2016年02月01日

(メモ)「変化する大学図書館をもっと活用する」『IKUEI NEWS』


電通育英会. 『IKUEI NEWS』. 2016.1, vol.73.
「変化する大学図書館をもっと活用する」


●「あらゆる「知」を自在に操り、自ら学ぶ力を身につける
・「学生一人あたりの年間貸出冊数」(日本の図書館統計)
・「アクティブラーニング・スペース設置大学数の推移」「電子書籍の保有タイトル数」(学術情報基盤実態)

●「図書館は、大学の学習支援の中心に」(竹内比呂也)
・「教育・学修支援専門職」の養成のための、SDプログラムの開発
・学修支援は大学図書館員だけでなく、他の職員や教員や学生も巻き込んだ「学修支援チーム」として。
・匿名の漠然とした「図書館の人」ではコミュニケーションはうまくいかない、個人として認識されることも重要。

●「通読は書籍。幅広い検索は電子書籍」(湯浅俊彦)
・図書館はこれまで「品切れになると困るから買う」だったが、電子書籍の同時刊行が本格的に実現すれば、「本当に必要なときに買う」ことができるようになる。
・日本の大学が知識情報基盤の環境変化におくれを取らないよう、教員が自らの考え方を変え積極的に図書館に働きかけることが必要。

●「図書館の本棚から始まる、「興味の連鎖」という学び方」(大串夏身)
・本は特定のテーマに関して体系的な記述を行っている。特に学生時代には論理的で体系的な記述で学んだ方が良い。

●「調査・研究を始めたら、まずレファレンスカウンターへ行こう」(井上真琴)
・情報探索は、信頼できる確実な情報から入り、評価の高い情報を文脈化するのが鉄則。同じインターネットを利用しても、検索エンジンで得られる脈絡のない断片情報と、日本中東学会のデータベースから初動調査を誘導してくれるレファレンスサービスとは違う。
・質問をするとレファレンス担当者は、どのように探索を進め、何を読んだか、最終的に何をしたいのかを問う。簡潔に即答することは稀。
・レファレンス回答を鵜呑みにしない。担当者により意見や回答は異なるが、そもそも学ぶとは物事の多様性を知ることであり、その上で最終決断をするのは自分自身。

●「リベラルアーツ教育を支える情報基盤としての図書館」(畠山珠美)
・批判的試行力とは、自分が知らずに備えているものの見方を吟味し検証することであり、それを養うためにはより多くの文献を読むこと。
・ICU図書館は開学当初から「貸出冊数無制限」。特定利用者の独占による不満などは起こっていない。

●「事例取材 大学図書館に行ってみよう」
・小樽商科大学附属図書館:クラスライブラリアン制度
・成蹊大学図書館情報図書館
・新潟大学附属中央図書館
・金沢工業大学ライブラリーセンター
・明治大学米沢嘉博記念図書館

●「米国大学図書館の現状と未来」
・ミシガン大学のクック法律専門図書館のライブラリアンは、弁護士国家試験を通った弁護士たち。

posted by egamiday3 at 22:20| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月31日

さよならパスポート

 
 パスポートを新調しました。

 旧いほうのパスポートは2006年12月末から10年有効のやつで、まだ1年近く期限はあるけど余裕をもってできるときに更新したという。

 旧いやつは新しいのが渡されるのと同時に、無効化のうえ返却されてきました。カバーの類いは付けない主義なので端々がよれてたり、黄ばんだりシミができたりしていますが、それだけに手に馴染んだ感もあります。過去9年間、海外に行くときは常に大事に携帯していた、ある意味自分にとって代わりのきかない”相棒”のようなものでした。ポイズンでした。
 全体の半分も埋まってませんが、それでもたくさんの出入国スタンプが押されてて、ページを一枚めくるごとに「あー、これあのときのか」といった想い出がよぎりますね。

 「ふぉんす、ふぉんす」て言わはるのが何かさっぱりわかんなかったけど要は”France”のことだったという、2010年のパリとか。
 お昼に公園のベンチでチキン食べてたら鳩に取り囲まれた、2011年のアメリカとか。
 夜市を歩くと角々で臭豆腐のにおいの不意打ちをくらった、2011年の台北とか。
 豚のごちゃっと焼いたのが出て、伝統料理と言うんだけど真偽は定かではない、2008年のリスボンとか。
 ビアカフェでアメリカにいるはずの知人に偶然出くわして時空がゆがむ思いがした、2014年のブリュッセルとか。
 話題になってるらしい図書館にふらっと出向いて適当にブログに書いたら、速攻でカレントアウェアネスに晒されるという羞恥に遭った、2013年のイギリスとか。
 夕食食べたくてパブに入ってもビールしかないからみんなでビールばかり呑んでいた、2009年のイギリスとか。
 その経験を踏まえて食事ができるパブにあらかじめ目星をつけておいて、行ったらタイムアウトだった、2011年のイギリスとか。
 北国で涼しいからと安心して行ったら、めったにない暑さだとかで、クーラーもないから寝苦しく過ごした、2012年のコペンハーゲンとか。
 延々鉄道に乗っててこいつ帰国せえへんのちゃうかと日本では思われてた、2013年のヨーロッパ周遊とか。
 おかゆが好きじゃないから宿の朝食をパスして外売りの肉まんを食べて続けてたら、速攻で飽きて困った、2015年の台北とか。
 これがビジネスですか、そうですか、もうエコノミーには戻れなくなるではないか不幸すぎる、という2014年のイギリスとか。(イギリス行きすぎだろう)
 パブ、パブ、パブ、パブ、パブで帰国後の健診にひっかかった、2014年のアイルランドとか。
 パンパンのキャリーケース2つを両手に、二の腕をぷるぷるさせながら引きずり回した、2015年のライデンとか。

 なにより、この相棒と最も苦楽を共にしたのは2007年、1年間のハーバード暮らしでした。
 1年間毎日、外出するときには必ず携帯してました、それは、携帯してなきゃいけないことになってるっていうのもあるのですが、それよりもまずスーパーでお酒買う時に必ず身分証提示させられるからで、そのためのリカーライセンスみたいなのを役所で取得するのに運悪く失敗しちゃったということもあって、しょうがなく毎日持って歩いてたという。しかも、なくしたりスリにとられたりしないようにポケット付きの下着に入れて携帯してたので、常にズボン下がごわごわしてたっていう。そりゃよれもするし黄ばみもするだろうと。

 その相棒に「VOID」の穴が空いてしまったのは残念ですが、まだまだ行ってないところはいくらもあるので、新しいパスポートにも出入国スタンプがたくさん押されますようにという思いでいます。


 新しい手帳にもあなたのイニシャルがたくさんありますように、的な感じで。

posted by egamiday3 at 17:08| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

極私的・2016年の絵馬(活動指針メモ)

 
 絵馬。
 それは、折に触れて掲げたり降ろしたりする、今年一年の活動指針。


●タイムライン
2007 HVU
2008 NBK・JLA
2012 本棚の中のニッポン
↓  ↓
2016 ===いまここ===
↓  ↓
↓  Something
2020 ↓
2022 ↓
  

●イベントごと
2016.03 CEAL/NCCシアトル
2016.06 AAS京都
2016.09 EAJRSブカレスト
隙を見て イタリアかバルト三国か北海道に行きたい


●2016年の絵馬
・以下のことについて、とりあえず節酒から始めます。これはマジです。
・基礎体力をつけてください。ヒヤリ・ハットです。そのための有酸素運動です。(知的活動の話)
・α(アルファ)を選別的に志向します。もうそんなリソースに余裕ないです。
・出不精はダメ絶対。
・アウトプットを無駄に増やします。こうなったら”無駄に”でいいです。
・(客)をダシにして、(主)にしてください。
・NBKをどうしたいのか、可視化させてください。
・環境整備のためには、投資くらいしてください。

posted by egamiday3 at 09:34| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

図書館のお仕事の日常的な記録(2015年夏のとある1日) : 「司書の一日をみてみよう」に寄せて

 
 「研究者の一日をみてみよう」というおもしろ企画があった、とうかがっています。
 
 第109回 人文科学とコンピュータ研究会発表会
 開催情報/第109回 - PukiWiki
 http://www.jinmoncom.jp/index.php?%E9%96%8B%E5%82%AC%E6%83%85%E5%A0%B1%2F%E7%AC%AC109%E5%9B%9E

 いまのところネットに特に何かあがってるわけではなさそうなのでどんな感じのことだったのかはわかりませんが、わからないながらもそれと同じノリで「司書の一日をみてみよう」ってやったらおもろいんじゃないかなと思って、っていうか、あたし自身は下記のような感じでたまにやったりしてるのですが。

 図書館のお仕事の日常的な記録(2013年冬季のとある1週間) | egamiday3
 http://egamiday3.seesaa.net/article/353784231.html

 で、ちょうど去年8月のとある1日の書き留めた記録がdropboxの片隅にふわっと落ちてたんで、ここに載せるという感じです。個々の事例を晒したり特定されないようにということで、大幅に匿名化・偽名化、ストーリーを書き換える感じで、”行動”は記すけど”内容”は伏せるようにしてあります。

 時期は、2015年8月上旬のとある平日。
 場所は、とある人文系の研究センターの図書館。
 担当業務は閲覧、パブリックサービスまわりです。

-----------------------------------------------------
8:15 1時間半かけて出勤
8:15 開館準備。4棟12フロアをすべてまわって点灯、軽く片付け、異常がないかの確認。
8:30 メール確認。今日やる、明日以降やる、要注意、寝かす等の仕分け。
9:00 外来利用者が不調を訴える閲覧用PCの、一時ファイル削除やソフトのアップデートなどのメンテ。
9:20 台湾の先生が戦前の日本料理についての文献を他大学から借りて欲しいと言ってきたのを調査した結果、東京の私立大学がデジタル画像公開しているのを見つけられたので伝える。
9:30 海外ILL受付対応。貸出依頼が来た本について、近年に貸し出されてなかったか、この分野で借りそうな内部の人がいないかを記録や記憶から判断(つまり長期に海外に貸し出しても問題なさそうかを判断)して、貸出処理。
10:00 依頼により、過去1年のOPACへのアクセス統計をまとめて報告。その過程で、数字のあらわれ方に不審な点があることに気付いたので、ひととおり内容を吟味した上で、業者さんに問い合わせを送る。
10:45 依頼により、過去の利用統計から関連しそうな数字を抜き出して、報告。
11:00 換気のために新館の窓を開放。
11:15 外部より閲覧打診のあった絵巻物について、劣化状態を現物で確認して、回答する。
11:30 ミラノの芸術雑誌からの問い合わせ対応で、うちが撮影して保管している艶本資料のデジタルデータのマスター画像について、解像度その他を調査して回答する。
11:50 東京の出版社に送るための古地図画像をDVDに大量に焼く作業。
12:10 館内の展示ケースの仕様について問い合わせあり。
12:15-13:00 休憩
12:30 休憩中、テレビ局から名所図会への問い合わせあり、対応。
12:40 英語の勉強
13:00 カウンター業務(以下17:00まで通常のカウンター業務と併行して)
13:00 マイクロフィルム利用の外来利用者に対応、案内。
13:15 業者に委託する図書移動作業(約3万冊)の準備。別置すべきタイトルの選定と棚数のカウント、空き棚数の算出、Excelによる空き棚配分の計算、フロア・書架マップの描画、業者さんへの指示票(棚に貼る)をwordの差込機能で印刷作成、等々。(以上を16:30頃まで断続的に)
15:00 館内数カ所に設置する予定のカーテンのサイズを採寸しにきた業者さんを現場に案内、館内を一巡してまわる。
15:30 換気のために開放していた新館の窓を閉める。
15:45 大阪の某文庫から届いた文献複製・製本の見積金額の内訳に不審な点があり、過去の書類と見比べる作業。
16:20 外来利用者の複写料金受け取りと経理処理。
16:30 新着図書のバーコード読み込み、帯の装備、貸出希望者への連絡、新着コーナーへの配架、古い新着図書の間引き。
17:00 閉館作業。4棟12フロアをすべてまわって消灯、軽く片付け、異常がないかの確認。
17:15 東北の博物館から来年の巡回展のための展示貸出の打診あり、その資料を扱う先生に相談。
17:30 ライデン出張準備の一環として、構想図を再描画。
18:00 同じく出張準備から派生して、OPAC利用ガイドの確認と新規作成、そのための動作確認。
19:00 おしまい。1時間半かけて帰宅。
-----------------------------------------------------

 8月上旬のことなので、内部の研究者・院生からの問い合わせや職員とのやりとりはむしろ少ないほうの1日だったのかなという感じです。たぶんルーチンワークや球の打ち返しのような仕事もこれだと少ないほうで、図書移動準備とか出張準備とかに腰を据えてとりかかる時間があったということはだいぶ落ち着いた感じの日だったんだろうなと。だいたい、カウンターと併行して図書移動の計算仕事ができてるとか、よっぽどふだんよりは余裕があった特異日のはずです、いつもはうちとこみたいな図書館であったとしても、酸欠や脱水で頭痛くなったり閉館までお手洗いに行く隙も見つからないような日だって珍しくはないです。
posted by egamiday3 at 09:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月17日

(メモ)「海を渡る日本の“学術書”」(図書館総合展2015)からの抜粋

・「海を渡る日本の“学術書”」(図書館総合展2015)
 http://www.libraryfair.jp/forum/2015/1885
・Youtube動画
 https://www.youtube.com/watch?v=0ofZIN8J5kE
・図書館総合展2015「海を渡る日本の学術書」 #海を渡る日本の学術書 #図書館総合展 - Togetterまとめ
 http://togetter.com/li/899264


●野口幸生. 「北米研究図書館における電子化環境 : コロンビア大学図書館を事例として」.
・コロンビア大学図書館における電子化資料e-resourceの導入においては、「冊子体と電子と両方がある場合には、電子のほうをより好んで選ぶ」。導入の条件として「追加のソフトやアプリを用いることなく、ブラウザの機能のみで使うことができること」「学内(LAN)のみならず、学外からもリモートアクセスが可能であること」がある。
・電子書籍e-booksは現在200万以上のタイトルを提供、その支出は全図書予算の25%に及ぶ。

・4.日本研究コレクションの電子化の現状
・オンラインデータベース、CD/DVD形態の資料、e-books
・CD/DVDはスタンドアロンのパソコンでしか利用できないが、OSのバージョンアップに対応できないなどの問題から、恐竜の運命にある。オンラインデータベースへの移行を勧告される。
・オンライン資料はリモートアクセスが可能であること。
・特殊なソフトやアプリを追加し泣け得ればならないものはNG。
・(e-resource・コンテンツについての)北米向けの目録データを提供してほしい
・学術書は冊子体と電子と両方で出版されるべき。
・韓国・中国・台湾などのe-book、e-journalは大量に電子化されており、日本の現状とは著しく異なる。

(以下、ディスカッションにて)
・日本の学術雑誌が電子化されていないことについて、北米や中国の学生には驚かれる。
・一方で中国は驚くほどの量の電子化がされている。
・たとえばCiNii(機関定額制)ひとつを契約するにもNIIの対応が柔軟でないため、(かつ大学側は契約条件に問題があるものについては法務が妥協しないため)コロンビア大学ではいまだにCiNiiを契約できていない。日本は発信というものをどう考えているんだろうか、とのこと。

●田中政司. 「海を渡る日本の”学術書” : 海外における日本資料の可能性について」.
・JapanKnowledgeの海外法人契約をもとに。
・海外図書館司書「日本からの発信が少ない」「海外の日本研究はどんどん小さくなってしまう」「もっと情報発信と資料の電子化を進めてほしい」
・全契約数のうち14%(約100機関)が海外での契約。北米6割、ヨーロッパ3.5割。
・海外でも需要はある(現在15%、中国が増えれば20%はいく)
・北米では日本研究司書が購入権限を持っており、大手大学は予算も大きいため、直接営業をかけて即断してもらえるという意味では営業コストは高くはない。
・紙の資料については海外に販売する流通のルートは整っている。問題は、電子資料のプラットフォームができあがっていないため、必要な資料情報が利用者の元に届いていない。
・仕組みが整いビジネスモデルが立てやすくなればよい。
・外部データベース・サービスとの連携がこれから重要になってくる。
posted by egamiday3 at 18:44| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月29日

極私的・egamiday十大ニュース 2015

  
 得とか損とか気にしてはいけない、だからこその”極私的”である、という言い訳含みの年末まとめ企画、第3弾。
 我が身の今年の汚れは今年のうちに清めたい、ていう感じでふりかえる、十大ニュース。


●egamiday氏、真田丸・堺雅人の肖像権をおもいっきり侵害
 今年5月、某志社大学司書課程の学生を対象にしたガイダンス&ホームカミングデーが行われました。全体会の講演に登壇したegamiday氏でしたが、YouTubeの某映画から大量にキャプチャした堺雅人(2016年大河ドラマ「真田丸」主演)の画像を、何度も何度も画面に投影しつつ平然と漫談を続けるという、肖像権というか著作権というか、これやっちゃっていいのか?という疑惑が持ち上がっています。この疑惑に対しegamiday氏は「教育機関における教育目的だ」(著作権法第35条)と釈明していますが、権利どうこうよりもまず"わかるやつだけわかればいい"的なネタがそもそもどうなんだという指摘もあり、またTPPによって導入されるという"非親告罪化"の動向如何によっては進退窮まるおそれも出てきそうです。

●egamiday氏、厚切りジェイソン化が止まらない
 某志社大学司書課程科目への非常勤講師としての出講、いわゆる”寄席”が、秋学期から1コマ増えたegamiday氏ですが、厚切りジェイソン化(またはケーシー高峰化)が止まらない模様です。さる情報筋によればegamiday氏は事務に無理を言って、教室をホワイトボードとプロジェクタが同時に使える部屋に変更。パワポや口頭でわかりにくい説明をホワイトボードへの図示で補っている、とのことですが、そのあまりの書き殴りのひどさにその教室だけインクの減りが異様に早いと一部では噂されています。さらに調子に乗ったegamiday氏、勢い余ってパワポに書いてあるのと同じことをホワイトボードにもさらに書くといった"セルフトレース疑惑"ばかりか、そもそも某志社大学の授業準備を某命館大学の図書館に入り浸ってやるという"不正流用疑惑"も。この実態を受けて政府与党は、egamiday氏のホワイトボードマーカー購入を軽減税率の対象外とする方向で検討を進めています。グラッチェ・アミーゴ。

●egamiday氏の海外渡航、今年は2回
 egamiday氏の2015年の海外渡航は、6月の台湾、9月のオランダの2件に及ぶことが明らかとなりました。ただしいずれも旅情とはほぼ無縁の学会出席であり、ほとんどの時間をスクリーンに投影されるパワポを見上げながら過ごすという残念な結果に終わっています。その反動からか夜間になると、台北では屋台で食べ歩き、オランダではビールを飲み歩きする様子がTwitter上で多数目撃されており、その享楽的な姿を強制的に見せられた人びとから「egamidayを許さない」「egamiday感じ悪いよね」等の非難の声があがっています。

●egamiday氏、オランダ過積載事件
 そのegamiday氏ですが、9月のオランダ渡航において、ぱんっぱんに膨らんだキャリーケース(通称:ガラガラ)2個を左右両手に握りしめ、スキポール空港内やライデンの運河沿いを右往左往する様子もまた目撃されています。原因は参加した学会においてブース出展することになったものの、あまりにも大量のパンフ・チラシなどの配り物を用意してしまったため。案の定、長机に積み上がった紙束はなかなか減ることがなく、ついにはフロアに乗り込んでむりやり配って(=押しつけて)まわるという暴挙に出たegamiday氏に対し、「egamidayを許さない」「egamiday感じ悪いよね」等の非難の声があがっています。なお専門家によれば「初回はたいていはりきってたくさん持って来ちゃうんですよね」とのことです。

●egamiday氏、オランダのスタバで新たにお気にのソファを発見
 昨年(http://egamiday3.seesaa.net/article/411018175.html)、行きつけのスタバ改装によりお気にのソファが撤去され、そのQOLの低下が危ぶまれたegamiday氏でしたが、出張先のオランダ・ライデン駅前のスタバにて新たにお気にのソファを発見した模様です。egamiday氏によれば、京都某小路店にかつてあったのとほぼ同じく、座るだけで身体にエネルギーがチャージされるという、見事なまでに我が身にフィットしたソファだったということです。交通アクセスもよく過ごしやすい街・ライデンにエネルギーチャージ機能付きのソファ発見ということで、今後egamiday氏のヨーロッパ旅行において”宿屋”的存在になることが予想されます。

●egamiday氏、MALUIで酒呑めない事件
 6月のMALUI Talk & 名刺交換会、11月の秋の親睦会と、近畿地区では今年2度のMALUI飲み会が催されましたが、その両方で世話役をつとめたegamiday氏、いちおうの責任感らしきものを発揮したのか、一次会がすべて終わるまでは我慢して酒を呑まない、たぶん呑まないと思う、呑まないんじゃないかな、まあ、呑んだとしてもたくさんは呑まない、という苦しい立場に立たされていた模様です。案の定、二次会ではその反動に襲われる、ということで昨年に引き続き数値的に懸念されています。関係者からは「そんなことより司会をもっとちゃんとやってほしかった」との怒りのFAXが届いています。

●egamiday氏、休肝日を本格的に導入
 酒の話題ばかり続くegamiday氏、さすがにそろそろマズイと思い始めたのか、秋口より週1日を休肝日とする制度の導入に踏み切りました。これにより、およそ20数年ぶり、ていうか人生初レベルで酒類の摂取回数が著しく減少するであろうと予想されています。四半世紀近くやってこなかったことを無理やり定期的にやらなければならないということで、Googleカレンダーにわざわざ「酒を呑まずに寝る日」と書き込む、当日は炭酸水やノンアルコールビールを買い込む、呑まなくても眠れるように8時頃から調整に入る、万一眠れなかったとしても翌日支障がないように金曜日を休肝日とする、などのあの手この手を駆使しており、いまのところわりとあっけなく成功している模様です。ただしこの休肝日制度、「外で飲み会が催される日の場合は、これはまあしょうがないわけだから、適用しない」という抜け穴があるとのことで、何がしょうがないだ、とその効果が疑問視されています。それどころか一説によれば、意図的に金曜日に外での飲み会が入るようにegamiday氏がなんとなあく調整しているのではないか、との疑いもあり、いろんな意味でメスが入るのも時間の問題かと思われます。

●egamiday氏のファミリーヒストリー、祖先はまさかの刀剣男子だった
 資料調査や現地取材をもとに家族の歴史をたどる「ファミリーヒストリー」。今週のゲスト・egamiday氏の祖先が備前長船の刀工だったことが、egamiday氏自身の調査で明らかとなりました。『長船町史』には短いながらもその家系と刀工としての活動が記載されており、また備前長船刀剣博物館ではその作品が展示されています。
 egamiday氏のコメント:「へぇー、刀工だったんですか、知らなかったですね。はい、驚きました。刀ですか、ね、流行ってますよね。・・・うん、初めて知りました。きいたことなかったです。・・・・・・そっか、刀かー。」

●egamiday氏、紙貼りのおっさんになる
 紙貼り職人の朝は早い。京都・桂坂のとある図書館。そこには、黙々と書架に紙を貼るegamiday氏の姿があった。
 「こうやって紙を貼ってね、この棚の本を何階の何番の列の書架に移動してくれって、業者さんに指示するんですよ。そうするとね、つぅーっとやってきて、つぅーっと持っていってくれるの。なんというか、これこそ自然の力だなあって思うねえ」
 今年新しい建物をオープンさせたこの図書館は、2月と8月の2度、図書の大規模な館内移動をおこなった。その数およそ30万冊。50万冊ある全蔵書の6割を動かしたことになる。
 「頭おかしいよね、動かしすぎだろうっていう。よくも破綻させずに動かせたもんだよって、自分でも思うよね」
 そんなegamiday氏、紙貼り職人としての長年の経験から、ある特技を身につけたという。
 「6段くらいの高さの書架ならね、踏み台無しでも天板に紙貼れるようになったね。紙の先にメンディングテープをつけといてね、こうやって手をのばして、天板の縁のところにテープをぺたってくっつけるんだ。やってみな、結構コツがいるんだよ。まあでも、この技術も俺らの代で終わりだね、後継者がいないから。若い人たちはこういう地味な仕事やりたがらないよね、たいていオープンなんとかだアクティブなんとかだっつって、町に仕事しに出ちゃうからね。でもね、これやらないと本が動かせないんだよ」
 最後はよくわからない愚痴をつぶやくegamiday氏。その後ろ姿が朝靄とともに映像文化資料室へと消えていくのを、我々は静かに見送った。(ナレーション:川下大洋)

●egamiday氏の2015年、全体的に”ぬるかった”んじゃないか疑惑
 egamiday氏の今年の「egamiday3」へのブログ記事投稿が、年末振り返り記事を除くと全部で21件にしかならないことが明らかとなりました。15年続くegamiday氏のブログ活動の中でも圧倒的かつけちょんけちょんに少ない件数です。ピーク時には同時に約10種類もの異なるブログを並立しSeeSaaブログを飽和状態にさせていたという往時の姿は、いまや見る影もありません。取材に対しegamiday氏は「なんかこう、知らないうちに1年経ってた。忙しかったのはまちがいないと思うんだけど、何に忙しくて結果何が残ったかがいまいちわかんない」と、ぬるかった疑惑の1年間をつかみどころのないコメントで表現しました。何より、十大ニュースのひとつがこんな話題であるということ自体がその様を如実に物語っています。ちなみに次点候補として挙がっていたトピックスには「egamiday氏、隠岐島で涙の食品ロス」「egamiday氏、去年の祇園祭で燃え尽き症候群疑惑」「egamiday氏、今年も春画に振り回される」などがありました。

 以上、極私的十大ニュース2015でした。
 来年はもうちょっとがんばりましょう。
posted by egamiday3 at 11:06| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

極私的・今年のアルファ本棚行きコンテンツリスト 2015


 自分用ふりかえり第2弾。
 自宅の”アルファ本棚”と読んでる本棚に置いておきたい極私的アルファ級のコンテンツを、書籍メディアに限らずリストアップしたもの。

『論文の書きかた』
『新版論文の教室』
『徒然草の十七世紀』
「へにける年」(丸谷才一『後鳥羽院』所収)
『オランダを知るための60章』
『もういちど読む山川世界現代史』
『ハウス・オブ・ヤマナカ』
『歴史を学ぶということ』
「スーパープレゼンテーション新春SP 伊藤穰一×山中伸弥 未来を語る」(テレビ)
三谷幸喜脚本「オリエント急行殺人事件」第2夜(ドラマ)
「祖谷物語」(映画)
「ウラバラス」(テレビ・ドラマ「ウロボロス」副音声)
「ブラタモリ京都完全版」(テレビ)
「日本人は何をめざしてきたのか 吉本隆明」(テレビ)
「表参道高校合唱部」(ドラマ)
「カズオ・イシグロ 文学白熱教室」(テレビ)
「トムとジェリー」(アニメ)
鹿港(街)
ライデンの地ビール(食)
中野劇団「誘拐」(演劇)
ベビー・ピー「SF珍島物語」(演劇)
「The LAB」(研究不正啓発のインタラクティブweb動画)
「Open Letter in Support of Historians in Japan(日本の歴史家を支持する声明)」
posted by egamiday3 at 09:27| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

極私的流行語大賞 2015

 
 毎年恒例の、自分しか得しない、年末振り返りリスト。
 自分用なのでこれといった解説もなく。

マッ↑サン(イントネーション)
絵馬
有酸素運動/ログ
聴講会
人文学・人文系
egamidayさん
驚きの寒さ
MALUI
バルサミコ酢
台北
後鳥羽院
うちは新古今和歌集をっちゃ編もう思うげん(能登弁としての)
ブース
キッチン付き(旅行先宿所としての)
プロポーザル
ネスカフェ・エスプレッソ
〇〇登場ーっ
もう金曜日
バス爆睡、起きたら京都駅
京都から東京に行くときあるある:安田美沙子
一緒に堀川高を目指そう
有意に差があるって言いたい
大学院
警察(図書館議論としての)

posted by egamiday3 at 09:11| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月24日

2015年"海外の日本図書館・日本研究" 極私的まとめ ( #本棚の中のニッポン )


 海外の日本図書館や海外の日本研究に関する話題、これをまあ仮に #本棚の中のニッポン 的なトピックと呼びますが、2015年にはあんなことこんなことあったでしょう的な振り返りを、簡単なヘッドライン&リンクでまとめてみた感じです。年一で続けていくことでそのうち点が線になりかたちができていきますように、ていう。

 あくまで自分の管見&体感範囲からのピックアップになっていますし、取り上げるか取り上げないかも自分からの半径で判断する感じになっちゃってますが、まあこれは、人に見てもらうためのまとめと自分があとで参照するためのまとめとがハーフ&ハーフになってるからだと思うんで、偏りがあるのはご容赦願えればと思います。”極私的”ですからそんなもんです。キュレーションなんてしょせん色眼鏡です。

 あと、政治まわりで熱臭い話が多かったな、ていうか、多くなっていくんだろうな、ていう感じでもあります。  

 2014年版はこちら。
 2014年"海外の日本図書館・日本研究" 極私的まとめ ( #本棚の中のニッポン )
 http://egamiday3.seesaa.net/article/410621340.html

 こんな感じの海外日本図書館&日本研究に関する話題をTwitterで流している専用アカウントがこちら。
 (短信)海外日本研究と図書館 (@JLA_line) | Twitter
 https://twitter.com/jla_line


-----------------------------------------------------
 2015年"海外の日本図書館・日本研究" 極私的まとめ
-----------------------------------------------------

●1月
・東京外国語大学、2023年度までに海外38大学に日本研究や日本語教育の拠点「グローバル・ジャパン・オフィス」を設置する構想を発表
-http://tufs-sgu.com/gjo/

・早稲田大学、角田柳作記念国際日本学研究所を設立
-http://flas.waseda.jp/jcs-j/

●2月
・大阪大学で国際シンポジウム「歴史的典籍画像の30万点Web公開と国際共同研究」開催
-http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/seminar/2015/02/6427

●3月
・人間文化研究機構が「日本研究と日本における人間文化研究情報の国際リンク集」を公開
-http://www.nihu.jp/sougou/kyoyuka/japan_links/index_ja.html

・AAS・CEAL・NCC2015年次大会、シカゴで開催
-E1671 - 2015年CEAL年次大会・NCC公開会議<報告> | カレントアウェアネス・ポータル
 http://current.ndl.go.jp/e1671
-AAS/CEAL/NCC 2015 Chicago(まとめ) - egamiday_wiki
 http://egamiday.sakura.ne.jp/wiki/AAS/CEAL/NCC_2015_Chicago%EF%BC%88%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81%EF%BC%89

●4月
・日本政府によるアメリカ コロンビア大学・ジョージタウン大学・マサチューセッツ工科大学に対する政治・外交分野の研究支援が発表される
-http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002069.html

●5月
・アメリカをはじめとする歴史研究者187人が「日本の歴史家を支持する声明」を発表
-https://networks.h-net.org/open-letter-support-historians-japan-0
-http://www.asahi.com/articles/ASH575KGGH57UHBI01Y.html
-http://www.asahi.com/articles/DA3S11741742.html
-http://egamiday.sakura.ne.jp/wiki/%E3%80%8COpen_Letter_in_Support_of_Historians_in_Japan%E3%80%8D

●6月
・2019年の第25回世界博物館大会(ICOM)開催地が京都に決定
-http://current.ndl.go.jp/node/28609

・KADOKAWAが「COOL JAPAN FOREST構想」を発表
-http://www.asahi.com/articles/ASH645QL3H64UCVL00S.html

・近畿地区MALUIによる「MALUI Talk in Kyoto」開催、テーマは”日本情報の海外発信”
-https://kinkimalui.wordpress.com/maluitalk2015/

・明治学院大学とハーバード大学「アクセスの再定義 : 日本におけるアクセス、アーカイブ、著作権をめぐる諸問題」開催
-「(メモ)「アクセスの再定義 : 日本におけるアクセス、アーカイブ、著作権をめぐる諸問題」(2015.6.13): egamiday 3」
 http://egamiday3.seesaa.net/article/420639586.html

・台北でAAS in Asia 2015開催
-http://aas-in-asia.meeting.sinica.edu.tw/
-「AAS in Asia 2015 @台北、に行ってきました。記録(その1)」
 http://egamiday3.seesaa.net/article/421699189.html
-「AAS in Asia 2015 @台北、に行ってきました。記録(その2)」
 http://egamiday3.seesaa.net/article/421800363.html
-「AAS in Asia 2015, Taipei 参加メモ #AASinAsia」
 http://togetter.com/li/837823

●7月
・ボストン美術館での着物イベントに対する抗議活動とその議論
-「Museum of Fine Arts backs down over kimono event in response to protests - Arts - The Boston Globe」 https://www.bostonglobe.com/lifestyle/style/2015/07/07/mfa-backs-down-over-kimono-event-response-protests/lv9NHcnpW0lsRE77d9hvkI/story.html

・九州大学で田中あずささん(ワシントン大学司書)による講演会「A Journey to Become a Librarian」
-http://cheb.hatenablog.com/entry/2015/07/23/000000

・国立国会図書館が海外の日本研究を支援するためのページを開設
-http://www.ndl.go.jp/jp/japanesestudies/index.html

●8月
・「韓国、外交部(外務省)傘下の国立外交院に日本研究センターを開設 | カレントアウェアネス・ポータル」
-http://current.ndl.go.jp/node/29162

・安倍首相が「戦後70年談話」を発表
-「安倍談話: 首相のジレンマを反映、課題残す | nippon.com」
 http://www.nippon.com/ja/in-depth/g00305/

・NDL、イギリスとドイツで日本研究司書を対象に「日本情報の調べ方(人文分野)」の研修を開催
-「E1728 - 英国・ドイツでの日本研究司書へのレファレンス研修を終えて | カレントアウェアネス・ポータル」
 http://current.ndl.go.jp/e1728

●9月
・牧野泰子. 「アメリカ図書館界に足跡を残した思い出の人々」. 『日本古書通信』. 2015.9, 1034号.
-福田なをみ、甲斐美和、奥泉英三郎を紹介

・北京日本学研究センターが開設30年を迎える
-「北京日本学研究センターの30年――徐一平主任教授に聞く - 中国国際放送局」
 http://japanese.cri.cn/782/2015/10/06/302s242079.htm

・「紀伊國屋書店、電子書籍サービス「Kinoppy」を海外会員向けに提供開始 - ITmedia eBook USER」
-http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1509/17/news045.html

・EAJRS(日本資料専門家欧州協会)2015年次大会がオランダ・ライデンで開催。
-http://eajrs.net/node/355
-https://www.youtube.com/results?search_query=eajrs+leiden
-「E1734 - 第26回日本資料専門家欧州協会(EAJRS)年次大会<報告> | カレントアウェアネス・ポータル」
 http://current.ndl.go.jp/e1734

●10月
・著作権に関する条項を含む(環太平洋パートナーシップ協定)について参加国が大筋合意

・「猪口邦子議員からいきなり本が送られてきた――「歴史戦」と自民党の「対外発信」 / 山口智美 / 文化人類学・日本研究 | SYNODOS -シノドス- 」
-http://synodos.jp/politics/15387

・国際日本文化研究センター(日文研)、Twitterアカウント(@NICHIBUNKENkoho)の運用開始
-https://twitter.com/NICHIBUNKENkoho

・「訪日外国人、過去最高更新、「年間2000万人」の政府目標も前倒し達成の勢い | nippon.com」
-http://www.nippon.com/ja/genre/society/l00129/

・『海外平安文学研究ジャーナル』、パスワード無しで公開開始
-http://genjiito.org/journals/

●11月
・「日本マンガのインドネシア語版電子書籍サイト イーブックがオープン 」
-http://www.animeanime.biz/archives/22003

・図書館総合展2015で「海を渡る日本の学術書」開催
-「海を渡る日本の“学術書” | 図書館総合展」
 http://www.libraryfair.jp/forum/2015/1885
 https://youtu.be/0ofZIN8J5kE
-「図書館総合展2015「海を渡る日本の学術書」 #海を渡る日本の学術書 #図書館総合展 - Togetterまとめ」
 http://togetter.com/li/899264

・NHK「ETV特集 戦後70年企画「ドナルド・キーンの日本」」を放送
-http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259515/

・「ルーヴル美術館総監修「漫画館」が日本に 2016年夏から」
-http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1511/16/news098.html

・「変体仮名」をゲーム感覚で身につけられる無料スマートフォンアプリ
-http://current.ndl.go.jp/node/29862
-英語版も、共同開発者のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)によって米国・欧州などに向けてリリースされる

・「海外日本美術資料専門家(司書)の招へい・研修・交流事業 2015*」(略称:JALプロジェクト)開催
-JAL プロジェクト2015のご案内 | 東京国立近代美術館
 http://www.momat.go.jp/am/visit/library/jal2015/
-ワークショップ「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための提言II」(海外日本美術資料専門家(司書)研修・2015)のメモ: egamiday 3
 http://egamiday3.seesaa.net/article/430552792.html

(2015年12月)
・インドに日本センター設置へ
-http://www.sankei.com/world/news/151213/wor1512130024-n1.html

・超党派議員連盟が「MANGAナショナル・センター」の実現を要請
-http://www.asahi.com/articles/ASHDL3Q4BHDLUCVL00D.html
-マンガ・アニメ・ゲームに関する資料を収集し、情報発信の拠点とする

posted by egamiday3 at 20:03| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月03日

(メモ)「電子書籍への期待 : 大学図書館の視点」(入江伸@「電子図書館サービスへの期待」図書館総合展2015)


 電子図書館サービスへの期待 | 図書館総合展2015
 http://www.libraryfair.jp/forum/2015/1829

 上記フォーラムより、慶應・入江伸さんの「電子図書館サービスへの期待」を主に見たののメモ。


・ProQuestがExlibris社を買収した、ということは、コンテンツと(図書館)システムとが一体化しないとどうやらやっていけなさそうだよ、ということか。
・国内の大学図書館の現状。
-洋雑誌は電子に移行し終わった。洋図書は移行途中。和雑誌は紙のまま。
-電子は管理が複雑。
-サービス・貸出は和図書中心。
-研究は電子環境へ移行した。
-教科書のシラバス指定、教科書売り上げは減少。
・海外の大学図書館の現状
-Google Books、HathiTrust、shared print
-1000万冊を超える本が電子で見られる。
最近は、アメリカ留学から帰国した研究者から「HathiTrustは使えないのか」と問われる。(電子ジャーナルは日米ともに使える)
・中国・CADAL

・電子学術書利用実験プロジェクト(2010)
→OverDrive利用実験
→JDLS(=日本電子図書館サービス)利用実験

・電子学術書利用実験プロジェクト(2010)
-貸出の多い×新刊でない書籍、を対象に集める
-ダウンロード型×個人認証
-OPACからシームレスに接続
-版面画像を提供
-テキストが必要(実用としては、OCRかけっぱなし程度の精度でいい)
-読む本ではなく、”教科書”(付箋・メモ)として使う
-電子書籍単体でなく、同じ本棚で自前のPDF(授業レジュメなど)も統合的に利用する
-すべての資料をインターネットからアクセスできる環境がほしい
(新刊の電子書籍、アーカイブ名パッケージ、パブリックドメイン)

・以上をもとに、実験環境を設計した
(慶應、京セラ、大日本印刷、学術出版社)

・学生の声
-紙と電子は別(使い分ける)
-検索と発見が重要
-コンテンツの量が必要

・刊行からしばらく年数の経った書籍を、電子書籍化して、パッケージで安価に提供してほしい。そうでもしないと学生は”本自体”から離れてしまう。
・教育・学習のあり方が変わっているわけだから、出版も変わらないといけないし、図書館も変わらないといけない。逆に言えば、学術書(和書)の電子書籍化を、教育手法の変化と結びつければ、ビジネスに拡がる可能性がある。(マイクロコンテンツ×少額課金、大規模アーカイブ、教育コンテンツ制作との統合)

・JDLS(=日本電子図書館サービス)利用実験
-PDFダウンロードができてほしい
-大学認証に対応していない
-OPAC・ディスカバリからの経路が不明
-1冊づつの買い取り×貸出期間制限がある→図書館での導入は無理

・求める電子書籍プラットホーム像
・コンテンツ
-大学図書館利用トップの10万冊規模を、見たいときに利用できるように
-EPUB
-全文検索
-オフラインで使える(ダウンロードできる)
-マルチプラットホーム(プラットホーム間の同期)
-OPAC・ディスカバリからたどれる
-メモ・付箋・SNSなど学習機能の充実

posted by egamiday3 at 21:45| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月01日

ワークショップ「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための提言II」(海外日本美術資料専門家(司書)研修・2015)のメモ

 JAL プロジェクト2015のご案内
 http://www.momat.go.jp/am/visit/library/jal2015/

 海外で日本美術を担当している司書・研究者・専門家の人たちを、日本に招いて研修をおこなう、という事業(通称「JALプロジェクト」)が去年から始まっていまして、今年はその2年目で、11月中頃から2週間くらいでおこなわれていたんですが、その最終日におこなわれた公開ワークショップ(「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための提言II」)が東京国立近代美術館(2015.11.27)でありまして、それに参加してきました、ていうののメモです。
 (ちなみに会場が地下だったせいで当日ツイートとかしてませんパターン。)

 概要としては、
・文化庁の補助金による事業
・2014-2016の3年計画
・東京国立近代美術館さんがメイン
・今年の参加者は9人
・東京+関西・福岡の各種機関見学と、研修、グループワークなど
 という感じ。

 まずはダイジェストとして、極私的にこれは注目、ていうピックアップと、自分なりに考えたことのもろもろを。


●極私的に注目したことのピックアップ
・NDLデジタルコレクションについて。図書館送信対象資料については、海外からはアクセスできず、かつ、ILLも停止している。→デジタルアーカイブの連携に関する実務者会議(2015.11)で海外からのアクセスについて言及があったとのこと。(<e>ここ要確認)
・2019年には”非欧州美術”図書館として統合される予定(フンボルト・フォーラムと呼ばれる複数団体による施設(←<e>要後追い))。
・ユーザにとってはその資料がミュージアムにあろうがライブラリーにあろうが関係ない、どっちも同じ。なのに、そこで検索・探し方やアクセス・手続きが異なるのはいかがなものか。
・例:ハーバード大学の新OPAC(ディスカバリーシステム)であるHOLLISプラスでは、アイルランドのチェスター・ビーティー・ライブラリーが持っている絵巻物のデジタル画像がヒットする。(注:これは、チェスター・ビーティーの所蔵品のスライドをハーバードの美術館が持っていて、それをデジタル化したものを、チェスター・ビーティーから許諾をとってアクセス可能にさせている。)
・日本では、すこしでもデータが不十分であれば公開しない傾向にある。ユーザにとっては、不完全でもいいから出しておいてほしい。
・例:Visualizing Cultures@MIT。日本のコンテンツを一般の人に紹介する方法として、デジタル化画像と論文とをリンクさせる。コンテンツを英語化するのは難しくても、英語しか分からない人にそのデジタル化画像のことがわかるようにする。(<e>この試みは学ぶところが多いはず。そのリンクは誰がどうメンテしているのか?)
・例:アート・ライブラリー・コンソーシアムの美術図書館横断検索システム。ただ、各参加館のプロフィールがわかりにくいので、その紹介をつけておいてほしい。(例:http://lahlf.weebly.com/libraries.html)(←<e>そうそう、シンプルなんだけど、実はこういうのって意外とないよねっていう。)
・例:「Artstor」(http://www.artstor.org/)のような、国際的なポータルサイトに参加してデータを提供してほしい、こういうところで見つかりやすくアクセスしやすくなるように。(Artstorに載っている日本美術作品は、日本以外の機関からの情報ばかり)
・海外からの日本語でない問い合わせに、返事をください!(<e>これはマジ)

●自分なりに考えたことのもろもろ
・プラハは行かなあかん。
・ていうか、ベルリン行かなあかん。
・何はなくとも、検索のローマ字対応・アルファベット対応。
・何はなくとも、英語メールに返事。これは常に意識しているつもりの自分でもたまにうっかりSPAMと混同して消してしまうくらいなので、マジでキャンペーン張ってもいいくらいの。
・ていうか、「ローマ字で検索したいというニーズがあると初めて知った」っていう意見もあって、こういうことは根気強く説明して広めていかないとな、そりゃまあ普段意識してなければ知るよしもないっていうのは自分だって別のことであればそうなっちゃうわけだしな、っていう感じ。
・あとすごく気になったのが、受講者の皆さんが口々に言う、「あちこち訪問して、いろんな人に話をきいて、いろんなデータベースがあるのを知った」ていうの。ネットで公開しているはずの「データベース」を、現地訪問して初めて知る、ということの意味。もちろんその気持ちは自分にもわかるし、そういう側面があるのは確かなんだけど、あまりにも皆さんが揃ってそれを言うので、え、ちょっと、そんなにもか?とビビってしまった。
 それは、日本のデータベースが引き籠もり型なせいで知られてないのか? それとも日本だろうがなんだろうがデータベースなんてしょせんはやっぱりそういうものだ、っていうこと? ネットにある、検索でヒットする、そんなことだけでは「自分の役に立ちそうなもの」を見つけること・出会えることはなかなか難しい、そこで所謂”キュレーション”が必要、ということか? 例えば、たまたまその会場でお会いした方は高島屋の歴史資料を研究していた人なんだけど、自分の研究に必要な思わぬ資料を「こういうのもあるんですけど」と人に紹介してもらって初めて知った、そういうのは検索ではなかなか出てこない・見つからない、みたいな話をちょっとしてた。この界隈の問題はもっと考えられるべきかと思う。
・当日のディスカッションでは、突然発言を求められてあたふたした結果、ローマ字とメールのようなものすごく限定的な話しかできなくてプチ落ち込んだけど、ほんとはもっとあれこれ考えるべきことがこの会にはあったはず。ただ、今回のワークショップは話題のジャングルがちょっと広大すぎて、話のとっかかりが見つけられなかったのだよ・・・。


 以下、本文です。
■全体概要
■各受講者による自己紹介/所属機関紹介プレゼン
■講演
■受講者による提言プレゼン
■コメント・ディスカッション

 文中の<e>はegamidayさんのコメントです。

-----------------------------------------------------
■全体概要

 事務局長・水谷さん(東京国立近代美術館)による基調報告

・JALプロジェクトの目的
1 受講者が研修で理解を深める
2 日本の美術図書館員のほうが海外の図書館の理解をする
3 相互理解と交流
4 ネットワークの継続
5 日本の美術図書館を海外の目から客体化する
・2014の受講者はおおむね日本人だったため、安心と予断があった。今年はそうではない。
・MLA-Diversity
・海外から日本の資料・情報へのアクセスに障壁がある。
★・例:NDLデジタルコレクションについて。図書館送信対象資料については、海外からはアクセスできず、かつ、ILLも停止している。→デジタルアーカイブの連携に関する実務者会議(2015.11)で海外からのアクセスについて言及があったとのこと。(<e>ここ要確認)
・画像データベースの検索ひとつとっても、IME起動の必要があったり、アルファベット(ローマ字)で検索すると検索結果が異なったりする、という問題がある。


-----------------------------------------------------
■各受講者による自己紹介/所属機関紹介プレゼン

 参加した受講者9名が、それぞれ自己紹介や国・所属機関の事情について(以下敬称略)

●ヤナ・リンドヴァー(プラハ国立美術館東洋美術部)
・プラハ国立美術館
・1796年創立、キンスキー宮殿にあり。
・1951年に東洋美術部設立。現在はキンスキー宮殿に常設展示を持つ。
・展示プロジェクト(2014 チェコにおけるジャポニズム展)
・17世紀〜大正時代の美術品コレクション、薩摩治カ八のコレクション(寄贈)、写本・絵巻物等、
★・コレクションの数で言うと、美術館全体で14000点、うち日本の美術品が7000点以上ある。ヨーロッパ内でも多いほうです。(<e>やばい、プラハ行かなあかん)
・図書室の東洋美術部蔵書は5000冊(日本1450冊)
・学芸員は展覧会準備に当たって展示作品をどう把握するかに焦点をおく。図書室担当者は文献やその整理から情報を把握しようとする。

●ジヨン・ウッド(ロンドン大学SOAS図書館)
・ソウル出身→イギリス
・SOAS図書館は国の指定研究図書館(5つ)のひとつ。130万冊所蔵。人文・社会・法律・芸術・考古学。サブジェクト・ライブラリアンが11名所属。
・芸術・考古学の蔵書は、各種言語で約50000冊。SOAS図書館の中において(言語ではなく)”主題”で独立しているコレクション。
・芸術分野サブジェクトライブラリアンとしての前任者が日本人だったことや、セインズベリー日本芸術研究所などから寄付金を受けていたことから、日本美術に関する書籍がヨーロッパ内でも充実している。
・電子資料の充実。電子資料の管理のためにオープンソースの図書館システムであるKuali OLEを導入している。
・デジタル・ライブラリを来年公開する予定。(<e>これは要後追い)
・サブジェクト・ライブラリアンの役目は、Collection DevelopmentやInformation Literacyなどの実務、学科会議出席や助成金獲得活動などのマネジメント、研究活動。
・現代は資料や情報が”ありすぎる”ほうが問題の時代であり、その選択や編集をおこなうことがサブジェクト・ライブラリアンとしての重要な役割。
・サブジェクト・ライブラリアンだとは言ってもそのカバーすべき範囲は広く、一人ですべての専門知識を身につけることは難しい。重要なのは「知っていること」だけでなく、「それをどこで見つけるか」を知っていること。

●ヴィーベッケ・オセット・グスタヴセン(オスロ大学人文社会学図書館)
・オスロ大学人文社会学図書館は、ノルウェー国内で最大規模。
・日本コレクションは1970年代から増加し始めた(同時期に人文学科で東アジア学教育が始まったため)
・国際交流基金からの継続的な日本書籍寄贈を受けていた。
・現在も日本学は盛んで、定員以上の学生希望がある。
日本語の書籍よりも、英語による学術書が主
・古典籍90タイトル400冊(1900年代初頭に購入か)。肉筆画帖13点あり。
・日本のポピュラーカルチャーの展示会。オスロ大学の矢部さんの協力のもと展示を企画。
・司書の将来像として、ヨン・ビングの言葉。「こんなにたくさんの情報があってまだ図書館が必要か、という質問は、これだけ道路があってなお道路地図が必要か、と問うのと同じことだ」

●メアリー・レッドファーン(チェスター・ビーティー・ライブラリー)
・チェスター・ビーティ・ライブラリーは図書館というより博物館
・日本コレクション1775点
・アルフレッド・チェスター・ビーティー卿の美術品収集。1917年に山中商会の顧客として日本を旅行したときに、絵入り本・奈良絵本に興味を持ち収集を始める。
・1953年創立→2000年にダブリン城に移転、展示公開に力点を置く。
・参考図書・閲覧室。16000冊所蔵。
・OPACも画像DBも日本コレクションの一部しか収録されていない。冊子体の目録・図録がある。
アイルランドで日本美術を所蔵展示するところはここくらいしかない

●ケビン・トレント・マクドウエル(オレゴン大学図書館)
・オレゴン大学図書館の日本研究司書。
・日本語蔵書はおもに文学・歴史・芸術関連。図書4万冊、雑誌176タイトル、DVD600点。
・オレゴン大学美術館は、日本美術3000点を所蔵。
・ガートルード・バス・ワーナー。旅行家でアジア美術をコレクションしていた。その日本美術コレクションがオレゴン大学美術館のコレクションとなった。(幻灯スライドなど)

●キャロリーン・ジェーン・ワグーラ(ピッツバーグ大学)
・中世・仏教美術の博士課程学生・TA。
他分野の学部生に国際文化教育の一環として日本美術について教える。(大学ギャラリー、作品レプリカなど)
・ヒルマン・ライブラリー(中央図書館)内に東アジア図書館がある。1965年から日本資料を収集し始める。
・現在ではスタディスペースの確保のために、東アジアの蔵書を閉架扱いにしたりデジタル資料でまかなうようになっている。

●コルドゥラ・トライマー(ベルリン国立博物館美術図書館/アジア美術館図書館)
・ベルリン国立博物館は、プロイセン文化財団の一部として、15の博物館と4つの研究書からなる。
・美術図書館は1867年創立。研究図書館と博物館との複合施設で、3施設に60数人の職員が勤務する(<e>!)。蔵書55万冊。
・アジア美術館図書館は蔵書4万冊。学生・学芸員らが利用。司書はトライマーさん1人(<e>!)。
★・2019年には”非欧州美術”図書館として統合される予定(フンボルト・フォーラムと呼ばれる複数団体による施設(←<e>要後追い))。そのために目録のオンライン化、請求記号の調整など。
・デジタル化、オープンアクセス(ヨーロピアナなど)

●文貞姫(韓国美術研究所)
・韓国美術研究所の研究員。
・「京城日報」の美術イメージのデータベース化プロジェクトなど。
・今後は朝鮮半島に限らず台湾などへもその対象をひろげ、当時の芸術家の分析にあてる。

●李世泳(韓国国立現代美術館)
・海外で所有する韓国文化財のデータベース化事業をおこなう。
・国立現代美術館は3つの美術館からなる。ソウル館は2013年開館。図書館・アーカイブ関係の部署として、美術研究センターとデジタル情報室とがある。
・デジタルアーカイブに必要なのは日本その他との連携である。


-----------------------------------------------------
■講演

 ハーバード・イェンチン図書館の日本研究司書、山田マクヴェイ久仁子さんによる特別招待講演。
 「視聴覚資料へのアプローチ : 北米日本研究図書館の現状と課題」

・米国の日本研究 現況(2012JF調べ):2774大学のうち、学部生レベルで日本研究専攻課程があるのは361
。日本語資料を所蔵する大学図書館は67(うち4万冊以上は31)。
・大学図書館の使命とは、教育研究の支援である。その中でファクターや媒体や手法は変わっていくのでそれにあわせていくことが必要。
・ひとことで「FINE ARTS」と言っても、たとえばLCCでは「写真」「動画」はT:Technologyのカテゴリになってしまう。でも、北米における日本×芸術関係の博士論文を概観してみると(プロクエストで検索)、写真や動画が多く含まれている。伊勢神宮もあればヒップホップもある。非常に多様な学問領域が交差して学際的になっているのが実際のところだ。
・(ちなみに、北米の日本関係博士論文・修士論文は、1890年以降2015年までで3023件(プロクエスト検索)。そのうち芸術に関するものが166件。)
・例:『日本美術全集』第19巻は「拡張する戦後美術」。「複製技術の進展と普及によって飛躍的に流布した写真・デザインに加え、純粋な美術としてとらえられてこなかった漫画や特撮美術も我が国ならではの戦後美術を代表する表現として、進んで取り上げた」という。こういう美術という概念の多様な広がりは、今後の図書館での収書の方向にも影響するだろう。
・学生の例1。近世の刷り物の研究。文学・地理・宗教と大きく関わる。イギリス・ケンブリッジ大学の勉強会にアメリカからスカイプで参加する。
・学生の例2。日本中世物語文学の研究。絵巻物という美術の一次資料が、日本文学研究に必要。
・ユーザにとってはその資料がミュージアムにあろうがライブラリーにあろうが関係ない、どっちも同じ。なのに、そこで検索・探し方やアクセス・手続きが異なるのはいかがなものか。その意味でも、所蔵資料のデジタル化と公開を進めていくのは必要なこと。
★・例:ハーバード大学の新OPAC(ディスカバリーシステム)であるHOLLISプラスでは、アイルランドのチェスター・ビーティー・ライブラリーが持っている絵巻物のデジタル画像がヒットする。(注:これは、チェスター・ビーティーの所蔵品のスライドをハーバードの美術館が持っていて、それをデジタル化したものを、チェスター・ビーティーから許諾をとってアクセス可能にさせている。)


-----------------------------------------------------
■受講者による提言プレゼン

 9人の受講者が、3人×3グループをつくって、もろもろの提言をプレゼンをするというコーナー。

●日本における美術資料管理・検索システムの課題と展望
・・国立美術館・博物館の学芸員作業における問題点
・それぞれのデータベースをできるだけオープンに、海外からの利用者にもわかりやすくしてほしい。
・デジタル・コレクションだけでなく、レファレンス・ツールとしての別のデータベースと連携することで、調査・研究がしやすくなるように。
・日本語がまだ充分に分からない研究者でも検索できるように、言語選択・ローマ字検索などが必要。
・日本資料・日本美術を紹介する展覧会が、世界各地でもっと開催できるように、プロジェクト助成をおこなってほしい。
・・日本の研究図書館の課題
・データベースの検索方法がわかりにくい。
・ローマ字検索ができるところがほとんどない。
・ソーシャル・メディアに積極的に関与するべき。これは、複数の通信チャンネルを持つべきということ。
・研究図書館の資料は、研究者や学生だけでなく、オープン・アクセスで一般の人にも提供されるべき。
・・日本の美術資料管理・検索システムに関する提言
・メタデータの標準化などにより、日本の各種機関にある資料を一括で検索できることが必要。便利なデータベースは各機関にあるがそれぞれ孤立してしまっている。ヨーロピアナが良い例。
・複数機関同士もそうだが、それだけでなく、同じ機関内でも協力をして、図書館資料と、美術作品、アーカイブとを統合したデータベースを。
・アート・アーカイブの専門家が必要。
漢字・仮名・アルファベットのどれでも検索できるように

●保護から効率化へ 日本美術図書館におけるデータベース、アクセス、コラボ
・これまでの保存重視から、活用重視へという考え方が重要。
・・リソースとしてのデータベース
・データベースがユーザのニーズと合致していない。
日本では、すこしでもデータが不十分であれば公開しない傾向にある。ユーザにとっては、不完全でもいいから出しておいてほしい
・一般向けの入門的なコンテンツをつくること。
・例:V&Aミュージアム。一般ユーザ向けのインタフェースは見やすく、解説文なども加えている。手間や時間はかかるが、国立機関なので情報開示が重視されており、また情報が不充分であったとしても公開されている。研究者にはデータが不十分であってもいい。
★・例:Visualizing Cultures@MIT。日本のコンテンツを一般の人に紹介する方法として、デジタル化画像と論文とをリンクさせる。コンテンツを英語化するのは難しくても、英語しか分からない人にそのデジタル化画像のことがわかるようにする。(<e>この試みは学ぶところが多いはず。そのリンクは誰がどうメンテしているのか?)
・しかし、そもそもユーザがデータベースを見つけられなければ意味がない
・・入門者のためのアクセス推進
・ポータルサイトの必要性。海外のユーザのアクセスが便利になるように。
★・例:アート・ライブラリー・コンソーシアムの美術図書館横断検索システム。ただ、各参加館のプロフィールがわかりにくいので、その紹介をつけておいてほしい。(例:http://lahlf.weebly.com/libraries.html)(←<e>そうそう、シンプルなんだけど、実はこういうのって意外とないよねっていう。)
・海外の特に学生がとっつきやすくなるように、概要やヘルプだけでも英語で。
★・例:「Artstor」(http://www.artstor.org/)のような、国際的なポータルサイトに参加してデータを提供してほしい、こういうところで見つかりやすくアクセスしやすくなるように。(Artstorに載っている日本美術作品は、日本以外の機関からの情報ばかり
・・コレクション収集に関するコラボレーション
・美術図書館で資料を分担収集して、コンソーシアム内で共有する。
・Orbis-Cascade Alliance。オレゴン・ワシントンの37の学術図書館による、コレクション収集に関するコンソーシアム。

●美術資料のグローバルな客体化へ向けて
・・グローバル時代の美術資料データベースの共有性
・日本のデータベースはローカリズムが強い。グローバル化し、アクセスとコラボがしやすくなるように。
・海外の機関とコラボしてプラットフォームを開発する。
・・オープンとアクセスの再検討
デジタル化してもインターネットで公開しない例が日本にはある。海外での利用者の範囲を広めてほしい。
データベースをその美術館や機関内の人だけで作成するのではなく、海外の研究者等と共同で構築したほうがいい
・コンテンツのオープン化。例えば、所蔵作品だけに限る、とか、国宝・重要文化財などに限るなどの例。このように資料の対象範囲を限定されてしまっては、研究が深まらない。(良品主義。価値が高いと指定したものに限ってデータベース化しているようだったら日本美術への理解は深まらない。美術の階層化につながる)
・日本語以外の言語での解説やブラウジングの仕組みがないと、海外のユーザや一般のユーザはアクセスできない。様々な利用者を考える必要がある。
・例:メトロポリタン美術館 Heilbrunn Timeline of Art History(http://www.metmuseum.org/toah/)。関連コンテンツへのリンクの提供など。
・・探索を簡単にすること。
・そのコンテンツの目的は何か? 対象ユーザは誰か? そのユーザはどのように発見可能か?
・日本国内における日本美術史の研究も、国際的観点に立つことが必要。
・メタサーチシステム(例:KVK)、表記の揺れを吸収するマッピング、標準化。
・海外研究者がプロジェクトに参加することで改善できる。
・日本版ヨーロピアナが必要。(NDLサーチはもっと参加館を多く)
海外からの日本語でない問い合わせに、返事をください!(<e>これはマジ)


-----------------------------------------------------
■コメント・ディスカッション

●小出いずみ「アウェイとホーム」
・・日本への期待について
・アクセスを容易にする: 言語、使いやすさ、制度、思い込み(固定観念)
・「日本語の本やwebサイトが海外で読まれるわけがない」ことはない。
・情報を豊富にする: メタデータの標準化、連携、統合、プラットフォーム
・国内・館内・館間のコラボレーションが必要。これによって研究対象へのアプローチの多角化が可能になる
・・研究潮流の変化について
・研究手法の変化: デジタル化
・一次資料・アーカイブズ資料への注目
・研究対象の変化・ひろがり: ポピュラーカルチャー
・横断的、複合的
・研究のグローバル化(研究対象、研究主体)
・・まとめ
・ニーズはユニバーサルである。
・アウェイの支援をすれば、それはホームの支援になる。
・私たちはコラボレーションすべき。

●ディスカッション
・問い合わせをどこに出していいか分からない。窓口をはっきりさせてほしい。
・コンタクトフォームをつくっておいてほしい。
・Japan Art History Forumやeastlib にはいってください。
・いろいろ言いましたが、日本だけでなくどの国でもできてないことが多いんです。(ていうフォロー)

posted by egamiday3 at 21:48| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月24日

ミュージアムで写真を撮りたい、んだけど(@[世界を変えた書物]展)

 
 先日、大阪で開かれてた「[世界を変えた書物]展」を見てきたので、そのときにちょっと思ったことを書きのこしておきます。

IMG_2513.JPG

 「[世界を変えた書物]展」は、金沢工業大学さんが所蔵する科学・工学・技術系の古典籍・稀覯書の類を100冊だなんだ的な規模で展示するもので、刊本ばかりですが、プリンキピアはあるわ天球の回転についてはあるわ、ケプラーはおるわガリレオはおるわ、もちろん時代が下がればもっとお歴々がおるわなんですが、科学史展示としても学術史展示としても書物史展示としても、おっ、とならざるを得ないような感じで、これが過去に金沢(2012)や名古屋(2013)でやってたのを今回大阪でもやりました、というような感じみたいです。

 そしてもうひとつ、この展示会は「写真撮影OK」という。

IMG_2523.JPG

 これをこそ、オープン・サイエンスと言いますよね。
 ヨーロッパやアメリカのミュージアムに行くと、有名どころで写真撮影OKなところは結構多くて、やっぱりお気にのが撮れるとうれしいので、日本でももっとこっちのオープンさが普及してくれないかしら、と常々思ってましたから、あ、なんかこの展示は撮影OKらしいよ、っていうのを聞きつけてっていうのもあって、大阪までやってきたわけです。
 そして撮ってきたわけです、こんな感じ。

IMG_2518.JPG
↑コペルニクスの「天球の回転について」
 光っているのは、装丁(表紙裏表紙)を見せてくれている鏡のせいですが、撮影はともかく、見るだけでも若干邪魔ではある。

IMG_2519.JPG
↑ニュートン先生の「プリンキピア」。

IMG_2520.JPG
↑あたしは書物目線で見に来たんで、こういう中身がのぞけてるのをじっと見てたりします。

IMG_2526.JPG
IMG_2529.JPG
↑正直、エジソンとかレントゲンとか言い出す時代になると、ああ、一般書だな、ってなっちゃう職業病。
 とかなんとかいいつつ撮ってる。

 で、撮らせてもらえたのはいいんです。
 ただ、なんかこう、違和感がある。

IMG_2524.JPG

 会場に見に来てるお客の人たちの、写真撮影熱がだいぶ高すぎるんじゃないか、っていう。
 もう来る人来る人みんな、スマホでパシャパシャ撮ってるという。その電子的シャッター音がフロア中で鳴り響いてて、ピーチクパーチクで埋め尽くしてるという。
 自由に回遊できる展示フロアとはいえ、資料もある程度は連番順にならんでるんですけど、そのひとつひとつを番号順に丁寧に、1個パシャ、次パシャ、ってコンプリートするように撮影している人も、めずらしくないどころか次から次にやってくるくらいに、撮ってる。
 これあれですね、展示会というより撮影会ですね。撮影会がてら、展示物として見に来てる人もいるという感じ。

 そりゃ自分もちょいちょい撮りましたけど、そう熱心な撮影会に来たつもりはなかったので、ちょっと驚いたわけです。

 なぜ、ここでは、こんなに撮影熱が高かったのか。
 そこまで科学史上の稀覯書群に興味あったからかしら。
 写真撮影OKな展示が日本ではめずらしかったせいかしら。
 そりゃ稀覯書だし、歴史的価値もあるやつだしだけど、えー言っちゃうと、見た目まあまあ地味で(笑)、そんなフォトジェニックな資料群っていうわけでもなく、みんながみんな、全部が全部を撮影するかしら、っていう。
 日本人がそういう国民性だからかしら。
 ちょっと前まで日本人×海外旅行=カメラみたいな偏見イメージあったかもしんないですけど、でもじゃあたとえば、写真撮影OKな海外の美術館で、ここまで熱心に撮影するような大量の日本人観光客なんて、見かけたことない。どっちかというと、そういうとこで一番熱心にパシャパシャ撮影してるのたぶん自分自身だろうな、ていう自覚があるほう。

 みたいなことをいろいろ考えているうちに、ふと。
 もしかして、写真を撮ることのほかにすることがなかったからじゃないかしら、的なことをちょっと思ったんです。

 科学史分野の、洋書の、古典籍の展示なわけです。基本的に文字が書かれたページ、あっても幾何学模様とか機械類の図面とかがならんでて、基本的にモノクロで、そして基本的に外国語で書かれているので、何かが見せられているけど、それが何かがわかるにはそれなりの前提知識への理解がいる、ビジュアルな美術作品とちがって。
 じゃあその脇に書いてある日本語テキストのキャプション読めばいいじゃん、ってなるけど、うん、でもわざわざテキスト読み込むために展示見に来るわけじゃないし、それだとwikipedia読んでるのとあんまたいしてかわりないんで、ある程度やっぱりモノというかビジュアルで見たい。

 ってなると、ある程度科学史や科学技術的な内容を予備知識として持っているか、自分みたいに出版史目当てで来てるようなおっちょこちょいくらいじゃないと、こういう本がストイックに並んでる展示会って、飲み込みづらいんじゃないかしら、と。
 そこへ来て「写真OK」ていう環境下だったら、あ、じゃあまあとりあえず撮っとくか、あんまこういうの見たことないし、ってなるだろうなと。

 そういう思いであらためて展示の様子を思い返してみると、そういえばパネル解説の類みたいなのほとんどなかったな、ていう。例えば、プトレマイオスなりケプラーなりの著作にこんなんありまっせっていう幾何学的な図を見せてくれてたら、その図はどういうことを描いているものなのかっていうのを、拡大で、日本語で、色つきで、補足する解説パネルみたいなんがあれば、ああこれこれこういうことをここではこういうふうに書いてるんだね、ってなるんだけど、それがテキストベースのキャプションで概要を読み込むだけではやっぱりちょっとつらい。
 これが琳派展@京博くらいの有無を言わさぬビジュアルな美術作品群であれば、当然のごとくテキストベースのキャプションを脇に置いておくという補い方で全然いいんですよ、むしろ邪魔してくれない感じで。虎の人形とかいらんし。でもその逆、ビジュアルさがないところ×ビジュアルさがない補い、はあれかなっていう。

 ビジュアルさのある補いもあるにはあって、今展示でのお気に入りのひとつがこれなんですけど。

IMG_2531.JPG
IMG_2516.JPG

 今回の出展資料同士の概念関係を、立体で構築し、線でリンクさせ、それをカラーでビジュアルに描いてみせたという、一大オブジェです。モニュメントです。これが会場の中央にでっかくドデンって、謎のモノリスみたいに置いてある。
 これだけでもすごいんだけど、さらに工夫があって、資料展示のほうも各カテゴリごとに章立てしてあって、「光」とか「幾何」とか「電気」とかにわかれてあるんだけど、各章の展示列の冒頭にモノリスのミニチュアがあって、この章はあのオブジェでいうとこのあたりのことを言ってるんですよ、っていうふうに色づけしてある。

IMG_2525.JPG

 おおっ、これはいい工夫だ、って思ったんだけど、この子モノリスをよくよく見てみると、今度はこれは色づけだけしてあってテキストがない、何と何がどうつながって流れになっているのか、そのリンクも線引きされてない。
 なので、えーっとこの章ってどのへんの位置にあって、どれとどれとがつながってるんだっけ、ていうのを、中央の親モノリスまで見に戻って確認する、っていう。せめてパンフにモデル図でもあればな、っていう。
 そんな感じでした。

 それで、えー、強引にまとめにかかると。
 自分たち自身が今後、ビジュアルでもなんでもない、この稀覯書群よりも数十倍地味で飲み込みづらい書籍・史料の類を使って展示を構成する、というようなことをいくらでもやる機会があるであろう立場なので、そういうときにでも予備知識無しで見に来はる人たちに向かって、何をどう補って展示をするのかっていうのは考えなあかんな、ていう。
 写真撮影くらいOKにしたいんだけど、それはそれとして、撮影じゃなくてまずモノを見ることに専心してもらえるコンテンツになるように。オープンって、それ自体が目的じゃないですから。

 そういうことって、自分自身が渦中でやってるときにはなかなか客観的に気づけないので、よそさんがやってるのを見てるときにできるだけ考えとかなな、っていう感じです。

 でも、それでも、やっぱり写真撮影OKっていうだけですばらしいので、全国にもっと広まって欲しい。
 あと、混んでるときに1時間待ちとかしなくて済むよう、そこはネット予約じゃないかしら、っていう制度をもっと整備してほしい。これは主に琳派展への注文。

 あと、極私的に好きだった絵↓(これも職業病)
IMG_2517.JPG
 

posted by egamiday3 at 22:51| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月07日

(メモ)電子書籍(あと主に公共図書館とのそれ)


●日本の現状
・「電子書籍ビジネス調査報告書2013」
 電子出版市場規模推移(確定分のみ)(億円)
 http://www.garbagenews.com/img13/gn-20130720-02.gif
・アマゾン
 iBooks
 楽天(kobo)
 紀伊國屋書店
 BookLive(凸版印刷)
 honto(大日本印刷)

●アメリカの現状
・電子書籍のシェア
 金額ベース 11%
 部数ベース 22%
・アマゾンのシェア
 冊子 40%強
 電子書籍 50%強 (iBooks 約15%)


●電子書籍の種類分け
・パソコンで、CD-ROM/DVDで閲覧する
・電子辞書
・ケータイ小説/ケータイコミック
---
・パソコンで、オンラインで、ダウンロード/閲覧する
・携帯電話・スマホ・タブレットで、オンライン、ダウンロード/閲覧する
・専用端末で、オンラインで、ダウンロード/閲覧する

・スタンドアローン
・ダウンロード(オンラインで保存)
・ストリーミング(オンラインでリアルタイム)

・フィックス(画像方式)
 PDF、マンガ・ビジュアル雑誌・写真集、紙からのスキャン
・リフロー(テキストデータ、全文型)
 フォント変更、全文検索、書き込み、外部参照、読み上げ対応(障害者支援機能)

・一般的なブラウザ
・専用閲覧ソフト/閲覧アプリ
・専用端末
・電子書籍アプリ
(例:2010「もしドラ」電子書籍アプリ、10万ダウンロード)

・出版者が新刊書・近刊書(紙書籍)の電子書籍を販売する
・過去の紙書籍を遡及的に電子書籍化する
 例:日本出版インフラセンター「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」(→)
・電子書籍のみで出版・販売される
・個人が自己出版として電子書籍出版する
・個人が”自炊”する
・デジタルアーカイブとして構築する
 Google Books、NDLデジタルコレクション、各図書館・公的機関等の電子化事業、青空文庫/グーテンベルグ・プロジェクト、機関リポジトリ・オープンアクセスサーバ

・DRM(Digital Rights Management)
・コンテンツに鍵をかけて利用を制限する(ハードDRM)
・コンテンツに電子透かし/番号を埋め込んで追跡・識別可能にする(ソフトDRM)


●電子書籍の規格(ファイル形式)
・・国際標準
・PDF
 Adobe社開発→国際標準規格
 電子書籍に限らず幅広く普及
 ページレイアウトを固定する
 画像データ/テキストデータ
・EPUB3.0
 IDPF(International Digital Publishing Forum:国際出版フォーラム)(2011年から)
 HTMLコンテンツをzipでまとめ、拡張子を.epubとしたもの
 (HTML、CSS、XML、JPEGなど)
 仕様はオープン

・・デファクト・スタンダード
 企業=プラットフォーム提供者が、独自の規格を開発・採用し、市場シェアを確保する。
 コンテンツと、プラットフォーム、デバイス(機器)、ビジネスモデルなどのエコシステムを構築する。
・アップル(iBooks)
・アマゾン(kindle) KF8(拡張子.azw)


●電子書籍のエコシステム
・アップル(iBooks)
・アマゾン(kindle)
・大企業(プラットフォーム提供者)が、コンテンツ、プラットフォーム、デバイス(機器)、ビジネスモデルなどの大規模なエコシステムを構築する。
・コンテンツを管理し、ユーザを管理する。
・このエコシステム内では便利・快適(「檻の中の平和」)
・エコシステムが一部のプラットフォーム提供者により寡占化している。
 ↓
・(例)2009 アマゾンが、著作権的に問題のあった書籍を、強制的に遠隔操作により削除した。(『1984年』『動物農場』)
 ↓
・書籍データ(ユーザの書き込みデータも含む)が勝手に削除される。
・企業が、ユーザの購入・閲覧履歴等のデータを把握している。
・ユーザは、電子書籍を”入手”したのではなく、”アクセス権”を得ているだけ。(DRM、自力で保存不可)
・企業が”閉店”したら、ユーザは電子書籍へのアクセスができなくなる。
・以上のことを、ユーザは”同意”している。


●電子書籍の価格
・エコシステムが一部の大企業により寡占化している
 ↓
・電子書籍は物品ではないので再販売価格維持制度の対象ではない。(2011年 公正取引委員会)
・価格を自由に付けられる(割引、セール等)
・売る/売らない、いくらで売るか/いくらで買うかが、一部のプラットフォーム提供者に左右される
 例:無料セール・格安セールの実施


●電子書籍の歴史
・1985 『最新科学技術用語辞典CD-ROM版』
・1987 『広辞苑第4版CD-ROM』
・1988 日本電子出版協会「日本語対応CD-ROM論理書式に関する標準化案」
・1990年代 EPWING(辞書システムCD-ROMの標準規格)
・1999 電子書籍コンソーシアムが「ブック・オン・デマンド実証実験」
・2000年代 国内各者(パナソニック、ソニー等)が電子書籍端末を発売
・2006 GoogleがGoogle Books事業を開始
・2007 AmazonがKindleを発売
・2009 国立国会図書館が所蔵資料の大規模デジタル化事業を開始
・2012 日本出版インフラセンターが「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」
 (東日本大震災復興関連予算による。460社、6万タイトル。多くの出版者が電子書籍化を開始。運営・内容・効果に批判あり)


●公共図書館における電子書籍の導入
・2014年 アメリカの公共図書館の約95%が電子書籍を提供している
・2013年 日本の公共図書館では17館しか電子書籍サービスを導入していない(10万人以上の自治体、電子出版制作流通協議会調べ)
・大都市圏の公共図書館では関心が高いが、それ以外の市町村立図書館では反応が鈍い


●なぜ日本の公共図書館では電子書籍サービス導入が進まないのか
・予算が足りない
・導入費・維持費・電子書籍費が高い
・タイトル数が少ない
・新刊書が少ない
・利用者のニーズに合ったタイトルが少ない

・紙書籍よりも電子書籍のほうが販売時期が遅い
・同時貸出数に制限がある

・公共図書館向けの電子書籍サービス(販売用のビジネスモデル)が少ない、流動的
・有力なプラットフォーム提供者があらわれていない
・出版者側が無料貸出による販売圧迫を警戒している

・図書館・図書館員のスキル・考え方が追いついていない
・ユーザの利用がまだ定着していない
・ユーザからのニーズ、問い合わせが少ない
・むしろ日頃図書館に来館しない人へ向けての利用促進が必要


●出版者側と公共図書館側との見解の比較
・磯部ゆき江, 三輪眞木子. 「公共図書館への電子書籍サービス導入 : 公共図書館と出版社の視点」. 『日本図書館情報学会誌』. 2014.12, 60(4), p.148-164.

・・公共図書館
・電子の値段は、紙と同額かそれ以下をのぞむ
・電子の提供時期は早期をのぞむ
・電子の貸出回数に上限を求めない
・(公共図書館は)電子の所有権を重視していない(流通←→保存)
・主な対象者は、非来館者、障がい者、高齢者。期待する機能は文字拡大、音声読み上げ。
(電子書籍に関する公立図書館での検討状況のアンケート(2013))
・公共図書館のサービスで重要なのは、レファレンスサービスである

・・出版者
・電子の値段は、紙より高い価格をのぞむ
・電子の提供時期は、紙より遅くらせることをのぞむ
・電子の貸出回数に上限を求める
・公共図書館は貸出を重視している(と考えている)
・紙と電子をともに出版する
・一般消費者向けビジネスが優先

●公共図書館向け電子図書館サービス(日本)
・TRC「TRC-DL」
・紀伊國屋書店「NetLibrary」
・株式会社日本電子図書館サービス(2013、角川・講談社・紀伊國屋書店)
・Over Drive社(米国)

・OPACで紙書籍と同様に検索・アクセス可能なサービス
・電子書籍専用のサイトからアクセス可能なサービス
・専用の閲覧ソフトが必要か/不要か
・サービス終了後、購入した電子書籍を入手保存できるか/できないか

●公共図書館向け電子図書館サービス(日本)の課題
・タイトル数が少ない
 千代田区立千代田図書館 6200冊
 大阪市立中央図書館 5000冊(和書1500冊)
・導入費・維持費・電子書籍費が高い
・価格が紙書籍よりも割高である(TRC-DL:1.2-1.3倍)
・ライセンス(同時貸出数)ごとに料金が必要(3ライセンスなら3倍)
・奉仕対象人口に応じて価格が決まる
・NetLibrary: 電子書籍購入費用を一度支払えばよい(入手・保存可能)
 TRC-DL: 継続してシステム使用料・サーバ使用料などを支払う

●図書館における電子書籍の購入
・購買(買い切り)
・アクセス契約
・Pay per view
・Demand Driven Acquisition(要求主導型購入モデル)
 利用者が借りた分だけを、図書館が後払いで購入する
(例)米Over Drive社 20回までの貸出はPay per view料金を適用、それを越えると自動的に購入料金を適用

●公共図書館向け電子図書館サービス(アメリカ)
・2014「Ebook Usage in U.S. Public Libraries」
 公共図書館の約95%が電子書籍を提供している
 74%がフィクション、26%がノンフィクション
 タイトル数の中央値は約1万点 (3万点をこえる図書館は約17%)
 購入予算は全体の8%程度(5年後に14%と予想)

●Over Drive
・50言語・200万タイトルの電子書籍が、世界30か国の34,000の図書館や学校で利用可能
・Over Drive社の電子書籍サービスを9割以上の図書館が利用している
・図書館OPACまたは書店等のwebサイト、Amazon等で貸出手続き
 自分の機器(PC、タブレットなど)にダウンロード
 貸出できるのは1冊あたり1回に1人だけ
 貸出期間が過ぎれば、自動的に消去される
 貸出中の電子書籍には「購入」ボタンも出る
・多くがコンソーシアム契約によって他館と共有する
・電子書籍は、紙にとってかわるのではなく、補完サービス

●米国での課題と活動
・図書館界から出版会に対して積極的なビジネス提案をする
・サービス契約の終了と変更
 (例)カンザス州立図書館(書籍の一部は新システムへ移動、一部はアクセス権を失う)
・2012 ALA会長が図書館への電子書籍供給を拒否する出版社を批判
 「経済的に図書館利用しかない利用者への差別であり、出版社によるデジタルデバイドの拡大を傍観できない」

●日本での展望と課題
・2015年 株式会社メディアドゥが日本の公共図書館にOver Driveの電子書籍サービスを提供開始
 (龍ケ崎市立中央図書館・潮来市立図書館)
・2016年 国内の電子書籍タイトル数は100万点をこえる見込み(http://current.ndl.go.jp/node/28502
・電子書籍に最も出費する国は日本(平均86ドル)(米調査、http://current.ndl.go.jp/node/29072

・出版者によるビジネスモデル(図書館によるサービスモデル)の構築
・公共図書館、出版者の相互理解、協力関係



-----------------------------------------------------
■参考文献
・日本図書館情報学会研究委員会編. 『電子書籍と電子ジャーナル』. 勉誠出版, 2014.
・星野渉. 「電子書籍と出版産業」. 『情報の科学と技術』. 2012.6, 62(6), p.236-241.
・植村八潮. 「電子書籍の市場動向と図書館」. 『現代の図書館』. 2013.12, 51(4), p.197-202.
・磯部ゆき江, 三輪眞木子. 「公共図書館への電子書籍サービス導入 : 公共図書館と出版社の視点」. 『日本図書館情報学会誌』. 2014.12, 60(4), p.148-164.
・伊藤倫子. 「電子書籍貸出サービスの現状と課題 : 米国公共図書館の経験から」. 『情報管理』. 2015, 58(1), p.28-39.
・村上泰子, 北克一. 「電子書籍と知の公共性,図書館」. 『図書館界』. 2015.7, 67(2), p.96-104.
-----------------------------------------------------

posted by egamiday3 at 20:46| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月18日

まだ白手袋で本さわってるの? : 古典籍と手袋にまつわるエトセトラなメモ

 
 長野県短大:学園祭で「和書喫茶」 古書を気軽に楽しんで - 毎日新聞
 http://mainichi.jp/select/news/20151018k0000m040026000c.html

 古典籍(以下、和装本、和本、貴重書等いろいろ)を手袋で取り扱うという類の報道写真・映像があとをたたず、時折思い出したように、あれはダメだ、え、ダメなの、ダメだよ、的な話が軽くこんがりします。あるいはその逆(素手じゃん、素手でいいんだよ、え、いいの)も。

 私は、古典籍資料の類を取り扱う際に、手袋などせずに素手で(よく洗った上で)取り扱う派です。そしてそれが正しい方法だろうと考えている派です。
 まず、そもそも「手袋をしましょう」なんてこと習ったことがないし。

 このネタについては8年前、ハーバードに巣くってた頃のブログにひと記事書いてました。
 「反論:「手袋、いらんな」」(HVUday)
 http://hvuday.seesaa.net/article/57605998.html
 まあ↑とだいたいかわんないんだけど、追加であらためて集めたり考えたりしたことをつれづれにメモする感じのあれです。
 (ちなみに、↑このころはまだ東大さんも国会さんも手袋派だったらしい、リンクが死んでるので定かではないですが)
 
 この話で一番わかりやすいのはたぶんこれ。
 「「貴重書は白手袋を着けて」という誤解」(Cathleen A. Baker、Randy Silverman。翻訳:(株)資料保存器材)
 http://www.hozon.co.jp/report/post_8754
 IFLAの『International Preservation News』(2005.12)「Misperceptions about White Gloves」を和訳したものです。

 ざっくり言うと、
 ・手袋自体汚れている、いやよっぽど汚れてる
 ・手袋すると扱いづらくなるため、余計に傷める危険がある
 ・きれいに手を洗えば素手のほうがいい

 ちなみに同じ(株)資料保存器材さんによるツイートのtogetterもいいまとめ。
 「@shiryouhozonさんによる「貴重書の取扱い」」
 http://togetter.com/li/107157

 IFLAの↑はもしかしたら洋書が念頭の話かも知れませんが、じゃあ和本のほうはどうかというのを、いま手の届く範囲にある文献でちゃちゃっとまとめると。

『古文書の補修と取り扱い』(中藤靖之、神奈川大学日本常民文化研究所監修)
「文書を取り扱う前の注意事項」
「手の油や汚れなどが文書に付着すると、それが新しい栄養分となって・・・生物的被害を発生させる原因になるので、必ず手を洗うこと」
 ↑手袋には言及すらしてない。またこの本の別の章では補修作業中の写真が多く掲載されてますが、みな素手で作業してます、そりゃそうか。

『日本の美術』436
「古写本の姿」(藤本孝一)
「古写本の場合は手袋をつけると、手の感覚が分からなくなり、往々にして手袋の汚れに気付かず、本に汚れを附けたり、料紙に皺をつけてしまうことがある」

『和本入門』(橋口侯之介)
「手の汗や汚れは長い目でみると本を傷める。とくに脂分がいけない。しかし、われわれがふだん手にするレベルの本ならそこまでの必要はない。むしろ紙質や表紙の感触など直接手にとって初めて実感することがあるから、手袋はかえってじゃまである。よく手を洗っておくことが最上の接しかたであり、また礼儀である」
 ↑これはどっちかというと、紙を実感してください的な目線か。

 まあいずれにしろ、なんならそのへんにあるふつーの本でいいから、白手袋はめて扱ってみたらいいと思います、とてもじゃないけどまともに扱えないし危なっかしい、手垢や脂がどうのという以前に、いまここ、手元にある物理的危機のほうが尋常じゃないですから。

 というわけで、うちとこの図書館では「手袋は使わないでください」「まず手を洗ってください」という方針でお願いしています。

 ただ、じゃあいつでもどこでもそう都合良く手を洗う環境がありますか、ていう問題はあって、まともな図書館さんなら手を洗う場所ってちゃんと設置されているものですし、あるいはうちとこでも、かつての貴重書閲覧スペースにはそんなものがなくて3階から1階の手洗い場まで降りてもらわなきゃいけなかったんですが、いまの貴重書閲覧室には室内にそれがあって、だからすこぶる都合が良い。
 でも、古典籍の類を扱うのはそんな都合の良い図書館の閲覧室ばかりではないわけです、たとえばかつてあたしが経験した、学芸員さんのかわりによそさんに展示のための資料を借りに行く(参照:http://egamiday3.seesaa.net/article/376964225.html)というお仕事のときには、「個人のお宅にお邪魔して、そのお宅の居間で古典籍資料を取り扱う」ということをやらなきゃいけなくて、どうしよう、そう都合良く手を洗わせてもらえるものかしら、っていうのがわかんなかったので、念のため、アルコールのウェットティッシュとペーパータオルを持参して「手を洗う」のかわりにする、ということをしました。うっかり水場を借りて手を洗ったところで十二分に乾かせるかも自信なかったしなので。それがどこまで正しかったかどうかは、ちょっとわかりませんけど。

 え、じゃあ、どんなときも手袋をつけない、でファイナルアンサーですか?と。いついかなるときも、すこやかなるときも病めるときも幾久しく、手袋は使いませんかと。

 いや、「手袋してください」説もあるにはある、っていう話ですが。

 『文献学』(杉浦克己)
 「事前によく手を洗い、また必要があれば手袋を用いる」

 実は先に挙げた「使わない」説文献のほうでも。
 『和本入門』の橋口さんは、先の引用文の前にこう書いてます。
 「まず手を石鹸でよく洗って席につく。重要文化財クラスの本をさわるなら手袋をして、手垢などがつかないように配慮しなければならない」

 もちろん、対象や条件によっては手袋しましょうという説はいくつもあって、どんなときも僕が僕らしくというわけではないと。
 これも先に挙げた、『日本の美術』436「古写本の姿」(藤本孝一)では、
 「金属や漆製品等には、手の油がつくので手袋を使用するのが一般的であるが」と。
 そりゃそうです、うちとこも「手袋しない」とは言いましたが、こないだうちの貴重書庫に置いてある幕末期のホフマン金属活字を触らなきゃいけないことあったんですが、さすがに素手で触れませんでした。ちょっとの塩分でも錆びになるんじゃないかと思って。手袋ないから、ペーパータオルではさんで扱ってた。

 そしてIFLAの「「貴重書は白手袋を着けて」という誤解」でも、その冒頭の断り書きとして、
 「ただし、ここで対象としているのは歴史的な価値のある書物および紙媒体文書である。写真のポジ・ネガ、スライド等は対象外である。また、立体物(とりわけ変色してしまった金属の)も除外される。こうしたものは取り扱いに関してそれぞれ固有の注意すべきことがらがあり、それぞれの分野における専門家によって論じられるべきである」
 まあ、そういうことですよね、という感じです。うちとこだけでも、金属活字もあればガラス乾板もある、羊皮紙もあれば酸性紙もあるで、なんでんかんでん一緒というわけではないですから。

 うちとこでは「手袋しない」だしよその図書館でもだいたいそういう認識だろうと思ってはいるのですが、例えば、うちとこの所蔵資料を展示に出したいからっておっしゃる博物館・美術館さんのキュレーターの方がちょいちょいうちにいらっしゃって、資料を借り出して行かれるんですが、その半分くらいの方はこちらが何も言わないでいると白手袋を出してはめて扱おうとしはる。あ、どうしよう、たぶんあたしよりあちらさんのほうが資料の扱いについては専門家さんのはずなんだろうけどな、でもどうしようかな、って0.02秒くらい逡巡した末に、「すみません、うちとこでは手袋なしでお願いしてるんです」って言うと、ああすみません、って素手にシフトしてくれはる、という感じです。
 それが正しいかどうかは、ちょっとわかりません。
 あれはどうなんでしょう、美術館博物館業界さんの界隈では手袋するのが正当な方法であるということなのか、書籍文書刷り物も美術品の延長というあれなのか、業界のじゃなくその個人さんのポリシーなのか、組織機関さんのそれなのか。あるいはもしかするとですが、ご自分たちでは手袋なんかすべきでないって考えてるんだけど、だからって素手で扱おうとすると所蔵者さんによっては、なんだてめえうちの大事なお宝を素手で触りやがって、って逆鱗沙汰になりかねないからそれを避けるための、自衛策またはアピールなのか。いずれにしろ、自分自身の考え、もしくは自分の観測範囲内で共通認識とされている考えとは、異なる理由・考え・方針で動いてるところだって、もちろんあって当然だとは思うので、それはそれとしてでいいと思います。常識なんか人の数ほどあるわけだし。
 でも、うちとこのは、すみませんこうしてもらえますか、という。
 ただ、「素手にしてください」って言って、手を洗わずに素手で扱われそうになるときはさすがにどうかとは思うけど。

 じゃあ、ほんとのほんとに紙媒体の取り扱いに手袋は完璧アウトかというと、これもまたそういうわけではないなというのが、先のハーバード時代ブログ(http://hvuday.seesaa.net/article/57605998.html)でも書いたんですけど、メリーランド大学のプランゲ文庫(註:戦後占領期日本の数年間の国内出版物がすべて検閲のためにGHQに集められたののコレクション)では壊れやすく傷みやすい劣悪品質な紙資料を取り扱うのに、保存上の理由から手袋をしています、と。その手袋は化学繊維の不織布みたいなのの極々すっごく薄いやつで、メッシュ的な感じにすらなってて、これだったら素手で取り扱ってるときと同じくらいの感覚で触れそうだし、それでいて手の脂とか汚れとかつかなくて済みそう、っていうあれで、技術でもって要件を満たしうるものが登場するんだったら、そりゃそっちのほうがいいよねっていう。あれほしいよね、ていう。

 という意味では、「古典籍を取り扱うのに手袋をするか、しないか」っていうのは、単純なマルかバツかのルールというものではもちろんない、手袋してるから即ダメとか、素手だから即ダメとかいう問答無用のジャッジメントじゃなくて、なんていうんでしょう、「物を触る」っていうことはとどのつまり、自分とその物との”対話”なわけじゃないですか。触るって、対話ですよ。だからそれが果たして自分と相手にとって”適切な対話”だろうかということは、常に自分に問わなきゃいけないというか、そこに”リスペクト”がないと問題の根本解決にはなってないよな、ていう。
 人と人との対話だって、相手をリスペクトしていれば、相手の事情環境にあわせてこっちの接し方やコミュニケーションの取り方を適切に変えていく、ということを我々ふだんやるわけです。ましてや、人間なんかよりよっぽどデリケートな古典籍資料との対話であれば、それ以上に相手との対話の仕方を弛まず怠らず問い直して、問い返してをしていかなあかんな、ていう。

 対話の例かな。
 「古典籍の取り扱いと実際《実習》」(尾崎正治)
 http://bukkyo-toshokan.jp/activity/pdf/lecture_07_04.pdf
 「私の場合は、基本的には石鹸で手の油を洗いとって触る、指の感覚を活かして掴むということにしています。どういう場合に手袋をするかといいますと、大谷大学には中国の秦漢時代を中心にした古印が八百点余り、封泥も二百数十点あります。これを手にとる場合は、ここにあります手袋を使います。また硯の場合は、どうするか悩むところですけれども、直に触る時は手袋をします。箱に入れて運ぶ時、手袋をしていますと滑らせて落としてしまう可能性がありますので、その時は手袋をはなします。」

 ただ、最初の問題に戻ると。

 長野県短大:学園祭で「和書喫茶」 古書を気軽に楽しんで - 毎日新聞
 http://mainichi.jp/select/news/20151018k0000m040026000c.html

 まあ正直、この手の報道写真で白手袋があとをたたないのは、記者なりカメラマンなりが「そのままだと雰囲気でないから、手袋とかはめません?」的な注文をつけた(それを受けちゃう問題もあるにもしろ)っていうのの結果が半分くらいあるんじゃないか、って思ってますけど。そういうこと言いそう、っていうか言うし。刑事ドラマあたりの影響だろうとは思いますけど。沢口靖子ならそりゃはめるでしょうけども。
 ことほどさように、事実上圧倒的に、盲目的に手袋を付ける&素手では触らないんだと誤解してる向きが大多数だろうとは思うので、そこはもっと「手袋はダメ」説を根気強く訴えていく必要はあるな、って思います。
 それは絶望的な闘いでは決してなくて、えっと今年5月くらいだったかな、ゴールデンタイムに、くりぃむしちゅーが熊本大学の永青文庫文書を紹介する2時間特番、などというおよそ信じがたい奇跡的な番組があって、そこでは「手袋しないんですか」「しないんですよ、理由はこれこれで」っていうやりとりがしっかり放送されてて、あ、これすげえな、って思たです。

 闘い甲斐もあるし、問い直し・問い返しもまだまだあるな、と思います。

 大御所が、和本をレンジでチンして虫を殺す、って言うようなロックな業界ですから。


posted by egamiday3 at 23:56| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月13日

(メモ)『学術書を書く』(京都大学学術出版会, 2015)を読んだメモ

 
・学術書が研究者の評価の道具として扱われるようになった結果、アメリカの大学出版部は二極化し、小規模群は母体大学の援助なしに成り立たず、黒字を出せるのは全体の1割程度で、ほとんどビジネスとしての体をなしていない。
・日本ではこの出版不況下に大学出版部の設立がむしろ活発。(既存の出版者が受け皿になれないため)
・京都大学学術出版会では1999年以来、海外の出版社と共同して、日本から英文の学術書を世界に向けて刊行する取り組みを続けている。
・(小規模の専門家コミュニティに向けた学術論文とは異なり)学術書の読者とは、多少専門は離れるが広くは関係する分野の研究者・学生(二回り、三回り外の専門家)。書かれた内容が専門の垣根を越境して拡がる可能性のあるメディア。
・学術情報のメディアが電子化・オンライン化することで、読者を規定するような物理的な制約がなくなったため、発信者が読者を意識しにくくなった。読者・読み方がかわった。にもかかわらず、学術情報メディアのカテゴリは変わらないまま、ではないか。
・学術情報のオンライン化・オープン化によって「知の民主主義」がおこるようになった。だからこそ、単に学術情報をネットに整理・評価なしに置いておくだけでは意味が無く、情報に関連性や体系性や意味づけを与える役割が必要になる。その編集者としてのキュレーション機能のあり方が、学術書を誰に向けてどう書くかと、重なる。
・共同研究等で領域を越えるような研究は、学術雑誌というメディアでは総合的・体系的に表現できない。
学術書に最も特徴的な性格は、越境性である。専門家ではない読者に内容を伝える、研究の核だけではなく必要な解説を配する、二回り、三回り外の読者に届くようにする。
・初版1000部は、学術書の目安であり、同時に学教会会員数のひとつの水準でもある。そのくらいの範囲を対象としてほしい。
・本にしたときに読んでほしい相手が、狭い専門分野よりも外の広い範囲であるなら、自分の研究を全体の中に”位置づける”必要が出てくる。
・inter-chapter integration(章と章との統合)。章同士がばらばらにならず本全体との関係がわかるように。
・専門外への無関心が問題。


posted by egamiday3 at 21:13| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月10日

世界記憶遺産おめでとう記念:「東寺百合文書×デジタル×世界」について


 東寺百合文書さん、世界記憶遺産への登録決定、おめでとうございます。

 今年発売された『デジタル・アーカイブとは何か : 理論と実践』(勉誠出版, 2015)に「「誰でも」とは誰か―デジタル・アーカイブのユーザを考える」(江上敏哲)っていう記事を載せていただいたんですが、その中に東寺百合文書について言及した節がありまして、それが”東寺百合文書×デジタル×世界”的な話なので、オリジナル原稿を抜粋して載せておきますね。

デジタル・アーカイブとは何か 理論と実践 -
デジタル・アーカイブとは何か 理論と実践 -
 本編から切り取って文脈が失われた状態で載せたかたちなので、たぶん一部にこいつ何言ってんだ的なところもあると思うんですが、それは本編『デジタル・アーカイブとは何か : 理論と実践』(勉誠出版, 2015)のほうで文脈をご確認いただければと。(っていうか、あたしのよりも古賀先生とか大場さんとか湯浅先生のほうをですね、)


-----------------------------------------------------
1.jpg
 日本の図書館やアーカイブが持つ日本語で書かれた日本についての資料・情報を必要とするユーザは、一般的な論理で考えれば、日本にいて日本語がわかる日本のユーザであろう。これをいったん否定し、別のユーザ像、すなわち、海外にいる、日本語がわからない、日本のことが専門でもない他分野の研究者を想定してみる。このようなユーザが、日本にある日本語で書かれた日本についての資料・情報にアクセスしようとすれば、先述のような様々な不自由を伴うことが想像できる。距離が遠く実物を閲覧・利用することができない。入手にコストがかかる。言葉の壁やリテラシーの低さ、制度や慣行の違いによって、読めない、探しづらい、利用しづらい、などである。そしてそれは、1.で挙げたデジタル・アーカイブが持つ利点、すなわち、距離・時間の差を解消できる、汎用性のあるツールに流用できる、検索が容易などの特徴によって解消できる可能性がある。
 例として東寺百合文書とそのデジタル・アーカイブを考える。東寺百合文書は、京都の東寺に伝わる約25000通の古文書群である。その範囲は8世紀から18世紀までの約1000年にわたり、特に14-16世紀の文書が充実している。東寺は規模も大きく広大な荘園も所有していたため、土地台帳や絵図、荘園経営にかかわる文書や、寺院の議事録なども含まれる。当時の東寺および社会の政治・経済・宗教などの背景を現代に伝える、日本史研究には不可欠な一次史料である。現在は京都府立総合資料館が保管しており、1997年には国宝に指定されている。
 東寺百合文書を「日本史研究に資する寺院の史料」ととらえれば、想定されるユーザは日本史研究者や日本の寺院関係者であり、日本にいて日本語を理解する者という前提に限られる。来館利用が充分に可能であり、特段のサポートがなくとも活用可能な専門性とリテラシーを持つと思われる。このユーザ像を否定し、海外にいる、日本語がわからない、日本のことが専門でもない他分野の研究者が、東寺百合文書を利用すると仮定する。そのユーザと東寺百合文書の間にはギャップがある。ギャップを解消するため、東寺百合文書そのものに変更を加えることはできないが、そのとらえ方を変更する。すなわち、東寺百合文書を「世界(東アジア、ユーラシア、環太平洋)の中にある日本という地域の、土地台帳や契約文書などを含む、仏教という宗教組織の文書群」ととらえれば、想定されるユーザは日本の日本史研究者に限らず、世界中の経済学研究者や宗教学研究者など多地域・多分野にひろがり、日本語を充分に理解せず日本資料を扱うリテラシーも低いユーザであるという可能性もうまれる。
2.jpg
 2014年3月から京都府立総合資料館により公開が開始されたデジタル・アーカイブ「東寺百合文書WEB」 では、約80000枚のデジタル画像をインターネット上で閲覧できる。デジタル・アーカイブとしてオープンにされることで、海外にいるユーザ、日本が専門ではない他分野のユーザによるアクセスがより容易になったと言える。それは、距離の遠さや時間、冊子・コピー等の入手にかかるコストが解消されたというだけではない。その存在がGoogleなどの一般的なサーチエンジンにより不慣れな人にも探しやすく、見つかりやすいという点。また、目録・索引をキーワードで検索可能なデータベースとして提供し、加えてヴィジュアルな地図や年表など双方向性があり直感的操作の可能なツールを提供している点。これらはいずれも、日本資料を扱うリテラシーが高くないユーザの利用とアクセスを容易にするものである。
 また「東寺百合文書WEB」はクリエイティブ・コモンズの「CC-BY」で公開されていることも大きく評価されている。自由な利用を促し社会に還元する姿勢に加え、ここではクリエイティブ・コモンズという国際的な仕組みの採用に注目したい。すなわち、日本国内の限られた地域・分野の研究者コミュニティなどの狭い範囲で共有されるルールや作法、または日本国内の慣習に則った複雑な手続きによってその利用をコントロールするのではなく、海外にいる、日本語がわからない、日本のことが専門でもない他分野の研究者であっても、その利用のルールが容易に理解できる、という利点である。(註:たとえ研究者・執筆者が日本語や日本事情をわかってても、編集者・出版社がそれをわからなければ掲載ができない)
-----------------------------------------------------
posted by egamiday3 at 22:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(メモ)『図書館のための個人情報保護ガイドブック』より

 藤倉恵一. 『図書館のための個人情報保護ガイドブック』(JLA図書館実践シリーズ, 3). 日本図書館協会, 2006.
(藤倉恵一. 「図書館における個人情報保護 : 理念と実際」(<特集>情報セキュリティ). 『情報の科学と技術』. 2012, 62(8), p.342-347. でいろいろ補足した)

-----------------------------------------------------
・2005年4月 「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)全面施行

●個人情報保護法の適用範囲
・適用される”個人情報保護”法令は設置母体による
・「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)
→民間事業者=私立学校の図書館、私設・民間の図書館
・各地方自治体が定める個人情報保護に関する条例
→公共図書館、公立大学図書館
・「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(2003年)
→行政機関に属する図書館
・「独立行政法人等が保有する個人情報の保護に関する法律」(2003年)
→国立大学法人、法人化した公立大学

●「個人情報」と「個人データ」
・「個人情報」
・特定の個人を識別できる情報
 (氏名、住所、生年月日、連絡先、容姿、指紋・遺伝子)
・単独では個人を識別できないが、他のリストと照合すれば特定できるもの
 (ID、学籍番号などの数字・記号)
・プライバシーとは異なる

・「個人情報データベース等」(民)・「個人情報ファイル」(公)
 個人情報が検索可能なデータベース
 (アナログなものも含む(冊子、紙リスト、整理された名刺))
・「保有個人データ」(民) 半年以上保有する個人データ
 「保有個人情報」(公) 職務上取得した個人情報ファイル
・図書館では
 「個人情報」: 利用者の氏名、住所、連絡先等
 「個人情報データベース等」(民)・「個人情報ファイル」(公): 利用者情報をデータベース等のシステムに登録したもの
・個人情報保護法等で取り扱い注意の対象にしているのはほとんどが「保有個人データ」「保有個人情報」である
・(法的保護の対象でない)「個人情報」やその他の利用者に関する情報は、「図書館の自由に関する宣言」で守る(読書履歴、レファレンス記録など)
・個人情報保護等で保護すべきものは、おおむね「図書館の自由に関する宣言」で守るべきものに含まれる

●利用者情報の「利用目的」
・個人情報を取得する(利用登録等)ときに、「何のため(目的)」を明示する必要があるか?
 ○ 貸出、返却、督促、到着通知 →図書館利用のためという目的が明らかであれば、明示する必要はない。
 △ 広報、新サービス案内など →明らかな「図書館利用目的」でなければ、個人情報取得時に「広報に使用します」などを明示しなければならない。どこまでが図書館利用なのかを特定する必要がある。
・外部のデータベースから得られた情報を利用してよいか?
 (例)入学生の情報を、事務部から図書館に渡して転用する。
    卒業生に連絡をとるために、事務部が管理する同窓会名簿や在学記録を利用する。
 →その個人情報が、図書館利用の目的でも使用されることが、正しく伝わっていなければならない。

●図書館の「資料提供の自由」と制限
「図書館の自由に関する宣言」
第2 図書館は資料提供の自由を有する
1 国民の知る自由を保障するため、すべての図書館資料は、原則として国民の自由な利用に供されるべきである。
 図書館は、正当な理由がないかぎり、ある種の資料を特別扱いしたり、資料の内容に手を加えたり、書架から撤去したり、廃棄したりはしない。
 提供の自由は、次の場合にかぎって制限されることがある。これらの制限は、極力限定して適用し、時期を経て再検討されるべきものである。
(1)人権またはプライバシーを侵害するもの
(2)わいせつ出版物であるとの判決が確定したもの
(3)寄贈または寄託資料のうち、寄贈者または寄託者が公開を否とする非公刊資料
2 図書館は、将来にわたる利用に備えるため、資料を保存する責任を負う。図書館の保存する資料は、一時的な社会的要請、個人・組織・団体からの圧力や干渉によって廃棄されることはない。

●資料としての「個人情報」
・図書館が所蔵・提供する資料に含まれている「個人情報」
・「個人情報」
 図書・論文の著者名/著者の略歴/ノンフィクション作品に登場する個人/人物研究・人物評論
・「個人情報データベース等」
 人名事典/名簿・電話帳/卒業アルバム
 著者名目録(目録カード・データベース)/著者標目
 (これら「データベース」には「個人データ」が収録される)

●図書館資料は適用されない
・個人情報保護法 第50条
「個人情報取扱事業者のうち次の各号に掲げる者については、その個人情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるときは、前章の規定は、適用しない。」
「三 大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者   学術研究の用に供する目的」
・独立行政法人等の・・・法律 第9条第2項第4号(利用制限の例外)
「四 ・・・専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるとき。」

●名簿閲覧の是非(1)
・2005年4月 金沢市立玉川図書館が、新聞記者の指摘を受け、明治大正期受刑者名簿の利用を禁止した。

・日本図書館協会への内閣府個人情報保護推進室からの回答
「図書館などが所蔵し提供している資料は対象とならない。図書館が個人情報を含む資料を利用者に提供することは(中略)この法律は直接対象としない。その資料に問題があるとすれば、それを出版した者がまず問われることになる。」
↓↑
・「図書館の自由に関する宣言」
「(1)人権またはプライバシーを侵害するもの」

●名簿閲覧の是非(2)
2008年11月 元厚生事務次官連続殺傷事件
「次官宅住所は国会図書館で調べた」

厚生労働省から国会図書館・都道府県教育委員会へ、厚生労働省関係者の名簿を提供制限することを要請した(犯人逮捕前)

(緊急措置として)厚生労働省の名簿を制限した図書館
一時制限してのちに解除した図書館
関係ない名簿も制限した図書館
提供制限をしなかった図書館

日本図書館協会「名簿等の利用規制について」(2008.12)
http://www.jla.or.jp/portals/0/html/jiyu/meibo.html
「人々の知る権利を保障し、自由な判断を支えることを基本的な使命とする」
「緊急避難的に・・・利用規制がとられたことは・・・理解できないことではない」
「その対応が過度にわたり、常態化することはあってはならない」
「利用規制を行う場合には、利用者に対してそのことの理由が説明されること、規制期間の明示、解除についての検討が必要」

●名簿
・判断のポイント
 体系的に整備されているものか(保有個人データ、個人情報ファイル)
 公になっているかどうか
 出版・編纂者の意向
 名簿記載者の同意を得ているかどうか
 侵害の申し立て
・体系的に整備されているもの
 (例)電話帳/人名事典/学会員名簿/卒業アルバム
・公に出版・販売されているもの
 →通常の資料と同様
・公にすることを前提としていないもの
 限られた人だけに頒布・配布されるもの
 →受入時に判断する(なぜ蔵書とするのか(利用/保存))
  作成者・寄贈者の意図を確認する
・思想の自由等の侵害につながるもの
 差別につながるもの
 →提供に部分的な制限をかける
・生存しない人物を対象にしたもの
 →個人情報保護の対象ではない(ただし子孫のプライバシーの問題あり)

●人権・プライバシーに関わるもの
「図書館の自由に関する宣言(1979年改訂 解説第2版)」
「プライバシーとは、特定の個人に関する情報で、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められ、かつ、公知のものでない情報」
(該当する)
・特定個人の出身地が被差別地域であることが推定できる資料(「部落地名総鑑」の類の資料や一部の古地図、行政資料)
(該当しない)
・特定個人の人権侵害に直結しない、差別的表現
・「その判断は・・・それぞれの図書館が、図書館内外の多様な意見を参考にしながら、公平かつ主体的に意思決定する」
・「やむをえず制限する場合でも、「より制限的でない方法」」

●目録における個人情報
・著者名目録・著者標目
 →個人情報を体系化した「個人情報データベース等」「個人情報ファイル」に該当する。
・2005年6月「個人情報保護と日本目録規則(NCR)との関係について」(日本図書館協会目録委員会)
 公刊物から取得・転記した個人情報は、作成・公開しても問題ない。
 公刊物ではない情報源から取得し、本人の同意を得ていない個人情報は、作成はできても公表はできない。
(例)
 匿名著作に著者名をリンクする
 本名と別名をリンクする/本名を記載する
 →情報源が公刊物かどうか/本人の同意があるかどうか

●レファレンス協同データベース
 http://crd.ndl.go.jp/reference/
 全国の図書館が協同して、レファレンス事例をデータベースに登録し、インターネットで公開したもの。
4.2.1 プライバシーを尊重する
「記載されるデータ中に、個人名が記されていないことを確認する必要があります」
4.2.2 質問者の特定化を避ける
「質問者が第三者に特定化されないよう記載することが必要となります。個人名が記されていなくても、「質問」、「事前調査事項」、「質問者区分」等から、質問者が特定されてしまう可能性がまったくないとは言えない」
posted by egamiday3 at 22:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月06日

極私的・2015夏のご精算と、秋冬の絵馬(活動指針メモ)


 絵馬。
 それは折に触れて掲げたり降ろしたりする活動指針。


●夏の精算(自己点検)
・AAS・MALUIを進める: 60点
・ネット環境・wifi・iphoneを更新・整備する: 50点
・非常持ち出し袋を整備する: 0点(ここ0点なのマズイだろう)
・夏季大掃除(ユニット化): 80点
・隠岐予習: 75点
・オランダ・ライデン予習: 65点
・寄席の準備: 10点
・wikiのtodo: 0点(持ち越し)
・MyStudyの準備: 0点(持ち越し)
・MyNBKの準備: 0点 (持ち越し・・・ああああああ・・・)
・EAJRS準備: 85点
・ガイド・OPACの整備: 75点

講評: オランダに手間取られ過ぎです。



●2015-16 秋冬の絵馬

【スケジュール】
2015.10 AAS〆切
2016.03 CEAL/NCCシアトル
2016.06 AAS京都

・projectは、具体に取り組んでください。(→【スケジュール】参照)
・socialは、プレゼンス化を意識してください。
・あれこれのことを、コンテンツ化とその蓄積につなげてください。コンテンツは大事です。
・結果、”読み”と”書き”に尽きます。
・出不精はコンテンツ化の敵、ダメ、絶対。
・有酸素運動の”多角化”と”仕組み化”

posted by egamiday3 at 21:53| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月06日

ある日の図書館のお仕事・記録

 思い出したように書く。
 特別に忙しいわけでもなく特別に暇でもなく特別なことがおこったわけでもないある日の、とある研究センターの図書館における、図書館でのお仕事の日常的記録。こんなことをやってましたし、やってます、ていう。(フェイク込み)

8:15 開館準備
8:30 メール確認
9:00 外来利用者が不調を訴える閲覧用PCの、一時ファイル削除やソフトのアップデートなどのメンテ
9:20 台湾の先生が戦前の日本料理についての文献を他大学から借りて欲しいと言ってきたのを調査した結果、東京の私立大学がデジタル画像公開しているのを見つけられたので伝える。
9:30 海外ILL依頼対応
10:00 依頼により、1月以降のOPACへのアクセス統計をまとめて報告。その過程で、数字のあらわれ方に不審な点があることに気付いたので、ひととおり調査した上で、業者に問い合わせを送る。
10:45 依頼により、過去の利用統計から関連しそうな数字を抜き出して、報告
11:00 換気のために新館の窓を開放
11:15 外部より閲覧打診のあった絵巻物について、劣化状態と書誌事項を現物で確認して、回答する
11:30 ミラノの芸術雑誌からの問い合わせ対応で、うちが撮影して保管している艶本資料のデジタルデータのマスター画像について、解像度その他を調査して回答する。
11:50 東京の出版社に送るための古地図画像をDVDに大量に焼く作業。
12:10 館内の展示ケースの仕様について問い合わせあり。
12:15-13:00 休憩
12:30 休憩中、テレビ局からの名所図会への問い合わせあり、対応。
13:00 カウンター業務(以下17:00までカウンター業務と併行して)
13:00 マイクロフィルム利用の外来利用者に対応、案内。
13:15 業者に委託する図書移動作業の準備。別置すべきタイトルの選定と棚数のカウント、空き棚数の算出、Excelによる空き棚配分の計算、業者への指示票をwordの差込機能で作成、等々。(以上を16:30頃まで断続的に)
15:00 館内数カ所に設置する予定のカーテンのサイズを採寸しにきた業者を案内してまわる
15:30 換気のために開放していた新館の窓を閉める
15:45 大阪の某文庫から届いた文献複製・製本の見積金額の内訳に不審な点があり、過去の書類と見比べる作業。
16:20 外来利用者の複写料金受け取りと経理処理
16:30 新着図書のバーコード読み込み、帯の装備、貸出希望者への連絡、新着コーナーへの配架、古い新着図書の間引き
17:00 閉館作業
17:15 東北の博物館から来年の巡回展のための展示貸出の打診あり、その資料を扱う先生に相談
17:30 ライデン出張準備の一環として、構想図を再描画。
18:00 OPAC利用ガイドの確認と新規作成、そのための動作確認
19:00 おしまい。
posted by egamiday3 at 12:58| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月04日

AAS in Asia 2015 @台北、に行ってきました。記録(その2)

・AAS in Asia 2015 @台北、に行ってきました。記録(その1)
 http://egamiday3.seesaa.net/article/421699189.html
・AAS in Asia 2015 @台北、に行ってきました。記録(その2)
 http://egamiday3.seesaa.net/article/421800363.html
・AAS in Asia 2015, Taipei 参加メモ #AASinAsia
 http://togetter.com/li/837823


●Exhibition(展示ブース)のこと

tw07.jpg
IMG_1136.JPG

 企業やその他団体がブースを借りて展示しているというExhibitionのコーナーです。会場の低層階の人が行き来し集まりそうなところに設置されてある。それで、この人数規模でこの狭い通路みたいなロビーで、20とか30くらいしかブースがないのって、えらいすくないんじゃないか、って思ってたんですけど、でもそれほど混み合ったりしてなくて、そんなに人いなかったな、という印象でした。
 休憩時間はバタバタ移動しなきゃいけないからなのか。分科会に出てない人はどこか外へ出てよそへ行っちゃうからなのか。だいたい毎回こんな感じの人出なのか、いつもはもっとちがってたまたま今回場所の設計があまりよくなかったのか。そのへんはよくわからないです。

 おおむね、パンフやチラシを配る。本の現物を展示する。データベースの紹介をする。ノートパソコンでデータベースのデモをしたり、トライアルの案内をしたり、あと動画を再生したりしてる。そして、ペンとかクリアファイルとかお菓子みたいなんを配っている。それやこれやの手法で、参加者ときっかけを作ってはしゃべっている、という感じ。

 出展しているのは主に、出版社、データベース会社、大学出版会が主だなという感じなんですが、その中にあってちょっと印象に残った出展者が、当の中央研究院のデジタルセンターというところ。まさにこの建物の一角にオフィスを陣取ってはる組織らしいんですけど、そこがこの中央研究院における”デジタル化事業”を担ってはるとのこと。30人くらいのメンバーがデジタルセンターにいて、デジタルの専門家だったり資料の専門家だったりデザインの専門家だったりという各種の役割を持った人たちがいっしょになって、デジタルなコンテンツを作成しているという。それは、中央研究院内の台湾史研究所の持つ史料のデータベースであったり、歴史語言研究所のデータベースであったりするわけです。
 というような話を、そのブースにいた学生スタッフらしき2人と、チーフらしき人1人が英語であれやこれや説明してくれはる、という感じのイベントですね。

IMG_1160.JPG
IMG_1163.JPG

 ブースでは、各種デジタルコンテンツのパンフ類やクリアファイルを配ってたり、出版物を展示してたり、背後のボードに大きく印刷したポスターを掲示してたり、という感じ。あと、ノートパソコンをテーブル上に置いて、目玉らしき古地図のデジタル画像のデモンストレーションみたいのをやってました。

 あとは台湾の学術データベース会社の人らにお会いして、日本語でいろいろ説明をしてもらってました。台湾日日新報とか、うちめっちゃいるやん、みたいなの。めっちゃ営業熱心、なだけでなくて、日本ではどういうデータベースがあるかとか、どういう出版社があるかとかいろいろインタビューされて、データベースを売るにはどうしたらいいかとか尋ねられるから、ああそれは日本の書店さんに代理店になってもらったほうが、うちらも契約しやすいからそうしたほうがいいですよ、どこどこ堂さんとかどこどこ屋書店さんとか、みたいな話を調子に乗ってしてましたけどね。

 あと、webに載ってるデータベースなんだし日本で自分で見りゃわかるだろう、というようなe-resourceであっても、こういうのってやっぱり普段よっぽど意識することがないと、こまめにチェックしたりする余裕なんか仕事中はないから、こういう場で直に関係者の人と触れて話を聞くと、あらためて、あ、こんなんあるんだねーって気付かされること、たくさんあると思うんですよ、たとえネットで見れるe-resourceであってもやっぱり。そういう出会いが得られるのも、こういう学会とかExhibitionの有用な点だろうなって思います。

 あと、日本からアジア歴史資料センターさんが出展してはりました。ここはすごい、こういうところちゃんと来てはるから。


●ライブラリアンの参加のこと

 研究者以外のライブラリアンがもっと来てるイベントなのかと思ってましたけど、結局、自分と阪大・某山さんも含め、中国専門司書の人も含め、ライブラリアン職じゃなく教員で図書館役職の人も含めて、全部で10人くらいでした。そんなもんかーと思った。(前年のシンガポールは2人だったらしい)
 ただ、ほんとのところはわかりません、上に言う10人は全員が北米と日本の顔見知りグループから成るので、もしかしたら台湾の地元のライブラリアンが参加はしてたけどわかってないだけかもしれない。ただ、わかってない人と出会える構造になってなかった、という感じ。
 でも、2日目の朝一のピリオドで「ライブラリアンシップが云々」ていうテーマのパネルがひとつあって、それが唯一の今回のライブラリアン向け企画だったんですけど、そこにその10人がいて、あとそれ以外にも6-7人の聴衆はいたんですけど、たぶん教員職や研究者の人たちで興味を持った人ら、という感じだったんじゃないかなという。あそこにライブラリアンが混じってくれてたとしても、じゃあ多くて12-3人くらいになるのかな、という。

 ただ、来年はもっと多くなりそうな予感というか、予感だけはFacebookあたりからかなり感じとれますけど。

 あと、あたしはうっかりしててそういうラウンドテーブルがあるって気付かなかったんですけど、台湾のドキュメンタリーフィルムによる映像記録、というテーマのラウンドテーブルがあって、そこにフィルム・アーカイブの人が参加してたらしいです。
 そんなんあったんだ、タイトルだけではわかんなかった、アブストラクトを注意深く読んだら確かにそうだった、という。


●ライブラリアンのパネルのこと

 その、ライブラリアン向けパネルについてです。

IMG_1177.JPG

 司会・北米A大学の日本専門司書。
 パネリスト・北米B・C・D大学の中国系司書。
 ディスカッサント・日本E大学の図書館役職にある研究者。
 「Librarianship in a changing world: Google is not enough!」という、ひと目見てライブラリアンなら参加しに来るタイトル。(うん、タイトルはそういうふうに付けてください・・・)
 各パネルの発表は、エンベデッド、アジア言語資料、留学生支援などについての、実践報告、実態調査、事例調査報告の類の感じでした。やっぱりなじみ深いテーマの話を、なじみのあるプレゼン手法でしゃべってもらえると、苦手な英語もわりかしするっと身体に入ってくる感じがしますね。
 ディスカッサントの先生が、自分なりの見解を述べて、それにからめながら発表者各者へひとつづつ質問、という、見てて非常に”美しい”流れになってた、一番いい進行のパネルだったと思います。
 あと、フロアまじえてのディスカッションが、一気に実務・実践的なことが中心の話題になって、そのへんもやっぱりライブラリアンの集まりだな、という感じがしますね。自分も参加して、つい議論に集中しちゃう感じになりましたけど。

 このパネルをオーガナイズしたのは、司会の北米A大学から参加してた日本専門司書の方だったんですけど、これは特にNCC(北米の日本司書の集まり)とかCEAL(北米の東アジア分野司書の集まり)とかの企画、というわけでもなんでもなくて、ご自分でオーガナイズしはったとのこと。
 あと、ライブラリアン系のパネルはもうひとつ申請されてたんだけど、採択されなかったという話もありました。そういうこともあるという。


●レセプション

IMG_1200.JPG
IMG_1201.JPG

●北米ライブラリアンとの会話から

 で、そのレセプションで、ライブラリアンたちでかたまって(数人で)この会のありかたや参加者の行動みたいなことについて、いろいろとしゃべってましたという話。

 そもそもこの北米から来たライブラリアンの人たちも、お目当てのパネルとか以外の時間帯には会場にいなかったらしく、むしろ台北どこどこ図書館とか、どこどこアーカイブみたいなところに、事前に何時に何人というかたちでアポとってて、訪問・見学に行ってはったらしいです。そういう話とか聞いてるともしかして、いろんな分野の複数のパネルに連続して参加する、みたいなことやってるのってあたしくらいのものなのか??というようなことすらちょっと考えてしまうという。
 展示ブースにもそんなに人ががやがやいてたわけではないし、会場全体が人混みしてるわけではないから、みんな、時間を作ってはあちこちに出かけたり、必要なグループの人同士で集まって何かしたりしてるんじゃないかしらと。
 これが、このAASでは毎回そんな感じだというのか、それとも今回の時間設定・プログラム構成・会場の物理的構造によるものなのかはちょっとわかんないですけど、でも、事前にアポとってそういうことしてたっていうなら、要はそういうことなんでしょう、ていう感じですね。 

 で、でもみんながみんなそうやって事前にアポとって用意周到にかつスムーズにあちこちに行けるような、ある種のリテラシーがある人たちばかりではないだろうから、そういうのがプランとして用意されてたらいいね、というようなことは言われてました。それはそれでなるほどと思います、ただまあ、それは誰が何のためにやることなのか、という話になるとは思うんで、ちょっと考えどころではあるんだけど。

 とにかく、こういった学会に来ると、今回の台北はともかくとしても、北米の本体の学会のほうは予定予定で詰め込まれすぎ、朝一から深夜までオーガナイズされすぎで、自由に余裕をもって動いたり、いろんな立場の人と話をしたりっていう状態らしくって、それじゃ集まってる意味ないじゃんね、て思うんですけど、そういうインフォーマルなコミュニケーションを持つ場がほしいんだ、みたいなことです。
 って、みんながみんなそう思ってるとは限らないだろうけど、とは言え、実は自分自身、たった2日このAASに参加しただけでもその気持ちがよくわかるというか、なんかねえ、予備校生みたいな1日をおくってる気になるんですよね。予備校生になったことないからわかんないけど。
 ここにいてたら、誰かに会える、会いたい人に会える、ていうか会う機会もなかったような人となんとなく会える、ていうような”ゆる邂逅”ができるようなデザインになってる場所・時間って、なかったんじゃないかなあって思いますね。

 まあそんなようなことを、アルコールも出ないレセプションの片隅で言いたい放題(英語なので言いたいこともなかなか言えないんだけど)の即席ディスカッションを、してましたよね。

 あとはe-resoruceやオープンアクセスの話とか、司書の専門性の話とか、会えてよかったねみたいな話とか、そんなんのフルーツ盛りみたいな感じ。まあ図書館関係者が寄ったらいつもしてるような話です。


●その他
 このほかにも、4年前に来たときよりなんか中央研究院の周りって垢抜けたんじゃないかなって思ったこととか、バスでちょっと外に出たらひとつ別の駅に行っちゃったこととか、二日目のお弁当をあけたら骨付きもも肉のフライドチキンがごはんの上に乗っかってた衝撃とか、学食的なところで大勢でいただいた台湾料理のレベルの高さとか、ペットボトル自販機の写真を撮るアメリカ人とか、もろもろあるのですけど、まあそういうのはまた別の話。
 とりあえずイベントとしてのAAS in Asia 2015 @台北はこんな感じでした、っていう記録です。
posted by egamiday3 at 23:03| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする