた/あたりまえであったやり方をよそにいってそのまま適用できるわけでもない。あつらえやオーダーメイドができるしふさわしいところではそれをやったらいいし、そうじゃないところはそうじゃないし、未来さんとこだってメイン1メニューだからこそできることもあるんだろうし。例えば同じ館内でも、このタイプのサービスはルーチンじゃないと無理だけど、このあたりのサービスはオーダーメイドでいけるみたいなことってあるんじゃないか。まあそれこそケースバイケースだろうな、という感じです。だから、うちはそんな余裕ないから無理だよみたいに、あきらめないで、って真矢みきみたいに思いますね。あきらめなきゃいけないって誰が決めたんですか、って。

 というふうなことを、未来食堂さんに関する記事を読んでなんとなく考えてたんですけど、とはいえ、自分は経営やマネジメントや政策科学の専門家でも何でもないからこの考えがあたってるかどうかなんてわかんないし、そもそも未来食堂さんに行ったことすらまだないから、この考えに未来食堂さんを引き合いに出しちゃったりするのがあたってるのかてんで的外れなのかもわかんないので、その程度の感じです。
 とりあえず次に東へ向かう列車に乗ることがあればいの一番にごはん食べに行ってみたいと思います、そしたらもしかして考え変わるかもですが。

posted by egamiday3 at 17:31| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月24日

(メモ)川北稔『世界システム論講義 : ヨーロッパと近代世界』

世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫) -
川北稔『世界システム論講義 : ヨーロッパと近代世界』 (ちくま学芸文庫) -

・現代のアジアの発展は、古代のアジア諸帝国の価値観が復活したものでなく、本質的に近代ヨーロッパが生み出した物質的価値観でしかない。
・イギリスは進んでいるがインドは遅れているということはない。イギリスが工業化したために、その影響をうけたインドは容易に工業化できなくなった。世界の時計はひとつである。
・近代世界システムは、「世界帝国」ではなく、経済的分業体制=「世界経済」。

・ヨーロッパで人口が減少し生産が停滞し、パイを大きくするのに大航海時代へ。
・火薬によって騎士が弱体化し、権力が国家に集中し、国家機能が強化した西ヨーロッパが「中核」となり、弱体化した地域は植民地化される。
・ヨーロッパシステムは経済システムであり、政治的統合を欠く国家の寄せ集め。
・ポルトガルやスペインは、アジアでは既存の交易に寄生した。アメリカでは生産の組織化を展開した。アジアでは商業が発展を遂げ、ポルトガルもスペインも自ら新たな生産の組織化は必要なく参入するだけでよかった。ただし、アジアにはヨーロッパ商品のマーケットはなく、立場は脆弱だった。
・スペインはアメリカ植民地でみずから生産を組織化しなければならなかった。→「周辺」のプランテーションは、「中核」に銀・サトウキビのような世界商品を供給するシステム。
・日本の銀輸出量は年間20万キログラム。アメリカからの輸出のピークが27万キログラム。
・17世紀、「中核」からの経済的余剰が得られなくなり、ヨーロッパの世界経済が危機に陥り、パイの分け前をめぐる競争のため重商主義と呼ばれる保護政策がとられるようになった。
・オランダが世界経済のヘゲモニーを確立する。オランダは農業国でもあり、漁業国でもあり、造船業を確立した工業国でもあり、貿易の生命線だったバルト海を握り、商人貴族がうまれ金融市場となり、情報センターとなった。ヘゲモニー国家はリベラルな場所となった。
・イギリスは、貿易相手をヨーロッパ外に拡大し、ヨーロッパとアジア、アメリカ、アフリカをつなぐ交易のリンクの中心に座り、商業革命を成し遂げた。植民地のプランテーションで世界商品(タバコ、茶、砂糖、綿織物)を生産・輸入し、植民地側に購買力を与え、イギリス商品を輸出して生活をイギリス化させた(生活革命)。イギリスの商業革命によって、ヨーロッパにアジア・アメリカの商品が流入し、近代ヨーロッパ人の生活様式に変化が生じた。舶来品の紅茶に砂糖を入れるのがステイタスシンボルだった。
・コーヒーハウス。
・アジア・アメリカ・アフリカの物産を、輸入するだけでなく、国内で生産しようとして、産業革命が起こった。(綿織物工業)
・プランテーションによる世界商品のモノカルチャー地帯となった地域、サトウキビ生産のカリブ海地域などは、すべての仕組みが砂糖生産に向けられ、低開発地域となり、その影響が現在まで尾を引いている。/アメリカ東海岸・ニューイングランドは、ヨーロッパと同じ気候・産物でプランテーションはつくられず、森林資源を活かした造船が発達し、工業地となった。
・カリブ海では砂糖がとれたから奴隷制度があり、奴隷貿易を核とする三角貿易が、イギリスの産業革命の起源となった。
・植民地は、本国の社会問題(貧困・犯罪・家庭崩壊など)の解決の場とされた。
・すでに世界システムの中心にいたイギリスにとって、産業革命はそれほど大きな出来事ではなく、世界システム(中核と周辺からなるグローバルな分業体制)に構造的な変化をもたらしてはいない。
・フランス革命の「平等」によって、新しい差別がうまれた。低コスト労働の確保のために、人種・性別などによる差別がおこなわれた。それがイギリスによる世界システムに組み込まれた。
・アメリカは世界システムの「周辺」から脱却し「半周辺化」した。紅茶に代表されるイギリスからの投資・低開発化・生活様式・経済的従属からの脱却。
・産業革命はイギリス民衆の生活基盤を一変させた。店買いのパンやポリッジは朝食の時間を短縮させた。砂糖入り紅茶はカフェインとカロリー、熱。世界システムによって紅茶も砂糖も、下層民衆に普及し、工業化時代のイギリス都市労働者の象徴にまでなった。
・19世紀は移民の世紀だった。イギリスからアメリカ・オセアニアへ。東欧・南欧から南米・北米へ。サトウキビ生産の労働力はアフリカ系からアジア系移民へ。移民は、周辺労働力の再編成・配置転換。「周辺」での生産のための労働力の補給がおこなわれた。アジア内部でも世界商品プランテーションのあるところに近隣地域から大量の労働力移動があった。世界システムが全地球を覆った結果、システム外から労働力をもちこむということがなくなり、周辺同士で労働力を移動させた。
・逆に周辺から中核への移動もたえず発生し、スラムが発生した。ロンドンのイーストエンドに集まったアイルランド人やユダヤ人は縫製業のための安価な労働力となった。が、のちにアメリカのシンガーミシンが流れ込む。
・近代世界システムが地球全域を覆い、「周辺」開拓の余地がなくなり、成長できなくなり不況になり、アフリカ分割を契機に世界が「帝国主義」として、残された周辺化可能な地域をめぐる領土争奪を始めた。これがアメリカとドイツのヘゲモニー争いにつながる。

posted by egamiday3 at 21:56| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月21日

「春画展」@細見美術館に寄せて

 京都・岡崎の細見美術館さんで、ただいま春画展が開催されています。

 春画展 | 京都 細見美術館
 http://shunga.emuseum.or.jp/
 2016年2月6日〜4月10日

 うちとこ(日文研)から全部で40-50点くらいごっそり出してますので、見に行ってやってください。まあ全部ネットに画像あげてて全部見れる(http://db.nichibun.ac.jp/ja/category/enbon.html)んですけど、ぜひ、美術館でご覧ください。(映画館でご覧ください、のノリで)

 ああそうだ、全部ネットで見れるわけではなかった、一部に買い立てほやほやで、永青文庫さんにも出してなかったし、画像撮影も終わってないどころか目録取りすらおぼつかない段階で大急ぎで出したようなのもあるみたいです。そうでなくても永青文庫さんの時には出してなかった追加分が10点くらいはあったと思うんで、東京行っちゃったよ、という人もあらためて細見さん行くといいと思います。
 (永青文庫さんとの巡回展だとかそうでないとか言われますが、たぶんあとづけなので純粋な意味での巡回展ではないと思います(図録と展示品が合ってないとか)が、まあそのへんはどちらでもいい。あと、最初に細見さんでやるって聞いたのも一部報道からのニュースで初めて知ったっていうのもあるんだけど、まあそれもどちらでもいい)

 永青文庫さんのほうにも昨年末に行ってきましたけど、混み具合はたぶんいっしょくらいですがフロア自体がずっと広々としてるのでだいぶ見やすくはあると思います。正直、永青文庫さんのときは展示ケースもスペースもきつきつだったところが多くて、あれ、あんなにたくさん持ってってもらったのにこれだけしか出てない?て思っちゃったんですけど、細見さんのほうはでっかい展示ケースを広く使って、わりとたっぷり出してくれてる印象があります。
 それでも、2か月の会期中に展示替えターンが4ターンあって、リストを見ると、あ、まだ出してないの山ほどあるんだ、って思うんで、だんだん回し者みたいになってきてますけど、まあそれに近いんですけど、何回か行ったらいいと思いますね、まあ人多すぎて、1回見ただけではなんのこっちゃわからん、ていうのもありますので。

 特に絵巻物ですね。一枚ものや冊子のほうは、正直細部までじっくり見ようと思ったらそれこそネットで見るほうがいいところもあるかもしれませんけど、絵巻物については、ある程度の長さを気前よく展げて見せてもらえるのって、やっぱりこういう美術館での美術展ならではだとおもうんですよね、たとえば所蔵館で申請して貴重書閲覧というかたちで直に触れて見るとしても、それだってそんな長々と展げられるわけじゃないですから、こういう機会でもないと見られない、あられもない絵巻物の姿が見られるという、そういう物理的な圧倒さっていうのはやっぱありますよね。まあその絵巻物も、うちとこから出した新顔のやつが後期しか出なかったりするみたいなんで、やっぱり何回か(ry

 あとやっぱ目立つのは「袖の巻」だと思いますね、個人的にはあの子が一番好きです。縦13cm×横70cmという横長フォーマットの10枚組み、ていう。横長、て。まあ縦長かもですが。いずれにせよ、デザインの勝利だなって。書架に収納するのまあまあたいへんなんですけどね、あれ。まあ手のかかる子ほどかわいいという。色味もきれいだし。これもたっぷり出てますし、額装して壁掛けにしてくれてはる、ああいう角度で見るっていうのも閲覧室ではできませんので、やっぱりぜひ美術館で(ry
 あと、『女庭訓御所文庫』とか『医道日用重宝記』みたいな手習いや医療の真面目な本を、月岡雪鼎がパロディにして『女貞訓下所文庫』『艶道日夜女宝記』みたいな艶本を描いてるっていう、頭おかしいだろうと思うようなのがあるんですけど、それも、元ネタとパロディをならべて見せてるっていう、展示ならではのあれですね。あと、近江八景をパロったのとか。主人公が小さくなってあちこちのぞくというSF設定のラノベとか。どうしたいのこの人たちっていう。

 それにしてもフロア人いっぱいでしたけど、みんななんであんなに春画好きなんですかね、自分はどっちかというと苦手なほうなのであんまりその良さはわかんないです。業務で触れてるときも、正直きついっちゃあきついです。
 一番きついのはあれですね、出版社さんとかから問い合わせが来るじゃないですか、よそから出てたこの本に載ってたこの絵を使いたい、とかって。で、その本に載ってたっていううちの春画の絵のスキャンしたのとかがメールでくるんですけど、書名とか絵師名しか書いてなくて、うちにあるどの本の何冊目の何枚目?とかがわかんなくて探せないんですよ。しょうがないから書名・絵師名だけを頼りに一枚づつ画像ファイルを順に見て目視で照合しないといけないんだけど、1回メールで届いた春画の像を目に焼き付けて覚えないといけない、女性の顔と足がこっちを向いてて、男性の手がどこにのびてて、あれとこれがこうなっているポーズの絵、っていうのを網膜と脳の短期記憶メモリに刻みつける作業、あれが毎回精神を摩耗させるのでマジ勘弁という感じ。労災案件レベルの。
 さておき。でも、それでもうちとこの子であることに変わりはないですし、長年展示できなかった経緯も知ってるので、人いっぱいのフロアを見て、ああこんなにたくさんの人たちに見てもらえるようになってよかったねえ、とは思いますね。初めてその展示に立ち会った時(http://egamiday3.seesaa.net/article/393266102.html)の目頭の熱さほどでは、まあなかったですけど。(たぶん一番感動した春画展は↑これのときだった。)
 まあ、いまブーム来てるなっていうのはよくわかる、なんせこないだ数えたら、うちとこの子らが雑誌や書籍に載っけられたっていう画像枚数が、今年度4月から1月まで軽く1000枚を超えてたので、氾濫しすぎだろうとは思うんですけど、まあブームでなかった年でもこの半分くらいの数ではあったと思うので、

 会場近くには外国人観光客が爆列する平安神宮もあり、新しくできたスタバやあのツタヤ書店の入ったロームの京都会館さんもあり、京都府のセレブ司書が集まる京都府立図書館さんもあり、京都国立近代美術館さんでは志村ふくみ展、3月からは京都市美術館さんでモネ展、そして会期後半の4月に入れば疎水の桜が見事に咲き誇るという、観光にも憩いにもマストな立地ですので、ぜひ、美術館に足を運んでご覧ください。(注:1円ももらってません)

posted by egamiday3 at 10:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月01日

(メモ)「変化する大学図書館をもっと活用する」『IKUEI NEWS』


電通育英会. 『IKUEI NEWS』. 2016.1, vol.73.
「変化する大学図書館をもっと活用する」


●「あらゆる「知」を自在に操り、自ら学ぶ力を身につける
・「学生一人あたりの年間貸出冊数」(日本の図書館統計)
・「アクティブラーニング・スペース設置大学数の推移」「電子書籍の保有タイトル数」(学術情報基盤実態)

●「図書館は、大学の学習支援の中心に」(竹内比呂也)
・「教育・学修支援専門職」の養成のための、SDプログラムの開発
・学修支援は大学図書館員だけでなく、他の職員や教員や学生も巻き込んだ「学修支援チーム」として。
・匿名の漠然とした「図書館の人」ではコミュニケーションはうまくいかない、個人として認識されることも重要。

●「通読は書籍。幅広い検索は電子書籍」(湯浅俊彦)
・図書館はこれまで「品切れになると困るから買う」だったが、電子書籍の同時刊行が本格的に実現すれば、「本当に必要なときに買う」ことができるようになる。
・日本の大学が知識情報基盤の環境変化におくれを取らないよう、教員が自らの考え方を変え積極的に図書館に働きかけることが必要。

●「図書館の本棚から始まる、「興味の連鎖」という学び方」(大串夏身)
・本は特定のテーマに関して体系的な記述を行っている。特に学生時代には論理的で体系的な記述で学んだ方が良い。

●「調査・研究を始めたら、まずレファレンスカウンターへ行こう」(井上真琴)
・情報探索は、信頼できる確実な情報から入り、評価の高い情報を文脈化するのが鉄則。同じインターネットを利用しても、検索エンジンで得られる脈絡のない断片情報と、日本中東学会のデータベースから初動調査を誘導してくれるレファレンスサービスとは違う。
・質問をするとレファレンス担当者は、どのように探索を進め、何を読んだか、最終的に何をしたいのかを問う。簡潔に即答することは稀。
・レファレンス回答を鵜呑みにしない。担当者により意見や回答は異なるが、そもそも学ぶとは物事の多様性を知ることであり、その上で最終決断をするのは自分自身。

●「リベラルアーツ教育を支える情報基盤としての図書館」(畠山珠美)
・批判的試行力とは、自分が知らずに備えているものの見方を吟味し検証することであり、それを養うためにはより多くの文献を読むこと。
・ICU図書館は開学当初から「貸出冊数無制限」。特定利用者の独占による不満などは起こっていない。

●「事例取材 大学図書館に行ってみよう」
・小樽商科大学附属図書館:クラスライブラリアン制度
・成蹊大学図書館情報図書館
・新潟大学附属中央図書館
・金沢工業大学ライブラリーセンター
・明治大学米沢嘉博記念図書館

●「米国大学図書館の現状と未来」
・ミシガン大学のクック法律専門図書館のライブラリアンは、弁護士国家試験を通った弁護士たち。

posted by egamiday3 at 22:20| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする